JP2890227B2 - 駐車装置の車両搬送台車 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、駐車装置の車両搬送台
車の改良に関し、特に位置決め対策に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に、車両搬送台車を駐車部に設けら
れた走行路に沿って目的の駐車棚のところまで走行さ
せ、該駐車棚との間で車両を受け渡すようにした駐車装
置においては、例えば実開平３―１３０８６５号公報に
開示されているように、車両を入庫する場合には、入出
庫口に入った入庫車両をエレベータの昇降台上の空パレ
ットに受け渡し、上記昇降台を所定の駐車部で待機中の
車両搬送台車のところまで下降させて入庫車両をパレッ
トごと上記車両搬送台車に受け渡し、該車両搬送台車を
目的の駐車棚のところまで走行させて入庫車両をパレッ
トごと駐車棚に格納するようになされている。

【０００３】一方、車両を出庫する場合には、車両搬送
台車を目的の駐車棚のところまで走行させて出庫車両を
パレットごと駐車棚から受け取り、上記車両搬送台車を
エレベータの待機中の昇降台のところまで走行させて出
庫車両をパレットごと昇降台に受け渡し、該昇降台を入
出庫口のところまで上昇させて出庫車両を入出庫口から
出庫するようになされている。

【０００４】ところで、一般には、駐車棚と車両搬送装
置との間で車両を受け渡す際、駐車棚に対し車両搬送台
車を位置決めすることにより、両者間において車両をス
ムーズに受け渡すようになされている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、実際には、
各駐車棚の上面レベルは構築上の問題等から各駐車棚ご
とに少しずつバラツキがあるため、駐車棚によっては車
両搬送台車との間で段差が生じ、両者間における車両の
受渡しに支障をきたすおそれがある。

【０００６】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、車両搬送台車と駐車棚
との位置決めに関する係合関係を適正に設定することに
より、駐車棚ごとに三次元方向の位置決めを行い、駐車
棚の上面レベルのバラツキに左右されることなく各駐車
棚と車両搬送台車との間の段差をなくして両者間におい
て車両を支障なくスムーズに受け渡さんとすることにあ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、駐車装置の駐車部に設けられた走行路を
走行し、該走行路に沿って設けられた複数の駐車棚との
間で車両を受け渡す車両搬送台車を対象とし、次のよう
な解決手段を講じた。

【０００８】すなわち、本発明の第１の解決手段は、基
台と、該基台に昇降可能に支持された移載台とを設け
る。さらに、上記各駐車棚の係止部に上方から係合して
三次元方向の位置決めをする係合部を上記移載台に設け
たことを特徴とする。

【０００９】本発明の第２の解決手段は、第１の解決手
段において、各駐車棚に納められたパレット裏面のラッ
クに突出状態で噛合するピニオンを下方退避位置と上方
突出位置との間を上下方向に移動可能なように移載台に
支持する。さらに、上記ピニオンを上下方向に移動させ
る移動手段と、ピニオンを回転させる回転手段とを上記
移載台に設けたことを特徴とする。

【００１０】

【作用】上記の構成により、本発明の第１の解決手段で
は、車両搬送台車が走行路を走行して目的の駐車棚のと
ころに来ると、基台に昇降可能に支持された移載台が下
降してその係合部が上記駐車棚の係止部に上方から係合
し、該駐車棚に対する車両搬送台車の三次元方向の位置
決めがなされる。

【００１１】このことから、複数の駐車棚の上面レベル
のバラツキに左右されることなく各駐車棚と車両搬送台
車との間の段差がなくなり、両者間において車両が支障
なくスムーズに受け渡される。

【００１２】本発明の第２の解決手段では、上述の如く
駐車棚に対して車両搬送台車の三次元方向の位置決めが
行われると、ピニオンが移動手段により下方退避位置か
ら上方突出位置に上方移動させられて突出し、上記駐車
棚に納められたパレット裏面のラックに噛合する。この
噛合状態で、上記ピニオンが回転手段により回転させら
れ、パレットが上記駐車棚から車両搬送台車の移載台に
受け渡される。また、上記ピニオンを上記と逆方向に回
転させることにより、パレットが車両搬送台車の移載台
から駐車棚に受け渡される。

【００１３】このようにラック＆ピニオン機構によりパ
レットの受渡しが行われることから、パレットが駐車棚
と車両搬送台車との間で確実に受け渡される。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１５】図４は駐車装置Ａを示す。同図において、
１は横長矩形の構築物、２，２は該構築物１で構成され
る駐車部３内に設けられ、長手方向に延びる走行路、
４，４は該各走行路２の片側に昇降可能に設けられ、車
両Ｃ（図２および図３に表われる）を搭載したパレット
Ｐを入出庫口（図示せず）と上記駐車部３との間で出入
れするエレベータであって、該各エレベータ４の両側に
は複数の駐車棚５，５，…が上記各走行路２に沿って配
置されている。

【００１６】上記各走行路２には２条のレール６，６が
敷設され、本発明の実施例に係る２台の車両搬送台車
Ｂ，Ｂが上記レール６，６に車輪７，７，…（図１ない
し図３に表われる）を乗せて各走行路２を走行し、目的
の駐車棚５との間で車両ＣをパレットＰごと受け渡すよ
うになされている。

【００１７】図１ないし図３に示すように、上記各車両
搬送台車Ｂは、上記車輪７，７，…が回転自在に取り付
けられた基台８を備えてなり、該基台８には、移載台９
がその前後方向両端側で各々Ｘ字状に組まれた２組の支
持アーム１０，１０によって支持され、該移載台９は図
示しないモータの正逆転駆動により昇降するようになさ
れている。

【００１８】本発明の特徴として、上記移載台９の両側
面には係合部としての係合ブロック１４が２つずつ合計
４つ突設され、該各係合ブロック１４は両側面１４ａ，
１４ａが下方に行くに従って互いに接近するように逆三
角形状に形成され、かつ正面１４ｂが下方に行くに従っ
て移載台９側面に接近するように、つまり突出寸法が下
方に行くに従って小さくなるように形成されている。

【００１９】一方、上記各走行路２両側の互いに向かい
合う駐車棚５，５又は駐車棚５と構築物１の対向壁上端
には、上記移載台９の各係合ブロック１４の形状に対応
する係止部としての係止溝１５が２つずつ形成され、該
各係止溝１５に上記各係合ブロック１４を上方から係合
させることにより、各係合ブロック１４の正面１４ｂで
車両搬送台車Ｂの左右方向の位置決めを、両側面１４
ａ，１４ａで車両搬送台車Ｂの前後方向および上下方向
の位置決めを各駐車棚５に対して行うようになされてい
る。

【００２０】上記移載台９の一方の側面の前後２箇所に
はＬ字形のアーム１６，１６が軸１７を回転中心として
上下方向に移動可能に支持され、該各アーム１６の一端
には第１ピニオン１８が回転可能に取り付けられている
一方、他端には移載台９に取り付けられた移動手段とし
ての揺動シリンダ１９のピストンロッド１９ａ先端が連
結されていて、上記第１ピニオン１８を揺動シリンダ１
９の収縮作動により図１反時計回り方向に回転させて移
載台９から側方に突出しないように下方に退避させる一
方、揺動シリンダ１９の伸張作動により図１時計回り方
向に回転させて移載台９から側方に突出させるようにな
されている。そして、上記各第１ピニオン１８は、下方
退避位置から上方突出位置に移動して移載台９側方に突
出した状態で、各駐車棚５に納められたパレットＰ裏面
の第１ラック２０，２０に噛合するようになされてい
る。

【００２１】また、上記移載台９の裏側には回転手段と
してのモータ２１が設置され、該モータ２１は上記両ア
ーム１６，１６の軸１７にスプロケット２２，２３およ
びチェーン２４を介して駆動連結されている。さらに、
上記軸１７の両端にはスプロケット２５が取り付けら
れ、該スプロケット２５は各第１ピニオン１８のアーム
１６連結部に取り付けられた２つのスプロケット２６，
２７のうち一方のスプロケット２６にチェーン２８によ
って駆動連結されていて、上記モータ２１の正逆転駆動
により両第１ピニオン１８，１８を正逆転させるように
なされている。また、上記移載台９上面の前後には２つ
の第２ピニオン２９，２９が回転可能に配置され、該各
第２ピニオン２９にはスプロケット３０が取り付けら
れ、該スプロケット３０は上記他方のスプロケット２７
にチェーン３１によって駆動連結されていて、上記第２
ピニオン２９，２９をモータ２１の正逆転駆動により両
第１ピニオン１８，１８と同期して正逆転させるように
なされている。

【００２２】さらに、上記移載台９の上面および各駐車
棚５の支持ブロック３９，３９には、複数のフリーロー
ラ３２，３２，…が上記パレットＰの各第１ラック２０
内側に対応するようにそれぞれ２列に配置され、各駐車
棚５と車両搬送台車Ｂとの間でパレットＰを受け渡す際
にパレットＰを移動方向に案内するようになされてい
る。また、上記移載台９上面の前後２箇所には位置決め
ピン３３，３３が図示しない作動機構により出没可能に
配置され、該各位置決めピン３３はパレットＰを受け渡
すときには没入してパレットＰの移動を阻害しないよう
にしている一方、パレットＰが移載台９に乗っていると
きには突出してパレットＰを移載台９に位置決めするよ
うになされている。

【００２３】一方、上記各駐車棚５の支持ブロック３
９，３９にはラッチ３４，３４がその係合爪３４ａを上
方に向けて軸３５に回動自在に取り付けられ、各駐車棚
５にパレットＰがある状態ではパレットＰ裏面に設けら
れた第２ラック３６，３６に係合してパレットＰの走行
路２側への移動を規制してパレットＰを正規の位置に位
置付けるようになされている。この各ラッチ３４の第２
ラック３６への係合状態はパレットＰを受け渡す際には
解除しなければならない。それには、移載台９側の各第
１ピニオン１８にロッド３７を突設しておき、パレット
Ｐの受渡しに際し上記各第１ピニオン１８が上方突出位
置に移動することにより、上記ロッド３７で各ラッチ３
４の下端を上方に押し上げて該各ラッチ３４の第２ラッ
ク３６への係合状態を解除するのである。

【００２４】なお、各駐車棚５の各係止溝１５両側には
透過形の光電管等からなる検知センサ３８，３８が埋設
され、該両検知センサ３８，３８により係合ブロック１
４，１４が係止溝１５，１５に係合したことを、つまり
移載台９と各駐車棚５との上面レベルが同じになったこ
とを検知し、この検知信号に基づいて揺動シリンダ１９
およびモータ２１を作動させるようになされている。

【００２５】次に、上記実施例に係る車両搬送台車Ｂに
より車両Ｃを出庫する要領について説明する。

【００２６】まず、車両搬送台車Ｂが走行路２を走行し
て目的の駐車棚５のところに来ると、移載台９が図２の
状態から図３の状態へと下降せしめられ、係合ブロック
１４，１４，…が走行路２両側の係止溝１５，１５，…
に上方から係合する。

【００２７】これにより、上記駐車棚５に対する車両搬
送台車Ｂの前後、左右および上下方向の位置が修正され
て該車両搬送台車Ｂを三次元方向に位置決めすることが
できることから、複数の駐車棚５，５，…の上面レベル
にバラツキがあっても、このことに左右されることなく
各駐車棚５と車両搬送台車Ｂとの間の段差をなくすこと
ができる。

【００２８】次いで、このことを検知センサ３８，３８
が検知し、この検知信号に基づいて揺動シリンダ１９，
１９が伸張作動し、第１ピニオン１８，１８が上方に突
出移動して上記駐車棚５の車載パレットＰの第１ラック
２０，２０に噛合する。一方、上記第１ピニオン１８，
１８の上方移動によりロッド３７，３７がラッチ３４，
３４の下端を押し上げ、該ラッチ３４，３４の係合爪３
４ａ，３４ａが第２ラック３６，３６から外れる。

【００２９】その後、上記第１ピニオン１８および第２
ピニオン２９がモータ２１の駆動により回転し、図３に
示すように、上記車載パレットＰが駐車棚５から車両搬
送台車Ｂの移載台９上に水平移動せしめられて受け渡さ
れる。

【００３０】この際、各係合ブロック１４と各係止溝１
５との係合により駐車棚５に対する車両搬送台車Ｂの三
次元方向の位置決めが行われて、駐車棚５と車両搬送台
車Ｂとの間の段差がなくなっているので、車載パレット
Ｐの移載台９への受渡しを支障なくスムーズに行うこと
ができる。

【００３１】また、ラック＆ピニオン機構により車載パ
レットＰを移載台９に受け渡すことから、車載パレット
Ｐを駐車棚５から移載台９に確実に受け渡すことができ
る。

【００３２】しかる後、移載台９が上昇して係合ブロッ
ク１４，１４，…を係止溝１５，１５，…から外した
後、車両搬送台車Ｂをエレベータ４前まで走行させて該
エレベータ４に車載パレットＰを受け渡し、エレベータ
４を上昇させて入出庫口から車両Ｃを退出する。

【００３３】なお、入庫の場合には上記出庫動作と逆の
動作を行えばよいので、その詳細な説明を省略する。

【００３４】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１に係る本
発明によれば、移載台を基台に昇降可能に支持し、かつ
各駐車棚の係止部に上方から係合して三次元方向の位置
決めをする係合部を上記移載台に設けたので、各駐車棚
と車両搬送台車との間の段差をなくして両者間における
車両の受渡しを支障なくスムーズに行うことができる。

【００３５】請求項２に係る本発明によれば、移載台に
設けられたピニオンをパレット裏面のラックに噛合さ
せ、上記ピニオンを回転させることにより、駐車棚と車
両搬送台車との間でパレットの受渡しを行うので、ラッ
ク＆ピニオン機構によってパレットの受渡しを確実に行
うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】車両搬送台車と駐車棚との関係を示す斜視図で
ある。

【図２】車両搬送台車の位置決め前の状態を示す正面図
である。

【図３】車両搬送台車の位置決め後の状態を示す正面図
である。

【図４】駐車部の平面図である。

【符号の説明】

２ 走行路 ３ 駐車部 ５ 駐車棚 ８ 基台 ９ 移載台 １４ 係合ブロック（係合部） １５ 係止溝（係止部） １８ 第１ピニオン １９ 揺動シリンダ（移動手段） ２０ 第１ラック ２１ モータ（回転手段） Ａ 駐車装置 Ｂ 車両搬送台車 Ｃ 車両 Ｐ パレット

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 駐車装置の駐車部に設けられた走行路を
   走行し、該走行路に沿って設けられた複数の駐車棚との
   間で車両を受け渡す車両搬送台車であって、基台と、該
   基台に昇降可能に支持された移載台とを備え、該移載台
   には、上記各駐車棚の係止部に上方から係合して三次元
   方向の位置決めをする係合部が設けられていることを特
   徴とする駐車装置の車両搬送台車。
2. 【請求項２】 移載台には、下方退避位置と上方突出位
   置との間を上下方向に移動可能なように支持され、各駐
   車棚に納められたパレット裏面のラックに突出状態で噛
   合するピニオンと、該ピニオンを上下方向に移動させる
   移動手段と、上記ピニオンを回転させる回転手段とが設
   けられていることを特徴とする請求項１記載の駐車装置
   の車両搬送台車。