JP2879137B2 - ベローズ式定量ポンプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば薬液や純水など
のように、滞留のない定量移送が望まれる流体の移送に
用いられるベローズ式定量ポンプに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種のベローズ式定量ポンプとして、
従来、実公昭６１−３５７５０号公報に開示されたもの
が知られている。図３は、上記公報に開示されている従
来のベローズ式定量ポンプの要部の構造を示すものであ
り、被移送流体の吸入孔３０および吐出孔３１が形成さ
れたポンプボディ３２に円柱状の突出部３３を形成し、
この円柱状突出部３３の内部中心軸線上に、一端が上記
吸入孔３０に連通しかつ他端が円柱状突出部３３の先端
部端面で開口する流通孔３４が形成されているととも
に、上記吐出孔３１が、上記円柱状突出部３３の外周に
配置されたベローズ３５の内周と該円柱状突出部３３の
外周面との間の環状隙間３６の内端位置で上記円柱状突
出部３３の基端部周囲を囲むようにしてポンプボディ３
２の一側面に形成された環状溝３７に開口接続されてい
る。

【０００３】つぎに、上記構成の従来のベローズ式定量
ポンプによる流体移送動作について説明する。往復駆動
装置を介してベローズ３５を伸縮動作させることによ
り、その伸張時には、流通孔３４が開口してベローズ３
５の内部空間が負圧になることから、被移送流体が吸入
孔３０、流通孔３４を経て上記環状隙間３６内に一定量
吸入され、かつ収縮時には、上記流通孔３４が閉塞され
ることから、環状隙間３６内に吸入された被移送流体は
ベローズ３５により加圧されて、環状溝３７から吐出孔
３１内に押し出され外方へ吐出されるといったように、
被移送流体が間欠的に定量毎移送される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記したような構成の
従来のベローズ式定量ポンプは、ベローズ３５とポンプ
ボディ３２の円柱状突出部３３との間の空間（環状隙間
３６）体積が大きいだけでなく、ベローズ３５の収縮に
ともない、その環状隙間３６内に吸入され貯溜されてい
る被移送流体が環状溝３７を経て単一の吐出孔３１に集
合する状態で吐出されるといったように、円柱状突出部
３３の基端部に流動性、置換性の悪い箇所が発生する形
態であるために、被移送流体の一部が残留しやすくな
る。つまり、流体溜りの多いポンプ構造になっており、
これによって、定量値の実吐出量が確保されたとして
も、被移送流体の一部分がポンプ内部に長期間に亘り滞
留する欠点があった。特に薬液のような品質劣化しやす
い流体の移送にとっては品質保持の面からも好ましくな
いという問題があった。

【０００５】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、簡単な構成で被移送流体の正確な定量移送ができ、
かつポンプ内部の流体溜りがなく、被移送流体の品質を
良好に保持することができるベローズ式定量ポンプを提
供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るベローズ式定量ポンプは、断面円形状
の突出部を有するポンプであって、この円形状突出部の
基端部に開口させた被移送流体の吸入孔と、該吸入孔の
開口部から上記円形状突出部の先端部にかけて該突出部
の側面から径方向内側に向けて形成した溝状通路とを有
し、かつ上記円形状突出部にその先端部端面に開口させ
て被移送流体の吐出孔が形成されているポンプボディ
と、上記円形状突出部の外周に配置されて、その一端が
ポンプボディに固定されているとともに他端閉塞部が上
記円形状突出部の先端部端面に当接した圧縮端位置と上
記筒状突出部の先端部端面から離間した伸張端位置との
間に亘って伸縮移動するベローズと、このベローズに連
結されて該ベローズを伸縮動作させる往復駆動装置とを
具備し、上記ベローズの内径と上記突出部の外径とをほ
ぼ同径にしていることを特徴とするものである。

【０００７】

【作用】本発明によれば、被移送流体の吸入孔がポンプ
ボディに設けられた断面円形状突出部の基端部に開口さ
せた吸入孔と、該吸入孔の開口部から円形状突出部の先
端部にかけて該突出部の側面から径方向内側に向けて形
成した、例えば断面Ｕ字形の溝状通路とを介して被移送
流体が吸入され、かつ上記円形状突出部の先端部端面に
形成させた吐出孔から被移送流体が吐出される構成であ
るから、ベローズとポンプボディの一部である円形状突
出部との間の空間体積を従来に比べて大幅に減少して、
溝状通路以外はベロース内周面と円形状突出部外周面と
の間に被移送流体を介在させることなくポンプ機能が行
われることになり、被移送流体の吐出時に空間体積内に
流体滞留が全く生じないようにすることができ、正確な
定量の移送が確保されるとともに、流体の品質低下もな
くなる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面にもとづいて
説明する。図１は本発明の一実施例によるベローズ式定
量ポンプの縦断面図であり、同図において、１は円盤状
のポンプボディで、その軸線方向の一端には断面円形状
の突出部２が一体連設されており、この円形状突出部２
の外周面のうち、後述するベローズの可動部に対応する
先端側部分の外周面２ａは、軸方向に沿ってその先端部
側ほど小径となるテーパ面に形成され、かつ、ベローズ
の不動部に対応する基端側部分の外周面２ｂは軸方向に
沿ってストレートな円柱面に形成されている。

【０００９】３は被移送流体の吸入孔で、上記ポンプボ
ディ１の中心軸線に対して偏位した箇所に形成されてお
り（図２参照）、この吸入孔３の先端部は上記円形状突
出部２の基端部で開口されているとともに、その開口部
３ａから上記円形状突出部２の先端部端面２ｔにかけて
の円形状突出部２の側面には、図２に示すように、断面
略Ｕ字形の溝状通路４が上記吸入孔３に連通させて形成
されている。上記吸入孔３の基端部は、上記ポンプボデ
ィ１に螺合されたエルボ型継手本体５Ａの内側流路５ａ
の一端部にボール型逆止弁６Ａを介して接続されてい
る。また、上記エルボ型継手本体５Ａの内側流路５ａの
他端部には、樹脂製の被移送流体管７Ａの一端部内に圧
入されてその流体管７Ａを拡径させるインナリング８
Ａ、このインナリング８Ａにより拡径された流体管７Ａ
の端部を挿入するための筒状受口９Ａおよび上記継手本
体５Ａの一端部に螺合して上記インナリング８Ａを流体
管７Ａの外側から押圧して密封力を付与する押輪１０Ａ
からなる管継手１２Ａを介して被移送流体管７Ａが接続
されている。

【００１０】１１は被移送流体の吐出孔であって、上記
ポンプボディ１の中心軸線に対して上記吸入孔３とは反
対側に偏位した箇所に形成されており、この吐出孔１１
の先端部は上記円形状突出部２の先端部端面２ｔにおい
て開口しているとともに、該吐出孔１１の基端部は、上
記ポンプボディ１に螺合されたエルボ型継手本体５Ｂの
内側流路５ｂの一端部にボール型逆止弁６Ｂを介して接
続されている。また、上記エルボ型継手本体５Ｂの内側
流路５ｂの他端部には、上述した管継手１２Ａと同様な
構成をもつ管継手１２Ｂ、つまり、樹脂製の被移送流体
管７Ｂの一端部内に圧入されてその流体管７Ｂを拡径さ
せるインナリング８Ｂ、このインナリング８Ｂにより拡
径された流体管７Ｂの端部を挿入するための筒状受口９
Ｂおよび上記継手本体５Ｂの一端部に螺合して上記イン
ナリング８Ｂを流体管７Ｂの外側から押圧して密封力を
付与する押輪１０Ｂからなる管継手１２Ｂを介して被移
送流体管７Ｂが接続されている。

【００１１】１３はひだ１３ａを有するベローズであっ
て、上記円形状突出部２の外周に配置され、その一端部
が上記ポンプボディ１の一側面に当接されて固定板１４
を介して固定されているとともに、他端部にはベローズ
１３の伸縮に伴って上記円形状突出部２の先端部端面２
ｔに対して当接・離間する閉塞部１３ｂが設けられてい
る。１５は図示省略した流体シリンダなどの往復駆動装
置により軸線方向に往復移動される、例えばピストンな
どの往復動体であり、この往復動体１５の先端部に上記
ベローズ１３における閉塞部１３ｂの中央部が連結され
ており、上記往復動体１５の往復移動によりベローズ１
３が伸縮動作するようになされている。

【００１２】上記のような構成のベローズ式定量ポンプ
においては、往復駆動装置を介して往復動体１５を図１
の矢印Ｘ−Ｙ方向に往復移動させてベローズ３５を伸縮
動作させることにより、その伸張時には、閉塞部１３ｂ
が上記円形状突出部２の先端部端面２ｔから離間しＵ字
状溝状通路４の先端部が開口してベローズ１３の内部空
間が負圧になることから、一方の流体管７Ａ内の被移送
流体がエルボ型継手本体５Ａの内部流路５ａ、逆止弁６
Ａ、吸入孔３を経て溝状通路４および上記閉塞部１３ｂ
と上記円形状突出部２の先端部端面２ｔとの間の空間に
一定量吸入される。

【００１３】次に、ベローズ１３の収縮時には、上記閉
塞部１３ｂが上記円形状突出部２の先端部端面２ｔに次
第に接近移動して遂には円形状突出部２の先端部端面２
ｔに当接することになる。この間、上記空間内に吸入さ
れている被移送流体はベローズ１３により加圧されるこ
とになるために、その被移送流体は吐出孔１１内に押し
込まれ、その基端部から逆止弁６Ｂ、エルボ型継手本体
５Ｂの内部流路５ｂを経て他方の流体管７Ｂ内へ吐出さ
れる。このようにベローズ１３の伸縮動作に伴って一方
の流体管７Ａから他方の流体管７Ｂへ被移送流体が間欠
的に定量毎移送される。

【００１４】ところで、上記実施例のように、被移送流
体の吸入孔３がポンプボディ１の断面円形状突出部２の
基端部で開口し、その開口部３ａから円形状突出部２の
先端部までの該突出部２の側面に吸入孔３に連通する溝
状通路４が形成されているとともに、被移送流体の吐出
孔１１が円形状突出部２に形成されて、その端部が突出
部２の先端部端面２ｔに開口する構成であるから、ベロ
ーズ１３とポンプボディ１の一部である円形状突出部２
との間の空間が体積的に非常に少なくなって、流体溜り
が減少する。したがって、ベローズ１３の収縮に伴う吐
出時における被移送流体の流動性、置換性がよくなり、
流体滞留による実吐出量の低下がほとんどなくなって、
定量性が向上するとともに、流体の入れ替わり時間が短
縮されて品質低下も非常に少なくなる。

【００１５】また、ベローズ１３の伸縮動作時に該ベロ
ーズ１３の先端側が多少軸振れすることはよくある。こ
の場合、ベローズ１３の内径と突出部２の外径とはほぼ
同径にして、円柱状にしているが、そのうち、ベローズ
１３の可動部に対応する部分の外周面２ａを軸方向に沿
って先端部側ほど小径となるテーパ面に形成することに
よって、ベローズ１３の伸縮動作時に該ベローズ１３の
先端側が多少軸振れしても、その先端が突出部２の外周
面に引っ掛かるなどの動作障害の発生がなくなり、円滑
な伸縮動作を行なわせることが可能である。

【００１６】なお、上記実施例では、吸入孔３に連通さ
せて突出部２の側面に形成する溝状通路４を断面略Ｕ字
形としたものについて説明したが、例えばＶ字形などで
あってもよい。

【００１７】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、被移送
流体の吸入孔がポンプボディに設けられた断面円形状突
出部の基端部に開口させた吸入孔と、該吸入孔の開口部
から円形状突出部の先端部にかけて該突出部の側面から
径方向内側に向けて形成した、例えば断面Ｕ字形の溝状
通路とを介して被移送流体が吸入され、かつ上記円形状
突出部の先端部端面に形成させた吐出孔から被移送流体
が吐出される構成としているので、ベローズとポンプボ
ディの一部である円形状突出部との間の空間体積を従来
に比べて大幅に減少して、溝状通路以外はベロース内周
面と円形状突出部外周面との間に被移送流体を介在させ
ることなくポンプ機能を行わせて被移送流体の吐出時に
空間体積内に流体が滞留することをなくするとともに、
被移送流体の循環性、置換性をも向上させることができ
る。したがって、簡単な構成で定量性の向上を図ること
ができるとともに、流体の品質保持性を高めて、特に薬
液や純水などの移送に好適に使用することができるとい
う効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例によるベローズ式定量ポンプ
の縦断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿った断面拡大図である。

【図３】従来のベローズ式定量ポンプの要部の縦断面図
である。

【符号の説明】

１ ポンプボディ ２ 円形状突出部 ２ａ テーパ面 ２ｔ 突出部の先端部端面 ３ 吸入孔 ３ａ 吸入孔の開口部 ４ Ｕ字形の溝状通路 １１ 吐出孔 １３ ベローズ １５ 往復動体

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 断面円形状の突出部を有するポンプであ
   って、この円形状突出部の基端部に開口させた被移送流
   体の吸入孔と、該吸入孔の開口部から上記円形状突出部
   の先端部にかけて該突出部の側面から径方向内側に向け
   て形成した溝状通路とを有し、かつ上記円形状突出部に
   その先端部端面に開口させて被移送流体の吐出孔が形成
   されているポンプボディと、上記円形状突出部の外周に
   配置されて、その一端がポンプボディに固定されている
   とともに他端閉塞部が上記円形状突出部の先端部端面に
   当接した圧縮端位置と上記筒状突出部の先端部端面から
   離間した伸張端位置との間に亘って伸縮移動するベロー
   ズと、このベローズに連結されて該ベローズを伸縮動作
   させる往復駆動装置とを具備し、上記ベローズの内径と
   上記突出部の外径とをほぼ同径にしていることを特徴と
   するベローズ式定量ポンプ。