JP2878393B2 - 車両用表皮材の製造方法 - Google Patents

車両用表皮材の製造方法

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JP2878393B2
JP2878393B2 JP13317090A JP13317090A JP2878393B2 JP 2878393 B2 JP2878393 B2 JP 2878393B2 JP 13317090 A JP13317090 A JP 13317090A JP 13317090 A JP13317090 A JP 13317090A JP 2878393 B2 JP2878393 B2 JP 2878393B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、車室内の座席表皮、ドアの内張、天井材、
床カーペット等に用いることにより車室内の悪臭を除去
する機能を有する車両用表皮材の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
近年、乗用車の走行性能、安全性、居住性等の基本性
能の完成度が高まるにつれて、乗車時の快適さに大きな
影響を持つ車室内のにおいに関する関心が高まり、車室
内雰囲気中の悪臭を低減するためのより有効な対策が要
求されるようになってきた。ここでいう悪臭とは、例え
ば煙草臭、汗臭、かび臭、排気ガス臭、樹脂製内装材や
接着剤から発生する溶剤臭や可塑剤臭等のにおいであ
る。
これら悪臭の成分は、アンモニアやアミン類等の窒素
系化合物、トルエン、スチレン、イソプレン等の炭化水
素化合物および硫化水素、メチルメルカプタン、硫化ジ
メチル、二硫化ジメチル等の硫黄系化合物である。
一方、車両乗車時に座標表皮と衣服との摩擦により人
体に蓄積された静電気が、降車時にドアなどに触れた際
に放電して身体に不快感を与えるという現象は多くの人
が経験していることである。
このような人体に蓄積する静電気の発生を抑える機能
と、上記した車室内の悪臭を除去する機能とを同時に兼
ね備えた車両用表皮材として布地を構成する糸同士の結
合強度を向上させるためのバックコーティング層の中に
粘土鉱物、活性炭を添加した車両用表皮材が考えられ
る。これは、優れた脱臭性能および静電気帯電防止性能
を有することが期待できる。
しかしながら、このような車両用表皮材を生産性よ
く、安定して、安価に生産できる製造方法は従来存在し
なかった。
さらに、従来の製造方法によって粘土鉱物および活性
炭を添加した車両用表皮材の製造した場合、この表皮材
は、布地については通常の表皮材と同じものを用いてい
るため、表皮にしみつく臭気物質の量は通常の表皮材と
おなじで、それを粘土鉱物と活性炭が吸収することで臭
気の再放出を抑えるという機構で脱臭性能が発揮され
る。そこで、煙の粒子のような液状臭気物質に長時間曝
される場合や、臭気の強い液体のような高濃度の臭気物
質を含んだ液体が降りかかった場合に、布表面や、粘土
鉱物、活性炭が臭気物質を含んだ液体を大量に吸収して
しまい脱臭性能の寿命が短くなってしまうという問題が
生じる。
〔発明の目的〕
しかして本発明の目的は、車室内の悪臭を効果的に脱
臭し、しかもその効果を長期にわたって持続し、さらに
車両乗車時に人体に蓄積する静電気の発生を抑える機能
をも同時に兼ね備えた車両用表皮材を生産性よく、安定
して製造できる方法を提供することにある。
さらには、粘土鉱物や活性炭の表面に吸着して臭気成
分の吸着能力を著しく阻害したり、それ自信が揮発して
においの発生源になることを防止する撥水処理を施した
車両用表皮材を生産性よく、安定して製造できる方法を
提供することにある。
〔第1発明の構成〕 本発明者等は、上記従来の課題を解決するために鋭意
研究を行い、各種の系統的実験を重ねた結果、含水珪酸
マグネシウム質粘土鉱物、活性炭および分散剤を含有す
るバックコーティング剤を、布地に含有させることによ
り、脱臭性能を表皮材に付与できる車両用表皮材の製造
方法を完成するに至った。
すなわち、本発明の車両用表皮材の製造方法は高分子
ラテックスの固形分100重量部に対して含水珪酸マグネ
シウム質粘土鉱物と活性炭とをあわせて50〜180重量
部、前記高分子ラテックスに先だち添加される分散剤3
〜20重量部を、該粘土鉱物と活性炭の総量に対して活性
炭の含有率が10〜90重量%となるように混合するバック
コーティング剤の調製工程と前記バックコーティング剤
を布地の裏面に平方メートルあたり固形分量で50〜200g
塗布する工程と、前記バックコーティング剤が塗布され
た布地を乾燥し、前記高分子ラテックス同士を融着する
ことにより前記バックコーティング剤中の固形分を固定
する工程とからなる。
本発明において、布地に施されるバックコーティング
剤は、高分子ラテックスの固形分100重量部に対して、
通常、粘土鉱物と活性炭とを合わせて50〜180重量部、
分散剤を3〜20重量部添加、混合することにより得られ
る。粘土鉱物と活性炭の添加量の和が50重量部未満では
十分な脱臭性能が期待できず、180重量部を超えると相
対的に高分子ラテックスが不足し、バックコーティング
剤本来の性質すなわち布地の寸法精度の向上、糸のほつ
れや目開きの防止、布地の強度向上、難燃剤の保持性等
が不十分なものになるからである。また、分散剤の添加
量が3重量部未満である場合にはバックコーティング剤
の安定性が不十分となり、20重量部を越えるとバックコ
ーティング剤の耐水性や耐候性が悪くなる。
また、活性炭の含有率は、粘土鉱物と活性炭の総量の
10〜90重量%の範囲とすることが好ましい。活性炭の含
有率が10重量%未満あるいは90重量%を越えた場合に
は、両者のうち少ない方の吸着特性が十分発揮されない
ために脱臭性能が損なわれる。
本第一発明は、上記組成のバックコーティング剤を、
布地裏面に塗布し、乾燥させて樹脂化させる。塗布量
は、布地一平方メートルあたり固形分量で50〜200gの範
囲とし、50g/m2未満の場合は活性炭および粘土鉱物の量
が少ないために脱臭性能が不十分となり、200g/m2を越
えて塗布すると布地の剛性が大きくなり過ぎて風合いを
損なう。
〔第1発明の作用・効果〕 本第1発明のバックコーティング剤の調製工程では、
高分子ラテックス、含水珪酸マグネシウム質粘土鉱質お
よび活性炭が分散剤の働きで水中に均一に分散されたコ
ロイド溶液状のバックコーティング剤が作られる。
バックコーティング剤の塗布工程では、前記のように
調製されたバックコーティング剤が布地裏面に均一に塗
布される。
さらに、バックコーティング剤の樹脂化工程では、布
地裏面に塗布されたバックコーティング剤を乾燥し、ラ
テックス粒子同士を融着させ、バックコーティング剤を
塗布した布地全体を樹脂化し、バックコーティング剤中
の固形分を固定する。
高分子ラテックスは、それ自身は脱臭性を殆ど有しな
いが、バックコーティング剤を布地に塗布、乾燥する際
に粘土鉱物および活性炭を覆うことなく多孔質な膜を形
成する。従って、粘土鉱物および活性炭の脱臭性能を阻
害することなく、両者が有する優れた脱臭性能を十分発
揮させる。
また、本第1発明により、布地に固定される粘土鉱物
は直径が0.005〜0.6μm程度の繊維の集合体で、該繊維
に平行に約1×0.6nm程度の長方形の断面を持つ細孔が
存在する。従って、粘土鉱物の比表面積は150〜400m2/g
であり、結晶構造による1nm付近の細孔と繊維径による
と思われる20nm付近の細孔が多数見られる。この大きな
比表面積と細孔が、アンモニア、アミン類、脂肪酸等の
悪臭物質の受容部位として機能し、脱臭性を発現させて
いるものと考えられる。
他方、粘土鉱物と共に布地に固定される活性炭は、比
表面積は500〜1300m2/gで、主に10nm付近の細孔を有す
る。そして、この比表面積と細孔の大きさの違いから、
上記粘土鉱物とは別の吸着特性を発揮し、硫化水素、メ
チルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル等の硫化
物系臭やトルエン、スチレン等の炭化水素系臭の受容部
位として機能し、脱臭性を発現させているものと考えら
れる。
このように、これら粘土鉱物と活性炭とは、比表面積
と細孔の大きさの違いからそれぞれ上記したような吸着
物質の違いを生じ、これら効果が相まって車室内に発生
する多種多様な悪臭を効果的に低減することができる。
分散剤は、これら粘土鉱物および活性炭を高分子ラテ
ックス中に安定に分散させる作用を有する。特に、分子
量10,000以上の合成ポリマーまたはセルロース誘導体か
らなる高分子系界面活性剤を使用した場合には、分子の
寸法が大きいために、粘土鉱物および活性炭の細孔に侵
入しないので、臭気成分に働く吸着部位を占有すること
もなく、気化することもない。また、化学的に安定で臭
気物質との相互作用も少ない。
〔第2発明の構成〕 本発明者は、上記従来の課題を解決するために鋭意研
究を行い、各種の系統的実験を重ねた結果、第1発明の
車両用表皮材の製造方法の任意の段階で撥水処理工程を
行うことを特徴とする車両用表皮材の製造方法を完成す
るに至った。
また、撥水処理工程は表皮材のバックコーティング処
理されていない側に施すのが適当であるが、バックコー
ティング剤は、撥水処理をした面に対しても行うことが
できるので本工程は第1発明の製造方法の任意の段階で
行うことができる。
〔第2発明の作用・効果〕 本第二発明によって、液体状の臭気源に汚染されにく
い表皮材を製造できるようになった。この製造方法によ
って車両用表皮材への臭気成分のしみつきを減らし、臭
気成分の再放出をさらに少なくし、脱臭寿命もさらに長
くすることができるようになった。
〔その他の発明〕
本発明の製造方法において用いる高分子ラテックス
は、バックコーティング剤の主要素となるものであり、
布地を構成する繊維と繊維とを結合させることにより、
布地の寸法精度をあげ、繊維のほつれを防止し、また、
含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物、活性炭、難燃剤等の
添加物を保持し、布地に固定する結合剤の役割をする物
質である。
高分子ラテックスとしては合成樹脂ラテックスとゴム
ラテックスがあり、このうち合成樹脂ラテックスは、分
散質としての樹脂コロイド粒子と、分散媒としての水等
から構成され、バックコーティング剤の乾燥時には、粒
子相互の融着により結合剤として有効に作用する。具体
的に例示すれば、合成樹脂ラテックスは、ポリ塩化ビニ
ルラテックス、ポリ塩化ビニリデンラテックス、ポリウ
レタンラテックス、ポリアクリル酸エステルラテック
ス、ポリ酢酸ビニルラテックス、ポリアクリロニトリル
ラテックスおよびこれらの変性体、共重合体等が挙げら
れる。また、ゴムラテックスとしては、具体的には、天
然ゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルゴ
ム、アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレンイソ
ブチレンゴム、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポ
リイソプレン、ポリクロロプレン、ポリエチレンプロピ
レン等が挙げられる。
含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物(以下、粘土鉱物と
称する)は、含水珪酸マグネシウムを生成分とし、その
表面に反応性に富む水酸基を有する粘土鉱物である。こ
の粘土鉱物は、直径が0.005〜0.6μm程度の繊維からな
り、該繊維に平行に約1〜0.6nm程度の長方形の断面を
持つ細孔(チャンネル)が存在するもので、それ自体が
雰囲気中の悪臭や水蒸気を吸着する性質を有する。な
お、粘土鉱物はマグネシウムあるいは珪素の一部がアル
ミニウム、鉄、ニッケル、ナトリウム等に置換されてい
る場合もある。具体的にはセピオライト、シロタイル、
ラフリナイト、ファルコンドアイト、パルゴルスカイト
等が挙げられる。また、通称でマウンテンコルク、マウ
ンテンレザー、マンウテンウッド、海泡石、アタパルジ
ャイトと呼ばれているものはこれにあたる。これらを40
0〜800℃の温度範囲で仮焼したものを用いてもよい。ま
た、この粘土鉱物は、粉末状、粒状、あるいは板状のい
ずれの形で用いてもよいが、粘土鉱物の有する細孔が残
留する程度に粉砕したものがよく、長さが10μm以下で
アスペクト比が100以下の微結晶の集合体であることが
好ましい。この際の粉砕は、ミキサー、ボールミル、振
動ミル、ハンマーミル、ピンミル、叩解機等を用い、湿
式粉砕または乾式粉砕により行う。
活性炭は、結晶構造的には無定形炭素である。その構
造中には、黒鉛の基本結晶子が不規則に配列していて、
ガスまたは薬品により賦活することによって結晶子間の
隙間や一部消失した結晶子のあとに生じた無数の細孔が
存在している。
細孔はマクロポアー、トランジショナルポアー、ミク
ロポアーの3つに分類される。マクロポアーは半径20〜
1000オングストロームよりも大きなもので、その容積は
0.2〜0.5ml/g、表面積は0.5〜2m2/gである。トランジシ
ョナルポアーは半径20〜1000オングストロームのもの
で、容積は0.02〜1.0ml/g、表面積は1〜800m2/gであ
る。ミクロポアーは半径20オングストローム以下のもの
で、容積は0.25〜0.9ml/g、表面積は500〜1400m2/gであ
る。
雰囲気中の臭気ガス分子の殆どはミクロポアーに入る
ことができるので、吸着容量に最も寄与するのはミクロ
ポアーである。トランジショナルポアーは吸着質の細孔
内拡散速度に大きな影響を持っており、また吸着質の相
対圧が高い領域では毛管凝縮によりガスを捕捉する。
以上により、本発明の製造方法にはミクロポアー、ト
ランジショナルポアーが多数存在する活性炭を使用す
る。
活性炭の原料としては、加熱して炭化する物質は全て
が該当するが、大量に安価に安定供給できる原料として
鋸屑、木炭、ヤシ殻、亜炭、泥炭、石炭、バルブ廃液等
がある。また賦活法には、薬品賦活法とガス賦活法があ
る。薬品賦活法に使用される薬品としては原料に対して
脱水作用、浸食作用を持つ薬品、具体的には塩化亜鉛、
燐酸、硫酸、塩化カルシウム、水酸化ナトリウム等や、
酸化性を持つ薬品、具体的には重クロム酸カリウム、過
マンガン酸カリウム等が用いられる。ガス賦活法では、
まず原料を炭化させておき、次に高温でガスに接触させ
て賦活する。接触させるガスとしては、水蒸気、炭酸ガ
ス、空気およびそれらの混合ガス等が用いられる。この
ようにして得られた活性炭のいずれも本発明に好適に用
いることができるが特にミクロポアーの発達したものが
有効であり、具体的にはやし殻を原料とし、ガス賦活法
によって賦活したものが最も適する。
これら粘土鉱物および活性炭は粒状または粉末状で用
いられ、高分子ラテックスに分散させることによりバッ
クコーティング剤を構成する。これら粘土鉱物および活
性炭の粒子径は、布地に付着した状態で布地の厚みと同
程度の寸法以下、具体的には約3mm以下であればよい
が、あまり、大きい場合には布地としての風合いを悪化
させるため好ましくなく、あまり小さい場合には高分子
ラテックスの中に粘土鉱物および活性炭が埋もれてしま
って脱臭性が低下する。具体的には、1〜200μmの粒
度範囲にあることが望ましい。
本発明において粘土鉱物および活性炭を高分子ラテッ
クスに安定に分散させるために使用される分散剤として
は、分子量10,000以上の高分子系界面活性剤が好適に用
いられる。低分子の界面活性剤では、粘土鉱物または活
性炭の細孔に侵入して脱臭機能を低下させたり、低分子
の界面活性剤自体が気化してにおいの発生源になった
り、雰囲気中に存在する物質と化学反応することによっ
て悪臭を発生させる場合があるため望ましくない。分散
剤とする高分子系界面活性剤としては合成ポリマーとセ
ルロース誘導体とがあり、合成ポリマーとしては、例え
ば、トリポリリン酸ナトリウム、テトラリン酸ナトリウ
ム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、等のポリリン酸塩、
ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポ
リビニルピロリドン、スチレンマレイン酸共重合体等が
挙げられる。またセルロース誘導体としては、例えば、
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース等が挙げられる。
本発明においてバックコーティング剤が施される布地
は、天然繊維、化学繊維またはこれら両方の繊維からな
る織布、編布、不織布であり、具体的には織物、モケッ
ト、タオル地、トリコット、ダブルラッシェル、丸編、
ニードルパンチ等が挙げられる。ここでいう繊維として
は、木綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維、あるいはレーヨ
ン、アセテート、蛋白質繊維、塩化ゴム、ポリアミド、
ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリシアン化
ビニリデン、ポリフルオロエチレン等の化学繊維が挙げ
られる。またはこれら両方の繊維からなる布地を用いて
もよい。
本発明の製造方法に用いるバックコーティング剤に
は、その特性を損なわない範囲で他の添加剤、例えば難
燃剤を添加してもよい。一般的な難燃剤としては、リン
系化合物、塩素系化合物、臭素系化合物、グアニジン系
窒素化合物、アンチモン化合物、ほう素化合物、アンモ
ニウム化合物等があり、具体的としては、リン酸第一ア
ンモニウム、リン酸第二アンモニウム、リン酸トリエス
テル、亜リン酸エステル、フォスフォニウム塩、リン酸
トリアミド、塩素化パラフィン、デクロラン、臭化アン
モニウム、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロ
モエタン、塩酸グアニジン、炭酸グアニジン、リン酸グ
アニル尿素、酸化アンチモン、四ほう酸ナトリウム十水
和物(ほう砂)、硫酸アンモニウム、スルファミン酸ア
ンモニウム等が挙げられる。
また、本発明の製造方法においては、一般的な液状脱
臭剤または粉末状脱臭剤、例えば、植物抽出油、酸化
剤、有機酸、金属塩等を併用することも可能である。こ
の場合、これら脱臭剤は、例えば、バックコーティング
剤や布地を構成する繊維に添加したり、あるいはスプレ
ーや刷毛を用い、直接布地に塗布することにより使用さ
れる。
さらに、本発明の製造方法においては、バックコーテ
ィング剤に含有される活性炭が電気伝導性を有するた
め、これを導電性の布地と組合わせることで、脱臭機能
に加え、静電気除去機能を同時に発現させることが可能
である。この静電気除去機能については次のように考え
られる。
衣服と車両用表皮材との摩擦によって発生した静電気
は、通常の表皮材を用いた場合には表皮材と衣服の表面
に帯電し、このうち衣服に帯電した静電気によって人体
に帯電する。これに対し本発明の方法で製造された表皮
材では、表皮材を構成する布地に導電性のものを使用で
きることおよびバックコーティング剤に由来する樹脂層
が導電性であることにより、衣服と車両用表皮材との摩
擦によって発生した静電気は、表皮材中に含まれる導電
性繊維により集電され、空中にコロナ放電をされるか、
または集電された静電気はバックコーティング剤中の活
性炭により表皮材全体に拡散され、局部的な高電圧の発
生が抑えられ、徐々に空中へ放電されて行く。よって人
体には、静電誘導による高電圧の静電気は発生しない。
このようにして静電気は効果的に除去され、車両降車時
の不快な放電現象が防止される。
ここでいう導電性の布地とは、銅、アルミニウム、ス
テンレス、カーボン、導電性高分子等の導電性の物質を
有機質繊維の中に粒子状で混合したり、該有機質繊維の
表面に真空蒸着法でコーティングしたり、該有機質繊維
とクラッドさせたもの、または導電性の物質そのものか
らなる導電性繊維を布地に対して0.1〜20重量%含有さ
せた織布、編布、不織布であり、具体的には織物、モケ
ット、タオル地、トリコット、ダブルラッシェル、丸
編、ニードルパンチ等が挙げられる。この場合、布地を
主として構成する繊維としては、木綿、麻、絹、羊毛等
の天然繊維、レーヨン、アセテート、蛋白質繊維、塩化
ゴム、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポ
リエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレ
タン、ポリシアン化ビニリデン、ポリフルオロエチレン
等の化学繊維が挙げられ、またはこれらの両方の繊維よ
り構成してもよい。導電性繊維の含有量が0.1重量%未
満の場合は布地の導電性が悪いため静電気が十分に放電
されず、20重量%を越えると、導電性繊維自体の色が布
地全体の色に与える影響が大きくなり、布地が本来持っ
ている外観や風合を損なうことになる。またコストが高
くつく割に静電気抑制効果が大きくならない。
布地への導電性繊維の添加方法としては、繊維状態で
の混合、スライバー状態でのミックス、糸状での撚糸、
フィラメント状でのミックスまたは撚糸、組織上での配
列のいずれでもよい。
また、この場合、バックコーティング剤に含有される
活性炭の含有量は、粘土鉱物と活性炭の総量の40〜90重
量%とすることが好ましい。活性炭の含有量が40重量%
に満たない場合には、静電気の放電効果が十分でなく、
また90重量%を越えた場合には、上記した通り、粘土鉱
物の吸着特性が十分発揮されないために脱臭性能が損な
われる。
本発明は撥水処理工程に用いる撥水処理液はフッ素樹
脂エマルションを主成分として使用することが望まし
い。前記エマルション中のフッ素系樹脂含有率は1〜10
重量%が適当である。これより少ないと撥水効果が顕著
に発現しないし、これより多くしても,撥水効果はさほ
ど向上せず、フッ素系樹脂が有効に活用されない。撥水
処理工程における表皮材の熟成は100℃〜180℃で行うの
が適当である。これ以下では、撥水剤の表皮材への付着
力が不十分となり、これ以上では熱により撥水剤の効果
が低下する。
本発明の撥水処理液に用いるフッ素系樹脂エマルショ
ンとしては車両用表皮材に対する付着性、撥水効果の大
きさなどからフルオロアクリレートエマルションが適当
である。特に樹脂側鎖中に含まれるフッ素原子が多いも
の程好適である。このエマルションは弱カチオン性で、
酸性のものがよく、溶媒としてはアセトン、水等が用い
られる。
本発明のフルオロアクリレートエマルションは、微粒
子が分散したエマルションであることによって、粘土鉱
物、活性炭の細孔に入らず吸着能力を阻害しない。エマ
ルション系でなく溶剤系の物は、溶剤や撥水処理剤自身
が、粘土鉱物、活性炭の細孔に入り吸着能力を阻害する
ため、また溶剤によってバックコーティング剤中の高分
子ラテックスが不安定になるため適さない。
さらに、このフルオロアクリレートエマルションは撥
水効果が非常に優れている。シリコーン系樹脂側鎖の弗
素原子の少ない樹脂は撥水効果が弱く、車両用には適さ
ない。
前記撥水処理工程に使用する撥水処理液の耐久性を向
上させるためには、メラミン系架橋剤を添加してもよ
い。
表皮材に撥水処理液を塗布する方法としては、浸漬
法、スプレー法等通常行われるものでよいが、得にDIP
・NIP法が好適である。さらにDIPとNIPを2度繰り返す
ことによって、撥水剤が布地によく浸漬し緻密な被膜を
つくることができる。
スプレー法を用いた場合、スプレーによる撥水処理
は、スプレーしない側すなわち表皮材または布地の裏面
には撥水処理被膜があまり形成されないので、表皮材に
ついてはウレタンフォームをラミネート加工する際に、
布地についてはバックコーティング剤を塗布する際に密
着性が良くなるメリットがある。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明は
その旨を越えない限りこれら実施例により何等制限され
るものではない。
〔実施例1〕 水450重量部に、100メッシュ以下のセピオライト45重
量部、325メッシュ以下の椰子殻活性炭45重量部、分子
量100,000のカルボキシメチルセルロースを4重量部入
れ、プロペラ型撹拌機で5分間3000rpmの回転数で混合
撹拌した。次に、上記混合物に固形分率55%のアクリル
酸エステルラテックスを130重量部添加し1500rpmの回転
数で3分間撹拌して、均一なバックコーティング剤を得
た。次に、ポリエステル繊維からなる幅1.2m長さ15mの
モケット布地の裏面に8.8kg(固形分2.2kg)をリバース
ロールコーターによって塗布し、150℃で5分間乾燥し
た。次に、フルオロアクリレートエマルションからなる
撥水剤の3.5%水溶液を処理液とし2回浸漬し、ニップ
ローラーで絞ったあと、乾燥機で140℃で6分間乾燥し
てキュアした。
このようにしてできた車両用表皮材を用いて各々車1
台分のシートアッセンブリーを作製し、3台の4ドアセ
ダンにそれぞれ装着した。装着後、窓ガラス、ドア、ベ
ンチレータを閉じたばこを1本燃やした。この状態で1
日放置した後の車室内に残っている臭気強度を把握する
ため12人のパネリストが車に交互に乗り込み、車室内の
臭気を6段階臭気強度表示で評価した。
また、比較のため、吸着剤を含まず、また撥水処理も
施してない、車両用表皮材を上記と同じように実車に装
着し、臭気の評価を行った。
臭気強度は比較例のものが3.5であったのに対し、本
実施例のものは1.2であり、本実施例の表皮材により臭
気を大幅に低減することができた。
尚、臭気の6段階臭気強度表示による評価において
は、0は「無臭」、1は「やっと感知できるにおい」、
2は「何のにおいかがわかる弱いにおい」、3は「らく
に感知できるにおい」、4は「強いにおい」および5は
「強烈なにおい」を示す。
〔実施例2〕 本実施例ではバックコーティング材を布地に塗布する
前に、布地に撥水処理を施した。本実施例の工程を以下
に記す。
水450重量部に、100メッシュ以下のセピオライト45重
量部、325メッシュ以下の椰子殻活性炭45重量部、分子
量100,000のカルボキシメチルセルロースを4重量部入
れ、プロペラ型撹拌機で5分間3000rpmの回転数で混合
撹拌した。次に、上記混合物に固形分率55%のアクリル
酸エステルラテックスを130重量部添加し1500rpmの回転
数で3分間撹拌して、均一なバックコーティング剤を得
た。次に、ポリエステル繊維からなる幅1.2m長さ15mの
モケット布地を、フルオロアクリレートエマルションの
3.5%水溶液からなる撥水処理液に2回浸漬し、ニップ
ローラーで絞ったあと、乾燥機で140℃で6分間乾燥し
てキュアした。次に、撥水処理をしたモケット布地の裏
面に上記バックコーティング剤8.8kg(固形分2.2kg)を
リバースロールコーターによって塗布し、150℃で5分
間乾燥した。
本実施例の臭気強度は1.3であり、比較例に比べて、
臭気を大幅に低減することができた。
〔実施例3〕 脱臭性能のあるバックコーティング剤を塗布に塗布し
ただけで撥水処理をほどこしていない車両用表皮材を作
製した。その製造工程を以下に記す。
水450重量部に、100メッシュ以下のセピオライト45重
量部、325メッシュ以下の椰子殻活性炭45重量部、分子
量100,000のカルボキシメチルセルロースを4重量部入
れ、プロペラ型撹拌機で5分間3000rpmの回転数で混合
撹拌した。次に、上記混合物に固形分率55%のアクリル
酸エステルラテックスを130重量部添加し1500rpmの回転
数で3分間撹拌して、均一なバックコーティング剤とし
た。つぎに、ポリエステル繊維からなる幅1.2m長さ15m
のモケット布地の裏面に8.8kg(固形分2.2kg)をリバー
スロールコーターによって塗布し、150℃で5分間乾燥
した。
実施例1と同様の方法で臭気強度の評価を行ったとこ
ろ、本実施例の臭気強度は1.7であり、比較例に比べて
臭気を大幅に低減することができた。しかしながら、撥
水処理を施した実施例1、2の表皮材よりは、やや臭気
が強かった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D06M 23/00 D06M 11/00 Z (72)発明者 関原 孝俊 愛知県刈谷市豊田町1丁目1番地 豊田 紡織株式会社内 (72)発明者 松山 昭博 愛知県刈谷市豊田町1丁目1番地 豊田 紡織株式会社内 (72)発明者 荒木 収 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 山田 嘉夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 審査官 佐野 健治 (56)参考文献 特開 昭63−283649(JP,A) 特開 昭62−282926(JP,A) 特開 昭62−282927(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D06N 7/00 - 7/06 D06M 15/693 D06M 11/74 D06M 11/77 D06M 23/00 B32B 25/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子ラテックスの固形分100重量部に対
    して含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物と活性炭とをあわ
    せて50〜180重量部、前記高分子ラテックスの固形分に
    先だち添加される分散剤3〜20重量部を、該粘土鉱物と
    活性炭の総量に対して活性炭の含有率が10〜90重量%と
    なるよう混合するバックコーティング剤の調整工程と前
    記バックコーティング剤を布地の裏側に平方メートルあ
    たり固形分量で50〜200g塗布する工程と、前記バックコ
    ーティング剤が塗布された布地を乾燥し、前記高分子ラ
    テックス同士を融着することにより前記バックコーティ
    ング剤中の固形分を固定する工程とからなる車両用表皮
    材の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項(1)記載の車両用表皮材の製造方
    法の任意の段階でフルオロアクリレートエマルションに
    よる撥水処理工程を行うことを特徴とする車両用表皮材
    の製造方法。
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