JP2898696B2 - 透過性膜およびその製造方法 - Google Patents

透過性膜およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、透過性膜およびその製造方法に関するもの
である。詳しく述べると、本発明は、内面性状の改質さ
れた透過性膜を安定して提供する透過性膜の製造方法に
関するものである。
(従来の技術) 近年、各種の分野において多くの中空糸膜が用いられ
ている。例えば、近年、腎不全の患者に対する人工透析
療法においては、再生セルロース、特に銅アンモニア再
生セルロースなどの中空糸膜が透析膜として利用されて
おり、優れた透析性、機械的強度等から良好な臨床的効
果をもたらしている。
しかしながら、このような中空糸膜において、その表
面性状に関しては、使用目的に十分合致したものとはい
えないものである。例えば、上記のごとき人工透析にお
いては、用いる中空糸膜の種類によっても差異がある
が、血液の凝固や補体の活性化などが生じ、またこのよ
うな現象発生の比較的少ない再生セルロース系の中空糸
膜を用いた場合、透析開始直後に白血球が一時的に急激
に減少するという、いわゆる一過性白血球減少症(hemo
dialysis leukopenia)などの副作用が発生する虞れの
高いものであった。
このためこのような中空糸膜においては、使用目的に
応じてその表面性状を改質することも、従来よりなされ
てきている。例えば、成膜後に薬品処理、カップリング
剤処理、モノマーからの高分子化膜形成、表面グラフト
化、界面活性剤処理などの化学処理法により、あるいは
紫外線照射処理、プラズマ処理などのような物理的処理
法により処理することが多くなされており、より具体的
には例えば、再生セルロース膜の表面改質法として、成
膜後に膜表面にイソシアネートプレポリマーを化学的に
結合させる方法(特開昭61−8105号)、成膜後に含窒素
塩基性単量体のホモポリマーあるいは他の単量体とのコ
ポリマーをコーティングする方法(特開昭61−48375
号)などが提唱されているが、これらの方法は成膜後に
表面改質処理を行なうために作業性が悪く、また中空糸
という特殊な形状であることも手伝って、その処理効果
には問題の残るものであった。
またさらに、成膜時に紡糸原液に改質剤を混入して表
面改質を図ることも考えられ、例えば、再生セルロース
膜の改質法として、ある一定の置換度を有する改変セル
ロースとなすために、紡糸原液中にセルロースととも
に、ジアルキルアミノアルキル、カルボキシアルキル、
スルホアルキル、スルホアリール、ホスホネートアルキ
ル、ホスホネートアリール等の置換基を有するセルロー
ス誘導体を混入して成膜する方法(特開昭61−113459
号)などが知られている。しかしながら、このように紡
糸原液に改質剤を混入する改質方法は、改質剤の選択性
に乏しく、また製膜性、処理効果の面で十分であるとは
言い難いものであり、さらにこのような方法によると改
質は中空糸膜の表面のみならず全体に対してなされるこ
ととなるので中空糸膜の物性を低下する虞れも残るもの
であった。
(発明が解決しようとする課題) 従って、本発明は新規な透過性膜およびその製造方法
を提供することを目的とするものである。本発明はま
た、内面性状の改質された透過性膜を安定して製造する
中空糸膜の製造方法を提供することを目的とする。本発
明はさらに、操作性および経済性よく、内面性状の改良
された透過性膜を製造する方法を提供することを目的と
するものである。
(課題を解決するための手段) 上記諸目的は、セルロース溶解液に対して相溶性を有
しかつ疎水部分を有するとともに表面改質剤に対する官
能基を有する化合物を、セルロースに配合してなるセル
ロース膜の表面において、該化合物の官能基に該表面改
質剤をグラフト結合させてなる透過性膜により達成され
る。
上記諸目的は、セルロース溶解液中に、該溶解液に対
して相溶性を有しかつ疎水部分を有するとともに表面改
質剤に対する官能基を有する化合物を配合して膜形成用
液とし、得られる膜体の少なくとも一面において、該官
能基と反応し得る基を有する表面改質剤を含みかつ該膜
形成用液とは相溶性のない非凝固性液と接触させた状態
で膜体を形成することを特徴とする透過性膜の製造方法
によっても達成される。本発明はまた、該官能基を有す
る化合物の配合量が、セルロースに対して0.1〜10重量
%である透過膜およびその製造方法である。本発明はさ
らに、表面改質剤に対する官能基を有する化合物が、カ
ルボキシルアルキルセルロース、アルキルアミノアルキ
ルセルロース、スルホアルキルセルロース、スルホアリ
ールセルロース、ホスホネートアルキルセルロース、ホ
スホネートアリールセルロースおよびキトサンよりなる
群から選ばれた少なくとも1種のものである透過膜およ
びその製造方法である。本発明はまた、該表面改質剤が
官能基としてエポキシ基、カルボキシメチル基、第一級
アミノ基、第二級アミノ基、ヒドロキシル基およびイソ
シアネート基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の
官能基を有する化合物である透過膜またはその製造方法
である。発明はさらに、該膜形成用液は環状紡糸孔から
吐出され、同時に線状に紡糸される膜形成用液の内部中
央部に該膜形成用液に対する非凝固性液を導入充填し、
ついで該線状膜形成用液を凝固性液中に導入して凝固成
膜して中空糸膜を得る透過膜の製造方法である。
(作用) 本発明による透過膜は、中空糸膜および平膜のいずれ
でもよいが、中空糸膜を例にとって説明する。
まず、セルロース溶解液中に、該溶解液に対して相溶
性を有しかつ疎水部分を有する表面改質剤に対する官能
基を有する化合物(以下、活性点付与剤という)を配合
して膜形成用液(以下、紡糸原液という)を調製する。
ついで、再生セルロースによる紡糸工程を例にとり、本
発明を説明すると、第1図に示すように底部に非凝固性
液槽1を設けた浴槽2において、前記非凝固性液槽1に
下層として紡糸原液に対する非凝固性液3を、また上層
として前記非凝固性液よりも比重が小さくかつ前記紡糸
原液に対する凝固性液4を供給して二層を形成させる。
紡糸原液貯槽5内の紡糸原液6をポンプ(例えばギヤポ
ンプ)7を介して導管8によりフィルター9に圧送し、
濾過した後、紡糸口金装置25の上向きに設けられた環状
紡糸孔(図示せず)から前記下層の非凝固性液3中に直
接押出す。その際、内部液貯槽10内に貯蔵されている前
記紡糸原液に対する非凝固性液11を内部液として自然落
差により流量計12に供給したのち、導管13より前記紡糸
口金装置25に供給し、前記環状に押出された線状紡糸原
液14の内部中央部に導入して吐出させる。しかして、こ
の内部液としての非凝固性液(以下、内部非凝固性液と
いう)11中には、後述するような表面改質剤が添加され
ている。このため、環状に押出された線状紡糸原液14の
内部表面は、疎水性化合物である非凝固性液11と接触し
て、前記活性点付与剤の疎水性部分が主として表面に配
合し、該疎水性部分に結合されている官能基が、内部非
凝固性液11中の表面改質剤と接触し、該表面改質剤によ
る改質がなされることとなる。なお、環状に押出された
線状紡糸原液14において、該表面改質剤と接触するのは
非凝固性液11と界面を接する内部表面のみであるので、
該紡糸原液の製膜性には実質的に影響を与えない。環状
紡糸孔より押出された線状紡糸原液14は、内部に表面改
質剤含有非凝固性液11を含んだままなんら凝固すること
なく下層の非凝固性液3中を上方へ進む。この場合、線
状紡糸原液14は、前記非凝固性液との比重差によりその
浮力を受けながら上昇する。ついでこの線状紡糸原液14
は上層の凝固性液4中に上昇するので、これを該凝固性
液4中に設けられた変向棒15により変向させて前記凝固
性液4中を十分通過させたのち、ロール16により引上げ
られ次工程に送られる。
なお、この場合、前記浴槽2には供給口18より恒温循
環液19を供給し、かつ排出口20より排出させることによ
り凝固性液4を所定の温度、例えば20±2℃の温度に保
持させることができる。使用後あるいは液交換時には非
凝固性液3は排出口21より弁22を介して排出される。同
時に、使用後あるいは液交換時には凝固性液4は排出口
23より弁24を介して排出される。
以上は本発明の中空糸膜の製造方法を特公昭61−3360
1号に記載されるような再生セルロースの浮上法を例に
とり説明したが、本発明の中空糸膜の製造方法はこのよ
うな一実施態様に何ら限定されるものではなく、例え
ば、再生セルロースの紡糸方法に関しても上記のごとき
浮上法以外に、紡糸原液の内部中央部に該紡糸原液に対
する非凝固性液を導入充填し、環状紡糸孔から空気中に
吐出させる空中落下方法、特開昭57−71408号および特
開昭57−71410号に記載の非凝固性液中へ吐出したのち
該非凝固性液層と凝固性液層との界面を通過させる方
法、特開昭57−71409号に記載の非凝固性液中へ直接吐
出したのち、凝固性液中を通過させる方法、特開昭57−
71411号に記載の非凝固性液に囲繞させて吐出し、つい
で凝固再生する方法などの各種の態様が取られ得、この
ように、紡糸原液を環状紡糸孔から吐出させ、同時に線
状に紡糸される紡糸原液の内部中央部に該紡糸原液に対
する非凝固性液を導入充填し、ついで該線状紡糸原液を
凝固性液中に導入して凝固成膜する工程を有する従来公
知の種々の中空糸膜の製造方法に基づいて、線状吐出紡
糸原液の内部中央部に導入充填される非凝固性液中に、
改質剤を添加するという若干の変更を加えるのみで容易
になされ得るものである。
本発明の中空糸膜の製造方法により製造される中空糸
膜を形成するポリマーとしては、紡糸原液を環状紡糸孔
から吐出させ、同時に線状に紡糸される紡糸原液の内部
中央部に該紡糸原液に対する非凝固性液を導入充填し、
ついで該線状紡糸原液を凝固性液中に導入して凝固成膜
され得るものであれば、特に限定はなく、親水性あるい
は疎水性の各種ポリマーからなる中空糸膜が含まれる
が、望ましくは、改質剤による表面改質がより良好に行
なわれるように、水酸基、アミノ基あるいはカルボキシ
ル基を有するポリマーからなるものであることが好ま
れ、特に望ましくは銅アンモニアセルロース、酢酸セル
ロースなどの再生セルロースである。
本発明で使用される活性点付与剤としては、セルロー
ス溶解液に対して優れた相溶性を有するとともに、疎水
部分を有しかつ表面改質剤に対する官能基を有する化合
物であって、例えば、カルボキシアルキルセルロース
(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエ
チルセルロース、カルボキシプロピルセルロース等)、
アルキルアミノアルキルセルロース、スルホアルキルセ
ルロース、スルホアリールセルロース、ホスホネートア
ルキルセルロース、ホスホネートアリールセルロース、
キトサン等およびその混合物がある。
これらの活性点付与剤の配合量は、セルロースに対し
て0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜1重量%である。
このようなポリマーからなる中空糸膜に対する表面改
質剤としては、本発明の中空糸膜の製造方法においては
表面改質剤が紡糸原液に対する非凝固性液に添加される
ものであるために非凝固性液中に均一に分散配合できる
ものであればよく、それゆえに選択性が広く、中空糸膜
内面に付与しようとする特性に応じて各種のものが用い
られ得るが、紡糸原液と非凝固性液との界面において良
好な作用をもたらし、得られる中空糸膜内面に良好に付
着ないしは結合して所望の特性を発揮するために、特に
該表面改質剤として用いられる化合物は、エポキシ基、
カルボキシメチル基、第一級アミノ基、第二級アミノ
基、ヒドロキシル基、イソシアネート基などのような反
応性基を有するもの、もしくは親水部と疎水部の双方を
備えてなるものであることが望ましく、さらにはこの両
方の特性を有するものであることが望ましい。また、処
理効果を高めるためには、フッ素原子または窒素原子を
含む化合物であることが望まれる。
このような表面改質剤として用いられる化合物とし
て、具体的には、例えば、2−ハイドロパーフルオロエ
チルグリシジルエーテル、 1,1,2,3,3−ペンタハイドロパーフルオルウンデシレン
−1,2−オキサイド、 1,1,2,3,3−ペンタハイドロパーフルオロノニレン−1,2
−オキサイド、 1,1,2,2−テトラハイドロパーフルオロデカニルエチレ
ングリコールグリシジルエーテル、1,1,2,2−テトラハ
イドロパーフルオロデカニルジエチレングリコールグリ
シジルエーテル、1,1,2,2−テトラハイドロパーフルオ
ロデカニルトリエチレングリコールグリシジルエーテ
ル、1,1,2,2−テトラハイドロパーフルオロデカニルポ
リエチレングリコールグリシジルエーテルなどの1,1,2,
2−テトラハイドロパーフルオロデカニルエチレングリ
コールグリシジルエーテル類、 グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート−ブチルメタクリレート
−メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共
重合体とポリ(パーフルオロアクリレート)とのブロッ
ク共重合体、 メチルカルバミン酸グリシジルエステル、 エチルカルバミン酸グリシジルエステル、 イソプロピルカルバミン酸グリシジルエステル、 ジエチルグリシジルアミン などが好ましく挙げられる。
このような表面改質剤が添加される非凝固性液として
は、中空糸膜を形成する紡糸原液の種類に応じて異なっ
てくるために、特定できるものではないが、例えば紡糸
原液がセルロース系の紡糸原液である場合には、ミリス
チン酸イソプロピル、エチルヘキルアルコール、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、流動パラフィン、n−ドデカ
ン、n−ヘキサン、軽油、灯油、酢酸イソアミルなどが
用いられる。
更に、このような非凝固性液に対する前記したような
表面改質剤の溶解性を増大するためには、非凝固性液中
に有機溶媒または界面活性剤を添加してやることが考え
られるが、例えば、再生セルロースの紡糸工程を例にと
れば、この有機溶媒または界面活性剤は、親水性の高い
あるいは高沸点のものであることが望ましい。すなわ
ち、乾燥工程において、非凝固性液中に気化しやすい物
質が多く含まれる場合、生成する中空糸膜のリークの原
因となり得るため、乾燥工程以前に上記有機溶媒、界面
活性剤は水層中に移行し、中空糸膜の内部中央部の非凝
固性液中に存在しないか、もしくは残存する場合気化し
にくいものであることが望まれる。なお、この場合高沸
点であるとは、沸点が70℃以上、好ましくは100℃以上
である。このような条件を満たす界面活性剤としては、
例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリ
オキシアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性剤が
あり、また有機溶媒としてはメチルアルコール、エチル
アルコール、アセトン、トルエンなどがある。
このようにして、得られる凝固処理後の凝固中空糸状
物は、水洗後に脱銅するという常法あるいは水洗後に脱
銅し、さらに水洗後にアルカリ処理を行なうという常法
は、あるいはアルカリ処理後に水洗しついで脱銅処理を
行なうという常法により所望の中空糸膜が得られる。
さらに、前記工程の他に、前記非凝固性液および改質
剤の両者に対して相溶性を示す有機溶媒中に、前記凝固
中空糸膜を浸漬することにより優れた効果が得られる。
浸漬工程は、凝固処理後の任意の段階で設けることがで
きるが、一例を挙げると、例えば(1)前記のように凝
固性液を通過させたのち、水洗し、ついで有機溶媒中に
浸漬し、さらに水洗したのち、脱銅処理を行なう方法、
(2)前記のように凝固性液を通過させたのち、アルカ
リ処理し、ついで有機溶媒中に浸漬し、さらに水洗した
のち脱銅処理を行なう方法、(3)前記のように凝固性
液を通過させたのち、脱銅処理を施し、水洗し、ついで
アルカリ処理を施し、さらに有機溶媒中に浸漬する方法
等がある。
有機溶媒としては、前記非凝固性液および改質剤の両
者に対して相溶性を有することが必要である。このよう
な有機溶媒としては、例えば、エタノール、イソプロパ
ノール、n−プロパノール、ブタノール類等の低級アル
コール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン等のケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチル
ホルムアミド等がある。
有機溶媒中への浸漬時間は、該溶媒が中空糸膜の内部
空間に浸透すればよく、使用する溶媒、膜素材、膜構造
等により異なり、限定しにくいが、通常10秒以上、好ま
しくは5〜30分間である。
また、アルカリ処理は常法により行なわれるが、通常
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が好ましく、アル
カリ濃度としては0.1〜15重量%、好ましくは0.1〜2重
量%である。脱銅処理も常法により行なわれるが、通常
硫酸等の酸水溶液中に浸漬して行なわれる。
以上は、中空糸膜を例にとって説明したが、本発明
は、平膜についても同様に適用できることはもちろんで
ある。
(実施例) 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明す
る。
実施例1 28%アンモニア水溶液5148gおよび塩基性硫酸銅864g
を1200mlの水に懸濁させて銅アンモニア水溶液を調製
し、これに10%亜硫酸ナトリウム水溶液2725mlを添加し
た。この溶液に重合度約1000(±100)のコットンリン
ターパルプ1900gを投入して攪拌溶解を行ない、ついで1
0%水酸化ナトリウム水溶液1600mlを添加して銅アンモ
ニアセルロース水溶液(比重1.08)を調製し、さらにカ
ルボキシメチルセルロース9.5g(セルロースに対し0.5
重量%)添加して紡糸原液とした。
一方、第1図に示すような装置を用いて、浴槽2の非
凝固性液槽1に非凝固性液3としてトリクロロトリフル
オロエタンを供給して下層を形成させ、ついで凝固性液
として50g/lの濃度の水酸化ナトリウム水溶液を供給し
て上層を形成させた。前記紡糸原液6を原液貯槽5より
フィルター9を経て、環状紡糸孔を上向きに装着した紡
糸口金装置25に導き、2.5Kg/cm2の窒素圧で紡糸孔より
前記下層の液温20±2℃の非凝固性液3中に直接吐出さ
せた。紡糸孔の孔径は3.8mmであり、紡糸原液(cell 7.
4%、1.750p(7.5℃))の吐出量は6.47ml/分とした。
なお、この際、エポキシ基を有する化合物である1,1,
2,2−テトラハイドロパーフルオロデカニルポリエチレ
ングリコールグリシジルエーテル を1w/v%、およびメタノールを1v/v%含有するミリスチ
ン酸イソプロピルを紡糸口金装置25に装置した非凝固性
液の導入口より導入し、環状に吐出された前記線状紡糸
原液14に内包させて吐出した。上記導入管の管径は約1.
2mmであり、非凝固性液の吐出量は2.6ml/分であった。
ついで、線状紡糸原液(非凝固液を内包)14をトリクロ
ロトリフルオロエタン中に上昇させ、さらに上層の水酸
化ナトリウム水溶液(20±2℃)中を上昇させたのち、
変向棒15により水平方向に走行させた。このときの非凝
固性液の層高L1は150mmであり、界面から変向棒15の上
端までの距離L2は15mmであり、紡糸速度は60m/分であっ
た。その後、常法を用いて中空糸を得た。
このようにして得られた中空糸は、平均内径220μ
m、平均膜厚23μmであり、走査型電子顕微鏡(日本電
子(株)製、JSM840)を用いて観察したところ中空糸内
外両表面部および内部にわたって均質なスキンレスのも
のであった。
実施例2 環状に吐出される線状紡糸原液に内包させる非凝固性
液として、1,1,2,2−テトラハイドロパーフルオロデカ
ニルポリエチレングリコールグリシジルエーテル5w/v%
およびメタノール5v/v%を含有するミリスチン酸イソプ
ロピルを用いる以外は実施例1と同様にして中空糸を得
た。
比較例1 環状に吐出される線状紡糸原液に内包させる非凝固性
液として、ミリスチン酸イソプロピルを用いる以外は実
施例1と同様にして中空糸を得た。
参考例 ガラス製重合管に重合開始剤としてアゾビスイソブチ
ロニトリル0.25部、メチルメタクリレート12.5部、グリ
シジルメタクリレート25部、ヘキサフルオロイソプロピ
ルメタクリレート12.5部を仕込み、この重合管を液体窒
素中で冷却して真空ポンプで脱気、窒素置換、脱気した
のち溶封した。これを60℃で内容が固化するまで恒温槽
中で加熱した。その後、冷却して開封し、内容物をテト
ラヒドロフランに溶解し、メタノールに再沈澱すること
により白色の重合体Aを得た。この重合体のエポキシ基
定量測定からグリシジルメタクリレートは、43.8重量%
であった。
実施例3 内部非凝固性液として参考例で得られた重合体(改質
剤)を0.5W/V%含有する酢酸イソアミルを用いた以外
は、実施例1と同様の方法によりノルマン化凝固を行っ
て凝固中空糸を得、ついで12分間水洗したのち、1%濃
度の硫酸水溶液中に13分間浸漬して脱銅を行なった。さ
らに、12分間水洗して中空糸膜を得た。この中空糸膜を
0.5%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬し、
さらにアセトン溶媒中に15分間浸漬して表面処理を行な
い、ついで常法によりグリセリン処理および乾燥を行な
い、さらに、該中空糸内部の非凝固性液および改質剤を
充分にフロンを用いて洗浄除去し、試料とした。
実施例4 ノルマン化凝固工程後、0.5%水酸化ナトリウム水溶
液中に10分間浸漬し、さらにエタノール溶媒中に15分間
浸漬したのち、12分間水洗し、ついで1%濃度の硫酸水
溶液中に13分間浸漬して脱銅処理を行なった以外は、実
施例3と同様の方法を行って中空糸膜を得た。
実施例5 ノルマン化凝固工程後、12分間水洗し、ついでアセト
ン溶媒中に15分間浸漬したのち、1分間水洗し、1%濃
度の硫酸水溶液中に13分間浸漬して脱銅処理を行なった
以外は、実施例3と同様の方法を行って中空糸膜を得
た。
比較例2 環状に吐出される線状紡糸原液に内包される非凝固性
液として、酢酸イソアミルを用いている以外は実施例3
と同様にして中空糸膜を得た。
実施例1〜5および比較例1〜2で得られた中空糸膜
の内表面フッ素原子数の原子数比を第1表に示す。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明は、セルロース溶解液に対
して相溶性を有しかつ疎水部分を有するとともに表面改
質剤に対する官能基を有する化合物を、セルロースに配
合してなるセルロース膜の表面において、該化合物の官
能基に該表面改質剤をグラフト結合させてなる透過膜で
あり、またセルロース溶解液中に、該溶解液に対して相
溶性を有しかつ疎水部分を有するとともに表面改質剤に
対する官能基を有する化合物を配合して膜形成用液と
し、得られる膜体の少なくとも一面において該官能基と
反応し得る基を有する表面改質剤を含みかつ該膜形成用
液とは相溶性のない非凝固性液と接触させた状態で膜体
を形成することを特徴とする透過性膜の製造方法である
から、該膜の表面に数多くの活性点を付与することがで
き、このため表面改質剤を該活性点にグラフト結合させ
ることができ、膜表面が所望の形状となるように改質さ
れて、生体適合性等を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の中空糸膜の製造方法の一実施態様にお
いて用いられる製造装置の概略断面図である。 1……非凝固性液層、2……浴槽、3……非凝固性液、
4……凝固性液、5……紡糸原液貯槽、6……紡糸原
液、10……内部液貯槽、11……改質剤含有非凝固性液、
14……環状紡糸原液、15……変向棒、25……紡糸口金装
置。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セルロース溶解液に対して相溶性を有しか
    つ疎水部分を有するとともに表面改質剤に対する官能基
    を有する化合物を、セルロースに配合してなるセルロー
    ス膜の表面において、該化合物の官能基に該表面改質剤
    をグラフト結合させてなる透過性膜。
  2. 【請求項2】該表面改質剤が官能基としてエポキシ基、
    カルボキシメチル基、第一級アミノ基、第二級アミノ
    基、ヒドロキシル基およびイソシアネート基よりなる群
    から選ばれた少なくとも1種の基を有する化合物である
    請求項1に記載の透過性膜。
  3. 【請求項3】セルロース溶解液中に、該溶解液に対して
    相溶性を有しかつ疎水部分を有するとともに表面改質剤
    に対する官能基を有する化合物を配合して膜形成用液と
    し、得られる膜体の少なくとも一面において、該官能基
    と反応し得る基を有する表面改質剤を含みかつ該膜形成
    用液とは相溶性のない非凝固性液と接触させた状態で膜
    体を形成することを特徴とする透過性膜の製造方法。
  4. 【請求項4】該表面改質剤が官能基としてエポキシ基、
    カルボキシメチル基、第一級アミノ基、第二級アミノ
    基、ヒドロキシル基およびイソシアネート基よりなる群
    から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する化合物で
    ある請求項3に記載の透過性膜の製造方法。
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