JP3764430B2 - ポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体移送用のポンプに関し、特に半導体製造装置における薬液の循環や移送に用いられるポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体製造装置における薬液の循環や移送に用いられるポンプにおいては、駆動手段としてのエアシリンダ、ポンプ作用室の隔膜を構成する伸縮自在なベローズ、薬液の流通方向を規制する逆止弁、その他複数の部材が、エアシリンダの軸方向に同軸に並んで設けられ、これらを重ね合わせるように、軸方向に長いロッド、ボルト等で締結する構造が一般的に用いられている。このような構造において、上記ベローズの端部は、複数のボルトによってピストン側に固定されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−174180号公報(第4〜5頁、図1、図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のポンプにおいて、ベローズの端部のボルトは、シール性能確保のため複数のボルトを均等な荷重で締め付ける必要があるが、実際には締め付け荷重が不均一になりやすい。また、複数のボルトを使用した場合、経時変化(樹脂クリープ等による。)による締付け荷重低下の度合いも各ボルトにより異なる。このように複数のボルト間で締め付け荷重が不均一であると、ベローズ等の部材が変形し、その結果、シール性能が低下する。また、上記特許文献1に記載されたポンプは、薬液が流れるポンプ作用室がベローズの内側に形成され、ベローズの外側に空気層を介してシリンダが配置される、いわゆる内液タイプの構成であるが、これとは逆に、ベローズの内側に空気が送り込まれ、外側に薬液が流れる外液タイプのポンプでは、シリンダの内側に直接薬液が流れているため、内液タイプよりもさらにシリンダ部分のシール性能を強化することが望まれる。
【0005】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、シール性能に優れた外液タイプのポンプを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のポンプは、流体の流入路及び流出路を備えたポンプボディと、前記ポンプボディの一端部に設けられたポンプシリンダと、前記ポンプシリンダ内を中心軸方向に沿って伸縮可能であり、前記ポンプボディ及びポンプシリンダと共にポンプ作用室を形成するベローズと、前記ベローズを伸縮させるエアシリンダ部と、前記ポンプシリンダ、ベローズ及びエアシリンダ部を包み込むとともに、これらを前記中心軸方向において前記ポンプボディとの間に挟み込んだ状態で、当該ポンプボディと螺合して前記中心軸方向に相互に締め付け合う外カバーとを備え、前記ポンプボディ及びベローズの少なくとも一方と前記ポンプシリンダとの接続箇所に設けられた相対向するシール部が、前記外カバーとポンプボディとの締め付けに応じて相互に食い込んでシールを構成するものである。
上記のように構成されたポンプは、ポンプシリンダの内部に流体が直接流れ込む外液タイプの構成であり、螺合する関係にある外カバーとポンプボディとを中心軸方向に締め付けることにより、外カバー内の部材同士を均一に締め付け、部材の変形を防止してシール性能を確保することができる。また、締め付けに応じて、相対向するシール部が相互に食い込んでシールを構成する。これにより径方向への面圧が発生して強力な密封力が得られる。
【0007】
上記ポンプにおいて、シール部の一方はリング状の突起部を有し、他方は、当該突起部を圧入させる凹部を有するものであってもよい。
この場合、凹部に突起部が圧入されることにより突起部の内外周面に径方向への面圧が発生して強力な密封力が得られる。
【0008】
また、上記各部は樹脂製であり、突起部の高さより低いリング状の小突起部が、シール部の片方にのみ形成されていてもよい。
この場合、小突起部は外カバーとポンプボディとの締め付けによってシール部の相手方に当接して半ば押しつぶされ、半ば相手方にめりこんだ状態となり、径方向への面圧成分を生じさせつつ圧接面を回り込ませ、補助的なシールを構成することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、例えばクリーンルーム内の半導体製造装置における薬液の循環や移送に用いられる、本発明の第1の実施形態によるポンプの断面図である。当該ポンプは横型であり、通常、図示の状態(図の上方が天、下方が地)で設置される。当該ポンプは、共通の中心軸A上に同軸配置された複数の部材によって構成され、各部材の外周又は内周形状は基本的に円形である。具体的には、当該ポンプは、一対の逆止弁1,2を有するポンプボディ3と、円筒状のポンプシリンダ4と、二重筒状の形態であり外筒部分5aが中心軸A方向へ蛇腹状に伸縮可能なベローズ5と、ベローズ5の内筒部分5bの内側に螺着(左端部は嵌合)されるスペーサ6と、スペーサ6に対して螺着(左端部は嵌合)される丸棒状の軸7と、軸7を挿通させるリング状のピストンケース8と、軸7を螺着(右端部は嵌合)させるとともにピストンケース8に内挿され中心軸A方向にスライド可能なピストン9と、ピストンケース8及びピストン9の端面を覆うピストンカバー10と、上記各部の全て又は一部を包み込む円筒状の外カバー11とを主な要素として構成されている。なお、ポンプシリンダ4は、ポンプボディ3と一体形成(切削等により)されていてもよい。
【0010】
上記ベローズ5を隔壁としてその右方に存在するスペーサ6、軸7、ピストンケース8、ピストン9及びピストンカバー10は、エアシリンダ部を構成している。このようにエアシリンダ部を構成することにより、エアシリンダの外付けが不要となり、ポンプ全体がコンパクトになる。ポンプがコンパクトであることは、クリーンルーム内に占める設置面積が小さくなるので好ましい。また、たとえ長期使用によりエアシリンダ部から僅かな摩耗粉が生じた場合でも、これがポンプ外に飛散することがほとんど無いため、クリーンルーム内を汚染することもない。
【0011】
上記構成において、ベローズ5は、その外筒部分5aの基部側外周面5a1がポンプシリンダ4に内嵌される。また、スペーサ6及びピストンケース8は軸7を介して相互に嵌合(螺合も含む意)した関係にあり、スペーサ6はベローズ5の内筒部分5bに嵌合している。また、ピストンケース8の左端は円柱状の凸部8cを形成しているが、この凸部8cの外径を、ベローズ5の外筒部分5aの内径とほぼ同径とすることにより、ベローズ5に対してピストンケース8を嵌合させることができる。さらに、ピストン9は、ピストンケース8及び軸7に対して嵌合している。そして、ピストンカバー10とピストンケース8とは、複数の位置決めピン12(一箇所のみ図示)を介して、相互に嵌合と同等の関係にある。従って、ポンプシリンダ4、ベローズ5、スペーサ6、軸7、ピストンケース8、ピストン9及びピストンカバー10は、その他のシール用部材(Oリング等)も含めて、ロッドやボルト等の締結部材を用いることなく、相互に嵌合して位置決めされる構造となっている。
【0012】
一方、上記外カバー11の右端から内周側へ、環状のストッパ部11aが形成されている。また、ポンプボディ3の外周面には雄ねじ加工が施され、かつ、外カバー11の内周面には雌ねじ加工が施されており、両者は互いに螺合している。このような螺合により、外カバー11の内部の部材同士を均一に締め付けることができる。特に、単一の、しかも口径が比較的大きいねじであることにより、螺合による締め付けの度合いは、全体に均一なものとなる。また、ポンプボディ3とポンプシリンダ4との接触面、ポンプシリンダ4とベローズ5の外筒部分5aとの接触面、当該外筒部分5aとピストンケース8との接触面に作用する中心軸A方向への圧力を、略均一とすることができる。このように、接触面に略均一な圧力を受けるベローズ5とポンプシリンダ4とポンプボディ3とによって液空間13を区画して形成される「ポンプ作用室」は、部材のねじれ等による変形や、締め付け荷重の不均一がないので、これらの要因による薬液の漏れを防止することができる。
【0013】
上記逆止弁1は、ポンプボディ3内に形成された流出路3a(紙面に垂直な方向に延びる。)を介して、その終端にある排出口及び上部の排出口3bから薬液をポンプ外に排出するためのものであり、図の矢印の方向にのみ流体を流通させる。また、下方の逆止弁2は、ポンプボディ3内に形成された流入路3c(紙面に垂直な方向に延びる。)の終端にある吸入口から薬液をポンプ内に取り込むためのものであり、図の矢印の方向にのみ流体を流通させる。
【0014】
一方、ベローズ5の内側にはピストン9を左方に前進させるための第1空気室C1が形成され、この第1空気室C1は、ピストンケース8を貫通する孔8aを経てポートP1に連通している。また、ピストン9の左端面とピストンケース8との間には、ピストン9を後退させるための第2空気室C2が形成されている。第2空気室C2はピストンケース8内に形成された孔8bを介してポートP2に連通している。
【0015】
なお、ピストン9の右端面とピストンカバー10との間に形成されている第3空気室C3は、ピストンカバー10に設けられた孔10bを通じて開放されている。ピストン9右端面には、ピストンカバー10を貫通する孔10aと同軸位置に、これより若干小径の孔9aが形成されており、ここにピン(図示せず。)を植設して孔10aを遊挿させることにより、ピストン9の回り止め、すなわちベローズ5の捻れ防止ができるようになっている。
【0016】
また、上記ポンプは、ポンプボディ3内部に逆止弁1,2を嵌装し、ポンプシリンダ4の内側を液空間13とする外液タイプのポンプ構造である。これにより、液空間13を必要最小限のスペースとすることができ、中心軸A方向へのポンプの短スパン化に寄与することができる。また、図1に示すように、逆止弁1,2は、液空間13に臨むポンプボディ3の内端面から突出しない。このことは、短スパン化にさらに好ましい。
【0017】
上記のように構成されたポンプにおいて、ポートP1に圧縮空気を供給し、ポートP2を排気又は減圧状態とすることにより、ピストン9が軸7及びスペーサ6と共に前進し、ベローズ5が左方へ伸長する。これにより排出側の逆止弁1が開いて排出口3b等から薬液が排出される。逆に、ポートP2に圧縮空気を供給し、ポートP1を排気又は減圧状態とすることにより、ピストン9が軸7及びスペーサ6と共に後退し、ベローズ5が図示の状態にまで収縮する。これにより、吸入側の逆止弁2が開いて吸入口から薬液が吸入される。このような往復動の繰り返しによりポンプ作用が生じて、薬液が移送される。
【0018】
なお、中心軸が横向きになるようにポンプが横置きされ、排出用の逆止弁1が上方にあることにより、液空間13(ポンプ作用室)に滞留するガス(混入する空気又は、薬液から発生するガス)が逆止弁1を介して排出口3b等から自然に抜けやすいという利点がある。従って、薬液で満たされるべき液空間13内に多量のガスが滞留してポンプ能力が低下する、という事態は発生しにくい。すなわち、ポンプ能力の低下を防止することができる。また、ポンプの始動初期においては、ポンプ内に空気が入り込んでいることは避けられず、従ってエア抜き運転を行い、ポンプ能力が安定するのを待つ必要がある。しかしながら、上記のようにガスが抜けやすい構成によれば、始動初期のエア抜きが迅速に行われ、短時間でポンプ能力が安定する。
【0019】
上記各部の材質に関して、ポンプボディ3、ポンプシリンダ4、ベローズ5等の接触部はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂とすることが好ましい。スペーサ6、軸7、ピストンケース8、ピストン9、ピストンカバー10、外カバー11等の非接触部は、PP(ポリプロピレン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、POM(ポリオキシメチレン)等が好ましい。また、逆止弁1,2は、内部のスプリングも含めてPFA、PTFEが好ましい。その他、シール用の部材やOリングも樹脂製とする。すなわち、ポンプを構成する部材はすべて樹脂製である。従って、半導体ウェハ等のワークに金属イオンが入り込む恐れがなく、半導体の品質安定に寄与する。
なお、図1において、ベローズ5と軸7とは、スペーサ6を介して接続されているが、このようにスペーサ6を介して接続することにより、樹脂材料に不足しがちな締結強度を向上させることができる。
【0020】
図2は、上記ポンプの組立状態を示す断面図である。図において、ポンプシリンダ4、ベローズ5、スペーサ6、軸7、ピストンケース8、ピストン9、ピストンカバー10の各部材は、前述のように相互に嵌合される関係にあり、嵌合により位置決めされ、共通の中心軸A上に「センター出し」される。従って、センター出しが容易でないエアシリンダ部(6〜10)とベローズ5との間も、容易にセンター出しをすることができる。そして、このように構成した嵌合体は、外カバー11に緊密に内挿(嵌合とほぼ同等、例えば隙間0.2mm程度)される。内挿により、ピストンカバー10の周縁部10cが外カバー11のストッパ部11aに当接し、これによって、内挿された嵌合体は、その右端側で抜脱規制される。さらに、外カバー11の雌ねじにポンプボディ3の雄ねじを螺合させ、締め込むと、嵌合体の左端がポンプボディ3により抜脱規制され、ストッパ部11aとの間に挟み込まれて図1に示す状態に固定される。
【0021】
また、外カバー11は、その内周面に実質的に内接させているポンプシリンダ4、ベローズ5、ピストンケース8及びピストンカバー10に対して、これらの径方向へのずれを規制するように保持する。その結果、これらの部材と相互に嵌合している他の部材においても、径方向へのずれが規制される。すなわち、外カバー11は、内部に収容する各部材を径方向において位置決めし、その位置決め状態を安定して維持する。このため、組立後においても各部材が外カバー11により保持されて、径方向へ互いにずれを生じることが実質的にない。
【0022】
上記のようにして、ポンプの構造体を構成する各部は外カバー11により外側から規制されつつ、その内部で中心軸A上に並び、相互に正確に位置決めされた状態で固定される。このようにして組み立てられるポンプは、従来のようにロッドやボルト等を用いて締結しないので、長期にわたって部材の捻れや変形を生じない。また、エアシリンダ部(6〜10)の軸心ずれが問題となることはなく、軸心ずれに起因するエアシリンダ部各部材の異常摩耗により作動不良を招来してポンプ機能低下を招くことがない。
また、ポンプシリンダ4、ベローズ5及びエアシリンダ部を少なくとも部分的に交互に嵌合させて成る嵌合体としたことにより、互いに重複する部分だけ中心軸方向への短スパン化が可能となり(例えばエアシリンダ部の軸7もベローズ5内に配置できる。)、ポンプをコンパクト化できる。このことは、前述のように、クリーンルーム内に占める設置面積が小さくなるので好ましい。
【0023】
なお、図2に関する上記説明においては、ポンプシリンダ4、ベローズ5、スペーサ6、軸7、ピストンケース8、ピストン9、ピストンカバー10の各部材が相互に嵌合され、「嵌合体」として外カバー11に緊密に内挿される、としたが、各部材を個々に若しくは、ある程度嵌合させた状態で外カバー11に順次挿入して外カバー11内で「嵌合体」を組み上げるようにしてもよい。
【0024】
次に、ポンプシリンダ4と、ポンプボディ3及びベローズ5とのシール構造に関して詳細に説明する。図3は、ポンプボディ3、ポンプシリンダ4及びベローズ5を図2の中心軸A方向に互いに分離した状態での拡大断面図である。図において、ポンプボディ3の右端面3eには、断面が四角形状のリング状の突起部3fが形成されている。また、その内側に近接して、断面が三角形状であって、突起部3fより突起の高さが低い小突起部3gがリング状に形成されている。一方、ポンプシリンダ4の左端面4aには、突起部3fと全周にわたって対向するように、凹部4bが円形に形成されている。小突起部3gは、ポンプシリンダ4の左端面4aに対向するが、対向位置に凹部等は設けられていない。なお、このような小突起部3gは、ポンプボディ3側ではなく、ポンプシリンダ4側に設けてもよい。
【0025】
図4は、図3のIV部の拡大断面図である。凹部4bのエッジ部分は面取りされ、テーパ部4b1となっている。径方向への凹部4bの幅W1と、テーパ部4b1も含めた幅W2と、ポンプボディ3の突起部3fの幅W3との間には、W1<W3<W2の関係があり、従って、突起部3fは、テーパ部4b1に案内されながら、凹部4bに圧入される。なお、凹部4bの深さDと、突起部3fの高さHとの間には、H<Dの関係がある。
【0026】
図3に戻り、ポンプシリンダ4の右端面4cには、前述のポンプボディ3の突起部3f及び小突起部3gとそれぞれ同様の、突起部4d及び小突起部4eが形成されている。また、ベローズ5の外筒部分5aの鍔面5cには、前述のポンプシリンダ4の凹部4bと同様の、凹部5dが形成されている。なお、同様に、小突起部4eは、ポンプシリンダ4側ではなく、ベローズ5側に設けてもよい。
【0027】
以上のような構成において、前述のように各部材の組み立てを行い、ポンプシリンダ4、ベローズ5及びエアシリンダ部を中心軸方向において外カバー11とポンプボディ3との間に挟み込んだ状態で、外カバー11をポンプボディ3に螺合して中心軸方向に相互に締め付け合うと、突起部3fは凹部4bに、突起部4dは凹部5dに、それぞれ圧入される。
【0028】
図5の(a)及び(b)はそれぞれ、ポンプボディ3とポンプシリンダ4との間での、圧入途中及び圧入完了の状態を示す拡大断面図である。(a)において、圧入の度合いは締め付け(螺進)に応じて深くなり、締め付け完了により(b)に示す状態となる。この状態において、突起部3fの内外周面と凹部4bの壁面とは、中心軸方向の長さLにわたって、径方向に互いに圧接する。この径方向の面圧によって、強力な密封力を有するシールが構成される。また、ポンプシリンダ4の左端面4aに圧接する小突起部3gは、半ば押しつぶされ、半ばポンプシリンダ4側にめりこんだ図示のような状態となり、若干の径方向への面圧成分を生じさせつつ、圧接面を回り込ませて、補助的なシールを構成する。
また、ポンプシリンダ4とベローズ5との間でも上記と全く同様に、図3の突起部4d、凹部5d及び小突起部4eによりシールが構成される。このようにして、ポンプシリンダ4は、ポンプボディ3及びベローズ5との間で強力な密封力を有するシールを構成し、薬液等が外部に漏れることを防止する。すなわち、優れたシール性能を有する外液タイプのポンプを提供することができる。
【0029】
図6は、第2の実施形態によるポンプの主要部を示す部分断面図である。第1の実施形態との違いは、ポンプシリンダ4とポンプボディ3及びベローズ5との接合部分の構造にある。図において、ポンプシリンダ4の左右両端はテーパ面4f,4gとなっている。一方、ポンプボディ3の右端外周近傍には、ポンプシリンダ4の肉厚より僅かに径方向の肉厚が大きい突起部3hがリング状に形成され、その端面は、ポンプシリンダ4のテーパ面4fと同じ勾配で傾斜方向が逆のテーパ面3iを構成している。また、ベローズ5の外筒部分5aの左端側には、ポンプシリンダ4のテーパ面4gと同じ又は若干異なる(5〜10度程度)勾配で傾斜方向が逆のテーパ面5eが形成されている。
【0030】
上記のような構成において、外カバー11とポンプボディ3とを相互に締め付けると、この締め付け力により、テーパ面4f及び3i、並びに、テーパ面4g及び5eがそれぞれ互いに食い込んで圧接し、径方向の面圧を生じさせる。こうして、強力な密封力を有するシールが構成される。また、テーパ面4f,3iに対して垂直に作用する圧接力により、ポンプシリンダ4の左端側は外側へ逃げようとするが、外カバー11が逃げを規制する。
【0031】
図7は、第3の実施形態によるポンプの主要部を示す部分断面図である。第2の実施形態と同様に、第1の実施形態と異なる点は圧入構造にある。図において、ポンプシリンダ4の左端側には、中心軸方向へ円筒状に突出した突起部4hが設けられている。ポンプボディ3側には、突起部4hを圧入させるための円形の凹部3jが形成されている。また、ベローズ5の外筒部分5aの左端側には、中心軸方向へ円筒状に突出した突起部5fが設けられている。ポンプシリンダ4側には、突起部5fを圧入させるための円形の凹部4kが形成されている。
【0032】
図8の(a)は、上記第3の実施形態におけるポンプボディ3とポンプシリンダ4との圧入前の状態を示す部分断面図、(b)は圧入途中の状態を示す部分断面図である。(a)において、ポンプボディ3の凹部3jの内側には、中心軸方向に沿った右方へのリング状の突起部3kが形成されている。この突起部3kの内周側にはテーパ面3mが形成されている。一方、ポンプシリンダ4側には、上記突起部3kを受け入れるための凹部4iが円形状に形成されている。この凹部4iは、上記テーパ面3mと同一又は若干異なる(5〜10度程度)テーパ角のテーパ面4jを有している。ポンプボディ3側の凹部3jの幅W4と、ポンプシリンダ4側の突起部4hの幅W5とは、W4<W5の関係にある。
【0033】
同様に、図9の(a)は、上記第3の実施形態におけるポンプシリンダ4とベローズ5との圧入前の状態を示す部分断面図、(b)は圧入途中の状態を示す部分断面図である。(a)において、ポンプシリンダ4の凹部4kの内側には、中心軸方向に沿った右方へのリング状の突起部4mが形成されている。この突起部4mの内周側にはテーパ面4nが形成されている。一方、ベローズ5側には、上記突起部4mを受け入れるための凹部5gが円形状に形成されている。この凹部5gは、上記テーパ面4nと同一又は若干異なる(5〜10度程度)テーパ角のテーパ面5hを有している。ポンプシリンダ4側の凹部4kの幅W4と、ベローズ5側の突起部5fの幅W5とは、W4<W5の関係にある。
【0034】
上記の圧入構造を有する第3の実施形態のポンプでは、外カバー11(図8)とポンプボディ3との相互の締め付けにより、凹部3jに突起部4hが圧入され、突起部4hの内外周面と凹部3jの壁面とが、径方向に互いに圧接する。この径方向の面圧によって、強力な密封力を有するシールが構成される。また、図7に示す状態まで圧入することにより、突起部3kが凹部4iに受け入れられるように当接する。また、外カバー11とポンプボディ3との相互の締め付け力によりテーパ面4jと3mとの間で径方向の面圧が発生し、さらに密封力を高めることができる。
また、外カバー11とポンプボディ3との相互の締め付けにより、凹部4kに突起部5fが圧入され、突起部5fの内外周面と凹部4kの壁面とが、径方向に互いに圧接する。この径方向の面圧によって、強力な密封力を有するシールが構成される。また、図7に示す状態まで圧入することにより、突起部4mが凹部5gに受け入れられるように当接する。また、外カバー11とポンプボディ3との相互の締め付け力によりテーパ面4nと5hと間で径方向の面圧が発生し、さらに密封力を高めることができる。
【0035】
なお、圧入構造は上記各実施形態に限定されることなく、種々の構造が可能である。すなわち、ポンプシリンダ4とポンプボディ3及びベローズ5との接続箇所に相対向するシール部を設け、外カバー11とポンプボディ3とを締め付けることにより相互に食い込むように構成すればよい。また、前述のように、ポンプボディ3とポンプシリンダ4とを一体形成することも可能であり、この場合には、シール部はポンプシリンダ4とベローズ5との間にのみ設ければよい。
なお、上記ポンプは、フッ素等を含む薬液を移送するものとして説明したが、上記各実施形態に示すような圧入構造を有するポンプは、高いシール性能が要求される各種流体用に使用できることは言うまでもない。
【0036】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明は、螺合する関係にある外カバーとポンプボディとを中心軸方向に締め付けることにより、外カバー内の部材同士を均一に締め付け、部材の変形を防止してシール性能を確保することができる。また、締め付けに応じて、相対向するシール部が相互に食い込んでシールを構成する。従って、径方向への面圧が発生して強力な密封力が得られ、シール性能に優れた外液タイプのポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるポンプの断面図である。
【図2】上記ポンプの組立状態を示す断面図である。
【図3】ポンプボディ、ポンプシリンダ及びベローズを図2の中心軸A方向に互いに分離した状態での拡大断面図である。
【図4】図3のIV部の拡大断面図である。
【図5】図1のポンプにおけるポンプボディとポンプシリンダとの間での、圧入途中及び圧入完了の状態を示す拡大断面図である。
【図6】第2の実施形態によるポンプの主要部を示す部分断面図である。
【図7】第3の実施形態によるポンプの主要部を示す部分断面図である。
【図8】上記第3の実施形態におけるポンプボディとポンプシリンダとの圧入前の状態を示す部分断面図及び、圧入途中の状態を示す部分断面図である。
【図9】上記第3の実施形態におけるポンプシリンダとベローズとの圧入前の状態を示す部分断面図及び、圧入途中の状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
3 ポンプボディ
3a 流出路
3c 流入路
3f 突起部
3g 小突起部
3h,3j 凹部
4 ポンプシリンダ
4b 凹部
4d 突起部
4e 小突起部
4f,4h 突起部
5 ベローズ
5d 凹部
6 スペーサ
7 軸
8 ピストンケース
9 ピストン
10 ピストンカバー
6〜10 エアシリンダ部
11 外カバー
Claims (3)
- 流体の流入路及び流出路を備えたポンプボディと、
前記ポンプボディの一端部に設けられたポンプシリンダと、
前記ポンプシリンダ内を中心軸方向に沿って伸縮可能であり、前記ポンプボディ及びポンプシリンダと共にポンプ作用室を形成するベローズと、
前記ベローズを伸縮させるエアシリンダ部と、
前記ポンプシリンダ、ベローズ及びエアシリンダ部を包み込むとともに、これらを前記中心軸方向において前記ポンプボディとの間に挟み込んだ状態で、当該ポンプボディと螺合して前記中心軸方向に相互に締め付け合う外カバーとを備え、
前記ポンプボディ及びベローズの少なくとも一方と前記ポンプシリンダとの接続箇所に設けられた相対向するシール部が、前記外カバーとポンプボディとの締め付けに応じて相互に食い込んでシールを構成することを特徴とするポンプ。 - 前記シール部の一方はリング状の突起部を有し、他方は、当該突起部を圧入させる凹部を有する請求項1記載のポンプ。
- 前記各部は樹脂製であり、前記突起部の高さより低いリング状の小突起部が、前記シール部の片方にのみ形成されている請求項2記載のポンプ。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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