JP3574688B2 - 高真空圧バルブにおけるシールリングの取付け機構 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、高真空圧バルブにおける弁体に、弁座をシールするシールリングを取付けるシールリングの取付け機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数のポートと、これらのポートを連通させる流路中の弁座と、該弁座を開閉する弁体とを備え、該弁体の弁座との対向面に形成した環状の取付溝に、上記弁座をシールするOリングを取付けた高真空圧バルブは、既に知られている。
上記公知の高真空圧バルブは、図4に示すように、弁体1における弁座2との対向面に、両側壁を先細りのテーパ面3,3とした環状の取付溝4を設けて、この取付溝4に、弁座2をシールするOリング5を、その一部を取付溝4から突出させて取付けている。
【0003】
この場合、取付溝4の開口幅をW、Oリング5の線径をdとすると、W/d=0.85〜0.9として、即ち取付溝4の開口幅をOリング5の線径より10〜15%小さくすることによって、取付溝4からのOリング5の抜け出しを防止している。また、取付溝4にOリング5を気密に取付けるためには、Oリング5に上記範囲とほぼ同程度の潰し代を設けて取付溝4に取付ける必要があるが、高真空圧バルブにおいては、高真空という使用条件のために、Oリング5に、取付溝4への挿入を容易にするための潤滑剤を塗布することができない。
【0004】
高真空圧バルブにおいて、取付溝4にOリング5を取付ける方法としては、Oリング5を取付溝4に徐々に押し込む方法か、または図示を省略している治具によりOリング5の幅を狭くして、全体を一度に取付溝4に押し込む方法が採用されている。
しかしながら、Oリング5を徐々に押し込む方法は、押し込みによってOリングに捩じれが生じ、取付溝4への取付け後は、Oリング5が取付溝4の底面3aと両側のテーパ面3,3との3面で押圧されるために捩じれが戻らないので、この捩じれがリークの原因となる
一方、治具によってOリング5を取付ける方法は、生産現場においては問題がないが、Oリング5が傷付いたり破損したりした場合に、ユーザーが現場において交換することができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、取付溝へのシールリングの挿脱が容易で、しかも捩じれることなく強固に取付けられる、高真空圧バルブにおけるシールリングの取付け機構を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の高真空圧バルブにおけるシールリングの取付け機構は、複数のポートと、これらのポートを連通させる流路中の弁座と、該弁座を開閉する弁体とを備え、該弁体の弁座との対向面に設けた環状の取付溝に上記弁座をシールするOリングで形成したシールリングを取付けた高真空圧バルブにおいて、上記取付溝を、該取付溝内において上記シールリングが僅かに移動可能な大きさとするとともに、開口近くの側壁の少なくとも一方に、対向する側壁に向いて開口するリング溝を設け、上記取付溝に挿入されたシールリングを、上記リング溝に装着した固定リングで押圧することによって取付溝の壁面に圧接させたことを特徴としている。
【0007】
また、同様の課題を解決するため、上記取付溝の側壁を、円筒面と開口側が縮径するテーパ面とするとともに、上記円筒面にリング溝を設け、上記取付溝に挿入されたシールリングを、上記リング溝に装着した固定リングによって取付溝のテーパ面と底面とに圧接させたこと;または、取付溝の両側壁を円筒面とするとともに、これらの円筒面に、対向する側壁に向いて開口するリング溝をそれぞれ設け、上記取付溝に挿入されたシールリングを、上記リング溝にそれぞれ装着した固定リングによって取付溝の底面に圧接させたことを特徴としている。
【0008】
【作用及び発明の効果】
弁体に設けた取付溝にシールリングを徐々に押し込んで挿入し、次いでリング溝に欠円状の固定リングを取付けると、該固定シリングによってシールリングが取付溝の壁面に圧接されるので、シールリングを取付溝に気密に取付けることができる。
【0009】
この場合、取付溝へのシールリングの押し込みによってシールリングに多少の捩じれが生じても、取付溝に挿入されたシールリングは取付溝内において僅かに移動できるので、押し込みにより生じた捩じれを戻すことができる。
また、固定リングの取付けによって、シールリングの外周面が取付溝の壁面に圧接されるので、シールリングが取付溝に気密に取付けられる。
したがって、治具を使用することなく、シールリングを現場において容易に挿脱することができ、しかも固定リングによって取付溝に圧接されるので、シールリングを強固に取付けることができる。
具体的には、シールリングは、固定リングによる押圧部、及び取付溝のテーパ面と底面、または固定リングによる2箇所の押圧部、及び取付溝の底面との3点において圧接されるので、取付溝に強固に取付けられる。
【0010】
【実施例】
図1及び図2は本発明の第1実施例を示し、この高真空圧バルブにおけるバルブボディ11は、直交する方向に形成したポート12,13と、これらのポート12と13を連通させる流路中の弁座14と、弁座14に対向する開口15とを備え、開口15にベローズプレート16を介して気密に取付けられたボンネット17に、後記する弁体を駆動するための空気圧シリンダ19のシリンダ20が形成されている。また、開口15とベローズプレート16との間は、図示を省略しているシール材によって気密にシールされている。
【0011】
上記弁座14を開閉する弁体23の弁棒24は、ボンネット17を気密に貫通して空気圧シリンダ19のピストン21に連結されており、弁体23とボンネット17との間に復帰ばね25が縮設されている。また、ボンネット17には、ピストン21で区画されたベローズプレート16側の圧力室26に圧縮空気を給排するポート27が開設されている。
上記ベローズプレート16の内周面と弁体23には、弁棒24を囲むベローズ28の両端が気密に固着されており、ベローズプレート16とベローズ28は、いずれも適宜の金属によって形成されている。
【0012】
弁体23における弁座14との対向面には、シールリング31を取付けるための環状の取付溝30が形成されている。図2に詳細を示す取付溝30は、内周が円筒面30aとされ、外周は開口側が縮径するテーパ面30bとされており、開口の幅W1 は、Oリングで形成した上記シールリング31の線径dの92.5〜95%とされている。また、取付溝30の幅及び深さは、取付溝30に挿入されたシールリング31が、取付溝30内において径方向及び軸方向に僅かに移動可能な大きさとされている。
上記円筒面30aの外径は、弁座14とシールリング31の内径より若干小径で、かつ弁座14側に向けて延長されており、その突出長さは、取付溝30に取付けられたシールリング31の取付溝からの突出量より若干短くされている。また、円筒面30aのテーパ面30bの先端とほぼ対向する箇所に、テーパ面側に向けて開口するリング溝32が形成されており、該リング溝32に、切欠部によって欠円状とされた金属製の固定リング33が取付けられる。
【0013】
上記第1実施例は、取付溝30にシールリング31を徐々に押し込むことによって、治具を使用することなく取付溝30にシールリング31が挿入される。この場合、取付溝30の開口幅W1 が公知の取付溝30の開口幅Wに比べて広いので、押し込みによるシールリング31の捩じれは殆ど生じない。また、捩じれが生じても、取付溝30に単に挿入された状態では、シールリング31が取付溝30内において僅かに移動できるので、捩じれを戻すことができる。
次いで、リング溝32に固定リング33を取付けると、該固定リング33によりシールリング31が放射方向及び軸方向に押圧されて、取付溝30のテーパ面30bと底面30cとに圧接される。したがって、シールリング31は、固定リング33による押圧部及び取付溝30のテーパ面30bと底面30cへの圧接部との3点において、取付溝30に強固にかつ気密に取付けられ、外周面の一部が取付溝30から弁座14に向いて突出する。
【0014】
この場合、固定リング33のリング溝32への取付けによって、シールリング31に取付溝30のシールに必要な潰し代が与えられることは、勿論である。
また、円筒面30aの弁座14側への突出長さが、取付溝30に取付けられたシールリング31の取付溝30からの突出高さより短いので、円筒面30aの突出長さが、バルブのコンダクタンス(流量特性)に影響を及ぼすことはない。
【0015】
シールリング31が破損しまたは傷付いた場合には、固定リング33をリング溝32から取り外すと、シールリング31を取付溝30から取り出すことができるので、ユーザーが現場において交換することができる。
したがって、シールリング31の取付溝30への挿脱が容易で、しかもシールリング31を捩じれることなく強固に取付溝30に保持することができる。
【0016】
上記第1実施例は、ポート12を真空チャンバにポート13を真空ポンプ等の真空源(真空チャンバ及び真空ポンプは、いずれも図示省略)に接続されて使用される。
ポート27から圧力室26に圧縮空気を供給すると、ピストン21及び弁体23が図において上動するので、シールリング31が弁座14を開放してポート12と13間の流路が連通し、圧力室26の圧縮空気を外部に排出すると、復帰ばね25の付勢力により弁体23とピストン21が復帰して、シールリング31が弁座14を閉鎖する。この場合、弁座14の内径が円筒面30aの内径より僅かに大きいので、シールリング31を押し潰すことができる。
【0017】
図3は本発明の第2実施例を示し、第2実施例の弁体36に設けた環状の取付溝37は、内外両面が円筒面37a,37aとして形成され、取付溝37の開口幅W2 は、シールリング31の線径dより僅かに大きくされている。また各円筒面37aの開口近くには、対向して開口するリング溝38,38が形成されている。
第2実施例は、取付溝37にリールリング31を徐々に押し込んだ後、リング溝38,38に固定リング33,33を取付けると、これらの固定リングによりシールリング31が該リングの中心方向及び軸方向に押圧されて、取付溝37の底面37bに圧接されるので、固定リング33,33による押圧面及び取付溝37の底面37bとの3点によって、シールリング31を取付溝37に強固にかつ気密に取付けることができる。
第2実施例の他の構成及び作用は第1実施例と同じであるから、説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の縦断面図である。
【図2】同じく要部の拡大断面図である。
【図3】第2実施例の要部の拡大断面図である。
【図4】公知のシールリングの取付け機構を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
12,13 ポート 14 弁座
23,36 弁体 30,37 取付溝
30a,37a 円筒面 30b テーパ面
30c,37b 底面 31 シールリング
32,38 リング溝 33 固定リング
Claims (3)
- 複数のポートと、これらのポートを連通させる流路中の弁座と、該弁座を開閉する弁体とを備え、該弁体の弁座との対向面に設けた環状の取付溝に上記弁座をシールするOリングで形成したシールリングを取付けた高真空圧バルブにおいて、
上記取付溝を、該取付溝内において上記シールリングが僅かに移動可能な大きさとするとともに、開口近くの側壁の少なくとも一方に、対向する側壁に向いて開口するリング溝を設け、
上記取付溝に挿入されたシールリングを、上記リング溝に装着した固定リングで押圧することによって取付溝の壁面に圧接させた、
ことを特徴とする高真空圧バルブにおけるシールリングの取付け機構。 - 取付溝の側壁を、円筒面と開口側が縮径するテーパ面とするとともに、上記円筒面にリング溝を設け、
上記取付溝に挿入されたシールリングを、上記リング溝に装着した固定リングによって取付溝のテーパ面と底面とに圧接させた、
ことを特徴とする請求項1に記載した高真空圧バルブにおけるシールリングの取付け機構。 - 取付溝の両側壁を円筒面とするとともに、これらの円筒面に、対向する側壁に向いて開口するリング溝をそれぞれ設け、
上記取付溝に挿入されたシールリングを、上記リング溝にそれぞれ装着した固定リングによって取付溝の底面に圧接させた、
ことを特徴とする請求項1に記載した高真空圧バルブにおけるシールリングの取付け機構。
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