JP3753173B2 - ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤに関し、特に溶接ワイヤの送給性およびアークの安定性が重要視される溶接ロボットを用いた自動溶接あるいは大溶接電流で施工される鉄骨や橋梁等のガスシールドアーク溶接に好適なガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ(以下、 溶接ワイヤという)に関する。
【0002】
【従来の技術】
MAG溶接は、シールドガスとして炭酸ガス,アルゴンガス,あるいは炭酸ガスや酸素ガスを含む混合ガス等の酸化性ガスを用い、さらに消耗電極として直径 0.6〜1.6mm の溶接ワイヤを用いて、4〜20m/min の溶接速度で溶接を行なう溶接法であり、その安定した溶接性を維持するために、溶接ワイヤを安定して送給する必要がある。 そこで従来から溶接ワイヤの表面にCuめっきを施したり、あるいは潤滑油を塗布したりして、溶接ワイヤの送給性向上を図っている。
【0003】
しかし、近年、溶接ロボットを用いた大電流によるガスシールドアーク溶接が実用化されるにつれて、溶接ワイヤの送給速度が増大し、かつ溶接ワイヤの温度が上昇するようになってきた。その結果、 溶接ワイヤの送給が不安定になるので、アークの安定性を維持できなくなり、溶接作業に支障をきたす原因になっている。このような溶接ワイヤの送給速度が増大したり、溶接ワイヤの温度が上昇する溶接法において安定した溶接性を維持するために、溶接ワイヤの送給性を向上させる技術が種々提案されている。
【0004】
たとえば特開平5-23731 号公報には、素材となる鋼素線の表面にポリ四弗化エチレン,MoS2 ,グラファイトおよび鉱物からなる潤滑剤を保持させて、溶接ワイヤの送給性を向上させる技術が開示されている。
また特開平11-217578 号公報には、素材となる鋼素線の表面にMoS2 またはWS2 ,エステルまたは石油ろう等からなる潤滑剤を保持させて、溶接ワイヤの送給性を向上させる技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5-23731 号公報
【特許文献2】
特開平11-217578 号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平5-23731 号公報および特開平11-217578 号公報に開示された技術では、 溶接ロボットを用いた大電流によるガスシールドアーク溶接等に適用した場合に、依然として溶接ワイヤの送給の安定性を維持できず、溶接作業に支障をきたすのは避けられない。
【0007】
したがって本発明の目的は、特に溶接ロボットを用いた大電流溶接等の、溶接ワイヤの送給速度が増大したり、溶接ワイヤの温度が上昇するような厳しい条件下で行なうガスシールドアーク溶接に使用した場合でも、安定した送給性が得られるガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ(すなわち溶接ワイヤ)を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、溶接ロボットを用いた大電流によるガスシールドアーク溶接を行なう際に、溶接ワイヤの送給性が不安定になる現象について鋭意研究した。 その結果、 素材となる鋼素線の成分,鋼素線に塗布する潤滑剤の成分や塗布量が多大な影響を及ぼすという知見を得た。
【0009】
まず、鋼素線の成分については、所定量のC,SiおよびMnを含有し、 かつCaを含有することによって、溶接時の短絡および溶接ワイヤの送給抵抗の低下が達成される。その結果、 溶接ワイヤの送給速度を増大しても溶接ワイヤの送給の安定性を維持できるので、安定したアークが得られる。
さらに、溶接電流が 300A以上の高い溶接電流でガスシールドアーク溶接を行なう場合は、給電チップの先端の温度が 500℃を超えるので、従来から知られている潤滑油やエステル系潤滑剤は高温に曝されて分解する。したがって、これらの潤滑油やエステル系潤滑剤では、高温における潤滑性を維持できない。そこで熱に対して安定な無機物すなわちMoS2 ,K化合物を含有する固形潤滑剤を塗布することによって、給電チップの温度上昇に伴って溶接ワイヤの温度が上昇しても溶接ワイヤの送給性を維持する。その結果、安定性の高いアークを得ることができる。
【0010】
すなわち本発明は、ガスシールド溶接で用いられる溶接用鋼ワイヤであって、C:0.20質量%以下,Si:0.25〜2.5 質量%,Mn:0.45〜3.5 質量%,Ca:0.0020質量%以下を含有する鋼素線の表面にカリウム塩濃度 0.5 〜 3.0 体積%のカリウム塩溶液を塗布し、さらに焼鈍を施した鋼素線の表面に平均厚さ 0.5 μm以上の Cu めっき層を形成し、 Cu めっき層の表面にMoS2 およびBNのうちの1種または2種以上を15〜70質量%,ワックスを2質量%以下,K化合物を2〜70質量%,銅粉を5〜70質量%、グラファイトを5〜 20 質量%含有する固形潤滑剤層を鋼素線10kgあたり 0.2〜1.0 g有し、固形潤滑剤層の表面に脂肪酸エステルおよび/または潤滑油からなる潤滑剤層を鋼素線10kgあたり 0.2〜1.8 g有し、かつ鋼素線の実測表面積S o ( mm 2 )と理論表面積S a ( mm 2 )とを用いて下記の (1) 式から算出される実表面積比Sが 0.01 〜 3.0 %の範囲内を満足するガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤである。
【0012】
S= 100×(So −Sa )/Sa ・・・ (1)
S :実表面積比(%)
So :鋼素線の実測表面積(mm2 )
Sa :鋼素線の理論表面積(mm2 )
【0013】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の溶接ワイヤの素材となる鋼素線の成分を限定した理由について説明する。
C:0.20質量%以下
Cは、溶接金属の強度を確保するために重要な成分であるが、溶融金属の粘性を低下させ、流動性を向上させる作用を有する。 しかしC含有量が0.20質量%を超えると、溶接を行なう際に溶融金属の挙動が不安定となり、スパッタが多量に発生する。 しかも不安定な短絡現象が起こり、 溶接ワイヤの送給性を阻害する。したがって、Cは0.20質量%以下に限定した。なお溶接金属の強度を確保するために、C含有量の下限は0.01質量%とするのが好ましい。
【0014】
Si:0.25〜2.5 質量%
Siは、脱酸作用を有し、 溶接金属の脱酸のためには不可欠な成分である。Si含有量が0.25質量%未満では、溶接を行なう際に溶融金属が揺動し、スパッタが多量に発生する。しかも不安定な短絡現象が起こり、 溶接ワイヤの送給性を阻害する。一方、 2.5質量%を超えると、溶接金属の靭性が低下する。したがって、Siは0.25〜2.5 質量%の範囲内を満足する必要がある。
【0015】
Mn:0.45〜3.5 質量%
Mnは、Siと同様に、脱酸作用を有し、 溶接金属の脱酸のためには不可欠な成分である。Mn含有量が0.45質量%未満では、溶接を行なう際に溶融金属が揺動して、スパッタが多量に発生するばかりでなく、溶融金属の脱酸が不足し、溶接金属にブロー欠陥が発生する。しかも不安定な短絡現象が起こり、 溶接ワイヤの送給性を阻害する。一方、 3.5質量%を超えると、溶接金属の靭性が低下する。したがって、Mnは0.45〜3.5 質量%の範囲内を満足する必要がある。
【0016】
Ca:0.0020質量%以下
Caは、製鋼工程,鋳造工程あるいは伸線工程における不純物として鋼素線に混入する。Ca含有量が0.0020質量%を超えると、溶接を行なう際にアークが不安定となり、スパッタが多量に発生する。 しかも不安定な短絡現象が起こり、 溶接ワイヤの送給性を阻害する。したがって、Caは0.0020質量%以下に限定した。
【0017】
さらに本発明では、鋼素線の成分は、上記した組成に加えて、P: 0.003〜0.050 質量%,S: 0.050質量%以下,K:0.0001〜0.0150質量%およびTi:0.30質量%以下を含有することが好ましい。 その理由について説明する。
P: 0.003〜0.050 質量%
Pは、製鋼工程および鋳造工程における不純物として鋼素線に混入する元素であるが、ビード形状を平滑にする効果も有する。 P含有量が 0.003質量%未満では、ビード形状を平滑にする効果が得られない。 一方、 0.050質量%を超えると、溶接を行なう際に溶融金属の粘性を低下させ、アークが不安定となり、小粒の溶滴が増加する。 したがって、Pは 0.003〜0.050 質量%の範囲内を満足するのが好ましい。
【0018】
S: 0.050質量%以下
Sは、溶融金属の粘性を低下させ、溶接ワイヤの先端に懸垂した溶滴の離脱を助け、 アークを安定させる効果を有する。 S含有量が 0.050質量%を超えると、溶接を行なう際に溶融金属の粘性を低下させ、アークが不安定となり、小粒の溶滴が増加する。 したがって、Sは 0.050質量%以下とするのが好ましい。 なお、Sはビード形状を平滑にする効果も有する。 ビード形状を平滑にするためにはSを 0.003質量%以上添加するのが好ましい。
【0019】
K:0.0001〜0.0150質量%
Kは、アークを広げ(またはソフト化し)、溶滴の移行を容易にするとともに、溶滴を微細化して溶接ワイヤの送給抵抗の変動を抑制する効果を有する。K含有量が0.0001質量%未満では、これらの効果が得られない。 一方、 0.0150質量%を超えると、溶接を行なう際にアークが長くなるので、溶接ワイヤの先端に懸垂した溶滴が不安定となり、スパッタが多量に発生する。したがって、Kは0.0001〜0.0150質量%の範囲内を満足するのが好ましい。 より好ましくは、0.0003〜0.0030質量%である。なお、Kは沸点が約 760℃と低いので、鋼材を溶製する段階でKを添加すると、歩留りが著しく低い。そこで鋼ワイヤを製造する段階で、鋼素線の表面にカリウム塩溶液を塗布して焼鈍を施すことによって、Kを鋼素線に安定して含有させることができる。
【0020】
Ti:0.30質量%以下
Tiは、脱酸材として作用し、さらに溶接金属の強度を増加する成分である。ただしTi含有量が0.30質量%を超えると、溶接を行なう際に粗大な溶滴が生じて大粒のスパッタを発生するばかりでなく、溶接金属の靭性を著しく低下させる。したがって、Tiは0.30質量%以下とするのが好ましい。 なお溶接金属の強度を増加させるためにはTiを0.03質量%以上添加するのが好ましい。
【0021】
また本発明では、鋼素線の成分は、上記した組成に加えて、Cr: 3.0質量%以下,Ni: 3.0質量%以下,Mo: 1.5質量%以下,Cu: 3.0質量%以下およびB: 0.005質量%以下のうちの1種または2種以上を含有することが好ましい。
つまりCr,Ni,Mo,CuおよびBは、いずれも溶接金属の強度を増加させ、かつ耐候性を向上させる成分であり、必要に応じて添加すれば良い。 ただし各成分とも僅かな添加量で、これらの効果を発揮するから、特に下限を設ける必要はない。 しかし過剰に添加すると溶接金属の靭性の低下を招くので、これらの成分を添加する場合は、Cr: 3.0質量%以下,Ni: 3.0質量%以下,Mo: 1.5質量%以下,Cu: 3.0質量%以下,B: 0.005質量%以下とするのが好ましい。
【0022】
また本発明では、鋼ワイヤの成分は、上記した組成に加えて、Zr,NbおよびVのうちの1種または2種以上を添加することが好ましい。
つまりZr,NbおよびVは、いずれも溶接金属の強度と靭性を向上させ、かつアークの安定性を向上させる成分であり、必要に応じて添加すれば良い。 ただし各成分とも僅かな添加量で、これらの効果を発揮するから、特に下限を設ける必要はない。 しかし過剰に添加すると溶接金属の靭性の低下を招くので、これらの成分のうちの1種を添加する場合には、添加量は0.55質量%以下とするのが好ましく、2種以上を添加する場合には、添加量は合計0.55質量%以下とするのが好ましい。
【0023】
さらにまた本発明では、鋼素線の成分は、上記した組成に加えて、Al:0.50質量%以下を添加するのが好ましい。 つまりAlは、溶接金属の脱酸剤として作用するとともに、横向き溶接を行なう場合にアークの安定性を向上させる成分であり、必要に応じて添加すれば良い。 ただし0.50質量%を超えて添加すると、靭性の低下を招く。したがって、Alを添加する場合には、添加量は0.50質量%以下とするのが好ましい。
【0024】
上記した鋼素線の成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。たとえばOあるいはNが代表的な不可避的不純物であり、鋼材を溶製する段階や鋼素線を製造する段階で不可避的に混入する。 Oは 0.020質量%以下,Nは 0.010質量%以下に低減するのが好ましい。 特にOは、溶滴の移行形態を細分化する効果を有するので、0.0020〜0.0080質量%とするのが一層好ましい。
【0025】
次に、本発明の溶接ワイヤの製造方法について説明する。
転炉または電気炉等を用いて、上記した組成を有する溶鋼を溶製する。この溶鋼の溶製方法は、特定の技術に限定せず、従来から知られている技術を使用する。次いで、得られた溶鋼を、連続鋳造法や造塊法等によって鋼材(たとえばビレット等)を製造する。 この鋼材を加熱した後、熱間圧延を施し、さらに乾式の冷間圧延(すなわち伸線)を施して鋼素線を製造する。 熱間圧延や冷間圧延の操業条件は、特定の条件に限定せず、所望の寸法形状の鋼素線を製造する条件であれば良い。
【0026】
さらに鋼素線は、焼鈍−酸洗−銅めっき−伸線加工−潤滑剤塗布の工程を順次施して、所定の製品すなわち溶接ワイヤとなる。
なお焼鈍を施す前に、あらかじめ鋼素線の表面にカリウム塩溶液を塗布しておく。 カリウム塩溶液としては、クエン酸3カリウム水溶液,炭酸カリウム水溶液,水酸化カリウム水溶液等を使用するのが好ましい。 また、塗布した後のカリウム塩濃度は、Kに換算した値で 0.5〜3.0 体積%とする。
【0027】
このようにして表面にカリウム塩溶液を塗布した鋼素線を焼鈍することによって、生成される内部酸化層中にKが安定して保持される。一方、 KをCuめっき層中に保持させる方法や単に塗布するだけの方法では、Cuめっきや鋼素線の変色等の問題が発生しやすい。しかも熱的に不安定であるから、Kによる低スパッタ化の効果が小さくなる。
【0028】
焼鈍は鋼素線の軟化およびKの付与を目的として行なうものであり、 650〜950 ℃の温度範囲で、かつ水蒸気を含む窒素ガス雰囲気中で行なうのが好ましい。 すなわち焼鈍温度が 650℃未満では、内部酸化の進行が遅くなる。一方、 950℃を超えると内部酸化の進行が速すぎて内部酸化量の調整が困難となる。
焼鈍雰囲気は、内部酸化を進行させる観点から、露点0℃以下、酸素濃度 200体積ppm 以下とするのが好ましい。 表面にカリウム塩溶液を塗布した鋼素線を、このような焼鈍雰囲気で焼鈍することによって、その表面から酸化が進行して、表層部が内部酸化される。この内部酸化層にKが確実に保持される。
【0029】
なお、焼鈍時間および焼鈍温度は、カリウム塩溶液の塗布条件(たとえば塗布量,カリウム塩濃度,鋼素線の直径等)に応じて設定するのが好ましい。 さらに鋼素線中のK含有量が0.0003〜0.0030質量%,O含有量が0.0020〜0.0080質量%となるように、焼鈍時間や焼鈍温度を設定するのが好ましい。
このようにして焼鈍を施した鋼素線は、酸洗した後で、その表面にCuめっきを施す。 Cuめっき層の厚さは 0.5μm以上とする。
【0030】
すなわち高い電流で連続溶接を行なう場合は、給電不良により溶接ワイヤの送給が阻害されやすい。これに対して、Cuめっき層の厚さを 0.5μm以上とすることによって、給電不良に起因する溶接ワイヤの送給の不安定化を防止できる。より好ましくは 0.8μm以上である。このようにCuめっきを厚目付とすることによって、給電チップの損耗を低減する効果も得られる。
【0031】
さらに、鋼素線の実表面積比Sが0.01〜3.00%の範囲内を満足する必要がある。実表面積比Sは下記の (1)式で算出される値である。
S= 100×(So −Sa )/Sa ・・・ (1)
S :実表面積比(%)
So :鋼素線の実測表面積(mm2 )
Sa :鋼素線の理論表面積(mm2 )
ここで表面積とは、後述する潤滑剤を塗布する前の状態の表面積を意味する。したがって、溶接ワイヤの素材である鋼素線の表面積を指す。ただし鋼素線にCuめっきを施した場合は、Cuめっき層を含めた鋼素線の表面積である。
【0032】
さらに鋼素線の実測表面積So (mm2 )とは、走査型電子顕微鏡(いわゆるSEM)による 400倍の観察面に鋼素線が占める面積を指す。また鋼素線の理論表面積Sa (mm2 )とは、同様の観察面で鋼素線を円柱として計算した表面積を指す。
したがって鋼素線の実表面積比Sは、潤滑剤を塗布する前の鋼素線表面の凹凸の大きさを表わすことになる。つまり実表面積比Sが増大すると、凹凸が大きくなり、潤滑剤が付着する面積が増加することを意味している。逆に実表面積比Sが減少すると、潤滑剤が付着する面積が縮小することを意味している。溶接を行なう際に給電の安定化を図るためには、鋼素線の表面を平滑にする(すなわち実表面積比Sを小さくする)ことが好ましく、実表面積比Sを3.00%以下とする。一方、 実表面積比Sが0.01%未満では、鋼素線の表面に潤滑剤を塗布したときに、その付着量が不足しやすい。潤滑剤を過剰に塗布すると、鋼素線の表面に潤滑剤を付着させることは可能であるが、溶接を行なうにあたって送給ローラーでスリップするので送給が不安定になる。したがって、鋼素線の実表面積比Sは0.01〜3.00%の範囲内を満足する必要がある。
【0033】
ちなみに、後述する実施例において、ワイヤ番号6について走査型電子顕微鏡を用いて調査した結果を図1に示すように、ワイヤ番号6の実表面積比Sは1.24%である。なお実表面積比Sは、図1中のSRIr 値から 100を減じることによって算出される。
このようしてCuめっきを施した鋼素線を伸線、塗布する工程を利用して、表面に、MoS2 またはBN:15〜70質量%あるいはMoS2 およびBN:合計15〜70質量%,ワックス:2質量%以下,K化合物:2〜70質量%,伸線工程で発生する銅粉:5〜70質量%からなる固形潤滑剤を形成する。この固形潤滑剤層は、鋼素線10kgあたり 0.2〜1.0 gとする。
【0034】
溶接電流 400Aで1分以上の連続溶接を行なうと、給電チップは 500℃以上の温度になる。このような高温では、脂肪酸エステルや潤滑油は分解するので潤滑性を維持できない。そこで発明者らは種々の潤滑剤を検討した結果、 高温でも潤滑性を維持するものとして、MoS2 ,BN,K化合物,銅粉が有効であることを見出した。ただしMoS2 またはBN:15〜70質量%あるいはMoS2 およびBN:合計15〜70質量%,ワックス:2質量%以下,K化合物:2〜70質量%,伸線工程で発生する銅粉:5〜70質量%の範囲内を満足する必要がある。この範囲を外れると、高電流ガスシールドアーク溶接を行なうにあたって、潤滑性を維持できず、溶接ワイヤの送給速度が著しく変動するので送給が不安定になる。
【0035】
なおMoS2 ,BNの含有量は、好ましくはMoS2 またはBNを15〜50質量%あるいはMoS2 およびBNを合計15〜50質量%である。さらにグラファイトを5〜20質量%含有することによって、高温の給電チップでの潤滑性が向上する。
またK化合物としてステアリン酸カリウムを使用することによって、高温の潤滑性が向上する。
【0036】
一方、 Cuめっき後の伸線工程で発生する銅粉は、コンジットチューブでの摩擦を低減する効果がある。固形潤滑剤層の銅粉量が5質量%未満では、溶接ワイヤを送給する際の抵抗を軽減する効果はない。固形潤滑剤層の銅粉量が70質量%を超えると、溶接を行なう際に給電チップで焼き付きが発生して、瞬間的に溶接ワイヤの送給が停止する。その結果、 アークが不安定になる。したがって、固形潤滑剤層中の銅粉の含有量は5〜70質量%にする必要がある。
【0037】
本発明でいうワックスとは、脂肪酸エステル,綿ろう,動植物の固体ろう,合成ろう,石油ろうの中で常温で固体のものをいう。ワックスは、伸線性の向上,常温での潤滑性の向上等の効果があるが、2質量%を超えて添加するとアーク不安定から送給性を阻害する。したがって、固形潤滑剤層中のワックスの含有量は2質量%以下とした。
【0038】
Kは、前記した通り、 アークを安定化し、溶接ワイヤの送給を安定化する働きがある。K化合物としては、ステアリン酸カリウムを使用する。K化合物が2質量%未満では、アーク安定化による送給の安定化の効果がなく、70質量%を超えて添加すると、固形潤滑剤による送給性向上の効果がなくなる。したがって、固形潤滑剤層中のK化合物の含有量は2〜70質量%とした。
【0039】
また、固形潤滑剤層の付着量が鋼素線10kgあたり 0.2g未満では、溶接ワイヤを送給する際の抵抗を軽減する効果が得られない。一方、 鋼素線10kgあたり 1.0gを超えると、給電チップ内面に固形潤滑剤が付着蓄積されて溶接ワイヤの送給を阻害する。したがって、固形潤滑剤の付着量は鋼素線10kgあたり 0.2〜1.0 gの範囲内を満足する必要がある。
【0040】
さらに、溶接を行なう際の溶接ワイヤの送給抵抗を軽減して、送給を安定化させるために、この固形潤滑剤層の表面に室温(25℃)で液体の脂肪酸エステルまたは潤滑油を塗布する。あるいは脂肪酸エステルと潤滑油との混合物を塗布しても良い。 このようにして脂肪酸エステルおよび/または潤滑油からなる潤滑剤層を形成する。この潤滑剤層が鋼素線10kgあたり 0.2g未満では、溶接ワイヤを送給する際の抵抗を軽減する効果が得られない。一方、 鋼素線10kgあたり 1.8gを超えると、溶接を行なうにあたって溶接ワイヤが送給ローラーでスリップし、送給速度が著しく変動するので送給が不安定になる。したがって、潤滑剤層は鋼素線10kgあたり 0.2〜1.8 gの範囲内を満足する必要がある。
【0041】
このようにして脂肪酸エステルおよび/または潤滑油を塗布して潤滑剤層を形成することによって、MoS2 やK化合物による鋼素線表面の変色と劣化を防止する効果も得られる。
【0042】
【実施例】
連続鋳造によって製造されたビレットを熱間圧延して、直径 5.6〜7.0mm の線材とした。次いで冷間圧延(すなわち伸線)によって直径 2.0〜2.8mm の鋼素線とし、さらに2〜30体積%のクエン酸3カリウム水溶液を鋼素線1kgあたり30〜50g塗布した。
【0043】
その後、この鋼素線を、露点−2℃以下,酸素濃度 200体積ppm 以下,二酸化炭素濃度 0.1体積%以下の窒素雰囲気中で焼鈍した。焼鈍温度は 760〜950 ℃の範囲として、鋼素線の直径,カリウム塩濃度に応じて焼鈍温度と焼鈍時間を調整することによって、内部酸化の進行を調整するとともに、鋼素線のK含有量,O含有量を調整した。
【0044】
このようにして焼鈍した後、 鋼素線の表面にCuめっきを施し、さらに冷間で伸線加工(湿式伸線)を施して、直径1.2mm の溶接ワイヤを製造した。一部の溶接ワイヤについて、伸線加工でMoS2 およびステアリン酸カリウムを含有する固形潤滑剤を塗布して伸線することによって、高温で潤滑性を維持できる固形潤滑剤を付着させた。固形潤滑剤の付着量は、ダイススケジュール,ダイス形状を選定することによって調整した。
【0045】
得られた溶接ワイヤの鋼素線の成分,実表面積比S,Cuめっき厚は、表1に示す通りである。
【0046】
【表1】
【0047】
これらの溶接ワイヤを用いて鋼板(厚さ19mm)の上面に2分間のビードオン溶接を行ない、溶接ワイヤの送給性を評価する指標として送給抵抗を測定した。ここで溶接ワイヤの送給抵抗の目標値を55N以下として、送給抵抗が35N以下のものを良(○),35N超え〜55N以下のものを可(△),55N超えのものを不可(×)として評価した。
【0048】
ビードオン溶接に用いた装置を図2に示す。図2において、符号1は溶接電源,2は溶接トーチ,3は溶接ワイヤ,3aはコンジットチューブ,4は送給ローラー,5はロードセルである。溶接ワイヤの送給抵抗は、ロードセル5によって測定した。
次に、鋼板(厚さ19mm)の上面に1分間のビードオン溶接を行ない、Cu製捕集治具を用いてスパッタを捕集し、 スパッタ発生量を測定した。ここでスパッタ発生量の目標値を 3.0g/min 以下として、スパッタ発生量が 2.0g/min 以下のものを良(○), 2.0g/min 超え〜 3.0g/min 以下のものを可(△), 3.0g/min 超えのものを不可(×)として評価した。
【0049】
次に直径800mm の鋼管(厚さ25mm)を自転させながら、鋼管外局に30分間の連続溶接を行なった。連続溶接が終了した後、給電チップの磨耗を評価する指標として、給電チップ先端の内径を測定し、その最大値Dmax (mm)と最小値Dmin (mm)を用いて下記の (2)式から楕円化率(%)を算出した。
楕円化率(%)= 100×(Dmax −Dmin )/Dmin ・・・ (2)
Dmax :内径の最大値(mm)
Dmin :内径の最小値(mm)
ここで楕円化率の目標値を5%以下として、楕円化率が2%以下のものを良(○),2%超え〜5%以下のものを可(△),5%超えのものを不可(×)として評価した。
【0050】
溶接ワイヤの送給性の評価,スパッタ発生量の評価,給電チップの磨耗の評価は、表2〜3に示す通りである。使用した各溶接ワイヤの潤滑剤の塗布量と固形潤滑剤の付着量を併せて表2〜3に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
なお、これらの評価を行なったときの溶接条件は、表4に示す通りである。
【0054】
【表4】
【0055】
表2に示した発明例1〜28では、いずれも溶接ワイヤの送給性の評価,スパッタ発生量の評価,給電チップの磨耗の評価が良または可であった。一方、 表3に示した比較例1〜12では、溶接ワイヤの送給性の評価,スパッタ発生量の評価,給電チップの磨耗の評価は全て不可であった。
【0056】
【発明の効果】
本発明の溶接ワイヤを用いることによって、ガスシールドアーク溶接を大溶接電流で、かつ連続して行なう場合に、溶接ワイヤの送給性とアークの安定性に優れ、 良好な品質の溶接継手が得られる。 またスパッタ発生量も低減でき、さらに給電の安定性にも優れ、給電チップの損耗も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】走査型電子顕微鏡により鋼素線の表面粗さを測定した結果を示すグラフである。
【図2】溶接ワイヤを評価する際に使用した装置を模式的に示す配置図である。
【符号の説明】
1 溶接電源
2 溶接トーチ
3 溶接ワイヤ
3a コンジットチューブ
4 送給ローラー
5 ロードセル
Claims (1)
- ガスシールド溶接で用いられる溶接用鋼ワイヤであって、C:0.20質量%以下、Si:0.25〜2.5 質量%、Mn:0.45〜3.5 質量%、Ca:0.0020質量%以下を含有する鋼素線の表面にカリウム塩濃度 0.5 〜 3.0 体積%のカリウム塩溶液を塗布し、さらに焼鈍を施した鋼素線の表面に平均厚さ 0.5 μm以上の Cu めっき層を形成し、前記 Cu めっき層の表面にMoS2 およびBNのうちの1種または2種以上を15〜70質量%、ワックスを2質量%以下、ステアリン酸カリウムを2〜70質量%、銅粉を5〜70質量%、グラファイトを5〜 20 質量%含有する固形潤滑剤層を前記鋼素線10kgあたり 0.2〜1.0 g有し、前記固形潤滑剤層の表面に脂肪酸エステルおよび/または潤滑油からなる潤滑剤層を前記鋼素線10kgあたり 0.2〜1.8 g有し、かつ前記鋼素線の実測表面積S o ( mm 2 )と理論表面積S a ( mm 2 )とを用いて下記の (1) 式から算出される実表面積比Sが 0.01 〜 3.0 %の範囲内を満足することを特徴とするガスシールドアーク溶接用鋼ワイヤ。
S= 100 ×(S o −S a )/S a ・・・ (1)
S :実表面積比(%)
S o :鋼素線の実測表面積( mm 2 )
S a :鋼素線の理論表面積( mm 2 )
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