JP2881748B2 - 天然成分含有ヘアトリートメント製剤 - Google Patents

天然成分含有ヘアトリートメント製剤

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、活性物質組み合わせとして天然リン脂質お
よび酸を含有する、水性エマルジョンの形態のヘアトリ
ートメント製剤に関する。
[従来の技術] 今日、人間の頭髪は、シャンプー、シャワー浴用剤お
よび浴用製剤による洗浄や、脱色、染髪または整髪とい
った美容上の処理のような数々の処理にさらされてい
る。このような処理は、髪の構造に望ましくない損傷を
起こすことがあり、それによってとりわけ湿潤および乾
燥時の櫛通りが悪くなる。更に、そのような髪は帯電し
易く、それによりヘアスタイルのセットが損なわれる。
このような問題を克服し得る一つの既知の手段は、髪
を、アフタートリートメント用活性物質(通例カチオン
性界面活性剤)と他の物質との組み合わせによるアフタ
ートリートメントに付すことである。このようなヘアア
フタートリートメント製剤(通例ヘアローションまたは
クリーム状エマルジョンの形態に製造されている)は、
例えば西独公開特許第3417646号、特開昭59−78113号お
よびソビエト特許明細書第1090401号に記載されてい
る。
しかし、前記ヘアトリートメント製剤には欠点があ
る。カチオン性界面活性剤は、乾燥髪の処理にしか適し
ていないことが知られている。また、元から脂性の髪に
適用すると、髪のその元来の脂性を助長するので問題で
ある。更に、カチオン性界面活性剤は皮膚および粘膜と
の適合性が不充分であり得るので、ヘアトリートメント
製剤中には限られた量でしか使用し得ない。
更に、通例カチオン性界面活性剤として用いられる4
級アンモニウム化合物は、生分解性が不充分であるの
で、生態学的見地から、その使用はできる限り避けるべ
きである。
[発明が解決しようとする課題] 従って、前記のような欠点無く、髪の湿潤および乾燥
時の櫛通りを改良し、髪の帯電を軽減するためのヘアト
リートメント製剤用活性物質組み合わせを見出す必要が
ある。
化学薬品に関してなされている議論の観点から、天然
成分(すなわち、天然生物または非生物や人体に由来す
る物質)のみから成るボディケア製剤に対する消費者の
需要が高まっている。
しかし、ボディケア製品中に合成化合物の代わりに天
然物質を用いても、その製品や外観や使用感を悪化する
ようなことがあってはならない。従って、製品の形状に
関しても消費者の要求を満足する、そのような活性物質
組み合わせを含有するヘアトリートメント製剤を提供す
ることも必要である。
[課題を解決するための手段] 驚くべきことに、前記のような課題は、湿潤および乾
燥時の櫛通りを改良し、髪の帯電を軽減するための酸性
水性ヘアトリートメントエマルジョン中の活性物質組み
合わせとして、天然物由来のリン脂質と無機および/ま
たは有機酸との混合物を使用することによって解決され
ることがわかった。また、脂肪アルコール、エトキシ化
界面活性剤および他の合成活性物質や、通常のワックス
および油成分を用いなくてもよい。従って、好ましい混
合物は、天然成分、すなわち天然物由来の成分のみを含
有する混合物である。
多量の合成界面活性剤に加えて、リン酸エステル、ク
エン酸およびアミノ酸を含有するいわゆる中和シャンプ
ーは、髪の帯電を防ぐことが知られている[例えば、コ
スメティクス・アンド・トイレタリーズ(Cosmetics an
d Toiletries)、第98巻、1983年5月、66頁参照]。
特開昭61−238718号には、エタノール水溶液中に、合
成殺菌剤に加えて、天然リン化合物および/または有機
酸および/またはその塩を他の成分として含有し得る、
殺菌性・抗フケヘアトリートメント製剤が記載されてい
る。
しかし、天然物由来のリン脂質と無機および/または
有機酸との活性物質組み合わせや、その作用について
は、前記文献のいずれにも記載がない。
本発明によると、 天然リン脂質0.1〜20重量%、好ましくは1〜3重量
%、 無機および/または有機酸0.1〜20重量%、好ましく
は1〜3重量%、および 他の乳化剤0.01〜2重量%、好ましくは0.05〜0.5重量
% を含有するヘアトリートメントエマルジョンが好まし
い。
活性物質組み合わせの成分、すはわちリン脂質と無機
および/または有機酸とは、2:1〜1:2の重量比でヘアト
リートメントエマルジョン中に存在することが好まし
い。
適当な天然リン脂質は、とりわけレシチン、例えば卵
レシチンおよび大豆レシチンである。リン脂質としてケ
ファリンを使用してもよい。
無機酸も有機酸も、活性物質組み合わせの酸成分とし
て使用し得る。天然生物および非生物中に存在する酸を
使用することが好ましい。
適当な無機酸は、例えばリン酸、硫酸および塩酸であ
る。
有機酸うち、炭素数が1〜12である酸が好ましい。特
に重要なものは、生態学的に可食性の酸である。可食性
酸は、通常の食物摂取において人体にプラスに作用する
有機酸である。このような酸としては、酢酸、乳酸、酒
石酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸およびグル
コン酸が挙げられる。クエン酸またはアスコルビン酸が
特に適当である。
本発明の酸性ヘアトリートメントエマルジョンのpH
は、好ましくは2〜6、より好ましくは2.5〜4.5に調節
する。pH2.5〜3.5であるエマルジョンは特に良好な性質
を示す。このようなpH値の調節は、使用する酸の種類お
よび量によって、また要すればアルカリ金属水酸化物ま
たはアミン(例えばトリエタノールアミン)のような塩
基の追加によって達成する。調節したpH範囲におけるエ
マルジョンの緩衝作用、すなわちpH安定化は、酸/塩基
の組み合わせによってなし得る。
酸とは異なり、用いるリン脂質は水不溶性であるの
で、用いる活性物質組み合わせは透明な水溶液の形態に
調製することができない。水と水溶性アルコール(例え
ばエタノールまたはイソプロパノール)との混合物を本
発明の活性物質組み合わせのための共通の溶媒として使
用するとすれば、透明な溶液を得るためにアルコールが
大量に必要となり、そのアルコールは頭皮を刺激し得
る。
しかし、用いるリン脂質の乳化作用は、活性物質組み
合わせを水性エマルジョンの形態に調製するのに通例充
分であることがわかった。
他の乳化剤の添加によって、とりわけ長期間の貯蔵の
ために、エマルジョンの安定性を高めることも可能であ
る。必要に応じて、そのような乳化剤によって、エマル
ジョンのコンシステンシーも調節し得る。乳化剤に関し
ても、天然物由来の化合物を使用することが好ましい。
既知の天然乳化剤は、例えば胆汁酸であり、そのう
ち、特にコール酸、コール酸誘導体であるデオキシコー
ル酸およびリトコール酸並びにタウロコール酸が挙げら
れる。タンニン酸、アビエチン酸およびサポニンも適当
な乳化剤である。
前記酸は、遊離酸として使用し得る。しかし、対応す
るアルカリ塩、とりわけリチウム塩、ナトリウム塩もし
くはカリウム塩またはアンモニウム塩を使用することも
できる。このような塩は、対応する酸と炭酸アルカリ、
炭酸水素アルカリまたはアンモニアとの反応によって既
知の方法で得られる。通例、塩の方が遊離酸よりも良好
な乳化作用を示す。アルカリ塩のうち、リチウム線、ナ
トリウム塩、カリウム塩の順に乳化力が高まる。従っ
て、カリウム塩、とりわけコール酸カリウム塩を乳化剤
として用いることが特に好ましい。
水性エマルジョンのコンシステンシーは、いわゆる増
粘剤の添加によって特に調節できることは、当業者周知
である。従って、本発明のエマルジョンは、適用に適し
た粘度を達成するために、増粘剤0.1〜10重量%、好ま
しくは0.5〜5重量%を含有し得る。20℃における粘度
が2,500〜4,000mPas、とりわけ3,000〜3,500mPasである
エマルジョンは、いわゆるヘアリンスとして特に有利で
ある。また、粘度10,000〜100,000mPasのエマルジョン
は、通例いわゆるヘアトニックとして市販されているよ
うなヘアトリートメントエマルジョンとして用いる。
増粘剤も、天然物由来であることが好ましい。増粘剤
として、例えば多糖類、とりわけキサンタンガム、グア
ーガム、寒天、アルギネート、イナゴマメ粉および/ま
たはペクチンを使用する。
本発明のヘアトリートメントエマルジョンが酸性に処
方されていることは、その安定性に正の効果をもたらし
ている。更に、活性物質成分として用いる酸のあるもの
は、それだけで通常の使用に充分な防腐作用を有する。
しかし、本発明のエマルジョン中に他の保存剤を加えて
もよい。適当な保存剤は、例えばサリチル酸、ギ酸、プ
ロピオン酸、安息香酸、ソルビン酸、ケイヒ酸、メント
ール、チモール、オイゲノールおよびレモングラス抽出
物である。このような保存剤は、本発明のヘアトリート
メントエマルジョン中に、通例0.1〜2重量%の量で使
用する。保存剤として安息香酸を使用することが特に好
ましい。
本発明のエマルジョンは、当業者に知られているヘア
トリートメント製剤の通常の成分を5重量%までの量で
更に含有し得る。そのような成分とは、例えば、色素、
香料、界面活性剤、抗酸化剤、光安定剤およびヘアコス
メティック剤、例えばビタミン、植物エキス、バルサ
ム、抗フケ剤または皮脂抑制剤、並びに油成分(好まし
くは天然植物性および動物性の油および脂肪)およびワ
ックスである。
本発明の好ましい態様を次に示す。
1.天然物由来リン脂質0.1〜20重量%、好ましく1〜3
重量%、 無機および/または有機酸0.1〜20重量%、好ましくは
1〜3重量%、および 好ましくは天然物由来の他の乳化剤0.01〜2重量%、好
ましくは0.05〜0.5重量% を含有する請求項1記載のヘアトリートメントエマルジ
ョン。
2.pH2〜6、好ましくは2.5〜4.5、より好ましくは2.5〜
3.5である請求項1記載のヘアトリートメントエマルジ
ョン。
3.リン脂質と無機および/または有機酸とを、2:1〜1:2
の重量比で含有する請求項1記載のヘアトリートメント
エマルジョン。
4.リン脂質がレシチン、とりわけ卵レシチンまたは大豆
レシチン、および/またはケファリンである請求項1記
載のヘアトリートメントエマルジョン。
5.無機酸がリン酸、硫酸および/または塩酸である請求
項1記載のヘアトリートメントエマルジョン。
6.有機酸の炭素数が1〜12である請求項1記載のヘアト
リートメントエマルジョン。
7.有機酸が、酢酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ
酸、アスコルビン酸およびグルコン酸から成る群から選
択される可食性酸、とりわけクエン酸またはアスコルビ
ン酸である上記第6項記載のヘアトリートメントエマル
ジョン。
8.乳化剤はコール酸、リトコール酸、デオキシコール
酸、タウロコール酸、タンニン酸、アビエチン酸、とり
わけそれらのアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩、
および/またはサポニンである請求項1記載のヘアトリ
ートメントエマルジョン。
9.乳化剤がコール酸塩、とりわけコール酸カリウム塩で
ある上記第8項記載のヘアトリートメントエマルジョ
ン。
10.増粘剤0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%を
含有し、クリーム状コンシステンシーを示す請求項1記
載のヘアトリートメントエマルジョン。
11.増粘剤として、多糖類、とりわけキサンタンガム、
グアーガム、寒天、アルギネート、イナゴマメ粉および
/またはペクチンを含有する上記10項記載のヘアトリー
トメントエマルジョン。
12.保存剤を更に含有する請求項1記載のヘアトリート
メントエマルジョン。
13.保存剤として、サリチル酸、ギ酸、プロピオン酸、
安息香酸、ソルビン酸、ケイヒ酸、メントール、チモー
ル、オイゲノールまたはレモングラス抽出物、とりわけ
安息香酸を含有する上記第12項記載のヘアトリートメン
トエマルジョン。
以下の実施例によって、本発明を更に説明する。
[実施例] 第1表に示すヘアトリートメントエマルジョンを次の
ように調製した: リン脂質、酸および他の乳化剤を70〜80℃で溶融し
た。次いで、高温の水約65重量部に溶解した保存剤を、
よく撹拌しながら加えた。よく撹拌しながら混合物を約
45℃に冷却後、増粘剤を、残部の水と共に水性塊の形態
で加えた。いずれの場合も、薄黄色の微細なエマルジョ
ンが生成した。実施例1および2においては、適量のト
リエタノールアミンの添加によって、エマルジョンを所
望のpHに調節した。
第1表に示す粘度値は、B型RVF粘度計(スピンドル
4、20回転/分)を用いて測定した。
実施例1のエマルジョンで処理した髪は、湿潤および
乾燥時の櫛通りが充分で、帯電が少し軽減された。
実施例2のエマルジョンで髪を処理すると、湿潤およ
び乾燥時の櫛通りが良好となり、かつ帯電が顕著に軽減
された。実施例3〜9のエマルジョンで処理した髪の湿
潤および乾燥時の櫛通りは非常に良好であり、実質的に
帯電を示さなかった。
フロントページの続き (72)発明者 クルト・ザイデル ドイツ連邦共和国 4000 デュッセルド ルフ 13、ノストッフェンシュトラアセ 59番 (72)発明者 クラウス‐ディーター・ヴィゾツキー ドイツ連邦共和国 4006 エルクラート 2、ヴァーネン、ミューレ 4番 (56)参考文献 特開 昭59−78113(JP,A) 特開 昭62−4215(JP,A) 特開 昭62−263109(JP,A) 米国特許4115313(US,A) 欧州公開19301(EP,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 7/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】湿潤および乾燥時の櫛通りを改良し、毛髪
    の帯電を軽減するための酸性水性ヘアトリートメントエ
    マルジョンであって、天然物由来のリン脂質と、リン
    酸、硫酸、塩酸、酢酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、リン
    ゴ酸、アスコルビン酸およびグルコン酸から成る群から
    選択する無機および/または有機酸との混合物を活性物
    質組み合わせとして含有し、更に乳化剤を含有するが、
    式: [式中、R1は炭素数14〜22のアルキル基またはベンジル
    基、R2はメチル基または炭素数14〜22のアルキル基、R3
    とR4はメチル基、Xはハロゲン原子である。] で示される第四級アンモニウム塩は含有しないヘアトリ
    ートメントエマルジョン。
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