JP2877950B2 - 血液循環情報表示装置 - Google Patents

血液循環情報表示装置

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JP2877950B2 JP2507428A JP50742890A JP2877950B2 JP 2877950 B2 JP2877950 B2 JP 2877950B2 JP 2507428 A JP2507428 A JP 2507428A JP 50742890 A JP50742890 A JP 50742890A JP 2877950 B2 JP2877950 B2 JP 2877950B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、血液の循環情報を検出しこれを表示する装
置に関し、特に、縛帯を用いて非観血的に脈波を検出
し、この脈派に基づいて血液の循環情報を得て、これを
診断の便宜に供する形式で表示する装置に関する。
背景技術 循環器疾患の診断には、血圧測定とともに脈波の解析
が必要である。特に、心臓疾患の診断には、心臓近傍の
大動脈波の解析が極めて有効である。この大動脈波を測
定する方法は、観血的方法と非観血的方法とに分けられ
る。観血的方法としては、従来から血管カテーテル測定
法が行われている。この方法は、動脈にカテーテルを入
れ、カテーテルを被測定部位まで挿入することによっ
て、その場所における脈波を直接測定する方法である。
一方、非観血的方法としては、超音波や核磁気共鳴法を
用いた方法が開発され、実用化に至っている。また、一
般にコロトコフ音として知られている縛帯圧迫下で得ら
れる動脈音も、循環器疾患の診断のための貴重な情報を
含んでいると考えられている。
しかしながら、上述した観血的な血管カテーテル測定
法は、動脈にカテーテルを挿入するという大掛かりな方
法であり、患者の肉体的、精神的負担も大きなものにな
り、好ましくない。一方、非観血的な方法では、患者の
負担は軽くなるが、具体的な血圧値をもった脈波の測定
ができないという問題がある。すなわち、非観血的な測
定で得られるのは、脈波の形状だけであり、その血圧値
は同時検出できないのである。したがって、血圧値は別
な方法で測定する必要がある。心臓疾患の診断では、具
体的な血圧値をもった脈波の同時測定が不可欠であり、
従来の非観血的な方法によって得られる脈波だけでは診
断に不十分なものとなっていた。
また、上述した従来の脈波検出装置では、単一の脈波
がそれぞれ別個に呈示されるだけである。心臓疾患の診
断には、脈波の経時的な変動を把握することも重大な要
素のひとつになってくるが、従来の装置ではこのような
脈波の経時的な変動を解析することが困難である。
更に、上述した従来の装置による測定結果では、脈
波、血圧、動脈音の三者を用いた総合的な診断を行うこ
とができないという問題がある。循環器疾患の診断に
は、この三者の総合的把握が非常に重要である。
また、従来装置では、被験体の体全体にわたっての血
液循環状態を視覚的に表示することができないため、循
環器疾患の診断に手間がかかるという問題もある。
発明の開示 本発明の目的は、被験体の体全体にわたっての血液循
環状態を視覚的に把握できる態様で表示することのでき
る血液循環情報表示装置を提供することにある。
本願第1の発明は、上述の目的を達成するため、 生体の発生する脈波を検出する脈波検出部と、 生体を縛帯によって圧迫することにより発生するコロ
トコフ音を、縛帯圧を変化させながら検出し、圧力軸に
沿ってコロトコフ音の波形を記録する音波検出部と、 脈波検出部によって検出された脈波の立ち上がり時点
T0から大動脈弁閉鎖痕が出現する時点T1までの時間軸
に、音波検出部によって記録されたコロトコフ音波形の
心収縮期圧SPから大動脈弁閉鎖痕圧DNPまでの圧力軸を
線形対応させ、脈波とコロトコフ音波形とを同一時間軸
のグラフ上に重ねる高圧期重畳手段と、 脈波検出部によって検出された脈波の大動脈弁閉鎖痕
が出現する時点T1から心拡張期圧DPに到達する時点T2ま
での時間軸に、音波検出部によって記録されたコロトコ
フ音波形の大動脈弁閉鎖痕圧DNPから心拡張期圧DPまで
の圧力軸を線形対応させ、脈波とコロトコフ音波形とを
同一時間軸のグラフ上に重ねる低圧期重畳手段と、 上述したグラフ上の各コロトコフ音波形のそれぞれ最
大ピーク位置にある点を結んだ第1の包絡線と、同グラ
フ上の各コロトコフ音波形のそれぞれ二番目のピーク位
置にある点を結んだ第2の包絡線と、を求め、脈波検出
部によって検出された脈波と、第1の包絡線と、第2の
包絡線と、を同一のグラフ上に表示する表示手段と、 を設け、血液循環情報表示装置を構成するようにした
ものである。
本願第2の発明は、上述の目的を達成するため、 人体の右腕を縛帯によって圧迫することにより発生す
るコロトコフ音と、縛帯圧を変化させながら検出し、圧
力軸に沿ってコロトコフ音の波形を記録する右側音波検
出部と、 人体の左腕を縛帯によって圧迫することにより発生す
るコロトコフ音を、縛帯圧を変化させながら検出し、圧
力軸に沿ってコロトコフ音の波形を記録する左側音波検
出部と、 基準位置を示す第1のシンボルマークを表示し、右側
音波検出部の検出波形を所定の基準と比較し、両者の隔
りに応じて、第1のシンボルマークに対して隔たった位
置に第2のシンボルマークを表示し、左側音波検出部の
検出波形を所定の基準と比較し、両者の隔りに応じて、
第1のシンボルマークに対して第2のシンボルマークと
は反対側に隔たった位置に第3のシンボルマークを表示
するシンボル表示部と、 を設け、血液循環情報表示装置を構成するようにした
ものである。
本願第3の発明は、上述の目的を達成するため、 人体の発生する脈波を検出する脈波検出部と、 人体を縛帯によって圧迫することにより発生するコロ
トコフ音を、縛帯圧を変化させながら検出し、圧力軸に
沿ってコロトコフ音の波形を記録する音波検出部と、 脈波検出部によって検出された脈波の立ち上がり時点
T0から大動脈弁閉鎖痕が出現する時点T1までの時間軸
に、音波検出部によって記録されたコロトコフ音波形の
心収縮期圧SPから大動脈弁閉鎖痕圧DNPまでの圧力軸を
線形対応させ、脈波とコロトコフ音波形とを同一時間軸
のグラフ上に重ねる高圧期重畳手段と、 脈波検出部によって検出された脈波の大動脈弁閉鎖痕
が出現する時点T1から心拡張期圧DPに到達する時点T2ま
での時間軸に、音波検出部によって記録されたコロトコ
フ音波形の大動脈弁閉鎖痕圧DNPから心拡張期圧DPまで
の圧力軸を線形対応させ、脈波とコロトコフ音波形とを
同一時間軸のグラフ上に重ねる低圧期重畳手段と、 グラフ上の各コロトコフ音波形のそれぞれ所定のピー
ク位置にある点を結んだ診断用包絡線を求め、このグラ
フの時間軸を複数の区間に分割し、この各区間に人体の
各部位を対応づけ、この各区間ごとに診断用包絡線を所
定の基準包絡線と比較し、両者の隔りが所定の限度以上
である区間については、その区間に対応づけられた人体
の部位を血流障害部位として表示する血流障害表示手段
と、 を設け、血液循環情報表示装置を構成するようにした
ものである。
図面の簡単な説明 第1図は本願第1の実施例に係る脈波検出装置の構成
を示すブロック図、第2図は第1図の装置における縛帯
を上腕部に装着した状態を示す図、第3図は一般的な大
動脈波の波形図、第4図は心臓から抹消へ至るまでの脈
波の変形を示す図、第5a図は第1図に示す装置による測
定原理を説明するグラフ、第5b図は第5a図のグラフの部
分拡大図、第6a図〜第6e図は縛帯圧と脈波の通過状態と
の関係を示す断面図、第7図は縛帯圧と検出される脈波
との関係を示す波形図、第8a図は第1図に示す装置によ
る実際の測定動作を説明するグラフ、第8b図は第8a図の
グラフの部分拡大図、第9図は第1図に示す装置によっ
て検出した正常者の近似大動脈波を示す波形図、第10図
は第1図に示す装置によって検出した疾患者の近似大動
脈波を示す波形図、第11図は第1図に示す装置に用いる
別な縛帯を示す図、第12図は第11図に示す縛帯を上腕部
に装着した状態を示す図、第13図は本願第2の実施例に
係る脈波検出装置の構成を示すブロック図、第14図は第
13図の装置における縛帯を上腕部に装着した状態を示す
図、第15図は第14図に示す縛帯によって動脈が圧迫され
る状態を示す断面図、第16a図は第13図に示す装置によ
る測定原理を説明するグラフ、第16b図は第16a図のグラ
フの部分拡大図、第17a図〜第17e図は縛帯圧と脈波の通
過状態との関係を示す断面図、第18図は縛帯圧と検出さ
れる脈波との関係を示す波形図、第19図は第13図に示す
装置による前方脈波と後方脈波の比較を示すグラフ、第
20図は第19図の部分拡大図、第21図は第13図に示す装置
によって検出した正常者の近似大動脈波を示す波形図、
第22図は第13図に示す装置によって検出した疾患者の近
似大動脈波を示す波形図、第23図は単一の近似大動脈波
を示す波形図、第24a図は正常者の近似大動脈波を時間
軸を圧縮して10回分並べて表示したチャート、第24b図
は10回分の同じ脈波を重畳して表示したチャート、第25
a図は起立性血行障害をもつ若年患者の近似大動脈波を
時間軸を圧縮して10回分並べて表示したチャート、第25
b図は10回分の同じ脈波を重畳して表示したチャート、
第26a図は循環器系疾患をもつ老齢患者の近似大動脈波
を時間軸を圧縮して10回分並べて表示したチャート、第
26b図は10回分の同じ脈波を重畳して表示したチャー
ト、第27図は第1図に示す装置によって検出した近似大
動脈波および動脈音を示す波形図、第28図および第29図
は第27図に示す波形図に基づいて動脈音を近似大動脈波
に重ねて表示する処理方法を示す図、第30図は第27図に
示す波形図に基づいて複合記録を行った結果を示す図、
第31図は第1図に示す装置によるプリンタの出力結果を
示すグラフ、第32図は第1図に示す装置を用い左右両上
腕の測定結果をプリンタに出力させた結果を示すグラ
フ、第33図は本願第3の実施例に係る血液循環情報表示
装置の構成を示すブロック図、第34図は第33図の装置に
おける縛帯を両腕に装着した状態を示す図、第35図は第
33図の装置において近似大動脈波の周期時間軸上にコロ
トコフ音を対応させて重畳した状態を示す図、第36図は
コロトコフ音の波形拡大図、第37図は第33図の装置にお
いて求められた2つの包絡線を示す図、第38図は第33図
の装置によって表示された脈波/包絡線ダイヤグラム、
第39図は第1の包絡線が示す血液循環情報の例を示す
図、第40図および第41図は第33図の装置において表示さ
れるシンボルマークを示す図、第42図は第33図の装置に
おいて表示しうる別なシンボルマークを示す図、第43図
は第33図の装置において表示される血流障害部位表示を
示す図、第44図は第33図の装置における血流障害部位判
断方法の一例を示す図、第45図は第33図の装置によって
表示された脈波/包絡線ダイヤグラムの一例を示す図、
第46図は第45図のダイヤグラムから得られるシンボル/
血流障害部位表示を示す図、第47図は第33図の装置によ
って表示された脈波/包絡線ダイヤグラムのまた別な一
例を示す図、第48図は第47図のダイヤグラムから得られ
るシンボル/血流障害部位表示を示す図である。
発明を実施するための最良の形態 §1 脈波検出装置I 1.0 基本原理 この§1で開示する実施例は、本願発明の基礎技術に
関連する脈波検出装置である。この発明は、上腕部に縛
帯を巻き、この縛帯に所定の条件下で圧力をかけると、
上腕部において大動脈波と等価な脈波が得られるという
基本原理を発見したことに基づく。縛帯に十分な圧力を
かけると、上腕部を阻血することができる。ここで縛帯
の圧力を徐々に減少させてゆくと、縛帯を通過する脈波
が検出される。この脈波は初めは小さな波であるが、縛
帯の圧力を減少させてゆくに従って、だんだんと大きく
なる。本願発明者は、縛帯の圧力が心拡張期圧DPに一致
したときに、縛帯を通過して検出される脈波が、心臓近
傍における大動脈波に近似するという事実を見出だした
のである。本実施例に係る脈波検出装置では、コロトコ
フ音をモニターしており、コロトコフ音が所定の設定値
に達したときに、縛帯の圧力が心拡張期圧DPに達したと
判断している。この装置の圧力制御手段は、コロトコフ
音が設定値に達したら、縛帯の基準内圧を一定値に維持
する機能を有する。したがって、この間に脈波出力手段
が出力する脈波は、心臓近傍における大動脈波と等価な
ものになる。こうして、心臓近傍の脈波を直接測定する
ことなしに、これと等価な近似大動脈波を上腕部で測定
することができるのである。
1.1 装置の基本構成 第1図は、本発明の一実施例に係る脈波検出装置の基
本構成を示すブロック図である。この装置は、大きく分
けて、装置本体100(一点鎖線で囲んで示す)と縛帯200
との2つの構成部分よりなる。縛帯200は、上腕部を阻
血するための阻血嚢210と、この阻血嚢を通過した脈波
を検出するための検出嚢220とを有する。阻血嚢210は阻
血に必要なだけの十分な大きさをもち、本実施例の場
合、図の長さL1=12cm程度である。また、検出嚢220は
阻血嚢210に比べて十分小さくし、本実施例の場合、図
の長さL2=2cm程度である。検出嚢220が大きすぎると、
空気容量が大きくなるため、これに衝突した脈波を十分
に検出することができなくなる。阻血嚢210と検出嚢220
とは、途中の接続路230において互いに接続されてお
り、阻血嚢210から外部には空気を通すための導管240が
伸びており、検出嚢220から外部には同様に導管250が伸
びている。この縛帯200は、第2図に示すような向き
に、上腕部に着用して用いることになる。
一方、装置本体100は次のような構成になっている。
まず、導管250が接続されている管路101には、音波セン
サ110と圧力センサ120とが設けられている。ここで、い
ずれのセンサも原理的には、導管250を介して導かれる
検出嚢220内の圧力を測定するセンサであるが、圧力セ
ンサ120が脈波の周波数帯域の圧力変動を検出するのに
対し、音波センサ110は音波の周波数帯域、特にコロト
コフ音の周波数帯域(30〜80Hz)を検出するように設計
されている。音波センサ110が検出したアナログ信号
は、増幅器111で増幅され、A/D変換器112によってデジ
タル信号に変換され、CPU130に与えられる。同様に、圧
力センサ120が検出したアナログ信号は、増幅器121で増
幅され、A/D変換器122によってデジタル信号に変換さ
れ、CPU130に与えられる。導管240が接続されている管
路102には、エアポンプ140およびリークバルブ150が接
続されている。このエアポンプ140およびリークバルブ1
50は、CPU130によって制御される。管路101と管路102と
は連結されており、また、阻血嚢210と検出嚢220とは接
続路230で連結されている。したがって、阻血嚢210と検
出嚢220とは、本来、同じ圧力に保たれることになる。
ただし、阻血嚢210は容量が大きいため、振幅の小さな
圧力変動は検出嚢220においてのみ現れる。このため、
音波センサ110および圧力センサ120は、導管250の近傍
に接続するのが好ましい。なお、CPU130には、データを
記憶するためのメモリ160、データを表示するための表
示装置170、およびデータを出力するためのプリンタ180
が接続されている。
1.2 脈波の形態 さて、ここでこの装置の測定対象となる大動脈波がど
のようなものかを簡単に説明しておく。第3図にこの大
動脈波の基本的な波形を示す。この図のように、脈波は
いずれも横軸を時間軸、縦軸を圧力軸にとって示され
る。この大動脈波は、心臓近傍における血圧変動を示す
波形であり、心臓の左心室筋の動きをそのまま表現して
いる。第3図において、時刻t1までは心臓は拡張期であ
り、圧力は心拡張期圧DPとなる。時刻t1〜t2にかけて心
臓が収縮運動を行い、心収縮期圧SPまで圧力は上昇す
る。続いて、心臓は拡張運動に転じるが、時刻t3におい
て大動脈弁が閉じるため、時刻t4に小さな峰が現れる。
この峰は大動脈弁閉鎖痕と呼ばれ、峰直前の谷の圧力は
大動脈弁閉鎖痕圧DNPと呼ばれる。その後、時刻t4〜t5
にかけて圧力は徐々に減少し、再び心拡張期圧DPに戻
る。このような圧力変動が、心臓の1鼓動ごとに現れ、
それが心臓から動脈を伝わって脈波として全身へと伝播
されてゆく。しかしながら、このようにして心臓で発生
した脈波は、末梢への伝播にともなって波形を変えてゆ
く。第4図にこの様子を示す。波形WA〜WFは、心臓の大
動脈弁の直上位置から末梢へそれぞれ0cm〜50cm離れた
部位における脈波を、血管カテーテル測定法で測定した
結果である。ここで、波形WAが第3図に示す心臓近傍の
大動脈波に相当する。このように末梢にゆくにしたがっ
て、高周波成分が増加してきており、末梢心収縮機圧PS
Pが増大してくることがわかる。これは末梢にゆくほど
血管が細くなり抵抗が増すためと考えられる。このよう
に、脈波は末梢にゆくにしたがって波形を変えてしまう
ため、上腕部において普通に測定した脈波(たとえば脈
波WF)は、心臓近傍の大動脈波とはかなり異なるものと
なる。本装置によれば、上腕部において大動脈波と等価
な脈波を得ることができる。
1.3 測定動作 第5a図は、この装置による測定動作を説明するグラフ
であり、第5b図はその部分拡大図である。前述のよう
に、この装置はエアポンプ140とリークバルブ150とを有
し、阻血嚢210および検出嚢220の圧力を制御することが
できる。すなわち、圧力を増加させる場合には、エアポ
ンプ140を動作させて嚢内に空気を送りこみ、圧力を減
少させる場合には、リークバルブ150を開けて嚢内の空
気をリークさせることができる。
測定にあたっては、被測定者の上腕部に第2図に示す
ように縛帯200を着用させ、測定開始スイッチ(図示せ
ず)を押す。第5a図のグラフは、測定開始後の嚢内圧力
の変化を示すものである。すなわち、測定開始後、CPU1
30がエアポンプ140を起動し、嚢内に空気を送り込んで
圧力を徐々に増加させる(グラフの点A〜)。阻血嚢21
0は次第に動脈を圧迫し、やがて完全に阻血する圧力に
まで達する(点B)。このときの縛帯200(阻血嚢210と
検出嚢220)と動脈300との関係を表す断面図を第6a図に
示す。図の左側が心臓、右側が末梢であり、脈波は左か
ら右に伝わるはずであるが、阻血嚢210の圧力が高いた
め、脈波は阻血嚢210を通過することはできない。ここ
で、この圧力値を所定時間維持させ(点B〜C)、各嚢
の空気もれの有無を確認する。空気もれが確認された場
合は直ちに排気を行い、測定動作を中止するとともに異
常発生を報知する。空気もれがなければ、続いてCPU130
は、リークバルブ150を少しずつ開けて圧力をゆっくり
と減少させてゆく(点C〜)。すると、点Dにおいてコ
ロトコフ音が発生する。グラフ内の波形Kは、点Dから
徐々に圧力を減少させていったとき、各圧力値に対応し
て得られるコロトコフ音の振幅を示すものである。この
ように点Dを過ぎるとコロトコフ音が発生するのは、第
6b図に示すように、脈波の一部が阻血嚢210の圧力に抗
して阻血嚢210を通過し始めるためである。この点Dに
対応する圧力が心収縮期圧SPに相当することが知られて
いる。点Dから更に圧力を減少させてゆくと、第6c図に
示すように脈波は更に通過しやすくなり、第5a図の点E
においてコロトコフ音が最大になる。以後、コロトコフ
音は次第に減少し、点Fを越えるとほぼ一定の振幅が続
く。この点Fに対応する圧力が心拡張期圧DPに相当する
ことが知られており、第6d図の状態に対応する。本装置
の特徴は、圧力を点Fまで減少させたら、この心拡張期
圧DPをしばらく維持させ(点F〜点G)、この間に脈波
の検出を行う点にある。脈波の検出が完了すると、更に
圧力を減少させる(点G〜点H)。縛帯200は、第6e図
に示すように、動脈300からは浮いた状態になる。点H
から更に圧力を減少させると、コロトコフ音は消失し、
点Iにまで到達する。なお、再度の測定を続けて行う場
合には、点Iから点J1まで圧力を上昇させた後、点J1か
ら点J2(心拡張期圧DP)まで圧力を減少させ、そのまま
圧力を一定に維持して、再度の脈波検出を行えばよい。
点Fに到達したときに、心拡張期圧DPを記憶しておけ
ば、点Bまで圧力を上昇させなくても、点J1(心拡張期
圧DPよりやや高い圧力)まで圧力を上昇させた後、心拡
張期圧DPまで圧力を減少させれば再測定が可能なのであ
る。
1.4 脈波の検出 さて、ここで脈波の検出方法について説明しよう。脈
波は動脈300内の圧力変動であるから、圧力の値として
測定される。第6b〜6e図に示すように、阻血嚢210を通
過した脈波310は、検出嚢220に衝突する。この検出嚢22
0は阻血嚢210に比べて容量が小さいため、到達した脈波
の高周波成分損失が少ないので、振幅の小さな波でも検
出することができる。この小さな圧力変動は、圧力セン
サ120によって検出される。阻血嚢210は容量が大きいた
め、脈波の高周波成分による圧力変動はあまり受けな
い。ここで、圧力センサ120の検出する圧力値そのもの
に着目すると、2つの要素が重畳されていることがわか
るであろう。すなわち、1つは阻血嚢210の圧力であ
り、もう1つは検出嚢220の脈波による圧力変動であ
る。ここでは、前者を基準内圧、後者を脈波圧と呼ぶこ
とにする。検出嚢220は、接続路230を介して阻止嚢210
に連結されているので、脈波が衝突しない場合は、検出
嚢220の圧力も基準内圧になっている。第5a図に示した
グラフは、この基準内圧を示したものであり、圧力セン
サ120によって検出される圧力は、実際にはこの基準内
圧に脈波圧を重畳したものになる。第5a図の部分Lを拡
大した図を第5b図に示す。この拡大図では、基準内圧
(図の破線で示す)に脈波圧を重畳した圧力値のグラフ
を実線で示している。図の点F〜点Gの区間は、前述の
ように基準内圧が心拡張期圧DPに維持されており、この
心拡張期圧DPの上に脈波がのっている状態になる。
第4図に示したように、上腕部における脈波(たとえ
ば脈波WF)は大動脈波(脈波WA)とは異なった脈波であ
る。ところが、阻血嚢210を心拡張期圧DPに維持したと
きに、検出嚢220が検出する脈波は、上腕部で検出して
いるにもかかわらず大動脈波と近似であることを、本願
発明者は見出だしたのである。この理由についての厳密
な理論解析を行うことは困難であるが、阻血嚢210がロ
ーパスフィルタの機能を果たすために、脈波の高周波成
分がカットされたためと本願発明者は考えている。第4
図に示すように、脈波は末梢にいくほど血管抵抗の増加
により高周波成分が増加してゆく。ところが、上腕部の
脈波(脈波WF)が阻血嚢210を通過すると、この高周波
成分がカットされ、もとの大動脈波(脈波WA)と近似な
波が濾波されて出てくると考えることができる。したが
って、阻血嚢210の幅(第1図のL1)は、このローパス
フィルタの機能を果たすだけの十分な幅が必要である
が、一般に9cm以上あればこの機能を果たせることが実
験的に確認できた。阻血嚢210の圧力が心拡張期圧DPに
等しいときに大動脈波と近似な波が得られるのであるか
ら、第5a図に示すように、基準内圧が心拡張期圧DPに達
した点Fで圧力を一定に維持し、点F〜点Gの区間で脈
波を検出すれば、その脈波を大動脈波と同等に扱うこと
ができるのである。再度の測定では、点J2以後の脈波も
同じく大動脈波として扱うことができる。ここで、阻血
嚢210が心拡張期圧DPでないときに(すなわち、点F〜
点G以外の区間)、どのような脈波が得られるかを参考
のために述べておく。第7図は、第5a図の点D〜点Iの
区間において検出される種々の脈波を示す図である。図
の実線で示す波形が本装置の圧力センサ120で検出され
る脈波を示し、破線で示す波形が上腕部における脈波
(第4図の脈波WF)を示す。また、各脈波の上の符号
は、各脈波が第5a図のグラフの各点において検出された
脈波であることを示す。符号のついていない脈波は、こ
れらの中間点において検出された脈波である。このよう
に、点Dから徐々に圧力を減少させてゆくと、検出され
る脈波の振幅は次第に大きくなってくる。そして、点F
(〜点G)に到達したときに脈波の振幅は最大となり、
以下脈波の振幅は減少してゆく。点Fにおける実線の脈
波を破線の脈波と比べてみると、ちょうど高周波成分が
カットされていることがわかる。なお、この検出される
脈波の振幅と、コロトコフ音の振幅とは必ずしも比例し
ないことに注意すべきである。第5a図に示すように、コ
ロトコフ音は点Eにおいてピークになるが、第7図に示
すように、脈波の方は点Eではピークにはならない。点
F〜点Gにおいては、縛帯200と動脈300との関係が第6d
図のような状態になっていると考えられる。すなわち、
縛帯200の基準内圧と動脈の心拡張期圧DPとが拮抗して
おり、脈波が阻血嚢210を十分に通過することができ、
検出嚢220にも十分な衝撃を与えることができるのであ
る。縛帯200の圧力がこれより高いと、第6a図〜第6c図
のように、脈波が阻血嚢210を十分に通過することがで
きず、検出嚢220には十分な衝撃が加わらないのであ
る。また、縛帯200の圧力がこれより低いと、第6e図の
ように、検出嚢220が動脈300から離れてしまうため、脈
波が阻血嚢210を十分に通過したとしても、検出嚢220に
十分な衝撃が加わらないのである。
1.5 装置本体の動作 以上のようにして、点F〜点Gの間に、圧力センサ12
0が検出した脈波がデジタル信号としてCPU130に取り込
まれる。この装置では、取り込んだ脈波データを、ひと
まずメモリ160に記憶している。そして、第5b図に示す
ように、点F〜点Gの間に連続して複数回の脈波を検出
し、この複数の脈波データのそれぞれと、その平均脈波
の波形をプリンタ180によって出力している。また、点
Dに相当する心収縮期圧SP値、点Eに相当する大動脈弁
閉鎖痕圧DNP値、点Fに相当する心拡張期圧DP値、およ
び脈拍数を、表示装置170に表示させている。
ところで、CPU130は、点Fに到達したら圧力を一定値
に維持するよう制御するが、実際には点Fに到達したと
いう判断を正確に行うことは困難である。前述のよう
に、点Fへ到達したという判断は、コロトコフ音が小さ
くなり、振幅の変化がなくなったことを検出して行う
が、圧力は一定の速度で減少させているため、CPU130が
点Fへの到達を認識したときには、実際の圧力はすでに
点Fを通過して更に低くなってしまっているという事態
が起きやすい。そこで本装置では、第5a図のグラフのよ
うな圧力制御によって脈波検出を行うという原理には相
違ないものの、実際には第8a図のような圧力制御を行っ
て脈波検出を行っている。すなわち、点Dから点Fに至
るまでは上述の原理どおりに減圧を行ってゆく。そし
て、点Fを通過しても更に減圧を続ける。ここで、コロ
トコフ音の振幅を絶えずモニターしておき、所定時間減
圧を続けてもコロトコフ音の振幅が変化しなくなった
ら、そこで減圧をやめ(点F1)、逆に圧力を増加させて
ゆく。そして、この点F1におけるコロトコフ音の振幅W
を記憶しておき、コロトコフ音の振幅がkW(kは所定の
係数、たとえばk=1.5)にまで増加したら、そこで
(点F2)、圧力を一定に維持するようにする。第8b図は
第8a図の部分Mの拡大図であり、この様子をより詳しく
示している。この拡大図から明らかなように、厳密に言
えば、心拡張期圧DPを与える点Fは、コロトコフ音の振
幅が一定値Wとなるはじめての点F0ではなく、それより
1鼓動分前の点である。この点Fにおけるコロトコフ音
の振幅をkWとすれば、k=1.5程度になることが確認で
きた。したがって、上述のように点F1まで減圧させた
ら、逆に圧力を増加させてゆき、コロトコフ音の振幅が
1.5倍になったところ、すなわち点F2を心拡張期圧DPに
等しい点として扱うことができる。もっともこの係数k
の値は患者によってばらつきがあるが、近似大動脈波の
検出精度としては問題は生じない。
1.6 近似大動脈波の検出結果 最後に、本装置によって検出した近似大動脈波を第9
図および第10図に示す。第9図は正常者の近似大動脈
波、第10図は心臓疾患者の近似大動脈波である。このよ
うにして得られた近似大動脈波は、従来の血管カテーテ
ル測定法によって観血的に測定した大動脈波と近似す
る。しかも血圧の実測値が縦軸に、実際の時間値が横軸
に得られており、脈波の波形だけでなく実際の血圧値が
得られている点に特徴がある。このように、非観血的な
方法で波形とともに血圧値を知ることは、心臓疾患の総
合的判断に大いに役立つ。
1.7 変形例 以上、本発明を一実施例について説明したが、本発明
はこの実施例に限定されるものではない。要するに、本
発明は、上腕部に縛帯を巻き、この縛帯に所定の条件下
で圧力をかけると、上腕部において大動脈波と近似な脈
波が得られるという基本原理を発見したことに基づく。
この基本原理に基づいた脈波の検出ができれば、どのよ
うな装置構成を採ってもよい。たとえば、上述の実施例
ではコロトコフ音によって、縛帯圧が心拡張期圧DPに等
しくなったことを認識しているが、他の方法(一例を§
2で述べる)でこの認識を行うこともできよう。また、
コロトコフ音による認識を行う場合でも、上述の実施例
に記載した以外の方法が考えられる。たとえば、検出嚢
付近にマイクロフォンを装備し、このマイクロフォンに
よってコロトコフ音を検出してもよい。
また、縛帯も上述の実施例で説明したものに限定され
るわけではなく、別な縛帯を用いてもよい。第11図にこ
の別な縛帯の一例を示す。第1図に示す縛帯と比較する
と明らかなように、この縛帯には導管250が導出されて
いるだけであり、阻血嚢210からは導管が導出されてい
ない。第12図はこの縛帯を装着した状態を示す。阻血嚢
210は接続路230を介して検出嚢220に接続されているた
め、このように1本の導管250のみを用いても本発明に
よる脈波検出が可能である。むしろ、このように1本の
導管しかもたない縛帯を用いる方が次のようなメリット
があり好ましい。
(1)導管が2本あると装置本体100に対する接続ミス
(2本を逆に接続してしまうミス)が発生するが、1本
であればそのようなミスは発生しない。
(2)阻血嚢210に対して、接続路230のみが空気の出入
口になるため、圧力変動の検出利得が向上する。
(3)導管が1本だけなので、軽量化とともにコストダ
ウンが図れる。
以上のとおりこの装置によれば、上腕部に縛帯を装着
することにより近似大動脈波を検出できるようにしたた
め、非観血的に大動脈波の波形および血圧値を測定する
ことが容易にできるようになる。
§2 脈波検出装置II 2.0 基本原理 この§2で開示する実施例は、本願発明の別な基礎技
術に関連する脈波検出装置である。この装置の基本原理
は、§1に開示した装置の基本原理と同じである。すな
わち、本願発明者が、縛帯圧力が心拡張期圧DPに一致し
たときに、縛帯を通過して検出される脈波が、心臓近傍
における大動脈波と近似になるという事実を見出だした
ことに基づく。§1に開示した装置では、コロトコフ音
をモニタすることにより、縛帯の圧力が心拡張期圧DPに
達したと判断していたが、この§2に開示する脈波検出
装置では、縛帯に向かってくる縛帯前方の脈波と、縛帯
を通過した縛帯後方の脈波とをモニタしており、両脈波
の下部が一致したときに、縛帯の圧力が心拡張期圧DPに
達したと判断している。この装置の圧力制御手段は、両
脈波が所定の精度で一致すると、縛帯の基準内圧を一定
値に維持する機能を有する。したがって、この間に脈波
出力手段が出力する脈波は、心臓近傍における大動脈波
と近似なものになる。こうして、心臓近傍の脈波を直接
測定することなしに、これと等価な脈波を上腕部で測定
することができるのである。
2.1 装置の基本構成 第13図は、本発明の一実施例に係る脈波検出装置の基
本構成を示すブロック図である。この装置は、大きく分
けて、装置本体400(一点鎖線で囲んで示す)と縛帯500
との2つの構成部分よりなる。縛帯500は、上腕部を阻
血するための阻血嚢520(一点鎖線で示す)と、この阻
血嚢に向かう脈波を検出するための前方検出嚢510(破
線で示す)と、阻血嚢520を通過した脈波を検出するた
めの後方検出嚢530(二点鎖線で示す)とを有する。阻
血嚢520は阻血に必要なだけの十分な大きさをもち、本
実施例の場合、縛帯の総幅L=14cmに対して図の長さL2
=10cm程度である。また、前方検出嚢510および後方検
出嚢530は阻血嚢520に比べて十分小さくし、本実施例の
場合、図の長さL1=1.5cm、L3=2.0cm程度である。各検
出嚢510,530が大きすぎると、空気容量が大きくなるた
め、これに衝突した脈波を十分に検出することができな
くなる。阻血嚢520と後方検出嚢530とは、途中の接続路
525において互いに接続されており、前方検出嚢510から
外部には空気を通すための導管540が伸びており、後方
検出嚢530から外部には同様に導管550が伸びている。こ
の縛帯500は、第14図に示すような向きに、上腕部に着
用して用いることになる。このように着用した状態で、
各嚢に空気を入れて圧力をかけると、第15図に示す断面
図のように、動脈300は各嚢によって圧迫される(第15
図では説明の便宜上各嚢の間隔を離して示してあるが、
実際の縛帯ではこの間隔は非常に小さい)。圧力を十分
高くしてやると、阻血嚢520によって動脈300は完全に阻
血される。この場合、図の左方から伝播してくる脈波
は、まず前方検出嚢510に衝突し、その高周波成分はこ
の前方検出嚢510を通過して阻血嚢520に衝突する。しか
し、阻血嚢520は容量が大きいために、前方脈波の高周
波成分はこの阻血嚢520に阻まれて後方検出嚢530にまで
は伝わらない。圧力を減少させて脈波が阻血嚢520を通
過できるようになると、この通過した脈波は後方検出嚢
530に衝突する。結局、前方検出嚢510は常に脈波の検出
を行っているが、後方検出嚢530は脈波が阻血嚢520を通
過したときにのみ検出を行うことになる。
一方、装置本体400は次のような構成になっている。
まず、導管540が接続されている管路402には前方センサ
410が、導管550が接続されている管路401には後方セン
サ420が設けられている。前方センサ410は前方検出嚢51
0の圧力を測定し、後方センサ420は後方検出嚢530の圧
力を測定する。いずれも脈波の周波数帯域を十分に検出
できるように設計されている。前方センサ410が検出し
たアナログ信号は、増幅器411で増幅され、A/D変換器41
2によってデジタル信号に変換され、CPU430に与えられ
る。同様に、後方センサ420が検出したアナログ信号
は、増幅器421で増幅され、A/D変換器422によってデジ
タル信号に変換され、CPU430に与えられる。導管540が
接続されている管路402には、エアポンプ440およびリー
クバルブ450が接続されている。このエアポンプ440およ
びリークバルブ450は、CPU430によって制御される。管
路401と管路402とは連結されており、また、阻血嚢520
と後方検出嚢530とは接続路525で連結されている。した
がって、阻血嚢520と各検出嚢510,530は、本来、すべて
同じ圧力に保たれることになる。ただし、阻血嚢520は
容量が大きいため、周波数の高い圧力変動は前方検出嚢
510および後方検出嚢530においてのみ現れる。このた
め、前方センサ410および後方センサ420は、それぞれ導
管540および導管550の近傍に接続するのが好ましい。な
お、CPU430には、データを記憶するためのメモリ460、
データを表示するための表示装置470、およびデータを
出力するためのプリンタ480が接続されている。
2.2 測定動作 第16a図は、この装置による測定動作を説明するグラ
フであり、第16b図はその部分拡大図である。前述のよ
うに、この装置はエアポンプ440とリークバルブ450とを
有し、阻血嚢520および各検出嚢510、530の圧力を制御
することができる。すなわち、圧力を増加させる場合に
は、エアポンプ440を動作させて嚢内に空気を送り込
み、圧力を減少させる場合には、リークバルブ450を開
けて嚢内の空気をリークさせることができる。
測定に当たっては、被測定者の上腕部に第14図に示す
ように縛帯500を着用させ、測定開始スイッチ(図示せ
ず)を押す。第16a図のグラフは、測定開始後の嚢内圧
力の変化を示すものであり、§1で開示した装置におけ
る第5a図に示す動作と同じである。すなわち、測定開始
後、CPU430がエアポンプ440を起動し、嚢内に空気を送
り込んで圧力を徐々に増加させる(グラフの点A〜)。
阻血嚢520は次第に動脈を圧迫し、やがて完全に阻血す
る圧力にまで達する(点B)。このときの縛帯500(阻
血嚢520と両検出嚢510,530)と動脈300との関係を表す
断面図を第17a図に示す。図の左側が心臓、右側が末梢
であり、脈波は左から右に伝わるはずである。前述のよ
うに、この脈波の高周波成分は前方検出嚢510を通過す
ることができるが、阻血嚢520の圧力が高いため、この
脈波のいずれの周波数成分も阻血嚢520を通過すること
はできない。したがって、この時点では、前方センサ41
0は阻血嚢520に向かう脈波を検出するが、後方センサ42
0は何の脈波も検出できない。この圧力値をしばらく維
持して(点B〜C)、嚢内の空気のもれの有無を確認す
る。続いてCPU430は、リークバルブ450を少しずつ開け
て圧力をゆっくりと減少させてゆく(点C〜)。する
と、点Dにおいてコロトコフ音が発生する。グラフ内の
波形Kは、点Dから徐々に圧力を減少させていったと
き、各圧力値に対応して得られるコロトコフ音の振幅を
示すものである。このように点Dを過ぎるとコロトコフ
音が発生するのは、第17b図に示すように、脈波の一部
が阻血嚢520の圧力に抗して阻血嚢520を通過し始めるた
めである。この点Dに対応する圧力が心収縮期圧SPに相
当することが知られている。点Dから更に圧力を減少さ
せてゆくと、第17c図に示すように脈波は更に通過しや
すくなり、点Eにおいてコロトコフ音が最大になる。以
後、コロトコフ音は次第に減少し、点Fに達すると音は
非常に小さくなり、ほぼ一定の振幅が続く。この点Fに
対応する圧力が心拡張期圧DPに相当することが知られて
おり、第17d図の状態に対応する。本装置の特徴は、§
1で開示した装置と同様に、圧力を点Fまで減少させた
ら、この圧力DPをしばらく維持させ(点F〜点G)、こ
の間に脈波の検出を行う点にある。脈波の検出が完了す
ると、更に圧力を減少させる(点G〜点I)。縛帯500
は、第17e図に示すように、動脈300からは浮いた状態に
なる。なお、再度の測定を続けて行う場合には、点Iか
ら点J1まで圧力を上昇させた後、点J1から点J2(心拡張
期圧DP)まで圧力を減少させ、そのまま圧力を一定に維
持して、再度の脈波検出を行えばよい。
2.3 脈波の検出 さて、ここで脈波の検出方法について説明しよう。脈
波は動脈300内の圧力変動であるから、圧力の値として
測定される。第17b図〜第17e図に示すように、阻血嚢52
0を通過した脈波310は、後方検出嚢530に衝突する。こ
の後方検出嚢530は阻血嚢520に比べて容量が小さいた
め、このような振幅の小さな波でも検出することができ
る。この小さな圧力変動は、後方センサ420によって検
出される。阻血嚢520は容量が大きいため、高周波成分
による圧力変動はあまり受けない。なお、前方センサ41
0は常に圧力変動を検出し続けていることは前述したと
おりである。ここで、センサ410あるいは420の検出する
圧力値そのものに着目すると、この圧力値は2つの要素
が重畳されていることがわかるであろう。すなわち、1
つは阻血嚢520の圧力であり、もう1つは前方検出嚢510
あるいは後方検出嚢530に衝突した脈波による圧力変動
である。ここでは、§1と同様に、前者を基準内圧、後
者を前方脈波圧あるいは後方脈波圧と呼ぶことにする。
前述のように、各嚢はすべて管路で最終的には連結され
ているので、脈波が衝突しない場合は、前方検出嚢510
および後方検出嚢530の圧力も基準内圧になっている。
第16a図に示したグラフは、この基準内圧を示したもの
であり、前方センサ410あるいは後方センサ420によって
検出される圧力は、実際にはこの基準内圧に前方脈波圧
あるいは後方脈波圧を重畳したものになる。第16a図の
部分Lを拡大した図を第16b図に示す。この拡大図で
は、基準内圧(図の一点鎖線で示す)に前方脈波圧を重
畳した圧力値のグラフを破線で、後方脈波圧を重畳した
圧力値のグラフを実線で、それぞれ示している。図の点
F〜点Gの区間は、前述のように基準内圧が心拡張期圧
DPに維持されており、この心拡張期圧DPの上に各脈波が
のっている状態になる。
2.4 装置本体の動作 以上のように、点F〜点Gの間に、後方センサ420が
検出した後方脈波がデジタル信号としてCPU430に取り込
まれる。この装置では、取り込んだ脈波データを、ひと
まずメモリ460に記憶している。そして、第16b図に示す
ように、点F〜点Gの間に連続して複数回の後方脈波を
検出し、この複数の後方脈波データのそれぞれと、その
平均脈波の波形をプリンタ480によって出力している。
また、点Dに相当する心収縮期圧SP値、点Eに相当する
大動脈弁閉鎖痕圧DNP値、点Fに相当する心拡張期圧DP
値、および脈拍数を、表示装置470に表示させている。
このように、CPU430は、点Fに到達したら圧力を一定
値に維持するよう制御するわけであるが、点Fに到達し
たか否かの判定、すなわち圧力値が心拡張期圧DPまで減
少したか否かの判定は、一体どのようにして行ったらよ
いのであろうか。§1に開示した装置では、この判定を
コロトコフ音に基づいて行っていた。本装置では、全く
別なユニークな方法により判定を行っている。
この判定方法を説明するために、ここで、阻血嚢520
が心拡張期圧DPでないときに(すなわち、点F〜点G以
外の区間)、どのような前方脈波および後方脈波が得ら
れるかを述べる。第18図は、第16a図の点D〜点Iの区
間において検出される種々の脈波を示す図である。図の
実線で示す波形が後方センサ420で検出される後方脈波
を示し、破線で示す波形が前方センサ410で検出される
前方脈波(第4図の脈波WFに相当)を示す。また、各脈
波の上の符号は、各脈波が第16a図のグラフの各点に相
当する基準内圧下において検出された脈波であることを
示す。符号のついていない脈波は、これらの中間点にお
いて検出された脈波である。実線で示す後方脈波に着目
すると、点Dから徐々に圧力を減少させてゆくと、検出
される後方脈波の振幅は次第に大きくなってくる。そし
て、点F(〜点G)に到達したときに脈波の振幅は最大
となり、以下脈波の振幅は減少してゆく。一方、破線で
示す前方脈波に着目すると、点Dから徐々に圧力を減少
させてゆくと、検出される前方脈波の振幅も減少してゆ
く。これは阻血嚢520の阻血が解除され(第17b図)、末
梢へ通過する脈波310が次第に増加してくるからであ
る。そして、点Gを過ぎると脈波の振幅は更に減少して
ゆく。これは前方検出嚢510が第17e図に示すように動脈
300から浮いた状態になってゆくからである。ここで、
点Fにおける実線の脈波を破線の脈波と比べてみると、
ちょうど破線の前方脈波の高周波成分をカットしたもの
が実線の後方脈派に相当していることがわかる。この点
Fにおいては、縛帯500と動脈300との関係が第17d図の
ような状態になっていると考えられる。すなわち、縛帯
500の基準内圧と動脈300の心拡張期圧DPとが拮抗してお
り、阻血嚢520を通過した脈波は、濾波され、後方検出
嚢530に近似大動脈波として衝撃を与えることができる
のである。縛帯500の圧力がこれより高いと、第17a図〜
第17c図のように、脈波が阻血嚢520を十分に通過するこ
とができず、後方検出嚢530には十分な衝撃が加わらな
いのである。また、縛帯500の圧力がこれより低いと、
第17e図のように、後方検出嚢530が動脈300から離れて
しまうため、脈波が阻血嚢520を十分に通過したとして
も、後方検出嚢530の離脱が大きいため十分な衝撃が加
わらないのである。
さて、もう一度第18図に注目してみよう。この第18図
は、縛帯の基準内圧が点Fに到達したか否かの判定、す
なわち圧力値が心拡張期圧DPまで減少したか否かの判定
を行うための有効な方法を示唆している。すなわち、点
Fにおいて検出した前方脈波(破線)と後方脈波(実
線)は、下部がぴったりと一致しているのである。逆に
言えば、両脈波の下部が一致したとすれば、その時点の
縛帯の基準内圧は心拡張期圧DPであるということが言え
る。したがって、CPU430は、第16a図の点Cから徐々に
基準内圧を減少させてゆき、その都度、前方センサ410
から与えられる前方脈波と後方センサ420から与えられ
る後方脈波とを比較し、両脈波の下部が一致したら点F
に到達したと判断し、基準内圧を一定に維持して点Gに
至るような圧力制御を行えばよいことになる。この装置
が、前方脈波を検出しているのは、この比較を行うため
に他ならない。
実際には、上述のような圧力制御を行うためには、後
方脈波の遅延時間を考慮した両脈波の比較を行う必要が
ある。すなわち、実際にはCPU430には、前方脈波と後方
脈波とは同時には入ってこない。なぜなら、脈波が前方
検出嚢510で検出されてから、阻血嚢520を通過して後方
検出嚢530で検出されるまでには、脈波が通過するだけ
の遅延時間dtがかかるためである。したがって、第19図
に示すように、実際には同一の時間軸上で前方脈波Wf1
〜Wf5と後方脈波Wb1〜Wb5とをそれぞれ比較すると、両
者間に遅延時間dtだけのずれが生じる。そこで、CPU430
は、前方脈波および後方脈波の波形データを一時的にメ
モリ460に記憶した後、両脈波の立ち上がり部位が一致
するように前方脈波を遅延させて重畳し、両脈波の下部
を比較している。第20図は、第19図における前方脈波Wf
3と後方脈波Wb3との比較作業を詳細に説明した図であ
る。後方脈波Wb3は前方脈波Wf3に対して遅延時間dtだけ
遅れているが、両脈波の立ち上がり部位を一致させるよ
うに前方脈波Wf3をWf3′にまで移動させ、脈波Wf3′とW
b3との下部を比較している。この実施例では、下部とし
て、大動脈弁閉鎖痕圧DNPより下の波形のみの比較を行
っている。第20図の例では、DNP以下の波形は完全に一
致しているが、現実にはこのような完全一致は期待でき
ないため、所定誤差(たとえば±3%)以下の精度で一
致した場合に「一致」と判定するようにするのが好まし
い。こうして「一致」と判定されると、CPU430はリーク
バルブ450のリーク動作をしばらく停止させ、このとき
の基準内圧をしばらく維持させる。このときの後方脈波
が近似大動脈波として検出されるのである。第20図の例
では、後方脈波Wb3が近似大動脈波そのものであり、こ
の波形より心収縮期圧SP、心拡張期圧DP、大動脈閉鎖痕
圧DNPを得ることができる。
2.5 近似大動脈波の検出結果 最後に、本装置によって検出した近似大動脈波を第21
図および第22図に示す。第21図は正常者の脈波、第22図
は心臓疾患者の脈波を示し、それぞれWf6,Wf7が前方脈
波、Wf6′,Wf7′がこれを遅延時間dtだけ移動させた脈
波、そして、Wb6,Wb7が後方脈波、すなわち近似大動脈
波である。このようにして得られた大動脈波は、従来の
血管カテーテル測定法によって観血的に測定した大動脈
波と一致する。しかも血圧の実測値が縦軸に、実際の時
間値が横軸に得られており、脈波の波形だけでなく非観
血的に血圧値が同時に得られている点に特徴がある。こ
のように、波形とともに血圧値を知ることは、心臓疾患
の総合的判断に大いに役立つ。
2.6 変形例 以上、本発明を一実施例について説明したが、本発明
はこの実施例に限定されるものではない。要するに、本
発明は、上腕部に縛帯を巻き、この縛帯に心拡張期圧DP
に相当する圧力をかけると、上腕部において大動脈波と
近似な脈波が得られるという基本原理を発見したことに
基づく。そして、縛帯が心拡張期圧DPに達したことを認
識するために、前方脈波と後方脈波との下部波形が一致
したか否かを判定しているのである。したがって、この
基本的な考えに基づいた脈波の検出ができれば、どのよ
うな装置構成を採ってもよい。また、上述の実施例で
は、比較する下部波形として、大動脈弁閉鎖痕圧DNP以
下の波形をとっているが、下部波形として別な波形をと
ってもかまわない。たとえば、波高値で半分以下の部分
をとるようなこともできよう。結局、下部波形の比較と
は、阻血嚢の通過によってカットされた高周波成分以外
の部分を比較するという意図である。どの部分を比較す
るかは設計上、自由に変更しうるものである。
さらに、縛帯が心拡張期圧DPに達したことを認識する
別な方法をもう1つ開示しておく。この方法は第18図の
グラフにヒントが与えられている。このグラフにおいて
左から6つ目の波形まで(D,E,F〜G)は、実線で示す
後方脈波のピークは補助線S1に沿って増加し、破線で示
す前方脈波のピークは補助線S2に沿って減少している。
ところが、左から7つ目の波形以後は、このような補助
線に沿った線形増加あるいは線形減少の関係が満たされ
なくなる。別言すれば、基準内圧が心拡張期圧DPに達す
るまでは、線形増加あるいは線形減少の関係が維持され
ていることになる。そこで、たとえば、図の実線で示す
後方脈波あるいは破線で示す前方脈波のピーク値の変化
をモニタしながら基準内圧を減少させてゆき、線形増加
あるいは線形減少からはずれた変化を示したときは、そ
の直前の圧力を心拡張期圧DPと認識することが可能であ
る。
以上のとおりこの装置によれば、上腕部に3つの嚢を
もった縛帯を装着することにより近似大動脈波を検出で
きるようにしたため、非観血的に大動脈波の近似波形お
よび血圧値を測定することができるようになる。
§3 脈波変動検出装置 3.0 基本原理 この§3で開示する実施例は、本願発明の更に別な基
礎技術に関連する脈波変動検出装置である。§1および
§2で開示した装置を用いれば、上腕部に縛帯を巻くこ
とにより、非観血的に脈波の検出が可能である。ここで
述べる脈波変動検出装置では、圧力センサによって検出
された脈波波形が複数分記憶される。この複数の脈波波
形は1枚のチャートに重畳して表示されるが、このとき
各波形の立ち上がり時点が一致するように重畳される。
こうして脈波の経時的な変動は、この重畳して表示され
た脈波の幅として視覚的に容易に認識することができ
る。脈波のどの部分の幅が広いか、あるいは狭いか、と
いう情報を一目して把握することができるため、より適
確な診断を行うことができるようになる。
3.1 脈波の重畳記録 ここで述べる脈波変動検出装置の装置構成は、§1に
開示した脈波検出装置(第1図)あるいは§2に開示し
た脈波検出装置(第13図)と基本的に同じである。前述
のように、これらの装置では、第5a図あるいは第16a図
における点F〜点Gの期間に複数の近似大動脈波の波形
が測定され、メモリ160あるいは460に記憶される。ここ
で述べる装置は、CPU130あるいは430によって、この複
数の近似大動脈波をプリンタ180あるいは480に重畳して
出力する機能をもたせたものである。この近似大動脈波
を単独で出力したチャートを第23図に示す。このような
チャートからは、その波形は十分に解析することはでき
るが、その経時的な変動は解析することができない。そ
こで、本装置ではメモリ160あるいは460内のデータに基
づいて、第24a図および第24b図に示すようなチャートを
プリンタ180あるいは480に出力させている。第24a図
は、第23図のチャートの時間軸を圧縮し、連続して検出
した10回分の脈波を並べて表示したものである。時間軸
が圧縮されているため、個々の脈波の形状についての解
析は困難であるが、経時的な変動についての情報を得る
ことができる。第24b図は、本発明のポイントとなるべ
き脈波表示である。これは、時間軸を圧縮せずに、連続
して得られた10回分の脈波を重畳して表示したチャート
になっている。10回分の脈波はいずれもその立ち上がり
時点を時間軸0の位置に揃えるようにして重畳されてい
る。このように脈波を重畳して表示すると、脈波の変動
を複数のグラフの線の分布幅として視覚的に認識するこ
とができる。本装置では、CPU130あるいは430が、メモ
リ160あるいは460内に記憶されている10回分の脈波デー
タを読出し、第24a図に示すチャートと第24b図に示すチ
ャートとを作成し、この双方をプリンタ180あるいは480
に出力させている。
3.2 変動脈波検出結果 第24a,b図に示すチャートは正常者の近似大動脈波の
波形であるが、疾患者の波形を第24a,b図および第26a,b
図に示す。第25a,b図のチャートは起立性血行障害をも
つ若年患者の脈波であり、第26a,b図のチャートは循環
器系疾患をもつ老齢患者の脈波である。第25b図を見る
と、時間軸で0.05〜0.1秒ほどの位置にみられる脈波の
ピークと、大動脈弁閉鎖痕圧と、閉鎖時間と、に経時的
な変動がかなりみられる。一方、第26b図をみると、退
潮波および時間軸で0.5秒ほどの位置にみられる大動脈
弁閉鎖痕の位置が時間軸に関して変動していることがわ
かる。このように、本装置による検出結果によれば、脈
波の形状だけでなく、経時的な変動を容易に把握するこ
とができる。すなわち、本装置は適確な診断のための付
加的な情報を提供することができるのである。なお、第
24図〜第26図に示すチャートでは、脈波をグラフでのみ
示しているが、各部の圧力値を数値で併記させるように
してもよい。たとえば、10回分の脈波について、心収縮
期のピーク値の最大値、最小値、平均値などを数値で併
記するようにし、これらが正常な範囲から外れていた場
合には、何らかの警告マークを付記するようにしてもよ
い。
以上のとおりこの装置によれば、複数の脈波を重畳し
て表示させるようにしたため、脈波の経時的な変動を視
覚的に容易に認識することができるようになる。
§4 脈波動脈音複合記録装置 4.0 基本原理 この§4で開示する実施例は、本願発明のまた別な基
礎技術に関連する脈波動脈音複合記録装置である。この
装置は、§1で開示した脈波検出装置を発展させたもの
である。§1で開示した脈波検出装置(第1図)では、
音波センサ110により動脈音(コロトコフ音)が検出さ
れ、圧力センサ120により脈波が検出される。本装置
は、CPU130により、脈波と動脈音とを合成し、これをプ
リンタ180から出力させるようにしたものである。
本装置の第1の特徴によれば、縦軸を血圧値、横軸を
時間にとって、脈波と動脈音とが同一時間軸上に複合表
示される。しかも、大動脈弁閉鎖痕より前の高圧期と、
これより後の低圧期と、に分けて表示がなされるため、
循環器疾患の診断のための情報が視覚的に容易に把握し
うる。
本装置の第2の特徴によれば、更に高圧期の時間軸を
3等分、低圧期の時間軸を2等分する目安線が出力され
る。高圧期の3等分された各区間の情報は、それぞれ、
心臓、肺、胃腸(消化器)に関する循環器系情報を示
し、低圧期の2等分された情報は、それぞれ、肝臓、腎
臓、に関する循環器系情報を示すことになる。このた
め、より詳細な診断を行うことが可能になる。
本装置の第3の特徴によれば、コロトコフ音の標準的
な包絡線がともに表示される。したがって、ある特定の
患者について得られた測定結果について、標準的な測定
結果からのずれを視覚的に容易に認識することができ
る。
本装置の第4の特徴によれば、低圧期の後に、いわゆ
るK4点〜K5点に至るまでのコロトコフ音が表示されるの
で、診断に供することのできるより多くの情報を視覚的
に認識することができる。
本装置の第5の特徴によれば、左右の測定結果を線対
称に表示するようにしたため、患者の左半身および右半
身の診断を別個に行うことができる。
本装置の第6の特徴によれば、脈波の測定を非観血的
に行うことができる。すなわち、§1に開示した脈波検
出装置をそのまま利用することにより、上腕部に縛帯を
巻くだけで測定を行うことができる。
4.1 脈波動脈音の複合記録 ここで述べる脈波動脈音複合記録装置の装置構成は、
§1に開示した脈波検出装置(第1図)と基本的に同じ
である。前述のように、第1図の装置では、第5a図にお
ける点F〜点Gの期間に複数の近似大動脈波が測定さ
れ、また、第5a図における点D〜点Hの期間に圧力値に
対応したコロトコフ音波形が測定される。ここで述べる
装置は、これらの脈波やコロトコフ音波形をメモリ160
に記憶しておき、後にCPU130によってこれらを合成して
プリンタ180に出力させるようにしたものである。
まず、CPU130はメモリ160に記憶されている複数の近
似大動脈波を平均して平均脈波を得る。第27図の波形W
は、このようにして得られた平均脈波を示す。この平均
脈波Wの縦軸には、圧力の絶対値が与えられており、最
大値が心収縮期圧SPであり、最低値が心拡張期圧DPであ
る。また横軸には時間(秒)が与えられている。一方、
第27図の右側に示すように、圧力値に対応してコロトコ
フ音Kの波形がメモリ160に記憶されている。これは、
第5a図に示す測定動作において、点D以後に検出された
コロトコフ音波形をそのときの圧力値とともに記憶して
おいたものである。この実施例では、コロトコフ音の波
形をその半振幅分だけ出力するようにしているため、第
27図では半振幅分だけを示している。CPU130は、このコ
ロトコフ音Kの波形と、平均脈波Wの波形とを、次のよ
うにしてプリンタに出力させる。
はじめに、平均脈波Wに基づいて、大動脈弁閉鎖痕を
示すQ点の位置を認識する。このQ点は、たとえば平均
脈波Wの微分係数の符号が変化する点として演算により
認識することができる。なお、大動脈弁閉鎖不全症の患
者などでは、Q点が複数存在するような結果が得られる
場合がある。このような場合は、時間軸上で最も遅く現
れるQ点を採用するようにするとよい。こうしてQ点の
位置が決定すると、このQ点の縦軸上の座標値として、
大動脈弁閉鎖痕圧DNPを求めることができる。また、平
均脈波Wの立ち上がり点Pおよび終端点Rの位置も演算
によって決定することができる。
このように、3点P,Q,Rが決定できたら、第28図に示
すように、この3点に基づいて時間軸(横軸)を分割す
る。すなわち、3点P,Q,Rの時間軸上の座標を、それぞ
れT0,T1,T2とし、時点T0〜T1の区間を高圧期A、時点T1
〜T2の区間を低圧期B、時点T2以後を第3期C、とす
る。一方、コロトコフ音Kについては、第28図の右側に
示すように圧力軸(縦軸)を分割する。すなわち、心収
縮期圧SP〜大動脈弁閉鎖痕圧DNPの区間を高圧期a、大
動脈弁閉鎖痕圧DNP〜心拡張期圧DPの区間を低圧期b、
心拡張期圧DP以下を第3期c、とする。そして、コロト
コフ音波形の高圧期aの圧力軸を、平均脈波の高圧期A
の時間軸に線形対応させ、コロトコフ音波形の低圧期b
の圧力軸を、平均脈波の低圧期Bの時間軸に線形対応さ
せ、各コロトコフ音波形を脈波のグラフに重ねて表示す
る。この結果を第29図に示す。高圧期aの区間が高圧期
Aの区間に一致するように、コロトコフ音波形a1〜a5が
平均脈波Wに重ねて表示され、低圧期bの区間が低圧期
Bの区間に一致するように、コロトコフ音波形b1,b2が
平均脈波Wに重ねて表示されている。平均脈波Wに重ね
て表示されているコロトコフ音K′は、見易いようにも
とのコロトコフ音Kの振幅に所定の係数を乗じて振幅を
拡大して表示している。高圧期と低圧期とをそれぞれ別
個に扱っているので、隣接するコロトコフ音波形の間隔
は、高圧期では密に、低圧期では疎になる。また、第3
期Cおよびcは閉じた区間ではないため、コロトコフ音
Kの第3期cにある波形c1〜c4は、平均脈波Wの時間軸
上の第3期Cに任意間隔で表示すればよい。
この実施例では、更に第29図に実線で示すようなコロ
トコフ音K′の標準的な包絡線Eを表示するようにして
いる。この標準的包絡線Eは、この実施例では、高圧期
Aと低圧期Bとの境界時点T1におけるコロトコフ音波形
a5のピークを点Sとし、低圧期Bと第3期Cとの境界時
点T2におけるコロトコフ音波形b2のピークを点Uとし、
点P,S,Uを結ぶ線として求めている。一般的な健康人に
ついての測定では、コロトコフ音K′の各波形のピーク
はこの包絡線E上にくることが知られている。したがっ
て、ピークがこの包絡線Eからどれだけずれているかと
いうことによって、異常の診断を行うことができる。包
絡線Eの定め方は、ここで述べた方法に限らず、いろい
ろな方法が考えられる。たとえば、何人かの健康人の測
定結果について求めた包絡線の平均をそのまま標準的包
絡線Eとして用いることもできよう。
4.2 診断への利用 さて、以上のような演算処理により、CPU130は最終的
に第30図に示すようなグラフを作成し、これをプリンタ
180に出力して測定結果の表示を行う。診断者は、この
第30図のようなプリンタの出力結果を見て、患者の循環
器系疾患についての種々の情報を得ることができる。こ
の出力結果の1つの特徴は、近似大動脈波の波形が平均
脈波Wとして記録されており、しかもこの大動脈波Wは
縦軸に圧力の絶対値が、横軸に時間の絶対値が表示され
ている点である。すなわち、近似大動脈波の形状ととも
に、血圧の絶対値も確認することができるのである。そ
して、もう1つの特徴は、この近似大動脈波とともに、
動脈音(コロトコフ音K′)の波形が記録されている点
である。この動脈音波形は前述の処理により、時間軸上
の特定の位置に記録されている。この動脈音波形の時間
軸上での記録位置は、診断のための情報として非常に重
要な意味がある。以下、この重要な意味について説明し
よう。
第30図において、高圧期Aは心臓が収縮して血液を大
動脈へと送り出し、大動脈弁が閉鎖するまでの過程を示
している。すなわち、高圧期Aは心臓の動的な挙動を示
す部分である。これに対して、低圧期Bは既に大動脈弁
が閉鎖した後の過程を示しており、心臓そのものの挙動
を示しているものではない。ここで、心臓から大動脈へ
と押し出された血液の流れを追ってみると、心臓を出た
後、中枢、心、肺、胃腸(消化器)、肝臓、腎臓、膀
胱、というように、大動脈から徐々に抹消へと流れてゆ
き、静脈を伝わって再び心臓へと戻ることになる。本願
発明者の新規な発見は、第30図に示すように脈波ととも
に配置した動脈音波形が、この血液の流れに対応した循
環器系障害の情報を示すという事実に他ならない。この
事実をもう少し詳しく述べてみよう。いま、第30図に示
すように、高圧期Aの区間を3等分して区間I,II,IIIに
分割し、低圧期Bの区間を2等分して区間IV,Vに分割す
る。そして、その後の第3期Cの区間を区間VIとする。
各区間における動脈音波形は、患者の特定部位における
循環器系障害の情報をもつことになる。具体的には、区
間Iに所属するコロトコフ音K′の波形は心臓の血流情
報をもち、区間IIに所属するコロトコフ音K′の波形は
肺の血流情報をもち、区間IIIに所属するコロトコフ音
K′の波形は胃および腸(消化器)の血流情報をもち、
区間IVに所属するコロトコフ音K′の波形は肝臓の血流
情報をもち、区間Vに所属するコロトコフ音K′の波形
は腎臓の血流情報をもつという事実を、本願発明者は認
識したのである。また、第3期C(区間VI)に所属する
コロトコフ音K′の波形は、一般にK4点〜K5点と呼ばれ
ている領域のコロトコフ音であり、腎臓より更に末端に
位置する膀胱・下肢および頭部などの血流情報をもつも
のと考えられる。このような事実についての理論的考察
は、現在のところ明確にはなされていないが、同様の原
理を用い、患者の脈をとることによって各部の循環器系
疾患を診断することが古くから行われている。
4.3 脈波動脈音の検出結果 第31図は本実施例による脈波動脈音複合記録装置を用
い、健康人について実際に記録を行った結果を示すグラ
フである。実際には動脈音波形は、このように高圧期
(区間I,II,III)では密になり、低圧期(区間IV,V)で
は疎になる。この実施例では、各区間がはっきりするよ
うに、高圧期を3等分、低圧期を2等分する位置を示す
目安線(図の破線で示す垂直線)を表示するようにして
いる。また、動脈音波形の振幅の見当をつけるための目
安線(図の破線で示す水平線)も同時に表示している。
この目安線により、前述した各部の循環器系障害の情報
を明瞭に区別して認識することが可能になる。
第32図は本実施例による脈波動脈音複合記録装置を用
い、健康人の左上腕部に縛帯を装着して測定した結果
と、右上腕部に縛帯を装着して測定した結果とを、時間
軸に沿った線に関して対称になるように表示したグラフ
である。グラフの上半分が左に関する測定結果、下半分
が右に関する測定結果である。左に関する測定結果は左
半身の情報を、右に関する測定結果は右半身の情報を、
それぞれ示していると考えられるので、このように両者
を同じ時間軸に沿って表示するようにすれば、身体全体
に関する状態を一目で把握することができ便利である。
なお、頭部中枢に関しては、左右の情報が逆になる。
以上本発明を実施例について説明したが、本発明はこ
の実施例だけに限定されるものではない。要するに本発
明の要点は、脈波を大動脈弁閉鎖痕を境にして高圧期と
低圧期とに分け、それぞれの時間軸に動脈音の圧力軸を
線形対応させて、脈波の波形と動脈音とを同一の時間軸
上に表示するという点にあり、種々の態様での実施が可
能である。
本装置の第1の特徴によれば、縦軸を血圧値、横軸を
時間にとって、脈波と動脈音とを同一時間軸上に複合表
示し、しかも、大動脈弁閉鎖痕より前の高圧期と、これ
より後の低圧期と、に分けて表示するようにしたため、
循環器系疾患の診断のための情報が視覚的に容易に把握
しうる。
本装置の第2の特徴によれば、更に高圧期の時間軸を
3等分、低圧期の時間軸を2等分する目安線を出力する
ようにしたため、高圧期の3等分された各区間の情報
を、それぞれ、心臓、肺、胃腸(消化器)に関する循環
器系情報として、低圧期の2等分された情報を、それぞ
れ、肝臓、腎臓、に関する循環器系情報として認識する
ことができ、より詳細な診断を行うことが可能になる。
本装置の第3の特徴によれば、コロトコフ音の標準的
な包絡線をともに表示するようにしたため、ある特定の
患者について得られた測定結果について、標準的な測定
結果からのずれを視覚的に容易に認識することができ
る。
本装置の第4の特徴によれば、低圧期の後に、いわゆ
るK4点〜K5点に至るまでのコロトコフ音を表示するよう
にしたため、診断に供することのできるより多くの情報
を視覚的に認識することができる。
本装置の第5の特徴によれば、左右の測定結果を線対
称に表示するようにしたため、患者の左半身および右半
身の診断を別個に行うことができる。
本装置の第6の特徴によれば、縛帯を用いて脈波と動
脈音の測定を行うようにしたため、上述の診断を非観血
的に行うことができる。
§5 血液循環情報表示装置 5.0 基本原理 この§5で開示する実施例は、本願第1〜第3の発明
に関連する血液循環情報表示装置である。この装置は、
§4で開示した脈波動脈音複合記録装置を発展させたも
のである。本装置では、動脈音(コロトコフ音)波形の
包絡線と脈波とをダイヤグラムとして表示するととも
に、人体を示すシンボルマークにより、血流障害部位お
よびその程度を表示するようにしたものである。本装置
は以下の3つの特徴を有し、これらの特徴は、それぞれ
本願第1〜第3の発明に対応する。
本装置の第1の特徴によれば、縦軸を血圧値、横軸を
時間にとって、脈波と2つの包絡線とが同一時間軸上に
複合表示される。第1の包絡線はコロトコフ音波形の最
大ピーク位置にある点を結んだものであり、この形状か
ら全般的な血流障害情報が得られる。第2の包絡線はコ
ロトコフ音波形の二番目のピーク位置にある点を結んだ
ものであり、この形状から血流障害レベルに関する情報
が得られる。このように、脈波とともに2つの包絡線を
表示させることにより、循環器系障害の診断のための情
報が視覚的に容易に把握しうる。
本装置の第2の特徴によれば、人体を示す3つのシン
ボルマークが表示される。第1のシンボルマークは基準
位置を示すものとなる。第2のシンボルマークは、右腕
部に装着した縛帯から得られたコロトコフ音波形に基づ
いて表示位置が変化し、右半身における血流障害の程度
を示すものとなる。また、第3のシンボルマークは、左
腕部に装着した縛帯から得られたコロトコフ音波形に基
づいて表示位置が変化し、左半身における血流障害の程
度を示すものとなる。このように、身体左右についての
循環器系疾患の程度を視覚的に容易に把握することがで
きる。
本装置の第3の特徴によれば、コロトコフ音波形の包
絡線と標準的包絡線とが比較され、両者の隔りが所定の
限度以上である場合に、血流障害ありと判断される。し
かも、グラフの時間軸を人体の各部位と対応させること
ができるため、血流障害部位を特定してこれを表示する
ことができる。
5.1 装置の基本構成 第33図は、本発明の一実施例に係る血液循環情報表示
装置の基本構成を示すブロック図である。この装置は、
大きく分けて、装置本体600(一点鎖線で囲んで示す)
と一対の縛帯500(図の下方に接続されるべきもう一方
の縛帯は図示を省略してある)とから構成される。縛帯
500は、第13図(§2)で示したものと全く同じもので
ある。装置本体600は、第13図に示す装置とほぼ同じ構
成要素を有するが、左右の上腕部からの情報を同時に収
集できるように、一部の構成要素については2組ずつ用
意されている。すなわち、CPU640、メモリ660、表示装
置670、プリンタ680、エアポンプ651、リークバルブ65
2、はそれぞれ1組であるが、それ以外の構成要素は、
図の上方と下方とにそれぞれ2組ずつ用意されている。
たとえば、図の上方に示された縛帯500を右腕、図には
示されていない縛帯(図の下方に接続されている)を左
腕、にそれぞれ装着したとすれば、図の上半分に示され
た各構成要素は右腕からの情報、図の下半分に示された
各構成要素は左腕からの情報、をそれぞれ収集する機能
を有する。一対の縛帯を両腕に装着した状態を第34図に
示す。
さて、第33図の上半分には、前方音波センサ611、前
方圧力センサ612、後方音波センサ613、後方圧力センサ
614、が示されている。これらの各センサは、前方嚢510
または後方嚢530に生じる圧力変動あるいは音波を検出
するセンサである。各センサからの信号は、増幅器621
〜624によって増幅され、A/D変換器631〜634によってデ
ジタル化され、CPU640に与えられる。縛帯500および図
示されていないもう一方の縛帯の基準内圧は、エアポン
プ651およびリークバルブ652を動作させることによって
制御される。図の下半分に示されている構成は、これと
全く同様である。センサ615〜618からの信号は、増幅器
625〜628によって増幅され、A/D変換器635〜638によっ
てデジタル化され、CPU640に与えられる。こうして、左
右上腕部に装着した一対の縛帯の基準内圧を同時同圧に
制御することができる。
5.2 装置の基本動作 この装置は、第1図に示す本願第1の実施例の装置
(§1)による測定を行うこともできるし、第13図に示
す本願第2の実施例の装置(§2)による測定を行うこ
ともできる。すなわち、後方音波センサ613,617を、第
1図における音波センサ110として用い、後方圧力セン
サ614,618を、第1図における圧力センサ120として用い
れば、第1図に示す装置と同様の機能を果たすことがで
きる。また、前方圧力センサ612,616を、第13図におけ
る前方センサとして用い、後方圧力センサ614,618を、
第13図における後方センサとして用いれば、第13図に示
す装置と同様の機能を果たすことができる。また、この
装置が備えている前方音波センサ611,615は、本願発明
の実施には用いられないが、この前方音波センサ611,61
5からの出力信号を用いれば、日本国において1989年5
月19日になされた特許出願である特願平1−126070号に
開示された動脈伸展性測定装置として、本装置を機能さ
せることも可能である。
この装置を用いれば、コロトコフ音は後方音波センサ
613,617の出力として得られる。また、大動脈波と近似
な脈波は、縛帯500内の基準内圧を心拡張期圧DPに維持
させたときの後方音波センサ614,618の出力として得ら
れる。縛帯500内の基準内圧が心拡張期圧DPに到達した
か否かは、2とおりのいずれの方法でも検出できる。第
1の方法は、第1図に示す装置で行ったようなコロトコ
フ音による検出方法(§1)であり、第2の方法は、第
13図に示す装置で行ったような前方脈波と後方脈波との
下部の一致を検出する方法(§2)である。こうして、
左右両方の上腕部から、心収縮期圧SP〜心拡張期圧DPに
至るまでのコロトコフ音波形と、大動脈波に近似した脈
波とが左右別々に得られ、メモリ660に記憶される。CPU
640は、このメモリに記憶されたデータに基づいて、§
4で述べた装置と同様の処理を行う。すなわち、第29図
に示したように、平均脈波Wの時間軸を高圧期A,低圧期
B,第3期Cに分割し、それぞれにコロトコフ音波形を線
形対応させ、脈波とコロトコフ音波形とを同一の時間軸
をもったグラフ上に重畳する。§4で述べた装置では、
この重畳したグラフを標準的包絡線Eとともにプリンタ
に出力した。本装置では、これとは少し異なった処理を
行う。すなわち、本装置において、プリンタ680に出力
されるものは、脈波/包絡線ダイヤグラムおよびシンボ
ル/血流障害部位表示と名付けられる2つのチャートで
ある。
5.3 脈波/包絡線ダイヤグラム はじめに、脈波/包絡線ダイヤグラムについて説明す
る。第35図に示すように、同一の時間軸をもったグラフ
上に脈波とコロトコフ音波形とが重畳されたら、コロト
コフ音波形についての2つの包絡線を求める。すなわ
ち、コロトコフ音波形のそれぞれ最大ピーク位置にある
点を結んだ第1の包絡線と、各コロトコフ音波形のそれ
ぞれ二番目のピーク位置にある点を結んだ第2の包絡線
と、である。第35図では、第1の包絡線E1を一点鎖線で
示し、第2の包絡線E2を二点鎖線で示す。ここで、コロ
トコフ音波形の最大ピークあるいは二番目のピークと
は、次のような意味である。第36図はコロトコフ音の1
波形の拡大図(全振幅分を示す)である。ここで、最大
ピーク位置にある点とは、最も振幅の大きなピークにあ
る点P1をさし、二番目のピーク位置にある点とは、二番
目に振幅の大きなピークにある点P2をさす。したがっ
て、第1の包絡線E1は、各コロトコフ音波形の点P1を結
んで得られる線であり、第2の包絡線E2は、各コロトコ
フ音波形の点P2を結んで得られる線である。
これらの包絡線E1,E2は、第30図に示す標準的包絡線
Eとは多少意味が異なる。標準的包絡線Eは3頂点を連
結する直線として求められたのに対し、包絡線E1,E2
は、第37図に示すように実際に複数のコロトコフ音波形
のピーク位置の点を連結して求められたものである。標
準的な健常者であれば、こうして求められた包絡線E1,E
2は、標準的包絡線E01,E02とよく一致することが知られ
ている。ただし、標準的包絡線E01とは、点P,S,U(点S
は区間IIIとIVとの境界上のコロトコフ音波形の最大ピ
ーク位置の点、点Uは区間VとVIとの境界上のコロトコ
フ音波形の最大ピーク位置の点)の3点を結ぶ線であ
り、標準的包絡線E02とは、点P,S2,U2(点S2は区間III
とIVとの境界上のコロトコフ音波形の二番目のピーク位
置の点、点U2は区間VとVIとの境界上のコロトコフ音波
形の二番目のピーク位置の点)の3点を結ぶ線である。
すなわち、第35図において、包絡線E1は標準的包絡線E0
1と完全に一致しており、包絡線E2は標準的包絡線E02と
完全に一致している。しかしながら、実際には、両者が
完全に一致するのは健常者についての測定結果であり、
疾患者についての測定結果では、両者は大きく食い違う
ことになる。第37図にこのような一例を示す。ここで、
実線で示すE01、E02が標準的包絡線であり、一点鎖線で
示すE1が第1の包絡線、二点鎖線で示すE2が第2の包絡
線である。このように、実際に求められた包絡線が標準
的包絡線に対して隔りをもっている場合には、循環器系
血流障害によって生じた隔りと考えることができる。
第38図に示す脈波/包絡線ダイヤグラムは、脈波と2
つの包絡線とを同一のグラフ上に表示したチャートで、
健常者についての結果である。この実施例では、脈波W
を実線で、第1の包絡線E1を一点鎖線で、第2の包絡線
E2を二点鎖線で、それぞれ示す。また、区間VIについて
は、コロトコフ音波形のピーク値の平均値を三点鎖線で
示してある。実際にプリンタ680でこのチャートを出力
する場合には、すべてを実線で出力させてもかまわない
し、カラープリンタを用いるのであれば、色分けして出
力させることもできる。このチャートには、更に縦横に
区画線が引かれている。水平方向の区間線は、§4で述
べた区間I〜区間VIを分割するための区間線である。垂
直方向の区間線は、所定の間隔で横軸を分割する区間線
であり、横軸は、+R2,+R1,…,+L1,+L2の10区間に
分割されている。図の中心線Nより左半分の+R2〜−R2
の5区間が右腕に装着した縛帯から得られた情報に基づ
くものであり、図の中心線Nより右半分の+L2〜−L2の
5区間が左腕に装着した縛帯から得られた情報に基づく
ものである。図の左右とチャートのRLとが逆になってい
るのは、後述するシンボル/血流障害部位表示と合わせ
るためである。なお、この横軸の分割は、標準的な健常
者の第2の包絡線のピーク点S2LおよびS2Rがそれぞれ区
間L0およびR0に位置するような分割を行うように予め決
めておく。
このような脈波/包絡線ダイヤグラムは、循環器系疾
患の診断に貴重なデータを提供してくれる。まず、脈波
Wは、前述のように、大動脈波と近似な脈波であるか
ら、非観血的に近似な大動脈の循環情報が得られること
になる。そして、第1の包絡線E1は、いわゆるスワン型
として従来から血圧診断の用に供せられてきた形状デー
タである。この形状から種々の診断を行うことができ
る。たとえば、第39図にハッチングとともに示したいく
つかの図形は、第1の包絡線E1で囲まれて形成される図
形(片側半分だけを示す)である。ここで、図形aは標
準的な健常者の場合に形成される図形である。図形bは
K5音が多発する例を示し、図形cはK3音以下が消失する
例を示す。このほか、図形dのような台形、図形eのよ
うな双峰形のような図形が形成される場合もある。ま
た、図形fでは不整脈の発生が見られ、図形gでは心拍
出量低下が見られる。一方、第2の包絡線E2は、血流障
害が生じている部位の血流障害レベルを提示している。
これについては、後述するシンボル/血流障害部位表示
の説明の中で述べることにする。
5.4 シンボル/血流障害部位表示 さて、前述のようにして、脈波/包絡線ダイヤグラム
が求まると、これからシンボル/血流障害部位表示を得
ることができる。この表示は、シンボル表示と血流障害
部位表示とから構成される。シンボル表示は、人体を示
す3つのシンボルマークからなる表示である。第40図お
よび第41図は、このシンボル表示を示す図である。この
両図において、Nと記したシンボルマーク(実線で示
す)が第1のシンボルマークであり、直立した人体マー
クによって基準位置を示す機能を有する。第2のシンボ
ルマークは、右半身の状態を示すマークであり、図で、
N,−R1,−R2,+R1,+R2、と記されたシンボルマーク
(N以外は破線で示す)のうちのいずれか1つとなる。
また、第3のシンボルマークは、左半身の状態を示すマ
ークであり、図で、N,−L1,−L2,+L1,+L2、と記され
たシンボルマーク(N以外は破線で示す)のうちのいず
れか1つとなる。第2および第3のシンボルマークとし
てどのマークを採用するかは、第38図に示す脈波/包絡
線ダイヤグラムによって決まる。すなわち、第2の包絡
線E2の頂点S2RおよびS2Lが、横軸方向の区間のいずれに
存在するかによって決まる。例えば、頂点S2Rが区間R0
にあった場合は正常と判断され、第2のシンボルマーク
としてマークNが採用される(第1のシンボルマークと
同じになる)。区間−R1,−R2,+R1,+R2にあった場
合、はそれぞれマーク−R1,−R2,+R1,+R2が採用され
る(第1のシンボルマークに対して傾いたマークとな
る)。第3のシンボルマークについても同様である。
結局、第2の包絡線の頂点S2RおよびS2Lの位置が、標
準的な区間R0,L0にあれば、3つのシンボルマークはす
べて重なり、直立した人体マークだけが表示されるが、
この標準的な区間から外れれば、その分だけ左右に傾斜
したシンボルマークが表示されることになる。これは、
人体の左右のどちら側に、どれほどの血流障害があるか
を示しているに他ならない。シンボルマークの傾斜度が
大きければ大きいほど、血流障害が大きいことを示すこ
とになる。また、頂点S2RおよびS2Lが負方向に外れてい
る場合には、第40図に示すようにシンボルマークとして
は左右の半身像だけが表示され、正方向にはずれている
場合には、第41図に示すようにシンボルマークとしては
上半身像だけが表示される。したがって、コロトコフ音
の振幅が小さい方に外れているのか、大きい方に外れて
いるのかという情報も一目で把握することが可能であ
る。なお、第40図および第41図に示すように、人体のマ
ークを傾斜させて血流障害度を表現する代わりに、第42
図に示すように、人体のマークを平行移動させて血流障
害度を表現することも可能である。この他にも種々の表
示方法が考えられよう。人体図形の代わりにより単純化
した図形をシンボルマークとして用いてもよい。たとえ
ば、人体図形の代わりに単なる線分を用いてもよい。要
するに基準位置を示す第1のシンボルマークに対して、
右半身および左半身の血流障害の程度を示すことのでき
る第2および第3のシンボルマークを用いることができ
れば、どのような方法を採ってもかまわない。
さて、次に血流障害部位表示について説明する。前述
のシンボル表示によって、人体の左右のどちら側に、ど
れほどの血流障害があるのかという情報は得られる。血
流障害部位表示は、人体のどの部位に血流障害が生じて
いるのかをより具体的に示すものである。ここで、もう
一度第38図に戻って説明する。§4でも述べたように、
コロトコフ音の波形は、区間Iにおいては心臓近傍、区
間IIにおいては肺、区間IIIにおいては胃および腸(消
化器)、区間IVにおいては肝臓、区間Vにおいては腎
臓、区間VIにおいては膀胱、下肢、頭部、の血流障害情
報を示すものになる。これを人体のシンボルマーク上で
示すと、第43図のようになる。本願発明者は、第2の包
絡線がこの血流障害情報を最も顕著に示すデータとなり
得ることを経験的に認識したのである。そこで、各区間
I〜VIにおいて、第2の包絡線E2をこれに対応する標準
的包絡線E02と比較し、両者の隔りが所定の限度以上で
あった場合には、その区間において血流障害有りとの判
断を行うようにする。ここで、両者の隔りを求める方法
としては、たとえば、第44図の上方に示すように、両者
で囲まれる領域の面積が所定値以上であるか否かを判断
することもできようし、同図下方に示すように、最も離
れた点間の距離Dが所定値以上であるか否かを判断する
こともできよう。
なお、区間VIについては、コロトコフ音の消失する圧
力値が所定範囲内に入っているか否かで判断を行うよう
にすればよい。この実施例では、コロトコフ音消失圧
(第5a図および第16a図における点Hの圧力)と心拡張
期圧DPとの差が10mmHg以上となったときに、膀胱、下
肢、頭部に血流障害がありと判断している。
こうして、区間I〜VIの中で、限度を越えて外れてい
ると判断された区間があれば、その区間に対応する部位
を血流障害部位として表示する。この表示は、第1のシ
ンボルマーク上で行われる。すなわち、第1のシンボル
マークとしての人体マーク上において、第43図に示され
た各部位の位置を参照して、血流障害部位と判断された
区間に対応する部位を特定の方法(たとえばハッチング
表示)で表示するのである。もちろん、血流障害部位を
文字で表示するようにしてもよいが、このように人体マ
ーク上で表示するのが認識を容易にするためには好まし
い。
なお、前述のように、第2の包絡線の頂点S2RおよびS
2Lの位置が、標準的な区間R0,L0にある場合、直立した
人体マークだけが表示される。しかしながら、本装置で
は、このように区間R0,L0に頂点があったとしても、い
ずれかの区間において血流障害が検出された場合は、検
出された血流障害部位の左または右に対応させて人体の
シンボルマークをL1またはR1の位置まで傾斜させるよう
にしている。したがって、血流障害部位表示がいずれか
の箇所に出現した場合は、第2の包絡線の頂点S2Rおよ
びS2Lが標準的な区間R0,L0にあったとしても、必ず傾斜
した人体のシンボルマークが表示されることになる。
5.5 表示の実例 第45図はこの血液循環情報表示装置によって表示され
た脈波/包絡線ダイヤグラムの一例を示す図、第46図は
第45図のダイヤグラムから得られるシンボル/血流障害
部位表示を示す図である。実際には、この第45図のチャ
ートと第46図のチャートとを並べて出力するようにする
のが好ましい。第45図において、第2の包絡線上の点S2
RおよびS2Lは、それぞれ区間−R1および区間−L2に存在
する。このため、第46図では、右半身は−R1分だけ傾
斜、左半身は−L2分だけ傾斜している。また、区間III
において、第2の包絡線が標準的包絡線から所定の限度
以上外れており、第46図では、区間IIIに対応する胃お
よび腸(消化器)に血流障害部位表示がなされている。
第47図はこの血液循環情報表示装置によって表示され
た脈波/包絡線ダイヤグラムの別な一例を示す図、第48
図は第47図のダイヤグラムから得られるシンボル/血流
障害部位表示を示す図である。第47図において、第2の
包絡線の頂点S2RおよびS2Lは、それぞれ区間+R1および
区間+L1に存在する。このため、第48図では、右上半身
は+R1分だけ傾斜、左上半身は+L1分だけ傾斜してい
る。一方、第2の包絡線の標準的包絡線に対する隔たり
は、各区間ともに所定限度内となっている。したがって
区間I〜Vのいずれにおいても特に顕著な血流障害は見
られないことになる。しかしながら、包絡線の頂点S2R
およびS2Lは、それぞれ+R1および+L1に存在し、健常
者に比べてより大きな振幅のコロトコフ音が検出されて
いる。本装置では、このような場合、心機能亢進による
血流障害があるものと判断して、第48図に示すように、
区間Iに対応する部位(心臓に対応)に血流障害部位表
示を行うようにしている。
以上のように、本装置の第1の特徴によれば、縦軸を
血圧値、横軸を時間にとって、脈波と2つの包絡線とを
同一時間軸上に複合表示するようにしたため、循環器系
血流障害の診断のための情報が視覚的に容易に把握しう
る。
また、本装置の第2の特徴によれば、人体を示す3つ
のシンボルマークを表示するようにしたため、シンボル
マークの位置によって、身体左右についての循環器系血
流障害の程度を視覚的に容易に把握することができる。
更に、本装置の第3の特徴によれば、コロトコフ音波
形の包絡線と標準的包絡線とを比較し、両者の隔りが所
定の限度以上である場合に血流障害ありと判断するた
め、血流障害部位を特定してこれを表示することができ
る。
産業上の利用可能性 本願で開示した脈波検出装置、脈波変動検出装置、脈
波動脈音複合記録装置、および血液循環情報表示装置
は、いずれも循環器系疾患の診断に利用することができ
る。特に、これらの装置はいずれも、上腕部に縛帯を装
着するだけで測定結果を得られるので、従来の観血的な
測定手法に比べて大きな利用価値をもつものである。本
発明は、現代の医学的な診断技術に大きく貢献するであ
ろう。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生体の発生する脈波を検出する脈波検出部
    (614,618)と、 生体を縛帯(500)によって圧迫することにより発生す
    るコロトコフ音を、縛帯圧を変化させながら検出し、圧
    力軸に沿ってコロトコフ音の波形を記録する音波検出部
    (613,617)と、 前記脈波検出部によって検出された脈波の立ち上がり時
    点T0から大動脈弁閉鎖痕が出現する時点T1までの時間軸
    に、前記音波検出部によって記録されたコロトコフ音波
    形の心収縮期圧SPから大動脈弁閉鎖痕圧DNPまでの圧力
    軸を線形対応させ、脈波とコロトコフ音波形とを同一時
    間軸のグラフ上に重ねる高圧期重畳手段(640,660)
    と、 前記脈波検出部によって検出された脈波の大動脈弁閉鎖
    痕が出現する時点T1から心拡張期圧DPに到達する時点T2
    までの時間軸に、前記音波検出部によって記録されたコ
    ロトコフ音波形の大動脈弁閉鎖痕DNPから心拡張期圧DP
    までの圧力軸を線形対応させ、脈波とコロトコフ音波形
    とを同一時間軸のグラフ上に重ねる低圧期重畳手段(64
    0,660)と、 前記グラフ上の各コロトコフ音波形のそれぞれ最大ピー
    ク位置にある点を結んだ第1の包絡線と、前記グラフ上
    の各コロトコフ音波形のそれぞれ二番目のピーク位置に
    ある点を結んだ第2の包絡線と、を求め、前記脈波検出
    部によって検出された脈波と、前記第1の包絡線と、前
    記第2の包絡線と、を同一のグラフ上に表示する表示手
    段(640,660,670,680)と、 を備えることを特徴とする血液循環情報表示装置。
  2. 【請求項2】人体の右腕を縛帯(500)によって圧迫す
    ることにより発生するコロトコフ音と、縛帯圧を変化さ
    せながら検出し、圧力軸に沿ってコロトコフ音の波形を
    記録する右側音波検出部(613)と、 前記人体の左腕を縛帯によって圧迫することにより発生
    するコロトコフ音を、縛帯圧を変化させながら検出し、
    圧力軸に沿ってコロトコフ音の波形を記録する左側音波
    検出部(617)と、 基準位置を示す第1のシンボルマークを表示し、前記右
    側音波検出部の検出波形を所定の基準と比較し、両者の
    隔りに応じて、前記第1のシンボルマークに対して隔た
    った位置に第2のシンボルマークを表示し、前記左側音
    波検出部の検出波形を所定の基準と比較し、両者の隔り
    に応じて、前記第1のシンボルマークに対して前記第2
    のシンボルマークとは反対側に隔たった位置に第3のシ
    ンボルマークを表示するシンボル表示部(640,660,670,
    680)と、 を備えることを特徴とする血液循環情報表示装置。
  3. 【請求項3】人体の発生する脈波を検出する脈波検出部
    (614,618)と、 人体を縛帯(500)によって圧迫することにより発生す
    るコロトコフ音を、縛帯圧を変化させながら検出し、圧
    力軸に沿ってコロトコフ音の波形を記録する音波検出部
    (613,617)と、 前記脈波検出部によって検出された脈波の立ち上がり時
    点T0から大動脈弁閉鎖痕が出現する時点T1までの時間軸
    に、前記音波検出部によって記録されたコロトコフ音波
    形の心収縮期圧SPから大動脈弁閉鎖痕圧DNPまでの圧力
    軸を線形対応させ、脈波とコロトコフ音波形とを同一時
    間軸のグラフ上に重ねる高圧期重畳手段(640,660)
    と、 前記脈波検出部によって検出された脈波の大動脈弁閉鎖
    痕が出現する時点T1から心拡張期圧DPに到達する時点T2
    までの時間軸に、前記音波検出部によって記録されたコ
    ロトコフ音波形の大動脈弁閉鎖痕DNPから心拡張期圧DP
    までの圧力軸を線形対応させ、脈波とコロトコフ音波形
    とを同一時間軸のグラフ上に重ねる低圧期重畳手段(64
    0,660)と、 前記グラフ上の各コロトコフ音波形のそれぞれ所定のピ
    ーク位置にある点を結んだ診断用包絡線を求め、前記グ
    ラフの時間軸を複数の区間に分割し、この各区間に人体
    の各部位を対応づけ、この各区間ごとに前記診断用包絡
    線を所定の基準包絡線と比較し、両者の隔りが所定の限
    度以上である区間については、その区間に対応づけられ
    た人体の部位を血流障害部位として表示する血流障害表
    示手段(640,660,670,680)と、 を備えることを特徴とする血液循環情報表示装置。
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