JPH08260360A - 車両用表皮材 - Google Patents

車両用表皮材

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Publication number
JPH08260360A
JPH08260360A JP8035593A JP3559396A JPH08260360A JP H08260360 A JPH08260360 A JP H08260360A JP 8035593 A JP8035593 A JP 8035593A JP 3559396 A JP3559396 A JP 3559396A JP H08260360 A JPH08260360 A JP H08260360A
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JP
Japan
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vehicle
weight
skin material
activated carbon
parts
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Application number
JP8035593A
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English (en)
Inventor
Akihiko Suda
明彦 須田
Katsuji Yamashita
勝次 山下
Masahiro Sugiura
正洽 杉浦
Hiroaki Hayashi
宏明 林
Takatoshi Suzuki
隆敏 鈴木
Yuki Watanabe
有樹 渡辺
Takatoshi Sekihara
孝俊 関原
Akihiro Matsuyama
昭博 松山
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Toyota Boshoku Corp
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Boshoku Corp
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Publication date
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  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車室内の悪臭を効果的に除去し、その効果を
長期間持続するとともに、車両乗車時に人体に蓄積する
静電気の発生を抑えることのできる車両用表皮材を提供
する。 【解決手段】 高分子ラテックスの固形分100重量部
に対して、含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物と活性炭と
を合せて50〜180重量部、分散剤を3〜20重量部
含有し、かつ上記活性炭の含有率が、上記粘土鉱物と活
性炭の総量の40〜90重量%である混合樹脂エマルジ
ョンを、導電性の布地に1平方メートルあたり固形分量
で50〜200g含有させ、これを樹脂化させて車両用
表皮材とする。粘土鉱物と活性炭の有する脱臭機能に加
え、活性炭の電気伝導性と導電性の布地の組合わせによ
り静電気の除去機能を発現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車室内の座席表
皮、ドアの内張、天井材、床カーペット等に用いること
により車室内の悪臭を除去する機能を有する車両用表皮
材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、乗用車の走行性能、安全性、居住
性等の基本性能の完成度が高まるにつれて、乗車時の快
適さに大きな影響を持つ車室内の臭いに関する関心が高
まり、車室内雰囲気中の悪臭を低減するためのより有効
な対策が要求されるようになってきた。ここでいう悪臭
とは、例えば煙草臭、汗臭、かび臭、排気ガス臭、樹脂
製内装材や接着剤から発生する溶剤臭や可塑剤臭等のに
おいである。
【0003】従来より、これらの悪臭を防止するための
対策として、芳香剤を用いて悪臭をマスキングまたは感
覚的に中和する方法や、液体脱臭剤を散布または揮発さ
せる方法があるが、一時的なものにすぎず、その効果は
満足できるものではない。また空気浄化装置による悪臭
の除去も行われているが、小型のものでは十分な効果が
得られず、大型のものでは装置が大掛かりとなって車室
内空間が狭められる上、コスト高となり、消費電力も大
きい。また駐車中の車室内のように空気浄化装置が稼動
してない間は効果を期待することができない。
【0004】一方、脱臭性を有する材料として、含水珪
酸マグネシウム質粘土鉱物を添加したシート状材料が知
られており(特開昭62−282926号公報、特開昭
62−282927号公報)、これらは含水珪酸マグネ
シウム質粘土鉱物の持つ吸着特性のために優れた脱臭性
能を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この含
水珪酸マグネシウム質粘土鉱物は、アンモニアやアミン
類を主成分とする煙草臭や脂肪酸臭には優れた吸着作用
を示すものの、トルエン、スチレン、イソプレン等の炭
化水素系の臭気成分や、硫化水素、メチルメルカプタ
ン、硫化ジメチル、二硫化ジメチル等の硫化物系の臭気
成分に対する吸着特性はあまり良好とはいえない。その
ため、特に炭化水素系の成分が主体となる車室内の臭
気、排ガス臭、ガソリン臭、溶剤臭、接着剤臭等の脱臭
効果は十分とはいえなかった。
【0006】一方、車両乗車時に座席表皮と衣服との摩
擦により人体に蓄積された静電気が、降車時にドアなど
に触れた際に放電して身体に不快感を与えるという現象
は多くの人が経験していることである。これを解決する
ために、近年、車両用表皮材を構成する布地に導電性の
繊維を用い、導電性の材料、例えばカーボンブラック、
金属粉、導電性繊維粉末等を添加したバックコーティン
グ剤を施して静電気の蓄積を防止することが検討されて
いる。
【0007】そして、このような人体に蓄積する静電気
の発生を抑える機能と、上記した車室内の悪臭を除去す
る機能とを同時に兼ね備えた車両用表皮材が実現できれ
ば、実用上極めて有利であり、これら両者の機能を同時
に有する車両用表皮材が望まれている。
【0008】しかして本発明の目的は、車室内の悪臭を
効果的に脱臭し、しかもその効果を長期にわたって持続
するという機能と、車両乗車時に人体に蓄積する静電気
の発生を抑える機能とを同時に兼ね備えた車両用表皮材
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
の課題を解決するために鋭意研究を行い、各種の系統的
実験を重ねた結果、含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物、
活性炭および分散剤を含有する混合樹脂エマルジョン
を、布地に含有させることにより、車室内の悪臭を効果
的に脱臭してその効果を長期にわたって持続することが
できること、しかも活性炭の含有率を特定の範囲とし導
電性の布地を使用することにより、静電気の除去効果が
合わせて得られることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0010】すなわち、本発明の車両用表皮材は、含水
珪酸マグネシウム質粘土鉱物、活性炭および分散剤を含
有する高分子ラテックスからなる混合樹脂エマルジョン
に由来する樹脂層と布地からなり、高分子ラテックスの
固形分100重量部に対して、含水珪酸マグネシウム質
粘土鉱物と活性炭とを合せて50〜180重量部、分散
剤を3〜20重量部含有し、上記活性炭の含有率が、上
記粘土鉱物と活性炭の総量の40〜90重量%である混
合樹脂エマルジョンを、導電性の布地に1平方メートル
あたり固形分量で50〜200g含有させ、これを樹脂
化させたことを特徴とするものである。
【0011】本発明における混合樹脂エマルジョンの主
成分の一つである粘土鉱物は、直径が0.005〜0.
6μm程度の繊維の集合体で、該繊維に平行に約1×
0.6nm程度の長方形の断面を持つ細孔が存在する。
従って、粘土鉱物の比表面積は150〜400m2 /g
あり、結晶構造による1nm付近の細孔と繊維径による
と思われる20nm付近の細孔が多数見られる。この大
きな比表面積と細孔が、アンモニア、アミン類、脂肪酸
等の悪臭物質の受容部位として機能し、脱臭性を発現さ
せているものと考えられる。
【0012】他方、粘土鉱物と並び混合樹脂エマルジョ
ンの主成分として含有される活性炭は、比表面積は50
0〜1300m2 /gで、主に10nm付近の細孔を有
する。そして、この比表面積と細孔の大きさの違いか
ら、上記粘土鉱物とは別の吸着特性を発揮し、硫化水
素、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル等
の硫化物系臭やトルエン、スチレン等の炭化水素系臭の
受容部位として機能し、脱臭性を発現させているものと
考えられる。
【0013】このように、これら粘土鉱物と活性炭と
は、比表面積と細孔の大きさの違いからそれぞれ上記し
たような吸着物質の違いを生じ、これら効果が相まって
車室内に発生する多種多様な悪臭を効果的に低減するこ
とができる。
【0014】分散剤は、これら粘土鉱物および活性炭を
高分子ラテックス中に安定に分散させる作用を有する。
特に、分子量10000以上の合成ポリマーまたはセル
ロース誘導体からなる高分子系界面活性剤を使用した場
合には、分子の寸法が大きいために、粘土鉱物および活
性炭の細孔に侵入しないので、臭気成分に対して働く吸
着部位を専有することもなく、気化することもない。ま
た、化学的に安定で臭気物質との相互作用も少ない。
【0015】高分子ラテックスは、それ自身は脱臭性を
殆ど有しないが、混合樹脂エマルジョンを布地に塗布、
乾燥する際に粘土鉱物および活性炭を覆うことなく多孔
質な膜を形成する。従って、本発明の構成によれば、粘
土鉱物および活性炭の脱臭性能を阻害することなく、両
者が有する優れた脱臭性能を十分発揮することができる
ものと考えられる。
【0016】さらに、本発明においては、混合樹脂エマ
ルジョンに含有される活性炭が電気伝導性を有するた
め、これを導電性の布地と組合わせることで、脱臭機能
に加え、静電気除去機能を同時に発現させることが可能
である。この静電気除去機能については次のように考え
られる。
【0017】衣服と車両用表皮材との摩擦によって発生
した静電気は、通常の表皮材を用いた場合には表皮材と
衣服の表面に帯電し、このうち衣服に帯電した静電気に
よって人体に帯電する。これに対し本発明の表皮材で
は、表皮材を構成する布地および混合樹脂エマルジョン
に由来する樹脂層がいずれも導電性であるため、衣服と
車両用表皮材との摩擦によって発生した静電気は、表皮
材中に含まれる導電性繊維により集電され、空中にコロ
ナ放電されるか、または集電された静電気は混合樹脂エ
マルジョン中の活性炭により表皮材全体に拡散され、局
部的な高電圧の発生が抑えられ、徐々に空中へ放電され
て行く。よって人体には、静電誘導による高電圧の静電
気は発生しない。このようにして静電気は効果的に除去
され、車両降車時の不快な放電現象が防止される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明の構成を詳細に説明
する。本発明において用いる高分子ラテックスは、混合
樹脂エマルジョンの主要素となるものであり、布地を構
成する繊維と繊維とを結合させることにより布地の寸法
精度をあげ、繊維のほつれを防止し、また、含水珪酸マ
グネシウム質粘土鉱物、活性炭、難燃剤等の添加物を維
持し、布地に固定する結合剤の役割をする物質である。
【0019】高分子ラテックスとしては合成樹脂ラテッ
クスとゴムラテックスがあり、このうち合成樹脂ラテッ
クスは、分散質としての樹脂コロイド粒子と、分散媒と
しての水等から構成され、混合樹脂エマルジョンの乾燥
時には、粒子相互の融着により結合剤として有効に作用
する。具体的に例示すれば、合成樹脂ラテックスは、ポ
リ塩化ビニルラテックス、ポリ塩化ビニリデンラテック
ス、ポリウレタンラテックス、ポリアクリル酸エステル
ラテックス、ポリ酢酸ビニルラテックス、ポリアクリロ
ニトリルラテックスおよびこれらの変性体、共重合体等
が挙げられる。また、ゴムラテックスとしては、具体的
には、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニ
トリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプ
レンイソブチレンゴム、ポリイソブチレン、ポリブタジ
エン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリエチレ
ンプロピレン等が挙げられる。
【0020】含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物(以下、
粘土鉱物と称する)は、含水珪酸マグネシウムを主成分
とし、その表面に反応性に富む水酸基を有する粘土鉱物
である。この粘土鉱物は、直径が0.005〜0.6μ
m程度の繊維からなり、該繊維に平行に約1〜0.6n
m程度の長方形の断面を持つ細孔(チャンネル)が存在
するもので、それ自体が雰囲気中の悪臭や水蒸気を吸着
する性質を有する。なお、粘土鉱物はマグネシウムある
いは珪素の一部がアルミニウム、鉄、ニッケル、ナトリ
ウム等に置換されている場合もある。具体的にはセピオ
ライト、シロタイル、ラフリナイト、ファルコンドアイ
ト、パリゴルスカイト等が挙げられる。また、通称でマ
ウンテンコルク、マウンテンレザー、マウンテンウッ
ド、海泡石、アタパルジャイトと呼ばれているものはこ
れにあたる。これらを400〜800℃の温度範囲で仮
焼したものを用いてもよい。また、この粘土鉱物は、粉
末状、粒状、あるいは板状のいずれの形で用いてもよい
が、粘土鉱物の有する細孔が残留する程度に粉砕したも
のがよく、長さが10μm以下でアスペクト比が100
以下の微結晶の集合体であることが好ましい。この際の
粉砕は、ミキサー、ボールミル、振動ミル、ハンマーミ
ル、ピンミル、叩解機等を用い、湿式粉砕または乾式粉
砕により行う。
【0021】活性炭は、結晶構造的には無定形炭素であ
る。その構造中には、黒鉛の基本結晶子が不規則に配列
していて、ガスまたは薬品により賦活することによって
結晶子間の隙間や一部消失した結晶子のあとに生じた無
数の細孔が存在している。
【0022】細孔はマクロポアー、トランジショナルポ
アー、ミクロポアーの3つに分類される。マクロポアー
は半径20〜1000オングストロームよりも大きなも
ので、その容積は0.2〜0.5ml/g、表面積は
0.5〜2m2 /gである。トランジョナルポアーは半
径20〜1000オングストロームのもので、容積は
0.02〜1.0ml/g、表面積は1〜800m2
gである。ミクロポアーは半径20オングストローム以
下のもので、容積は0.25〜0.9ml/g、表面積
は500〜1400m2 /gである。
【0023】雰囲気中の臭気ガス分子の殆どはミクロポ
アーに入ることができるので、吸着容量に最も寄与する
のはミクロポアーである。トランジショナルポアーは吸
着質の細孔内拡散速度に大きな影響をもっており、また
吸着質の相対圧が高い領域では毛管凝縮によりガスを補
足する。マクロポアーはガスの吸着には殆ど影響しな
い。これらの細孔構造は、原料と賦活条件によって変化
する。
【0024】活性炭の原料としては、加熱して炭化する
物質は全てが該当するが、大量に安価に安定供給できる
原料として鋸屑、木炭、ヤシ殻、亜炭、泥炭、石炭、パ
ルプ廃液等がある。また賦活法には、薬品賦活法とガス
賦活法がある。薬品賦活法に使用される薬品としては原
料に対して脱水作用、浸食作用を持つ薬品、具体的には
塩化亜鉛、燐酸、硫酸、塩化カルシウム、水酸化ナトリ
ウム等や、酸化性をもつ薬品、具体的には重クロム酸カ
リウム、過マンガン酸カリウム等が用いられる。ガス賦
活法では、まず原料を炭化させておき、次に高温でガス
に接触させて賦活する。接触させるガスとしては、水蒸
気、炭酸ガス、空気およびそれらの混合ガス等が用いら
れる。このようにして得られた活性炭のいずれも本発明
に好適に用いることができるが、特にミクロポアーの発
達したものが有効であり、具体的にはヤシ殻を原料と
し、ガス賦活法によって賦活したものが最も適する。
【0025】これら粘土鉱物および活性炭は粒状または
粉末状で用いられ、高分子ラテックスに分散させること
により混合樹脂エマルジョンを構成する。これら粘土鉱
物および活性炭の粒径は、布地に付着した状態で布地の
厚みと同程度の寸法以下、具体的には約3mm以下であれ
ばよいが、あまり大きい場合には布地としての風合いを
悪化させるため好ましくなく、あまり小さい場合には高
分子ラテックスの中に粘土鉱物および活性炭が埋もれて
しまって脱臭性が低下する。具体的には、1〜200μ
mの粒度範囲にあることが望ましい。
【0026】本発明において粘土鉱物および活性炭を高
分子ラテックスに安定に分散させるために使用される分
散剤としては、分子量10000以上の高分子系界面活
性剤が好適に用いられる。低分子の界面活性剤では、粘
土鉱物または活性炭の細孔に侵入して脱臭機能を低下さ
せたり、低分子の界面活性剤自体が気化してにおいの発
生源になったり、雰囲気中に存在する物質と化学反応す
ることによって悪臭を発生させる場合があるため望まし
くない。高分子系界面活性剤としては合成ポリマーとセ
ルロース誘導体とがあり、合成ポリマーとしては、例え
ば、トリポリリン酸ナトリウム、テトラリン酸ナトリウ
ム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、等のポリリン酸塩、
ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポ
リビニルピロリドン、スチレンマレイン酸共重合体等が
挙げられる。またセルロース誘導体としては、例えば、
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース等が挙げられる。
【0027】本発明において、布地に施される混合樹脂
エマルジョンは、高分子ラテックスの固形分100重量
部に対して、通常、粘土鉱物と活性炭とを合せて50〜
180重量部、分散剤を3〜20重量部添加、混合する
ことにより得られる。粘土鉱物と活性炭の添加量の和が
50重量部未満では十分な脱臭性能が期待できず、18
0重量部を越えると相対的に高分子ラテックスが不足
し、混合樹脂エマルジョン本来の性質すなわち布地の寸
法精度の向上、糸のほつれや目開きの防止、布地の強度
向上、難撚剤の保持性等が不十分なものになるからであ
る。また、分散剤の添加量が3重量部未満である場合に
は混合樹脂エマルジョンの安定性が不十分となり、20
重量部を越えると混合樹脂エマルジョンの耐水性や耐候
性が悪くなる。
【0028】また、活性炭の含有率は、粘土鉱物と活性
炭の総量の40〜90重量%の範囲とすることが好まし
い。活性炭の含有率が40重量%未満である場合には静
電気の放散効果が十分ではなく、また90重量%を越え
た場合には、粘土鉱物の吸着特性が十分発揮されないた
めに脱臭性能が損なわれる。
【0029】なお、本発明の混合樹脂エマルジョンに
は、その特性を損なわない範囲で他の添加剤、例えば難
撚剤を添加してもよい。一般的な難撚剤としては、リン
系化合物、塩素系化合物、臭素系化合物、グアニジン系
窒素化合物、アンチモン化合物、ほう素化合物、アンモ
ニウム化合物等があり、具体例としては、リン酸第一ア
ンモニウム、リン酸第二アンモニウム、リン酸トリエス
テル、亜リン酸エステル、フォスフォニウム塩、リン酸
トリアミド、塩素化パラフィン、デクロラン、臭化アン
モニウム、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロ
モエタン、塩酸グアニジン、炭酸グアニジン、リン酸グ
アニル尿素、酸化アンチモン、四ほう酸ナトリウム+水
和物(ほう砂)、硫酸アンモニウム、スルファミン酸ア
ンモニウム等が挙げられる。
【0030】本発明の車両用表皮材は、上記組成の混合
樹脂エマルジョンを、布地裏面に塗布し、乾燥させて樹
脂化させることにより得られる。塗布量は、布地1平方
メートルあたり固形分量で50〜200gの範囲とし、
50g/m2 未満の場合は活性炭および粘土鉱物の量が
少ないため脱臭性能が不十分となり、200g/m2
越えて塗布すると布地の剛性が大きくなりすぎて風合い
を損なう。
【0031】なお、本発明の車両用表皮材の主目的は、
その優れた脱臭性能により車室内の悪臭を低減し、快適
な居住空間を得ることにあるが、混合樹脂エマルジョン
に電気抵抗の小さい活性炭を含んでいるために、副次的
効果として、静電気を有効に放散させる特性を有してい
る。従って、これを導電性を付与した布地と組合わせる
ことにより、静電気の防止にも有効である。
【0032】ここでいう導電性の布地とは、銅、アルミ
ニウム、ステンレス、カーボン、導電性高分子等の導電
性の物質を有機質繊維の中に粒子状で混合したり、該有
機質繊維の表面に真空蒸着法でコーティングしたり、該
有機質繊維とクラッドさせたもの、または導電性の物質
そのものからなる導電性繊維を布地に対して0.1〜2
0重量%含有させた織布、編布、不織布であり、具体的
には織物、モケット、タオル地、トリコット、ダブルラ
ッシェル、丸編、ニードルパンチ等が挙げられる。この
場合、布地を主として構成する繊維としては、木綿、
麻、絹、羊毛等の天然繊維、レーヨン、アセテート、蛋
白質繊維、塩化ゴム、ポリアミド、ポリビニルアルコー
ル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリ
ロニトリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリウレタン、ポリシアン化ビニリデン、ポリフ
ルオロエチレン等のシアン化ビニリデン、ポリフルオロ
エチレン等の化学繊維が挙げられ、またはこれらの両方
の繊維より構成してもよい。導電性繊維の含有量が0.
1重量%未満の場合は布地の導電性が悪いため静電気が
十分に放散されず、20重量%を越えると、導電性繊維
自体の色が布地全体の色に与える影響が大きくなり、布
地が本来持っている外観や風合いを損なうことになる。
またコストが高くつく割に静電気抑制効果が大きくなら
ない。
【0033】布地への導電性繊維の添加方法としては、
繊維状態での混合、スライバー状態でのミックス、糸状
での撚糸、フィラメント状でのミックスまたは撚糸、組
織上での配列のいずれでもよい。
【0034】また、本発明においては、一般的な液状脱
臭剤または粉末状脱臭剤、例えば、植物抽出油、酸化
剤、有機酸、金属塩等を併用することも可能である。こ
の場合、これら脱臭剤は、例えば、混合樹脂エマルジョ
ンや布地を構成する繊維に添加したり、あるいはスプレ
ーや刷毛を用い、直接布地に塗布することにより使用さ
れる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はその要旨を越えない限りこれら実施例によ
り何等制限されるものではない。
【0036】(試験例1)ポリ塩化ビニルラテックスに
石炭系活性炭、セピオライト、分散剤としてのポリビニ
ルアルコールを添加した混合樹脂エマルジョンを、ポリ
エステル繊維からなる平織りの織布に塗布して車両用表
皮材を製作し、活性炭およびセピオライトの添加による
脱臭性能を評価した。
【0037】まず、100メッシュ以下の粒度のセピオ
ライト90重量部と250メッシュ以下の粒度の石炭系
活性炭90重量部とを乾式混合した。この混合粉と平均
重合度500のポリビニルアルコール20重量部を45
0重量部の水に溶かしたものとを2軸型混練機を用いて
混合した。その後、ポリ塩化ビニルラテックス200重
量部(固形分50%)を加えてさらに5分間攪拌した。
【0038】次にこのようにして調整した混合樹脂エマ
ルジョン71g(固形分25.0g)を、ポリエステル
繊維からなる横40cm、縦125cm、厚さ2mmの平織り
の織布の裏面に、ドクターブレードを用いて塗布し、1
50℃の熱風乾燥機で6分間乾燥し、厚さ2.3mmの車
両用表皮材を得た。
【0039】得られた車両用表皮材の脱臭性能を以下の
方法で調べた。
【0040】140mm×280mmに切断した車両用表皮
材を、5リットル容器のポリプロピレン/アルミニウム
積層シート製の袋に入れたものを4点用意した。
【0041】最初の袋にはアンモニアの28%水溶液1
0μlを、2番めの袋にはピリジン原液1.5μlを、
3番めの袋にはアセトアルデヒドの10%水溶液18μ
lを、4番めの袋にはスチレン原液4.5μlを、20
0℃に設定した加熱気化器を用いて加熱気化させながら
空気5リットルとともに導入した。
【0042】その後、各袋につき、採気口より袋内空気
の一定量を採取し、アンモニアは北川式ガス検知器(光
明理科学工業(株)製アンモニア検知管105SC)に
より、他の3種についてはガスクロマトグラフ(島津製
作所(株)製)によりガス濃度を測定した。経過時間と
ガス濃度の関係をそれぞれ図1(a)〜(b)、図2
(a)〜(b)に示す。
【0043】(比較例1)試験例1で使用したものと同
じポリ塩化ビニルラテックス200重量部に、ポリビニ
ルアルコール20重量部を水200重量部に溶解したも
のを混合し、セピオライトおよびヤシ殻活性炭を添加せ
ずに混合樹脂エマルジョンを調整した。この混合樹脂エ
マルジョンを試験例1と同様にしてポリエステル繊維製
の平織りの織布の裏面に塗布、乾燥させた後、同様の方
法で脱臭性を評価した。結果をそれぞれ図1(a)〜
(b)、図2(a)〜(b)に併記する。
【0044】各図に明かなように、比較例1に比しセピ
オライトおよびヤシ殻活性炭を添加した混合樹脂エマル
ジョンを塗布した試験例1では、時間の経過とともに各
ガス濃度が大幅に低減していることがわかる。
【0045】(試験例2〜6、比較例2、3)ポリアク
リル酸エステルラテックスにヤシ殻活性炭、セピオライ
ト、分散剤としてのカルボキシメチルセルロースを添加
した混合樹脂エマルジョンを、地糸がレーヨン、ポリエ
ステル混紡、パイル糸がウールの繊維からなるモケット
地に塗布した車両用表皮材を製作し、ポリエステル繊維
からなる平織りの織布に塗布して車両用表皮材を作成
し、脱臭性能を評価した。
【0046】まず、150メッシュ以下の粒度のセピオ
ライトをx重量部、350メッシュ以下の粒度のヤシ殻
活性炭をy重量部、平均分子量130000のカルボキ
シメチルセルロース5重量部を乾式混合した。ここでx
+y=100になるようにして表1に示す種々の配合割
合のものを調製した。また、x=100,y=100の
場合をそれぞれ比較例2、3とした。
【0047】
【表1】
【0048】この混合粉と水500重量部を加え、混合
攪拌機により3分間混練した後、ホモミキサーで5分間
攪拌し、完全に分散させた。ここに、ポリアクリル酸エ
ステルラテックス200重量部(固形分50%)を加え
て、混合攪拌機によりさらに5分間混練した。
【0049】次にこのようにして調製した混合樹脂エマ
ルジョン240g(固形分61.2g)を、他糸がレー
ヨン、ポリエステル混紡、パイル糸がウールの繊維から
なるモケット地(幅300mm,長さ200mm,厚さ4m
m)の裏面に、ロールコーターを用いて塗布し、100
°Cの熱風乾燥機で10分間乾燥し、厚さ4.1mmの車
両用表皮材を得た。
【0050】得られた車両用表皮材の脱臭性能を以下の
方法で調べた。
【0051】表1に示した種々の配合の車両用表皮材
を、140mm×280mmに切断して各2枚用意し、それ
ぞれを5リットル容量のポリプロピレン/アルミニウム
積層シート製の試料袋に入れた。
【0052】各2枚ある試料のうち一方にはアセトアル
デヒドの10%の水溶液1.5μlを、もう一方にはア
ンモニア2.5μlを、200℃に設定した加熱気化器
を用いて加熱気化させながら空気5リットルとともに導
入した。
【0053】そして、臭気ガス導入6時間後に採気口よ
り袋内空気を一定量採取し、上記試験例1と同様の方法
で測定を行った。その結果を図3(a)、(b)に示
す。
【0054】(比較例4)試験例2〜6で使用したもの
と同じポリアクリル酸エステルラテックス100重量部
にカルボキシメチルセルロース2.5重量部を水50重
量部に溶解したものを混合し、セピオライトおよびヤシ
殻活性炭を添加せずに混合樹脂エマルジョンを調製し
た。この混合樹脂エマルジョンを試験例2〜6で使用し
たものと同じモケット地裏面に塗布し、同様にして脱臭
性能を評価した。結果を図3に併記する。
【0055】図2(a)、(b)に示されるように、セ
ピオライトを含まない比較例2ではアンモニアに対して
は良好な脱臭性能を示しているものの(図3(b))、
アセトアルデヒドに対する脱臭効果が小さく(図3
(a))、一方、活性炭を含まない比較例3では、逆に
アセトアルデヒドに対する脱臭効果は示しているもの
の、アンモニアに対する脱臭効果が小さい。これに対
し、セピオライトおよび活性炭の両方を含む試験例2〜
6では、アセトアルデヒドおよびアンモニアの両者に対
して良好な脱臭性能を発揮していることがわかる。
【0056】(試験例7、比較例5)スチレンブタジエ
ンゴムラテックスにヤシ殻活性炭、パリゴルスカイト、
分散剤としてのカルボキシメチルセルロースを添加した
混合樹脂エマルジョンを、地糸、パイル糸ともにポリエ
ステル繊維からなるモケット地に塗布した車両用表皮材
を製作し、脱臭性能を評価した。
【0057】まず、200メッシュ以下の粒度のパリゴ
ルスカイト25重量部、325メッシュ以下の粒度のヤ
シ殻活性炭を25重量部、平均分子量150000のカ
ルボキシメチルセルロース3重量部を乾式混合した。
【0058】この混合粉に水130重量部を加え、混合
攪拌機を用いて混練した後、スチレンブタジエンゴムラ
テックス200重量部(固形分50%)を加えてさらに
3分間攪拌した。
【0059】次にこのようにして調製した混合樹脂エマ
ルジョン80g(固形分32g)を、地糸、パイル糸と
もにポリエステル繊維からなるモケット地(縦40cm、
横40cm、厚さ5mm)の裏面に、ドクターブレードを用
いて塗布し、100℃の熱風乾燥機で10分間乾燥し、
厚さ5.3mmの車両用表皮材を得た。
【0060】また、比較のため、上記試験例7で使用し
たものと同じスチレンブタジエンゴムラテックス100
重量部に、1.5重量部のカルボキシメチルセルロース
を30重量部の水に溶解したものを混合して得た混合樹
脂エマルジョン48.7g(固形分21.5g)を、試
験例7で使用したものと同じモケット地に塗布した車両
用表皮材を作製した(比較例5)。
【0061】試験例7および比較例5で得られた車両用
表皮材をそれぞれ次に示す官能試験に供し、脱臭性能の
評価を行った。
【0062】一辺が45cmの立方体の形状をしたアク
リル製の箱を4個用意し、そのうち2個の箱の内側の天
井部分に、上記試験例7および比較例5の試料を、混合
樹脂エマルジョンを施した面がアクリル板と接するよう
に固定し、箱を密閉した。箱内で紙巻煙草(ハイライ
ト;日本たばこ産業株式会社製、商品名)を2cm燃焼し
30分間放置した。その後、試料を取出し、1時間後に
残り2個の箱の底にそれぞれ試料を置き、箱を密閉し
た。一時間放置した後、12人のパネリストによりそれ
ぞれの試料の入った箱内の臭気強度の比較を行い、その
優劣を判定した。結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】(試験例8、比較例6)塩化ビニルラテッ
クスにヤシ殻活性炭、セピオライト、分散剤としてカル
ボキシメチルセルロース、およびテトラブロモビスフェ
ノールAと三酸化アンチモンを主成分とする難燃剤を添
加した混合樹脂エマルジョンを、ポリエステル40%の
繊維からなる不織布に塗布した車両用表皮材を製作し、
脱臭性能を評価した。
【0065】まず、200メッシュ以下の粒度のセピオ
ライトを60重量部、325メッシュ以下の粒度のヤシ
殻活性炭を60重量部、平均分子量150000のカル
ボキシメチルセルロース8重量部を乾式混合した。
【0066】この混合粉に水500重量部、難燃剤16
7重量部(固形分60%)を加え、混合攪拌機を用いて
混練した後、塩化ビニルラテックス200重量部(固形
分50%)を加えてさらに3分間攪拌した。
【0067】次にこのようにして調製した混合樹脂エマ
ルジョン76.4g(固形分25.2g)を、ポリエス
テル100%の繊維からなる不織布(縦30cm、横60
cm、厚さ3mm)の裏面に、ロールコーターを用いて塗布
し、120℃の熱風乾燥機で10分間乾燥し、厚さ3.
3mmの車両用表皮材を得た。
【0068】また、比較のため、上記試験例8で使用し
たものと同じ塩化ビニルラテックス100重量部に、4
重量部のカルボキシメチルセルロース、難燃剤83.5
重量部を40重量部の水に溶解したものを混合して得た
混合樹脂エマルジョン41.1g(固形分16.0g)
を試験例8で使用したものと同じ不織布に塗布した車両
用表皮材を作製した(比較例6)。
【0069】試験例8および比較例6で得られた車両用
表皮材をそれぞれ上記試験例7、比較例5同様の官能試
験に供し、脱臭性能の評価を行った。結果を表2に併記
する。
【0070】表2の結果より明らかなように、試験例
7、8の車両用表皮材は、比較例5、6に比して、いず
れも脱臭性に優れていることがわかる。
【0071】(実施例1、比較例7)ウール100%よ
りなるトップを含金染料にて染色した後スライバーにし
たものと、スライバー状導電性繊維を導電性繊維比率
0.5%となるようにミックスさせ、毛番1/32の糸
に紡績し、さらに合撚糸にて毛番3/32とした。この
糸を地糸(経糸、緯糸共通)がポリエステル65%(原
着糸)、レーヨン35%からなる綿番20/2であるモ
ケット地のパイル糸として使用した。このモケット地を
通常の方法にて毛割り剪毛を繰返したモケット生機(幅
300mm、長さ2000mm、厚さ4mm)の裏面に、試験
例4で用いたものと同じ組成の混合樹脂エマルジョンを
ロールコーターを用いて塗布し、100℃の熱風乾燥機
で10分間乾燥し、厚さ4.1mmの車両用表皮材を得
た。
【0072】また、比較のため、上記実施例1で使用し
たものと同じモケット生機に、ポリアクリル酸エステル
ラテックス(固形分50パーセント)100重量部に増
粘剤5重量部を添加することにより増粘させた混合樹脂
エマルジョン84g(固形分42g)をロールコーター
を用いて塗布し、100℃の熱風乾燥機で10分間乾燥
し、厚さ4.1mmの車両用表皮材を得た。
【0073】得られた車両用表皮材をそれぞれ上記試験
例7、比較例5同様の官能試験に供し、脱臭性能の評価
を行った。結果を表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】(実施例2、比較例8)トリコットにおい
て、フロント系ポリエステル5本に対し、導電性繊維1
本の割合で配列した3Barトリコット生機において、
通常の分散染料による染色の後、起毛、シャーリングを
繰返してカットパイルトリコット地を得た。このカット
パイルトリコット地(幅300mm、長さ2000mm、厚
さ3.5mm)の裏面に、実施例1で用いたものと同じ組
成の混合樹脂エマルジョンをロールコーターを用いて塗
布し、100℃の熱風乾燥機で10分間乾燥し、厚さ
3.6mmの車両用表皮材を得た。
【0076】また、比較のため、上記実施例2で使用し
たものと同じカットパイルトリコット地に、ポリアクリ
ル酸エステルラテックス(固形分50%)100重量部
に増粘剤5重量部を添加することにより増粘させた混合
樹脂エマルジョン84g(固形分42g)をロールコー
ターを用いて塗布し、100℃の熱風乾燥機で10分間
乾燥し、厚さ3.6mmの車両用表皮材を得た。
【0077】得られた車両用表皮材をそれぞれ上記試験
例7、比較例5同様の官能試験に供し、脱臭性能の評価
を行った。結果を表3に併記する。
【0078】(比較例9)実施例1と同じ生機(幅30
0mm、長さ2000mm、厚さ4mm)の裏面に、ポリアク
リル酸エステルラテックス(固形分50%)100重量
部にカーボンブラックスラリー(固形分50%)100
重量部、増粘剤5重量部を添加した混合樹脂エマルジョ
ン84g(固形分42g)をロールコーターを用いて塗
布し、100℃の熱風乾燥機で10分間乾燥し、厚さ
4.1mmの車両用表皮材を得た。
【0079】得られた車両用表皮材を、実施例1で得ら
れた車両用表皮材とともに、上記実施例1同様の官能試
験に供し、脱臭性能の評価を行った。結果を表3に併記
する。
【0080】表3の結果から明らかなように、本発明の
車両用表皮材は、粘土鉱物および活性炭を含有しない比
較例の場合に比し、脱臭性が飛躍的に向上することがわ
かる。
【0081】次に、実施例1〜2、比較例7〜9で得ら
れた車両用表皮材の厚さ方向の電気抵抗(以下、体積抵
抗率と称する)、および車両用表皮材の混合樹脂エマル
ジョン塗布面表面における電気抵抗(以下、表面抵抗率
と称する)を、図4に示す装置を用いて測定した。図5
は図4の側面断面図である。図において1、2、3は電
極であり、1、2は車両用表皮材4の混合樹脂エマルジ
ョン塗布面41上に、3は車両用表皮材41を挟んで電
極2の対向位置に配設されている。この装置において1
000V加圧時の電極1−電極3間の抵抗を体積抵抗
率、電極1−電極2間の抵抗を表面抵抗率とした。な
お、電極2、3の直径は50mm、電極1と電極2の間隔
は10mmであった。
【0082】さらに、得られた車両用表皮材の静電気除
去性能を調べるため、図6に示すように、車両用表皮材
を座席5に張り、この座席5に座った人6が測定端7に
触れながら立上がった時の瞬間最大電圧(人体帯電圧)
を測定した。この時、人6は標準衣服を着用することと
し、標準衣服としてパイル糸がウールのモケット地の車
両用表皮材に対してはポリエステル製の衣服を、パイル
糸がポリエステルのトリコット地の車両用表皮材に対し
てはウール製の衣服を準備した。結果をそれぞれ表4に
示す。また、人体帯電圧の測定値と官能試験の評価基準
との関係を表5に示す。
【0083】
【表4】
【0084】
【表5】
【0085】以上の結果から明らかなように、本発明の
車両用表皮材は、従来の車両用表皮材に比し、いずれも
脱臭性に優れ、しかも実施例1、2のように導電性の布
地と組合わせた場合には、脱臭効果に加え、さらに静電
気除去性を有することがわかる。また、実施例1、2の
静電気除去性は、カーボンブラックによって導電性を付
与した場合(比較例9)とほぼ同等であることがわか
る。
【0086】
【発明の効果】このように、本発明の車両用表皮材は、
粘土鉱物および活性炭の両者の吸着特性を兼ね備えるこ
とにより、車室内に発生する多種多様の複合臭に対し、
優れた脱臭性能を発揮するとともに、その効果を長期に
わたって持続する。
【0087】また、通常の表皮材は、それ自身のにおい
として有機溶剤臭、樹脂モノマー臭、可塑剤臭等を有し
ており、いわゆる新車臭として問題とされているが、本
発明の車両用表皮材は、その優れた脱臭性能によりそれ
ら臭気の低減にも優れた効果を示し、新車臭を軽減する
ことができる。また、粘土鉱物および活性炭を保持する
混合樹脂エマルジョンに由来する樹脂層により、布地の
糸のほつれや目開きが防止され、寸法精度、強度、併用
添加される難燃剤等の保持性が向上する。
【0088】さらに、活性炭は電気伝導性を有するの
で、導電性の布地と組合わせることにより、上記効果に
加え、衣服等と表皮材との摩擦によって生じた静電気を
除去する機能を併せ有する。従って、降車時にドアに触
れた際に放電が起こり、身体に不快感を与える現象を防
止することができ、しかも優れた脱臭性能を示すので、
実用上極めて高い価値を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(b)は本発明実施例における車
両用表皮材の脱臭性能を示す図である。
【図2】図2(a)〜(b)は本発明実施例における車
両用表皮材の脱臭性能を示す図である。
【図3】図3(a)〜(b)は本発明実施例における車
両用表皮材の脱臭性能を示す図である。
【図4】図4は本発明実施例における体積抵抗率、表面
抵抗率の測定方法を示す図である。
【図5】図5は図4の側面断面図である。
【図6】図6は本発明実施例における人体帯電圧の測定
方法を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須田 明彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 山下 勝次 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 杉浦 正洽 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 林 宏明 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 鈴木 隆敏 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 渡辺 有樹 愛知県刈谷市豊田町1丁目1番地 豊田紡 織株式会社内 (72)発明者 関原 孝俊 愛知県刈谷市豊田町1丁目1番地 豊田紡 織株式会社内 (72)発明者 松山 昭博 愛知県刈谷市豊田町1丁目1番地 豊田紡 織株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子ラテックスの固形分100重量部
    に対して、含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物と活性炭と
    を合せて50〜180重量部、分散剤を3〜20重量部
    含有し、かつ上記活性炭の含有率が、上記粘土鉱物と活
    性炭の総量の40〜90重量%である混合樹脂エマルジ
    ョンを、導電性の布地に1平方メートルあたり固形分量
    で50〜200g含有させ、これを樹脂化させてなる車
    両用表皮材。
JP8035593A 1996-01-29 1996-01-29 車両用表皮材 Pending JPH08260360A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011002171A (ja) * 2009-06-19 2011-01-06 Masakazu Kuroda 空気調和方法及び空気調和装置
JP2015052186A (ja) * 2013-09-09 2015-03-19 株式会社大京建設 建築物修繕工事用メッシュシート及びその連結張囲体
JP2020033683A (ja) * 2018-08-28 2020-03-05 ユニチカ株式会社 ウェアラブルデバイス用布帛及びこれを備えるウェアラブルデバイス

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JP2011002171A (ja) * 2009-06-19 2011-01-06 Masakazu Kuroda 空気調和方法及び空気調和装置
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