JP2879227B2 - プッシュプルインバータ - Google Patents

プッシュプルインバータ

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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、例えば、冷陰極放電管や熱陰極放電管な
どのドライバーとして利用するところのプッシュプルイ
ンバータに関する。
「従来の技術」 第6図は螢光管11のドライバーとして構成されている
プッシュプルインバータ回路の従来例を示す。
このインバータ回路は、昇圧用トランス12、スイッチ
ング動作用のトランジスタ13、14、共振回路用のコンデ
ンサ15、チョークコイル16などによって構成されたプッ
シュプル回路となっている。
このプッシュプル回路は、電源スイッチ17を開成する
と、給電用スイッチとして働くトランジスタ18がONし、
DC電源19より直流電力が供給される。
これより、抵抗20を通ってトランジスタ13に、また、
抵抗21を通ってトランジスタ14に各々ベース電流が流れ
込む。このため、これらトランジスタ13、14が共に導通
する方向に移行するが、トランジスタ特性や回路構成上
いずれか一方のトランジスタが大きく導通状態に進み、
このトランジスタが先にONする。
例えば、トランジスタ13が先にONした場合、DC電源19
より送られる電流がチョークコイル16を通ってトランス
12の一次コイル12Pに流れ、この一次コイル12Pには図示
実線向きの電圧が発生し、トランジスタ14のコレクタ電
位に比べトランジスタ13のコレクタ電位が低くなる。
また、三次コイル12Fには図示実線向きの電圧が発生
するため、トランジスタ13のベースに正帰還がかかり、
コレクタ電流が急速に増加する。このとき、二次コイル
12Sには図示実線向きの誘導電圧が発生し、螢光管11の
点灯を開始させる。
トランジスタ13の電流増加はベース電流と増幅度とに
よって定まる飽和点に達した時点で抑制されるから、そ
の電流増加が少なくなるに連れてトランス12の一次コイ
ル12Pには図示点線向きの電圧が発生し、トランジスタ1
3がONからOFF、トランジスタ14がOFFからONに切換わ
る。
この結果、三次コイル12Fに発生した図示点線向きの
電圧によってトランジスタ14のベースに正帰還がかか
り、二次コイル12Sには図示点線向きの誘導電圧が発生
し、螢光管11の点灯を継続させる。
以後はトランジスタ13,14が同様に交互にONを繰返
し、二次コイル12Sに高い交流電圧を発生させる。
なお、トランス12の一次コイル12Pはコンデンサ15と
共に共振回路を形成しており、この共振回路の共振電圧
によって二次コイル12Sの出力電圧と出力電流が第7図
に示す交流電圧V7と交流電流I7のようになり、また、
螢光管11に加わる負荷電圧V8と負荷電流I8が第8図に
示すようになる。
その他、第6図に示した参照符号22は電源電圧安定用
のコンデンサ、23は安定動作のためのコンデンサであ
る。
「発明が解決しようとする課題」 上記したインバータ回路を構成する場合、トランス12
には帰還用の三次コイル12Fを設けなければならない。
したがって、この三次コイル12Fを巻線する工程やこ
のコイル端部の半田付け工程などが増え、トランス生産
能率を高める上に必ずしも好ましくない。
また、上記のような三次コイル12Fを設けると、この
コイル用の端子ピンが必要となるため、トランス12の小
形化に問題となる。
具体的には、上記したトランス12では、一次コイル12
Pの3本の端子ピン、二次コイル12Sの2本の端子ピン、
三次コイル12Fの2本の端子ピンを要し、端子ピン合計
が7本となる。
そして、二次コイル12Sの高電圧側となる端子ピン
は、他の端子ピンと離す関係で、この高電圧用の端子ピ
ンをコイルが巻装されるボビンの一方の鍔に、他の端子
ピンを他方の鍔に固着するようになる。つまり、ボビン
の他方の鍔には6本の端子ピンを適当な間隔をおいて固
着することになり、この結果、ボビン形態が大きくな
り、トランスの小形化が困難となる。
一方、上記したインバータ回路では、トランス12の一
次コイル12Pに共振回路用のコンデンサ15を設けなけれ
ばならない。そのため、共振回路の共振電流によってDC
電源19からの入力電流が増すと共に、トランス12の発熱
が多くなる。この発熱の問題はトランス形態を小形化す
る程大きく影響する。
本発明は上記した実情にかんがみ、帰還用の三次コイ
ルが省略できるトランスとし、また、必要に応じて共振
回路用のコンデンサが省略できるプッシュプル回路を用
いたインバータを開発することを目的とする。
「課題を解決するための手段」 上記した目的を達成するため、本発明では、中間タッ
プを有する一次コイル、負荷接続される二次コイルを備
えたトランスと、中間タップよりー方側の一次コイルと
その他方側の一次コイルに流れる電流を交互に断続させ
る制御極付の第1、第2スイッチング素子とを備えたプ
ッシュプルインバータにおいて、第1スイッチング素子
の制御極と第2スイッチング素子の制御極とを接続する
コンデンサを設けると共に、このコンデンサに負荷電流
が回り込む回路接続として第1、第2スイッチング素子
を交互に動作させる構成としたことを特徴とするプッシ
ュプルインバータを提案する。
「作用」 上記インバータは、負荷に流れる交番電流が第1、第
2スイッチング素子の制御極に流れ、これらスイッチン
グ素子が交互に動作する。
このスイッチング動作によって、中間タップより一方
側の一次コイルとその他方側の一次コイルに交互に入力
電流が流れ、二次コイルにはほぼ交流波形の出力電圧が
現われる。
また、トランスの一次コイルにコンデンサを並列に接
続すれば、出力電圧が一層交流電圧に近ずいたものとな
る。
「実施例」 次に、本発明の一実施例について図面に沿って説明す
る。
第1図に示すプッシュプルインバータ回路では一次コ
イル30P、二次コイル30Sを有する昇圧用トランス30が使
用してある。
このトランス30は二次コイル30Sの一端をコンデンサ2
3を介して螢光管11の一方の電極に、その他端をトラン
ジスタ13のベースに各々接続してある。
そして、螢光管11の他の電極はトランジスタ14のベー
スに接続し、さらに、トランジスタ13,14の各々のベー
ス〜エミッタ間にバイアス用コンデンサ31,32を接続し
た構成となっている。
二点鎖線で示した共振回路用のコンデンサ33は、必要
に応じて設けるもので、必ずしも備えなくともよい。
その他は第6図に示した従来例と同構成であるので、
同じ回路部品には同符号が付してある。
上記したインバータ回路は電源スイッチ17を閉成して
従来例同様に発振始動させる。
電源スイッチ17の閉成によってトランジスタが先にON
すると、トランス30の一次コイル30Pに発生する図示実
線向きの電圧にしたがい、二次コイル30Sには図示実線
向きの出力電圧が発生し、螢光管11を発光始動させる。
ここで、螢光管11を流れる負荷電流が、螢光管11、コ
ンデンサ32、31、二次コイル30S、コンデンサ23、螢光
管11の経路を通って流れるため、コンデンサ31、32が図
示極性に充電され、充電々圧が所定値に達したとき、ト
ランジスタ13がONからOFF、トランジスタ14がOFFからON
に切換わる。
この結果、トランス30の一次コイル30Pに発生する図
示点線向きの電圧にしたがい、二次コイル30Sには図示
点線向きの出力電圧が発生し、螢光管11の発光が継続す
る。
また、このとき、螢光管11を流れる負荷電流は上記と
は逆方向に流れるため、コンデンサ31、32が図示極性と
は反対方向に充電され、これらの充電々圧が所定値にな
ったとき、トランジスタ13がON、トランジスタ14がOFF
に切換わる。
以後は同様に螢光管11を流れる負荷電流にしたがって
トランジスタ13、14が交互にONを繰返し発振動作を継続
する。
第2図は共振回路用のコンデンサ33を設けないときの
トランス30の出力電圧V2と出力電流I2を示す波形図で
ある。
図示するように、第7図に示した従来例のインバータ
出力電圧V7に比べて多少歪んだ交流電圧波形となる
が、螢光管11の発光には実用上問題とならない。
第3図は上記出力電圧V2によって螢光管11に加わる
負荷電圧V3と負荷電流I3とを示す波形図である。
この図に示したパルス状の負荷電流I3がバイアス用
のコンデンサ31、32を充電するように流れることにな
る。
第4図は共振回路用のコンデンサ33を取付けたときの
トランス30の出力電圧V4と出力電流I4とを示す波形図
である。
図示する如く、電圧波形が改善され第7図に示した従
来例のインバータ出力電圧V7とほぼ同様の交流電圧と
なる。
第5図は上記した出力電圧V4によって螢光管11に加
わる負荷電圧V5と負荷電流I5とを示した波形図であ
る。
次に、上記したインバータ回路の実験結果について下
記に第1表として示す。
この実験では、DC電源12V、負荷電圧217.5V、周囲温
度20℃とし、また、トランス30は中間タップの一方側の
一次コイルとその他方側の一次コイルとの各々に25ター
ン(φ0.16)二次コイルに1500ターン(φ0.04)の巻線
を施したものを使用した。
また、この実験においてトランス30の温度について測
定したところ、コンデンサ33を設けない場合、一次コイ
ル温度9.7℃、二次コイル温度10.1℃上昇するに対し、
コンデンサ33を設けた場合は、一次コイル温度20.6℃、
二次コイル温度18.4℃上昇し、共振回路用のコンデンサ
33を設けないときにはトランスの温度上昇が約半減する
ことが確認された。
さらに、発振周波数については、コンデンサ33を設け
ないとき62KHz、このコンデンサ33を設けたとき26KHzと
なり、従来例のように帰還用の三次コイルを設けると42
KHzとなることが確認された。
なお、本発明の実施に際しては、バイアス用コンデン
サ31、32に換えて、トランジスタ13、14のベース間を一
つのコンデンサを用いて接続する構成としてもよい。
「発明の効果」 上記した通り、本発明に係るプッシュプルインバータ
ではトランスに帰還用の三次コイルを設ける必要がない
ので、トランス生産能率を高め得ると共に、この三次コ
イル用の端子ピンが省略できるためトランス形態の小形
設計に極めて有利となる。また、本発明のプッシュプル
インバータでは、トランスの一次コイルに並列接続して
共振回路を形成するコンデンサが省略できる結果、トラ
ンスの発熱が極めて少なく、効率の高いインバータとな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示すプッシュプルインバー
タの回路図、第2図は共振回路用のコンデンサを設けな
いときの出力電圧と出力電流を示す波形図、第3図は共
振回路用のコンデンサを設けないときの螢光管に加わる
負荷電圧と負荷電流を示した波形図、第4図は共振回路
用のコンデンサを設けたときの出力電圧と出力電流を示
す波形図、第5図は共振回路用のコンデンサを設けたと
きの螢光管に加わる負荷電圧と負荷電流を示す波形図、
第6図は従来例として示したプッシュプルインバータの
回路図、第7図は上記従来例のプッシュプルインバータ
における出力電圧と出力電流を示す波形図、第8図は上
記従来例のプッシュプルインバータによって螢光管に加
わる負荷電圧と負荷電流を示す波形図である。 11……螢光管 13、14……トランジスタ 16……チョークコイル 19……DC電源 30……トランス 31、32……バイアス用コンデンサ 33……共振回路用コンデンサ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中間タップを有する一次コイル、負荷接続
    される二次コイルを備えたトランスと、中間タップより
    一方側の一次コイルとその他方側の一次コイルに流れる
    電流を交互に断続させる制御極付の第1、第2スイッチ
    ング素子とを備えたプッシュプルインバータにおいて、
    第1スイッチング素子の制御極と第2スイッチング素子
    の制御極とを接続するコンデンサを設けると共に、この
    コンデンサに負荷電流が回り込む回路接続として第1、
    第2スイッチング素子を交互に動作させる構成としたこ
    とを特徴とするプッシュプルインバータ。
  2. 【請求項2】トランスの一次コイルに共振回路用のコン
    デンサを並列に接続したことを特徴とする請求項第
    (1)項記載のプッシュプルインバータ。
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