JP2880339B2 - カラー顔写真入りカード類の製造方法 - Google Patents
カラー顔写真入りカード類の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、身分証明書、運転
免許証、定期券、キャッシュカード、ＩＣカード等を包
含するカラー顔写真入りカード類の製造方法に関する。 【０００２】 【従来の技術】従来、身分証明書、運転免許証の加く、
携帯するのが普通であるカード状記録物には、必要な証
明事項、年月日、顔写真、サイン等の各種画像が付され
ており、これらの各種画像は、それらが文字や数字であ
る場合には、タイプ、通常の印刷、エンボス処理等が一
般的であり、又、顔写真の場合は、小型の顔写真を貼着
したものが一般的である。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】上記の如き各種のカー
ド類において、カードの表示部は、その取扱い時の摩擦
や衝撃により、画像が汚れたり不鮮明になるのを防止す
る為に、一般に表示面にオーバーコート層を形成した
り、透明フイルムをラミネートして表示画像を保護して
いる。 【０００４】しかしながら、例えば、顔写真を表示面に
付する場合には、別に撮影した適当な寸法の顔写真があ
る程度の厚みを有している為に、そのまま貼着して表面
ラミネートを施すと、その部分のみが盛り上って全体と
して不体裁となる。その為に従来は、顔写真のゼラチン
部分のみを剥して厚みを薄くして貼着しているが、これ
ははなはだ煩雑である。この様にしてもその部分のある
程度の盛り上がりは避けられない。 【０００５】又、表示面像が印刷によるときは、タイプ
等の簡単な文字はともかく、複雑な多色画像の場合に
は、その為の印刷設備費が大であり、枚数の少ないカー
ド類には経済的に合わないという問題がある。更にこの
様な多色画像の場合には、使用する印刷インキが不適当
であると、その上に設ける保護層との間の層間剥離の原
因ともなっている。 【０００６】尚、特開昭５９−１１５３７号公報には、
昇華性着色剤を用いた転写シートを使用してカードに画
像を形成する方法が記載されているが、この方法で使用
する転写シートは、適当な基材シートに、３色或はそれ
以上の色の染料インキを用意し、これらのインキによっ
て多色刷り印刷機によって画像を形成したものである。
この方法では３版以上のグラビア版の作成が必要であ
り、同一の画像を数千〜数万枚以上転写形成する場合に
は有利であるが、カードの顔写真の如く、カード毎に別
の画像を形成する場合には全く実用性がなく、この方法
では本発明の目的は全く達成されない。 【０００７】又、公知技術として、特開昭５２−１１４
３３４号公報には、定期券発行に際して、昇華転写捺染
紙と感熱記録ヘッドを用いて定期券に情報を印字するこ
とが開示されている。しかしながら、この公報には、そ
の図面からしても定期券にカラー顔写真の如く、多色の
画像を形成することを示唆する記載もなく、又、本発明
における顔写真の貼着における従来技術の解決すべき課
題も、その解決手段を示唆する記載も全く存在していな
い。勿論、この公知文献から示唆される内容は、昇華性
染料で形成される情報が文字や記号等であることであ
る。 【０００８】本発明者は、上記の如き従来技術の欠点を
解決すべく鋭意研究の結果、上記の如きカード類のカラ
ー顔写真入り画像を昇華転写方法で昇華性染料から形成
した場合には、上記の如き種々の問題が解決されること
を知見して本発明を完成した。 【０００９】 【課題を解決する為の手段】即ち、本発明は、携帯して
使用するための身分証明書等を包含するカード類であっ
て、該カード類を、昇華性染料で染着可能なポリ塩化ビ
ニルを基体とし、その表面にカラー顔写真入り画像を形
成する方法において、原稿を色分解した信号に従い、昇
華転写シートから、シアン、イエロー、マゼンタの少な
くとも３色の昇華染料を上記の基体表面に転写させ、該
基体表面を該昇華染料で染着することにより、カラー顔
写真入り画像を形成し、その後、表面保護層を該カラー
顔写真入り画像上に形成するカラー顔写真入りカード類
の製造方法であって、前記基体は少なくともその表面が
軟質塩化ビニルであることを特徴とするカラー顔写真入
りカード類の製造方法である。 【００１０】本発明によれば、カード類のカラー顔写真
入り画像を昇華転写方法で昇華性染料から形成すること
によって、形成されたカラー顔写真入り画像は、カード
基体表面中に染着している為に、カード基体表面を盛り
上がらせたり、或はその後に表面保護層を形成しても、
その表面が盛り上がることもなく、又、表面保護層との
層間剥離をも生じない。 【００１１】 【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を挙げて
本発明を更に具体的に説明する。本発明において云うカ
ード類とは、名刺、ネームプレート等の身分証明書、運
転免許証、パスポート、葉書、キャッシュカード、テレ
ホンカード、診察カード、レーザーカード、定期券、回
数券、ＩＣカード等の如く、一般に手札程度の大きさ
で、且つ多くの場合携帯して使用するものであり、本発
明において最も有効なものは特にカラー顔写真を付した
ものである。 【００１２】次に、本発明を本発明の一実施例を示す添
付図面に従って更に具体的に説明する。図１は、本発明
によるカラー顔写真入りカード類１０の正面図であり、
図２は、そのＡ−Ａ矢視断面図であり、図中の１はカー
ド基体を、２はカード基体表面を、３は表面保護層を、
そして４はカラー顔写真入り画像を示している。本発明
のカラー顔写真入りカード類１０は添付図面に例示する
通り、そのカード基体表面２のカラー顔写真入り画像４
が、原稿を色分解した信号に従い、シアン、イエロー、
マゼンタの少なくとも３色の昇華転写シートからサーマ
ルヘッドで昇華転写された昇華性染料からなるカラー顔
写真入り画像であることを特徴としており、その特徴に
よって前述の種々の従来技術の問題点が解決された。 【００１３】本発明においてカード基体１として使用し
得る材料は、昇華性染料で染着可能なポリ塩化ビニルで
ある。これらのカード基体１は、一般に厚さが０．６８
〜０．８０ｍｍ程度で、サイズが１１〜８×８〜５ｃｍ
程度である。 【００１４】本発明のカラー顔写真入りカード類１０の
特徴は、上記の如きカード基体表面２に表示されたカラ
ー顔写真入り画像４の全部或は１部が、前記の様に昇華
性染料から形成されていることを特徴としており、この
様な画像４の形成は従来公知の方法でよい。 【００１５】例えば、従来公知の昇華転写方法に使用さ
れている昇華転写シート、即ち、紙やプラスチックフイ
ルム、シート等の支持体の表面に加熱によって昇華し得
る染料を任意のバインダー樹脂で担持させたものを、カ
ード基体表面２に重ね合わせ、昇華転写シートの裏面か
らパターン状の加熱を行って、カード基体表面２中に染
料を移行させることによって容易に形成することが出来
る。 【００１６】この様な昇華転写方法自体は従来公知であ
るが、本発明ではこの様な方法をカード類１０の画像４
であるカラー顔写真入り画像の形成に使用したことを特
徴とし、それ故に従来公知の欠点が解決された。即ち、
本発明によれば、上記の如くして形成したカラー顔写真
入り画像４は、カード基体表面２中に染着している為
に、カード基体表面２を盛り上がらせたり、或はその後
に表面保護層３を形成しても、その表面が盛り上がるこ
ともなく、又、表面保護層３との層間剥離をも生じな
い。 【００１７】上記の如きカラー顔写真入り画像４を形成
する為の昇華性染料としては、従来技術で使用されてい
る昇華性染料を、本発明においていずれもそのまま使用
することが出来る。 【００１８】しかしながら、本発明者の詳細な研究によ
れば、従来公知の昇華性染料はその昇華転写の速度を十
分にする為に、一般に１５０〜３００程度の分子量のも
のを使用しているが、この様な分子量の染料を使用した
場合には、その分子量が小なるが故に、転写後にその染
料がカード基体表面２中で移動したり、表面にブリード
したりする欠点もみられた。 【００１９】本発明では、この様な欠点を４００〜８０
０程度の比較的高い分子量の昇華性染料を使用すること
によって解決した。この様な比較的高い分子量の昇華性
染料は、通常の使用方法では、転写速度が低く、実用性
は低いが、本発明において、カラー顔写真入り画像４の
形成にあたり、ポリ塩化ビニルからなるカード基体１
を、例えば、４０〜１００℃程度、好ましくは５０〜８
０℃程度に昇温させて、昇華転写シートと重ね、以下従
来技術と同様に昇華転写を行うときは、この様な比較的
高分子量の染料を用いても十分な速度で昇華転写が行わ
れ、その結果カード基体表面２中に移行した染料は、そ
の高い分子量の為にカード基体表面２中で移動したり、
表面にブリードしたりすることがなく、十分な堅牢性を
示すことを知見した。 【００２０】以上の如く比較的高い分子量の染料を使用
し、且つ被転写材であるポリ塩化ビニルからなるカード
基体表面２をある程度の温度に昇温させるときは、場合
によっては昇華転写シートとカード基体表面２とが粘着
することがあるが、本発明においてはこの様なカード基
体表面２の形成にあたり、カード基体表面２中に離型性
の良い化合物、例えば、シリコーン化合物等の離型剤を
包含させておくか、或はカード基体表面２に離型剤から
なる０．０１〜５μｍ程度の層を形成しておくことによ
って、上記の粘着の問題を避けることが出来、昇華転写
時のカード基体表面２の温度を更に上昇、例えば、１０
０℃以上にもすることが出来、より優れた昇華転写速度
を達成することが出来る。 【００２１】本発明の最も好ましい態様は、カード類１
０の画像４がカラー顔写真入り画像である場合であり、
この様なカラー顔写真は、シアン、イエロー、マゼン
タ、更に必要に応じてブラックの昇華転写シートを用意
して、原稿のカラー顔写真から色分解した電気信号に従
い、それぞれ昇華転写を行うことにより、カード基体表
面２にフルカラーの顔写真を形成することが出来るの
で、前述の如き従来技術における顔写真の貼着の問題が
解決された。 【００２２】以上の如き昇華転写は、ポリ塩化ビニルか
らなるカード基体１の表面に直接行うことが出来る。以
上の如くして本発明のカラー顔写真入りカード類１０が
得られるが、本発明においては図示する通り、更にその
カード基体表面２の上に透明なプラスチック層を保護層
３として形成することが好ましい。 【００２３】この様な保護層３の形成は、プラスチック
の溶液からコーティング方法、転写方法等、任意の方法
で形成してもよいし、又、例えば、カード全体を包み込
む様にしてプラスチックフイルムをラミネートしてもよ
い。この様な保護層３が昇華性染料で染着可能なプラス
チック材料であるときは、上述の本発明の好ましい態
様、即ち、比較的高分子量の染料を使用することが有利
である。 【００２４】即ち、従来技術の如き比較的低分子量の染
料を使用した場合には、これらの染料が長い時間の間に
は保護層３にも移行する虞があったが、本発明の好まし
い実施態様ではこの様な虞も十分に解決されている。 【００２５】 【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。 実施例１ 厚み１００μｍの軟質塩化ビニル樹脂フイルムを７０〜
９０℃に加熱し、その上に、シアンの昇華性染料（分子
量が４００以上）をバインダー樹脂で担持させた昇華転
写シートを重ね、カラー顔写真を色分解して得たシアン
成分の電気信号に連結したサーマルヘッドで熱エネルギ
ーを付与し、シアン画像を得た。次いでマゼンタの昇華
性染料（分子量は４００以上）を用いた昇華転写シート
及びイエローの昇華性染料（分子量は４００以上）を用
いた昇華転写シートにより同様にして昇華転写を行い、
フルカラーの顔写真とその他の文字図形からなるカラー
顔写真入り画像を形成した。 【００２６】このカラー顔写真入り画像を有するフイル
ムを厚さ約５０μｍの白色不透明の硬質塩化ビニル樹脂
シートからなるシートに重ね、更にその上に厚さ約１０
０μｍのポリエステルフイルムからなる保護層を重ね、
熱圧縮させて一体として本発明のカラー顔写真入りカー
ドを得た。このカラー顔写真入りカードの表面は、全体
的に平滑であり、画像部分に何らの盛り上がりもなかっ
た。更にこのカラー顔写真入りカードの画像は、４０℃
の雰囲気に３ケ月保持した促進試験においても、画像の
乱れや層間剥離は全く生じなかった。 【００２７】実施例２ 実施例１における保護層用として厚さ１００μｍの透明
軟質塩化ビニル樹脂フイルムを使用して、その他は実施
例１と同様にして本発明のカラー顔写真入りカード得
た。このカラー顔写真入りカードも、実施例１における
と同様な優れた品質を示した。 【００２８】 【効果】以上の如き本発明によれば、本発明を、身分証
明書、運転免許書、パスポート、キャッシュカード、テ
レホンカード、診察カード、レーザーカード、定期券、
回数券、Ｉ．Ｃ．カード等の如き各種カード類１０に適
用することによって従来技術の種々の欠点、例えば、顔
写真の貼着における欠点等が解決された。
免許証、定期券、キャッシュカード、ＩＣカード等を包
含するカラー顔写真入りカード類の製造方法に関する。 【０００２】 【従来の技術】従来、身分証明書、運転免許証の加く、
携帯するのが普通であるカード状記録物には、必要な証
明事項、年月日、顔写真、サイン等の各種画像が付され
ており、これらの各種画像は、それらが文字や数字であ
る場合には、タイプ、通常の印刷、エンボス処理等が一
般的であり、又、顔写真の場合は、小型の顔写真を貼着
したものが一般的である。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】上記の如き各種のカー
ド類において、カードの表示部は、その取扱い時の摩擦
や衝撃により、画像が汚れたり不鮮明になるのを防止す
る為に、一般に表示面にオーバーコート層を形成した
り、透明フイルムをラミネートして表示画像を保護して
いる。 【０００４】しかしながら、例えば、顔写真を表示面に
付する場合には、別に撮影した適当な寸法の顔写真があ
る程度の厚みを有している為に、そのまま貼着して表面
ラミネートを施すと、その部分のみが盛り上って全体と
して不体裁となる。その為に従来は、顔写真のゼラチン
部分のみを剥して厚みを薄くして貼着しているが、これ
ははなはだ煩雑である。この様にしてもその部分のある
程度の盛り上がりは避けられない。 【０００５】又、表示面像が印刷によるときは、タイプ
等の簡単な文字はともかく、複雑な多色画像の場合に
は、その為の印刷設備費が大であり、枚数の少ないカー
ド類には経済的に合わないという問題がある。更にこの
様な多色画像の場合には、使用する印刷インキが不適当
であると、その上に設ける保護層との間の層間剥離の原
因ともなっている。 【０００６】尚、特開昭５９−１１５３７号公報には、
昇華性着色剤を用いた転写シートを使用してカードに画
像を形成する方法が記載されているが、この方法で使用
する転写シートは、適当な基材シートに、３色或はそれ
以上の色の染料インキを用意し、これらのインキによっ
て多色刷り印刷機によって画像を形成したものである。
この方法では３版以上のグラビア版の作成が必要であ
り、同一の画像を数千〜数万枚以上転写形成する場合に
は有利であるが、カードの顔写真の如く、カード毎に別
の画像を形成する場合には全く実用性がなく、この方法
では本発明の目的は全く達成されない。 【０００７】又、公知技術として、特開昭５２−１１４
３３４号公報には、定期券発行に際して、昇華転写捺染
紙と感熱記録ヘッドを用いて定期券に情報を印字するこ
とが開示されている。しかしながら、この公報には、そ
の図面からしても定期券にカラー顔写真の如く、多色の
画像を形成することを示唆する記載もなく、又、本発明
における顔写真の貼着における従来技術の解決すべき課
題も、その解決手段を示唆する記載も全く存在していな
い。勿論、この公知文献から示唆される内容は、昇華性
染料で形成される情報が文字や記号等であることであ
る。 【０００８】本発明者は、上記の如き従来技術の欠点を
解決すべく鋭意研究の結果、上記の如きカード類のカラ
ー顔写真入り画像を昇華転写方法で昇華性染料から形成
した場合には、上記の如き種々の問題が解決されること
を知見して本発明を完成した。 【０００９】 【課題を解決する為の手段】即ち、本発明は、携帯して
使用するための身分証明書等を包含するカード類であっ
て、該カード類を、昇華性染料で染着可能なポリ塩化ビ
ニルを基体とし、その表面にカラー顔写真入り画像を形
成する方法において、原稿を色分解した信号に従い、昇
華転写シートから、シアン、イエロー、マゼンタの少な
くとも３色の昇華染料を上記の基体表面に転写させ、該
基体表面を該昇華染料で染着することにより、カラー顔
写真入り画像を形成し、その後、表面保護層を該カラー
顔写真入り画像上に形成するカラー顔写真入りカード類
の製造方法であって、前記基体は少なくともその表面が
軟質塩化ビニルであることを特徴とするカラー顔写真入
りカード類の製造方法である。 【００１０】本発明によれば、カード類のカラー顔写真
入り画像を昇華転写方法で昇華性染料から形成すること
によって、形成されたカラー顔写真入り画像は、カード
基体表面中に染着している為に、カード基体表面を盛り
上がらせたり、或はその後に表面保護層を形成しても、
その表面が盛り上がることもなく、又、表面保護層との
層間剥離をも生じない。 【００１１】 【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を挙げて
本発明を更に具体的に説明する。本発明において云うカ
ード類とは、名刺、ネームプレート等の身分証明書、運
転免許証、パスポート、葉書、キャッシュカード、テレ
ホンカード、診察カード、レーザーカード、定期券、回
数券、ＩＣカード等の如く、一般に手札程度の大きさ
で、且つ多くの場合携帯して使用するものであり、本発
明において最も有効なものは特にカラー顔写真を付した
ものである。 【００１２】次に、本発明を本発明の一実施例を示す添
付図面に従って更に具体的に説明する。図１は、本発明
によるカラー顔写真入りカード類１０の正面図であり、
図２は、そのＡ−Ａ矢視断面図であり、図中の１はカー
ド基体を、２はカード基体表面を、３は表面保護層を、
そして４はカラー顔写真入り画像を示している。本発明
のカラー顔写真入りカード類１０は添付図面に例示する
通り、そのカード基体表面２のカラー顔写真入り画像４
が、原稿を色分解した信号に従い、シアン、イエロー、
マゼンタの少なくとも３色の昇華転写シートからサーマ
ルヘッドで昇華転写された昇華性染料からなるカラー顔
写真入り画像であることを特徴としており、その特徴に
よって前述の種々の従来技術の問題点が解決された。 【００１３】本発明においてカード基体１として使用し
得る材料は、昇華性染料で染着可能なポリ塩化ビニルで
ある。これらのカード基体１は、一般に厚さが０．６８
〜０．８０ｍｍ程度で、サイズが１１〜８×８〜５ｃｍ
程度である。 【００１４】本発明のカラー顔写真入りカード類１０の
特徴は、上記の如きカード基体表面２に表示されたカラ
ー顔写真入り画像４の全部或は１部が、前記の様に昇華
性染料から形成されていることを特徴としており、この
様な画像４の形成は従来公知の方法でよい。 【００１５】例えば、従来公知の昇華転写方法に使用さ
れている昇華転写シート、即ち、紙やプラスチックフイ
ルム、シート等の支持体の表面に加熱によって昇華し得
る染料を任意のバインダー樹脂で担持させたものを、カ
ード基体表面２に重ね合わせ、昇華転写シートの裏面か
らパターン状の加熱を行って、カード基体表面２中に染
料を移行させることによって容易に形成することが出来
る。 【００１６】この様な昇華転写方法自体は従来公知であ
るが、本発明ではこの様な方法をカード類１０の画像４
であるカラー顔写真入り画像の形成に使用したことを特
徴とし、それ故に従来公知の欠点が解決された。即ち、
本発明によれば、上記の如くして形成したカラー顔写真
入り画像４は、カード基体表面２中に染着している為
に、カード基体表面２を盛り上がらせたり、或はその後
に表面保護層３を形成しても、その表面が盛り上がるこ
ともなく、又、表面保護層３との層間剥離をも生じな
い。 【００１７】上記の如きカラー顔写真入り画像４を形成
する為の昇華性染料としては、従来技術で使用されてい
る昇華性染料を、本発明においていずれもそのまま使用
することが出来る。 【００１８】しかしながら、本発明者の詳細な研究によ
れば、従来公知の昇華性染料はその昇華転写の速度を十
分にする為に、一般に１５０〜３００程度の分子量のも
のを使用しているが、この様な分子量の染料を使用した
場合には、その分子量が小なるが故に、転写後にその染
料がカード基体表面２中で移動したり、表面にブリード
したりする欠点もみられた。 【００１９】本発明では、この様な欠点を４００〜８０
０程度の比較的高い分子量の昇華性染料を使用すること
によって解決した。この様な比較的高い分子量の昇華性
染料は、通常の使用方法では、転写速度が低く、実用性
は低いが、本発明において、カラー顔写真入り画像４の
形成にあたり、ポリ塩化ビニルからなるカード基体１
を、例えば、４０〜１００℃程度、好ましくは５０〜８
０℃程度に昇温させて、昇華転写シートと重ね、以下従
来技術と同様に昇華転写を行うときは、この様な比較的
高分子量の染料を用いても十分な速度で昇華転写が行わ
れ、その結果カード基体表面２中に移行した染料は、そ
の高い分子量の為にカード基体表面２中で移動したり、
表面にブリードしたりすることがなく、十分な堅牢性を
示すことを知見した。 【００２０】以上の如く比較的高い分子量の染料を使用
し、且つ被転写材であるポリ塩化ビニルからなるカード
基体表面２をある程度の温度に昇温させるときは、場合
によっては昇華転写シートとカード基体表面２とが粘着
することがあるが、本発明においてはこの様なカード基
体表面２の形成にあたり、カード基体表面２中に離型性
の良い化合物、例えば、シリコーン化合物等の離型剤を
包含させておくか、或はカード基体表面２に離型剤から
なる０．０１〜５μｍ程度の層を形成しておくことによ
って、上記の粘着の問題を避けることが出来、昇華転写
時のカード基体表面２の温度を更に上昇、例えば、１０
０℃以上にもすることが出来、より優れた昇華転写速度
を達成することが出来る。 【００２１】本発明の最も好ましい態様は、カード類１
０の画像４がカラー顔写真入り画像である場合であり、
この様なカラー顔写真は、シアン、イエロー、マゼン
タ、更に必要に応じてブラックの昇華転写シートを用意
して、原稿のカラー顔写真から色分解した電気信号に従
い、それぞれ昇華転写を行うことにより、カード基体表
面２にフルカラーの顔写真を形成することが出来るの
で、前述の如き従来技術における顔写真の貼着の問題が
解決された。 【００２２】以上の如き昇華転写は、ポリ塩化ビニルか
らなるカード基体１の表面に直接行うことが出来る。以
上の如くして本発明のカラー顔写真入りカード類１０が
得られるが、本発明においては図示する通り、更にその
カード基体表面２の上に透明なプラスチック層を保護層
３として形成することが好ましい。 【００２３】この様な保護層３の形成は、プラスチック
の溶液からコーティング方法、転写方法等、任意の方法
で形成してもよいし、又、例えば、カード全体を包み込
む様にしてプラスチックフイルムをラミネートしてもよ
い。この様な保護層３が昇華性染料で染着可能なプラス
チック材料であるときは、上述の本発明の好ましい態
様、即ち、比較的高分子量の染料を使用することが有利
である。 【００２４】即ち、従来技術の如き比較的低分子量の染
料を使用した場合には、これらの染料が長い時間の間に
は保護層３にも移行する虞があったが、本発明の好まし
い実施態様ではこの様な虞も十分に解決されている。 【００２５】 【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。 実施例１ 厚み１００μｍの軟質塩化ビニル樹脂フイルムを７０〜
９０℃に加熱し、その上に、シアンの昇華性染料（分子
量が４００以上）をバインダー樹脂で担持させた昇華転
写シートを重ね、カラー顔写真を色分解して得たシアン
成分の電気信号に連結したサーマルヘッドで熱エネルギ
ーを付与し、シアン画像を得た。次いでマゼンタの昇華
性染料（分子量は４００以上）を用いた昇華転写シート
及びイエローの昇華性染料（分子量は４００以上）を用
いた昇華転写シートにより同様にして昇華転写を行い、
フルカラーの顔写真とその他の文字図形からなるカラー
顔写真入り画像を形成した。 【００２６】このカラー顔写真入り画像を有するフイル
ムを厚さ約５０μｍの白色不透明の硬質塩化ビニル樹脂
シートからなるシートに重ね、更にその上に厚さ約１０
０μｍのポリエステルフイルムからなる保護層を重ね、
熱圧縮させて一体として本発明のカラー顔写真入りカー
ドを得た。このカラー顔写真入りカードの表面は、全体
的に平滑であり、画像部分に何らの盛り上がりもなかっ
た。更にこのカラー顔写真入りカードの画像は、４０℃
の雰囲気に３ケ月保持した促進試験においても、画像の
乱れや層間剥離は全く生じなかった。 【００２７】実施例２ 実施例１における保護層用として厚さ１００μｍの透明
軟質塩化ビニル樹脂フイルムを使用して、その他は実施
例１と同様にして本発明のカラー顔写真入りカード得
た。このカラー顔写真入りカードも、実施例１における
と同様な優れた品質を示した。 【００２８】 【効果】以上の如き本発明によれば、本発明を、身分証
明書、運転免許書、パスポート、キャッシュカード、テ
レホンカード、診察カード、レーザーカード、定期券、
回数券、Ｉ．Ｃ．カード等の如き各種カード類１０に適
用することによって従来技術の種々の欠点、例えば、顔
写真の貼着における欠点等が解決された。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明のカラー顔写真入りカードの平面図。
【図２】 本発明のカラー顔写真入りカードの断面。
【符号の説明】
１：カード基体
２：カード基体表面
３：保護層
４：画像
１０：カラー顔写真入りカード
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(56)参考文献 特開 昭52−143107（ＪＰ，Ａ)
特開 昭50−11521（ＪＰ，Ａ)
特開 昭57−169370（ＪＰ，Ａ)
特開 昭59−150796（ＪＰ，Ａ)
特開 昭51−22412（ＪＰ，Ａ)
特開 昭60−31565（ＪＰ，Ａ)
特開 昭60−25793（ＪＰ，Ａ)
特公 昭51−19470（ＪＰ，Ｂ２)
特公 昭55−49997（ＪＰ，Ｂ２)
特公 昭49−7451（ＪＰ，Ｂ１)
「画像電子学会誌第46号」昭和58年４
月25日発行、画像電子学会、第19〜20頁
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 １．携帯して使用するための身分証明書等を包含するカ
ード類であって、該カード類を、昇華性染料で染着可能
なポリ塩化ビニルを基体とし、その表面にカラー顔写真
入り画像を形成する方法において、原稿を色分解した信
号に従い、昇華転写シートから、シアン、イエロー、マ
ゼンタの少なくとも３色の昇華染料を上記の基体表面に
転写させ、該基体表面を該昇華染料で染着することによ
り、カラー顔写真入り画像を形成し、その後、表面保護
層を該カラー顔写真入り画像上に形成するカラー顔写真
入りカード類の製造方法であって、前記基体は少なくと
もその表面が軟質塩化ビニルであることを特徴とするカ
ラー顔写真入りカード類の製造方法。 ２．昇華性染料が、４００〜８００の分子量を有する請
求項１に記載のカラー顔写真入りカード類の製造方法。 ３．基体表面が、離型剤を含有する請求項１に記載のカ
ラー顔写真入りカード類の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3299542A JP2880339B2 (ja) | 1991-10-21 | 1991-10-21 | カラー顔写真入りカード類の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3299542A JP2880339B2 (ja) | 1991-10-21 | 1991-10-21 | カラー顔写真入りカード類の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0577459A JPH0577459A (ja) | 1993-03-30 |
| JP2880339B2 true JP2880339B2 (ja) | 1999-04-05 |
Family
ID=17873965
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3299542A Expired - Lifetime JP2880339B2 (ja) | 1991-10-21 | 1991-10-21 | カラー顔写真入りカード類の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2880339B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2005014303A (ja) * | 2003-06-24 | 2005-01-20 | Sony Chem Corp | 昇華性熱転写記録媒体及びこれを用いた熱転写記録方法 |
Family Cites Families (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS52143107A (en) * | 1976-05-21 | 1977-11-29 | Mitsubishi Electric Corp | Method of forming pictures on card boards |
| JPS57169370A (en) * | 1981-04-10 | 1982-10-19 | Toshiba Corp | Heat transfer recorder |
| JPS6025793A (ja) * | 1983-07-25 | 1985-02-08 | Dainippon Printing Co Ltd | 被熱転写シ−ト |
| JPS6031565A (ja) * | 1983-07-28 | 1985-02-18 | Mitsubishi Chem Ind Ltd | 感熱転写記録用モノアゾ系色素 |
-
1991
- 1991-10-21 JP JP3299542A patent/JP2880339B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
| Title |
|---|
| 「画像電子学会誌第４６号」昭和５８年４月２５日発行、画像電子学会、第１９〜２０頁 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0577459A (ja) | 1993-03-30 |
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Legal Events
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|---|---|---|---|
| EXPY | Cancellation because of completion of term |