JP2889972B2 - 電動機の始動制御装置 - Google Patents

電動機の始動制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この発明は、エンジン駆動発電機で電動機を運転する
装置における始動制御の改良に関する。
〈従来の技術〉 エンジン駆動発電機で電動機を運転する装置は周知で
あるが、例えば誘導電動機の場合には起動時に定格値の
5〜7倍もの突入電流が流れる。このような大きな突入
電流を流すと、発電機が過負荷となって遮断器が作動
し、場合によってはコイルを焼損させることになり、ま
たエンジンが過負荷となって最悪の場合には停止してし
まう。これを防ぐため、従来は発電機容量の1/3〜1/5程
度の容量の電動機しか運転できず、設備的に無駄が大き
くなるという問題が生じていた。
そこで、この問題を解決するために停止、起動、運転
の切換手段を設け、起動時にはエンジンを低速回転させ
てその時の発電出力で誘導電動機を起動した後、エンジ
ン回転数を上昇させて運転状態に移行する装置が提案さ
れている(例えば実開昭61−7292号公報参照)。
〈発明が解決しようとする課題〉 しかしながら、上記公報のものは切換手段が手動式で
あって操作が煩わしく、また切換時期を誤るなどの誤操
作の可能性があった。
この発明はこのような点に着目し、起動操作を自動化
して発電機容量と同等の容量の電動機を無理なく起動で
きる装置を提供することを目的としてなされたものであ
る。
〈課題を解決するための手段〉 上記の目的を達成するために、第1の発明の始動制御
装置は、発電機の出力電圧を周波数の低下に応じて低く
するように構成された自動電圧調整器と、負荷が突入電
流の大きいものであるか否かに応じて制御内容を選択す
る制御選択手段と、負荷電流を検出する負荷電流検出手
段と、上記制御選択手段によって突入電流の大きい負荷
に対する制御が選択されている時に、負荷電流検出手段
で検出された負荷電流があらかじめ設定された基準値以
上になると、発電機駆動用のエンジン回転数を一時的に
低下させた後、定格回転数まで回転数を上昇させる回転
数制御手段、とを備えている。
また、第2の発明では上記第1の発明における制御選
択手段を備えず、負荷電流を検出して負荷電流があらか
じめ設定された基準値以上になると、発電機駆動用のエ
ンジン回転数を一時的に低下させた後、定格回転数まで
回転数を上昇させるようにしている。
第1図はこの発明の構成を示したもので、Aはエンジ
ン、Bは発電機、Cは電動機、Dは自動電圧調整器、E
は制御選択手段、Fは負荷電流検出手段、Gは回転数制
御手段であり、第2の発明では制御選択手段Eは設けら
れない。
〈作 用〉 第1の発明では、制御選択手段によって突入電流の大
きい負荷に対する制御が選択されている時に負荷電流が
基準値以上になると、エンジン回転数が一時的に低下
し、それに応じて発電機の出力電圧も一時的に低下する
ので、負荷が誘導電動機のようなものであっても大きな
突入電流が流れることはない。
また第2の発明では、特に起動時の突入電流が大きい
負荷であることを認識していなくても、負荷電流が基準
値以上になると自動的にエンジン回転数が低下して発電
機の出力電圧も低下するので、誘導電動機のような負荷
の場合でも大きな突入電流が流れることはない。
〈実施例〉 次に、図示の実施例について説明する。
第2図は第1の発明の一実施例のブロック図である。
図において、1はエンジン、2はこのエンジン1で駆動
される発電機、3は発電機2の出力で運転される誘導電
動機であって、誘導電動機3は負荷開閉器4、遮断器5
を介して発電機2に接続されている。6は自動電圧調整
器、7は発電機2の出力回路に設けられた電流変成器、
8はエンジン1の燃料ポンプ、9は燃料ポンプ8のアク
チュエータ、10は回転ギヤ10aとの組み合わせでエンジ
ン1の回転数を検出する回転センサ、11は制御選択スイ
ッチ、12はスピードコントローラである。
誘導電動機3は例えば水中ポンプ3aの駆動用であり、
以下水中ポンプ用として説明を進める。
自動電圧調整器6は、定格周波数(例えば60Hz)の上
下一定範囲内では定格電圧(例えば220V)を維持する
が、この範囲を超えて周波数が低下すると電圧が低下す
るような特性のものが使用される。第3図はその一例を
示したもので、実線のようにある周波数以下で電圧が定
格電圧より低く設定された電圧、例えば定格の50%とな
り、あるいは破線のように周波数に比例して電圧が連続
的に低下するようになっている。
制御選択スイッチ11は、負荷が突入電流の大きいもの
であるか否かに応じて制御内容を手動操作で選択する切
換スイッチであり、「水中ポンプ」と「通常負荷」のい
ずれかに切換えられるようになっている。
スピードコントローラ12は例えばマイクロコンピュー
タを使用した電子ガバナであり、電流変成器7及び回転
センサ10の検出信号と制御選択スイッチ11の状態とが入
力され、これらの結果に応じて燃料ポンプ8のアクチュ
エータ9に制御信号を出力してエンジン1の回転数を制
御するように構成されている。
実施例の装置は上述のような構成であり、次に第4図
のフローチャートを参照しながら動作を説明する。
まず、図示していないスタータスイッチを入れてエン
ジン1を始動し、発電機2の極数と周波数によって決ま
る定格回転数、例えば1800rpmでの運転を始める。回転
数は回転センサ10による検出結果に応じて燃料ポンプ8
のアクチュエータ9を制御することによって定格値に維
持される(ステップS1)。次に、制御選択スイッチ11を
「水中ポンプ」側に切換えると、その信号によりスピー
ドコントローラ12の基準回転数が定格回転数より低い回
転数、例えば1200rpmにセットされ、これに応じて燃料
ポンプ8のアクチュエータ9が制御されてエンジン1は
1200rpmで運転される(ステップS2)。なお、このステ
ップS1と2は順序を逆にし、最初から制御選択スイッチ
11を「水中ポンプ」側にセットしてエンジン1を起動し
てもよい。
次にステップS3で負荷開閉器4及び遮断器5を共にオ
ンにすると、発電機2の出力電流が誘導電動機3に流れ
る。この時、通常の回路であれば定格時の5〜7倍もの
突入電流が流れることになるが、第3図のように自動電
圧調整器6が1200rpmの時の40Hzでは定格電圧の50%
(例えば110V)の出力電圧とするように動作するので、
大きな突入電流は流れない。そこでステップS4でこの電
流を電流変成器7で検出し、発電機2の定格電流の例え
ば20%以上であれば次のステップS5に進み、この状態で
一定時間、例えば10秒間経過するとステップS6に進み、
エンジン1の回転数を定格値の1800rpmに上昇させる。
これにより、発電機2の発電出力は周波数と電圧が共に
定格値となって定常運転に移行するのであり(ステップ
S7)、誘導電動機3の回転数はステップS5での待機中に
40Hz、110Vに対応した回転数まで既に上昇しているの
で、エンジン回転数が定格値となっても大きな突入電流
が流れることはない。なお、ステップS6での回転数の上
昇は、一挙に定格値まで戻さないで、段階的に、あるい
は連続的に徐々に戻すようにしてもよい。
また、誘導電動機3に対して発電機2の定格容量に余
裕がある場合には、負荷が誘導電動機であっても負荷投
入時の電流は定格値に対してそれほど大きくならない。
このため、ステップS4で検出された電流が20%以上でな
ければ、直ちにステップS6に進んで定格運転に移行する
のである。
次に第2の発明の一実施例を説明する。この実施例は
第2図において制御選択スイッチ11を省いたものであ
り、この第2図を流用し、第5図のタイムチャートと第
6図のフローチャートを参照しながら動作を説明する。
まず、第4図のステップS1と同様にエンジン1を起動
し、発電機2を定格値で運転する(ステップS11)。次
にステップS12で負荷開閉器4及び遮断器5を共にオン
し(時刻t1)、ステップS13で発電機2の出力電流を検
出する(時刻t2)。このステップ13は負荷の大小を自動
的に判定するステップであり、例えば定格値の200%以
下であればステップS14に進んで定格運転を継続する。
これは、負荷が照明装置のように突入電流が小さい場合
や、極めて小容量の誘導電動機の場合などである。
これに対して突入電流が定格値の200%を超える負荷
の場合には、ステップS15に進んでエンジン回転数を120
0rpmに低下させ、ステップS16で負荷電流を検出する
(時刻t3)。ここで電流が定格の80%以下であればステ
ップS17に進み、エンジン回転数を徐々に定格値の1800r
pmまで上昇させる。そしてステップS18で再度負荷電流
を検出し、定格の110%以下であればステップS19に進ん
で定格運転に移行する。
またステップS16で負荷電流が定格の80%以下でなけ
ればステップS20に進み、10秒経過するまでに時刻t4
電流が80%以下になればステップS17に進んで時刻t5
定格運転に移行するが、80%を超えたままで10秒経過す
ると、ステップS21に進んで過負荷警報を出力すると共
にエンジン1を停止する。なお、ステップS18で負荷電
流が定格の110%以下でない場合にも異常と判断してス
テップS21に進む。
第5図のタイムチャートは、以上の動作において一旦
エンジン回転数を下げ、10秒以内に定格運転に移行した
場合の例であり、aは発電機2の回転数、bは電動機3
の電流、cは電動機3の回転数をそれぞれ示している。
第7図は第2の発明の別の実施例のフローチャートで
あり、負荷投入後の電流の大きさを数段階に分け、それ
ぞれに応じて一時的に低下させるエンジン回転数を異な
らせている。すなわち、ステップS13′で負荷電流が120
%以下の場合にはステップS14に進むが、120%を超え、
且つ140%以下であればステップS15′に進み、例えば14
00rpmに回転数を下げる。そしてステップS16′で負荷電
流が例えば60%以下であるか否かを判定し、第6図のス
テップS17以下に準じてステップS17′〜S21′の手順を
実行する。また、負荷電流が140%を超え、且つ160%以
下であればステップS15″に進み、ステップS15′よりも
低い例えば1200rpmに回転数を下げる。そして図示は省
略してあるが負荷電流が例えば70%以下であるか否かを
判定し、ステップS16′以下に準じた手順を実行するの
であり、またステップS15″で160%を超えた場合には、
更に大きな値に設定した負荷電流に応じて同様な手順を
実行する(以下同様)。
このように、一時的に低下させるエンジン回転数の設
定値を負荷電流の大きさに応じて複数個段階的に設ける
ことにより、負荷投入時の制御をより円滑に行うことが
できるのである。なお、この考え方を発展させ、回転数
をある値に低下させてその時の電流の大きさを検出し、
更に回転数を下げるという制御を行うことも可能であ
る。
なお、上述の各実施例における電圧、周波数、回転数
等の数値や負荷電流のしきい値、一時的に低下させた回
転数の継続時間などの数値は、説明の便宜上用いたもの
で単なる一例に過ぎず、実際には種々の条件に応じて適
宜設定されるものである。
〈発明の効果〉 以上の説明から明らかなように、第1の発明は、制御
選択手段によって突入電流の大きい負荷に対する制御を
選択し、且つ負荷投入時の負荷電流が基準値以上になる
と、エンジン回転数と発電機の出力電圧を一時的に低下
させるようにしたものである。
従って、負荷が誘導電動機のように大きな突入電流が
流れるものであっても、突入電流の増加を抑制して電動
機を起動することができ、起動、運転の切換えを手動で
行う必要がなく制御選択手段を負荷に応じてセットする
だけでよいので操作が容易であり、例えば商用電源を得
られない工事現場において、誘導電動機駆動型水中ポン
プをエンジン駆動発電機で運転するような場合に、発電
機容量と同等の容量の誘導電動機をエンジンに過負荷を
与えることなく運転することが可能となり、設備的な無
駄をなくすことができるのである。
また第2の発明は、上記の制御選択手段を備えず、負
荷電流を検出して負荷電流があらかじめ設定された基準
値以上になるとエンジン回転数を一時的に低下させ、そ
れに応じて発電機の出力電圧を一時的に低下させるよう
にしたものである。
従って、第1の発明と同様に発電機容量と同等の容量
の誘導電動機を支障なく運転することができて、設備的
な無駄をなくすことが可能となるが、更に制御が自動的
に行われるので操作の煩わしさをなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の構成を示す図、第2図は実施例のブ
ロック図、第3図は自動電圧調整器の特性図、第4図は
第1の発明の実施例の制御手順のフローチャート、第5
図は第2の発明の実施例のタイムチャート、第6図は同
フローチャート、第7図は第2の発明の他の実施例のフ
ローチャートである。 1……エンジン、2……発電機、3……誘導電動機、3a
……水中ポンプ、6……自動電圧調整器、7……電流変
成器、10……回転センサ、11……制御選択スイッチ、12
……スピードコントローラ。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンで駆動される発電機によって誘導
    電動機等の電動機を運転する装置において、 発電機の出力電圧を周波数の低下に応じて低くするよう
    に構成された自動電圧調整器と、 負荷が突入電流の大きいものであるか否かに応じて制御
    内容を選択する制御選択手段と、 負荷電流を検出する負荷電流検出手段と、 上記制御選択手段によって突入電流の大きい負荷に対す
    る制御が選択されている時に、負荷電流検出手段で検出
    された負荷電流があらかじめ設定された基準値以上にな
    ると、発電機駆動用のエンジン回転数を一時的に低下さ
    せた後、定格回転数まで回転数を上昇させる回転数制御
    手段、 とを備えたことを特徴とする電動機の始動制御装置。
  2. 【請求項2】エンジンで駆動される発電機によって誘導
    電動機等の電動機を運転する装置において、 発電機の出力電圧を周波数の低下に応じて低くするよう
    に構成された自動電圧調整器と、 負荷電流を検出する負荷電流検出手段と、 上記負荷電流検出手段で検出された負荷電流があらかじ
    め設定された基準値以上になると、発電機駆動用のエン
    ジン回転数を一時的に低下させた後、定格回転数まで回
    転数を上昇させる回転数制御手段、 とを備えたことを特徴とする電動機の始動制御装置。
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JP5530208B2 (ja) * 2010-02-05 2014-06-25 ヤンマー株式会社 エンジンおよびエンジン発電機システム
JP5702196B2 (ja) * 2011-03-11 2015-04-15 東芝機械株式会社 インバータ発電装置

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