JP2891228B2 - 磁気ヘッドスライダ - Google Patents

磁気ヘッドスライダ

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JP2891228B2
JP2891228B2 JP9060934A JP6093497A JP2891228B2 JP 2891228 B2 JP2891228 B2 JP 2891228B2 JP 9060934 A JP9060934 A JP 9060934A JP 6093497 A JP6093497 A JP 6093497A JP 2891228 B2 JP2891228 B2 JP 2891228B2
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    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B5/00Recording by magnetisation or demagnetisation of a record carrier; Reproducing by magnetic means; Record carriers therefor
    • G11B5/48Disposition or mounting of heads or head supports relative to record carriers ; arrangements of heads, e.g. for scanning the record carrier to increase the relative speed
    • G11B5/58Disposition or mounting of heads or head supports relative to record carriers ; arrangements of heads, e.g. for scanning the record carrier to increase the relative speed with provision for moving the head for the purpose of maintaining alignment of the head relative to the record carrier during transducing operation, e.g. to compensate for surface irregularities of the latter or for track following
    • G11B5/60Fluid-dynamic spacing of heads from record-carriers
    • G11B5/6005Specially adapted for spacing from a rotating disc using a fluid cushion

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  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ヘッドスライ
ダにかかり、特に磁気ディスク装置に用いられるいわゆ
る負圧型の磁気ヘッドスライダに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気ディスク装置においては
情報の記録密度を向上させるために、磁気ヘッドと記録
媒体との間の隙間(以下「浮上量」という)の微小化
(低浮上量化)が図られている。この場合に、磁気ディ
スク装置自体の機械的信頼性を確保するためには、磁気
ヘッドスライダと記録媒体(磁気ディスク)との接触界
面に関わる問題が近年重要となっている。
【0003】磁気ディスク装置の機械的信頼性を劣化さ
せる要因の一つとしては、磁気ヘッドスライダと記録媒
体の相互間の空気軸受面(以下「ABS面」という)に
おいて、磁気ヘッドスライダと記録媒体との接触摺動に
より発生する摩耗粉(以下「塵埃」という)の影響が挙
げられる。
【0004】この塵埃の影響は、磁気ヘッドスライダの
低浮上量化に伴い、コンタクトスタートアンドストップ
(以下「CSS」という)時だけでなく、トラックアク
セス時や定常浮上時においても、磁気ヘッドスライダと
記録媒体とが接触摺動する機会が増大するため、より深
刻な問題となっている。
【0005】即ち、接触摺動により発生した塵埃が磁気
ヘッドスライダのABS面およびその側壁面に付着した
場合には、磁気ヘッドスライダの浮上特性が変化し、い
わゆるヘッドクラッシュと呼ばれる事態に陥る場合があ
る。また、塵埃が記録再生素子に付着すると記録媒体に
対する記録再生不良が発生する。また、磁気ヘッドスラ
イダと記録媒体との間に塵埃が噛み込まれる場合には、
記録媒体または磁気ヘッドスライダ自体の損傷や、磁気
ヘッドスライダと記録媒体相互の吸着などにより、磁気
ディスク装置が動作不能になる場合がある。
【0006】上記した塵埃の噛み込みや、磁気ディスク
装置の停止時における吸着防止を意図した磁気ヘッドス
ライダとして、特開平4−117680号公報(第1の
従来例)に開示されているものがある。これは、機械加
工によりスライダレール平面に、スライダレールに対し
て斜めに溝を形成した磁気ヘッドスライダについての発
明である。また、特開平4−67485号公報(第2の
従来例)には、ラッピング加工によりサイドレールのA
BS面に直線上の溝を多数設けた磁気ヘッドスライダが
開示されている。
【0007】また、特開平6−208772号公報(第
3の従来例)には、磁気ヘッドスライダの空気流の流入
側端部のテーパー面(チャンファ面)に、空気流方向と
垂直に溝加工を施し、当該溝によって摩耗粉や外部から
のダストなどを除去し、磁気ディスク装置のヘッドクラ
ッシュを防止する磁気ヘッドスライダが記載されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た各従来例にかかる磁気ヘッドスライダには以下のよう
な不都合があった。即ち、第1及び第2の従来例に記載
された磁気ヘッドスライダでは、サイドレールに形成さ
れた溝の側壁面に塵埃が付着・堆積することである。サ
イドレールの溝側壁面と溝底面のなす角度はその加工法
によりそれぞれ異なるが、概ね90度またはそれ以上と
なる。この溝側壁面と溝底面とのなす角度が大きいほ
ど、塵挨は側壁面に付着・堆積しやすく、この溝側壁面
への塵埃の付着および堆積は、ヘッドクラッシュを引き
起こす可能性を増大させる。
【0009】その理由は、溝側壁面に付着した塵埃がA
BS面に露出し、磁気ヘッドスライダの浮上特性を悪化
させるためである。また、堆積した塵埃塊が磁気ヘッド
スライダと記録媒体の相互間に噛み込まれやすくなるた
めである。
【0010】また、第3の従来例に記載された構造の磁
気ヘッドスライダは、高記録密度用の低浮上量型の磁気
ヘッドスライダとしては適さないことである。即ち、当
該磁気ヘッドスライダは、記録媒体から発生した塵埃を
テーパー部の溝部に取り込み、適当な大きさの塵埃塊と
して磁気ディスク上に落下させるように動作するもので
ある。しかしながら、近年の磁気ディスク装置では、浮
上量が0.1〔μm〕またはそれ以下の低浮上量の磁気
ヘッドスライダが利用されているため、記録媒体上の塵
埃塊はヘッドクラッシュの大きな要因となるためであ
る。
【0011】更に、第3の従来例に記載された磁気ヘッ
ドスライダの構造は、低浮上量の負圧型スライダに適用
できないことである。即ち、高記録密度化を意図した低
浮上量磁気ヘッドスライダでは、従来機械加工によって
テーパーまたはチャンファ加工されていた磁気ヘッドス
ライダに対して、より加工精度の高いイオンミリングな
どの加工手段が利用されているからである。このため、
当該従来技術に記載されたテーパー部分への溝加工は有
効とならない。
【0012】上記のように、各従来例にかかる磁気ヘッ
ドスライダは、磁気ヘッドスライダと磁気ディスクの接
触摺動に伴い発生する塵埃によるヘッドクラッシュを回
避するための対策が十分ではなかった。
【0013】
【発明の目的】本発明は上記した各従来例の有する不都
合を改善し、特に塵埃に起因する磁気ディスク装置の不
良を防止し、高い信頼性を有する磁気ヘッドスライダを
提供することを、その目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、請求項1記載の発明では、所定の記録再
生素子を担持すると共に稼働時に所定の空気流が一方の
面の近傍を通過するスライダ本体と、このスライダ本体
の一方の面に空気流に沿って予め形成した少なくとも一
対のサイドレールと、これら各サイドレールにおける空
気流の流入側端部の相互間に形成されるクロスレールと
を備えた磁気ヘッドスライダにおいて、各サイドレール
の一部領域に所定の凹溝を形成し、サイドレールの凹溝
を、スライダ本体の一方の面に略平行な底面と、サイド
レールの表面と底面間を連結する側壁面とにより形成す
ると共に、底面と側壁面とのなす角を90度未満とす
る、という構成を採っている。
【0015】以上のように構成されたことにより、磁気
ディスク装置が稼働し、磁気ヘッドスライダと記録媒体
との間に進入した塵埃は、一旦凹溝に取り込まれ、その
後凹溝を通過して磁気ヘッドスライダ外に排出される。
このため、磁気ヘッドスライダと記録媒体との間の塵埃
のかみこみが抑制される。また、塵埃が記録再生素子を
汚染することも防止される。また、塵埃が凹溝に取り込
まれ、この凹溝を形成する側壁面に付着した場合でも、
側壁面と底面の成す角が90より小さいため、塵埃は凹
溝の側壁面と底面により形成される窪み部分に収納さ
れ、よって、塵埃塊がABS面に露出することない。
【0016】請求項2記載の発明では、サイドレールの
凹溝を、サイドレールの長手方向に対して10度ないし
60度傾斜した方向に延設するという構成を採り、その
他の構成は請求項1記載の発明と同様である。以上のよ
うに構成されたことにより、磁気ヘッドスライダがシー
クのために記録媒体上を移動し、空気流にヨー角が発生
した場合でも、確実に塵埃を凹溝を通して排出できる。
【0017】請求項3記載の発明では、凹溝の最小幅を
少なくとも10〔μm〕以上とするという構成を採り、
その他の構成は請求項1記載の発明と同様である。以上
のように構成されたことにより、少なくとも発生した塵
埃は凹溝に取り込まれ外部に排出される。また、記録媒
体と磁気ヘッドスライダ間の正圧力も確実に保持でき
る。
【0018】請求項4記載の発明では、凹溝におけるサ
イドレールの表面から底面までの深さを5〔nm〕ない
し50〔nm〕とするという構成を採り、その他の構成
は請求項1記載の発明と同様である。以上のように構成
されたことにより、発生した塵埃は確実に凹溝に取り込
まれ外部に排出される。また、記録媒体と磁気ヘッドス
ライダ間の正圧力も確実に保持される。
【0019】請求項5記載の発明では、サイドレールに
形成されている凹溝の開口面積の割合を、サイドレール
及びクロスレールの全面積の3/5以下とするという構
成を採り、その他の構成は請求項1記載の発明と同様で
ある。以上のように構成されたことにより、サイドレー
ルの内ABS面として機能する面積が所定値以上に維持
される。このため、磁気ヘッドスライダと記録媒体の間
に適切な正圧力が生じ、磁気ヘッドスライダの浮上量が
所定値に維持される。
【0020】請求項6記載の発明では、スライダ本体及
びサイドレールを、Si、Al23TiC、SiC,S
iN、CaTiO3 のいずれかひとつの材料から構成す
るという構成を採り、その他の構成は請求項1記載の発
明と同様である。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態について図面
を参照して説明する。
【0022】図1及び図2は、本発明にかかる磁気ヘッ
ドスライダを示す。図1(A)は磁気ヘッドスライダを
サイドレールのABS面側から見た図である。また、図
2は図1(A)中のA−A線における断面図を示す。図
1に示すように、磁気ヘッドスライダ1は、所定の記録
再生素子6を担持すると共に、稼働時に一方の面の近傍
に所定の空気流10が流入して通過するスライダ本体1
aと、このスライダ本体1aの一方の面に空気流10に
沿って予め形成した少なくとも一対のサイドレール2
a,2bと、このサイドレール2a,2bの空気流の流
入側端部11の相互間に形成されるクロスレール4とを
備え、各サイドレール2a,2bの一部領域に所定の凹
溝3が形成されている。そして、サイドレールの凹溝
は、スライダ本体の一方の面に略平行な底面と、サイド
レールの表面と底面間を連結する側壁面とにより形成さ
れると共に、底面と側壁面とのなす角は90度未満とな
っている。
【0023】以下詳細に説明すると、スライダ本体1a
は例えば材質はSiから構成されており、その平面形状
は略矩形で所定の厚みを有する板状である。そして、空
気流10に沿った方向が長い長方形状である。但し、正
方形に形成する場合や空気流10の流れと垂直方向を長
く形成するようにしても良い。
【0024】また、スライダ本体1aの一方の面には、
空気流10に沿って一対のサイドレール2a,2bが予
め形成されている。このサイドレール2a,2bは、図
示しない記録媒体(磁気ディスク)との相互間でABS
(Air bearing surface)面として機能するものである。
本実施形態では、スライダ本体1aの左右両端にサイド
レール2a,2bが配置されているが、本発明はこれに
限定されるものではなく、左右両端部から少し中心側に
形成するようにしても良い。また、本実施形態では空気
流10の流れに平行に形成されているが、サイドレール
2a,2b自体を空気流10の方向に対してわずかに傾
斜させるようにしてもよい。
【0025】また、スライダ本体1aの空気流10の流
入側の端部には所定のクロスレール4が形成されてい
る。このクロスレール4は、より詳しくはサイドレール
2a,2bの先端部の相互間に形成されている。このた
め、サイドレール2a,2b及びクロスレール4によっ
て、スライダ本体1aの一方の面にコ字状の隆起部が形
成される。
【0026】磁気ヘッドスライダ1の一対のサイドレー
ル2a,2bには、空気流10の流入端11から流出端
12に向かい、且つスライダ本体1aの中心から左右に
向かって斜めに凹溝3が延設されている。ここで、図1
のA−A線における断面図を示す図2から判るように、
凹溝3の断面は凹溝3の側壁面3aと凹溝3の底面3b
のなす角3c、即ち、凹溝3の側壁面3aの傾斜角度が
90度より小さくなるように形成されており、凹溝3は
側壁面3a方向に窪んだ形状になっている。これによ
り、凹溝3自体は全体として略台形状となっている。
尚、本実施形態の凹溝3は左右対称の台形状になってい
るが、本発明はこれに限定されるものではなく、左右非
対称の形状であってもよい。
【0027】次に凹溝3の開口部の形状の変形例につい
て図面を参照して説明する。図3から図7は、本発明を
適用した磁気ヘッドスライダをABS面側から見た図で
ある。図3において、形成される凹溝23の方向は、凹
溝23の延設方向とサイドレール22a,22bの長手
方向とのなす角22が、10度以上60度以下であるこ
とが好ましい。
【0028】この角度22が10度より小さい場合や6
0度より大きい場合は、磁気ディスク装置の稼働時に、
磁気ヘッドスライダに対して空気流10のヨー角がつい
た状態では、凹溝23による塵埃の排出効果が弱まるた
めである。ここで、ヨー角について簡単に説明すると、
磁気ヘッドスライダ21が図示しない記録媒体上をシー
クする場合に、磁気ディスクを半径方向に移動する。こ
のとき、磁気ヘッドスライダ21はヘッド支持アーム
(図示略)によって支持されているので、シークに伴っ
て空気流10の流れと磁気ヘッドスライダ21の長手方
向との間に僅かな角度差が生じる。即ち、空気流10は
磁気ヘッドスライダの長手方法に対してわずかに斜めに
流れる。このときの角度をヨー角という。
【0029】ここで、凹溝23の幅および深さそして凹
溝の本数は、磁気ヘッドスライダ21の大きさ、サイド
レール(ABS面)22a,22bの形状によって最適
値を持つが、凹溝23の最小幅は10〔μm〕以上であ
ることが好ましい。また、凹溝23の深さ(底面からサ
イドレールの表面まで)は50〔nm〕以下であること
が好ましい。その理由は、これ以外の範囲では塵埃排出
効果が弱まり、なおかつ磁気ヘッドスライダ21の浮上
特性を均一に保つことが困難になるためである。
【0030】また、凹溝23の本数は凹溝23の幅によ
っても異なるため、特に制限されることはない。しか
し、凹溝23の開口面積は、サイドレール22a,22
bとクロスレール4を加えた総面積の3/5以下である
ことが好ましい。これは、余り広い面積の凹溝を形成し
た場合には、磁気ディスク(図示略)とABS面との間
の正圧力が弱まり、磁気ヘッドスライダ21自体の記録
媒体に対する浮上量が著しく低下するためである。
【0031】また、凹溝の形状は、図4に示したよう
に、磁気ヘッドスライダ31の中央部から外側に向かい
徐々に凹溝33の幅が変化する形状であってもよい。ま
た、図5に示すように、サイドレール42a,42bの
各凹溝43の形状は相互に均一である必要はなく、それ
ぞれ異なった形状であってもよい。また、両サイドレー
ル42a,42bでの凹溝43の形状の左右対称性につ
いては特に制限はなく、図4に示すように、左右対称で
あってもよいし、図6に示すように非対称に形成しても
よい。特に図6は、各凹溝53がサイドレール52a,
52bの長手方向に対して、それぞれ同一の傾斜角度で
形成されている場合である。
【0032】また、磁気ヘッドスライダの記録再生素子
は、図1に示すように、サイドレール2a,2bの空気
流10の流出端12に配設されている。この記録再生素
子6は、各サイドレール2a,2bのいずれか一方にの
み装備しても良いし、または両方に装備してもよい。更
には、図7に示すように、磁気ヘッドスライダ61の空
気流10の流出端12の概略中央部に記録再生素子66
が搭載されたセンターパッド67を設けるようにしても
良い。
【0033】また、磁気ヘッドスライダの材質は、磁気
ヘッドスライダの形状に加工可能な材料であれば特に制
限されない。より詳細には、Siが好ましい。これは、
ABS面および凹溝の形状に関して微細な加工に適して
いるからである。また、Al23・TiC、CaTiO
3、SiC、SiNなどでもよい。これらの材料は、磁
気ヘッドスライダに一般に利用されているため、機械的
耐久性および加工性に優れ、加工条件を比較的容易に選
択できるからである。
【0034】次に、図1の磁気ヘッドスライダ1の動作
について図面を参照して説明する。磁気ディスク装置
(図示略)の稼働中には、空気流10の流入端11側か
ら流出端12側に向かって磁気ヘッドスライダ1と記録
媒体(図示略)との間に進入した塵埃の大部分は、凹溝
3に取り込まれた後、凹溝3の延設方向に沿って誘導さ
れ、凹溝3内を通過して磁気ヘッドスライダ1の外に排
出される。仮に、塵埃が凹溝3の側壁面3aに付着した
場合でも、凹溝3の側壁面3aと凹溝3の底面3bとか
ら形成される窪み部分に塵埃が格納される。
【0035】よって本発明によれば、磁気ヘッドスライ
ダ1と記録媒体との間に進入した塵埃は、凹溝3を通過
して磁気ヘッドスライダ1の外へ排出されるため、磁気
ヘッドスライダ1が記録媒体との間に塵埃をかみ込むこ
とがなくなり、いわゆるヘッドクラッシュおよび記録媒
体との吸着現象を有効に防止でき、磁気ディスク装置の
信頼性が向上する。
【0036】また、発生した塵埃が凹溝3に付着した場
合でも、凹溝3の断面が略台形状に形成されているの
で、塵埃がABS面に露出することがなくなる。このた
め、ABS面近傍に塵埃が付着することもなく、磁気ヘ
ッドスライダ1の浮上特性を長期間にわたり安定化させ
ることができる。また、塵埃が記録再生素子6に付着す
ることもなく、記録再生動作が確実に行われる。よっ
て、磁気ディスク装置の信頼性が向上する。
【0037】次に、本発明の第2の実施形態について図
面を参照して説明する。図8を参照すると、凹溝83の
側壁面83aは一定の角度で傾斜した構造でなくとも、
図8に示すように段階的に窪んだ形状であってもよい。
このような形状でれば、磁気ヘッドスライダ81と記録
媒体(図示略)との間に進入した塵埃は磁気ヘッドスラ
イダ81の外に排出されると共に、塵埃塊は側壁面83
aに付着しても、ABS面(ABS面)には突出しな
い。
【0038】より詳しくは、凹溝83の側壁面83aと
底面83bとは、底面83b近傍では相互のなす角が略
直角となっている。しかしながら、凹溝83を形成する
側壁面83aの一部分を延長した方向と凹溝83の底面
83bとのなす角は、90度より小さくなっている。本
実施形態では、側壁面83aの中間領域に上記した傾斜
部83dを設けると共に、凹溝83のサイドレール82
aの表面近傍の側壁面については、底面83bとのなす
角が90度より僅かに小さい角度となっている。以上の
ように構成した場合、凹溝83の側壁面83aに塵埃が
付着した場合でも、ABS面に塵埃塊が突出することは
ない。
【0039】
【実施例】以下に、本発明の具体的実施例を図を参照し
て詳細に説明する。図9から図12は本発明にかかる磁
気ヘッドスライダを用いた場合の、磁気ディスク装置の
機械的耐久性試験結果である。
【0040】磁気ヘッドスライダは、Siを基板材料と
して作成し、ABS面の加工およびチャンファステップ
(空気流の流入端)の加工は、Arガスを用いたイオン
ミリングにより行った。イオンミリング加工において、
Arガスのガス圧は0.2〔mTorr〕、加速電圧は
500〔V〕、電流密度は0.6〔mA/cm2〕 の各
条件で行った。
【0041】また、凹溝の加工は反応性イオンエッチン
グにより行い、反応ガスとしてCF4 を用い、添加ガス
にO2 をそれぞれ用い、高周波電力100〔W〕、電力
密度1.3〔W/cm2〕、ガス圧0.02〔Tor
r〕の条件で加工を行った。凹溝の底面と側壁面とのな
す角は、それぞれのガスの分圧及びエッチング時間を各
種調整することにより変化させた。
【0042】図9は、凹溝の深さを30〔nm〕、凹溝
の幅を100〔μm〕に設定し、凹溝の底面と側壁面と
のなす角をパラメータとして変化させた場合の、磁気ヘ
ッドスライダの機械的耐久性試験を行った試験結果を示
す図表である。この機械的耐久性試験の条件としては、
記録媒体の全トラックにわたる72時間の繰り返しシー
ク試験(以下「シーク試験」という)と、0.2〔To
rr〕の減圧条件で24時間同一トラックについて接触
摺動試験(以下「摺動試験」という)を行い、それぞれ
試験についてヘッドクラッシュの頻度を調べた。
【0043】図9に示すように、凹溝の底面と側壁面と
のなす角が90度以上では、シーク試験時または摺動試
験時の磁気ヘッドスライダと記録媒体との接触により発
生した塵埃が凹溝の側壁面に堆積し、これがサイドレー
ルのABS面近傍に生じ、ヘッドクラッシュが発生し
た。特に、摺動試験のような連続した摺動状態ではその
影響が顕著に見られた。
【0044】一方、凹溝の底面と側壁面とのなす角が9
0度より小さい場合は、いずれの機械的耐久性試験にお
いても、ほとんどヘッドクラッシュが起こらず、良好な
機械的耐久性を示した。また、機械的耐久性試験の前後
で記録再生特性を調べた結果、凹溝の底面と側壁面との
なす角が90度未満の範囲では、試験の前後で記録再生
特性の低下は見られなかった。これは、凹溝の形状によ
り塵埃が磁気ヘッドスライダの外へ排出され、或いは凹
溝の側壁面の窪み部に塵埃が適切に収納され、記録再生
素子に塵埃が付着することがないことに起因する。
【0045】次に、第2の実施例として、上記第1の実
施例と同様にして作製した磁気ヘッドスライダにおい
て、凹溝の深さをパラメータとして変化させて、機械的
耐久性試験を行った場合の結果について説明する。ここ
で、凹溝の底面と側壁面とのなす角は80度、凹溝の幅
は100〔μm〕である。
【0046】図10は凹溝の深さに対する各機械的耐久
性試験におけるヘッドクラッシュ率を示した図表であ
る。凹溝の深さが浅い場合には、凹溝の容積が小さく塵
埃の排出効果が弱いためヘッドクラッシュが発生した。
また、凹溝の深さが50〔nm〕を越える場合は、磁気
ヘッドスライダ自体の記録媒体に対する浮上量が低下
し、浮上量の均一性も悪化したため、機械的耐久性が著
しく悪化した。一方、凹溝の深さが10〔nm〕から5
0〔nm〕の範囲においては、ヘッドクラッシュは発生
せず、磁気ディスク装置の機械的耐久性を向上させるこ
とができる。
【0047】次に、第3の実施例として第1の実施例と
同様にして作製した磁気ヘッドスライダを用いて、凹溝
の幅をパラメータとして変化させた場合の、機械的耐久
性試験結果について、図11に基づいて説明する。使用
した磁気ヘッドスライダは、凹溝の底面と側壁面とのな
す角は80度、凹溝深さは30〔nm〕である。図11
から判るように、凹溝の幅が狭い場合は、凹溝内での塵
埃の流動性が悪く、塵埃がサイドレールの表面近傍の側
壁面に堆積しやすいため、特に摺動試験で機械的耐久性
が悪化した。また、サイドレールに凹溝を設けると、サ
イドレールのABS面と記録媒体との相互間に生じる正
圧力が低下するため、凹溝の幅が余り広い場合には浮上
量が低下する。これにより、シーク時に磁気ヘッドスラ
イダが記録媒体と強く接触するようになり、シーク時の
機械的耐久性が悪化した。
【0048】図11に示すように、凹溝の幅が10〔μ
m〕以上200〔μm〕以下の範囲においては機械的耐
久性が向上した。尚、凹溝の幅の上限値は磁気ヘッドス
ライダ全体の大きさおよび凹溝の本数に依存する。当該
機械的耐久性試験に用いた磁気ヘッドスライダの大きさ
は、長手方向の長さが約1.3〔mm〕、短手方向長さ
が1.0〔mm〕、厚さは0.3〔mm〕であり、凹溝
の本数は両側のサイドレールについてそれぞれ3本であ
った。この場合、凹溝の幅が200〔μm〕を越える
と、磁気ヘッドスライダの一方の面からみた凹溝の開口
総面積は、サイドレール及びクロスレールを加えた総面
積の約60%以上となる。このことにより、良好な機械
的耐久性を実現するためには、凹溝の幅の上限値は、サ
イドレール及びクロスレールの総面積に対し、凹溝の総
面積が60%以下となる広さを一つの目安とすべきであ
ると言える。
【0049】また、この機械的耐久性試験に供した磁気
ヘッドスライダを用いて、10万回のCSS(コンタク
トスタートアンドストップ)試験を行ったところ、凹溝
の幅が400〔μm〕以下で良好なCSS特性を示し
た。ここで、良好なCSS特性とは、磁気ヘッドスライ
ダが記録媒体に吸着しないことをいう。
【0050】凹溝の有無についてCSS特性を比較する
と、凹溝を設けない場合、すなわち凹溝の幅が0〔μ
m〕の場合は、試験の前後で動摩擦係数および静摩擦係
数の増加率はそれぞれ34%および60%であった。し
かしながら、凹溝を設けた磁気ヘッドスライダの場合に
は、試験の前後での各摩擦係数の増加率は最大でもそれ
ぞれ22%および37%であった。このように、本発明
は磁気ヘッドスライダと記録媒体との間の摩擦力を低減
し、記録媒体に対する磁気ヘッドスライダの吸着を防止
する効果がある。
【0051】次に、第4の実施例として、既に図3に示
した磁気ヘッドスライダを用い、サイドレールの長手方
向に対する凹溝の傾斜角度をパラメータとして種々変化
させた場合の、機械的耐久性試験の結果を図12に基づ
いて説明する。
【0052】ここで、磁気ヘッドスライダは第1の実施
例と同様にして作製した。即ち、凹溝の底面と側壁面と
のなす角は80度、凹溝の深さは30〔nm〕、凹溝の
幅は100〔μm〕である。図12は、凹溝の各傾斜角
度に対する機械的耐久性試験におけるヘッドクラッシュ
率を示す図表である。この図12から判るように、凹溝
のサイドレールの長手方向に対する傾斜角度が60度を
超える場合には、いずれの試験においてもヘッドクラッ
シュが発生した。
【0053】これは、記録媒体上をシークする場合に、
磁気ヘッドスライダが記録媒体の半径方向に移動し、こ
の結果磁気ヘッドスライダに対して空気流にヨー角がつ
いた場合に、塵埃が十分に排出されなくなるためと考え
られる。従って、凹溝のサイドレール長手方向に対する
傾斜角度が60度以下の範囲で、機械的耐久性が向上す
る。
【0054】次に、第5の実施例として、Al23Ti
Cを基板材料として磁気ヘッドスライダを作成し、本発
明を適用した結果について説明する。ABS面の加工お
よびチャンファステップの加工は、第1の実施例と同様
の条件で、Arイオンミリングにより行った。また、凹
溝の加工は高周波誘導結合型プラズマエッチングによ
り、反応性ガスにCF4を用いて行った。
【0055】ここでは、凹溝の深さは40〔nm〕、凹
溝の幅は200〔μm〕、凹溝の底面と側壁面とのなす
角は85度で構成された磁気ヘッドスライダと、凹溝が
全く形成されていない磁気ヘッドスライダを比較のため
に用いた。また、両磁気ヘッドスライダにおいて、AB
S面の形状は両者とも同一である。上記した両磁気ヘッ
ドスライダを用いた機械的耐久性試験では、凹溝を設け
た磁気ヘッドスライダの場合は、シーク試験,摺動試験
のいずれの機械的耐久性試験においてもヘッドクラッシ
ュは生じなかった。
【0056】一方、全く凹溝を設けない場合のヘッドク
ラッシュ率は、シーク試験において約10%、摺動試験
において約33%であった。すなわち、Al23TiC
材からなる磁気ヘッドスライダに対しても、所定の凹溝
を設けることにより機械的耐久性が向上した。また、S
iC、SiN、CaTiO3、フェライト,ZrO2から
なる磁気ヘッドスライダに対しても同様の効果を生じ
る。
【0057】以上の実施例に示した磁気ヘッドスライダ
を用い、10万回のCSS試験を行った結果、良好なC
SS特性を示すことが確認されている。また、機械的耐
久性試験の前後で記録再生素子の記録再生特性が悪化す
ることはなかった。
【0058】本発明の特定の実施例において、凹溝の形
成方法は反応性ガスにCF4とO2を用いた反応性イオン
エッチングと、CF4 を用いた高周波誘導結合型プラズ
マエッチングであったが、本発明は特にその方法に限定
されることなく、例えば反応性ガスとしては、上記ガス
以外にも、CCl22,C26,NF3,SF6、CBr
3等、添加ガスとしてO2以外にH2,26,Cl2,C
l、およびこれらを混合したものが利用できる。
【0059】また、加工方法としては、リアクティブイ
オンビーム加工、レーザーアシストエッチング、ECR
プラズマエッチング、ヘリコン波プラズマエッチングお
よびウエットエッチングなどの加工法を利用してもよ
い。
【0060】本発明の特定の実施例では、各サイドレー
ルに3本の凹溝が設けられた磁気ヘッドスライダについ
て記述したが、本発明は凹溝の本数に特に限定されるも
のではないことは明らかである。また、本発明は磁気ヘ
ッドスライダのABS面の保護被膜の有無によらず、同
様の効果がある。さらに、本発明は磁気ヘッドスライダ
の全体の大きさによらず効果があることは明らかであ
る。
【0061】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成され機能
し、請求項1記載の発明によれば、サイドレールに所定
の凹溝を設け、この奥部の底面と側壁面とのなす角を9
0度未満としたので、磁気ヘッドスライダと記録媒体と
の相互間に進入した塵埃を凹溝を通して磁気ヘッドスラ
イダ外へ排出することができる。このため、磁気ヘッド
スライダと記録媒体との接触摺動により発生する塵埃の
影響による磁気ディスク装置の機械的耐久性悪化を有効
に防止することができる、という優れた効果を生じる。
また、凹溝を形成したことにより、記録媒体との接触面
積が減少するため相互間の摩擦力が低減され、吸着現象
が有効に防止される、という優れた効果を生じる。ま
た、塵埃が凹溝の側壁面に付着した場合でも、凹溝の窪
み部に塵埃が収納されるため、ABS面に塵埃塊が突出
することがない、という優れた効果を生じる。
【0062】請求項2記載の発明では、凹溝をサイドレ
ールの長手方向に対して所定の傾斜角方向に延設したの
で、凹溝に取り込まれた塵埃塊が円滑且つ効率よく磁気
ヘッドスライダの外部に排出される、という優れた効果
を生じる。
【0063】請求項3記載の発明では、凹溝の最小幅を
10〔μm〕以上としたので、発生した塵埃を凹溝内に
確実に取り込んで磁気ヘッドスライダの外部に排出する
ことができる、という優れた効果を生じる。
【0064】請求項4記載の発明では、凹溝の深さを所
定範囲としたことで、塵埃塊を排出するための充分な凹
溝の容積を確保できると共に、記録媒体との間に生じる
正圧力を適正に保持できるので磁気ヘッドスライダ自体
の記録媒体に対する浮上量を均一に保つことができる、
という優れた効果を生じる。
【0065】請求項5記載の発明では、凹溝の開口面積
をサイドレールとクロスレールの面積の3/5以下とし
たので、磁気ヘッドスライダと記録媒体との相互間に生
じる空気流の正圧力を充分に保持でき、磁気ヘッドスラ
イダを安定して浮上させることができる、という優れた
効果を生じる。
【0066】更に、請求項6記載では、磁気ヘッドスラ
イダをSi等の材料を用いて形成することとしたので、
性能及び強度に優れた磁気ヘッドスライダを安価に構成
することができる、という優れた効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す図であり、図1
(A)は磁気ヘッドスライダをサイドレール側から見た
平面図であり、図1(B)は磁気ヘッドスライダを空気
流の流出端側からみた側面図である。
【図2】図1に開示した磁気ヘッドスライダの凹溝を示
す断面図である。
【図3】本発明の磁気ヘッドスライダの変形例を示す平
面図である。
【図4】本発明の磁気ヘッドスライダの他の変形例を示
す平面図である。
【図5】本発明の磁気ヘッドスライダの他の変形例を示
す平面図である。
【図6】本発明の磁気ヘッドスライダの他の変形例を示
す平面図である。
【図7】本発明の磁気ヘッドスライダの他の変形例を示
す平面図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示す断面図である。
【図9】凹溝の底面と側壁面のなす角を変数としたとき
のヘッドクラッシュの発生割合を示す図である。
【図10】凹溝の深さを変数としたときのヘッドクラッ
シュの発生率を示す図である。
【図11】凹溝の幅を変数としたときのヘッドクラッシ
ュの発生率を示す図である。
【図12】凹溝の延設方向とサイドレールの長手方向と
のなす角を変数としたときのヘッドクラッシュの発生率
を示す図である。
【符号の説明】
1 磁気ヘッドスライダ 2a,2b サイドレール 3 凹溝 3a 側壁面 3b 底面 3c 側壁面と底面のなす角 4 クロスレール 6 記録再生素子 10 空気流 11 空気流入端 12 空気流出端

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の記録再生素子を担持すると共に稼
    働時に所定の空気流が一方の面の近傍を通過するスライ
    ダ本体と、このスライダ本体の一方の面に前記空気流に
    沿って予め形成した少なくとも一対のサイドレールと、
    これら各サイドレールにおける前記空気流の流入側端部
    の相互間に形成されるクロスレールとを備えた磁気ヘッ
    ドスライダにおいて、 前記各サイドレールの一部領域に所定の凹溝を形成し、
    この凹溝を、前記スライダ本体の一方の面に略平行な底
    面と、前記サイドレールの表面と前記底面間を連結する
    側壁面とにより形成すると共に、前記底面と側壁面との
    なす角を90度未満としたことを特徴とする磁気ヘッド
    スライダ。
  2. 【請求項2】 前記サイドレールの凹溝を、サイドレー
    ルの長手方向に対して10度ないし60度傾斜した方向
    に延設したことを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド
    スライダ。
  3. 【請求項3】 前記凹溝の最小幅を少なくとも10〔μ
    m〕以上としたことを特徴とする請求項1記載の磁気ヘ
    ッドスライダ。
  4. 【請求項4】 前記凹溝におけるサイドレールの表面か
    ら底面までの深さを5〔nm〕ないし50〔nm〕とし
    たことを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッドスライ
    ダ。
  5. 【請求項5】 前記サイドレールに形成されている凹溝
    の開口面積の割合を、前記サイドレール及びクロスレー
    ルの全面積の3/5以下としたことを特徴とする請求項
    1記載の磁気ヘッドスライダ。
  6. 【請求項6】 前記スライダ本体及びサイドレールを、
    Si、Al23TiC、SiC,SiN、CaTiO3
    のいずれかひとつの材料から構成したことを特徴とする
    請求項1記載の磁気ヘッドスライダ。
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