JP2891522B2 - ポリプロピレン樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ポリプロピレン樹脂組成物に関し、詳しく
は、臭気がなく透明性、成形性、耐衝撃性に優れたポリ
プロピレン樹脂組成物に関する。
〔従来の技術〕
ポリプロピレン樹脂は、化学的・物理的性質に優れ、
しかも安価である等の点で広く用いられており、用途も
工業分野から食品、医療等の容器まで多岐にわたってい
る。
しかし、ポリプロピレン樹脂は通常の成形方法では透
明性が悪いことから、ソルビトール系の造核剤を添加し
透明性の改良が行われて来た(特開昭56−30449、同56
−30450、同56−45934等)。
しかしながら、ソルビトール系の造核剤を添加したポ
リプロピレン樹脂は、臭気が悪くその用途が限定され、
例えば、食品の容器等の分野には問題があった。又、ソ
ルビトール系の造核剤にかえて、リン系の化合物を用い
る方法も提案されている(特公昭63−8980等)。
〔本発明が解決しようとする問題点〕
上述のリン系の化合物を用いると、確かに、臭気は改
良されるものの、透明性がソルビトール系の造核剤を用
いたものに比べ、ポリプロピレン樹脂の種類によっては
若干悪い場合があり、また成形性(ドローダウン)、耐
衝撃性も低く、そのために用途が限られる等の問題があ
った。
〔問題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結
果、ポリプロピレン樹脂にリン系の化合物を用いた組成
物とする場合、特定の熱可塑性エラストマーを添加する
ことにより、かかる問題を解決することを見出し、本発
明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、ポリプロピレン樹脂99〜70重量
部、エチレン・ブテン共重合体ゴム、プロピレン・ブテ
ン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ブテン共重合
体ゴムおよびこれらの混合物から選ばれた熱可塑性エラ
ストマー1〜30重量部および芳香族リン系化合物の金属
塩0.01〜3重量部とから成るポリプロピレン樹脂組成物
である。
本発明におけるポリプロピレン樹脂とは、プロピレン
の単独重合体またはプロピレンとエチレン、α−オレフ
ィンとのランダム共重合体、或いはこれらの混合物であ
り、更にはこれらとエチレン、α−オレフィンの単独あ
るいは共重合体を添加した混合物であり、通常、230℃
に於けるメルトフロー値(以下、MIと略記する)が、0.
3〜5g/10min程度のものである。ここでいうα−オレフ
ィンとは、炭素数4〜12のα−オレフィンであり、ブテ
ン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、
オクテン−1、4−メチルペンテン−1等が例示でき
る。
本発明に用いる熱可塑性エラストマーとは、エチレ
ン、プロピレン、ブテン−1から選ばれた2種以上の成
分から成るものであり、例えば、エチレン・ブテン共重
合体ゴム、プロピレン・ブテン共重合体ゴム、エチレン
・プロピレン・ブテン共重合体ゴム、およびこれらの混
合物が挙げられる。また、エチレン・プロピレン共重合
体ゴムは透明性が劣るため好ましくない。
上記したポリプロピレン樹脂と熱可塑性エラストマー
の混合割合は、ポリプロピレン樹脂99〜70重量部に対し
熱可塑性エラストマーが1〜30重量部であり、混合する
熱可塑性エラストマーの量が1重量部未満では、得られ
る樹脂組成物のシート成形性、耐衝撃性の改良効果が低
く、また30重量部を越えて添加しても、得られる樹脂組
成物の剛性及び耐熱性が低くなり、いずれの場合も好ま
しくない。
本発明に用いる芳香族リン系化合物の金属塩(以下、
リン系の化合物と略記)とは、リン系の化合物として種
々挙げられるが、中でも、アルカリ金属塩が好ましく、
例えば、ナトリウム−2,2′−メチレン−ビス−(4,6−
ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム
−2,2′−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフ
ェニル)フォスフェート、リチウム−2,2′−メチレン
−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェ
ート、リチウム−2,2′−エチリデン−ビス−(4,6−ジ
−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−
2,2′−エチリデン−ビス−(4−1−プロピル−6−
t−ブチルフェニル)フォスフェート等であり、中でも
ナトリウム−2,2′−メチレン−ビス−(4,6−t−ブチ
ルフェニル)フォスフェートが好ましく用いられる。こ
れらのリン系化合物の添加量は、ポリプロピレン樹脂と
熱可塑性エラストマーの合計量100重量部に対して、0.0
1〜3重量部の範囲であり、リン系化合物の添加量が、
0.01重量部未満の場合は、得られる樹脂組成物の透明性
の改良効果が低く、3重量部を越えて添加しても、得ら
れる樹脂組成物の透明性はそれ程向上せず、かえってコ
ストが高くなり、いずれの場合も好ましくない。
又、上記成分以外に、本発明の効果を著しく損なわな
い程度の酸化防止剤、中和剤、熱安定剤、紫外線安定
剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、核剤、有機・無機顔
料、その他各種の有機無機充填剤を用途に応じて添加す
ることができる。
本発明における樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂、
熱可塑性エラストマー、芳香族リン系化合物の金属塩及
び必要に応じた各種の添加剤を添加し、ヘンシェルミキ
サー等の公知の混合機で混合した後、押出機により押出
されてペレット化する事により得られるが、上記の添加
物を全てヘンシェルミキサー等で混合せず、例えば液状
物等は、押出時に、押出機のホッパー口、ベント口等よ
り添加しても本発明を達成することを妨げない。この様
にして得られた組成物は、透明性、臭気、成形性(ドロ
ーダウン)、耐衝撃性等が良好な事より、例えば、単層
あるいはエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリア
ミド樹脂との積層の容器を成形し、食品、医療品をはじ
め様々な用途に利用する事ができる。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。尚、以
下の記載において、 ・MI:g/10min ASTM D−1238 ・曲げ弾性率:kg/cm2 ASTM D−790 ・曲げ強さ:kg/cm2 ASTM D−790 ・デュポン衝撃値(23℃):kg・cm/1/2′φJIS K−6718 ・ヘイズ値:% ASTM D−1003 に準じて測定した。
・ドローダウン時間:秒 40mmφ下向きTダイ製膜機を用いて210℃で0.5mm厚み
のシートを作り、300×250mmのサイズにカットしたもの
を380℃に設定された真空成形機のシート溶融部分にセ
ットする。シートが溶融し、張り切ったときから35mm垂
れ下がるまでの時間。
実施例1 ポリプロピレン樹脂(MIが1.5g/10minのホモポリマ
ー、以下PP−Aと略記する。)95重量部にエチレン・ブ
テン共重合体ゴム(以下、ゴム−Aと略記する。)5重
量部とナトリウム−2,2′−メチレン−ビス−(4,6−ジ
−t−ブチルフェニル)フォスフェート(以下、リン系
化合物−Aと略記する。)0.1重量部を加え、さらに安
定剤としてステアリン酸カルシウム0.02重量部、ハイド
ロタルサイト0.05重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチ
ルフェニル)フォスフェート0.1重量部、1,3,5−トリメ
チル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン0.1重量部を添加し、ヘン
シェルミキサーで混合した後、40mmφ一軸押出機を用い
て250℃で押出てペレットを得た。この得られたペレッ
トの物性測定を行った結果を第1表に示す。
実施例2〜4、比較例1〜2 リン系化合物−Aの添加量を第1表に示す値とした他
は実施例1と同様に行った。結果を第1表に示す。
実施例5 PP−Aをエチレン含量が5.0wt%のプロピレン−エチ
レンランダム共重合体(MIは1.5g/10min、以下PP−Bと
略記する。)とした他は実施例2と同様に行った。結果
を第1表に示す。
実施例6〜7 PP−Bおよびゴム−Aの量を第1表に示す値とした他
は実施例5と同様に行った。結果を第1表に示す。
実施例8 ゴム−Aをプロピレン・ブテン共重合体ゴム(以下、
ゴム−Bと略記する。)とした他は実施例5と同様に行
った。結果を第1表に示す。
実施例9 PP−B、ゴム−A、ゴム−Bの量を第1表に示す値と
した他は実施例5と同様に行った。結果を第1表に示
す。
比較例3〜5 PP−B、ゴム−Aの量を第1表に示す値とした他は実
施例5と同様に行った。結果を第1表に示す。
〔発明の効果〕 本発明のポリプロピレン樹脂組成物は臭気がなく透明
性、成形性、耐衝撃性に優れ、特に食品、医療用等の樹
脂として広範な用途が期待でき、産業上優位である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 23:14) (56)参考文献 特開 昭63−243152(JP,A) 特開 昭63−146953(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 23/10 - 23/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリプロピレン樹脂99〜70重量部、エチレ
    ン・ブテン共重合体ゴム、プロピレン・ブテン共重合体
    ゴム、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体ゴムおよ
    びこれらの混合物から選ばれた熱可塑性エラストマー1
    〜30重量部および芳香族リン系化合物の金属塩0.01〜3
    重量部とから成るポリプロピレン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】ポリプロピレン樹脂が、プロピレンの単独
    重合体またはプロピレンとエチレン、α−オレフィンと
    のランダム共重合体、或いはこれらの混合物である請求
    項1記載のポリプロピレン樹脂組成物。
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