JP2882935B2 - 加速度センサ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、振動等に伴う加速度を
検出する加速度センサに関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の加速度センサに類似した従来技
術としては、特開昭６３ー２１８８４号公報、特開昭６
３ー３１７７１２号公報、特開昭６３ー２６５２０号公
報、実開昭６３ー１４１４１５号公報、実開昭６３ー７
００１７号公報等で知られた傾斜センサがある。図１４
はその基本的な構成を示す平面図、図１５は部分断面図
である。図において、１は非磁性材料で構成されたケー
ス、２はマグネット、３は磁気応動スイッチである。ケ
ース１は、底部１０１と、その全周に連続する側壁面１
０２とを有する。マグネット２はケース１の内部に配置
され、磁性流体４によって支持されて底部１０１の内面
上に浮上している。磁気応動スイッチ３は、底部１０１
の下方外部に配置されていて、マグネット２の位置に応
動する。

【０００３】図１６に示すように、ケース１が水平方向
ａまたはｂの加速度を受けた場合、マグネット２が、自
己の慣性により、磁性流体４によって支持されながら、
ケース１の底部内面上を移動し、磁気応動スイッチ３と
の相対位置が変化する。磁気応動スイッチ３は、マグネ
ット２の位置に関して、有感領域Ｓ１と不感領域Ｓ２と
を有する。有感領域Ｓ１は磁気応動スイッチ３がマグネ
ット２の磁界の作用を受けてスイッチ動作する領域であ
り、不感領域Ｓ２は磁気応動スイッチ３がマグネット２
の磁界の影響を実質的に受けない領域である。磁気応動
スイッチ３は、有感領域Ｓ１でオンとなれば、不感領域
Ｓ２ではオフになる。これにより、磁気応動スイッチ３
がマグネット２の磁界に応動してオンまたはオフの動作
し、加速度が検出される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、加速度セン
サを取付けてある対象物が地盤沈下等、何等かの原因に
よって傾斜し、または対象物に対する加速度センサの取
付け状態が変化したために、加速度センサが傾斜した場
合、マグネット２が傾斜方向に移動してしまう（図１６
参照）。このため、傾斜方向では磁気応動スイッチ３が
小さい加速度で不感領域Ｓ２に入ってしまい、傾斜方向
に対する加速度応答特性が敏感になる。これに対して、
傾斜方向とは反対方向では、不感領域Ｓ２までの距離が
大きくなり、マグネット２が不感領域Ｓ２に入るのに大
きな加速度を必要とし、鈍感になる。このため、誤動作
を生じる。

【０００５】そこで、本発明の課題は、上述した従来の
問題点を解決し、傾斜配置による誤動作を生じにくい加
速度センサを提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述した課題解決のた
め、本発明は、非磁性ケースと、可動体と、磁気応動ス
イッチとを有する加速度センサであって、前記ケース
は、底部と、その全周に連続する側壁面とを有してお
り、前記可動体は、マグネットと、付加部材とを有し、
前記マグネットが前記ケース内に配置され磁性流体によ
って支持されて前記底部の内面上に浮上し、前記付加部
材が前記マグネット上に仮想された中心線を基準にして
片側に突出しており、前記磁気応動スイッチは、前記底
部の下方外部に配置され前記可動体の位置に応動するこ
とを特徴とする。

【０００７】

【作用】可動体は、マグネットと共に、付加部材を有
し、付加部材がマグネット上に仮想された中心線を基準
にして片側に突出しているから、マグネットの重心位置
が付加部材の突出方向に偏心する。従って、加速度セン
サを取付けてある対象物が地盤沈下等、何等かの原因に
よって傾斜し、または対象物に対する加速度センサの取
付け状態が変化したために、加速度センサが傾斜配置さ
れた場合、可動体が重力の作用を受けて、重心偏心方向
に移動する。

【０００８】付加部材は、マグネット上に仮想された中
心線を基準にして片側に突出しているから、加速度セン
サが傾斜配置された場合、可動体の重心偏心方向への移
動が、付加部材のストッパ作用によって制限される。こ
のため、傾斜配置時の誤動作が防止できるようになる。

【０００９】付加部材の突出方向とは反対側の方向で
は、付加部材によるストッパ作用は生じない。従って、
この方向では、振動等に伴う加速度を受けた場合、可動
体が、自己の慣性により、磁性流体によって支持されな
がらケースの底部内面上を移動し、磁気応動スイッチと
の相対位置が変化する。これにより、磁気応動スイッチ
がマグネットの磁界に応動してオンまたはオフの動作
し、加速度が検出される。

【００１０】

【実施例】図１は本発明に係る加速度センサの平面図、
図２は同じくその部分断面図である。図において、１は
非磁性ケース、３は磁気応動スイッチ、４は磁性流体、
５は可動体である。

【００１１】ケース１は、底部１０１と、その全周に連
続する側壁面１０２とを有しており、底部１０１の平面
形状が実質的に円形となっている。図示では、底部１０
１の内面は凹面状となっているが、平面状であってもよ
い。ケース１は従来と同様に、アルミニュウムまたはプ
ラスチック等の非磁性材料を用いて構成する。磁性流体
４は、コバルト、鉄、ニッケル等の微粒子磁性粉を比較
的粘性の低い液体、例えばケロシン、水等に分散させた
ものであって、一般には界面活性剤を微粒子に吸着さ
せ、安定分散させてある。

【００１２】可動体５は、マグネット５１と、付加部材
５２とを有する。マグネット５１はケース１の内部に配
置され磁性流体４によって支持されて底部１０１の内面
上に浮上している。マグネット５１は上下方向または径
方向に着磁されている。付加部材５２はマグネット５１
に取付けられマグネット５１上に仮想された中心線ＣＴ
を基準にして片側に突出している。これにより、マグネ
ット５１の重心位置Ｏ１が、位置Ｏ２まで偏心量△ｄだ
け偏心すると共に、底部１０１の中心Ｏから重心偏心側
領域Ｙ１にある側壁面１０２までの移動可能距離Ｌａ
が、付加部材５２の突出量に応じて制限される。付加部
材５２は鉄等の磁性金属、非磁性金属またはプラスチッ
ク等によって構成できる。

【００１３】磁気応動スイッチ３は、ケース１に対して
固定した関係となるように配置されている。図示では縦
方向に設置されているが、横方向に設置する場合もあ
る。磁気応動スイッチ３は、マグネット５１の位置に関
して、有感領域Ｓ１と不感領域Ｓ２とを有する。有感領
域Ｓ１は磁気応動スイッチ３がマグネット５１の磁界の
作用を受けてスイッチ動作する領域であり、不感領域Ｓ
２は磁気応動スイッチ３がマグネット５１の磁界の影響
を実質的に受けない領域である。磁気応動スイッチ３
は、有感領域Ｓ１でオンとなれば、不感領域Ｓ２ではオ
フになる。

【００１４】上述のように、可動体５は、マグネット５
１と共に、付加部材５２を有し、付加部材５２がマグネ
ット５１に取付けられ、マグネット５１上に仮想された
中心線ＣＴを基準にして片側に突出しているから、マグ
ネット５１の重心位置Ｏ１が、位置Ｏ２まで偏心する。
このため、加速度センサを取付けてある対象物が地盤沈
下等、何等かの原因によって傾斜し、または対象物に対
する加速度センサの取付け状態が変化したために、加速
度センサが傾斜した場合、図３及び図４に示すごとく、
可動体５が重力の作用を受けて、付加部材５２の突出方
向に一致する領域Ｙ１に移動する。

【００１５】付加部材５２は突出方向が領域Ｙ１に一致
しているから、加速度センサが傾斜配置され、領域Ｙ１
に移動した場合、突起５２１、５２２がケース１の側壁
面１０２に突き当たり、底部１０１の重心位置Ｏ１から
重心偏心側Ｙ１に位置する側壁面１０２までの移動可能
距離Ｌａが制限される。この付加部材５２のストッパ作
用により、加速度センサが傾斜配置となった場合でも、
誤った検出信号が出力されるのを阻止できるようにな
る。

【００１６】図示の付加部材５２は、マグネット５１が
磁気応動スイッチ３の有感領域Ｓ１内に留まり、不感領
域Ｓ２に入らないような形状を有する。従って、加速度
センサが傾斜配置された場合、傾斜方向では、磁気応動
スイッチ３は動作しない。また、図１では、マグネット
５１側に位置する一端側で見た間隔よりも他端側で見た
間隔が広くなるように、交差角度θで配置された２本の
突起５２１、５２２を有し、これらの突起５２１、５２
２の一端を、マグネット５１に一体的に取付けられた支
持部５２３に固定した構造となっている。交差角度θが
小さすぎると、動作が不安定になったり、突起５２１、
５２２の先端部が側壁面１０２に突当たった時に、マグ
ネット５１及び支持部５２３を含む頭部側が、突起５２
１、５２２の先端と側壁面１０２との接触位置を支点に
して回転しながら転倒し易くなる。従って、交差角度θ
は、０°＜θ＜１８０°の範囲、望ましくは９０°程度
に設定する。

【００１７】上述のように、領域Ｙ１への可動体５の移
動が、付加部材５２によって制限されるが、領域Ｙ１と
は反対の領域Ｙ２への移動は制限されていない。従っ
て、図５及び図６に示すごとく、マグネット５１の重心
位置Ｏ１及び重心偏心位置Ｏ２を通る線分Ｐと平行な水
平方向ａ、ｂの加速度を受けた場合、領域Ｙ１では、可
動体５が、自己の慣性により、磁性流体４によって支持
されながらケース１の底部１０１の内面上を移動し、磁
気応動スイッチ３との相対位置が変化する。これによ
り、磁気応動スイッチ３がマグネット５１の磁界に応動
してオンまたはオフの動作し、加速度が検出される。図
示では、２方向の傾斜についてのみ説明したが、ケース
１は底部１０１及び側壁面１０２で構成される内部空間
が円筒状であるから、全方位において同様の作用が得ら
れる。

【００１８】図７はマグネット５１の重心位置Ｏ１及び
重心偏心位置Ｏ２を通る線分Ｐ１に対して斜め方向ａま
たはｂの加速度を受けた場合の動作を説明する平面図、
図８は同じく図７のＡ８ーＡ８線上における部分断面図
である。斜め方向ｂの加速度を受けた場合、可動体５は
マグネット５１の重心位置Ｏ１及び重心偏心位置Ｏ２が
加速度方向ｂと平行な線分Ｐ２上に乗るように変位しな
がらケース１の底部１０１の内面上を移動する。これに
より、磁気応動スイッチ３との相対位置が変化し、磁気
応動スイッチ３がマグネット５１の磁界に応動してオン
またはオフの動作し、加速度が検出される。方向ｂとは
逆方向の方向ａの加速度を受けた場合も、可動体５はマ
グネット５１の重心位置Ｏ１及び重心偏心位置Ｏ２が加
速度の方向ａと平行な線分Ｐ２上に乗るように変位しな
がらケース１の底部１０１の内面上を移動する。加速度
の方向ａには付加部材５２の突起５２１、５２２がある
ので、そのストッパ作用により、マグネット５１が磁気
応動スイッチ３の有感領域Ｓ１内に留まり、不感領域Ｓ
２に入らない。従って、磁気応動スイッチ３は動作しな
い。

【００１９】図９は本発明に係る加速度センサの別の実
施例における平面図である。図において、図１と同一の
参照符号は同一性ある構成部分を示している。可動体５
を構成する付加部材５２は、一つの突起５２０を有する
だけである。突起５２０はマグネット側に位置する一端
側で見た間隔よりも他端側で見た間隔が広い扇形になっ
ている。突起５２０は、外周面が側壁面１０２の内周面
と重なり得る曲率を有する。

【００２０】図１０は本発明に係る加速度センサの別の
実施例における平面図である。可動体５を構成する付加
部材５２は、図１１の実施例と同様に、一つの突起５２
０を有するだけであり、突起５２０は、相対する両周面
が側壁面１０２の内周面と重なり得る曲率を有する円弧
となっている。円弧の長さは領域Ｙ２への移動を妨げな
いような寸法に定める。

【００２１】図９及び図１０に示した実施例において
も、図１〜図８の実施例と同様の作用効果が得られる
他、突起５２０が比較的大きな平面積を有するので、安
定した加速度検出動作が得られると共に、転倒の危険性
がなく、しかも傾斜配置時の安定性も向上する。

【００２２】図１１は本発明に係る加速度センサの別の
実施例における平面図である。この実施例では、可動体
５がケース１の中心Ｏに位置する状態で、突起５２０の
外周面が側壁面１０２の内周面と実質的に接触してい
る。従って、可動体５は領域Ｙ２への移動は可能である
が、領域Ｙ１への移動が実質的に阻止されている。

【００２３】図１２は本発明に係る加速度センサの別の
実施例における平面図である。可動体５を構成する付加
部材５２の突起５２０は、相対する両周面が側壁面１０
２の内周面と重なり得る曲率を有する円弧となってい
る。円弧の長さは領域Ｙ２への移動を妨げないような寸
法に定める。

【００２４】図１１及び図１２に示した実施例におい
て、斜め配置された場合は突起５２０の外周面がケース
１の側壁面１０２に接触して支えられるので、安定性が
よいこと、転倒の危険性がないこと等の利点が得られ
る。

【００２５】図１３は本発明に係る加速度センサの更に
具体的な実施例を示す断面図である。７はプラスチック
等の非磁性電気絶縁物によって構成されたホルダ、８、
９はリード端子、１０はバイアス用マグネット、１１は
固定用蓋、１０３はケース蓋、１２はキャップである。
ケース１はホルダ７の上部に形成された受部７１の内部
に配置され、ケース蓋１０３の上に配置された固定用蓋
１１によって、ホルダ７に固定されている。固定用蓋１
１に対するケース１の固定手段としては、接着またはネ
ジ結合等による機械的結合手段が採用できる。また、固
定用蓋１１は例えば接着またはネジ結合等の手段によっ
て受部７１の内面と結合し固定する。磁気応動スイッチ
３はホルダ７の下部に形成された受部７２に挿入して配
置する。磁気応動スイッチのリード導体３１、３２はリ
ード端子８、９に接続する。リード端子８はホルダ７の
内部を通って外部に導いてある。リード端子９は一端を
磁気応動スイッチ３の下方に配置すると共に、ホルダ７
に沿って折曲げて導く。マグネット１０はリング状であ
って、磁気応動スイッチ３を収納する受部７２の周りに
設けられたリング状の受部７３内に挿入配置されてい
る。ケース蓋１０３はケース１の上面側を閉塞し、磁性
流体４の蒸発を防止している。キャップ１２は全体を覆
っている。キャップ１２はシールド作用を持つように鉄
等の磁性材料によって構成するのが望ましい。

【００２６】この実施例においても、図１〜図６で述べ
た作用効果が得られることはいうまでもない。

【００２７】

【発明の効果】以上述べたように、本発明は、非磁性ケ
ースと、可動体と、磁気応動スイッチとを有する加速度
センサであって、ケースは、底部と、その全周に連続す
る側壁面とを有しており、可動体は、マグネットと、付
加部材とを有し、マグネットがケース内に配置され磁性
流体によって支持されて底部の内面上に浮上し、付加部
材がマグネットに取り付けられマグネット上に仮想され
た中心線を基準にして片側に突出しており、磁気応動ス
イッチは底部の下方外部に配置され可動体の位置に応動
するから、傾斜配置による誤動作を生じにくい加速度セ
ンサを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る加速度センサの平面図である。

【図２】図１のＡ２ーＡ２線上における部分断面図であ
る。

【図３】本発明に係る加速度センサの動作を説明する平
面図である。

【図４】図３のＡ４ーＡ４線上における部分断面図であ
る。

【図５】本発明に係る加速度センサの動作を説明する平
面図である。

【図６】図５のＡ６ーＡ６線上における部分断面図であ
る。

【図７】本発明に係る加速度センサの動作を説明する平
面図である。

【図８】図７のＡ８ーＡ８線上における部分断面図であ
る。

【図９】本発明に係る加速度センサの別の実施例におけ
る平面図である。

【図１０】本発明に係る加速度センサの更に別の実施例
における平面図である。

【図１１】本発明に係る加速度センサの更に別の実施例
における平面図である。

【図１２】本発明に係る加速度センサの更に別の実施例
における平面図である。

【図１３】本発明に係る加速度センサの具体的な実施例
における断面図である。

【図１４】従来の加速度センサの平面図である。

【図１５】従来の加速度センサの部分断面図である。

【図１６】従来の加速度センサの動作を説明する平面図
である。

【符号の説明】

１ ケース １０１ 底部 ３ 磁気応動スイッチ ４ 磁性流体 ５ 可動体 ５１ マグネット ５２ 付加部材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G01P 15/135 G01C 9/06 - 9/06

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 非磁性ケースと、可動体と、磁気応動ス
   イッチとを有する加速度センサであって、 前記ケースは、底部と、その全周に連続する側壁面とを
   有しており、 前記可動体は、マグネットと、付加部材とを有し、前記
   マグネットが前記ケース内に配置され磁性流体によって
   支持されて前記底部の内面上に浮上し、前記付加部材が
   前記マグネットに取り付けられ前記マグネット上に仮想
   された中心線を基準にして片側に突出しており、 前記磁気応動スイッチは、前記底部の下方外部に配置さ
   れ前記可動体の位置に応動することを特徴とする加速度
   センサ。
2. 【請求項２】 前記付加部材は、突起を有し、前記突起
   が前記マグネットの片側に突出して設けられていること
   を特徴とする請求項１に記載の加速度センサ。
3. 【請求項３】 前記突起は、複数であり、それぞれ間隔
   を隔てて配置されていることを特徴とする請求項２に記
   載の加速度センサ。
4. 【請求項４】 前記突起は、単数であることを特徴とす
   る請求項２に記載の加速度センサ。
5. 【請求項５】 前記突起は、前記マグネット側に位置す
   る一端側で見た間隔よりも他端側で見た間隔が広いこと
   を特徴とする請求項３または４に記載の加速度センサ。
6. 【請求項６】 前記突起は、外周面が前記側壁面の内周
   面と重なり得る曲率を有することを特徴とする請求項４
   に記載の加速度センサ。