JP2885970B2 - ポリカーボネートの造粒法 - Google Patents

ポリカーボネートの造粒法

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昭良 真鍋
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  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリカーボネートの造
粒法、更に詳細には、粉状乃至塊状のポリカーボネート
から保形性、取扱性、流動性に優れ、嵩密度が大きく、
乾燥効率の高いポリカーボネートの粒体を歩留りよく製
造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートは、通常二価フェノー
ルのアルカリ水溶液とホスゲンとを、有機溶媒の存在下
反応させ、得られたポリカーボネートの有機溶媒溶液か
ら有機溶媒を除去して得られるポリカーボネートの粉体
を乾燥することによって製造されている。この乾燥工程
における脱有機溶媒の効率を向上させるために、粉体の
粒子径を小さくしており、その取扱性、流動性、押出性
等に問題がある。
【0003】
【0004】粉体の取扱性を解決するために、粉体を粒
体にする方法が提案されている。例えば特開昭56−1
55714号公報には、単軸又は多軸のスクリュー式押
出機やインナースクリューを有する射出成形機により、
有機溶媒を多量に含有するポリカーボネートの粉体を、
溶融させずにダイから押出してペレット状に造粒する方
法が提案されている。しかしながら、この方法は負荷電
力及び吐出圧が著しく高くなるので生産性が極めて悪
く、またポリカーボネートの有機溶媒含有量の変動によ
って主モーターの負荷電力が変動し、この変動によって
造粒圧力が変動する。このように有機溶媒含有量の変動
は、得られる粒体の破壊強度のバラツキの原因になる。
従って、この方法では有機溶媒含有量に応じたスクリュ
ーを必要とし、品質管理上、機器設計上有効な方法では
ない。
【0005】また、特開昭63−35621号公報に
は、有機溶媒を100ppm 以下に且つその他の残存溶媒
を500ppm 以下に乾燥したポリカーボネート粉体を乾
式圧縮して造粒する方法が提案されている。しかしなが
ら、ポリカーボネートは溶融成形時の温度が高いために
高温に耐え、且つポリカーボネートの特性を低下させな
いバインダーは、見出だされていないことから、バイン
ダーを使用しない乾式圧縮造粒法で保形性(破壊強度)
の充分な粒体を得るには、極めて高い圧縮圧力を必要と
する不利があり、更に成形、破砕時に微粉になり、歩留
まりが極めて悪いという欠点もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は保形性、取扱
性、流動性に優れ、嵩密度が大きく、乾燥効率の高いポ
リカーボネートの粒体を、歩留りよく且つ低い圧縮圧力
で製造する圧縮成形造粒法を提供することを目的とす
る。
【0007】本発明者は、上記目的を達成せんとして鋭
意研究した結果、ポリカーボネート粉体を圧縮成形して
造粒するに際し、ポリカーボネート粉体に予め特定量の
有機溶媒を含有させると、有機溶媒がバインダーとして
作用し、成形圧力を低くしても充分な保形強度を有し、
また粒径が大きいにも拘らず乾燥効率が極めて良好で且
つ歩留りよく造粒できることを究明し、本発明を完成し
た。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機溶媒を1
〜50重量%含有する粉状乃至塊状のポリカーボネート
を圧縮成形し、次いで乾燥することを特徴とするポリカ
ーボネートの造粒法である。
【0009】本発明でいうポリカーボネートは二価フェ
ノールとカーボネート前駆体とを反応させて製造され
る。ここで使用する二価フェノールは下記一般式
【0010】
【化1】 [式中、Rは炭素数1〜15の二価の脂肪族基、脂環族
基、フェニル置換脂肪族基、−O−、−S−、−SO
−、−SO2 −又は−CO−であり、Xはアルキル基又
はハロゲン原子であり、m及びnは0、1又は2であ
る]で表されるものであり、特に2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン[通称ビスフェノールA]
が好ましく使用され、その他ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エー
テル等、更には2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−
ヒドロキシフェニル)プロパンの如きハロゲン化ビスフ
ェノール類等が例示され、これらは単独で又は二種以上
併用してもよい。カーボネート前駆体としてはカルボニ
ルハライド、カーボネート、ハロホルメート等があげら
れ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、二
価フェノールのジハロホルメート等があげられる。ま
た、例えば三官能以上の多官能性芳香族化合物を二価フ
ェノール及びカーボネート前駆体と反応させた分岐ポリ
カーボネートであってもよい。更に二種以上のポリカー
ボネートの混合物であってもよい。また、ポリカーボネ
ートの重合度については、温度20℃、濃度0.7g /
dlの塩化メチレン溶液の比粘度で表して、通常は0.2
0〜0.90、特に0.28〜0.65のものが好まし
い。
【0011】本発明で使用する粉状乃至塊状のポリカー
ボネートは、任意の方法で製造されたものであってもよ
いが、二価フェノールのアルカリ水溶液とホスゲンと
を、有機溶媒の存在下反応させ、得られたポリカーボネ
ートの有機溶媒溶液から有機溶媒を除去して得られる所
定量の有機溶媒を含有するポリカーボネート粉体が好ま
しく使用される。勿論、乾燥状態の粉状乃至塊状のポリ
カーボネートを有機溶媒に浸漬して所定量の有機溶媒を
含有させてもよい。
【0012】粉状乃至塊状のポリカーボネートに含有さ
せる有機溶媒は、W.F.CHRISTOPHER,D.W.FOX著「ポリカ
ーボネート」1962年,32頁の表3−1における分
類の“Good Solvents ”及び“Fair Solvents ”に該当
する溶媒であって、例えば四塩化エタン、1,1,2−
三塩化エタン、1,2−二塩化エタン、塩化メチレン、
1,2−二塩化エチレン、クロロホルム、チオフェン
ジオキサン、テトヒドロフラン等の単独又は混合物が
あげられる。かかる有機溶媒の含有量は全溶媒類を含有
したポリカーボネートの重量に基いて1〜50重量%で
ある。有機溶媒含有量が1重量%未満では、圧縮成形す
る際のバインダーとしての効果が充分でなく、保形性を
保持するためには高い圧縮力を必要とし、本発明の目的
を達成し得ない。また、有機溶媒含有量が50重量%よ
り多くなると、貯槽及び供給機内で大きな塊を成形して
トラブルの原因となったり、乾燥能力の大きな機器を必
要とするようになるので適当でない。
【0013】更に、粉状乃至塊状のポリカーボネートに
有機溶媒と共に特定量の非又は貧溶媒を含有させると、
非又は貧溶媒がポリカーボネートに浸透し、乾燥時の脱
有機溶媒効率を著しく改善することができ、こうするこ
とは好ましいことである。
【0014】非又は貧溶媒とは、前記「ポリカーボネー
ト」32頁の表3−1における分類の“Poor Solvents
”,“Very Poor Solvents”及び“NonSolvents ”に
該当する溶媒であって、例えばn-ヘプタン、n-ヘキサ
ン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレン、
アセトン、シクロヘキサノン等があげられ、これらは単
独又は二種以上混合して使用できる。非又は貧溶媒は
溶媒類を含有したポリカーボネートの重量に基いて0.
1〜25重量%使用するのが好ましい。非又は貧溶媒の
使用量が0.1重量%未満では、乾燥時の脱有機溶媒の
改善効果が少く、25重量%より多くなると、脱有機溶
媒の改善効果が飽和するばかりか、有機溶媒のバインダ
ー作用の低下、非又は貧溶媒の回収量の増大、成形時に
おける非又は貧溶媒のポリカーボネートからの離脱の悪
化による噛込み不良等の欠点が生じるようになる。
【0015】非又は貧溶媒は、ポリカーボネートの有機
溶媒溶液に添加しても、有機溶媒を含有する粉状乃至塊
状のポリカーボネートに添加してもよいが、特にこれら
の方法に限定されるものではなく、ポリカーボネート中
に浸透する方法であればどんな方法でもよい。
【0016】本発明で行う圧縮成形には、例えばブリケ
ッティングマシン、コンパクティングマシン、ギャー式
押出造粒機、リングダイス式造粒機、タブレットマシン
等が使用される。また、成形時の温度はポリマーの融点
以下であればよい。また、圧縮成形においては、直接粒
状にせずに、例えば圧縮成形によってシート状になした
後粉砕機により粉砕してもよい。
【0017】造粒後行う乾燥には任意の乾燥機が使用さ
れ、例えば流動乾燥機、パドル式乾燥機、熱風循環乾燥
機等があげられる。乾燥温度は115℃以上からポリカ
ーボネートの二次転移温度以下が好ましい。
【0018】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を更に説明す
る。なお、塩化メチレン、n−ヘプタンの定量はガスク
ロマトグラフィー[(株)日立製作所製263型]によ
りカラム充填剤にDioctyl Sebacateを用いて85℃でヘ
ットスペース法で測定した。
【0019】
【実施例1】ビスフェノールAとホスゲンを原料として
溶液法により得られた比粘度0.43の精製ポリカーボ
ネートの塩化メチレン溶液(濃度15重量%)200kg
を容量100リットルのニーダーに徐々に投入し、同時
に攪拌下水蒸気の供給を開始して塩化メチレンを蒸発さ
せてポリカーボネート樹脂のゲル化した塊状物を得たと
ころで水蒸気の供給を停止すると同時に攪拌を停止し、
ニーダーの底から凝縮水を抜取った。得られた塊状物の
塩化メチレン含有量は25重量%であった。更にニーダ
ーにて攪拌混合して粗砕物を得た。得られた粗砕物をコ
ンパクティングマシンにより常温で圧縮圧力200kg/
cm2 で圧縮して厚さ2mmの板状体に成形し、ハンマーク
ラッシャーにより粉砕し、防爆型熱風乾燥機により14
0℃で6時間乾燥して塩化メチレン含有量400ppm
粒状体を得た。その粒度分布は8〜30メッシュ88重
量%、30メッシュ未満9重量%と微粉が少ない。
【0020】
【実施例2】ビスフェノールAとホスゲンを主原料とし
て溶液法により得られた比粘度0.43の精製ポリカー
ボネート樹脂の塩化メチレン溶液(濃度15重量%)2
00kgを容量100リットルのニーダーに徐々に投入
し、同時に攪拌下水蒸気の供給を開始して塩化メチレン
を蒸発させてポリカーボネート樹脂のゲル化した塊状物
を得たところで水蒸気の供給を停止すると同時に攪拌を
停止し、ニーダーの底から凝縮水を抜き取った。得られ
た塊状物の塩化メチレン含有量は25重量%であった。
次いでニーダーにn−ヘプタンを4.5kg投入し、攪拌
混合して粗砕物を得た。得られた粗砕物をコンパクティ
ングマシンにより常温で圧縮圧力200kg/cm2 で圧縮
して厚さ2mmの板状体とし、ハンマークラッシャーによ
り粉砕し、防爆型熱風乾燥機により140℃で6時間乾
燥して塩化メチレン含有量35ppm、n−ヘプタン含有
量120ppm 、粒度分布は8〜30メッシュ87重量
%、30メッシュ未満10重量%と微粉が少なく、塩化
メチレン含有量の少ないポリカーボネート樹脂の粒体を
得た。
【0021】
【0022】
【0023】
【比較例1】ビスフェノールAとホスゲンを主原料とし
て溶液法により得られた比粘度0.43の精製ポリカー
ボネート樹脂の塩化メチレン溶液(濃度15重量%)2
00kgを容量100リットルのニーダーに徐々に投入
し、同時に攪拌下水蒸気の供給を開始して塩化メチレン
を蒸発させてポリカーボネート樹脂のゲル化した塊状物
を得たところで水蒸気の供給を停止し、塊状物を粗砕し
た後抜き取り、粉砕機により粉砕した。次いで得られた
粉粒体を95℃の熱水で2時間蒸留した後、遠心脱水
し、防爆型熱風乾燥機により140℃で6時間乾燥して
塩化メチレン含有量350ppm 、粒度分布は16〜30
メッシュ42重量%、30メッシュ以下58重量%の粉
粒体を得た。この粉粒体を実施例1と同じ圧縮造粒機に
より同条件で造粒したが、強度のある板状物は得られず
実用にならなかった。ハンマークラッシャーによる粉砕
可能な板状物を得るには1000kg/cm2 以上の高圧力
が必要であった。
【0024】
【0025】
【発明の効果】本発明は、低い圧力で圧縮成形すること
によって保形性、取扱性、流動性に優れ、嵩密度が大き
く、乾燥効率の高いポリカーボネートの粒体を、歩留り
よく製造することを可能にしたものであり、その奏する
効果は格別なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 3/12 C08G 64/04 - 64/14 B29B 9/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶媒を1〜50重量%含有する粉状
    乃至塊状のポリカーボネートを圧縮成形し、次いで乾燥
    することを特徴とするポリカーボネートの造粒法。
  2. 【請求項2】 有機溶媒を1〜50重量%及び貧又は非
    溶媒を0.1〜25重量%含有する粉状乃至塊状のポリ
    カーボネートを圧縮成形し、次いで乾燥することを特徴
    とするポリカーボネートの造粒法。
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