JP2893683B2 - フィルタの設計方法 - Google Patents

フィルタの設計方法

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Description

【発明の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本発明は、伝送路により波形歪を生じたディジタル再
生信号の波形を等化するフィルタの設計方法に関する。
B.発明の概要 本発明は、伝送路により波形歪を生じたディジタル再
生信号の波形を等化するフィルタの設計方法において、
再生信号が供給される仮想フィルタ手段からの出力信号
の基準信号に対する誤差が小さくなるように、上記仮想
フィルタの係数を自動的に修正していくようにしたこと
により、良好な等化波形を得ることができるようにした
ものである。
C.従来の技術 例えば、ディジタル音声信号を磁気テープに記録・再
生する記録再生装置において、磁気テープに対する記録
・再生の影響により波形歪の生じた再生信号の波形を等
化すなわち元の波形に戻すにはディジタルフィルタが用
いられている。
D.発明が解決しようとする課題 ところで、上記フィルタの係数(フィルタ係数)を手
動で選び等化を行った場合には比較的良好な等化波形が
得られるが、記録再生装置において上記フィルタ係数を
自動的に定めるようにした場合には良好な等化波形を得
るのは困難であった。
そこで、本発明はこのような実情に鑑みて提案された
ものであり、例えば磁気テープ等の伝送路により波形歪
を生じたディジタル再生信号の波形を等化するフィルタ
の係数が自動的に定められ、良好な等化波形を得ること
ができるようなフィルタの設計方法を提供することを目
的とする。
E.課題を解決するための手段 本発明に係るフィルタの設計方法は、上述した目的を
達成するために、伝送路により波形歪を生じたディジタ
ル再生信号の波形を等化するフィルタの設計方法におい
て、基準信号として伝送路に供給される所定パターンの
同期信号を再生手段により再生して得られる再生同期信
号を係数が可変できる仮想フィルタ手段に供給し、上記
仮想フィルタ手段の係数を仮に設定しこの状態を最良状
態と仮定する第1の工程と、上記最良状態における上記
仮想フィルタ手段からの出力信号の上記基準信号に対す
る誤差ER0を、再生同期信号の振幅の最大誤差を最小に
する波形等化の条件に対する誤差をEとし、再生同期信
号のゼロクロス点間の間隔を所定値とする波形等化の条
件に対する誤差をRmとして、 ER0=Rm(1+E) により求めこれを第1の誤差とする第2の工程と、上記
仮想フィルタ手段の係数を現在の値に近接した値に設定
し直す第3の工程と、上記仮想フィルタ手段の係数が設
定し直された状態における上記仮想フィルタからの出力
信号の上記基準信号に対する誤差ERNを ERN=Rm(1+E) により求めこれを第2の誤差とする第4の工程と、上記
第1の誤差と上記第2の誤差とを比較し小さい方の誤差
に対応する上記仮想フィルタの係数の値をもって上記最
良状態とする第5の工程とから成り、上記第3の工程か
ら第5の工程までをくり返し行うことを特徴としてい
る。
F.作用 本発明によれば、上記仮想フィルタ手段からの出力信
号の基準信号に対する誤差が小さくなるように、上記仮
想フィルタ手段の係数が自動的に修正される。
G.実施例 以下、本発明の実施例について図面を参照しながら詳
細に説明する。
第2図は本実施例におけるディジタル音声信号の記録
再生装置の要部構成を示すブロック図である。この第2
図において、端子1には、基準信号となる所定パターン
の同期信号および音声信号等から成る入力信号が供給さ
れ、これが所定の信号処理を施す記録処理回路2を介し
て磁気ヘッド3に供給され伝送路となる磁気テープ4に
記録される。この磁気テープ4に記録された信号は再生
手段となる磁気ヘッド5により再生され、再生信号が得
られる。この再生信号には上記磁気テープ4に対する記
録・再生の影響により波形歪が生じており、このため、
該再生信号はA/D(アナログ/ディジタル)変換回路6
でディジタル化された後、仮想フィルタ手段となる係数
可変のフィルタ(ディジタルフィルタ)7に供給され波
形が等化されるよになっている。上記フィルタ7からの
出力信号は端子8から出力されると共に、再生同期信号
を検出する同期信号検出回路9に供給される。この同期
信号検出回路9により検出された再生同期信号は誤差演
算回路10に供給され、該再生同期信号の誤差を算出する
ための演算処理等が行われる。そして、算出された誤差
データは係数設定回路11に供給され、これに基づいて上
記フィルタ7の係数設定し直されるようになっている。
このように、いわゆるオートイコライザ(自動等化器)
の動作が行われることになる。なお、上記誤差演算回路
10および係数設定回路11における動作については、後に
詳述する。
上記フィルタ7には、例えば第3図に示すような構成
のものが用いられる。すなわち、このフィルタは、再生
信号が供給される5桁のシフトレジスタ12と係数乗算器
13,14,15と加算器16とから成っており、シフトレジスタ
12のFn+2桁のデータには係数乗算器13により係数c1が乗
算され、Fn桁のデータには係数乗算器14により係数c2
乗算され、また、Fn-2桁のデータには係数乗算器15によ
り係数c3が乗算され、それぞれ加算器16に供給され該加
算器16から出力信号が得られるようになっている。な
お、本実施例においては、上記係数c2は所定値(例えば
c2=48)に固定され、上記係数c1,c3が上記係数設定回
路11により設定されることになる。
上述した第2図の記録再生装置においては、同期信号
として、例えば第4図に示すような、サンプリング点P1
〜P2とP6〜P11とP18〜P20がローレベル(−1)であ
り、サンプリング点P3〜P5とP12〜P17とP21〜P22がハイ
レベル(+1)であるようなパターンのものが用いられ
る。このような同期信号に対する、係数が定まる前のフ
ィルタ7の出力すなわち波形等化前の再生同期信号は、
例えば第5図のような波形歪を生ずる。なお、この第5
図および後述する第11図〜第17図における横軸はサンプ
リング点の間隔(サンプリング間隔)を示している。
ところで、再生信号の波形の等化は、例えば、第6図
に示すように、孤立再生波の「X」で示すサンプリング
点のうち、中央のサンプリング点が“1"となり、他のサ
ンプリング点が“0"すなわちゼロクロス点となるという
条件(以下、等化の第1条件という。)を満たすように
して行われる場合と、第7図に示すように、孤立再生波
のサンプリング点の中間点(「X」で示す点)のうち、
中央寄りの2つの点が“0.5"となり、他の点が“0"すな
わちゼロクロス点となるという条件(以下、等化の第2
条件という。)を満たすようにして行われる場合が考え
られる。
等化の第1条件が満たされた場合、アイパターンは第
8図に示すように「●」を付した点を通ることになる。
また、等化の第1条件が満たされるということは、再生
同期信号の振幅の最大誤差が最小になるようにフィルタ
係数が定められるということである。
一方、等化の第2条件が満たされた場合、アイパター
ンは第9図に示すように「●」を付した点を通ることに
なる。また、等化の第2条件が満たされるということ
は、再生同期信号のゼロクロス点間の間隔が所定値(本
実施例においては、3,6,6,3サンプリング間隔)になる
ようにフィルタ係数が定められるということである。
本実施例においては、上記等化の第2条件に重点をお
いてフィルタ係数が定められるようになっている。
次に、一例として、上記第5図に示した再生同期信号
を等化する場合の上記誤差演算回路10および係数設定回
路11における動作について第1図のフローチャートを参
照しながら説明する。
まず、フィルタ係数を適当な値c10,c30(例えば第10
図における0点)に仮に設定しこの状態を最良状態と仮
定する(ステップ101)。
次に、上記最良状態における再生同期信号の元信号に
対する誤差ER0を求めこれを第1の誤差とする(ステッ
プ102)。
次に、フィルタ係数の値を現在の値c10,c30に近接し
た値cIN,c3N(例えば第10図におけるa点)に設定し直
す(ステップ103)。
次にこのフィルタ係数が設定し直された状態における
再生同期信号の元信号に対する誤差ERNを求めこれを第
2の誤差とする(ステップ104)。
次に、上記第1の誤差と上記第2の誤差とを比較し小
さい方の誤差に対応するフィルタ係数の値をもって上記
最良状態とする。すなわち、上記誤差ERNが上記誤差ER0
よりも小さいか否かを判別し(ステップ105)、小さい
場合にはcINをc10,c3Nをc30、そしてERNをER0とそれぞ
れおき(ステップ106)上記ステップ103に戻り、また逆
に大きい場合にはフィルタ係数の値を一旦元に戻して上
記ステップ103に戻る。そして、上記ステップ103〜ステ
ップ105もしくはステップ106をくり返し実行して、再生
同期信号の誤差が最も小さくなるようにフィルタ係数の
値を定めるようにしている。
ここで、上記ステップ103におけるフィルタ係数の設
定は、例えば第10図におけるa点から始まりb点,c点,
…の順序で行われる。すなわち、a点で誤差ENが誤差ER
0よりも小さくならなかった場合にはb点に設定し直
し、それでも駄目な場合にはc点に設定し直すという具
合にフィルタ係数の設定が行われる。
また、上記ステップ102およびステップ104における誤
差は、前述した等化の第1条件に対する誤差と等化の第
2条件に対する誤差とから求められる。まず、等化の第
2条件に対する誤差の求め方について説明する。例えば
上記第5図において、線形補間によりゼロクロス点を求
める。また、回転ムラによるサンプリング間隔のずれを
δとすると、各ゼロクロス点間の間隔の所定値からの誤
差Riは次式で表すことができる。
ここで、Ji=1,2,3,4,5に対してゼロクロス点の基準と
なるサンプリング点P3,P6,P12,P18,P21を表してお
り、X(Ji)はその点の値(振幅値)を表している。ま
た、Kiはi=1,2,3,4に対して各ゼロクロス点間の間隔
の所定値(本実施例においては、3,6,6,3サンプリング
間隔)を表わしている。等化の第2条件に対する誤差Rm
は上記(1)式のi=1,2,3,4のうちの最大値を選ぶ。
次に、等化の第1条件に対する誤差の求め方について
説明する。例えば第5図において、サンプリング点P4
P7〜P10,P13,P16,P19の各絶対値のうち最大値Xmax
最小値Xminを求める。こののXmax,Xminから、次式をも
って等化の第1条件に対する誤差Eとする。
この式の意味は、XminがXmaxの1/2以下になると誤差が
大きいと判断するということである。
そして、上記ステップ102およびステップ104における
誤差ERは、上記等化の第2条件に対する誤差Rmと上記等
化の第1条件に対する誤差Eとから次式によって与えら
れる。
ER=Rm(1+E) ……(3) 上記フィルタ係数の値が定まることにより、波形等化
が良好に行われることになる。例えば、δ=0.05として
第5図に示した再生同期信号を等化した場合、フィルタ
係数はc1=−16,c3=0と定められ、第11図に示すよう
な良好な等化波形が得られた。この場合、誤差ERは1.33
から0.27に下った。また、δ=0とした場合、フィルタ
係数はc1=−19,c3=−8と定められ、第12図に示すよ
うな結果が得られた。これはδ=0.05の場合に比べ間隔
をせまくするためのものでc1,c3の値は負で絶対値は大
きくなった。この場合、誤差ERは1.03から0.09に下っ
た。更に、δ=−0.05とした場合、フィルタ係数はc1
−26,c3=−15と定められ、第13図に示すような結果が
得られた。更に間隔をせまくしたためc1,c3の値は絶対
値が大きくなった。この場合、誤差ERは1.42から0.32に
下った。
第14図にフィルタ係数を手動で選び等化した結果を示
す。この第14図に示す波形の信号をδ=0.05として更に
自動的に等化した場合、フィルタ係数はc1,c3=3と定
められ、第15図に示すような結果が得られた。この場
合、誤差ERは0.71から0.52に下った。また、δ=0とし
た場合、フィルタ係数はc1=1,c3=3と定められ、第16
図に示すような結果が得られた。この場合、誤差ERは0.
30から0.20に下った。更に、δ=−0.05とした場合、フ
ィルタ係数はc1=7,c3=−5と定められ、第17図に示す
ような結果が得られた。この場合、誤差ERは0.34から0.
22に下った。
H.発明の効果 上述した実施例の説明から明らかなように、本発明に
係るフィルタの設計方法によれば、再生信号が供給され
る仮想フィルタ手段からの出力信号の基準信号に対する
誤差が小さくなるように、上記仮想フィルタ手段の係数
を自動的に修正していくようにしており、良好な等化波
形を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第17図は本発明の一実施例を説明するための図
であり、第1図は誤差演算回路および係数設定回路にお
ける動作について説明するためのフローチャート、第2
図は記録再生装置の要部構成を示すブロック図、第3図
は上記記録再生装置におけるフィルタの構成例を示す
図、第4図は上記記録再生装置において用いられる同期
信号パターンの一例を示す波形頭、第5図は波形等化前
の再生同期信号の一例を示す波形図、第6図は等化の第
1条件を説明するための孤立再生波を示す波形図、第7
図は等化の第2条件を説明するための孤立再生波を示す
波形図、第8図は上記等化の第1条件が満たされた場合
のアイパターンを示す図、第9図は上記等化の第2条件
が満たされた場合のアイパターンを示す図、第10図はフ
ィルタ係数の設定順序を説明するための模式図、第11図
は再生同期信号の等化波形の一例を示す波形図、第12図
は同じく他の例を示す波形図、第13図は同じく更に他の
例を示す波形図、第14図は再生同期信号の手動による等
化波形の一例を示す波形図、第15図は上記第14図に示し
た波形の信号を更に等化した場合の波形の例を示す波形
図、第16図は同じく他の例を示す波形図、第17図は同じ
く更に他の例を示す波形図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】伝送路により波形歪を生じたディジタル再
    生信号の波形を等化するフィルタの設計方法において、 基準信号として伝送路に供給される所定パターンの同期
    信号を再生手段により再生して得られる再生同期信号を
    係数が可変できる仮想フィルタ手段に供給し、 上記仮想フィルタ手段の係数を仮に設定しこの状態を最
    良状態と仮定する第1の工程と、 上記最良状態における上記仮想フィルタ手段からの出力
    信号の上記基準信号に対する誤差ER0を、再生同期信号
    の振幅の最大誤差を最小にする波形等化の条件に対する
    誤差をEとし、再生同期信号のゼロクロス点間の間隔を
    所定値とする波形等化の条件に対する誤差をRmとして、 ER0=Rm(1+E) により求めこれを第1の誤差とする第2の工程と、 上記仮想フィルタ手段の係数を現在の値に近接した値に
    設定し直す第3の工程と、 上記仮想フィルタ手段の係数が設定し直された状態にお
    ける上記仮想フィルタからの出力信号の上記基準信号に
    対する誤差ERNを ERN=Rm(1+E) により求めこれを第2の誤差とする第4の工程と、 上記第1の誤差と第2の誤差とを比較し小さい方の誤差
    に対応する上記仮想フィルタの係数の値をもって上記最
    良状態とする第5の工程とから成り、 上記第3の工程から第5の工程までをくり返し行うこと
    を特徴とするフィルタの設計方法。
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