JP2893305B2 - 内燃機関の冷却装置 - Google Patents

内燃機関の冷却装置

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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関の冷却装置に関
し、特に互いに隣接したシリンダを有する内燃機関の冷
却に用いて好適な冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、内燃機関においては、機関内部
に冷却水通路を設け、冷却水ポンプにより冷却水通路内
に冷却水を循環させてシリンダや燃焼室壁面の冷却を行
う。冷却水通路壁面における熱伝達率は冷却水の流速が
速い程、すなわち冷却水流量が増大する程高くなり、冷
却効果が向上する。このため、通常、冷却水ポンプは内
燃機関のクランク軸に適宜な手段を用いて連結されるこ
とにより駆動され、機関回転数に略比例する冷却水流量
を生じるように構成される。従って、機関が高速運転さ
れて発生熱量が増大すると冷却水流量も増大し、冷却水
通路壁面での熱伝導率も増大することから大きな冷却効
果が得られ、燃焼室等の壁温を低く保つ構成となってい
る。
【0003】シリンダブロック内の冷却水通路は、シリ
ンダボアの周囲に形成され、シリンダからの熱が効率良
く冷却水に吸収されるようになっている。ところが、複
数のシリンダが形成された所謂サイアミーズ構造のシリ
ンダブロックを有する内燃機関においては、内燃機関の
小型化を図るために隣接するシリンダボア間の間隔が狭
いため、冷却水通路を形成しにくいという問題があっ
た。隣接したシリンダボアの間の部分に冷却水通路が形
成されていないと、その部分のシリンダ壁面からの熱を
冷却水に十分に吸収させることができず、シリンダ壁面
温度が部分的に上昇してしまう。このため、効率的な冷
却効果を得ることが出来ず、また、シリンダブロックの
温度が部分的に上昇しシリンダブロックの熱応力に不均
衡を生じて変形を生じるおそれがある。
【0004】そこで、シリンダブロックの隣接したボア
間にも冷却水通路を形成する方法が特公昭56−427
44号公報にて提案されている。図7は特公昭56−4
2744号公報にて提案された冷却水通路の構造を示す
シリンダブロックの簡略平面図であり、図8は図7のVI
II−VIII線に沿った断面図である。両図中、矢印は冷却
水の流れの方向を示しており、また、Pは冷却水を循環
させるためのポンプを示している。
【0005】鋳造により成形されたサイアミーズ構造の
シリンダブロック1の隣接したシリンダボア2の間には
連通路3が設けられ、冷却水の一部がこの連通路3を流
れることにより、隣接したシリンダボアの間の冷却を行
う構成である。一般的にシリンダブロックは鋳造成形で
あるため、シリンダボア2の間の狭い部分に通路として
の空間を形成することは難しい。そこで、特公昭56−
42744号公報ではシリンダブロックの鋳造時に中空
部材をシリンダボアの間に鋳込むことにより、冷却水の
通路を形成したものである。
【0006】連通路3を設けていない場合の冷却水の流
れは図7中、矢印Aで示すように、シリンダボアの整列
して一体化した壁面に沿った部分だけとなる。特に両側
にシリンダボア2が隣接するシリンダボアの壁面は、冷
却水との接触面積が少なく、冷却が十分に行われない。
しかし、シリンダボア2の間に連通路3を設けることに
より、図中矢印Bで示すように、冷却水の一部はこの連
通路3にも流れることになり、夫々のシリンダボアの壁
面は全体的に冷却されることとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の連通
路は図7中矢印Aで示される冷却水の主流に対して略直
角に配設されているため、冷却水は連通路に流入する際
にはその流れの方向を直角に曲げなければならない。こ
のため、冷却水は連通路に流入し難く、また、上述のよ
うに連通路の断面積は大きくできないため、この連通路
を通過する冷却水の流量は主流に比べるとはるかに少な
くなってしまう。また、連通路の入口と出口の冷却水の
圧力差も微小であり、連通路を通過する冷却水の流量を
大きく増大することは出来ない。
【0008】内燃機関が高速運転状態になった場合等に
おいては、シリンダボアからの流入熱量が増大し、シリ
ンダを適切な温度に維持するための冷却に必要な冷却水
量に対して、連通路を流れる冷却水流量が不足してしま
う。この様に、連通路を通過する冷却水の流量が不足す
ると連通路内の冷媒の温度が大きく上昇し、局部的に冷
却水の沸騰を生じるおそれがある。このような場合、シ
リンダ壁の局部的な温度上昇を招いて、燃焼効率に影響
を及ぼすばかりでなく、冷却水の沸騰により発生したガ
スが冷却水循環ポンプに吸入されて、冷却水の循環流量
が減少してしまう等の悪影響を及ぼすこととなる。
【0009】そこで、本発明は上記課題に鑑みなされた
もので、シリンダボア間を貫通して配設された連通路の
両端を冷却水の圧力差の大きな部分にそれぞれ配置する
ことにより、シリンダボア間を通過する冷却水量の十分
な流量を確保し、冷却効率の高い内燃機関の冷却装置を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による内燃機関の
冷却装置は、内部に冷却水通路が形成された内燃機関に
設けられ、一端が冷却水通路壁面との間に所定の冷却水
流路面積を確保するように配置され、他端が冷却水通路
の他の部分であって一端の位置する部分と冷却水圧力差
を生じる部分に冷却水通路壁面との間に所定の冷却水流
路面積を確保するように配置された通水管を有し、通水
管は冷却水通路のシリンダヘッド部を冷却する部分の上
流側と下流側を短絡し、通水管を内燃機関のシリンダブ
ロック内の互いに隣接したシリンダボア間にシリンダボ
アの配列方向に略直角に貫通して配置した構成とする。
【0011】
【作用】通水管の一端は冷却水通路壁面との間に所定の
冷却水流路面積を生じる位置に配置されているため、通
水管両端の圧力差により冷却水の一部が通水管内を流れ
てシリンダボアの間を通過する際にシリンダボア間を冷
却する。また、通水管の両端が冷却水通路内の圧力差の
大きな部分に配置されるため、通水管を流れる冷却水量
を増大させることができる。
【0012】
【実施例】図1は本発明の一実施例の要部である通水管
の配置を示す断面図、図2は図1の実施例のシリンダヘ
ッドとシリンダブロックの断面図、図3は図1の実施例
の全体構成を説明するための図である。図1に示すシリ
ンダヘッドとシリンダブロックは、図2におけるI−I
線に沿った断面であり、通水管は説明の便宜上全体にわ
たって断面で示してある。
【0013】ここで、まず本実施例の全体の構成を図3
と共に説明する。同図中、矢印は冷却水の流れを示して
いる。本実施例の冷却装置11は吸気先行冷却式とされ
ている。
【0014】ラジエータ12により放熱して低温となっ
た冷却水は、先ずシリンダヘッド13内の冷却水通路で
ある先行冷却通路13bに流入する。ここで、シリンダ
ヘッド13の吸気ポート近傍は、この低温の冷却水によ
り冷却されて低温に維持されることにより、燃焼室への
吸気効率が高められる。その後、冷却水はウォータポン
プ14に流入し昇圧されてシリンダブロック15に流入
する。シリンダブロック15内に流入した冷却水は、各
シリンダを冷却してから更にシリンダヘッド13の排気
ポート側の冷却水通路を通り、再びラジエータ12に戻
る。
【0015】次に本発明の要部を図1と共に説明する。
図1中、符号16は通水管を示しており、本実施例では
この通水管16に流れる冷却水によりシリンダ15のシ
リンダボア15aの間のシリンダ壁15bを冷却する構
成である。
【0016】本実施例の内燃機関は4気筒とされてお
り、シリンダブロックには4個のシリンダボア15aが
整列して互いに近接して配置されたサイアミーズ構造と
なっている。通水管16は、図2に示すように、シリン
ダブロック15に形成されたシリンダボア15aの間に
形成されたシリンダ壁15bを、シリンダボア15aの
整列方向と直角な方向に貫通して設けられている。通水
管16の位置はシリンダヘッド13が取り付けられる側
に近い部分とされている。これは、シリンダヘッド13
に近い程シリンダは高温となるため、この高温の部分を
重点的に冷却するためである。通水管16は、更に、シ
リンダブロック15内のシリンダボアの周囲に設けられ
た冷却水通路15c及びシリンダブロック15の外壁を
貫通し、その両端はシリンダブロック15の外部に延出
している。
【0017】このシリンダブロック15は鋳造成形品で
あり、通水管16は鋳造時に配置され、シリンダブロッ
ク15内に上述のように鋳込まれる。
【0018】シリンダブロック15の外壁から延出した
通水管16の両端は、それぞれ上部に向かって屈曲し、
シリンダブロック15の上部に固定されたシリンダヘッ
ド13の所定の部分に挿入されている。図1において、
通水管16の右側の端部は、シリンダブロック15から
延出して上方に曲げられ、シリンダヘッド13の上方か
らシリンダヘッド13の内部に挿入されている。この通
水管16の右側の端部は、図1中Aで示すように、シリ
ンダヘッド13内に形成された排気ポート(図示せず)
側の冷却水通路13aに達している。
【0019】一方、通水管16の左側の端部は、図1の
Bで示すように、シリンダブロック15から延出して上
方に曲げられ、シリンダヘッド13の側方からシリンダ
ヘッド13の内部に挿入されている。この通水管16の
左側の端部は、図1中Bで示すように、シリンダヘッド
13内に形成された吸気ポート(図示せず)側の冷却水
通路である先行冷却通路13bに達している。
【0020】以上のように配置された通水管16の両端
部は開口しており、シリンダヘッド13の冷却水通路1
3aと先行冷却通路13bとを連通している。ここで冷
却水通路13aは排気側の冷却水通路であり、図3に示
すように、ラジエータ12よりも上流側である。一方、
先行冷却通路13bは、ラジエータ12よりも下流側で
あり、ウォータポンプ14の手前の最も冷却水圧力の低
くなった部分である。よって、冷却水通路13a内の冷
却水の圧力は、先行冷却通路13b内の冷却水の圧力よ
り高くなっている。
【0021】従って、通水管16によって冷却水通路1
3aと先行冷却通路13bとが連通されることにより、
冷却水通路13a内の冷却水は、図1の矢印で示すよう
に、通水管16を通って先行冷却通路13bに流れるこ
ととなる。通水管16は上述のようにシリンダブロック
15のシリンダ壁15bを貫通した状態で鋳込まれてお
り、シリンダ壁15bの熱は通水管16に伝達される。
従って、通水管16を流れる冷却水はシリンダ壁15b
からの熱を吸収し、よって、各シリンダボア15a間の
シリンダ壁15bは冷却される。
【0022】また、冷却水通路13a内の冷却水の圧力
と先行冷却通路13b内の冷却水の圧力との圧力差はあ
る程度大きいため、通水管16を流れる冷却水の流量
は、上述の従来例に比較すると十分多くなり、通水管1
6内で沸騰することはなく、シリンダ壁15bは効率良
く冷却される。
【0023】ここで、通水管16の端部の配置について
説明する。図4は図1のA部の詳細図である。通水管1
6は冷却水通路13aの燃焼室に近い壁面から平均距離
mだけ離して配置される。本実施例では、平均距離h
m は、通水管の内径dに対してhm ≒d/4となるよう
に設定されている。この理由を以下に説明する。
【0024】通水管16の端部と壁面との間から通水管
16内に流入する冷却水は、通水管16の内径dと平均
距離hm とで決まる円筒の側面から流入することにな
る。この円筒側面の面積πdhm が通水管16の管路断
面積πd2 /4より小さいと管路に対して余分な流入抵
抗を与えることになり、逆に面積πdhm が管路断面積
πd2 /4より大きいと、通水管1入口部近傍での壁面
流速が充分に上昇しない。従って、流入抵抗を増大させ
ない範囲で壁面近傍での流速を最大にするために上記円
筒側面の面積と管路断面積とを同等にすることが好まし
い。このため、πdhm ≒πd2 /4からhm ≒d/4
となり、このときに最も壁面近傍の流速が高くなり大き
な熱伝達率が得られ、部分的に高い冷却効果を得ること
が出来ると結論ずけられる。
【0025】図5は、通水管16の両端に加わる差圧Δ
Pを一定に保持したままで壁面からの距離hm を変えた
場合の熱伝達率αの実測値の変化傾向を示す。図5から
わかるように、熱伝達率αはhm =d/4近傍で最大と
なりhm <d/8又はhm >3d/8の領域では急激に
減少する。従って平均距離hm はd/8≦hm ≦3d/
8の範囲、すなわちd/4±50%の範囲に設定するの
が適切である。
【0026】なお、前述のように通水管端面と壁面との
間の距離を平均距離hm で代表させるようにしているの
は通水管端面と壁面とが平行でない場合を考慮したもの
である。
【0027】以上は図1のA部で示す通水管16の吸入
側に関したものであるが、図1のB部で示す吐出側にお
いても同様な関係が成り立ち、冷却水の吐出によっても
先行冷却通路内の壁面近傍の冷却水の流速を部分的に高
めることが出来る。従って、先行冷却通路内の壁面近傍
の熱伝達率を高めることができ、先行冷却通路内の壁面
を部分的に冷却することが出来る。
【0028】なお、通水管16の内径dは通水管16内
に流れる冷却水流量、すなわち壁面近傍での流速を決め
る上で重要であるため、各エンジン型式に応じて実験に
より最適な管径を決定することが好ましい。
【0029】図6は前述のhm =d/4の関係を保ちな
がら通水管の内径dを変化させた場合の高速全負荷運転
時の、排気ポート中間部での冷却水通路壁面温度Tcと
通水管を通る流量(吸い出し流量)QV との関係を示し
ている。図6に示すように、通水管1の内径dが増大す
るにつれて流量Qvは増大し、壁面温度Tcは低下す
る。しかし、流量QV の増大に対する壁面温度Tcの減
少率は徐々に鈍くなり、図6のA点近傍では流量QV
増加に対して壁面温度Tcが殆ど低下しなくなってく
る。従って図6のA点に相当する管径に通水管の内径d
を設定すれば最も効率的に壁面温度を減少させることが
できる通水管内径dを得ることができる。なお、ゴミや
異物の詰まり等による閉塞を防止するためには通水管の
内径dは最小限3mm以上とすることが好ましい。
【0030】以上のように、本実施例によれば通水管1
6の端部が配置された部分及び通水管16の通過するシ
リンダボア間の壁温を選択的に低下させることにより、
従来冷却が不充分になりがちであった部分のみを効果的
に冷却できるため、他の部分との温度差を減少させるこ
とができ、熱歪の発生を防止することができる。
【0031】
【発明の効果】本発明は、上述のようにシリンダボア間
を貫通して設けられた通水管を用いてシリンダボア間の
冷却を行い、且つ、通水管端部での冷却水の吸入、吐出
の作用により冷却水通路の任意部分の壁面での部分的な
冷却水流速を増大させるようにしたことにより、シリン
ダボア間壁面の冷却効果の向上を図ることができると共
に冷却水通路の任意の部分の冷却効果を選択的に向上さ
せることができ、機関のノッキングやプレイグニション
の防止、熱歪の低減等に優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の要部の断面図である。
【図2】1図1の実施例のシリンダブロックとシリンダ
ヘッドの断面図である。
【図3】図1の実施例の全体構成を説明する簡略図であ
る。
【図4】図1のA部の拡大図である。
【図5】通水管先端と壁面との間の距離hm による壁面
の熱伝達率の変化を示す図である。
【図6】通水管内径と冷却水流量及び燃焼室壁温との関
係を示す図である。
【図7】従来の内燃機関の一例のシリンダブロックの平
面図である。
【図8】図7のシリンダブロックのVIII−VIII線に沿っ
た断面図である。
【符号の説明】
1,15 シリンダブロック 2,15a シリンダボア 3 連通路 11 冷却装置 12 ラジエータ 13 シリンダヘッド 13a 冷却水通路 13b 先行冷却通路 14 ウォータポンプ 15b シリンダ壁 15c 冷却水通路 16 通水管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02F 1/40 F02F 1/40 B (72)発明者 松代 隆一 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式 会社日本自動車部品総合研究所内 (56)参考文献 実開 平1−93345(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F01P 3/02 F01P 11/04 F02F 1/10 F02F 1/14 F02F 1/40

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に冷却水通路が形成された内燃機関
    に設けられ、一端が冷却水通路壁面との間に所定の冷却
    水流路面積を確保するように配置され、他端が冷却水通
    路の他の部分であって前記一端の位置する部分と冷却水
    圧力差を生じる部分に冷却水通路壁面との間に所定の冷
    却水流路面積を確保するように配置された通水管を有
    し、前記通水管は前記冷却水通路のシリンダヘッド部を冷却
    する部分の上流側と下流側を短絡し、 前記通水管を前記内燃機関のシリンダブロック内の互い
    に隣接したシリンダボア間に該シリンダボアの配列方向
    に略直角に貫通して配置したことを特徴とする内燃機関
    の冷却装置。
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