JP2894083B2 - クレーンアームの吊り具構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、フォークリフトトラッ
クのアタッチメントであるクレーンアームに係り，特に
荷物を吊り込むフック等からなる吊り具部分の構造に関
する。

【０００２】

【従来の技術】フォーク作業の代わりに荷物を吊り上げ
て搬送するためのアタッチメントである従来のクレーン
アームとしては、例えば実開昭６３−９３４００号公報
に示すものがある。しかし、この構成では、フックに引
っ掛けたロープの脱落を防ぐ閉じアームは、クレーンア
ームを上昇させ、荷重受けアームに荷物の荷重がロープ
を介して伝わらなければ閉位置へ作動せず、クレーンア
ーム上昇までに、ロープの剛性によりフックからロープ
が外れてしまうことがある。

【０００３】そこで、図５に示したようなものがあり、
フォークリフトトラック１のマスト２に昇降可能にクレ
ーンアーム３が取り付けられ、そのクレーンアーム３の
先端部上部に、荷物吊り上げ用のロープ６を係止する吊
り具が設けられている。その吊り具の構成は、クランプ
アーム３０が、上下方向へ旋回可能にアームの上面に軸
支され、そのクランプアーム３０の先端部と上下に対向
可能な位置のアーム上部に、ロープ外れ止め用のクラン
プ凸部３１が設けられている。さらに、上記クランプア
ーム３０は、接続されているシリンダ装置３２を運転席
などから駆動することで上下に旋回駆動されて開閉する
ようになっている。

【０００４】そして、荷物を吊り上げる際には、シリン
ダ装置３２を駆動してクランプアーム３０を上方に旋回
して開き、作業者が、吊り上げ用のロープ６をクランプ
凸部３１を越えてアームに引っ掛け、再度，シリンダ装
置３２を駆動してクランプアーム３０を旋回して閉じ
る。また、荷物を降ろす場合には、シリンダ装置３２を
駆動してクランプアーム３０を旋回して開き、作業者
が、アームから引っ掛けていたロープ６をクランプ凸部
３１を越えるようにずらして外していた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなクレーンアームの吊り具にあっては、荷物を吊る
ロープ６を引っ掛ける際に、運転席等からシリンダ装置
３０を駆動してクランプアーム３０を開方向に旋回さ
せ、その状態を維持させてから荷物を吊っているロープ
６をアームとクランプアーム３０との間に差し込み、し
かる後にクランプアーム３０を閉方向に旋回させて閉じ
ている。このため、作業者が、クランプアーム３０を開
く操作及び閉じる操作と、クランプアーム３０が開状態
のときにロープ６を引っ掛ける作業とを個別に実施する
必要がある。

【０００６】また、吊っているロープを外す際にも、運
転席等から一旦シリンダ装置３２を駆動させてクランプ
アーム３０を開状態に旋回させてから、作業者がクレー
ンアームの先端部位置まで移動して、引っ掛けていたロ
ープ６を、アームのクランプ凸部３１を越えるようにず
らして下ろす作業が必要である。このように、吊り具へ
のロープの着脱作業を行うときに、シリンダ装置を介し
たクランプアームの旋回と，アームへのロープの掛け外
しとを同期をとって実施する必要があり、手間がかかる
という問題がある。

【０００７】本発明は、上記のような問題点に着目して
なされたもので、クレーンアームの吊り具に対するロー
プの着脱が、簡単な操作によってできることを目的とし
ている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のクレーンアームの吊り具構造は、荷物を吊
り込むためのアタッチメントであるクレーンアームにお
いて、そのクレーンアームに旋回可能に軸支される基
部，基部と一体の引っ掛け部，及び該引っ掛け部に設け
た開口部から成るフックと、前記フックの基部と同軸に
軸支され常に前記開口部を閉止する方向に付勢されると
共に前記基部の方向に移動することで開状態にする構成
により前記フックにおける引っ掛け部の開口部を開閉す
る外れ止め板と、本体が前記クレーンアームに固定され
て前記外れ止め板を運転者の操作により作動させるシリ
ンダ装置と、前記フックの旋回量を規制する規制手段と
を有し、前記シリンダ装置のピストンロッドは、伸長す
ることで前記外れ止め板を開方向に押し込み、さらに伸
長することで、前記フックを外れ止め板を介して回動さ
せる作動範囲を有することを特徴としている。

【０００９】

【作用】荷物を吊るために掛けたロープを、フックの開
口部から引っ掛け部へ外れ止め板の付勢力に抗して押し
込むことで、外れ止め板が開方向に押されて後退し、ロ
ープがフックの引っ掛け部に入りフックに引っ掛かる
と、外れ止め板は、再びフックの開口部を閉状態とし、
搬送中に、特に、クレーンアームを上昇させるまでの
間、引っ掛けたロープがフックから外れることを防止す
る。なお、ピストンロッドは外れ止め板を押し込むこと
で開方向に移動させる構成であるので、上記ロープを引
っかける作業の際にはシリンダ装置を作動させる必要は
ない。

【００１０】また、フックに引っ掛けたロープを外すと
きには、運転者がシリンダ装置を駆動することで、外れ
止め板は伸長するピストンロッドに押されてフック開口
部を開状態にし、引っ掛けてあるロープがフックから外
れ可能になる。さらにピストンロッドに押された外れ止
め板は、フックの基部を押すことによりフックを旋回さ
せる。該フックが旋回すると、フックの開口部は下方に
向きを変え、フックに引っ掛かっていたロープがフック
から外れる。また、上記フックの旋回量が規制手段によ
って規制され、必要以上にフックが旋回することが防止
される。

【００１１】

【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
まず構成を説明すると、図４に示すように、フォークリ
フトトラック１の前側に配設されているマスト２に、ク
レーンアーム３が固定されている。そして、マスト２を
昇降させることで、クレーンアーム３が昇降するように
なっている。

【００１２】そのクレーンアーム３に設けられた吊り具
の構造を説明すると、図１に示すように、クレーンアー
ム３の先端部側面からピン４が側方に突設し、そのピン
４にフック５が、前後方向へ旋回可能に取り付けられて
引っ掛け部分を下側に垂下させている。上記フック５
は、クレーンアーム３に旋回可能に軸支される基部５ｄ
と、引っ掛け部である懐５ａと、引っ掛け部の開口部を
形成する先端部５ｃとより成り、フック５の懐５ａに引
っ掛けたロープ６が外れないように外れ止め装置が設け
られている。

【００１３】その外れ止め装置は、引っ張りコイルバネ
７と外れ止め板８とから構成されており、外れ止め板８
は、上記ピン４に旋回可能に軸支されたベロ片８ａと、
ベロ片８ａから下方に延びる下板部８ｂと、ベロ片８ａ
から後ろ斜めの上方に延びる上板部８ｃとから構成され
て、上記ピン４を中心に旋回可能になっている。その外
れ止め板８の上板部８ｃ上端には、引っ張りコイルバネ
７の一端部が接続されている。その引っ張りコイルバネ
７は、その軸線を後ろ斜めの上方に向けて配置され、他
端部をクレーンアーム３に固定し、上記外れ止め板８の
上板部８ｃを後方に引っ張ることで、外れ止め板８の下
板部８ｂを前方に旋回させて、その下板部８ｂの下端部
を、フック５の懐５ａ側からフック５の先端部５ｃ内面
に所定の力で当接させている。

【００１４】また、上記外れ止め板８の上板部８ｃの後
方には、軸を水平に配置された作動装置であるシリンダ
装置９本体がクレーンアーム３に固定されている。その
シリンダ装置９のピストンロッド９ａの先端部は、上記
外れ止め板８の上板部８ｃに後方から前方に向け水平に
当接可能に配置され、そのピストンロッド９ａが伸びる
ことで、該ロッド９ａ先端部で上板部８ｃを前方に押し
込み可能となっている。

【００１５】そのシリンダ装置９は、単動シリンダ装置
であって、ピストン９ｂ後方の圧力室９ｃに作動油や空
気等の流体を供給することでピストン９ｂを前方に移動
させ、また、上記圧力室９ｃの圧力を低くしたときにピ
ストン９ｂ前方の室に配置された圧縮コイルバネ９ｄで
ピストン９ｂが後方に移動するようになっている。その
シリンダ装置９の圧力室９ｃには配管１０の一端部が連
結し、その配管１０の他端部が図示しない流体圧ユニッ
トに連結して、その流体圧ユニットが運転席に設けられ
ている図示しないスイッチやレバー等によって駆動制御
されるようになっている。

【００１６】なお、図中，１２は規制手段を構成するス
トッパで、フック５が所定以上に旋回することを抑止す
るために設けられている。上記のような構成の吊り具で
は、初期状態では、シリンダ装置９の圧力室９ｃ内に作
動流体が供給されていないので、バネ９ｄの付勢力でピ
ストン９ｂは後退していて、ピストンロッド９ａの先端
部は、外れ止め板８の上板部８ｃから近接状態になって
いる。また、その上板部８ｃは、引っ張りコイルバネ７
の付勢力で後方に引っ張られ、もって、外れ止め板８の
下板部８ｂは、ピン４を中心に前方に旋回して、その下
板部８ｂ下端をフック５の先端部５ｃ内面に該フック５
の懐５ａ側から所定の力で当接させている。

【００１７】そして、上記のような吊り具を備えたクレ
ーンアーム３では、フック５の先端部５ｃに荷物の玉掛
けしたロープ６を、作業者がフック５の先端からフック
５の懐５ａに向けて押し込むと、外れ止め板８は後方に
逃げてロープ６がフック５内に入り、続いて、後方に逃
げた外れ止め板８が、バネ７の付勢力でもとの位置，即
ち下板部８ｂの下端部をフック５の先端部５ｃに当接し
た状態に戻る。

【００１８】これによって、フック５に引っ掛けたロー
プ６はフック５の懐５ａから外れることが防止され、上
記荷物のロープ６をフック５に掛けた状態で荷物を吊り
上げ所定の場所に搬送する。そして、荷物を降ろすとき
には、運転席から図示しない流体圧ユニットを駆動し、
配管１０を介してシリンダ装置９の圧力室９ｃに作動流
体を供給し、圧力室９ｃ内の圧力を高めていくことでシ
リンダチューブ内のバネ９ｄの付勢力に抗してピストン
９ｂを前方に押し、もってピストンロッド９ａを前方に
移動させる。

【００１９】すると、そのピストンロッド９ａの先端部
が外れ止め板８の上板部８ｃに当たり、さらに外れ止め
板８の上板部８ｃをバネ９ｄの付勢力に抗して前方に押
す。すると、外れ止め板８の下板部８ｂは、ピン４を中
心にして開方向，即ち後方に旋回してフック５の胴部に
ぶつかり、さらに、フック５と共に後方に旋回する。フ
ック５は、ピン４を中心にして上記下板部８ｂと共に後
方へ旋回することで、フック５の先端部が前方から下方
に向いて、該フック５内に引っ掛けてあったロープ６が
フック５から外れ、荷物が降ろされる。

【００２０】次に、第２実施例について説明する。第２
実施例においては、外れ止め板８の上板部８ｃを引っ張
りコイルバネ７で後方に付勢する代わりにネジリコイル
バネ１１を使用し、そのバネ１１をピン４と同軸に配置
して、一端１１ａをフック５に固定し、他端部１１ｂ側
を後方から外れ止め板８に後方から当接して該外れ止め
板８の下板部８ｂを前方に付勢するようにしている。

【００２１】また、外れ止め板８の上板部８ｃを押すシ
リンダ装置９として、複動シリンダを使用して、ピスト
ンチューブ内のピストン９ｂの前後に形成される２室に
夫々配管１０を連結し、その２本の配管１０が図示しな
い流体圧ユニットに連結して、その流体圧ユニットから
の作動液の供給制御によってピストン９ｂが前後に往復
移動する。

【００２２】他の構成は第１実施例と同様であり、作用
及び効果についても第１実施例と同じである。

【００２３】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のクレ
ーンアームの吊り具構造では、荷物を吊っているロープ
をフック内に押し込むだけで簡単にフックへロープが引
っ掛かり、また、運転席からシリンダ装置を駆動するだ
けで、ロープがフックから外れてクレーンアームから荷
物を降ろせるので、フォークリフトトラックの運転者一
人だけでも簡単に吊り具へのロープの着脱ができるよう
になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る実施例のクレーンアームの吊り具
構造を示す側面図である。

【図２】本発明に係る実施例のフックが後方に旋回した
状態を示す側面図である。

【図３】本発明に係る第２実施例のクレーンアームの吊
り具構造を示す側面図である。

【図４】本発明に係る実施例のクレーンアームを示す側
面図である。

【図５】従来例のクレーンアーム及びその吊り具構造を
示す側面図である。

【符号の説明】

３ クレーンアーム ５ フック ５ａ 懐（引っ掛け部） ５ｃ 先端部（開口部） ５ｄ 基部 ９ シリンダ装置（作動装置）

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 荷物を吊り込むためのアタッチメントで
   あるクレーンアームにおいて、そのクレーンアームに旋
   回可能に軸支される基部，基部と一体の引っ掛け部，及
   び該引っ掛け部に設けた開口部から成るフックと、前記
   フックの基部と同軸に軸支され常に前記開口部を閉止す
   る方向に付勢されると共に前記基部の方向に移動するこ
   とで開状態にする構成により前記フックにおける引っ掛
   け部の開口部を開閉する外れ止め板と、本体が前記クレ
   ーンアームに固定されて前記外れ止め板を運転者の操作
   により作動させるシリンダ装置と、前記フックの旋回量
   を規制する規制手段とを有し、前記シリンダ装置のピス
   トンロッドは、伸長することで前記外れ止め板を開方向
   に押し込み、さらに伸長することで、前記フックを外れ
   止め板を介して回動させる作動範囲を有することを特徴
   とするクレーンアームの吊り具構造。