JP2882445B2 - テープカセット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、テープカセットに係わ
り、とくにテープカセットの磁気記録及び／又は再生装
置への誤挿入防止に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ビデオテープレコーダなどの磁気記録及
び／又は再生装置（以下、ＶＴＲと記す）に用いられる
従来のテープカセットの一例として図９に示した如くの
ものがある。

【０００３】図９は従来のテープカセットを説明するた
めの斜視図であり、（Ａ）はテープカセットを上面側か
ら見た図，（Ｂ）はテープカセットを下面側から見た図
である。また、図１０は従来のテープカセットを巾の広
い方向から一例のＶＴＲに挿入した時の誤挿入防止動作
を説明するための図であり、（Ａ）は正常な方向からの
挿入を示した斜視図，（Ｂ）は正常に挿入した状態を示
した側断面図，（Ｃ）は誤挿入した状態を示した側断面
図である。更に、図１１は従来のテープカセットを巾の
狭い方向から他例のＶＴＲに挿入した時の誤挿入防止動
作を説明するための図であり、（Ａ）は正常な方向から
の挿入を示した斜視図，（Ｂ）は正常に挿入した状態を
示した側断面図，（Ｃ）は誤挿入した状態を示した側断
面図である。

【０００４】図９（Ａ），（Ｂ）に示した従来のテープ
カセット１Ａは、例えばテープ巾が１／２インチに形成
され、且つ、厚みの厚いベースフィルムに酸化鉄などの
磁性粉を塗布した磁気テープ（以下、酸化鉄テープと記
す）Ｔｏをカセット筐体２Ａ内に収納し、標準記録フォ
ーマットとなる例えばＶＨＳ規格フォーマットにて記録
及び／又は再生でき得る標準記録用のテープカセットと
して構成されている。

【０００５】上記テープカセット１Ａの外装の一部を構
成するカセット筐体２Ａは、樹脂材を用いて成形した上
ハーフ部材と下ハーフ部材とを上下に蓋合わせし、且
つ、ネジなどで結合して略直方形状に組み立てられたも
のである。また、カセット筐体２Ａ内に回転自在に収納
した供給側テープリール３と巻取側テープリール４との
間には酸化鉄テープＴｏが巻回されており、供給側テー
プリール３に巻回した酸化鉄テープＴｏが供給側ガイド
ポール５を経由し、カセット筐体２Ａの底面２ａの前方
部位を肉抜きして開口したローディングポケット２ａ_１
〜２ａ_３に沿って張架されながら、更に、巻取側ガイド
ポール６，７を経由して巻取側テープリール４に巻取ら
れている。

【０００６】また、カセット筐体２Ａの底面２ａの中間
部位に供給側及び巻取側テープリール３，４を臨むリー
ル孔２ａ_４，２ａ_５が穿設されている。尚、カセット筐
体２Ａのローディングポケット２ａ_１〜２ａ_３内には、
ＶＴＲ側のローディング部材（図示せず）が入り込むこ
とにより酸化鉄テープＴｏをカセット筐体２Ａの外に引
き出すようになっている。

【０００７】また、カセット筐体２Ａの前方部位には、
張架した酸化鉄テープＴｏを保護するための前蓋８がネ
ジリバネ９により閉蓋方向に付勢されて開閉自在に軸支
されている。この前蓋８も、テープカセット１Ａの外装
の一部を構成しており、樹脂材を用いてカセット筐体２
Ａの巾の広い方向（長手方向）と対応して長尺に形成さ
れている。

【０００８】ここで、従来のテープカセット１ＡのＶＴ
Ｒへの誤挿入防止動作について図９乃至図１１を用いて
説明する。

【０００９】まず、図９（Ｂ）及び図１０（Ａ）に示し
たように、テープカセット１Ａを構成する巾の広い前蓋
８を先頭にしたＸ_１方向から一例の標準記録フォーマッ
トを採用した標準記録用（ＶＨＳ用）のＶＴＲ５０に正
常に挿入する時に用いられるテープカセット１Ａ側の第
１誤挿入防止手段は、前蓋８の前面中央下部を浅く凹状
に切り欠いた凹状切欠部８ａと、カセット筐体２Ａの中
央のローディングポケット２ａ_２内の空間通路と、中央
のローディングポケット２ａ_２内のローディングポケッ
ト前壁面部２ａ_２１から凹状切欠部８ａと対向して且つ
凹状切欠部８ａと合致させながら底面２ａの前方部位中
央を浅く凹状に形成した誤挿入防止用溝部２ａ_６１とで
略一直線に構成されている。この際、前蓋８の裏面側で
カセット筐体２Ａの前面２ｂから誤挿入防止用溝部２ａ
_６１の終端までの長さが寸法α_１ｍｍと長尺に設定され
ている。尚、誤挿入防止用溝部２ａ_６１の中間には、酸
化鉄テープＴｏの始端及び終端を検出するためのランプ
が入り込むランプ挿入孔２ａ_７が奥深く形成されてお
り、このランプ挿入孔２ａ_７も誤挿入防止用溝部２ａ
_６１の一部となっている。

【００１０】一方、図１０（Ａ）に示した如く、上記し
たテープカセット１Ａの巾の広い方向からの挿入を許容
する一例の標準記録用（ＶＨＳ用）のＶＴＲ５０では、
カセットホルダ５１がテープカセット１Ａを挿脱する上
方のカセット挿脱位置と、挿入したテープカセット１Ａ
を下方に移動するカセット装着位置との間を移動自在に
設けられ、且つ、テープカセット１Ａを下方へ移動する
途中で前蓋８を開蓋し、下方のカセット装着位置でカセ
ット筐体２Ａ内から酸化鉄テープＴｏを図示しないロー
ディング部材により回転ドラムの方へ引き出せるように
なっている。また、カセットホルダ５１は、板金部材を
用いてカセット挿脱口５１ａがカセット筐体２Ａと合わ
せて巾広く形成され、且つ、上記したように浅く凹状に
形成された誤挿入防止用溝部（８ａ，２ａ_６１）と対応
して底板５１ｂの長手方向中央部に誤挿入防止検出部材
（以下、誤挿入防止検出片と記す）５１ｂ_１が上方に向
かって低い高さで切り起こし形成されている。また、カ
セットホルダ５１にはテープカセット１Ａの挿入方向先
端にストッパ片５１ｂ_２，５１ｂ_２が左右に間隔を離し
て切り起こし形成されており、このストッパ片５１ｂ_２
から誤挿入防止検出片５１ｂ_１の終端までの長さは前記
した誤挿入防止用溝部２ａ_６１の寸法α_１ｍｍより僅か
に短い寸法β_１ｍｍと設定されている。従って、カセッ
トホルダ５１を前方から見ると、誤挿入防止検出片５１
ｂ_１の設置位置は、後述する誤挿入防止検出片６１ｂ_１
（図２）より前方に設置されている。

【００１１】そして、図１０（Ａ），（Ｂ）に示した如
く、巾の広い前蓋８を先頭にし、且つ、カセット筐体２
Ａの底面２ａがカセットホルダ５１の底板５１ｂ上に載
置できるような姿勢でテープカセット１Ａをカセット挿
脱口５１ａから挿入する。この際、カセット筐体２Ａの
挿入動作に伴って、カセット筐体２Ａの側面２ｃ，２ｄ
がカセットホルダ５１のカセット挿脱口５１ａ及び側面
５１ｃ，５１ｄにより挿入方向左右を規制されながら挿
入を案内されるため、カセットホルダ５１の誤挿入防止
検出片５１ｂ_１がテープカセット１Ａの第１誤挿入防止
手段を構成する前蓋８の凹状切欠部８ａ，中央のローデ
ィングポケット２ａ_２内の空間通路を通過してカセット
筐体２Ａの底面２ａの誤挿入防止用溝部２ａ_６１に挿入
され、この後、前記したように寸法α_１ｍｍ＞寸法β_１
ｍｍと設定されているので、誤挿入防止検出片５１ｂ_１
が誤挿入防止用溝部２ａ_６１の終端に当接する寸前の所
定位置で、且つ、カセット筐体２Ａの前面２ｂがストッ
パ片５１ｂ_２に当接する所定位置まで挿入されるので、
テープカセット１Ａが正常に挿入されたと判断できる。

【００１２】また、図１０（Ｃ）に示した如く、上記し
た巾の広い方向からの正常な挿入方向とは異なって、テ
ープカセット１Ａの巾の広い前蓋８を先頭にし、且つ、
正常な挿入時と上下を反転して誤挿入した時、あるい
は、前蓋８と対向するカセット筐体２Ａの巾の広い背面
２ｅを先頭にして誤挿入した時などでは、テープカセッ
ト１Ａの挿入方向先端がカセットホルダ５１の誤挿入防
止検出片５１ｂ_１に当接してしまい、テープカセット１
Ａはカセットホルダ５１内の所定位置まで挿入できずに
後方に大巾に突出するので誤挿入されたと判断できる。

【００１３】次に、図９（Ｂ）及び図１１（Ａ）に示し
たように、カセット筐体２Ａの巾の狭い側面２ｃを先頭
にしたＹ_１方向から他例の標準記録フォーマットを採用
した標準記録用（ＶＨＳ用）のＶＴＲ５５に正常に挿入
する時に用いられるテープカセット１Ａ側の第２誤挿入
防止手段は、カセット筐体２Ａの側面２ｃから底面２ａ
に沿って側面２ｄまで貫通し、且つ、背面２ｅ側に偏っ
て巾の広い方向に略一直線に浅く凹状に形成した長尺な
誤挿入防止用溝部２ａ_８１で構成されており、この誤挿
入防止用溝部２ａ_８１の長さはカセット筐体２Ａの巾の
広い長さと同一の寸法γ_１ｍｍと設定されている。

【００１４】一方、図１１（Ａ）に示した如く、上記し
たテープカセット１Ａの巾の狭い方向からの挿入を許容
する他例の標準記録用（ＶＨＳ用）のＶＴＲ５５では、
カセットホルダ５６がテープカセット１Ａを挿脱する上
方のカセット挿脱位置と、挿入したテープカセット１Ａ
を下方に移動するカセット装着位置との間を移動自在に
設けられている。また、カセットホルダ５６は、板金部
材を用いてカセット挿脱口５６ａがカセット筐体２Ａと
合わせて巾狭く形成され、且つ、上記したように浅く凹
状に形成され誤挿入防止用溝部２ａ_８１と対応して底板
５６ｂの長手巾方向中央部より挿入方向に対して前方に
誤挿入防止検出部材（以下、誤挿入防止検出片と記す）
５６ｂ_１が上方向かって低い高さで切り起こし形成され
ている。また、カセットホルダ５６にはテープカセット
１Ａの挿入方向先端にストッパ面５６ｃが形成されてお
り、このストッパ面５６ｃから誤挿入防止検出片５６ｂ
_１の終端までの長さは前記した誤挿入防止用溝部２ａ
_８１の寸法γ_１ｍｍより短い寸法δ_１ｍｍと設定されて
いる。従って、カセットホルダ５６を前方から見ると、
誤挿入防止検出片５６ｂ_１の設置位置は、後述する誤挿
入防止検出片６６ｂ_１（図５）より前方に設置されてい
る。

【００１５】そして、図１１（Ａ），（Ｂ）に示した如
く、カセット筐体２Ａの巾の狭い側面２ｃを先頭にし、
且つ、カセット筐体２Ａの底面２ａがカセットホルダ５
６の底板５６ｂ上に載置できるような姿勢でテープカセ
ット１Ａをカセット挿脱口５６ａから挿入する。この
際、カセット筐体２Ａの挿入動作に伴って、カセット筐
体２Ａの前蓋８，背面２ｅがカセットホルダ５６のカセ
ット挿脱口５６ａに案内され、且つ、前蓋８側がローデ
ィングポケット５６ｄ，背面２ｅが背面５６ｅに沿って
案内されるため、カセットホルダ５６の誤挿入防止検出
片５６ｂ_１がテープカセット１Ａの第２誤挿入防止手段
を構成するカセット筐体２Ａの底面２ａの誤挿入防止用
溝部２ａ_８１に挿入され、この後、前記したように寸法
γ_１ｍｍ＞寸法δ_１ｍｍと設定されているので、カセッ
ト筐体２Ａの側面２ｃがストッパ面５６ｃに当接する所
定位置まで挿入され、テープカセット１Ａが正常に挿入
されたと判断できる。

【００１６】また、図１１（Ｃ）に示した如く、上記巾
の狭い方向からの正常な挿入方向とは異なって、カセッ
ト筐体２Ａの巾の狭い側面２ｃを先頭にし、且つ、正常
な挿入時と上下を反転して誤挿入した時、あるいは、カ
セット筐体２Ａの巾の狭い側面２ｃと対向する側面２ｄ
を先頭にして誤挿入した時などでは、テープカセット１
Ａの挿入方向先端がカセットホルダ５６の誤挿入防止検
出片５６ｂ_１に当接してしまい、テープカセット１Ａは
カセットホルダ５６内の所定位置まで挿入できずに後方
に大巾に突出するので誤挿入されたと判断できる。

【００１７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したよ
うにカセット筐体２Ａ内に酸化鉄テープＴｏを収納し、
標準記録フォーマットとなるＶＨＳ規格フォーマットに
て記録及び／又は再生でき得る従来の標準記録用（ＶＨ
Ｓ用）のテープカセット１Ａでは、巾の広い方向からの
挿入を許容する一例の標準記録用（ＶＨＳ用）のＶＴＲ
５０，巾の狭い方向からの挿入を許容する他例の標準記
録用（ＶＨＳ用）のＶＴＲ５５への正常な方向から挿入
した以外の上記した誤挿入を検出できる。

【００１８】一方、最近、ハイビジョンをはじめとする
ＨＤＴＶの画像とか、横長画面ＴＶの画像などを高密度
に記録及び／又は再生でき得る高密度記録用のＶＴＲが
望まれており、これを実現するために平成５年１月８日
に従来の標準記録フォーマットとは異なる高密度記録再
生フォーマットとなる例えばＷ−ＶＨＳ規格フォーマッ
トが提案された。このＷ−ＶＨＳ規格フォーマットに対
応でき得る高密度記録用（Ｗ−ＶＨＳ用）のテープカセ
ットでは、カセット筐体の外形を生産設備の共用化，低
価格化，ＶＴＲへの上位互換性などの理由から従来の標
準記録用（ＶＨＳ用）のテープカセット１Ａを構成する
カセット筐体２Ａと略同一外形寸法に設定され、このカ
セット筐体内に例えばテープ巾が１／２インチに形成さ
れ、且つ、厚みの薄いベースフィルムにクロムなどの磁
性材料を塗布又は蒸着した磁気テープ（以下、メタルテ
ープと記す）が収納されている。そして、メタルテープ
を用いて高密度にＷ−ＶＨＳ規格フォーマットによる２
トラック記録及び／又は再生ができるようになってい
る。

【００１９】しかしながら、世の中には標準記録用（Ｖ
ＨＳ用）のＶＴＲ５０，５５が既に膨大な数量使用され
ており、カセット筐体の外形寸法が従来のカセット筐体
２Ａと略同一外形寸法に設定された高密度記録用（Ｗ−
ＶＨＳ用）のテープカセットを標準記録用（ＶＨＳ用）
のＶＴＲ５０，５５に挿入しても記録フォーマットが異
なるため記録及び／又は再生できず、使用者に大変不都
合を生じてしまう。

【００２０】そこで、高密度記録用（Ｗ−ＶＨＳ用）の
テープカセットの従来の標準記録用（ＶＨＳ用）のＶＴ
Ｒ５０，５５への挿入を阻止できる誤挿入防止手段を備
え、且つ、高密度記録用（Ｗ−ＶＨＳ用）のテープカセ
ットを新たに開発した上位互換性を保持した標準記録，
高密度記録兼用（ＶＨＳ，Ｗ−ＶＨＳ兼用）のＶＴＲに
挿入した時にも誤挿入を検出できる誤挿入防止手段を備
えた高密度記録用（Ｗ−ＶＨＳ用）のテープカセットが
望まれている。尚、上位互換性とは既に使用されている
標準記録用（ＶＨＳ用）のＶＴＲ５０，５５には対応で
きず、新たに開発した標準記録，高密度記録兼用（ＶＨ
Ｓ，Ｗ−ＶＨＳ兼用）のＶＴＲに対応できるシステムで
ある。

【００２１】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題に鑑み
てなされたものであり、第１の発明は、第１記録フォー
マットで記録再生がなされる第１磁気テープを一対のリ
ール間に巻回させながら略直方形状の第１カセット筐体
内に収納し、この第１カセット筐体の前方部位に形成し
たローディングポケットにて張架した前記第１磁気テー
プを覆い得るよう開閉自在な前蓋を前記第１カセット筐
体に支持し、且つ、前記第１カセット筐体の磁気記録及
び／又は再生装置への誤挿入を防止するために該装置側
の誤挿入防止検出部材が進入できる誤挿入防止用溝部を
該第１カセット筐体の底面に形成した第１記録フォーマ
ット用のテープカセットと略同一構成をもち、第２記録
フォーマットで記録再生がなされる第２磁気テープを前
記第１カセット筐体と略同一外形寸法の第２カセット筐
体内に収納し、且つ、誤挿入防止用溝部を前記第１カセ
ット筐体の誤挿入防止用溝部と対応して前記第２カセッ
ト筐体の底面に形成した第２記録フォーマット用のテー
プカセットであって、前記第２カセット筐体の誤挿入防
止用溝部の長さを、前記第１カセット筐体の誤挿入防止
用溝部の長さより目視で確認できる程度短く、且つ、所
定の長さに形成してなり、前記第２カセット筐体を第１
記録フォーマットを採用した第１装置に挿入した際に
は、前記第１装置の前方に設けた誤挿入防止検出部材が
該第２カセット筐体の誤挿入防止用溝部の終端に当接し
てそれ以上の挿入を阻止することにより誤挿入と判断で
きる一方、前記第２カセット筐体を第２記録フォーマッ
トを採用した第２装置に挿入した際には、前記第１装置
の誤挿入防止検出部材よりも奥方に設けた前記第２装置
の誤挿入防止検出部材が該第２カセット筐体の誤挿入防
止用溝部の終端に当接することなく所定の位置までの挿
入を許容することにより正常挿入と判断できるよう構成
したことを特徴とするテープカセットである。

【００２２】また、第２の発明は、第１の発明のテープ
カセットにおいて、前記第２カセット筐体の巾の広い方
向からの挿入を許容する前記第１，第２装置側の第１，
第２誤挿入防止検出部材と対応する前記第２カセット筐
体の底面に形成した誤挿入防止用溝部は、前記前蓋の下
端に凹状に切り欠き形成した凹状切欠部の裏面で前記ロ
ーディングポケット内の空間通路を経由して該凹状切欠
部と対向するローディングポケット前壁面部から底面に
かけて該凹状切欠部と合致させて所定の長さ略一直線に
凹状溝を形成することにより、前記第２カセット筐体の
挿入動作に伴って、前記凹状切欠部，前記ローディング
ポケット内の空間通路を通過して前記凹状溝に入り込ん
だ前記第１，第２誤挿入防止検出部材のうちで該第１誤
挿入防止検出部材のみが該凹状溝の終端にて受け止めら
れるよう構成したことを特徴とするテープカセットであ
る。

【００２３】また、第３の発明は、第１の発明のテープ
カセットにおいて、前記第２カセット筐体の巾の広い方
向からの挿入を許容する前記第１，第２装置側の第１，
第２誤挿入防止検出部材と対応する前記第２カセット筐
体の底面に形成した誤挿入防止用溝部は、前記前蓋の下
端に凹状に切り欠き形成した凹状切欠部の裏面で前記ロ
ーディングポケット内の空間通路を経由して該凹状切欠
部と対向するローディングポケット前壁面部までに置換
して該空間通路を所定の長さに形成することにより、前
記第２カセット筐体の挿入動作に伴って、前記凹状切欠
部を通過して前記ローディングポケット内の空間通路に
入り込んだ前記第１，第２誤挿入防止検出部材のうちで
該第１誤挿入防止検出部材のみが前記ローディングポケ
ット前壁面部にて受け止められるよう構成したことを特
徴とするテープカセットである。

【００２４】また、第４の発明は、第１の発明のテープ
カセットにおいて、前記第２カセット筐体の巾の狭い方
向からの挿入を許容する前記第１，第２装置側の第１，
第２誤挿入防止検出部材と対応する前記第２カセット筐
体の底面に形成した誤挿入防止用溝部は、前記第２カセ
ット筐体の側面から底面に沿って巾の広い方向に所定の
長さ略一直線に凹状溝を形成することにより、前記第２
カセット筐体の挿入動作に伴って、前記凹状溝に進入し
た前記第１，第２誤挿入防止検出部材のうちで該第１誤
挿入防止検出部材のみが前記凹状溝の終端にて受け止め
られるよう構成したことを特徴とするテープカセットで
ある。

【００２５】

【００２６】

【実施例】以下に本発明に係わるテープカセットの一実
施例を図１乃至図８を参照して詳細に説明する。

【００２７】図１は本発明に係わるテープカセットを説
明するための図であり、（Ａ）はテープカセットを上面
側から見た斜視図，（Ｂ）はカセット筐体及び前蓋のＲ
面を拡大して示した側断面図，（Ｃ）はテープカセット
を下面側から見た斜視図、図２は本発明に係わるテープ
カセットを巾の広い方向から標準記録，高密度記録兼用
のＶＴＲに挿入する状態を示した斜視図、図３は本発明
に係わるテープカセットを巾の広い方向からＶＴＲに挿
入した時の誤挿入防止動作を説明するための側断面図で
あり、（Ａ）は標準記録，高密度記録兼用のＶＴＲに正
常に挿入した状態を示し，（Ｂ）は従来の標準記録用の
ＶＴＲに誤挿入した状態を示し，（Ｃ）は標準記録，高
密度記録兼用のＶＴＲに誤挿入した状態を示した図、図
４は従来のテープカセットを巾の広い方向から標準記
録，高密度記録兼用のＶＴＲに正常に挿入した状態を示
した側断面図、図５は本発明に係わるテープカセットを
巾の狭い方向から標準記録，高密度記録兼用のＶＴＲに
挿入する状態を示した斜視図、図６は本発明に係わるテ
ープカセットを巾の狭い方向からＶＴＲに挿入した時の
誤挿入防止動作を説明するための側断面図であり、
（Ａ）は標準記録，高密度記録兼用のＶＴＲに正常に挿
入した状態を示し，（Ｂ）は従来の標準記録用のＶＴＲ
に誤挿入した状態を示し，（Ｃ）は標準記録，高密度記
録兼用のＶＴＲに誤挿入した状態を示した図、図７は従
来のテープカセットを巾の狭い方向から標準記録，高密
度記録兼用のＶＴＲに正常に挿入した状態を示した側断
面図、図８は本発明に係わるテープカセットの変形例を
説明するための図であり、（Ａ）は下面側から見た斜視
図，（Ｂ）は側断面図である。

【００２８】尚、本発明に係わるテープカセット１Ｂ
は、先に従来例で説明した標準記録フォーマット（第１
記録フォーマット）で記録再生がなされる酸化鉄テープ
（第１磁気テープ）Ｔｏをカセット筐体（以下、第１カ
セット筐体と記す）２Ａ内に収納した標準記録用（第１
記録フォーマット用）のテープカセット１Ａに対して、
第１カセット筐２Ａと略同一外形寸法に形成した第２カ
セット筐２Ｂ内に酸化鉄テープＴｏとは磁気記録特性の
異なる第２磁気テープ（以下、メタルテープと記す）Ｔ
ｍを収納し、且つ、第１カセット筐２Ａの第１，第２誤
挿入防止手段と対応した第２カセット筐体２Ｂの第１，
第２誤挿入防止手段の長さ寸法が異なるものの、その他
の構成は略同様の構成であるので、ここでは説明の便宜
上、先に示した同一構成部材に対しては同一の符号を付
し、且つ、従来と異なる構成部分に新たな符号を付して
説明する。

【００２９】図１（Ａ）〜（Ｃ）に示した本発明に係わ
るテープカセット１Ｂは、例えばテープ巾が１／２イン
チに形成され、且つ、厚みの薄いベースフィルムにクロ
ムなどの磁性材料を塗布又は蒸着したメタルテープ（第
２磁気テープ）Ｔｍを第２カセット筐体２Ｂ内に収納
し、第２記録フォーマット（以下、高密度記録フォーマ
ットと記す）となる例えばＷ−ＶＨＳ規格フォーマット
にて記録及び／又は再生でき得る第２記録フォーマット
用（高密度記録用）のテープカセットとして構成されて
いる。

【００３０】上記テープカセット１Ｂは、後述するよう
に、新たに開発した標準記録，高密度記録兼用（ＶＨ
Ｓ，Ｗ−ＶＨＳ兼用）のＶＴＲには挿入を許容される一
方、記録フォーマットが異なる従来の標準記録用（ＶＨ
Ｓ用）のＶＴＲ５０，５５には後述の第１，第２誤挿入
防止溝部によって挿入を阻止されるようになっている。

【００３１】即ち、上記テープカセット１Ｂの外装の一
部を構成する第２カセット筐体２Ｂは、樹脂材を用いて
成形した上ハーフ部材と下ハーフ部材とを上下に蓋合わ
せし、且つ、ネジなどで結合して略直方形状に組み立て
られたものであり、且つ、先に説明した従来のテープカ
セット１Ａを構成する第１カセット筐体２Ａと略同一外
形寸法に設定されている。また、第２カセット筐体２Ｂ
内に回転自在に収納した供給側テープリール３と巻取側
テープリール４との間にはメタルテープＴｍが巻回され
ており、供給側テープリール３に巻回したメタルテープ
Ｔｍが供給側ガイドポール５を経由し、第２カセット筐
体２Ｂの底面２ａの前方部位を肉抜きして開口したロー
ディングポケット２ａ_１〜２ａ_３に沿って張架されなが
ら、巻取側ガイドポール６，７を経由して巻取側テープ
リール４に巻取られ、更に、張架したメタルテープＴｍ
をネジリバネ９により閉蓋方向に付勢されて開閉自在に
軸支した前蓋８により保護されている。

【００３２】ここで、本発明に係わるテープカセット１
ＢのＶＴＲへの誤挿入防止動作について図１乃至図８を
用いて説明する。

【００３３】本発明に係わる高密度記録用（Ｗ−ＶＨＳ
用）のテープカセット１Ｂは、従来の標準記録フォーマ
ット（第１記録フォーマット）を採用した標準記録用
（ＶＨＳ用）のＶＴＲ５０，５５への挿入を阻止できる
誤挿入防止手段を備えると共に、新たに上位互換性を保
持して開発し、且つ、標準記録フォーマット（第１記録
フォーマット），高密度記録フォーマット（第２記録フ
ォーマット）を採用した標準記録，高密度記録兼用（Ｖ
ＨＳ，Ｗ−ＶＨＳ兼用）のＶＴＲ６０，６５に挿入した
時にも誤挿入を検出できる誤挿入防止手段を備えてい
る。

【００３４】まず、図１（Ｃ）及び図２に示したよう
に、テープカセット１Ｂを構成する巾の広い前蓋８を先
頭にしたＸ_１方向から一例の標準記録，高密度記録兼用
（ＶＨＳ，Ｗ−ＶＨＳ兼用）のＶＴＲ６０に正常に挿入
する時に用いられるテープカセット１Ｂ側の第１誤挿入
防止手段は、前蓋８の前面中央下部を浅く凹状に切り欠
いた凹状切欠部８ａと、第２カセット筐体２Ｂの中央の
ローディングポケット２ａ_２内の空間通路と、中央のロ
ーディングポケット２ａ_２内のローディングポケット前
壁面部２ａ_２１から凹状切欠部８ａと対向して且つ凹状
切欠部８ａと合致させながら底面２ａの前方部位中央を
浅く凹状に形成した誤挿入防止用溝部２ａ_６２とで略一
直線に構成されている。この際、第２カセット筐体２Ｂ
の誤挿入防止用溝部２ａ_６２の巾方向の設置位置は、図
９（Ｂ）に示した従来の誤挿入防止用溝部２ａ_６１の巾
方向の設置位置と対応して同一位置に設定され、且つ、
前蓋８の裏面側で第２カセット筐体２Ｂの前面２ｂから
誤挿入防止用溝部２ａ_６２の終端までの長さは、図９
（Ｂ）に示した従来の誤挿入防止用溝部２ａ_６１の終端
までの長さ寸法α_１ｍｍより目視で確認できる程度短い
寸法α_２ｍｍに設定されている。尚、誤挿入防止用溝部
２ａ_６２の終端奥方には、メタルテープＴｍの始端及び
終端を検出するためのランプが入り込むランプ挿入孔２
ａ_７が奥深く形成されている。

【００３５】一方、図２に示した如く、上記したテープ
カセット１Ｂの巾の広い方向からの挿入を許容する一例
の標準記録，高密度記録兼用（ＶＨＳ，Ｗ−ＶＨＳ兼
用）のＶＴＲ６０では、カセットホルダ６１がテープカ
セット１Ａを挿脱する上方のカセット挿脱位置と、挿入
したテープカセット１Ａを下方に移動するカセット装着
位置との間を移動自在に設けられている。また、カセッ
トホルダ６１は、板金部材を用いてカセット挿脱口６１
ａが第２カセット筐体２Ｂと合わせて巾広く形成され、
且つ、上記したように浅く凹状に形成された誤挿入防止
用溝部（８ａ，２ａ_６２）と対応して底板６１ｂの長手
方向中央部に誤挿入防止検出部材（以下、誤挿入防止検
出片と記す）６１ｂ_１が上方向かって低い高さで切り起
こし形成されている。また、カセットホルダ６１にはテ
ープカセット１Ｂの挿入方向先端にストッパ片６１
ｂ_２，６１ｂ_２が左右に間隔を離して切り起こし形成さ
れている。この際、カセットホルダ６１の誤挿入防止検
出片６１ｂ_１の巾方向の設置位置は、１０（Ａ）に示し
た従来の誤挿入防止検出片５１ｂ_１の巾方向の設置位置
と対応して同一位置に設定されている。また、カセット
ホルダ６１のストッパ片６１ｂ_２から誤挿入防止検出片
６１ｂ_１の終端までの長さは、図１０（Ａ）に示した従
来のストッパ片５１ｂ_２から誤挿入防止検出片５１ｂ_１
の終端まで長さ寸法β_１ｍｍより目視で確認できる程度
短い寸法β_２ｍｍに設定され、且つ、この寸法β_２ｍｍ
は前記した誤挿入防止用溝部２ａ_６２の寸法α_２ｍｍよ
り僅かに短い寸法β_２ｍｍと設定されている。従って、
カセットホルダ６１を前方から見ると、誤挿入防止検出
片６１ｂ_１の設置位置は、従来の誤挿入防止検出片５１
ｂ_１の設置位置よりも目視で確認できる程度テープカセ
ット１Ａの挿入方向に対して奥方に設置されている。

【００３６】そして、図２及び図３（Ａ）に示した如
く、テープカセット１Ｂの巾の広い前蓋８を先頭にし、
且つ、第２カセット筐体２Ｂの底面２ａが標準記録，高
密度記録兼用（ＶＨＳ，Ｗ−ＶＨＳ兼用）のＶＴＲ６０
を構成するカセットホルダ６１の底板６１ｂ上に載置で
きるような姿勢でテープカセット１Ｂをカセット挿脱口
６１ａから挿入する。この際、第２カセット筐体２Ｂの
挿入動作に伴って、第２カセット筐体２Ｂの側面２ｃ，
２ｄがカセットホルダ６１のカセット挿脱口６１ａ及び
側面６１ｃ，６１ｄにより挿入方向左右を規制されなが
ら挿入を案内されるため、カセットホルダ６１の誤挿入
防止検出片６１ｂ_１がテープカセット１Ｂの第１誤挿入
防止手段を構成する前蓋８の凹状切欠部８ａ，中央のロ
ーディングポケット２ａ_２内の空間通路を通過して第２
カセット筐体２Ｂの底面２ａの誤挿入防止用溝部２ａ
_６２に挿入され、この後、前記したように寸法α_２ｍｍ
＞寸法β_２ｍｍと設定されているので、誤挿入防止検出
片６１ｂ_１が誤挿入防止用溝部２ａ_６２の終端に当接す
る寸前の所定位置で、且つ、第２カセット筐体２Ｂの前
面２ｂがストッパ片６１ｂ_２に当接する所定位置まで挿
入されるので、テープカセット１Ｂが正常に挿入された
と判断できる。

【００３７】一方、図３（Ｂ）に示した如く、テープカ
セット１Ｂの巾の広い前蓋８を先頭にし、且つ、第２カ
セット筐体２Ｂの底面２ａが従来で説明した標準記録用
（ＶＨＳ用）のＶＴＲ５０を構成するカセットホルダ５
１の底板５１ｂ上に載置できるような姿勢でテープカセ
ット１Ｂを挿入すると、カセットホルダ５１の誤挿入防
止検出片５１ｂ_１がテープカセット１Ｂの第１誤挿入防
止手段を構成する前蓋８の凹状切欠部８ａ，中央のロー
ディングポケット２ａ_２内の空間通路を通過して第２カ
セット筐体２Ｂの底面２ａの誤挿入防止用溝部２ａ_６２
に挿入され、ここで誤挿入防止用溝部２ａ_６２の長さ寸
法α_２ｍｍに対して、ストッパ片５１ｂ_２から誤挿入防
止検出片５１ｂ_１の終端までの長さ寸法β_１ｍｍの方が
長いため、誤挿入防止検出片５１ｂ_１が誤挿入防止用溝
部２ａ_６２の終端に当接してしまい、それ以上の挿入を
阻止されることによりテープカセット１Ｂは所定の位置
まで挿入できず誤挿入されたと判断できる。

【００３８】また、図１に戻り、第２カセット筐体２Ｂ
の上面２ｆ側で、側面２ｃ，２ｄ及び背面２ｅに沿う各
上端稜は感触良くＲ面に形成され、且つ、前蓋８の前面
側の上端稜も感触良くＲ面に形成されている。この際、
各上端稜のうちで少なくとも背面２ｅに沿う上端稜の中
央部Ｒ面，前蓋８の前面側の上端稜の中央部Ｒ面には、
図１（Ｂ）にも拡大して示したようにカセットホルダ６
１（又は５１）の誤挿入防止検出片６１ｂ_１（又は５１
ｂ_１）が当接して第２カセット筐体２Ｂの誤挿入を阻止
する垂直面を有した切欠部２ｅ_１，８ｂが夫々形成され
ている。そして、図３（Ｃ）に示した如く、上記した巾
の広い方向からの正常な挿入方向とは異なって、テープ
カセット１Ｂの巾の広い前蓋８を先頭にし、且つ、正常
な挿入時と上下を反転して誤挿入した時、あるいは、前
蓋８と対向する第１カセット筐体２Ａの巾の広い背面２
ｅを先頭にし、且つ、上下を反転して誤挿入した時など
では、これらの挿入方向に対応して前蓋８の切欠部８ｂ
の垂直面，又は背面２ｅの切欠部２ｅ_１の垂直面にカセ
ットホルダ６１（又は５１）の誤挿入防止検出片６１ｂ
_１（又は５１ｂ_１）が当接してしまい、テープカセット
１Ｂがカセットホルダ６１（又は５１）内の所定位置ま
で挿入できずに後方に大巾に突出するので誤挿入された
と判断できる。

【００３９】尚、図４に示した如く、新たに開発した標
準記録，高密度記録兼用（ＶＨＳ，Ｗ−ＶＨＳ兼用）の
ＶＴＲ６０を構成するカセットホルダ６１に、従来の標
準記録用（ＶＨＳ用）のテープカセット１Ａを前蓋８を
先頭に正常な方向から挿入した場合には、誤挿入防止用
溝部２ａ_６１の長さ寸法α_１ｍｍに対して、ストッパ片
６１ｂ_２から誤挿入防止検出片６１ｂ_１の終端までの長
さ寸法β_２ｍｍの方が短いため、誤挿入防止検出片６１
ｂ_１が誤挿入防止用溝部２ａ_６１の終端に当接すること
なく、且つ、第２カセット筐体２Ｂの前面２ｂがストッ
パ片６１ｂ_２に当接する所定位置まで挿入されるので、
テープカセット１Ａが上位互換性を保持して正常に挿入
されたと判断できる。

【００４０】次に、図１（Ｃ）及び図５に示したよう
に、第２カセット筐体２Ｂの巾の狭い側面２ｃを先頭に
したＹ_１方向から他例の標準記録，高密度記録兼用（Ｖ
ＨＳ，Ｗ−ＶＨＳ兼用）のＶＴＲ６５に正常に挿入する
時に用いられるテープカセット１Ｂ側の第２誤挿入防止
手段は、第２カセット筐体２Ｂの側面２ｃと側面２ｄと
の間の底面２ａに沿い、且つ、背面２ｃ側に偏って巾の
広い方向に略一直線に３分割して浅く凹状に形成した誤
挿入防止用溝部２ａ_８２，中央の逃げ溝２ａ_８３，誤挿
入防止用溝部２ａ_８４のうち左右対称の誤挿入防止用溝
部２ａ_８２，２ａ _８４で構成されている。この際、第２
カセット筐体２Ｂの誤挿入防止用溝部２ａ_８２，２ａ
_８４の巾方向の設置位置は、図９（Ｂ）に示した従来の
誤挿入防止用溝部_８１の巾方向の設置位置と対応して同
一位置に設定され、左右の誤挿入防止用溝部２ａ_８２，
２ａ_８４の長さは、図９（Ｂ）に示した従来の誤挿入防
止用溝部２ａ_８１の長さ寸法γ_１ｍｍより目視で確認で
きる程度短い寸法γ_２ｍｍに設定されている。

【００４１】一方、図５に示した如く、上記したテープ
カセット１Ｂの巾の狭い方向からの挿入を許容する他例
の標準記録，高密度記録兼用（ＶＨＳ，Ｗ−ＶＨＳ兼
用）のＶＴＲ６５では、カセットホルダ６６がテープカ
セット１Ａを挿脱する上方のカセット挿脱位置と、挿入
したテープカセット１Ａを下方に移動するカセット装着
位置との間を移動自在に設けられている。また、カセッ
トホルダ６６は、板金部材を用いてカセット挿脱口６６
ａが第２カセット筐体２Ｂと合わせて巾狭く形成され、
且つ、上記したように浅く凹状に形成された左側の誤挿
入防止用溝部２ａ_８２と対応して底板６６ｂの長手巾方
向左方で、且つ、背面６６ｅ側に偏って誤挿入防止検出
部材（以下、誤挿入防止検出片と記す）６６ｂ_１が上方
向かって低い高さで切り起こし形成されている。また、
カセットホルダ６６にはテープカセット１Ｂの挿入方向
先端にストッパ面６６ｃが形成されている。この際、カ
セットホルダ６６の誤挿入防止検出片６６ｂ_１の巾方向
の設置位置は、１１（Ａ）に示した従来の誤挿入防止検
出片５６ｂ_１の巾方向の設置位置と対応して同一位置に
設定されている。また、カセットホルダ６６のストッパ
面６６ｃから誤挿入防止検出片６６ｂ_１の終端までの長
さは、図１１（Ａ）に示した従来のストッパ面５６ｃか
ら誤挿入防止検出片５６ｂ_１の終端まで長さ寸法δ_１ｍ
ｍより短い寸法δ_２ｍｍと設定され、且つ、この寸法δ
_２ｍｍは前記した誤挿入防止用溝部２ａ_８２の寸法γ_２
ｍｍより僅かに短い寸法δ_２ｍｍと設定されている。従
って、カセットホルダ６６を前方から見ると、誤挿入防
止検出片６６ｂ_１の設置位置は、従来の誤挿入防止検出
片５６ｂ_１の設置位置よりも目視で確認できる程度テー
プカセット１Ａの挿入方向に対して奥方に設置されてい
る。

【００４２】そして、図５及び図６（Ａ）に示した如
く、第２カセット筐体２Ｂの巾の狭い側面２ｃを先頭に
し、且つ、第２カセット筐体２Ｂの底面２ａがカセット
ホルダ６６の底板６６ｂ上に載置できるような姿勢でテ
ープカセット１Ｂをカセット挿脱口６６ａから挿入す
る。この際、第２カセット筐体２Ｂの挿入動作に伴っ
て、第２カセット筐体２Ｂの前蓋８，背面２ｅがカセッ
トホルダ６６のカセット挿脱口６６ａに案内され、且
つ、前蓋８側がローディングポケット６６ｄ，背面２ｅ
が背面６６ｅに沿って案内されるため、カセットホルダ
６６の誤挿入防止検出片６６ｂ_１がテープカセット１Ｂ
の第２誤挿入防止手段を構成する左側の誤挿入防止用溝
部２ａ_８２に挿入され、この後、前記したように寸法γ
_２ｍｍ＞寸法δ_２ｍｍと設定されているので、誤挿入防
止検出片６６ｂ_１が誤挿入防止用溝部２ａ_８２の終端に
当接することなく、第１カセット筐体２Ａの側面２ｃが
ストッパ面６６ｃに当接する所定位置まで挿入され、テ
ープカセット１Ｂが正常に挿入されたと判断できる。

【００４３】一方、図６（Ｂ）に示した如く、第２カセ
ット筐体２Ｂの巾の狭い側面２ｃを先頭にし、且つ、第
２カセット筐体２Ｂの底面２ａが従来例で説明した標準
記録用（ＶＨＳ用）のＶＴＲ５５を構成するカセットホ
ルダ５６の底板５６ｂ上に載置できるような姿勢でテー
プカセット１Ｂを挿入すると、カセットホルダ５６の誤
挿入防止検出片５６ｂ_１がテープカセット１Ｂの第２誤
挿入防止手段を構成する右側の誤挿入防止用溝部２ａ
_８２に挿入され、ここで誤挿入防止用溝部２ａ_８２の長
さ寸法γ_２ｍｍに対して、ストッパ面５６ｃから誤挿入
防止検出片５６ｂ_１の終端までの長さ寸法δ_１ｍｍの方
が長いため、誤挿入防止検出片５６ｂ_１が誤挿入防止用
溝部２ａ_８２の終端に当接してしまい、それ以上の挿入
を阻止されることによりテープカセット１Ｂは所定の位
置まで挿入できず誤挿入された判断できる。

【００４４】また、図６（Ｃ）に示した如く、上記巾の
狭い方向からの正常な挿入方向とは異なって、第２カセ
ット筐体２Ｂの巾の狭い側面２ｃを先頭にし、且つ、正
常な挿入時と上下を反転して誤挿入した時、あるいは、
第２カセット筐体２Ｂの巾の狭い側面２ｃと対向する側
面２ｄを先頭にして誤挿入した時などでは、テープカセ
ット１Ｂの挿入方向先端がカセットホルダ６６の誤挿入
防止検出片６６ｂ_１に当接してしまい、テープカセット
１Ｂはカセットホルダ６６内の所定位置まで挿入できず
に後方に大巾に突出するので誤挿入されたと判断でき
る。

【００４５】尚、図７に示した如く、新たに開発した標
準記録，高密度記録兼用（ＶＨＳ，Ｗ−ＶＨＳ兼用）の
ＶＴＲ６５を構成するカセットホルダ６６に、従来の標
準記録用（ＶＨＳ用）のテープカセット１Ａを構成する
第１カセット筐体２Ａの側面２ｃを先頭に正常な方向か
ら挿入した場合には、誤挿入防止用溝部２ａ_８１の長さ
寸法γ_１ｍｍに対して、ストッパ面６６ｃから誤挿入防
止検出片６６ｂ_１の終端までの長さ寸法δ_２ｍｍの方が
短いため、第１カセット筐体２Ａの側面２ｃがストッパ
面６６ｃに当接する所定位置まで挿入されるので、テー
プカセット１Ａが上位互換性を保持して正常に挿入され
たと判断できる。

【００４６】次に、図８を用いて本発明に係わるテープ
カセットの変形例を簡略に説明する。 図８（Ａ），
（Ｂ）に示した変形例のテープカセット１Ｃは、前記し
た第２記録フォーマット（高密度記録フォーマット）で
記録再生がなされる第２磁気テープ（メタルテープ）Ｔ
ｍを第２カセット筐体２Ｃ内に収納しており、この際、
第２カセット筐体２Ｃの誤挿入防止用溝部が先に説明し
た第２カセット筐体２Ｂの底面２ａに形成した誤挿入防
止用溝部２ａ_６２と異なるだけで、その他は全て同一で
ある。

【００４７】即ち、第２カセット筐体２Ｃの中央のロー
ディングポケット２ａ_２２を奥行き方向に広げて、前蓋
８の裏面側で第２カセット筐体２Ｃの前面２ｂからロー
ディングポケット２ａ_２２内の奥方で閉鎖したローディ
ングポケット前壁面部２ａ_２３までの空間通路を誤挿入
防止用溝部と置換して設定し、且つ、この空間通路の長
さを寸法α_２ｍｍと設定し、先に説明した第２カセット
筐体２Ｂの底面２ａに形成した誤挿入防止用溝部２ａ
_６２の長さ寸法α_２ｍｍと同一寸法に設定されている。
従って、第２カセット筐体２Ｃの第１誤挿入防止手段
は、前蓋８の前面中央下部を凹状に切り欠いた凹状切欠
部８ａと、中央のローディングポケット２ａ_２２内の空
間通路とであたかも略一直線に構成されており、言い換
えると、ローディングポケット２ａ_２２内の空間通路は
凹状の誤挿入防止用溝部として形成されていないもの
の、空間通路には図１０（Ａ）に示した標準記録用（Ｖ
ＨＳ用）のＶＴＲ５０のカセットホルダ５１に設けた誤
挿入防止検出片５１ｂ_１，又は図２に示した標準記録，
高密度記録兼用（ＶＨＳ，Ｗ−ＶＨＳ兼用）のＶＴＲ６
０のカセットホルダ６１に設けた誤挿入防止検出片６１
ｂ_１が略直線的に進入できるようになっている。この
際、第２カセット筐体２Ｃはカセットホルダ５１，６１
に対して前述したように挿入方向左右を規制されている
ので、空間通路だけでも何らの支障をきたさない。

【００４８】従って、テープカセット１Ｃの巾の広い前
蓋８を先頭にし、且つ、第２カセット筐体２Ｃの底面２
ａがカセットホルダ５１，６１の底板５１ｂ，６１ｂ上
に載置できるような姿勢でテープカセット１Ｃを挿入す
ると、カセットホルダ５１に設けた誤挿入防止検出片５
１ｂ_１がローディングポケット前壁面部２ａ_２３で受け
止められることにより、テープカセット１Ｃの標準記録
用（ＶＨＳ用）のＶＴＲ５０への誤挿入を阻止できるよ
うになっていると共に、カセットホルダ６１に設けた誤
挿入防止検出片６１ｂ_１はローディングポケット前壁面
部２ａ_２３に当接する寸前の所定位置で、且つ、第２カ
セット筐体２Ｃの前面２ｂがストッパ片６１ｂ_２に当接
する所定位置まで挿入されるので、テープカセット１Ｃ
が正常に挿入されたと判断できる。

【００４９】

【発明の効果】以上詳述した本発明に係わるテープカセ
ットによると、請求項１乃至請求項４記載においては、
第１記録フォーマット（標準記録フォーマット）で記録
再生がなされる第１磁気テープ（酸化鉄テープ）を第１
カセット筐体内に収納し、第１カセット筐体の底面に誤
挿入防止用溝部を形成した第１記録フォーマット用のテ
ープカセットと略同一構成をもち、第２記録フォーマッ
ト（高密度記録フォーマット）で記録再生がなされる第
２磁気テープ（メタルテープ）を第１カセット筐体と略
同一外形寸法の第２カセット筐体内に収納し、且つ、誤
挿入防止用溝部を第１カセット筐体の誤挿入防止用溝部
と対応して第２カセット筐体の底面に形成した第２記録
フォーマット用のテープカセットであって、第２カセッ
ト筐体の誤挿入防止用溝部の長さを、第１カセット筐体
の誤挿入防止用溝部の長さより目視で確認できる程度短
く、且つ、所定の長さに形成したことにより、とくに、
第２記録フォーマット用のテープカセットを第１記録フ
ォーマットを採用した標準記録用の第１装置（ＶＴＲ）
に挿入した際には、第１装置の前方に設けた誤挿入防止
検出部材が第２カセット筐体の誤挿入防止用溝部の終端
に当接してそれ以上の挿入を阻止することができるの
で、これにより第２記録フォーマット用のテープカセッ
トを既に世の中に多量に採用されている標準記録用の第
１装置に装着される心配がなくなり、且つ、第１装置の
使用者に対して迷惑をかけることもなくなる。更に、第
２記録フォーマット用のテープカセットが適用される第
２記録フォーマット（高密度記録フォーマット）を採用
した高密度記録用の第２装置（ＶＴＲ）でも第２カセッ
ト筐体の誤挿入を阻止することができる。

【００５０】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わるテープカセットを説明するため
の図であり、（Ａ）はテープカセットを上面側から見た
斜視図，（Ｂ）はカセット筐体及び前蓋のＲ面を拡大し
て示した側断面図，（Ｃ）はテープカセットを下面側か
ら見た斜視図である。

【図２】本発明に係わるテープカセットを巾の広い方向
から標準記録，高密度記録兼用のＶＴＲに挿入する状態
を示した斜視図である。

【図３】本発明に係わるテープカセットを巾の広い方向
からＶＴＲに挿入した時の誤挿入防止動作を説明するた
めの側断面図であり、（Ａ）は標準記録，高密度記録兼
用のＶＴＲに正常に挿入した状態を示し，（Ｂ）は従来
の標準記録用のＶＴＲに誤挿入した状態を示し，（Ｃ）
は標準記録，高密度記録兼用のＶＴＲに誤挿入した状態
を示した図である。

【図４】従来のテープカセットを巾の広い方向から標準
記録，高密度記録兼用のＶＴＲに正常に挿入した状態を
示した側断面図である。

【図５】本発明に係わるテープカセットを巾の狭い方向
から標準記録，高密度記録兼用のＶＴＲに挿入する状態
を示した斜視図である。

【図６】本発明に係わるテープカセットを巾の狭い方向
からＶＴＲに挿入した時の誤挿入防止動作を説明するた
めの側断面図であり、（Ａ）は標準記録，高密度記録兼
用のＶＴＲに正常に挿入した状態を示し，（Ｂ）は従来
の標準記録用のＶＴＲに誤挿入した状態を示し，（Ｃ）
は標準記録，高密度記録兼用のＶＴＲに誤挿入した状態
を示した図である。

【図７】従来のテープカセットを巾の狭い方向から標準
記録，高密度記録兼用のＶＴＲに正常に挿入した状態を
示した側断面図である。

【図８】本発明に係わるテープカセットの変形例を説明
するための図であり、（Ａ）は下面側から見た斜視図，
（Ｂ）は側断面図である。

【図９】従来のテープカセットを説明するための斜視図
であり、（Ａ）はテープカセットを上面側から見た図，
（Ｂ）はテープカセットを下面側から見た図である。

【図１０】従来のテープカセットを巾の広い方向から一
例のＶＴＲに挿入した時の誤挿入防止動作を説明するた
めの図であり、（Ａ）は正常な方向からの挿入を示した
斜視図，（Ｂ）は正常に挿入した状態を示した側断面
図，（Ｃ）は誤挿入した状態を示した側断面図である。

【図１１】従来のテープカセットを巾の狭い方向から他
例のＶＴＲに挿入した時の誤挿入防止動作を説明するた
めの図であり、（Ａ）は正常な方向からの挿入を示した
斜視図，（Ｂ）は正常に挿入した状態を示した側断面
図，（Ｃ）は誤挿入した状態を示した側断面図である。

【符号の説明】

１Ａ…第１記録フォーマット用のテープカセット（テー
プカセット）、１Ｂ，１Ｃ…第２記録フォーマット用の
テープカセット（テープカセット）、２Ａ…第１カセッ
ト筐体、２Ｂ，２Ｃ…第２カセット筐体、２ａ…底面、
２ａ_１〜２ａ_３，２ａ_２２…ローディングポケット、２
ａ_２１，２ａ_２３…ローディングポケット前壁面部、２
ａ_６１…第１カセット筐体の巾の広い方向からの挿入時
の誤挿入防止用溝部、 ２ａ_６２…第２カセット筐体の
巾の広い方向からの挿入時の誤挿入防止用溝部、 ２ａ
_８１…第１カセット筐体の巾の狭い方向からの挿入時の
誤挿入防止用溝部、 ２ａ_８２…第２カセット筐体の巾
の狭い方向からの挿入時の誤挿入防止用溝部、 ２ａ
_８４…第２カセット筐体の巾の狭い方向からの挿入時の
誤挿入防止用溝部、 ２ｅ…背面，２ｅ_１…切欠部、２
ｆ…上面、３…供給側テープリール、４…巻取側テープ
リール、８…前蓋、８ａ…凹状切欠部、８ｂ…切欠部、
５０…第１カセット筐体の巾の広い方向からの挿入時の
第１装置（ＶＴＲ）、５５…第１カセット筐体の巾の狭
い方向からの挿入時の第１装置（ＶＴＲ）、６０…第
１，第２カセット筐体の巾の広い方向からの挿入時の第
２装置（ＶＴＲ）、６５…第１，第２カセット筐体の巾
の狭い方向からの挿入時の第２装置（ＶＴＲ）、５１…
第１カセット筐体の巾の広い方向と対応する誤挿入防止
検出部材（誤挿入防止検出片）、５６…第１カセット筐
体の巾の狭い方向と対応する誤挿入防止検出部材（誤挿
入防止検出片）、６１…第１，第２カセット筐体の巾の
広い方向と対応する誤挿入防止検出部材（誤挿入防止検
出片）、６６…第１，第２カセット筐体の巾の狭い方向
と対応する誤挿入防止検出部材（誤挿入防止検出片）、
Ｔｏ…第１磁気テープ（酸化鉄テープ）、Ｔｍ…第２磁
気テープ（メタルテープ）。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G11B 23/28 G11B 15/675 101 G11B 23/087 501

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】第１記録フォーマットで記録再生がなされ
   る第１磁気テープを一対のリール間に巻回させながら略
   直方形状の第１カセット筐体内に収納し、この第１カセ
   ット筐体の前方部位に形成したローディングポケットに
   て張架した前記第１磁気テープを覆い得るよう開閉自在
   な前蓋を前記第１カセット筐体に支持し、且つ、前記第
   １カセット筐体の磁気記録及び／又は再生装置への誤挿
   入を防止するために該装置側の誤挿入防止検出部材が進
   入できる誤挿入防止用溝部を該第１カセット筐体の底面
   に形成した第１記録フォーマット用のテープカセットと
   略同一構成をもち、 第２記録フォーマットで記録再生がなされる第２磁気テ
   ープを前記第１カセット筐体と略同一外形寸法の第２カ
   セット筐体内に収納し、且つ、誤挿入防止用溝部を前記
   第１カセット筐体の誤挿入防止用溝部と対応して前記第
   ２カセット筐体の底面に形成した第２記録フォーマット
   用のテープカセットであって、 前記第２カセット筐体の誤挿入防止用溝部の長さを、前
   記第１カセット筐体の誤挿入防止用溝部の長さより目視
   で確認できる程度短く、且つ、所定の長さに形成してな
   り、 前記第２カセット筐体を第１記録フォーマットを採用し
   た第１装置に挿入した際には、前記第１装置の前方に設
   けた誤挿入防止検出部材が該第２カセット筐体の誤挿入
   防止用溝部の終端に当接してそれ以上の挿入を阻止する
   ことにより誤挿入と判断できる一方、 前記第２カセット筐体を第２記録フォーマットを採用し
   た第２装置に挿入した際には、前記第１装置の誤挿入防
   止検出部材よりも奥方に設けた前記第２装置の誤挿入防
   止検出部材が該第２カセット筐体の誤挿入防止用溝部の
   終端に当接することなく所定の位置までの挿入を許容す
   ることにより正常挿入と判断できるよう構成したことを
   特徴とするテープカセット。
2. 【請求項２】請求項１記載のテープカセットにおいて、 前記第２カセット筐体の巾の広い方向からの挿入を許容
   する前記第１，第２装置側の第１，第２誤挿入防止検出
   部材と対応する前記第２カセット筐体の底面に形成した
   誤挿入防止用溝部は、 前記前蓋の下端に凹状に切り欠き形成した凹状切欠部の
   裏面で前記ローディングポケット内の空間通路を経由し
   て該凹状切欠部と対向するローディングポケット前壁面
   部から底面にかけて該凹状切欠部と合致させて所定の長
   さ略一直線に凹状溝を形成することにより、前記第２カ
   セット筐体の挿入動作に伴って、前記凹状切欠部，前記
   ローディングポケット内の空間通路を通過して前記凹状
   溝に入り込んだ前記第１，第２誤挿入防止検出部材のう
   ちで該第１誤挿入防止検出部材のみが該凹状溝の終端に
   て受け止められるよう構成したことを特徴とするテープ
   カセット。
3. 【請求項３】請求項１記載のテープカセットにおいて、 前記第２カセット筐体の巾の広い方向からの挿入を許容
   する前記第１，第２装置側の第１，第２誤挿入防止検出
   部材と対応する前記第２カセット筐体の底面に形成した
   誤挿入防止用溝部は、 前記前蓋の下端に凹状に切り欠き形成した凹状切欠部の
   裏面で前記ローディングポケット内の空間通路を経由し
   て該凹状切欠部と対向するローディングポケット前壁面
   部までに置換して該空間通路を所定の長さに形成するこ
   とにより、前記第２カセット筐体の挿入動作に伴って、
   前記凹状切欠部を通過して前記ローディングポケット内
   の空間通路に入り込んだ前記第１，第２誤挿入防止検出
   部材のうちで該第１誤挿入防止検出部材のみが前記ロー
   ディングポケット前壁面部にて受け止められるよう構成
   したことを特徴とするテープカセット。
4. 【請求項４】請求項１記載のテープカセットにおいて、 前記第２カセット筐体の巾の狭い方向からの挿入を許容
   する前記第１，第２装置側の第１，第２誤挿入防止検出
   部材と対応する前記第２カセット筐体の底面に形成した
   誤挿入防止用溝部は、 前記第２カセット筐体の側面から底面に沿って巾の広い
   方向に所定の長さ略一直線に凹状溝を形成することによ
   り、前記第２カセット筐体の挿入動作に伴って、前記凹
   状溝に進入した前記第１，第２誤挿入防止検出部材のう
   ちで該第１誤挿入防止検出部材のみが前記凹状溝の終端
   にて受け止められるよう構成したことを特徴とするテー
   プカセット。