JP2897961B2 - 工作機械における芯高調整機構 - Google Patents

工作機械における芯高調整機構

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JP2897961B2 JP11615190A JP11615190A JP2897961B2 JP 2897961 B2 JP2897961 B2 JP 2897961B2 JP 11615190 A JP11615190 A JP 11615190A JP 11615190 A JP11615190 A JP 11615190A JP 2897961 B2 JP2897961 B2 JP 2897961B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (a).産業上の利用分野 本発明は、旋盤等の工作機械に適用するに好適な工作
機械における芯高調整機構に関する。
(b).従来の技術 第7図は従来の旋盤を構成する主軸台及び刃物台の一
例を示す正面図である。
従来、工場で製造した旋盤31を出荷する際には、第7
図に示すように、ベッド3上の主軸台19に装着される主
軸21の軸心CT3の、ベッド3の搭載面3aからの芯高H4
と、刃物台6に装着される工具の軸心CT6のベッド3の
搭載面3aからの芯高H3とをY軸方向において一致させ
る、所謂芯高調整を行なう必要があることから、刃物台
6とキャリッジ5との間に、刃物台6側の芯高H3を調整
するためのスペーサ30を設けておき、該スペーサ30を研
摩してその厚さT1を調整することにより、旋盤31の芯高
調整を行なっていた。
(c).発明が解決しようとする問題点 しかし、この芯高調整作業は、重量のある刃物台6を
実際にスペーサ30を介してキャリッジ5上に搭載し、そ
の状態で両側の芯高H3、H4の差ΔHを測定した後、一旦
刃物台6を取り外し、スペーサ30を前記測定された芯高
の差ΔHに基づいて研摩した後、再度刃物台6を該研摩
されたスペーサ30を介してキャリッジ5上に搭載すると
いう面倒な手順に従って行なわれるので、非効率的で手
間の掛かる芯高調整作業を余儀なくされていた。
本発明は、上記事情に鑑み、旋盤等の工作機械の芯高
調整を簡便に行なうことが出来る工作機械における芯高
調整機構を提供することを目的とする。
(d).問題点を解決するための手段 即ち、本発明は、第1の方向(矢印G、H方向)に搭
載面(3a)が形成された支持体(3)を有し、前記支持
体(3)の搭載面(3a)上に、前記第1の方向(矢印
G、H方向)に直交する主軸軸心(CT3)を中心として
回転自在に設けられた主軸(21)を有する主軸台(19)
を、前記第1の方向に移動し得るように設け、前記支持
体(3)の搭載面(3a)上にキャリッジ(5)を前記主
軸軸心と平行な第2の方向(矢印E、F方向)に移動駆
動自在に設け、前記キャリッジ(5)に、前記主軸軸心
(CT3)と直交し、かつ前記第1の方向と交差する第3
の方向(矢印A、B方向)に工具軸中心(CT6)を有す
る工具保持手段(6)を移動自在に設け、前記主軸台と
支持体の間に偏心位置決め機構を設け、前記偏心位置決
め機構は、前記主軸台と支持体間に回転自在に設けられ
た偏心ピン(29)を有すると共に、前記偏心ピンの回転
を主軸台の前記第1の方向に移動にのみ変換する、前記
主軸軸心方向に長く形成された移動方向変換溝(19a)
を有するように構成される。
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素
を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の
記載に限定拘束されるものではない。以下の「(e).
作用」の欄についても同様である。
(e).作用 上記した構成により、本発明は、工作機械(1)の芯
高調整に際して、主軸台(19)が工具軸中心(CT6)を
交差する第1の方向(矢印G、H方向)に移動するよう
に作用する。
(f).実施例 以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。
第1図は本発明による工作機械における芯高調整機構
の一実施例が適用された複合加工旋盤の要部を示す正断
面図、 第2図は本発明による工作機械における芯高調整機構
の一実施例が適用された複合加工旋盤の一例を示す透視
斜視図、 第3図は第1図に示す複合加工旋盤を構成するベッド
及び主軸台の背面図、 第4図は第3図に示す複合加工旋盤の偏心ピン部分付
近の正面図、 第5図は第4図のV矢視図、 第6図は第1図に示す複合加工旋盤を構成する主軸の
軸心の移動軌跡を示す図である。
工作機械である複合加工旋盤1は、第2図に示すよう
に、フレーム2を有しており、フレーム2内には、第1
図に示すように、略台形断面のベッド3が設けられてい
る。ベッド3の上部には、水平面HPに対して所定角度α
だけ傾斜した搭載面3aが第1図矢印G、H方向に形成さ
れており、搭載面3a上には断面が楔形状のキャリッジ5
が、Z軸方向である第1図紙面と直角方向、即ち後述す
る主軸21の軸心CT3と平行な第2図矢印E、F方向に摺
動駆動自在に支持されている。即ち、キャリッジ5の下
部には、第1図に示すように、ナット5aが形成されてお
り、一方ベッド3には、第1図紙面と直角なZ軸方向に
軸心CT1を有するボールネジ7が該軸心CT1を中心として
第1図矢印I1、J1方向に回転駆動自在に支持されてい
る。更に、キャリッジ5のナット5aはボールネジ7に螺
合しており、図示しない駆動モータを正逆方向に回転駆
動してボールネジ7を軸心CT1を中心として矢印I1、J1
方向に回転させることにより、ナット5aを介してキャリ
ッジ5をベッド3の搭載面3a上でZ軸方向、即ち第1図
紙面と直角な方向に移動駆動することが出来る。
ところで、前記キャリッジ5は、第1図に示すよう
に、ケーシング5cを有しており、ケーシング5c内には、
Z軸と直交するX軸方向である矢印A、B方向の軸心CT
2を有するボールネジ9が軸受10、10を介して矢印I2、J
2方向に回転自在に支持されている。ボールネジ9の第
1図上端部にはベルト車11が嵌着されており、一方キャ
リッジ5のケーシング5cには、サーボモータ12が設けら
れている。更に、サーボモータ12にはベルト車13が嵌着
されており、該ベルト車13及び前記ボールネジ9に嵌着
されたベルト車11間にはタイミングベルト15が張設され
ている。従って、サーボモータ12を正逆方向に回転駆動
することにより、ベルト車13、タイミングベルト15及び
ベルト車11を介してボールネジ9を軸心CT2を中心とし
て第1図矢印I2、J2方向に回転駆動することが出来る。
なお、ボールネジ9の第1図上側にはレゾルバ16が、該
ボールネジ9の軸心CT2を中心とした矢印I2、J2方向の
回転角度を検出し得る形で装着されており、レゾルバ16
は、サーボモータ12の回転動作を制御する回転制御装置
(図示せず)にフィードバック信号を出力する形で接続
されている。従って、上述のサーボモータ12によるボー
ルネジ9の第1図矢印I2、J2方向の回転動作は、レゾル
バ16等からなるフィードバック回路により目標値通り正
確に行なうことが出来る。
また、キャリッジ5のケーシング5c上には、第1図に
示すように、刃物台摺動面5bが、ベッド3の搭載面3aに
対して所定角度β(例えば、15゜)だけ傾斜した形で形
成されており(従って、刃物台摺動面5bは水平面HPに対
しては角度γ(=α+β)だけ傾斜している。)、刃物
台摺動面5b上には刃物台6が、X軸方向である矢印A、
B方向に摺動駆動自在に支持されている。即ち、刃物台
6の下部にはナット6aが第1図右下方、即ちキャリッジ
5側に突出した形で形成されており、ナット6aには、前
記キャリッジ5のケーシング5c内に設けられたボールネ
ジ9が螺合している。従って、前記サーボモータ12を正
逆方向に回転駆動してボールネジ9を軸心CT2を中心と
して第1図矢印I2、J2方向に回転駆動することにより、
ナット6aを介して刃物台6をキャリッジ5に対してX軸
方向、即ち矢印A、B方向に移動駆動することが出来
る。
また、刃物台6には、第2図に示すように、タレット
18が、X−Z平面上でZ軸方向(矢印E、F方向)に対
して45゜の角度をなす回転軸CT7を中心として図中矢印
U、V方向に180゜旋回駆動自在に装着されており、タ
レット18には、工具保持方向が互いに直交する2個の工
具保持部18a、18bが形成されている。各工具保持部18
a、18bにはそれぞれ、バイト、ドリル等の各種の工具17
を装着することが出来る。一方、刃物台6の第2図後方
には工具マガジン14が設置されており、工具マガジン14
には各種の工具17が搭載されている。更に、刃物台6に
装着されたタレット18と工具マガジン14との間には工具
交換装置24が設けられており、工具交換装置24により、
工具マガジン14とタレット18の各工具保持部18a、18bと
の間で工具17の交換を行なうことが出来る。なお、この
種の複合加工旋盤1については、例えば特開昭59−2273
43において公知なので、ここではその詳細な説明は省略
する。
また、刃物台6の第1図左下方のベッド3部分には、
ベッド3の搭載面3aに平行な矢印G、H方向の図示しな
いガイド部材を介して主軸台19が、搭載面3a上で刃物台
6に対向する形で、第3図に示す複数個のボルト穴19b
を介して同数個のボルト20により固設されており、主軸
台19の各ボルト穴19bは、矢印G、H方向に細長い長円
形状を有している。また、主軸台19には、第1図及び第
3図紙面と直角なZ軸方向、即ち矢印G、H方向に直交
する方向の軸心CT3を有する主軸21が該軸心CT3を中心と
して矢印M、N方向に回転自在に装着されており、主軸
21にはチャック22を介して、バーワーク、シャフトワー
ク、チャックワーク等の各種形状のワーク23を装着する
ことが出来る。なお、主軸台19とベッド3との間には、
第3図に示すように、偏心ピン29が回転自在に嵌入係合
しており、偏心ピン29は、ベッド3側に係合した本体29
a及び主軸台19側に係合した偏心部29c等から構成されて
いる。
即ち、偏心ピン29は、第4図及び第5図に示すよう
に、直径D1、長さL1の円筒状の本体29aを有しており、
本体29aの第4図上側には、直径D2、長さL2の円筒状の
偏心部29cがその軸心CT5を本体29aの軸心CT4に対して所
定の偏心量L3だけオフセットした形で設けられており、
更に偏心部29cの第4図上側には、六角柱状の頭部29bが
形成されている。なお、偏心ピン29の本体29aは、第4
図及び第5図に示すように、ベッド3の搭載面3aに穿設
形成された円形の係合穴3bに回転自在に係合しており、
一方偏心ピン29の偏心部29cは、主軸台19の下面に第4
図紙面と直角なZ軸方向、即ち第5図矢印E、F方向に
穿設形成された長円形の係合溝19aに摺動自在に係合し
ている。
また、主軸台19の第3図左下方のベッド3部分には、
主軸駆動モータ25が設けられており、主軸駆動モータ25
と主軸21との間には、第2図及び第3図に示すように、
複数個のプーリ及びベルト等からなる回転伝達手段26が
設けられている。従って、主軸駆動モータ25を正逆方向
に回転駆動することにより、回転伝達手段26を介して主
軸21を軸心CT3を中心として矢印M、N方向に回転駆動
することが出来る。また、主軸台19の第3図下方のベッ
ド3部分には支えボルト27が、主軸台19を下方から補助
的に支持する形で設けられている。
複合加工旋盤1は以上のような構成を有するので、複
合加工旋盤1を用いてワーク23の加工を行なう際には、
第2図に示すように、加工すべきワーク23をチャック22
を介して主軸21に装着した後、主軸駆動モータ25を駆動
して回転伝達手段26を介して主軸21をワーク23と共に軸
心CT3を中心として矢印M又はN方向に回転させ(な
お、ドリルによるミル加工等を行なう場合には、主軸21
にチャック22を介してワーク23を装着した後、C軸制御
により、主軸21を矢印M又はN方向に回転制御す
る。)、その状態で、工具交換装置24により工具マガジ
ン14とタレット18の工具保持部18a、18bとの間で工具交
換を行ない、更に、タレット18を第2図に示す回転軸CT
7を中心として矢印U、V方向に適宜旋回駆動して加工
に使用する工具17を所定の加工位置に位置決めする。ま
た、第1図に示すサーボモータ12を駆動することにより
刃物台6をキャリッジ5上で矢印A、B方向(X軸方
向)に適宜移動駆動すると共に、キャリッジ5を刃物台
6と共に第1図紙面と直角方向(Z軸方向)に適宜移動
駆動して、刃物台6にタレット18を介して装着された工
具17により、主軸21にチャック22を介して装着されたワ
ーク23に対して種々の加工を実行していく。
この際、ワーク23に対して適正な加工を行なうために
は、刃物台6に装着された工具17の刃先17aは、主軸21
に装着されたワーク23の軸心、即ち主軸21の軸心CT3と
交差する方向に向いている状態を保持する必要がある。
そこで、複合加工旋盤1の組立時に、芯高調整作業(即
ち、第1図に示す刃物台6に装着された際の工具17の軸
心CT6、即ち工具軸中心の、キャリッジ5の刃物台摺動
面5bからのY軸方向である矢印C、D方向における芯高
H1と、主軸台19に装着された主軸21の軸心CT3のキャリ
ッジ5の刃物台摺動面5bからの同方向における芯高H2と
を一致させる作業)を以下に述べる手順により行なう。
即ち、第2図に示す複合加工旋盤1の主軸台19をベッ
ド3に固定する各ボルト20を少し緩めることにより、主
軸台19のベッド3に対する固定状態が解除され、主軸台
19が第3図に示す支えボルト27に当接した形で支持され
た状態で(このとき、主軸台19とベッド3との間に設け
られた偏心ピン29は、その偏心部29cを第3図矢印G、
H方向における最下方位置、即ち第4図最右方位置P1に
位置決めした状態となっている。)、六角レンチ等の適
当な作業工具を用いて、第5図に示す偏心ピン29の頭部
29bを介して偏心部29cを軸心CT5を中心として矢印Q又
はR方向に回転させる。すると、偏心ピン29の本体29a
は、既に述べたように、係合穴3bを介してベッド3に係
合しており、一方偏心ピン29の偏心部29cは、係合溝19a
を介して主軸台19に係合していることから、前記偏心ピ
ン29の偏心部29cの軸心CT5を中心とした矢印Q又はR方
向の回転動作に伴なって、該偏心部29c及び本体29a等か
ら構成された偏心ピン29は、本体29aの軸心CT4を中心と
して第5図矢印S又はT方向に回転する。主軸台19に形
成された係合溝19aは、既に述べたように、第5図矢印
E、F方向(Z軸方向)に長い長円形状を有していると
共に、主軸台19は、前記ベッド3との間に矢印G、H方
向に設けられたガイド部材により矢印E、F方向(Z軸
方向)への移動動作を拘束されているので、前記偏心ピ
ン29の軸心CT4を中心とした矢印S又はT方向の回転動
作は、係合溝19aを介して主軸台19の矢印G方向の直線
移動動作に変換される。
その結果、主軸台19は前記ガイド部材に沿って第3図
矢印G方向、即ち支えボルト27から離れる方向に直線移
動し、主軸台19に装着された主軸21の軸心CT3は、第6
図に示すように、ベッド3の搭載面3aに平行な矢印G方
向(即ち、刃物台6の移動方向である矢印A、B方向に
対して角度βで交差する方向)の移動軌跡PAT1に沿って
移動する。すると、主軸21の軸心CT3の、キャリッジ5
の刃物台摺動面5bからの第6図矢印C方向の高さである
芯高H2は、軸心CT3の移動軌跡PAT1が刃物台6の移動方
向(矢印A、B方向)に対して角度βで交差しているこ
とから、前記主軸台19の矢印G方向の移動に伴なって徐
々に減少していく。
こうして、主軸台19とベッド3との間に設けられた偏
心ピン29の回転動作により、主軸台19に装着された主軸
21の軸心CT3が、その芯高H2を減少させつつ移動軌跡PAT
1に沿って第6図矢印G方向に移動し、刃物台6に装着
されたタレット18上の加工位置に位置決めされた工具17
の矢印A、B方向の軸心CT6と前記主軸21の軸心CT3の移
動軌跡PAT1との交点である基準位置P2に達したところ
で、偏心ピン29の回転動作を停止して主軸台19の第5図
矢印G方向の移動動作を停止すると共に、それまでの主
軸台19の矢印G方向の移動動作に伴なって相対的に第3
図矢印H方向に離反した状態の支えボルト27を主軸台19
に当接するまで矢印G方向に捩じ込んで主軸台19を下方
から補助的に支持し、更にその状態で、各ボルト20を締
めて主軸台19をベッド3に対して前記基準位置P2におい
て強固に固定する。すると、主軸台19は、主軸21の軸心
CT3の芯高H2が刃物台6側の芯高H1に一致した形でベッ
ド3上に確実に固定される。こうして、主軸台19がその
芯高H2を刃物台6側の芯高H1に一致させた形でベッド3
上に確実に固定されたところで、複合加工旋盤1の芯高
調整作業が完了し、該芯高調整済みの複合加工旋盤1を
用いて、既に述べた加工手順により、ワーク23の適正な
加工を実行することが可能な状態となる。
なお、上述の偏心ピン29の回転動作による芯高調整に
際しては、微調整が可能である。即ち、第5図に示す偏
心ピン29の軸心CT4を中心とした矢印S又はT方向の回
転動作により、主軸台19に装着された主軸21の軸心CT3
がベッド3上を第6図矢印G方向に、例えば距離Lだけ
移動した場合には、該軸心CT3は、芯高方向であるキャ
リッジ5の刃物台摺動面5bに直角なY軸方向(即ち、矢
印G方向に対して角度δ(=90゜−β)で交差する矢印
D方向)には距離L′=L・cosδ=L・sinβ(≦L)
しか移動しない。例えば、β=15゜のときには、L′=
L・sin15゜≒0.26Lとなり、主軸台19に装着された主軸
21の軸心CT3は、矢印G方向の移動量の約26%だけ矢印
D方向(Y軸方向)に移動することとなる。従って、主
軸台19の矢印G方向の移動動作によるY軸方向の芯高H2
の調整動作においては、微調整が可能となる。
このように、複合加工旋盤1の芯高調整作業は、主軸
台19とベッド3との間に設けられた偏心ピン29の回転動
作等の簡便な作業だけで完了し、しかも微調整が可能で
あるので、複合加工旋盤1に対して、高精度の芯高調整
作業を手間を掛けず簡便に実施することが可能となる。
また、こうした芯高調整作業は、必要があれば何度でも
繰り返して行なうことが出来るので、芯高調整済みの複
合加工旋盤1が、運搬時や加工時における衝突等の原因
によりその芯高が狂った場合においても、該複合加工旋
盤1の芯高調整作業を再度行なうことが可能である。
なお、上述の実施例においては、第1図に示すよう
に、ベッド3上の楔形状のキャリッジ5を介して刃物台
6をベッド3の搭載面3aに対して角度βだけ傾斜した形
で移動駆動自在に設けることにより、刃物台6にタレッ
ト18を介して装着された工具17の矢印A、B方向に沿っ
た軸心CT6が、第6図に示すように、ベッド3の搭載面3
aに対して同じ角度βだけ傾斜し、その結果、主軸台19
に装着された主軸21の軸心CT3の矢印G、H方向に沿っ
た移動軌跡PAT1が前記工具17の軸心CT6と角度βで交差
するようにした複合加工旋盤1について説明した。しか
し、本発明は、主軸台19を刃物台6の移動方向に対して
交差する方向に移動可能な形で設ける限り、どのような
構成を有する複合加工旋盤1に対しても適用可能であ
る。例えば、主軸台19側をベッド3の搭載面3aに対して
傾斜した方向に移動自在に設けると共に、刃物台6をベ
ッド3の搭載面3aに平行な方向に移動駆動自在に設ける
ことにより、主軸台19の移動方向と刃物台6の移動方向
とを所定角度で交差させることも出来る。
(g).発明の効果 以上説明したように、本発明によれば、第1の方向
(例えば、第1図矢印G、H方向)に搭載面3aが形成さ
れたベッド3等の支持体を有し、前記支持体の搭載面3a
上に、前記第1の方向に直交する軸心CT3等の主軸軸心
を中心として回転自在に設けられた主軸21を有する主軸
台19を、前記第1の方向に移動し得るように設け、前記
支持体の搭載面3a上にキャリッジ5を前記主軸軸心と平
行な第2の方向(例えば、第2図矢印E、F方向)に移
動駆動自在に設け、前記キャリッジ5に、前記主軸軸心
と直交し、かつ前記第1の方向と交差する第3の方向
(例えば、第1図矢印A、B方向)に軸心CT6等の工具
軸中心を有する刃物台6等の工具保持手段を移動自在に
設け、前記主軸台と支持体の間に偏心位置決め機構を設
け、前記偏心位置決め機構は、前記主軸台と支持体間に
回転自在に設けられた偏心ピン29を有すると共に、前記
偏心ピンの回転を主軸台の前記第1の方向の移動にのみ
変換する、前記主軸軸心方向に長く形成された係合溝19
aなどの移動方向変換溝を有するように構成したので、
複合加工旋盤1等の工作機械の芯高調整を、主軸台19と
工具軸中心に交差する第1の方向に移動させることによ
り実施することが出来ることから、工作機械の芯高調整
を手間を掛けず簡便に行なうことが可能となる。従っ
て、第7図に示すような、スペーサ30を研摩して刃物台
6を何度もキャリッジ5上に搭載する必要のある従来の
芯高調整方法と比べて、工作機械の組立時における芯高
調整に必要な作業手間を大幅に省略することが可能とな
り、工作機械の製造工程における工数削減、人員削減及
びコスト削減に寄与し得る。また、工場で製造した工作
機械を出荷する場合のみならず、芯高調整済みの工作機
械が何らかの原因によりその芯高が狂った場合において
も、容易に芯高調整を行なうことが可能となるので、芯
高調整に関するメンテナンス性に優れた工作機械の提供
が可能となる。
また、偏心位置決め機構の偏心ピン29及び移動方向変
換溝により、一旦芯高を調整した後に、刃物台との衝突
等により強い衝撃が主軸台に作用して主軸台が移動して
も、主軸台の主軸軸心方向への移動は主軸方向に長く形
成された移動方向変換溝により吸収され、主軸台の主軸
軸心方向に直角な第1の方向への移動は、偏心ピンの回
転により吸収されることから、偏心位置決め機構がそう
した衝撃で破損してしまう危険性が少なく、またそうし
たことにより芯高が狂ってしまっても、直ちに再調整を
簡単に行なうことが出来、信頼性の高い芯高調整機構の
提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による工作機械における芯高調整機構の
一実施例が適用された複合加工旋盤の要部を示す正断面
図、 第2図は本発明による工作機械における芯高調整機構の
一実施例が適用された複合加工旋盤の一例を示す透視斜
視図、 第3図は第1図に示す複合加工旋盤を構成するベッド及
び主軸台の背面図、 第4図は第3図に示す複合加工旋盤の偏心ピン部分付近
の正面図、 第5図は第4図のV矢視図、 第6図は第1図に示す複合加工旋盤を構成する主軸の軸
心の移動軌跡を示す図、 第7図は従来の旋盤を構成する主軸台及び刃物台の一例
を示す正面図である。 1……工作機械(複合加工旋盤) 3……支持体(ベッド) 3a……搭載面 5……キャリッジ 6……工具保持手段(刃物台) 19……主軸台 21……主軸 19a……移動方向変換溝(係合溝) 29……偏心ピン CT3……主軸軸心(主軸の軸心) CT6……工具軸中心(工具の軸心)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23B 19/00,21/00 B23Q 23/00 B23Q 1/70

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の方向に搭載面が形成された支持体を
    有し、 前記支持体の搭載面上に、前記第1の方向に直交する主
    軸軸心を中心として回転自在に設けられた主軸を有する
    主軸台を、前記第1の方向に移動し得るように設け、 前記支持体の搭載面上にキャリッジを前記主軸軸心と平
    行な第2の方向に移動駆動自在に設け、 前記キャリッジに、前記主軸軸心と直交し、かつ前記第
    1の方向と交差する第3の方向に工具軸中心を有する工
    具保持手段を移動自在に設け、 前記主軸台と支持体の間に偏心位置決め機構を設け、 前記偏心位置決め機構は、前記主軸台と支持体間に回転
    自在に設けられた偏心ピンを有すると共に、前記偏心ピ
    ンの回転を主軸台の前記第1の方向の移動にのみ変換す
    る、前記主軸軸心方向に長く形成された移動方向変換溝
    を有する、工作機械における芯高調整機構。
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