JP3216186B2 - 巻磁心及びその製造方法 - Google Patents

巻磁心及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエキシマレーザ、銅蒸気
レーザ等の放電励起レーザ、加速器等に用いられる高電
圧パルス発生回路に用いられる可飽和リアクトル、アク
セラレータセル等の磁性部品に用いられる磁心に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】可飽和リアクトル等の磁性部品では、動
作磁束密度量が大きく、飽和磁束密度と残留磁束密度の
比である角形比が高く、低磁心損失であることが要求さ
れる。このような観点から特開昭63-110607号に開示さ
れる非晶質磁性合金薄帯を層間絶縁し作製した巻磁心
や、特開平1-110707号に開示されるFe基超微結晶磁性合
金薄帯を層間絶縁し作製した巻磁心が上記磁性部品とし
て優れていることが知られている。これらの巻磁心は図
8に示すように磁性薄帯1に絶縁材2を被覆し、巻心3に巻
回し、磁路方向に磁界を加えながら熱処理し、外周を薄
帯4で固定してなる。
【0003】ところで、一般に巻磁心には実際に使用す
る際に外部応力が加わることは避けられず、そのような
外部応力による巻磁心の変形を防止する必要があること
から、その変形を防止する対策として、特開昭63-94609
号には巻磁心全体をエポキシ樹脂等により絶縁コーティ
ングする手段が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、エキシマレー
ザー等の放電励起レーザや線形誘導加速器等で用いられ
る一般に磁気スイッチと呼ばれるパルス電源用の可飽和
リアクトルに前記特開昭63-94609号に開示される巻磁心
全体をエポキシ樹脂等により絶縁コーティングしてなる
巻磁心を用いる場合には次のような問題があった。
【0005】すなわち、可飽和リアクトルでは磁心損失
による磁心の温度上昇が問題となるため特開平1-98206
号に開示されるように、磁心を絶縁油等の冷媒に浸漬さ
せて強制冷却が行われる。この場合、巻磁心全体をエポ
キシ樹脂等により絶縁コーティングしてなる巻磁心を用
いると、巻磁心全体がエポキシ樹脂により被覆されてい
るため冷却効率が悪くなり、場合によっては磁心の発熱
により、飽和磁束密度の急激な低下をひきおこし、求め
られる性能を満足できなくなるという問題が生じる。
【0006】また、特開昭63-110607号に開示されるFe
基非晶質磁性合金薄帯は磁歪が大きいという特徴を有す
る。したがって、これらのFe基磁性合金薄帯により巻磁
心を作製し、さらにその巻磁心全体をエポキシ樹脂等に
より絶縁コーティングする場合、コーティングによる硬
化収縮により巻磁心に応力が発生し応力と磁歪の相互作
用により磁気異方性が増大するため、角形比が低下する
とともに保磁力や磁心損失が増加するという問題があっ
た。
【0007】したがって本発明は以上の従来技術におけ
る問題点に鑑みてなされたものであり、エキシマレーザ
ー等に用いられるパルス電源用の可飽和リアクトル等に
適用する場合に、取り扱いが簡便でかつ外部応力による
変形が生じ難く、しかも良好な冷却性能を備え優れた磁
気特性を有する巻磁心及びその製造方法を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の巻磁心
は磁性薄帯を絶縁材によって層間絶縁を施して巻回して
なる巻磁心の少なくとも一端面部面積の50%以下を含浸
材により固着してなることを特徴とする。
【0009】また、本発明の巻磁心の製造方法は磁性薄
帯を絶縁材によって層間絶縁を施して巻回してなる巻磁
心の製造方法であって、磁性薄帯に絶縁材を被覆した後
に巻回して巻磁心を作製する工程と、この巻磁心の少な
くとも一端面部の面積の50%以下を含浸材により固着す
る工程と、この巻磁心の磁路方向に磁界を印加しつつ加
熱保持して熱処理を施す工程とからなることを特徴とす
るものである。
【0010】以下本発明について説明する。磁性薄帯は
例えば単ロール法等の液体急冷法を用いることにより作
製することができる。通常、板厚が20μm程度の磁性薄
帯が好ましい。本発明の巻磁心は高電圧が印加される磁
気スイッチと呼ばれる可飽和リアクトル等に使用される
ため、磁性薄帯表面の一部または全面に絶縁層を形成
し、巻回した磁性薄帯間で放電することを防止する必要
がある。この絶縁層は磁性薄帯の片面でも両面でも良
い。
【0011】絶縁材及び絶縁層の形成は例えば、SiO2
MgO、Al2O3等の粉末を塗布する方法、スプレーや電気泳
動により付着させる方法、スパッタや蒸着で成膜する方
法、あるいは金属アルコキシドを含むアルコール溶液に
浸漬したり、スプレー法等により塗布した後乾燥加熱す
る方法等がある。また、熱処理により磁性薄帯表面にSi
等の酸化物を形成させたりすることもできる。
【0012】更に、磁性薄帯とテープ等の絶縁材を重ね
て巻回し層間絶縁を行うことも可能である。絶縁テープ
としてはポリイミドテープ、セラミックス繊維製のテー
プ、ポリエステルテープ、アラミドテープあるいはガラ
ス繊維製のテープ等を使用することができる。
【0013】単ロール法で作製された磁性薄帯を用いた
巻磁心の場合、薄帯作製の際に冷却ロールと接触した面
を内側にして巻いても、外側にして巻いても良いが、絶
縁テープと重ねて巻く場合は冷却ロールと接触した面を
外側にして巻いた方が、巻磁心の作製が容易であり磁心
の占積率を上げることができる。
【0014】また、巻磁心を作製する場合、張力をかけ
ながら磁性薄帯を巻いた方が占積率が上がり好ましい結
果が得られる。巻磁心を作製する際、巻き始め及び/ま
たは巻き終わりの部分は固定されている方が望ましく、
固定方法としてはレーザー光照射あるいは電気エネルギ
ーにより局部的に溶融し接合する方法や耐熱性のある接
着剤あるいはテープにより固定する方法がある。
【0015】このような方法を行った磁心は熱処理の
際、巻磁心の形がくずれにくく熱処理後の取り扱いも容
易であり好ましい結果を得ることができる。含浸材によ
り固着する巻磁心の一端面の面積は磁心端面全体の50%
以下が好ましい。固着する一端面の面積が50%を越える
と、磁心全体の冷却効率が悪くなり、磁心の発熱により
磁心の温度上昇が60℃以上にもなるため、飽和磁束密度
が著しく低下するばかりでなく、含浸固着により磁心内
に発生する応力が増大するため、角形比の低下や保磁
力、磁心損失の増大が起こり、要求される性能を十分満
足できなくなる。
【0016】巻磁心の一端面の面積の50%以下を含浸材
により固着することにより巻磁心の取り扱いが簡便にな
るとともに、冷却効率の低下や内部応力の増大による磁
気特性の劣化を防止することができる。含浸材は一端面
に対称に分割して固着することが好ましい。巻磁心の一
端面の面積の50%以下を一括して固着すると、巻磁心の
取り扱いの際の外部応力による巻磁心の変形を防止する
効果が小さく、しかも巻磁心の放熱が不均一になるため
冷却効率が低下するからである。
【0017】巻磁心の一端面部を固着する含浸材として
は、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、変性アルキル
シリケートを主成分とするワニス、ポリエステル系ワニ
ス、シリコーン系樹脂あるいは金属アルコキシドを含む
アルコール溶液等を使用することができる。
【0018】含浸は熱処理前に行うのが好ましい。この
場合、含浸による角形比の低下を約1%以下に抑えること
が可能で、優れた磁気特性を有する巻磁心を作製でき
る。これは、熱処理前に含浸固着することによって、端
面固着処理に用いた含浸材により巻磁心に生じた応力を
熱処理により緩和できるためである。
【0019】これに対して、層間絶縁を施して巻磁心を
作製後、所定の熱処理を施し、巻磁心の端面部を含浸材
により固着する場合には、含浸材の硬化収縮が起こるた
め巻磁心に応力が作用し磁気特性が低下する。具体的に
は端面を含浸しない巻磁心に比べ角形比が約4%程度低く
なる。
【0020】また、本発明の巻磁心は変形防止を更に補
強する目的で、磁性薄帯を巻心に巻回した後、巻磁心外
周をバンドでしめつける構造をとる。
【0021】巻心やバンドの材質としては、非磁性ステ
ンレス、真鋳、アルミニウム、フェノール樹脂あるいは
セラミックスを挙げることができる。熱処理は、磁性薄
帯を巻き回した際に生じた応力の緩和及び磁心のB-H
曲線の角形性を向上する等磁気特性を調整する目的で、
磁路方向に磁心が飽和する強さの直流あるいは交流の磁
界を印加しつつ行うことができる。熱処理雰囲気はAr、
N2、H2等の不活性ガス雰囲気または還元性雰囲気が望ま
しいが、大気中等の酸化性雰囲気でも良い。
【0022】
【実施例】以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1 図1に本発明の方法を実施して得た本発明の一実施例の
巻磁心を示す。巻磁心5は巻心6にFe基非晶質合金薄板に
メチルトリメトキシシランをコーティング乾燥して厚さ
mのSiO2絶縁層を形成した薄帯7を外径154mmまで巻き
回してなり、磁心端面8を有する。かかる磁心端面8に図
示するように含浸材メチルトリメトキシシランで含浸層
9を形成し、これにより磁心端面8の固着を行なった。
【0023】前記巻心6は外径60mm、内径58.5mm、高さ2
5mmにSUS304を用いて製造し、前記Fe基非晶質磁性合金
薄板はCu1at%、Nb3at%、Si13.5at%、B9at%及び残部実質
的にFeからなる組成の溶湯から単ロール法により板厚20
μm,幅25mmに形成した。前記含浸層9は図示するように
磁心端面8の4ヶ所に含浸層9a、9b、9c、9dとして設け、そ
の含浸層9a、9b、9c、9dの占める面積の総和は、磁心端面8
の面積の50%となるようにした。
【0024】次に以上のようにして磁心端面8を含浸固
着した巻磁心を550℃で1時間、磁路方向に直流磁界800
A/mを印加しながら結晶化熱処理しFe基超微結晶磁性合
金巻磁心を得た後、外周を厚さ0.5mm、幅25mmのSUS304
製薄帯10で固定した。
【0025】一方、比較例1として本発明の前記実施例
の巻磁心と同様の製造方法により巻磁心を作製し、熱処
理後、エポキシ樹脂により巻磁心全体をコーティングし
た巻磁心を作製した。かかる比較例1と前記実施例と
は、実施例が磁心端面8の50%を含浸固着したのに対し、
比較例1では磁心全体がコーティングされているという
点において異なる。
【0026】さらに比較例2として図8に示すように外径
60mm、内径58.5mm、高さ25mmのSUS304からなる巻心3に上
記実施例と同様にしてFe基非晶質磁性合金薄板を巻き回
すと共に、同様に結晶化熱処理した後、厚さ0.5mm、幅25
mmのSUS304製薄板4により外周を固定して巻磁心を製造
した。係る比較例は端面部5の含浸固定がないという点
で前記実施例と異なる。
【0027】表1に本発明の前記実施例1の巻磁心と、前
記比較例1及び比較例2の巻磁心との直流磁気特性を測定
した結果を対比して示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1に示されるように実施例の巻磁心によ
れば巻磁心全体をコーティングした比較例1の巻磁心に
比べ、角形比Br/B800(B800は直流磁化力800A/mのとき
の実効飽和磁束密度、Brは残留磁束密度を示す。)が高
く、保磁力Hcも小さく端面を含浸しないものと同程度で
あり、直流磁気特性が良好であることが確認される。但
し、直流磁気特性が良好な比較例2の巻磁心であって
も、端面の含浸固着がないことに起因して、その取り扱
いが不便で、僅かな外部応力で簡単に変形してしまうと
いう問題を有する。従って、直流磁気特性及び取り扱い
の簡便さの両観点からして実施例1の巻磁心が比較例1及
び比較例2の巻磁心に対して優れるものであることがわ
かる。
【0030】次に以上の実施例1及び比較例1, 比較例2
の3種類の巻磁心について、図2に示す短パルス磁気特性
測定回路を用いて磁心損失を測定した。図2において、1
1は可変高電圧直流電源、12は抵抗、13はトリガ・スパ
ーク・ギャップ、14は配線により生ずるインダクタン
ス、15はコンデンサ、16は測定用巻磁心を用い同軸円筒
形の巻数1の巻線を設けた可飽和リアクトル、17はトリ
ガ・スパーク・ギャップ13がターンオンした後に、高電
圧パルスがリセット用の可変直流電源19に加えられるの
を阻止するためのチョークコイル、18は抵抗、19はリセ
ット用の可変直流電源である。トリガ・スパーク・ギャ
ップ13がオフの期間に、主コンデンサ15は図示の極性に
電源11の電圧Vまで充電されている。一方、可飽和リア
クトル16は、図示の向きで流れるリセット電流Icによ
り、リセットされている。
【0031】トリガ・スパーク・ギャップ13がオンする
と、図3に示すような電圧Vが可飽和リアクトル16に加
えられ、同図iのような電流が流れる。図中、電圧波形
Vの半値幅をτsとすれば、τsは可変高電圧直流電源
11の電圧を変えることにより、制御することができる。
【0032】図4は、前記可飽和リアクトル16の電圧V
と電流により求められる動作磁化曲線概念図であり、図
中、△Bmは最大動作磁束密度量、斜線部分で示されるの
が磁心損失である。
【0033】図5は、図2の評価回路を用いて、表1に示
す3種類の磁心を、リセット電流Icを制御することによ
って最大動作磁束密度量△Bm=2.6Tとなるようにして、
τsを0.3〜1.0μsの間で測定した磁心損失を示したも
のである。磁心全体をエポキシ樹脂でコーティングした
比較例1の巻磁心では端面を含浸してない比較例2の巻磁
心に比べて磁心損失が増加しているのに対して、実施例
1の巻磁心では磁心損失の増加は少なく端面を含浸して
ない比較例2の巻磁心とほとんど遜色がないことが検証
された。なお、実施例1の巻磁心によれば、端面を含浸
しない比較例2の巻磁心と同じリセット電流0.5AでΔBm=
2.6Tとできるのに対し、比較例1の巻磁心ではΔBmを2.6
Tにするには4.5Aのリセット電流が必要であり、実施例2
の巻磁心は少ないリセット電流で磁心を効果的にリセッ
トすることができる。
【0034】実施例2 実施例1と同様にして図1に示す巻磁心を作製した。但
し、本実施例では、Fe基非晶質磁性合金巻磁心を、550
℃で1時間、磁路方向に直流磁界800A/mを印加しながら
結晶化熱処理した後、磁心端面8を含浸固着した。
【0035】表2に実施例2の巻磁心と前記比較例1及び
比較例2の巻磁心との直流磁気特性を測定した結果を対
比して示す。
【0036】
【表2】
【0037】表2に示されるように、実施例2の巻磁心に
よれば巻磁心全体をエポキシコーティングした比較例1
の巻磁心に比べ、角形比Br/B800が高く、保磁力Hcも小
さく端面を含浸しない比較例2の特性に近く、直流磁気
特性が良好であることが確認される。但し、直流磁気特
性が良好な比較例2の巻磁心であっても、端面の含浸固
着がないことに起因して、その取り扱いが不便で、僅か
な外部応力で簡単に変形してしまうという問題を有す
る。
【0038】したがって、直流磁気特性及び取り扱いの
簡便さの両観点からして実施例2の巻磁心が比較例1及び
比較例2の巻磁心に対して優れるものであることがわか
る。更に、実施例2の巻磁心と実施例1の巻磁心とを比べ
ると表3に示されるように、実施例1の巻磁心が実施例2
の巻磁心に比べ角形比Br/B800が高く、しかも保磁力Hc
も小さく、直流磁気特性がより良好なことが確認され
る。
【0039】
【表3】
【0040】実施例3 実施例1と同様な製法で、含浸層9a、9b、9c、9dの磁心端面
を占める面積の総和が磁心端面の面積の20%となるよう
にして巻磁心を作製した。また、比較例3、4、5、6として
含浸層の占める面積をそれぞれ60%、70%、80%、100%とし、
他は実施例1と同様にして巻磁心を作製した。表4にこれ
らの各巻磁心の直流磁気特性を比較して示す。また、図
6に含浸層の占める割合を変えた場合の磁心損失の変化
を示す。
【0041】
【表4】
【0042】表4に示されるように含浸層9の占める面積
が磁心端面全体の50%以下の実施例1、3の巻磁心が磁心端
面を含浸しない比較例2の巻磁心とほぼ同等の直流磁気
特性を示すのに対し、含浸層の占める割合が50%を越え
る比較例3、4、5、6の巻磁心では、角形比Br/B800が90%以
下に低下するとともに、保磁力Hcも大幅に増加すること
が検証された。また、図6に示されるように含浸層の占
める割合が50%を越えると磁心損失が著しく増大し、磁
心の発熱による飽和磁束密度の低下を招くことが明かに
なった。
【0043】表4に示す各磁心を図7に示す主回路構成の
エキシマレーザに用いて、磁心の温度上昇を測定した。
図7において21は高電圧直流電源、22は抵抗、23はサイ
ラトロン、24は可飽和リアクトル、25は主コンデンサ、
26はピーキングコンデンサ、27は主コンデンサ25の充電
用インダクタンス、28はUV予備電離用ギャップ、29は
レーザダイオードである。評価に用いた磁心に1ターン
の巻線を施すとともに、シリコンオイルで強制冷却する
構造として、同図の可飽和リアクトル24に用い、磁心表
面の温度上昇を測定した。図7において、入力電源電圧
は30kV、主コンデンサ25とピーキングコンデンサ26の容
量を20nF、繰り返し周波数500Hzとした。
【0044】表5には、図7のエキシマレーザを動作させ
てから、評価に用いた磁心の温度が定常状態になったと
きの温度上昇を比較して示す。表5に示されるように磁
心端面部の含浸面積を端面全体の50%以下にした実施例
1,3の巻磁心及び端面部を含浸しない比較例2の巻磁心で
は、磁心端面温度上昇を30℃以下とできるのに対し、磁
心端面部の含浸面積を全体の50%より大きくした比較例
3、4、5、6の巻磁心では、温度上昇が高く実用上問題とな
ることがわかった。
【0045】
【表5】
【0046】実施例4,5 Si13.5at%、B9%、C2%及び残部実質的にFeからなる組成
の溶湯から単ロール法により厚さ20μm、幅25mmのFe
基非晶質合金薄帯を作製した。熱処理条件をこの合金の
結晶化温度以下の温度である365℃に2時間保持するこ
ととした他は実施例1と同様に、含浸層9a、9b、9c、9dの占
める面積の総和が磁心端面8の面積の50%となるようにし
て巻磁心を作製した。この巻磁心を実施例4とする。
【0047】他は実施例4と同様にして、含浸層9a、9b、9
c、9dの占める面積の総和が磁心端面8の面積の20%となる
ように巻磁心を作製した。この巻磁心を実施例5とす
る。また比較例7、8、9、10としてそれぞれ含浸層の割合を
60%、 70%、 80%、 100%とし、他は実施例4、5と同様にして
巻磁心を製造した。表6にこれらの各巻磁心の直流磁気
特性を比較して示す。
【0048】
【表6】
【0049】表6に示されるように含浸層9が占める面積
が磁心端面全体の面積の50%以下の実施例4、5の巻磁心が
磁心の端面を含浸固着しない比較例1の巻磁心とほぼ同
等の直流磁気特性を示すのに対し、含浸層の占める割合
が50%を越える比較例7、8、9、10の巻磁心では、角形比Br/
B800が著しく低下するとともに、保磁力Hcも大幅に増加
することがわかる。
【0050】
【発明の効果】以上のように本発明の巻磁心によれば、
磁性薄帯を絶縁材によって層間絶縁を施して巻回してな
る巻磁心の少なくとも一端面部面積の50%以下を含浸材
により固着してなることから、取り扱いが簡便でかつ外
部応力による変形が生じ難く、しかも高周波磁気特性が
良好で、特に可飽和リアクトル等に適用する場合であっ
ても、良好な冷却性能を備え、従来の巻磁心で問題であ
った磁心端面部の絶縁コーティングに起因する磁気特性
の劣化と冷却効率の低下がないという優れた効果が奏さ
れる。
【0051】また本発明の巻磁心の製造方法によれば、
巻磁心の端面部を含浸した後に、熱処理を行うことによ
り、端面部を含浸しない巻磁心と実質的に同程度で、良
好な磁気特性を示す巻磁心を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の巻磁心を示す図である。
【図2】 巻磁心の動特性評価回路を示す図である。
【図3】 巻磁心の動特性評価回路に設けられた可飽和
リアクトルの電圧、電流波形を示すグラフである。
【図4】 可飽和リアクトルの動作磁化曲線概念図であ
る。
【図5】 本発明の実施例の巻磁心と従来の巻磁心の磁
心損失を比較して示すグラフである。
【図6】 巻磁心端面部全体の面積と固定部分の面積の
比率と、磁心損失との関係を示すグラフである。
【図7】 エキシマレーザ主回路構成を示す図である。
【図8】 端面部を固定していない巻磁心を示す部分切
欠図である。
【符号の説明】
5 巻磁心 6 巻心 7 磁性薄帯 8 巻磁心端面 9 含浸層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−110707(JP,A) 特開 平4−361508(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 27/25 H01F 41/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性薄帯を絶縁材によって層間絶縁を施
    して巻回してなる巻磁心の少なくとも一端面部面積の50
    %以下を含浸材により固着してなることを特徴とする巻
    磁心。
  2. 【請求項2】 磁性薄帯を絶縁材によって層間絶縁を施
    して巻回してなる巻磁心の製造方法であって、磁性薄帯
    に絶縁材を被覆した後に巻回して巻磁心を作製する工程
    と、この巻磁心の少なくとも一端面部の面積の50%以下
    を含浸材により固着する工程と、この巻磁心の磁路方向
    に磁界を印加しつつ加熱保持して熱処理を施す工程とか
    らなることを特徴とする巻磁心の製造方法。
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