JP2019136835A - コーティング砥石およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い砥粒保持力と耐摩耗性を有するコーティング砥石およびその製造方法を提供する。【解決手段】切れ刃となるダイヤモンドやcBN(立方晶窒化ホウ素)などの硬質粒子である砥粒を金属ボンド材で保持する砥石であり、そのボンド材と砥粒が炭化チタンなどの硬質炭化物などでコーティングされており、ボンド材と砥粒が物理的に、化学的に強固に結合されている砥石と、その砥石とチタンなどを主成分とする電極を摺動させながら、コーティングする製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は、コーティング砥石およびその製造方法に関するものである。切れ刃となるダイヤモンドやcBN(立方晶窒化ホウ素)などの硬質粒子である砥粒を金属ボンド材で保持する砥石であり、そのボンド材と砥粒が炭化チタンなどの硬質炭化物などでコーティングされており、ボンド材と砥粒が物理的に、化学的に強固に結合されていることを特徴とする砥石である。さらに、その砥石とチタンなどを主成分とする電極を摺動させながら、放電表面処理することを特徴とする製造方法である。
(電着砥石)
一般に、電着砥石は、円柱状のシャンクや円盤形のホイール(台金)の表面に、1層のみの砥粒層が配置されており、その砥粒を、電解めっきもしくは無電解めっきによってニッケルなどの金属を析出させて埋め込み、砥粒を固着した砥石である。電着砥石は、ガラスやセラミックスなどの硬脆材料の穴加工や溝加工、側面加工などに用いられる。砥石の形態としては、軸付砥石、ブレード、ホイール砥石などがある。
一般に、電着砥石は、円柱状のシャンクや円盤形のホイール(台金)の表面に、1層のみの砥粒層が配置されており、その砥粒を、電解めっきもしくは無電解めっきによってニッケルなどの金属を析出させて埋め込み、砥粒を固着した砥石である。電着砥石は、ガラスやセラミックスなどの硬脆材料の穴加工や溝加工、側面加工などに用いられる。砥石の形態としては、軸付砥石、ブレード、ホイール砥石などがある。
(電鋳ブレード)
一般に、電鋳ブレードは、電着砥石とは以下の点で異なる。1)台金を用いず、基本的にボンド材と砥粒のみから構成されている。2)砥粒層が多層であり、金属ボンド内に砥粒が重なり合って複合されている。一方、砥粒を電解めっきもしくは無電解めっきによってニッケルなどの金属を析出させて埋め込み、砥粒を固着する砥石である点は共通している。電鋳ブレードは、厚さ0.1mm以下のものが製造できるため、基盤やウェハなどのダイシングや硬脆材料の切断加工に用いられる。
一般に、電鋳ブレードは、電着砥石とは以下の点で異なる。1)台金を用いず、基本的にボンド材と砥粒のみから構成されている。2)砥粒層が多層であり、金属ボンド内に砥粒が重なり合って複合されている。一方、砥粒を電解めっきもしくは無電解めっきによってニッケルなどの金属を析出させて埋め込み、砥粒を固着する砥石である点は共通している。電鋳ブレードは、厚さ0.1mm以下のものが製造できるため、基盤やウェハなどのダイシングや硬脆材料の切断加工に用いられる。
(ボンド材の耐摩耗性の改善の要望)
ダイヤモンド砥粒を金属ボンドにより固着した砥石において、ボンド材が加工屑のスクラッチなどで摩耗すると砥粒保持力が低下するため、金属ボンド材の耐摩耗性の改善が求められている。電着砥石、電鋳ブレードの場合、電解めっきもしくは無電解めっきで析出できる金属はニッケルやクロムなどに限定されており、炭化チタンなどの硬質な炭化物を形成することはできない。そのため、電解めっきもしくは無電解めっきにより、金属ボンドで砥粒を固着した後、コーティング技術により、ボンド材の耐摩耗性の改善が検討されている。
ダイヤモンド砥粒を金属ボンドにより固着した砥石において、ボンド材が加工屑のスクラッチなどで摩耗すると砥粒保持力が低下するため、金属ボンド材の耐摩耗性の改善が求められている。電着砥石、電鋳ブレードの場合、電解めっきもしくは無電解めっきで析出できる金属はニッケルやクロムなどに限定されており、炭化チタンなどの硬質な炭化物を形成することはできない。そのため、電解めっきもしくは無電解めっきにより、金属ボンドで砥粒を固着した後、コーティング技術により、ボンド材の耐摩耗性の改善が検討されている。
(ボンド材の砥粒保持力の改善の要望)
ダイヤモンド砥粒を金属ボンドにより固着した砥石において、砥粒の脱落が工具寿命を決定するために、その砥粒保持力の改善が課題となっている。特に、砥粒層が1層しかない電着砥石では、砥粒の脱落が工具寿命を決定するために、その砥粒保持力の改善が課題となっている。砥粒保持力の改善のために、被覆砥粒を用いてボンド材との結合力を高めることが検討されている。
ダイヤモンド砥粒を金属ボンドにより固着した砥石において、砥粒の脱落が工具寿命を決定するために、その砥粒保持力の改善が課題となっている。特に、砥粒層が1層しかない電着砥石では、砥粒の脱落が工具寿命を決定するために、その砥粒保持力の改善が課題となっている。砥粒保持力の改善のために、被覆砥粒を用いてボンド材との結合力を高めることが検討されている。
(従来技術による対策と問題点1)
特許文献1記載の技術では、砥石の耐摩耗性を改善するために、側面にCVD(化学気相成長法)により炭化チタン(TiC)コーティングした薄刃砥石を提案している。しかし、TiCコーティングとボンド材との界面密着性が不十分である。さらに、砥粒とボンド材の密着性、砥粒保持力を改善できる構成になっていないため、前記課題の解決策としては不十分である。
特許文献1記載の技術では、砥石の耐摩耗性を改善するために、側面にCVD(化学気相成長法)により炭化チタン(TiC)コーティングした薄刃砥石を提案している。しかし、TiCコーティングとボンド材との界面密着性が不十分である。さらに、砥粒とボンド材の密着性、砥粒保持力を改善できる構成になっていないため、前記課題の解決策としては不十分である。
(従来技術による対策と問題点2)
特許文献2記載の技術では、CVDもしくはPVD(物理気相成長法)により、砥粒表面にチタンの薄膜コーティングを施し、マイクロクラックや研削時の衝撃による破砕を押さえた砥石を提案している。しかし、ボンド材の耐摩耗性の改善はできていない。砥粒とボンド材の間にコーティング層を有することで密着性改善が図られているが、そこには境界がはっきりした界面が存在し、界面剥離の可能性があり、密着性は十分であるとはいえず、前記課題の解決策としては不十分である。
特許文献2記載の技術では、CVDもしくはPVD(物理気相成長法)により、砥粒表面にチタンの薄膜コーティングを施し、マイクロクラックや研削時の衝撃による破砕を押さえた砥石を提案している。しかし、ボンド材の耐摩耗性の改善はできていない。砥粒とボンド材の間にコーティング層を有することで密着性改善が図られているが、そこには境界がはっきりした界面が存在し、界面剥離の可能性があり、密着性は十分であるとはいえず、前記課題の解決策としては不十分である。
(従来技術による対策と問題点3)
特許文献3記載の技術では、エンドミルの放電表面処理方法とその装置を提案している。この手法は、液中でのパルス放電により、金属表面に密着性の良いTiCなどのコーティングを施させる手法である。これを砥石へ用いることができれば良いが、絶縁性硬質砥粒であるダイヤモンドなどを含む砥石のコーティング方法として検討したものではないため、前記課題の解決策としては用いることができない。
特許文献3記載の技術では、エンドミルの放電表面処理方法とその装置を提案している。この手法は、液中でのパルス放電により、金属表面に密着性の良いTiCなどのコーティングを施させる手法である。これを砥石へ用いることができれば良いが、絶縁性硬質砥粒であるダイヤモンドなどを含む砥石のコーティング方法として検討したものではないため、前記課題の解決策としては用いることができない。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、本発明は、メタルボンドホイール、電着砥石、電鋳・電着ブレード、電着ワイヤーなど金属をボンド材とする砥石の工具寿命を改善するために、コーティングによりボンド材の耐摩耗性と砥粒との密着性を改善した砥石およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明における課題の解決手段の概要は、以下のとおりである。(1)ダイヤモンド砥粒やcBN砥粒を切れ刃とする砥石であり、そのボンド材と砥粒が炭化チタンなどの硬質炭化物などでコーティングされており、ボンド材と砥粒が物理的に、化学的に強固に結合されていることを特徴とする砥石。物理的に強固に結合とは、ボンド材が砥粒を包み込むように被膜が形成されて、そのコーティングが砥粒とボンド材の表面を連続的に被覆して、強固な物理的なアンカリング効果を発現させることを示す。化学的に強固に結合とは、砥粒表面のコーティング層と砥粒とが化合物を形成し、化学的にも強固に結合していることを示す。(2)前記砥石とチタンなどを主成分とする電極を摺動させながら、放電表面処理することで、電極材が削り取られ砥粒表面に付着し、砥粒表面に導電性を与える工程と、その後、導電性を有した砥粒表面に放電が飛び、ボンド材のみならず、砥粒表面をコーティングする工程を有し、砥石のボンド材と砥粒とを連続的に硬質コーティングすることを特徴とする製造方法。
本発明によれば、砥粒が金属ボンド材に分散配置された砥石であり、最表面の砥粒と前記金属ボンド材とが、非酸化物セラミックスを含む連続したコーティングで覆われており、前記コーティングと前記金属ボンド材表面とがその界面に前記コーティングの成分と金属ボンドの成分からなる溶融再凝固層を形成して結合していることによって、連続的に砥粒を包み込むように配置された硬質なコーティングによってボンドの耐摩耗性と砥粒保持力とを同時に改善することができ、しかもコーティングと金属ボンド層が溶融再凝固層によって強固に結合していることによって、従来技術の課題であるコーティングと金属ボンド材の界面接着強度を改善できる。
請求項2によれば、前記コーティングと前記砥粒とがその界面に化合物を形成して結合していることにより、コーティングと砥粒との間の界面接着強度が改善され、砥粒保持力を高めることができる。
さらに、請求項5によれば、前記砥粒がダイヤモンド砥粒であり、前記コーティングと前記砥粒との界面に存在する前記化合物が炭化チタンであることにより、コーティングと前記砥粒との間の界面接着強度を改善することができる。
さらに、請求項5によれば、前記砥粒がダイヤモンド砥粒であり、前記コーティングと前記砥粒との界面に存在する前記化合物が炭化チタンであることにより、コーティングと前記砥粒との間の界面接着強度を改善することができる。
請求項3によれば、前記非酸化物セラミックスが、炭化チタン、窒化チタン、炭化タングステンから選択された1種以上の非酸化物セラミックスからなり、前記金属ボンドが、ニッケル、クロム、銅、亜鉛のいずれかを主成分とする金属ボンドであることによって、耐摩耗性が不十分な金属ボンドの表面に硬質な炭化チタン、窒化チタン、炭化タングステンあるいはそれらの複合材料を配置することで砥石の耐摩耗性を改善することができる。
請求項4によれば、前記非酸化物セラミックスが炭化チタンであり、前記金属ボンドがニッケルを主成分とする金属であり、前記コーティングのうち、金属ボンド上に形成された前記コーティングの表面に含まれるチタンの原子パーセントの割合が、ニッケルの原子パーセントに対して0.5倍以上であることによって、耐摩耗性が不十分なニッケルボンドの表面に硬質な炭化チタンを配置することで砥石の耐摩耗性を改善することができる。さらに、ニッケルとチタンを化合物化することによって、コーティングと金属ボンドの界面接着強度を上げることができる。
請求項6によれば、砥粒を複数層有する金属ボンドの砥石であり、最表面に配置された前記砥粒の突き出し高さ、つまり、前記上に形成されたコーティングの平均高さと、前記金属ボンド上に形成されたコーティングの平均高さとの差が100マイクロメートル以下であるであることによって、メタルボンド砥石、電鋳ブレードなどの砥粒保持力と耐摩耗性を改善するとともに、切れ味などの加工能率を維持することができる。
請求項7によれば、砥粒層を1層だけ有し、前記砥粒が台金に接した状態で、前記金属ボンドで固定された電着砥石であり、前記金属ボンド上の前記溶融再凝固層を含むコーティング厚さが0.1〜20マイクロメートルであり、前記砥粒の平均砥粒径の50%〜90%が前記金属ボンドと前記溶融再凝固層を含むコーティング層によって埋め込まれており、コーティング層を含む砥粒の台金からの平均高さと、前記金属ボンドと前記溶融再凝固層を含むコーティング層をあわせた平均厚さとの差が100マイクロメートル以下であることによって、電着砥石の砥粒保持力と耐摩耗性を改善するとともに、切れ味などの加工能率を維持することができる。電着砥石は、ニッケルやニッケル合金めっきを金属ボンドとして砥粒を保持するが、それらのボンドはビッカース硬さで1000HV以下であり、めっきという製造プロセスの制限のために硬質なボンドを用いることができない。特に小径の軸付き電着砥石による硬脆材料の加工においては砥粒保持力と耐摩耗性が重要であるため、ビッカース硬さが1000HVを超える本コーティングによって被覆することは砥粒保持力と耐摩耗性の改善において効果がある。
請求項8によれば、前記コーティングの成分を含む電極と前記砥石とを対向させ、前記電極と前記砥石の表面に存在する砥粒と接触させた状態で、(1)前記電極と前記砥粒の相対的に位置関係を移動させ、前記砥粒が前記電極の一部を削り取り、前記コーティング成分を含む微粒子Aを生成する工程によって、コーティングの原材料を電極間により多く供給できるようになる。(2)液体で満たした前記電極と前記砥石の間で、パルス放電を発生させ、放電のエネルギーによって前記電極と前記砥石との表面の一部を溶融除去し、前記コーティング成分と前記金属ボンド材成分とを含む微粒子Bを生成する工程と、(3)液体で満たした前記電極と前記砥石の間で、パルス放電を発生させ、前記コーティング成分を含む微粒子Aと、前記コーティング成分と前記金属ボンド材成分とを含む微粒子Bとを、放電のエネルギーによって溶融させ、前記砥石表面に堆積させる工程とを、同時にあるいは逐次的に行うことで、大気解放環境において、硬質でしかも密着性の良いコーティングを砥石表面に形成できる。
請求項9によれば、加工機上に取り付けた前記砥石に対して、研削加工を行っている状態あるいは研削加工を行った後に、前記加工機上でコーティングを行うことによって、加工機から砥石を取り外すことなく、前記コーティングを追加で成膜できるという効果があり、砥石の砥粒保持力と耐摩耗性を長く維持できるという効果がある。特に砥粒を複数層有する金属ボンドの砥石では、自生作用で、ボンド内部から新しい切れ刃が現れたときに、機上でコーティングできるという効果がある。
以下、本発明の実施形態について図1から図4を参照して説明するが、本発明は、下記の具体的な実施態様に何ら限定されるものではない。なお、各図において同一または対応する部材には、同一符号を用いる。
(コーティング砥石)
図1は、本発明のコーティング砥石の断面構造を説明した図である。図2は、従来のコーティング砥石の断面構造を説明した図である。本発明のコーティングは、従来コーティング砥石に比べて、以下の構成にすることにより、コーティング膜厚が厚く、金属ボンドの耐摩耗性が高いこと、砥粒および金属ボンドとの密着性に優れること、コーティングが砥粒と金属ボンドを連続的に被覆していることによる砥粒保持力の高さにおいて優れている。
図1は、本発明のコーティング砥石の断面構造を説明した図である。図2は、従来のコーティング砥石の断面構造を説明した図である。本発明のコーティングは、従来コーティング砥石に比べて、以下の構成にすることにより、コーティング膜厚が厚く、金属ボンドの耐摩耗性が高いこと、砥粒および金属ボンドとの密着性に優れること、コーティングが砥粒と金属ボンドを連続的に被覆していることによる砥粒保持力の高さにおいて優れている。
コーティング砥石が電着砥石である場合、本発明のコーティング砥石図1(A)と従来のコーティング砥石図2は、台金4の上に、金属ボンド3によって砥粒1が固定されて、コーティング2aが砥粒1を、コーティング2bが金属ボンド3覆っている点は同じである。コーティング2bの厚さをT、コーティング2bを含む金属ボンドの厚さをA、砥粒の突き出し高さ(砥粒表面に形成されたコーティングの平均高さと、前記金属ボンド上に形成されたコーティングの平均高さとの差)をB、台金からの、コーティング層を含む砥粒の平均高さCとする。
コーティング砥石が砥粒層を1層だけ有し、砥粒が台金に接した状態で、前記金属ボンドで固定された電着砥石の場合、前記金属ボンド上の前記溶融再凝固層を含むコーティング厚さが0.1〜20マイクロメートルであり、前記砥粒の平均砥粒径の50%〜90%が前記金属ボンドと前記溶融再凝固層を含むコーティング層によって埋め込まれており、砥粒の突き出し高さB(コーティング層を含む砥粒の台金からの平均高さと、前記金属ボンドと前記溶融再凝固層を含むコーティング層をあわせた平均厚さとの差)が100マイクロメートル以下であることが好ましい。前記突き出し高さBが数マイクロメートルから30マイクロメートルであることが好ましい。
コーティング砥石が砥粒を複数層有する金属ボンドの砥石であるメタルボンド砥石や電鋳砥石の場合、図1(B)のように、砥粒1が金属ボンド3中に複数層存在する。この場合、最表面の砥粒1が、コーティング2bを含む金属ボンドによって埋め込まれている深さがAとなる。最表面に配置された砥粒の突き出し高さBが100マイクロメートル以下であることが好ましい。より好ましくは、前記突き出し高さBが数マイクロメートルから30マイクロメートルであることが好ましい。
本発明のコーティング砥石は、砥粒1上のコーティング2aと金属ボンド上のコーティング2bが連続していて、砥粒1を強固に固定している構造となっている。砥粒1がコーティング2aとの界面に化合物を作っていることが好ましい。砥粒1がダイヤモンド砥粒であり、コーティング2aがチタン成分からなる硬質被膜である場合、界面には炭化チタンが形成されていることが好ましい。金属ボンド3とコーティング2bは、それぞれの成分がまざりあった溶融再凝固層を形成して結合していることが好ましい。金属ボンドがニッケル成分からなり、コーティング2bが炭化チタンである場合は、それらの溶融再凝固層が存在し、表面からの分析においてニッケルおよびチタンの成分が検出されることが好ましい。
コーティング2a、2bは、非酸化物セラミックスを含むものであり、炭化チタン、窒化チタン、炭化タングステンなどから選択することが好ましい。金属ボンド3は、ニッケル、クロム、銅、亜鉛のいずれかを主成分とする金属ボンドであることが好ましく。ニッケルの場合、ニッケルの合金よりも、純ニッケルの方が好ましい。コーティング2bが炭化チタンと金属ボンドがニッケルからなる場合、ニッケルに対してチタンの原子パーセントが0.5倍以上であることが好ましい。
(コーティング砥石の製造方法)
図3は、本発明のコーティング砥石の製造方法の一例を示した図であり、図3Aはコーティング初期、図3Bはコーティング中期、図3Cはコーティング終盤の砥石の断面構造と電極の関係を示した図である。図4は、本発明の加工機上でのコーティング砥石の製造方法の一例として、電極と砥石と被加工物の位置関係を示した図である。
図3は、本発明のコーティング砥石の製造方法の一例を示した図であり、図3Aはコーティング初期、図3Bはコーティング中期、図3Cはコーティング終盤の砥石の断面構造と電極の関係を示した図である。図4は、本発明の加工機上でのコーティング砥石の製造方法の一例として、電極と砥石と被加工物の位置関係を示した図である。
本発明の砥石のコーティング方法は、コーティングの成分を含む電極6と砥石5とを対向させ、電極6と砥石5の表面に存在する砥粒1と接触させた状態で、電極6と砥粒1の相対的に位置関係を移動させる。これにより、砥粒1が電極5の一部を削り取り、コーティング成分を含む粒子10aを生成する。一方、液体で満たした電極と砥石の間で、パルス放電を発生させ、放電のエネルギーによって電極と砥石との表面の一部を溶融除去し、コーティング成分を含む粒子10bと金属ボンド材成分を含む粒子3aを生成する。この工程では、一度、金属ボンド3に付着したコーティング2aが、再び発生する放電によって再溶融除去され、コーティング成分と金属ボンド成分の両方を含む粒子10dを生成する。さらに連続して、液体で満たした前記電極と前記砥石の間で、パルス放電を発生させ、前記粒子10a、10dと、3aを放電のエネルギーによって溶融させ、前記砥石表面に堆積させる。
放電パルスのパルス幅は0.1から200マイクロ秒が好ましい。パルスの休止時間はパルス幅と同等か、2〜10倍程度が好ましい。放電電流は、0.1〜50A程度が好ましい。
電極6は、コーティング成分を含むバルク材でも良い。しかし、コーティング成分が高融点材料であり、非常に硬度があるため、砥粒による削り取ることも、放電によって溶融除去することも難しいため、コーティングの成分を含む粉体を圧縮成形したものが好ましい。コーティング成分が容易に脱落しやすく、コーティング成分をより多く、砥石側へ供給できるからである。圧縮成形する際、より低融点の材料を介して結合することで、電極の形状加工を行う際、形状創成を容易にできる。
たとえば、炭化チタンのコーティングを行いたい場合は、炭化チタンの粉末を純チタンで結合した電極が有効である。炭化チタンの粉末は、0.1マイクロメートルから10マイクロメートル程度が好ましい。本発明の砥石のコーティング方法では、金属ボンドを除去しながら、硬質コーティングが形成できるため、砥粒が金属ボンドで完全に埋め込まれている状態、つまり表面から砥粒が見えない状態から本発明の手法によりコーティングすることができる。コーティングしながら金属ボンドを除去し、切れ刃となるコーティング砥粒を露出されることができる。
本発明の砥石のコーティング方法は、電着砥石だけではなく、砥粒層を複数層有するメタルボンド砥石にも適用できる。メタルボンド砥石の場合、コーティング層を含む金属ボンドが消耗していく砥石であるため、加工機上でコーティングすることが望ましい。加工機上に取り付けた前記砥石5に対して、研削加工を行っている状態あるいは研削加工を行った後に、前記加工機上でコーティングを行うために、砥石5と電極6を放電加工用電源(パルス電源)13に接続しておく。砥石5は回転しながら被加工物12を加工し、砥石5の反対面は本発明のコーティング法により、硬質コーティングを砥石表面に形成できる。したがって、メタルボンド砥石では常に新しい砥粒層が現れるが、都度、硬質コーティングを施すことができ、耐摩耗性を向上させることができる。
実施例について図5〜15を参照して説明する。
(炭化チタンコーティングの概要)
本発明のコーティング砥石の製造方法おいては、液中での連続的なパルス放電により電極の一部が溶融し、砥石表面に移行堆積して電極素材に基づく被膜を形成することができる。炭化チタン(TiC)粉体の圧粉体電極を用いて砥石表面へTiC被膜を形成した場合、耐摩耗性を向上させることができる。液中パルス放電によるTiC被膜形成は、TiCの成膜と砥石の金属ボンドの除去が同時に進行するプロセスであり、金属ボンドの熱伝導率や融点などによってその成膜形態が異なり、金属ボンド毎に成膜条件を検討する必要がある。電着砥石の場合、金属ボンドはニッケルになる。以下、本発明のコーティング砥石およびその製造方法の1例として、電解ニッケルめっき被膜(Ni)や無電解ニッケル・リン合金めっき被膜(Ni−P)でダイヤモンド砥粒を保持した電着砥石の耐摩耗性向上を取り上げて説明する。
本発明のコーティング砥石の製造方法おいては、液中での連続的なパルス放電により電極の一部が溶融し、砥石表面に移行堆積して電極素材に基づく被膜を形成することができる。炭化チタン(TiC)粉体の圧粉体電極を用いて砥石表面へTiC被膜を形成した場合、耐摩耗性を向上させることができる。液中パルス放電によるTiC被膜形成は、TiCの成膜と砥石の金属ボンドの除去が同時に進行するプロセスであり、金属ボンドの熱伝導率や融点などによってその成膜形態が異なり、金属ボンド毎に成膜条件を検討する必要がある。電着砥石の場合、金属ボンドはニッケルになる。以下、本発明のコーティング砥石およびその製造方法の1例として、電解ニッケルめっき被膜(Ni)や無電解ニッケル・リン合金めっき被膜(Ni−P)でダイヤモンド砥粒を保持した電着砥石の耐摩耗性向上を取り上げて説明する。
(炭化チタン成膜における電極極性と金属ボンドの影響)
鋼材上にNi被膜を50μm形成した試料および平均粒径100μmのクラッシャータイプの単結晶ダイヤモンド砥粒をNi被膜で60%埋め込んだ電着砥石に対して、表1の条件で、Ni表面およびダイヤモンド砥粒が露出した表面にTiC被膜を形成した。放電加工機(三菱電機製EX8)を使用し、TiC粉体電極を(+)および(−)極とし、電極間を加工液で満たして行った。TiC粉体電極(メルコメカトロニクス製EDCOAT用電極)は、TiC粉体(粒径2〜5μm)を圧縮、仮焼結したものを用いた。ただし、砥石への試験は、電極を(−)極とし、電極を100rpmで回転させながら行った。
鋼材上にNi被膜を50μm形成した試料および平均粒径100μmのクラッシャータイプの単結晶ダイヤモンド砥粒をNi被膜で60%埋め込んだ電着砥石に対して、表1の条件で、Ni表面およびダイヤモンド砥粒が露出した表面にTiC被膜を形成した。放電加工機(三菱電機製EX8)を使用し、TiC粉体電極を(+)および(−)極とし、電極間を加工液で満たして行った。TiC粉体電極(メルコメカトロニクス製EDCOAT用電極)は、TiC粉体(粒径2〜5μm)を圧縮、仮焼結したものを用いた。ただし、砥石への試験は、電極を(−)極とし、電極を100rpmで回転させながら行った。
(電極極性の影響)
図5に、Ni被膜に形成したTiC被膜をNi(at%)に対するTi(at%)の比率(Ti/Ni)を示す。元素分析は、表面からエネルギー分散型X線分析(EDS)で行った。電極が(+)極の場合、処理時間によらずTi/Niはほぼ0.6で一定値を示した。一方、電極が(−)極の場合、処理時間13.3sec/mm2でTi/Niは最も高く約1.3に達し、その後減少し約0.8となる。組成分析結果より、表1の放電条件においてNi被膜に対してTiCを成膜した場合、電極が(−)極の方がTiCの成膜レートが高いといえる。
図5に、Ni被膜に形成したTiC被膜をNi(at%)に対するTi(at%)の比率(Ti/Ni)を示す。元素分析は、表面からエネルギー分散型X線分析(EDS)で行った。電極が(+)極の場合、処理時間によらずTi/Niはほぼ0.6で一定値を示した。一方、電極が(−)極の場合、処理時間13.3sec/mm2でTi/Niは最も高く約1.3に達し、その後減少し約0.8となる。組成分析結果より、表1の放電条件においてNi被膜に対してTiCを成膜した場合、電極が(−)極の方がTiCの成膜レートが高いといえる。
(金属ボンドの影響:ニッケルとニッケル・リンめっき被膜の比較)
図6に、ニッケル被膜面を基準にしたTiC被膜の平均表面高さの処理時間に対する変化を示す。Ni−Pでは、TiC被膜の表面高さは、処理時間26.7sec/mm2までわずかに増加し、その後減少する。一方、Niでは、処理時間に対して単調に減少する。
図6に、ニッケル被膜面を基準にしたTiC被膜の平均表面高さの処理時間に対する変化を示す。Ni−Pでは、TiC被膜の表面高さは、処理時間26.7sec/mm2までわずかに増加し、その後減少する。一方、Niでは、処理時間に対して単調に減少する。
図7に、TiC被膜の表面粗さRaの処理時間に対する変化を示す。Ni−Pでは、処理時間に対して表面粗さが大きくなり、Niでは、処理時間8.0sec/mm2以降、表面粗さはほぼ一定となる。
図8(A),(B)および図9(A),(B)に、それぞれNi−PおよびNiの処理時間8.0、4.0sec/mm2で形成したTiC被膜の表面SEM写真を示す。図3(A),(B)より、Ni−Pでは、表面にはクラックが見られ、処理時間が長くなるほど顕著になることがわかる。一方、図4(A),(B)より、Niでは、表面にクラックはほとんど見られない。Ni−Pに見られるクラックは、非晶質であるNi−P基板が放電加工の熱により一部結晶化することで発生すると考えられる。
図10に、TiC被膜の膜厚(誤差は標準偏差)の処理時間に対する変化を示す。Ni−Pでは、TiC膜厚は、処理時間26.7sec/mm2まで増加し、その後、減少する。一方、Niでは、処理時間8.0sec/mm2以降、TiC膜厚は約5μmでほぼ一定となる。
図11に、TiC被膜に含まれるNi(at%)に対するTi(at%)の比率(Ti/Ni)を示す。元素分析は、表面からエネルギー分散型X線分析(EDS)で行った。Ni−PおよびNiともに、処理時間26.7sec/mm2以降、Ti/Niの比率はほぼ一定で、Ni−Pでは約0.8、Niでは約1.8となる。Ni−Pに比べ、NiではTi濃度が約2倍高く、残留するNi成分が少ない。
図12に、TiC被膜の断面から測定したマイクロビッカース硬度を示す。Ni−Pでは、処理時間26.7sec/mm2まで、処理時間が長くなるほど硬度が増加し、約1300HVに達する。一方、Niでは、処理時間13.3sec/mm2以降、1500HVを超える。Ni−PとNiの硬度向上の差は、TiC被膜に残留するNi濃度による。
Niの場合、処理時間8.0sec/mm2以降で、TiC被膜の表面粗さ、膜厚、Ti濃度、硬さがほぼ一定となること。さらに、被膜の表面高さが初期から単調に減少することから、短い処理時間で、電極からのTiCの供給量とTiCを含む母材の除去量が一定の割合となる定常状態に入り、この放電条件において形成できる品質のTiC成膜が完了しているといえる。一方、Ni−Pの場合、被膜高さが減少に転じる処理時間26.7sec/mm2以降であり、Niに比べてTiCの供給量と除去量が定常状態に入るのが遅い。以上より、油中パルス放電によるTiC被膜の形成において、非晶質な無電解ニッケルリンめっき(Ni−P)に比べて、結晶質で、融点および熱伝導率が高い電解Niめっき被膜(Ni)において、短い処理時間で、表面粗さが良く、クラックのない、TiC濃度が高く、ビッカース硬度約1500HVの良質なTiC被膜が形成できる。
図13に、処理時間26.7sec/mm2で形成したTiC被膜断面の反射電子組成像を示す。組成像のコントラストから表面から約10μmにTiC被膜が形成されていることがわかる。TiC被膜内においても若干コントラストが違う箇所があり、TiC濃度は場所によって異なることがわかる。これは、電極材料であるTiCと金属ボンドであるNiが溶融除去と再凝固をくりかえることで形成されためである。本発明の特徴の1つである金属ボンドとコーティングの密着性の良さはこのような被膜構造に起因する。
(ダイヤモンド上の炭化チタン被膜の性状)
平均粒径100μmのクラッシャータイプの単結晶ダイヤモンド砥粒を、電解めっきにより、純Ni被膜で60%埋め込んだ砥石のNi表面およびダイヤモンド砥粒が露出した表面に、TiC被膜を形成した。放電加工機(三菱電機製EX8)を使用し、TiC粉体電極を(−)極とし、電極間を加工液で満たし、電極を100rpmで回転させながら行った。図14に、処理時間ごとの砥石表面の電子顕微鏡写真(SEM像)を示す。処理時間に伴い、ボンド層(Ni被膜)の表面において溶融再凝固した部分が増える。また、砥石表面のチャージアップが少なくなることから、ダイヤモンド砥粒表面にも導電性の付着物が増加していることがわかる。EDS分析の結果、処理時間133.3sec/mm2において、Ti/Niは22.9%であり、Ni被膜へ成膜に比べてTiCの成膜レートは低い。
平均粒径100μmのクラッシャータイプの単結晶ダイヤモンド砥粒を、電解めっきにより、純Ni被膜で60%埋め込んだ砥石のNi表面およびダイヤモンド砥粒が露出した表面に、TiC被膜を形成した。放電加工機(三菱電機製EX8)を使用し、TiC粉体電極を(−)極とし、電極間を加工液で満たし、電極を100rpmで回転させながら行った。図14に、処理時間ごとの砥石表面の電子顕微鏡写真(SEM像)を示す。処理時間に伴い、ボンド層(Ni被膜)の表面において溶融再凝固した部分が増える。また、砥石表面のチャージアップが少なくなることから、ダイヤモンド砥粒表面にも導電性の付着物が増加していることがわかる。EDS分析の結果、処理時間133.3sec/mm2において、Ti/Niは22.9%であり、Ni被膜へ成膜に比べてTiCの成膜レートは低い。
図15(A),(B)に、それぞれ処理前と処理時間133.3sec/mm2のダイヤモンド砥粒のSEM像を示す。処理時間133.3sec/mm2の砥粒表面には溶融物および粉体形状を残した付着物が見られる。EDS分析の結果、付着物はTiおよびNiであり、Ti/Niは約3と高い。導電性のないダイヤモンド砥粒への付着物は、電極から脱落したTiC粉体が付着し、その後放電によって溶融したものと、Ni被膜が放電によって溶融除去され、飛散し付着したものがある。
以上の実施形態及び実施例を参照しながら本発明を説明したが、本発明に包含される権利範囲はこれらの実施形態及び実施例に限定されないものである。
本発明の砥石によれば、コーティングとボンド材とを、溶融再凝固層を介して強固に結合しており、剥離する可能性がほぼなく、耐摩耗性の向上に有効である。さらに、砥粒を覆うようにコーティングが形成され、そのコーティングが連続的に砥粒とボンド材を覆っていることによる砥粒保持力が発現される。これらの効果によって、砥粒加工中の砥粒の脱落を抑えて、ボンドの耐摩耗性が上がるため、砥石の工具寿命及び砥粒加工性能を大幅に向上させることができる。
本発明の製造方法によれば、真空装置を用いたPVDやCVDによるコーティング方法に比べて、大気解放雰囲気で実施できる手法であり、機上でのコーティングも可能であるという効果がある。
このように、本発明は、産業上の利用価値及び産業上の利用可能性が非常に高い。
1 砥粒
2a 砥粒上のコーティング
2b 金属ボンド上のコーティング
3 金属ボンド
3a 金属ボンドから放電によって生成した粒子
4 台金
5 砥石
6 電極
7 加工液
8 放電アーク柱
10 コーティングの成分を含む粒子
10a 砥粒により削り取られた粒子10
10b 放電により溶融状態となった粒子10
10c 放電後、溶融した金属ボンド3とともに再凝固したコーティング2a
10d 溶融再凝固し、金属ボンド3に付着したコーティング2aが、放電により再度溶融し、コーティング2aより除去された粒子
11 低融点金属
12 被加工物
13 放電加工用電源
T コーティング厚さ(本発明の場合、溶融再凝固層を含むコーティング厚さ)
A 電着砥石の場合は、コーティング層を含む金属ボンド層の厚さ。メタルボンド砥石の場合は、最表面の砥粒の埋め込み深さ
B 砥粒の突き出し高さ(砥粒表面に形成されたコーティングの平均高さと、前記金属ボンド上に形成されたコーティングの平均高さとの差)
C 台金からの、コーティング層を含む砥粒の平均高さ
2a 砥粒上のコーティング
2b 金属ボンド上のコーティング
3 金属ボンド
3a 金属ボンドから放電によって生成した粒子
4 台金
5 砥石
6 電極
7 加工液
8 放電アーク柱
10 コーティングの成分を含む粒子
10a 砥粒により削り取られた粒子10
10b 放電により溶融状態となった粒子10
10c 放電後、溶融した金属ボンド3とともに再凝固したコーティング2a
10d 溶融再凝固し、金属ボンド3に付着したコーティング2aが、放電により再度溶融し、コーティング2aより除去された粒子
11 低融点金属
12 被加工物
13 放電加工用電源
T コーティング厚さ(本発明の場合、溶融再凝固層を含むコーティング厚さ)
A 電着砥石の場合は、コーティング層を含む金属ボンド層の厚さ。メタルボンド砥石の場合は、最表面の砥粒の埋め込み深さ
B 砥粒の突き出し高さ(砥粒表面に形成されたコーティングの平均高さと、前記金属ボンド上に形成されたコーティングの平均高さとの差)
C 台金からの、コーティング層を含む砥粒の平均高さ
Claims (10)
- 砥粒が金属ボンド材に分散配置された砥石であり、
最表面の砥粒と前記金属ボンド材とが、非酸化物セラミックスを含む連続したコーティングで覆われており、前記コーティングと前記金属ボンド材表面とがその界面に前記コーティングの成分と金属ボンドの成分からなる溶融再凝固層を形成して結合していることを特徴とするコーティング砥石。 - 前記コーティングと前記砥粒とがその界面に化合物を形成して結合していることを特徴とする請求項1に記載のコーティング砥石。
- 前記非酸化物セラミックスが、炭化チタン、窒化チタン、炭化タングステンから選択された1種以上の非酸化物セラミックスからなり、
前記金属ボンドが、ニッケル、クロム、銅、亜鉛のいずれかを主成分とする金属ボンドであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のコーティング砥石。 - 前記非酸化物セラミックスが炭化チタンであり、前記金属ボンドがニッケルを主成分とする金属であり、
前記コーティングのうち、前記金属ボンド上に形成された前記コーティングの表面に含まれるチタンの原子パーセントの割合が、ニッケルの原子パーセントに対して0.5倍以上であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のコーティング砥石。 - 前記砥粒がダイヤモンド砥粒であり、
前記コーティングと前記砥粒との界面に存在する前記化合物が炭化チタンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコーティング砥石。 - 砥粒を複数層有する金属ボンドの砥石であり、最表面に配置された前記砥粒の突き出し高さ、つまり、前記砥粒上に形成されたコーティングの平均高さと、前記金属ボンド上に形成されたコーティングの平均高さとの差が100マイクロメートル以下であるであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング砥石。
- 砥粒層を1層だけ有し、前記砥粒が台金に接した状態で、前記金属ボンドで固定された電着砥石であり、前記金属ボンド上の前記溶融再凝固層を含むコーティング厚さが0.1〜20マイクロメートルであり、前記砥粒の平均砥粒径の50%〜90%が前記金属ボンドと前記溶融再凝固層を含むコーティング層によって埋め込まれており、コーティング層を含む砥粒の台金からの平均高さと、前記金属ボンドと前記溶融再凝固層を含むコーティング層をあわせた平均厚さとの差が100マイクロメートル以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング砥石。
- 前記コーティングの成分を含む電極と前記砥石とを対向させ、前記電極と前記砥石の表面に存在する砥粒と接触させた状態で、
(1)前記電極と前記砥粒の相対的に位置関係を移動させ、前記砥粒が前記電極の一部を削り取り、前記コーティング成分を含む微粒子Aを生成する工程と、
(2)液体で満たした前記電極と前記砥石の間で、パルス放電を発生させ、放電のエネルギーによって前記電極と前記砥石との表面の一部を溶融除去し、前記コーティング成分と前記金属ボンド材成分とを含む微粒子Bを生成する工程と、
(3)液体で満たした前記電極と前記砥石の間で、パルス放電を発生させ、前記コーティング成分を含む微粒子Aと、前記コーティング成分と前記金属ボンド材成分とを含む微粒子Bとを、放電のエネルギーによって溶融させ、前記砥石表面に堆積させる工程とを、
同時にあるいは逐次的に行うことで、前記コーティングを形成することを特徴とする請求1〜7のいずれかに記載のコーティング砥石の製造方法。 - 加工機上に取り付けた前記砥石に対して、研削加工を行っている状態あるいは研削加工を行った後に、前記加工機上でコーティングを行うことを特徴とする請求項8に記載のコーティング砥石の製造方法。
- 前記電極が、前記コーティングの成分を含む粉体を前記コーティングよりも低融点の材料を介して結合していることを特徴とする請求項8〜9のいずれかに記載のコーティング砥石の製造方法。
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JP2018023727A JP2019136835A (ja) | 2018-02-14 | 2018-02-14 | コーティング砥石およびその製造方法 |
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