JP2887249B2 - 印刷絵画の修飾方法 - Google Patents

印刷絵画の修飾方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷絵画の修飾方
法に関するものであって、特に、油彩の印刷絵画の表面
に修飾用プラスチックフィルムなどを接合して印刷絵画
の平板な印象を改善する修飾方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、絵画の複製商品には、印刷による
ものが簡便であるが、凹版または平版印刷など精巧な手
法によっても立体感に乏しい平板なものが普通であり、
特に立体感豊かな油彩絵画においては趣のあるものが得
られなかった。また、原絵画の模様を立体的に忠実に復
元する多重積層印刷手法が試みられているが、多くの複
雑な工数を必要とし、莫大なコストがかかってしまうの
で、印刷絵画の簡便さという特徴とは相いれないもので
あった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するためになされたものであり、普通の印刷絵
画の立体感の改善を図るとともに、気楽に取り扱うこと
ができる複製絵画に加工する修飾方法であって、特に油
彩絵画の趣を表現することが可能となる簡便な印刷絵画
の修飾方法を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の問題は、絵画を印
刷した台紙の印刷面に熱可塑性プラスチックフィルムお
よび織物シートをこの順序に配設しホットプレスして、
前記熱可塑性プラスチックフィルムを前記印刷面に接合
するとともに、その熱可塑性プラスチックフィルムに前
記織物シートの布目模様を付与することを特徴とする印
刷絵画の修飾方法、により解決することができる。
【0005】また、同時に、油彩絵画を印刷した台紙の
印刷面にアクリル樹脂フィルム、ポリプロピレンフィル
ム、およびカンバス織物シートをこの順序に配設しホッ
トプレスして、前記アクリル樹脂フィルムを前記印刷面
に接合するとともに、そのアクリル樹脂フィルムに前記
カンバス織物シートの布目模様を付与することを特徴と
する印刷絵画の修飾方法、によっても解決することがで
きる。
【0006】さらに、上記の印刷絵画の修飾方法の発明
は、芯材シート、例えば、ポリエチレンフタレート樹脂
のシートを中心にして上下方向に、油彩絵画を印刷した
台紙、アクリル樹脂フィルム、ポリプロピレンフィル
ム、およびカンバス織物シートをこの順序に対称的に配
設し、全体を同時にホットプレスする印刷絵画の修飾方
法として、具体化することもできる。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、図1、2に基づいて本発明
の実施形態について説明する。先ず、図1において、絵
画、例えばカンバス画布の描かれた油彩絵画、あるいは
絹織画布に描かれた日本画などを模写印刷した台紙1の
印刷面11と、カンバス織物シートあるいは絹織物シー
トなどのような織物シート3との間に、例えば厚さ30
〜100μmのアクリル樹脂フィルムのような、熱可塑
性プラスチックフィルム2を介在させて、全体をホット
プレス機により加圧するとともに110〜130℃程度
の温度で加熱する。かくして、前記熱可塑性プラスチッ
クフィルム2の表面には前記織物シート3の布目模様の
形状が転写、付与されるとともに、前記フィルム2が前
記印刷面11に接合することで全体が一体化した修飾加
工された印刷絵画を得ることができる。
【0008】本発明によれば、以上説明したように比較
的平板な印刷絵画の印刷面をカンバス織物シートあるい
は絹織物シートなどのような織物シート3の布目模様に
形成した透明なアクリル樹脂フィルムで積層被覆するの
で、印刷画面の画像が前記アクリル樹脂フィルムの表面
に形成された布目模様により屈曲されて観察されるの
で、織物シートに応じた独特の立体感が醸成されるので
ある。特にカンバス画布の描かれた油彩絵画の印刷絵画
に対して、実物のカンバス織物シートを用いる、あるい
は、絹織画布に描かれた日本画などの印刷絵画に対し
て、実物の絹織物シートを用いるときには、油彩あるい
は日本画固有の立体感が得られるので、好ましい組合せ
である。
【0009】さらに、本発明では、印刷絵画の台紙に熱
可塑性プラスチックフィルムを熱圧着して一体化するの
で、取扱いによる汚れが付着しにくい、仮に付着しても
容易に清掃することができる、薄い印刷紙と異なり適度
な強度が得られる、など取扱いが極めて容易になるとい
う利点がある。なお、前記実施形態では、厚さ30〜1
00μmのアクリル樹脂フィルムを用いたが、この範囲
より薄い場合は、前記布目模様が充分に得られないので
立体感に乏しくなり、また厚い場合はこの範囲内で得ら
れる効果以上には向上しないので、前記の値が好適であ
る。
【0010】前記実施形態において、織物シート3と熱
可塑性プラスチックフィルム2との間には、厚さが10
0μmまでのポリプロピレンフィルム4を介在させて加
工するようにすれば、織物シート3と熱可塑性プラスチ
ックフィルム2との融着を防止する離型効果が得られる
とともに、ホットプレス処理後の熱可塑性プラスチック
フィルム2の表面の光沢を改善するつや出し効果が得ら
れるので、特に好ましい。この場合、このポリプロピレ
ンシート4の厚さを100μm以上とすると、織物シー
ト3によって得られる布目模様が不鮮明となるので好ま
しくなく、薄すぎるのも部分的に破れ易くなるので避け
たほうがよく、好ましい厚さは20〜50μmの範囲内
であった。
【0011】また、前記台紙1の裏面に、やや厚地の
0.2mm程度のポリエチレンテレフタレート樹脂から
なる芯材シート5を沿わせながら上記構成を採用する
と、前記台紙1が厚さの薄いものであっても、全体の出
来上がりが適度の厚みと強度が得られ、取扱が容易とな
る利点がある。なお、この芯材シート5としては、ポリ
エチレンテレフタレート樹脂のシートがホットプレスの
作業性がよく好ましい材料であるが、これに限定される
ものではなく、印刷台紙に接着可能な適宜な材料を選択
できる。
【0012】また、図2により本発明の他の実施形態を
説明すると、芯材シート5を中心にして上下方向に、油
彩絵画を印刷した台紙1a、1b、アクリル樹脂フィル
ム2a、2b、ポリプロピレンフィルム4a、4bおよ
びカンバス織物シート3a、3bの順に上下に対称的に
配設して、その全体を同時にホットプレスして、上記の
上下の2枚のアクリル樹脂フィルム2a、2bに前記カ
ンバス織物シート3a、3bの布目模様を付与するとと
もに、それぞれの印刷面に接合させれば、全体が一体と
なった印刷絵画は一面(表面)と他の面(裏面)とのそ
れぞれに異なった絵画を設定しておいて、一枚の印刷絵
画シートで表裏使い分けて2種類の絵画を趣をもって楽
しむことができる。
【0013】なお、この図2に示す実施形態では、カン
バス織物シート3a、3bは、ホットプレスに設けられ
ている上下の加熱加圧用金属板6、6の対向面に添着し
てあるので、このようにカンバス織物シート3a、3b
を備えた金属板6、6をもって上下から、芯材シート5
を中心にして台紙1a、1b、アクリル樹脂フィルム2
a、2b、ポリプロピレンフィルム4a、4bの順に上
下に対称的に配設した素材の組み合わせを挟んで、容易
に加熱加圧が行える利点がある。
【0014】
【発明の効果】本発明の印刷絵画の修飾方法は、以上に
説明したように構成されているので、織物シートに対応
した独特の立体感を醸成することが可能となり、特にカ
ンバス画布の描かれた油彩絵画固有の立体感を楽しむこ
とができる。また、汚れが付着しにくい、付着した汚れ
が除去しやすい、適度な強度が得られる、など取扱いが
極めて容易な修飾加工印刷絵画が得られる。あるいは、
2種類の印刷絵画を使用する実施形態のように、表裏使
い分けて時宜に応じて2種類の絵画を楽しむことができ
る一枚の印刷絵画のシートものが得られるなどの優れた
効果がある。よって本発明は従来の問題点を解消した印
刷絵画の修飾方法として、その工業的価値が極めて大な
るものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するための素材配置の
切欠き要部斜視図。
【図2】他の実施形態を説明するための素材配置の要部
断面図。
【符号の説明】
1、1a、1b 台紙、11 印刷面、2 熱可塑性プ
ラスチックフィルム、2a、2b アクリル樹脂フィル
ム、3 織物シート、3a、3b カンバス織物シー
ト、4、4a、4b ポリプロピレンフィルム、5 芯
材シート、6 金属板。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B44D 2/00 B44F 11/02 B44C 3/02 B29C 63/02 B29L 7:00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絵画を印刷した台紙の印刷面に熱可塑性
    プラスチックフィルムおよび織物シートをこの順序に配
    設しホットプレスして、前記熱可塑性プラスチックフィ
    ルムを前記印刷面に接合するとともに、その熱可塑性プ
    ラスチックフィルムに前記織物シートの布目模様を付与
    することを特徴とする印刷絵画の修飾方法。
  2. 【請求項2】 油彩絵画を印刷した台紙の印刷面にアク
    リル樹脂フィルム、ポリプロピレンフィルム、およびカ
    ンバス織物シートをこの順序に配設しホットプレスし
    て、前記アクリル樹脂フィルムを前記印刷面に接合する
    とともに、そのアクリル樹脂フィルムに前記カンバス織
    物シートの布目模様を付与することを特徴とする印刷絵
    画の修飾方法。
  3. 【請求項3】 芯材シートを中心にして上下方向に、油
    彩絵画を印刷した台紙、アクリル樹脂フィルム、ポリプ
    ロピレンフィルム、およびカンバス織物シートをこの順
    序に対称的に配設し、全体を同時にホットプレスする請
    求項2記載の印刷絵画の修飾方法。
  4. 【請求項4】 芯材シートがポリエチレンフタレート樹
    脂である請求項3記載の印刷絵画の修飾方法。
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