JP2881431B2 - イソマルトースを含有するハイコンバージョンシロップの製造方法 - Google Patents
イソマルトースを含有するハイコンバージョンシロップの製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明により得られるイソマルトースを含有するハイ
コンバージョンシロップは、パン、菓子、ガム、清涼飲
料、乳性飲料、果汁飲料、冷菓、乳製品、缶詰、びん
詰、チューブ詰、ジャム、佃煮、漬物、練り製品、醤
油、ソース、調味料、惣菜、調理済食品、酒類、飼料、
医薬、健康食品、家庭用甘味料等に使用されるものであ
る。 〔従来の技術〕 ハイコンバージョンシロップはグルコースとマトロー
スの含有率の高いことを特徴とするシロップであり、特
性上の例を挙げれば、DE(ブドウ糖当量)60〜75、グル
コース分(固形あたり)10〜60%、マルトース分(固形
あたり)10〜660%、マルトース以外のマルトオリゴ糖
分(固形あたり)10〜50%であり、75%程度の高濃度に
おいても結晶が析出しにくい、低粘度の取扱容易なシロ
ップであり、キヤラメル、パン、飲料飲料、缶詰など多
くの工業分野で使用されている。 近年、オリゴ糖類の研究開発が活発に行われているな
かで、まろやかな甘味性、良好な吸湿性、難消化性によ
る種々の生理機能性を有することからイソマルトースが
注目されているが、イソマルトースを含有するハイコン
バージョンシロップを効率的、経済的に大量生産する方
法は確立されておらず、食品や医薬への利用のための開
発の期待が高まっている。 〔本発明が解決しようとする問題点〕 本発明は上記の如く、イソマルトースを含有するハイ
コンバージョンシロップの工業的製造方法が未確立の現
状に鑑み、イソマルトースを含有するハイコンバージョ
ンシロップを効率的、経済的に大量生産する工業的製造
方法を提供するものである。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者らは、イソマルトースを含有するハイコンバ
ージョンシロップの工業的製造方法について検討を重ね
た結果、糖化型α−アミラーゼとグリコアミラーゼを組
み合わせて作用させるハイコンバージョンシロップに、
更に転移酵素あるいは転移酵素と枝切り酵素を作用させ
ることにより、極めて効率的、経済的なイソマルトース
を含有するハイコンバージョンシロップの工業的製造方
法を見いだし、本発明に至った。 従来からのハイコンバージョンシロップは、糖化型α
−アミラーゼとグリコアミラーゼを組み合わせて使用
し、酵素または酸による澱粉部分加水分解物(以下液化
澱粉という)を糖化反応して製造している。通常酵素液
化澱粉を用いると、酸液化澱粉よりもマルトースが高く
グリコース値の低い糖化反応液が得られる。使用する澱
粉は、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオ
カ澱粉などであり、通常糖化用に使用される澱粉であれ
ば制限はない。糖化反応条件は通常温度40〜65℃、PH3.
0〜7.0、基質濃度10〜60%(固形)、糖化時間約40時間
であるが、酵素量の多い場合は短く、少ない場合は長く
する。 酵素量は対基質(固形)あたり糖化型α−アミラーゼ
(例えばノボインダストリー製、ファンガミル800L)0.
001〜1.0%(重量部、以下も同じ)グルコアミラーゼ
(例えばノボインダストリー製、AMG300L)0.001〜1.0
%程度である。最終糖化反応液のグルコースとマルトー
スの糖組成は、糖化型α−アミラーゼとグルコアミラー
ゼの使用比率を調整することにより変化させることがで
きる。この酵素条件については技術資料(例えばノボイ
ンダストリーB223a−J200、1981年10月刊)に詳しく説
明されている。特に重要なことは、あらかじめ設定した
DE(ブドウ糖当量)および糖組成に到達した時にグルコ
アミラーゼによる反応を停止することができる。停止せ
ずそのまま反応を進行させると、グルコース量は増加す
る。反応を停止するには、糖化反応液を80℃で約40分間
もしくは85℃にて5分間加熱処理を行う。その後糖化反
応液はろ過し、イオン交換精製、活性炭処理を行い、濃
縮してハイコンバージョンシロップとしている。しかし
ながら得られたハイコンバージョンシロップには極く僅
かなイソマルトースしか含まれていない。 これに対してイソマルトースを含有するハイコンバー
ジョンシロップを得るには、糖化型α−アミラーゼとグ
ルコアミラーゼの組合せに、転移酵素或いは転移酵素と
枝切り酵素を組み合わせて使用し、酵素または酸による
液化澱粉を糖化反応して製造するものである。酵素量は
対基質(固形)あたり糖化型α−アミラーゼ(例えばノ
ボインタストリー製、ファンガミル800L)0.001〜1.0
%、グルコアミラーゼ(例えばノボインタストリー製、
AMG300L)0.001〜1.0%、転移酵素(例えば天野製薬
製、トランスグルコシダーゼ)0.001〜1.0%程度の3種
の酵素を組み合わせるか、あるいは、糖化型α−アミラ
ーゼ(例えばノボインタストリー製、ファンガミル800
L)0.001〜1.0%、グルコアミラーゼ(例えばノボイン
タストリー製、AMG300L)0.001〜1.0%、転移酵素(例
えば天野製薬製、トランスグルコシダーゼ)0.001〜1.0
%、枝切り酵素(例えばノボインタストリー製、プロモ
ザイム200L)0.001〜10%程度の4種の酵素を組み合わ
せるものである。 従来からのハイコンバージョンシロップでは2種の酵
素を同時に作用させているが、イソマルトースを含有す
るハイコンバージョンシロップの製造においては3種あ
るいは4種の酵素を同時に作用させることであり、この
複合酵素系においても各酵素の作用は充分に機能してイ
ソマルトースを含有するハイコンバージョンシロップが
収率よく得られることを発見した。この複合酵素系にお
ける酵素添加量の合計は極めて少なくて済むので、後の
精製工程上好ましいものである。 イソマルトースを含有するハイコンバージョンシロッ
プの糖化反応条件は基本的には、従来からのハイコンバ
ージョンシロップと同じでよい。すなわち、通常温度40
〜65℃、PH3.0〜7.0、基質濃度10〜60%(固形)、糖化
時間約40時間であるが、酵素量の多い場合は短く、少な
い場合は長くする。最終糖化反応液のグルコースとイソ
マルトースの糖組成は、糖化型α−アミラーゼ、グルコ
アミラーゼ、転移酵素、枝切り酵素の使用比率を調整す
ることにより変化させることができる。通常酵素液化澱
粉を用いると、酸液化澱粉よりもイソマルトースが高く
グルコース値の低い糖化反応液か得られる。使用する澱
粉は、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオ
カ澱粉などであり、通常糖化用に使用される澱粉であれ
ば制限はない。特に重要なことは、あらかじめ設定した
DE(ブドウ糖当量)および糖組成に到達した時にグルコ
アミラーゼによる反応を停止することである。停止せず
そのまま反応を進行させると、グルコース量は増加す
る。反応を停止するには、糖化反応液を80℃で約40分間
もしくは85℃にて5分間加熱処理を行う。その後糖化反
応液はろ過し、イオン交換精製、活性炭処理を行い濃縮
してイソマルトースを含有するハイコンバージョンシロ
ップとする。 ここにおいて従来からのハイコンバージョンシロップ
がグルコースとマルトースを主成分として、その他にマ
ルトースと同じくα−1、4結合を有する、いわゆるマ
ルトオリゴ糖を主体として副生するのに対して、本発明
のイソマルトースを含有するハイコンバージョンシロッ
プは、グルコースとイソマルトースを主成分とすること
が特徴であり、その他にイソマルトースと同じく、α−
1、6結合を有する、いわゆるイソマルトオリゴ糖を主
体として副生するものである。 〔実施例〕 実施例1. 35%(W/W)DE12酵素液化澱粉(コーンスターチを使
用)を温度55℃、PH5.0に調整して3区に分け、以下の
酵素条件で糖化反応を行った。(1区)糖化型α−アミ
ラーゼ(ノボインダストリー製、ファンガミル800L)0.
02%(対固形、以下も同じ)、グルコアミラーゼ(ノボ
インダストリー製、AMG300L)0.01%の2種の酵素を組
み合わせ添加する。(2区)糖化型α−アミラーゼ
(同)0.02%、グルコアミラーゼ(同)0.01%、転移酵
素(天野製薬製、トランスグルコシダーゼ)0.03%の3
種の酵素を組合せ添加する。(3区)糖化型α−アミラ
ーゼ(同)0.02%、グルコアミラーゼ(同)0.01%、転
移酵素(同)0.03%、枝切り酵素(ノボインダストリー
製、プロモザイム200L)0.02%の4種の酵素を組み合わ
せ添加する。以上の酵素条件で、42時間糖化反応を行っ
た後、85℃、5分間加熱処理を行い、ろ過、イオン交換
精製、活性炭処理、濃縮して(1区)、(2区)、(3
区)のシロップを得た。(1区)は従来からのハイコン
バージョンシロップ、(2区)、(3区)はイソマルト
ースを含有するハイコンバージョンシロップである。 その他の成分は、マルトオリゴ糖としてはマルトトリ
オース、イソマルトオリゴ糖としては、パノース、イソ
マルトトリオースおよびα−1、6結合をもつブドウ糖
重合度4以上のオリゴ糖を主体とするものである。 分析方法 高速液体クロマトグラフィー 〔機種〕ウオーターズ 590型 島津 LC4A型 〔カラム〕SCR101N(島津) Zorbax NH2(デュポン) 〔溶媒媒〕 水 アセトニトリル:水=70:30 (両機種の分析値より求める) 実施例2. 45%(W/W)DE42酸液化澱粉(コンスターチを使用)
を温度55℃、PH5.0に調整して3区に分け、以下の酵素
条件で糖化反応を行った。 (1区)糖化型α−アミラーゼ(ノボインダストリー
製、ファンガミル800L)0.02%(対固形、以下も同
じ)、グルコアミラーゼ(ノボインダストリー製、AMG3
0L)0.01%の2種の酵素を組み合わせ添加する。(2
区)糖化型α−アミラーゼ(同)0.02%、グリコアミラ
ーゼ(同)0.01%、転移酵素(天野製薬製、トランスグ
ルコシダーゼ)0.03%の3種を組合せ添加する。(3
区)糖化型α−アミラーゼ(同)0.02%、グリコアミラ
ーゼ(同)0.01%、転移酵素(同)0.03%、枝切り酵素
(ノボインダストリー製、プロモザイム200L)0.02%の
4種の酵素を組み合せ添加する。以上の酵素条件で、42
時間糖化反応を行った後、85℃、5分間加熱処理を行
い、ろ過、イオン交換精製、活性炭処理、濃縮して(1
区)、(2区)、(3区)のシロップを得た。(1区)
は従来からのハイコンバージョンシロップ、(2区)、
(3区)はイソマルトースを含有するハイコンバージョ
ンシロップである。 その他の成分は、マルトオリゴ糖としてはマルトトリ
オース、イソマルトオリゴ糖としては、パノース、イソ
マルトトリオース、およびα−1、6結合をもつブドウ
糖重合度4以上のオリゴ糖を主体とするものである。 分析方法 高速液体クロマトグラフィー 〔機種〕ウオーターズ 590型 島津 LC4A型 〔カラム〕SCR101N(島津) Zorbax NH2(デュポン) 〔溶媒〕 水 アセトニトリル:水=70:30 (両機種の分析値より求める) 〔発明の効果〕 本発明は、イソマルトースを含有するハイコンバージ
ョンシロップを効率的、経済的に大量生産する工業的製
造方法を提供するものである。 すなわち、従来からのハイコンバージョンシロップが
グルコースとマルトースを主成分として、その他にマル
トオリゴ糖を副成分として含み、キヤラメル、パン、清
涼飲料、缶詰などの工業分野で使用されているのに対
し、本発明のイソマルトースを含有するハイコンバージ
ョンシロップはグルコースとイソマルトースを主成分と
して、その他のイソマルトオリゴ糖を副成分として含む
ため、まろやかな甘味性、良好な吸湿性、難消化性によ
る生理機能性により、甘味料や機能性糖類として多分野
の用途に利用できる。
コンバージョンシロップは、パン、菓子、ガム、清涼飲
料、乳性飲料、果汁飲料、冷菓、乳製品、缶詰、びん
詰、チューブ詰、ジャム、佃煮、漬物、練り製品、醤
油、ソース、調味料、惣菜、調理済食品、酒類、飼料、
医薬、健康食品、家庭用甘味料等に使用されるものであ
る。 〔従来の技術〕 ハイコンバージョンシロップはグルコースとマトロー
スの含有率の高いことを特徴とするシロップであり、特
性上の例を挙げれば、DE(ブドウ糖当量)60〜75、グル
コース分(固形あたり)10〜60%、マルトース分(固形
あたり)10〜660%、マルトース以外のマルトオリゴ糖
分(固形あたり)10〜50%であり、75%程度の高濃度に
おいても結晶が析出しにくい、低粘度の取扱容易なシロ
ップであり、キヤラメル、パン、飲料飲料、缶詰など多
くの工業分野で使用されている。 近年、オリゴ糖類の研究開発が活発に行われているな
かで、まろやかな甘味性、良好な吸湿性、難消化性によ
る種々の生理機能性を有することからイソマルトースが
注目されているが、イソマルトースを含有するハイコン
バージョンシロップを効率的、経済的に大量生産する方
法は確立されておらず、食品や医薬への利用のための開
発の期待が高まっている。 〔本発明が解決しようとする問題点〕 本発明は上記の如く、イソマルトースを含有するハイ
コンバージョンシロップの工業的製造方法が未確立の現
状に鑑み、イソマルトースを含有するハイコンバージョ
ンシロップを効率的、経済的に大量生産する工業的製造
方法を提供するものである。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明者らは、イソマルトースを含有するハイコンバ
ージョンシロップの工業的製造方法について検討を重ね
た結果、糖化型α−アミラーゼとグリコアミラーゼを組
み合わせて作用させるハイコンバージョンシロップに、
更に転移酵素あるいは転移酵素と枝切り酵素を作用させ
ることにより、極めて効率的、経済的なイソマルトース
を含有するハイコンバージョンシロップの工業的製造方
法を見いだし、本発明に至った。 従来からのハイコンバージョンシロップは、糖化型α
−アミラーゼとグリコアミラーゼを組み合わせて使用
し、酵素または酸による澱粉部分加水分解物(以下液化
澱粉という)を糖化反応して製造している。通常酵素液
化澱粉を用いると、酸液化澱粉よりもマルトースが高く
グリコース値の低い糖化反応液が得られる。使用する澱
粉は、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオ
カ澱粉などであり、通常糖化用に使用される澱粉であれ
ば制限はない。糖化反応条件は通常温度40〜65℃、PH3.
0〜7.0、基質濃度10〜60%(固形)、糖化時間約40時間
であるが、酵素量の多い場合は短く、少ない場合は長く
する。 酵素量は対基質(固形)あたり糖化型α−アミラーゼ
(例えばノボインダストリー製、ファンガミル800L)0.
001〜1.0%(重量部、以下も同じ)グルコアミラーゼ
(例えばノボインダストリー製、AMG300L)0.001〜1.0
%程度である。最終糖化反応液のグルコースとマルトー
スの糖組成は、糖化型α−アミラーゼとグルコアミラー
ゼの使用比率を調整することにより変化させることがで
きる。この酵素条件については技術資料(例えばノボイ
ンダストリーB223a−J200、1981年10月刊)に詳しく説
明されている。特に重要なことは、あらかじめ設定した
DE(ブドウ糖当量)および糖組成に到達した時にグルコ
アミラーゼによる反応を停止することができる。停止せ
ずそのまま反応を進行させると、グルコース量は増加す
る。反応を停止するには、糖化反応液を80℃で約40分間
もしくは85℃にて5分間加熱処理を行う。その後糖化反
応液はろ過し、イオン交換精製、活性炭処理を行い、濃
縮してハイコンバージョンシロップとしている。しかし
ながら得られたハイコンバージョンシロップには極く僅
かなイソマルトースしか含まれていない。 これに対してイソマルトースを含有するハイコンバー
ジョンシロップを得るには、糖化型α−アミラーゼとグ
ルコアミラーゼの組合せに、転移酵素或いは転移酵素と
枝切り酵素を組み合わせて使用し、酵素または酸による
液化澱粉を糖化反応して製造するものである。酵素量は
対基質(固形)あたり糖化型α−アミラーゼ(例えばノ
ボインタストリー製、ファンガミル800L)0.001〜1.0
%、グルコアミラーゼ(例えばノボインタストリー製、
AMG300L)0.001〜1.0%、転移酵素(例えば天野製薬
製、トランスグルコシダーゼ)0.001〜1.0%程度の3種
の酵素を組み合わせるか、あるいは、糖化型α−アミラ
ーゼ(例えばノボインタストリー製、ファンガミル800
L)0.001〜1.0%、グルコアミラーゼ(例えばノボイン
タストリー製、AMG300L)0.001〜1.0%、転移酵素(例
えば天野製薬製、トランスグルコシダーゼ)0.001〜1.0
%、枝切り酵素(例えばノボインタストリー製、プロモ
ザイム200L)0.001〜10%程度の4種の酵素を組み合わ
せるものである。 従来からのハイコンバージョンシロップでは2種の酵
素を同時に作用させているが、イソマルトースを含有す
るハイコンバージョンシロップの製造においては3種あ
るいは4種の酵素を同時に作用させることであり、この
複合酵素系においても各酵素の作用は充分に機能してイ
ソマルトースを含有するハイコンバージョンシロップが
収率よく得られることを発見した。この複合酵素系にお
ける酵素添加量の合計は極めて少なくて済むので、後の
精製工程上好ましいものである。 イソマルトースを含有するハイコンバージョンシロッ
プの糖化反応条件は基本的には、従来からのハイコンバ
ージョンシロップと同じでよい。すなわち、通常温度40
〜65℃、PH3.0〜7.0、基質濃度10〜60%(固形)、糖化
時間約40時間であるが、酵素量の多い場合は短く、少な
い場合は長くする。最終糖化反応液のグルコースとイソ
マルトースの糖組成は、糖化型α−アミラーゼ、グルコ
アミラーゼ、転移酵素、枝切り酵素の使用比率を調整す
ることにより変化させることができる。通常酵素液化澱
粉を用いると、酸液化澱粉よりもイソマルトースが高く
グルコース値の低い糖化反応液か得られる。使用する澱
粉は、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオ
カ澱粉などであり、通常糖化用に使用される澱粉であれ
ば制限はない。特に重要なことは、あらかじめ設定した
DE(ブドウ糖当量)および糖組成に到達した時にグルコ
アミラーゼによる反応を停止することである。停止せず
そのまま反応を進行させると、グルコース量は増加す
る。反応を停止するには、糖化反応液を80℃で約40分間
もしくは85℃にて5分間加熱処理を行う。その後糖化反
応液はろ過し、イオン交換精製、活性炭処理を行い濃縮
してイソマルトースを含有するハイコンバージョンシロ
ップとする。 ここにおいて従来からのハイコンバージョンシロップ
がグルコースとマルトースを主成分として、その他にマ
ルトースと同じくα−1、4結合を有する、いわゆるマ
ルトオリゴ糖を主体として副生するのに対して、本発明
のイソマルトースを含有するハイコンバージョンシロッ
プは、グルコースとイソマルトースを主成分とすること
が特徴であり、その他にイソマルトースと同じく、α−
1、6結合を有する、いわゆるイソマルトオリゴ糖を主
体として副生するものである。 〔実施例〕 実施例1. 35%(W/W)DE12酵素液化澱粉(コーンスターチを使
用)を温度55℃、PH5.0に調整して3区に分け、以下の
酵素条件で糖化反応を行った。(1区)糖化型α−アミ
ラーゼ(ノボインダストリー製、ファンガミル800L)0.
02%(対固形、以下も同じ)、グルコアミラーゼ(ノボ
インダストリー製、AMG300L)0.01%の2種の酵素を組
み合わせ添加する。(2区)糖化型α−アミラーゼ
(同)0.02%、グルコアミラーゼ(同)0.01%、転移酵
素(天野製薬製、トランスグルコシダーゼ)0.03%の3
種の酵素を組合せ添加する。(3区)糖化型α−アミラ
ーゼ(同)0.02%、グルコアミラーゼ(同)0.01%、転
移酵素(同)0.03%、枝切り酵素(ノボインダストリー
製、プロモザイム200L)0.02%の4種の酵素を組み合わ
せ添加する。以上の酵素条件で、42時間糖化反応を行っ
た後、85℃、5分間加熱処理を行い、ろ過、イオン交換
精製、活性炭処理、濃縮して(1区)、(2区)、(3
区)のシロップを得た。(1区)は従来からのハイコン
バージョンシロップ、(2区)、(3区)はイソマルト
ースを含有するハイコンバージョンシロップである。 その他の成分は、マルトオリゴ糖としてはマルトトリ
オース、イソマルトオリゴ糖としては、パノース、イソ
マルトトリオースおよびα−1、6結合をもつブドウ糖
重合度4以上のオリゴ糖を主体とするものである。 分析方法 高速液体クロマトグラフィー 〔機種〕ウオーターズ 590型 島津 LC4A型 〔カラム〕SCR101N(島津) Zorbax NH2(デュポン) 〔溶媒媒〕 水 アセトニトリル:水=70:30 (両機種の分析値より求める) 実施例2. 45%(W/W)DE42酸液化澱粉(コンスターチを使用)
を温度55℃、PH5.0に調整して3区に分け、以下の酵素
条件で糖化反応を行った。 (1区)糖化型α−アミラーゼ(ノボインダストリー
製、ファンガミル800L)0.02%(対固形、以下も同
じ)、グルコアミラーゼ(ノボインダストリー製、AMG3
0L)0.01%の2種の酵素を組み合わせ添加する。(2
区)糖化型α−アミラーゼ(同)0.02%、グリコアミラ
ーゼ(同)0.01%、転移酵素(天野製薬製、トランスグ
ルコシダーゼ)0.03%の3種を組合せ添加する。(3
区)糖化型α−アミラーゼ(同)0.02%、グリコアミラ
ーゼ(同)0.01%、転移酵素(同)0.03%、枝切り酵素
(ノボインダストリー製、プロモザイム200L)0.02%の
4種の酵素を組み合せ添加する。以上の酵素条件で、42
時間糖化反応を行った後、85℃、5分間加熱処理を行
い、ろ過、イオン交換精製、活性炭処理、濃縮して(1
区)、(2区)、(3区)のシロップを得た。(1区)
は従来からのハイコンバージョンシロップ、(2区)、
(3区)はイソマルトースを含有するハイコンバージョ
ンシロップである。 その他の成分は、マルトオリゴ糖としてはマルトトリ
オース、イソマルトオリゴ糖としては、パノース、イソ
マルトトリオース、およびα−1、6結合をもつブドウ
糖重合度4以上のオリゴ糖を主体とするものである。 分析方法 高速液体クロマトグラフィー 〔機種〕ウオーターズ 590型 島津 LC4A型 〔カラム〕SCR101N(島津) Zorbax NH2(デュポン) 〔溶媒〕 水 アセトニトリル:水=70:30 (両機種の分析値より求める) 〔発明の効果〕 本発明は、イソマルトースを含有するハイコンバージ
ョンシロップを効率的、経済的に大量生産する工業的製
造方法を提供するものである。 すなわち、従来からのハイコンバージョンシロップが
グルコースとマルトースを主成分として、その他にマル
トオリゴ糖を副成分として含み、キヤラメル、パン、清
涼飲料、缶詰などの工業分野で使用されているのに対
し、本発明のイソマルトースを含有するハイコンバージ
ョンシロップはグルコースとイソマルトースを主成分と
して、その他のイソマルトオリゴ糖を副成分として含む
ため、まろやかな甘味性、良好な吸湿性、難消化性によ
る生理機能性により、甘味料や機能性糖類として多分野
の用途に利用できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は35%(W/W)DE12酵素液化澱粉を温度55℃、PH
5.0に調整して、糖化型α−アミラーゼ0.02%(対固
形、以下も同じ)、グルコアミラーゼ0.01%、転移酵素
0.03%、枝切り酵素0.02%の4種類の酵素を組み合わせ
て添加し、糖化反応を行った場合のDE、グルコース分、
イソマルトース分の経時変化を示したグラフである。
5.0に調整して、糖化型α−アミラーゼ0.02%(対固
形、以下も同じ)、グルコアミラーゼ0.01%、転移酵素
0.03%、枝切り酵素0.02%の4種類の酵素を組み合わせ
て添加し、糖化反応を行った場合のDE、グルコース分、
イソマルトース分の経時変化を示したグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 木村 高尚
高崎市大八木町622 群栄化学工業株式
会社内
(56)参考文献 特公 昭36−23698(JP,B1)
(58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名)
C12P 19/14
C12P 19/20
C12P 19/18
A23L 1/09
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.酵素または酸による澱粉部分加水分解物に、糖化型
α−アミラーゼとグルコアミラーゼを組み合わせて作用
させるハイコンバージョンシロップに、更に転移酵素を
作用させ、該反応糖液中にイソマルトースを含有するこ
とを特徴とするハイコンバージョンシロップの製造方
法。 2.酵素または酸による澱粉部分加水分解物に、糖化型
α−アミラーゼとグルコアミラーゼを組み合わせて作用
させるハイコンバージョンシロップに、更に転移酵素と
技切り酵素を作用させ、該反応糖液中にイソマルトース
を含有することを特徴とするハイコンバージョンシロッ
プの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP62123556A JP2881431B2 (ja) | 1987-05-20 | 1987-05-20 | イソマルトースを含有するハイコンバージョンシロップの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP62123556A JP2881431B2 (ja) | 1987-05-20 | 1987-05-20 | イソマルトースを含有するハイコンバージョンシロップの製造方法 |
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Family Applications (1)
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- 1987-05-20 JP JP62123556A patent/JP2881431B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPS63287496A (ja) | 1988-11-24 |
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