JP2897394B2 - 三相巻鉄心 - Google Patents

三相巻鉄心

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は三相変圧器,三相リアクトルなどに用いる三
相巻鉄心に関する。
従来の技術 近年、三相巻鉄心は三相変圧器などを構成したとき、
電磁鋼板の磁歪振動および電磁振動が起振源となる騒音
を低減することが強く求められている。
従来、この種の三相巻鉄心は第3図(a),(b)に
示すような構成が一般的であった。以下、その構成につ
いて説明する。
図に示すように、内鉄心1,2は電磁鋼板3を巻芯(図
示せず)に巻回後、成形して形成したものである。外鉄
心4は同様にして形成したもので、この外鉄心4に内鉄
心1,2を内接するように組立てる。この状態で不活性ガ
ス雰囲気中で高温に加熱して焼鈍し、冷却した後、内鉄
心1,2と外鉄心4を分解し、同心状に形成した高圧コイ
ルおよび低圧コイル(いずれも図示せず)内に内鉄心1,
2と外鉄心4を挿入し、鉄芯締付金具,コイル固定部な
どを装着して三相変圧器としていた。
このような三相巻鉄心は電磁鋼板3の突き合せ部分に
間隙5が存在し、また、空洞部6を構成する外鉄心4の
内側の電磁鋼板は焼鈍中および鉄芯組立時にたるみを生
じやすく、電磁鋼板相互間の間隙が大きくなる。
一方、上記三相巻鉄心を用いた三相変圧器などの騒音
は、励磁による電磁鋼板の磁歪振動および交流磁界によ
る電磁振動が起振源となって発生している。したがっ
て、従来、この騒音を防止するために、コイルが巻装さ
れていない継鉄部をテーピングして締付けるか、または
締付部材を用いて締付け、電磁鋼板の間隙を極力小さく
することに注力していた。また、鉄心端面部を塗装して
電磁鋼板相互間の接着機能によっても騒音を防止するよ
うにしていた。
発明が解決しようとする課題 このような従来の三相巻鉄心では、騒音を7〜8dB低
下させることができるが、三相変圧器を構成した場合の
騒音は63〜64dB程度で高いレベルにより、昨今の社会の
ニーズへの対応は困難であり、さらに騒音を低減するこ
とが望まれている。
本発明の上記課題を解決するもので、電磁鋼板の振動
を低減して騒音を一層低減することを目的としている。
課題を解決するための手段 本発明は上記目的を達成するために、外鉄心と内鉄心
とにより形成される空洞部全体に磁性流体を混入した樹
脂材を充填したことを課題解決手段としている。
作用 本発明は上記した課題解決手段により、樹脂材により
交流磁界による電磁鋼板の振動を抑制でき、騒音を低減
できる。
実施例 以下、本発明の一実施例について第1図(a),
(b)を参照しながら説明する。
図に示すように、内鉄心11,12は電磁鋼板13を巻芯
(図示せず)に巻回後、成形して形成したもので、電磁
鋼板13は低損失が要求される場合は方向性硅素鋼板など
を用いる。外鉄心14は同様にして形成したもので、この
外鉄心14に内鉄心11,12を内接するように組立てる。
内鉄心11,12と外鉄心14は必要に応じて焼鈍するが、
この場合は、第2図のように内鉄心11,12と外鉄心14の
組立てにより生ずる空洞部15にスペーサ16を挿入して焼
鈍する。スペーサ16はセラミック,金属などの焼鈍温度
に充分耐える材料で円筒形,三角柱などに形成し、内鉄
心11,12および外鉄心14に内接するようにしている。電
磁鋼板13が方向性硅素鋼板の場合は焼鈍温度は約780℃
で、窒素中で行い、冷却後スペーサ16を除去する。この
スペーサ16により焼鈍時の熱応力による空洞部15の変形
を少なくできる。焼鈍後、内鉄心11,12および外鉄心14
を解体し、コイル(図示せず)を装着して再び元の形状
に復元する。
つぎに、樹脂材17は常温硬化型のエポキシ樹脂,ウレ
タン樹脂などに充填材としてアルミナなどで形成した中
空状の無機充填材または鉄粉,フェライトなどの磁性粒
体を混入したもので、空洞部15に充填したものである。
この樹脂材17は内鉄心11,12および外鉄心14を焼鈍した
状態または焼鈍しない状態のいずれの状態で充填しても
よく、また、焼鈍した場合にスペーサ16を除去または除
去しない状態のいずれの状態で充填してもよい。また、
充填する場合は片側を封口して充填して硬化する。硬化
する場合に樹脂材17の充填材として磁性粒子を混入した
ものは直流磁界中で硬化することにより、充填材として
の磁性粒子の分散を良好にできる。また、磁性粒子を0.
5ミクロン以下の鉄粉とすることにより、鉄粉が樹脂材1
7中で分離することなく、均一に分散できる。
上記のように、空洞部15に樹脂材17を充填した三相巻
鉄心を用い、三相100kVA、50Hzの三相変圧器について騒
音防止効果を評価した結果、空洞部15に樹脂材17を充填
することによって4〜5dBの騒音低減ができた。
このように本発明の実施例の三相巻鉄心によれば、外
鉄心14と内鉄心11,12とにより形成される空洞部15に樹
脂材17を充填したから、樹脂材17により交流磁界による
電磁鋼板13の振動を抑制できて騒音を低減できる。ま
た、樹脂材17に磁性粒子を混入することにより、空洞部
15の磁気抵抗を小さくでき、騒音を一層低減でき、さら
に、磁性粒子を0.5ミクロン以下の鉄粉とすることによ
り、磁性粒子を樹脂材17内に均一に分散でき、空洞部15
の磁気抵抗を均一に小さくできて騒音をさらに低減で
き、また、樹脂材17を直流磁界中で硬化するから、磁性
粒子の分散を一層良好にできる。
発明の効果 以上の実施例から明らかように本発明によれば、外鉄
心と内鉄心とにより形成される空洞部全体に磁性粒体を
混入した樹脂材を充填したから、樹脂材により交流磁界
による電磁鋼板の振動を抑制でき、騒音を大幅に低減で
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a),(b)はそれぞれ本発明の一実施例の三
相巻鉄心の正面図およびA部拡大断面図、第2図は同三
相巻鉄心の焼鈍工程での正面図、第3図(a),(b)
は従来の三相巻鉄心の正面図およびB部拡大断面図であ
る。 11,12……内鉄心、14……外鉄心、15……空洞部、17…
…樹脂材。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外鉄心と、前記外鉄心に内接しかつ互いに
    接する複数の内鉄心とを備え、前記外鉄心と前記内鉄心
    とにより形成される空洞部全体に磁性粒体を混入した樹
    脂材を充填してなる三相巻鉄心。
  2. 【請求項2】磁性粒体を0.5ミクロン以下の鉄粉として
    なる請求項1記載の三相巻鉄心。
  3. 【請求項3】樹脂材を直流磁界中で硬化してなる請求項
    1記載の三相巻鉄心。
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