JP2884367B2 - ドクター刃 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はグラビア印刷やコーターに使用されるドクタ
ー刃に関するものである。

［従来の技術］ 従来用いられているドクター刃１は、第３図に示すよ
うに鋼製のドクター刃素材２表裏面にセラメッキ層３を
施して形成されている。なお、同図中符号４は回転版で
ある。

即ち、セラメッキ層３を形成する方法としては、無電
解ニッケルメッキ浴中に炭化ケイ素、窒化ホウ素、等の
セラミックスの各種微粉を適量添加し、メッキと同時に
これら微粉をメッキ被膜内に析出、複合させ、鋼製ドク
タの表面に硬質層を形成させる。なお、このあと熱処理
を行うことによりメッキ層の硬度をさらに向上させるこ
ともある。このようにすることにより、ドクターの耐摩
耗性を向上させ、かつ、ドクター刃先のかえり、異常摩
耗を防止し、印刷及びコート不良を抑制している。

なお、刃先を薄くしてあるのは、厚いと版とドクター
の間に隙間が生じ、インキの掻き残しが生ずるので、こ
のようにならないよう印刷版の形状にうまく追従できる
ようにするためである。

［発明が解決しようとする課題］ 前述したセラメッキを施したドクターを用いれば、ド
クターの耐摩耗性は従来の10倍程度向上し、又、印刷不
良も大巾に減少する。

しかしながら、セラメッキが鋼より剥離し脱落するこ
とがあり、セラメッキ部が脱落した部分の性能は通常の
鋼製ドクターと同一となってしまい、この部分の摩耗が
他のメッキのある所に比べ促進されてしまう。

また、セラメッキの脱落した部分は、従来の鋼製ドク
ターと同じように刃先の返りなどが発生し、印刷でのト
ラブルが発生する要因となり、印刷不良が多発してしま
う。

［課題を解決するための手段］ 本発明はドクター鋼素材の回転版に接触する回転方向
手前側にはセラメッキ、回転方向裏側にはニッケルメッ
キを施すことにより、回転方向手前側では摩耗しにく
く、裏側には剥離し難い構成として、ドクターとしての
性能の向上を図るものである。

［作用］ ドクター刃を形成する鋼表面の印刷版回転方向表面側
にセラメッキ、裏面側にニッケルメッキを施すことによ
り、表面側では耐摩耗性にすぐれ、且つ、裏面側では剥
離の生じ難い性能を備えたドクターを得ることができ
る。

［実施例］ 第１図は本発明によるドクター刃の断面図で、本発明
によるドクター刃１は、鋼製のドクター刃素材２の印刷
版４回転方向表面側にセラメッキ層３を形成させ、裏面
側には、セラメッキ層ではなく、ニッケルメッキ層５を
形成させてある。

また、第２図は本発明による他の実施例で、第１図に
示す実施例のものにおいて、裏面側のニッケルメッキ層
の上にさらにセラメッキを施したもので、剥離し難く、
かつ耐摩耗性に優れたドクターが得られる。

［効果］ 本発明は、鋼製ドクターの印刷版回転方向表面側にセ
ラメッキ、裏面側にニッケルメッキを施すことにより、
ドクター刃の手前側の耐摩耗性が向上し、また、裏面側
にはニッケルメッキを施してあるので剥離し難くなるば
かりでなく、ドクター刃先のかえり、異常摩耗を防止
し、印刷及びコート不良を抑制することができる。

また、裏面側のニッケルメッキ層５の上にさらにセラ
メッキを施すことにより、耐摩耗性の向上が図れる。即
ち、鋼材表面にSiCとNiよりなるセラメッキ層を形成す
る場合、セラミック粒子近傍のニッケルに応力が集中
し、鋼面よりセラメッキが脱落し易いが、鋼近傍はニッ
ケルメッキ層のみとし、その上面側にセラメッキ層を形
成するようにすると、同一母材のニッケル表面側にセラ
ミック粒子が位置することになるので剥離し難くなり、
さらに性能の優れたものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるドクター刃が回転版に接触した状
態の断面図、第２図は別実施例を示す第１図と同様の断
面図、第３図は従来例を示す同様の断面図、である。 １……ドクター刃、２……ドクター刃素材、３……セラ
メッキ層、４……回転版、５……ニッケルメッキ層。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ドクター刃の回転版に接触する回転方向手
   前側表面にセラメッキ層、他側にニッケルメッキ層を形
   成してなるドクター刃。
2. 【請求項２】ドクター刃の回転版に接触する回転方向手
   前側表面にセラメッキ層、他側には表面よりニッケルメ
   ッキ層、セラメッキ層の順に形成してなるドクター刃。