JPH0529411Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、シリンダブロツク内にピストンを進
退可能に収容し、このピストンの往復動によりポ
ンプまたはモータとして機能させる流体圧機関の
ピストン構造に関するものである。

［従来の技術］ シリンダブロツク内にピストンを収容し、この
ピストンの往復動作によりポンプまたはモータと
しての機能を発現させる場合には、シリンダブロ
ツクとピストンとの間をシールする必要がある。
しかして、従来のこの種シール構造としては、ピ
ストンの外径部に環状の溝を形成し、この環状溝
にピストンリング等を嵌合させて、前記シリンダ
ブロツクとピストンとの間をシールするようにし
ているのが一般的である。

また、ピストンの一方の端面が常に他の平面
（例えばラジアルポンプ等のケーシング内周面）
に接触しつつ該ピストンがシリンダブロツク内を
往復動作するようなポンプ・モータ等において
は、ピストンが嵌合しているシリンダの中心線と
前記平面とが常に直行するとは限らない。このた
め、ピストンの外径部を微小のテーパ状に形成し
て該ピストンにシリンダブロツク内でのある程度
の自由度を与え、ピストンの軸心と前記平面との
直行状態を維持させると同時に、シリンダブロツ
クとピストンとの間を前記ピストンリング等によ
りシールさせるようにしている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、ピストンリング等の格別なシー
ル材を利用する場合においては、その取付け用の
溝を精密に加工する必要があるとともに、シール
材の適正な取付け作業を要すため、作業の繁雑さ
を招き好ましいとはいえない。しかも、ピストン
の外径部は前述したような理由等により、テーパ
状に形成する必要があるため、その細密な加工作
業を強いられることになり、作業上の負担を招い
ている。

その上、ピストンリング等のシール材がシリン
ダブロツクの内壁面に摺接する際の当接力等は略
一定に調節されているため、ピストンが流体から
圧力を受けて移動し、戻る際に前記ピストンリン
グ等の当接力が抵抗となり不都合となる。

本考案は、かかる従来の問題点を鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、ピストンリ
ング等を利用することなく、しかも、流体の圧力
変化に応じてシール性を変化させることのできる
流体圧機関のピストン構造を提供することを目的
としている。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、かかる目的を達成するために、シリ
ンダブロツク内を往復動するピストンに圧力ポケ
ツトを形成し、この圧力ポケツトの外側に該圧力
ポケツト内にに導かれた流体の圧力変化に応じて
ピストンの径方向に弾性変形する変形部を設ける
とともに、この変形部の外側に前記シリンダブロ
ツクの内壁面に微小な隙間を介して近接するシー
ル用の環状突起部を一体に設けたことを特徴とす
る。

［作用］ このような構成によると、ピストンに形成した
圧力ポケツト内に流体が導かれると、圧力ポケツ
トの外側に設けられた変形部が流体の圧力変化に
応じてピストンの径方向に弾性変形する。これと
ともに、前記変形部の外側に一体に設けられたシ
ール用の環状突起部が該突起部とシリンダブロツ
クの内壁面との間に微小な〓間を流体の圧力変化
に応じて調整することになる。

［実施例］ 以下、本考案を流体圧機関たる液圧ポンプまた
はモータに適用した場合の一実施例を図面を参照
して説明する。

図面は、複数のピストンをケーシング内に放射
状に配設してなるラジアル式の液圧ポンプまたは
モータの一部を概略的に示した断面図である。

ラジアル式の液圧ポンプまたはモータは周知の
ように、円筒状のケーシング１内の偏心させた位
置にシリンダブロツク２を収容し、このシリンダ
ブロツク２と前記ケーシング１との相対回転によ
り、該シリンダブロツク２内に放射状に配設され
た複数のピストン３を往復動させて、ポンプまた
はモータとして機能させるようになつている。

ピストン３は、前記シリンダブロツク２がケー
シング１の軸心から偏心した位置で回転すること
により、シリンダブロツク２内を進退する円柱状
のもので、該ピストン３と前記シリンダブロツク
２との協働により、液体を吸入・吐出するように
なつている。そして、このピストンの基端部３ａ
にケーシング１に設けられた液体の吸入口および
吐出口に断続的に連通する圧力ポケツト４を形成
してある。

圧力ポケツト４は、ピストン３の基端部３ａ内
にピストン３の軸心を中心とする円形の凹状の室
からなり、ピストン３の基端面３ｂの中央に開口
した導入口５を介して高圧側に連通する一方、ピ
ストン３の先端面３ｃにその一端を開口する油通
路６を介して、該ピストン３の先端面３ｃとケー
シング１の内周面１ａとの間に液圧を導入し得る
ようになつている。

一方、上記圧力ポケツト４の外側には、該圧力
ポケツト４内に導かれた液体の圧力変化に応じて
ピストン３の径方向に弾性変形する変形部７を設
けてある。この変形部７は、前記圧力ポケツト４
をピストン３の外径部から包囲するような断面か
ぎ状に形成してあり、ピストン３の外径側を環状
の一側壁７ａとし、前記導入口５を有した部位を
円盤状の他側壁７ｂとしている。

そして、上記変形部７の外側に前記シリンダブ
ロツク２の内壁面２ａに微小な〓間を介して近接
する環状突起部８を設けてある。この環状突起部
８は、シリンダブロツク２とピストン３との間を
シールするためのもので、前記変形部７の一側壁
７ａに一体に形成してあり、その外周端面８ａと
シリンダブロツク２の内壁面２ａとの間には微小
な〓間を設けてある。

このような構成によると、その作動は次のよう
にして行わせることが出来る。

ポンプ作動中のシリンダブロツク２とピストン
３との相対位置の変化により、液体が加圧される
吐出行程において、高圧の液圧がピストン３の内
方端側に形成された圧力ポケツト４内に導かれる
と、その圧力により変形部７の一側壁７ａ等が圧
力に応じて外側に押し広げられることになる。こ
れとともに、前記一側壁７ａの外側に一体に形成
された環状突起部８も前記一側壁７ａと同様に外
側に張出し、その外周端面８ａとシリンダブロツ
ク２の内壁面２ａとの微小な〓間を埋めるように
してシールし、該〓間からの高圧液の過剰な漏れ
を防止する。

他方、液体の吸入行程において、ピストン３の
内方端側の液圧の低下とともに、圧力ポケツト４
内の液圧が低下すると、変形部７の一側壁７ａ等
が内方に弾性変形し導圧前の元の位置に戻る。こ
れとともに、前記一側壁７ａ外側の環状突起部８
も収縮し、その外周端面８ａとリンダブロツク２
の内壁面２ａとの間の〓間を通常のシール状態に
保持させる。そして、モータとして機能させる場
合にも、これに準じた作用が得られる。

したがつて、このような構成であれば、ピスト
ンリング等を利用することなくシリンダブロツク
２とピストン３との間を確実にシールすることが
できる。しかも、その際、変形部７と環状突起部
８とが圧力ポケツト４内に導かれる液体の圧力変
化に応じて弾性変形し、環状突起部８の外周端面
８ａとシリンダブロツク２の内壁面２ａとの〓間
を細密に調整するため、ピストンリング等を利用
した従来のシール構造に比較して、効果的にシー
ル機能を発揮させることができる。

また、環状突起部８の外周端面８ａとピストン
３の外周面との寸法を適宜変化させることによ
り、ピストン３の外径部をテーパ状に形成するこ
となく該ピストン３の自由度の設定範囲を拡張す
ることができる点においても好都合である。

なお、本考案は以上述べた実施例に限定される
ものではなく、圧力ポケツト、環状突起部等は図
示の形状に限定されない。例えば、環状突起部の
外周面を断面円弧状にすることにより、さらにピ
ストンの自由度を大きくすることが可能である。

また、圧力ポケツトのピストン軸心方向の寸
法、あるいは径方向の寸法を変えることにより、
変形部の弾性変形量を調整し、シール能力を随意
の領域に設定することも可能である。

［考案の効果］ 以上、詳述したように、本考案によると、流体
の圧力に伴つて変形部が弾性変形するため、流体
の圧力に応じた適切なシール機能を得ることがで
きる。しかも、ピストンの自由度を従来に比較し
て大きくすることができるため、シリンダブロツ
ク等の加工誤差等によるピストンへの負担を抑制
できる。

また、ピストンの外径部にピストンリングを取
付けるための溝やテーパ面等を形成する繁雑な加
工作業等が不要となるため、作業手間を簡略化す
ることも可能である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示す部分断面図であ
る。 １……ケーシング、１ａ……内周面、２……シ
リンダブロツク、２ａ……内壁面、３……ピスト
ン、４……圧力ポケツト、７……変形部、７ａ…
…一側壁、７ｂ……他側壁、８……環状突起部、
８ａ……外周端面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダブロツク内を往復動するピストンに圧
   力ポケツトを形成し、この圧力ポケツトの外側に
   該圧力ポケツト内に導かれた流体の圧力変化に応
   じてピストンの径方向に弾性変形する変形部を設
   けるとともに、この変形部の外側に前記シリンダ
   ブロツクの内壁面に微小な隙間を介して近接する
   シール用の環状突起部を一体に設けたことを特徴
   とする流体圧機関のピストン構造。