JP2877032B2 - パターン縫いミシン - Google Patents

パターン縫いミシン

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JP2877032B2 JP13297295A JP13297295A JP2877032B2 JP 2877032 B2 JP2877032 B2 JP 2877032B2 JP 13297295 A JP13297295 A JP 13297295A JP 13297295 A JP13297295 A JP 13297295A JP 2877032 B2 JP2877032 B2 JP 2877032B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、縫針の針落ち位置より
も半回転中釜における開放端側において糸ループを捕捉
する半回転中釜を設けた半回転釜ユニットを装着した糸
切り機構付きパターン縫いミシンに関し、特に糸切り機
構の釜糸案内部材に形成した糸押え部で糸ループを縫針
に対して剣先側に強制的に形成して、剣先による上糸ル
ープの捕捉性を高めるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】パターン縫いミシンは、加工布を平面上
の任意方向へ移動駆動しつつ、加工布に種々のパターン
を縫製する為のミシンである。このパターン縫いミシン
は、一般に、加工布支持面を構成する針板の針穴を通過
して上下動する縫針と、その縫針を支持する針棒を昇降
駆動する針棒駆動機構と、上糸を緩めたり引き上げたり
する天秤と、天秤を上下に揺動駆動する天秤駆動機構
と、縫針と協働して本縫い縫目を形成するため針板の下
側に配設された糸輪捕捉器としての半回転釜ユニット
と、この半回転釜ユニットの半回転中釜を約半回転ずつ
往復回転駆動する釜駆動機構、加工布支持面上において
加工布が縫針の上下動通路を横切って移動するように加
工布を保持する加工布保持機構と、その加工布保持機構
によって保持された加工布を針板に間欠的に押える間欠
押え機構等を有する。前記加工布保持機構は、X軸駆動
機構とY軸駆動機構とを含み、加工布をX軸方向とY軸
方向の2方向へ夫々自由に移動駆動できるようになって
いる。
【0003】ここで、前記半回転釜ユニット140は、
図10・図11に示すように、通常、ベッド部に固着さ
れた大釜141と、その大釜141内に、操作者側を前
方として前後方向向きの水平軸の周りに往復回動可能に
支承された半回転中釜142とを備え、その半回転中釜
142の前端は、ボビンケース144を着脱可能に装着
し得るように開放状に形成されている。そして、その半
回転中釜142には、開放端側から視て時計周り方向へ
ドライバ143により回転駆動されるときに、縫針10
9の針落ち位置よりも開放端と反対側において、縫針1
09の目孔109aを挿通して加工布Wに連なる上糸1
11の糸ループを縫針109よりも後側において捕捉す
る剣先142aが形成されている。ここで、その半回転
中釜142は、一般的に用いられる通常剣先型である。
【0004】ここで、半回転中釜142を回転自在に枢
支する大釜141の上端部には、下降した縫針109に
上糸111を介して前側から当接する糸押え部141a
が形成され、この糸押え部141aが縫針109の前側
に当接することで、目孔109aを挿通した布側上糸1
11bの直ぐ後側に糸ループを形成することで、剣先1
42aによる上糸111の糸ループを捕捉し易いように
なっている。更に、この種のパターン縫いミシンにおい
ては、可動刃や固定刃に加えて、大釜141の上端部に
取り付けた板状の釜糸案内部材154からなり、縫製作
業の終了時に、加工布Wに連なる布側上糸111bを、
可動刃と固定刃の協働により切断する糸切り機構150
を備えたものが実用に供されている。
【0005】一方、通常型半回転中釜を設けた半回転釜
ユニットを装備したミシンにより本縫い縫目を形成する
際に、正常な縫目のパーフェクトステッチと、異常な縫
目のヒッチステッチとが形成される。即ち、上糸に対し
て縫針が右側に落ちるとパーフェクトステッチとなり、
上糸に対して縫針が左側に落ちるとヒッチステッチとな
る。このヒッチステッチでは、上糸と下糸とで形成され
る縫目の表面側または裏面側に上糸の捩れ個所が発生
し、加工布に形成される縫目の品質が低下するので好ま
しくない。
【0006】前記ヒッチステッチの発生は、運針方向
(加工布の縫目に対して相対的に縫針が進行する方向)
と関連があり、運針方向によってヒッチステッチが発生
したり発生しなかったりし、また、ヒッチステッチが発
生する運針方向は、半回転釜の型式と関連している。即
ち、通常剣先型の半回転中釜を装備したパターン縫いミ
シンでは、広範囲の運針方向に亙ってヒッチステッチが
発生することは、実験的に調査して判明している。
【0007】そこで、本願の発明者は、前記通常剣先型
の半回転中釜142に代えて、図12に示すように、半
回転中釜242の前端の開放端側から視て時計周り方向
へドライバ(図示略)により回転駆動されるときに、縫
針209の針落ち位置よりも開放端側において、縫針2
09の目孔を前方に向けて挿通して加工布Wに連なる上
糸11の糸ループを縫針209よりも前側において捕捉
するように剣先242aを形成した逆剣先型の半回転中
釜242を装着することで、ヒッチステッチの発生を極
力抑制できることに着想した。
【0008】この場合には、上糸211を縫針209の
目孔に後側から前側に挿通させて、布側上糸211bを
縫針209よりも前側において捕捉することから、前記
糸切り機構250の釜糸案内部材254に形成された針
通過用切欠き穴254aを挿通して、下降した縫針20
9に上糸211を介して後側から当接する糸押え部材2
60をフレームに固着するようにし、この糸押え部材2
60が縫針209の後側に当接することで、目孔を後側
から挿通した布側上糸211bの糸ループを縫針209
の前側に形成することで、剣先242aによる上糸21
1の糸ループを捕捉し易いように構成した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記図12で説明した
ように、逆剣先型の半回転中釜を装着したパターン縫い
ミシンにおいては、天秤からの上糸を縫針の目孔に、ア
ーム側である後側から挿通させるようにして、フレーム
に固着した糸押え部材が縫針の後側に当接することで、
目孔を後側から挿通した布側上糸の糸ループを縫針の前
側に形成することで、剣先による上糸の糸ループを捕捉
し易いように構成したので、糸押え部材を別途設けるこ
とから、部品点数が増加すること、更にその糸押え部材
を取り付ける取り付け位置調節作業が必要になること、
などの問題がある。
【0010】本発明の目的は、パーフェクトステッチの
実現の為に、半回転釜ユニットの半回転中釜として、逆
剣先型を装備した場合でも、何ら部品を追加することな
く、剣先による上糸ループの捕捉性を高め得るようなパ
ターン縫いミシンを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1のパターン縫い
ミシンは、針板の針穴を通過して上下動する縫針と、そ
の縫針と協働して本縫い縫目を形成するため針板の下側
に配設され且つ縫針の目孔を挿通した上糸の糸ループを
捕捉する半回転釜ユニットと、目孔を挿通した上糸の布
側上糸と天秤側上糸とを振り分ける糸分け部を有する釜
糸案内部材と、固定刃と、糸分け部で振り分けられた布
側上糸と下糸とを往復揺動により捕捉して加工布の近傍
位置で固定刃と協働して切断する可動刃とを含み、針板
の下面側に配設された糸切り機構と、縫針の上下運動と
同期して可動刃を往復揺動させる駆動用リンク系とを備
えたパターン縫いミシンにおいて、半回転釜ユニット
は、ミシンのベッド部に固着された大釜と、大釜内に、
水平軸心の周りに往復回動可能に支承された半回転中釜
であって、開放端側からボビンケースを着脱可能に装着
し得るケース収容部と、縫針の針落ち位置よりも開放端
側において開放端側から視て時計回り方向への回転時に
糸ループを捕捉する剣先を有する半回転中釜とを備え、
目孔を挿通して半回転中釜における開放端方向に延びる
布側上糸にのみ糸ループを形成する為に、下降した縫針
の半回転中釜における反開放端側に近接する糸押え部を
前記釜糸案内部材に一体的に形成したものである。
【0012】
【作用】請求項1のパターン縫いミシンにおいては、針
板の下側に配設された半回転釜ユニットは、ベッド部に
固着された大釜と、この大釜内に往復回動可能に支承さ
れ、上糸の糸ループを縫針の針落ち位置よりも開放端側
において捕捉する剣先を有する半回転中釜とを備えてい
るので、縫針が下降して、その最下降位置から若干上昇
したときに、縫針の目孔を挿通して加工布に連なる布側
上糸の糸ループが半回転中釜の剣先により縫針よりも半
回転中釜における開放端側で捕捉されることになる。と
ころで、下降した縫針の半回転中釜における反開放端側
に近接する糸押え部が釜糸案内部材に一体的に形成され
ているので、この糸押え部が下降した縫針に上糸を介し
て半回転中釜における反開放端側から当接することにな
り、目孔を挿通した布側上糸の糸ループが縫針の半回転
中釜における開放端側に形成され、剣先によりこの糸ル
ープが捕捉されるので、何ら部品を追加することなく、
剣先による上糸ループの捕捉性を高め得ることができ
る。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
つつ説明する。本実施例に係るパターン縫いミシンは、
一般的なパターン縫いミシンと同様に、X軸駆動機構と
Y軸駆動機構とを含む加工布保持機構を介して加工布を
任意方向に移動駆動しつつ、加工布に種々のパターンを
縫製する為のミシンである。図1に示すように、このパ
ターン縫いミシン1においては、ベッド部2と脚柱部3
とアーム部4のフレームを構成する本体フレームが設け
られ、ベッド部2内には上軸5のクランク部に連結され
た連棹により駆動される下軸47(図3参照)が配設さ
れ、アーム部4内にはミシンモータで駆動される上軸5
が配設されている。
【0014】このパターン縫いミシン1には、加工布支
持面6を構成する針板7の針穴8を通過して上下動する
縫針9と、この縫針9を支持する針棒10と、この針棒
10を昇降駆動する針棒駆動機構、上糸11を緩めたり
引き締めたりする天秤12と、この天秤12を昇降駆動
する天秤駆動機構と、加工布支持面6上において加工布
Wが縫針9の上下動通路を横切って移動するように加工
布Wを保持する加工布保持機構30と、この加工布保持
機構30で保持された加工布Wを針板7に間欠的に押え
且つ縫針9の上下動を許す穴が形成された円筒状の間欠
押え足27を有する間欠押え機構20と、縫針9と協働
して本縫い縫目を形成するため針板7の下側に配設され
た半回転釜ユニット40と、縫針9の上下動と同期させ
て半回転釜ユニット40の半回転中釜42を半回転ずつ
往復回転駆動する釜駆動機構等が設けられている。
【0015】針棒駆動機構は、上軸5により針棒クラン
ク13を介して針棒10を昇降駆動するように構成さ
れ、天秤駆動機構は、上軸5により針棒クランク13と
リンク14とを介して天秤12を昇降駆動するように構
成され、間欠押え機構20は、上軸5の回転駆動力によ
り往復揺動駆動される揺動アーム21によりリンク22
とL形揺動リンク23(支軸24に回動自在に枢着され
ている)を介して押え棒25を間欠的に昇降駆動し、間
欠押え足部材26を間欠的に昇降駆動するように構成し
てある。
【0016】前記押え棒25の下端部には押え足部材2
6が取付けられ、この押え足部材26の下端部に円筒状
の間欠押え足27が一体形成され、この間欠押え足27
は、針棒10と同期して昇降駆動され、縫針9が加工布
Wに刺挿している間だけ、加工布Wを針板7に押えるよ
うに構成してある。尚、天秤運動軌跡と、針棒運動軌跡
とは、図9に示す通りである。
【0017】次に、加工布保持機構30について簡単に
説明する。図2に示すように、加工布保持枠31は、ベ
ース枠32と押え枠33との間に加工布Wの外周部分を
挟んで加工布Wを保持するものであり、この加工布保持
枠31は、ベッド部2の上面を含む平面上に配設され、
この加工布保持枠31を上軸5と平行なY軸方向へパル
スモータで駆動するY軸駆動機構と、加工布保持枠31
をY軸と直交するX軸方向へパルスモータで駆動するX
軸駆動機構とを含む枠駆動機構により、加工布保持枠3
1はX軸方向とY軸方向とに夫々独立に且つ高精度に移
動駆動されるように構成してある。
【0018】次に、前記半回転釜ユニット40と釜駆動
機構について説明する。図1〜図4に示すように、この
半回転釜ユニット40は、ベッド部2に固着された大釜
41と、その大釜41内に、操作者側を前方として前後
方向向きの水平軸心の周りに往復回動可能に支承された
半回転中釜42とを備え、その半回転中釜42の内部に
は、ボビンケース44を着脱可能に装着し得るケース収
容部42bが形成されるとともに、半回転中釜42の前
端は、ボビンケース44を着脱可能に装着し得るように
開放状に形成されている。そして、その半回転中釜42
には、更に、開放端側から視て時計回り方向へドライバ
43により回転駆動されるときに、縫針9の針落ち位置
Nよりも開放端側において、縫針9の目孔9aを挿通し
て加工布Wに連なる上糸11の糸ループを縫針9よりも
前側において捕捉する剣先42aが形成されている。
【0019】前記半回転中釜42は、ドライバー43で
図2に示す正面視(開放端側から視た場合に相当する)
において時計回り方向へ駆動される際に、半回転中釜4
2の剣先42aにより、縫針9の目孔9aを挿通して加
工布Wに連なる布側上糸11bの糸ループを縫針9より
も前側において捕捉し、剣先42aが半回転する間にボ
ビンケース44が拡大された糸ループに挿入状態とな
り、その後剣先42aから離れた上糸11が天秤12に
より取上げられる際に、ボビンケース44が糸ループを
くぐり抜けて、上糸11と下糸とが交絡することにな
る。即ち、この半回転中釜42は、図9に示す従来の通
常剣先型に対して、逆剣先型として構成されている。
【0020】次に、針板7の下側に設けられ、加工布W
から延びる布側上糸11bと下糸とを切断する糸切り機
構50について、図2〜図3、図5〜図6に基づいて説
明する。針板7の下側に配設された可動刃51は、針落
ち位置Nの前側で且つ右側の所定位置を揺動中心として
ビス52により針板7に回動自在に枢支され、その可動
刃51の直ぐ上側に設けられた平面視略逆J字状の固定
刃53は、前後方向位置調節可能に針板7にビス止めさ
れている。
【0021】そして、可動刃51を揺動駆動する駆動用
リンク系60は、駆動軸61に固着された駆動レバー6
2に作動レバー63が連結され、この作動レバー63に
揺動レバー64が連結され、この揺動レバー64に連結
レバー65が連結され、この連結レバー65に可動刃5
1が連結されている。一方、可動刃51の直ぐ下側に設
けられた板状の釜糸案内部材54は、半回転中釜40の
大釜41の上端部に水平状に左右方向位置調節可能にビ
ス止めされている。
【0022】この釜糸案内部材54には、図5に示すよ
うに、その略中央部において、縫針9の上下動を許可す
る針通過用切欠き穴54aが形成されるとともに、縫針
9の目孔9aを挿通した上糸11の布側上糸11bを針
落ち位置Nよりも前側に振り分け且つ天秤12から供給
される天秤側上糸11aを針落ち位置Nよりも後側に振
り分ける平面視略三角形状の糸分け部54bが形成され
ている。更に、釜糸案内部材54には、糸分け部54b
で振り分けられた天秤側上糸11aを切断しないように
退避させる退避用切欠き溝54cが、糸分け部54bの
基端部から針通過用切欠き穴54aに連続的に形成され
るとともに、目孔9aを挿通して前側に延びる布側上糸
11bに糸ループを形成する為に、下降した縫針9の後
側に近接する糸押え部54dが一体的に形成されてい
る。
【0023】ところで、可動刃51が平面視にて時計回
り方向に往動されるときに、針落ち位置Nよりも前側に
振り分けられた布側上糸11bを捕捉する為の捕捉用切
欠き溝51aが可動刃51の先端部近傍に形成されると
ともに、針落ち位置Nよりも後側に振り分けられた天秤
側上糸11aを退避用切欠き溝54cに誘導する湾曲状
の糸誘導部51bが可動刃51の先端部に形成されてい
る。ここで、縫針9の上下動に同期して揺動する可動刃
運動軌跡は、図9に示す通りである。
【0024】次に、以上説明したパターン縫いミシン1
の作用について説明する。加工布保持枠31に加工布W
を装着し、その加工布保持枠31を枠駆動機構によりX
軸方向とY軸方向とに夫々独立に移動駆動しつつ、加工
布Wに種々のパターンの縫製を行うことになるが、これ
らについては通常のパターン縫いミシンと同様であるの
で、これ以上の説明は省略する。本願のパターン縫いミ
シン1は、剣先42aによる糸ループの捕捉性を高める
ことにおいて特有のもであるので、これらの作用につい
て詳細に説明する。
【0025】図3・図5に示すように、上糸11を縫針
9の目孔9aに後側から前側に挿通させておくので、各
縫製サイクルにおいて、縫針9が最下降位置から若干上
昇したときに、剣先42aにより布側上糸11bの糸ル
ープか縫針9の前側において捕捉されることになるが、
このときには、下降した縫針9の後側に近接する糸押え
部54dが釜糸案内部材54に一体的に形成されている
ので、この糸押え部54dが下降した縫針9に上糸11
を介して後側から当接することになり、目孔9aを挿通
した布側上糸11bの糸ループが縫針9の前側に形成さ
れ、剣先42aによりこの糸ループが捕捉されるので、
何ら部品を追加することなく、剣先42aによる糸ルー
プの捕捉性を高め得ることができる。
【0026】次に、パターン縫いの終了時に布側上糸1
1bと下糸とを切断する糸切り機構50の作用につい
て、図6〜図8に基づいて簡単に説明する。パターン縫
製の最終縫いサイクルに際して、縫針9が下降して、そ
の最下降位置から若干上昇したときに、布側上糸11b
の糸ループが剣先42aにより縫針9よりも前側で捕捉
されてその糸ループが拡大される。このとき、糸分け部
54bにより、布側上糸11bが針落ち位置Nよりも前
側に振り分けられ且つ天秤側上糸11aが針落ち位置N
よりも後側に振り分けられているので、可動刃51が駆
動レバー62の駆動により時計回り方向に往動されると
きに、図7に示すように、その先端がこれら両側上糸1
1a,11bの間に前側から割り込んで、布側上糸11
bが可動刃51の捕捉用切欠き溝51aに捕捉されると
ともに、天秤側上糸11aが可動刃51の糸誘導部51
bにより退避用切欠き溝54cに誘導され、切断しない
ように退避される。
【0027】そして、図8に示すように、可動刃51が
反時計回り方向に復動されるときに、捕捉用切欠き溝5
1aに捕捉されている布側上糸11bと下糸とが固定刃
53の刃と可動刃51の刃との協働で布側上糸11bが
加工布Wの近傍位置で切断される。そして、最終的に、
可動刃51は図5に実線で示す元の待機位置に復帰され
る。このとき、退避用切欠き溝54cに退避していた天
秤側上糸11aは切断されることはない。即ち、目孔9
aから延びる天秤側上糸11aは十分に長くなってお
り、次の縫製時に天秤側上糸11aが目孔9aから抜け
ることがない。
【0028】以上のように、図3に示す逆剣先型の半回
転中釜42を設けた半回転釜ユニット40が装着されて
いるときには、上糸11を縫針9の目孔9aに後側から
前側に挿通させておき、各縫製サイクルにおいて、剣先
42aにより布側上糸11bを縫針9よりも前側におい
て捕捉することになるが、このとき、下降した縫針9の
後側に近接する糸押え部54dが釜糸案内部材54に一
体的に形成されているので、この糸押え部54dが下降
した縫針9に上糸11を介して後側から当接することに
なり、目孔9aを挿通した布側上糸11bの糸ループが
縫針9の前側に形成され、剣先42aによりこの糸ルー
プが捕捉されるので、何ら部品を追加することなく、剣
先42aによる糸ループの捕捉性を高め得ることができ
る。
【0029】次に、前記実施例を部分的に変更した変更
態様について説明する。 1〕 前記釜糸案内部材54に形成された糸押え部54
dの縫針9に当接する端部を目孔9aの近傍部まで下方
に伸ばすようにして構成してもよい。 2〕 前記実施例は半回転釜ユニット40を装備したパ
ターン縫いミシンに本発明を適用した例について説明し
たが、往復回動する半回転中釜42の水平軸心の方向が
下軸47に対して90°回転させて配置された半回転釜
ユニットを設けたパターン縫いミシンなどにも本発明を
同様に適用可能である。
【0030】
【発明の効果】請求項1のパターン縫いミシンにおいて
は、縫針と、縫針の目孔を挿通した上糸の糸ループを捕
捉する半回転釜ユニットと、糸分け部を有する釜糸案内
部材と固定刃と可動刃とを含む糸切り機構と、可動刃を
往復揺動させる駆動用リンク系とを備えたパターン縫い
ミシンにおいて、その半回転釜ユニットは大釜と、縫針
の針落ち位置よりも開放端側において上糸の糸ループを
捕捉する剣先を有する半回転中釜とを備え、下降した縫
針の半回転中釜における反開放端側に近接する糸押え部
が釜糸案内部材に一体的に形成されているので、上糸を
縫針の目孔に半回転中釜における反開放端側から半回転
中釜における開放端側に挿通させて、剣先により布側上
糸を縫針よりも半回転中釜における開放端側において捕
捉することになるが、釜糸案内部材に一体的に形成され
た糸押え部が下降した縫針に上糸を介して半回転中釜に
おける反開放端側から当接することになり、目孔を挿通
した布側上糸の糸ループが縫針の半回転中釜における開
放端側に形成され、剣先によりこの糸ループが捕捉され
るので、何ら部品を追加することなく、剣先による上糸
ループの捕捉性を高め得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るパターン縫いミシンの正
面図である。
【図2】パターン縫いミシンに設けた半回転釜ユニット
と糸切り機構等を示す部分正面図である。
【図3】逆剣先型の半回転中釜を装着した半回転釜ユニ
ットと糸切り機構等の側面図である。
【図4】逆剣先型の半回転中釜を装着した半回転釜ユニ
ットの平面図である。
【図5】釜糸案内部材の平面図である。
【図6】糸切り機構と駆動用リンク系の平面図である。
【図7】可動刃の往動時を示す糸切り機構の平面図であ
る。
【図8】可動刃の復動時を示す糸切り機構の平面図であ
る。
【図9】天秤と針棒と可動刃の運動軌跡のタイムチャー
トである。
【図10】通常剣先型の半回転中釜を装着した半回転釜
ユニットと糸切り機構等の側面図である。
【図11】通常剣先型の半回転中釜を装着した半回転釜
ユニットの平面図である。
【図12】糸押え部材を設けた図3相当図である。
【符号の説明】
1 パターン縫いミシン 2 ベッド部 7 針板 9 縫針 9a 目孔 11 上糸 11a 天秤側上糸 11b 布側上糸 40 半回転釜ユニット 41 大釜 42 半回転中釜 42a 剣先 42b ケース収容部 50 糸切り機構 51 可動刃 53 固定刃 54 釜糸案内部材 54b 糸分け部 54d 糸押え部 60 駆動用リンク系 N 針落ち位置 W 加工布

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 針板の針穴を通過して上下動する縫針
    と、 その縫針と協働して本縫い縫目を形成するため針板の下
    側に配設され且つ縫針の目孔を挿通した上糸の糸ループ
    を捕捉する半回転釜ユニットと、 目孔を挿通した上糸の布側上糸と天秤側上糸とを振り分
    ける糸分け部を有する釜糸案内部材と、固定刃と、前記
    糸分け部で振り分けられた布側上糸と下糸とを往復揺動
    により捕捉して加工布の近傍位置で固定刃と協働して切
    断する可動刃とを含み、針板の下面側に配設された糸切
    り機構と、 前記縫針の上下運動と同期して可動刃を往復揺動させる
    駆動用リンク系とを備えたパターン縫いミシンにおい
    て、 前記半回転釜ユニットは、 ミシンのベッド部に固着された大釜と、 前記大釜内に、水平軸心の周りに往復回動可能に支承さ
    れた半回転中釜であって、開放端側からボビンケースを
    着脱可能に装着し得るケース収容部と、縫針の針落ち位
    置よりも開放端側において開放端側から視て時計回り方
    向への回転時に糸ループを捕捉する剣先を有する半回転
    中釜とを備え、 前記目孔を挿通して半回転中釜における開放端方向に延
    びる布側上糸にのみ糸ループを形成する為に、下降した
    縫針の半回転中釜における反開放端側に近接する糸押え
    部を前記釜糸案内部材に一体的に形成したことを特徴と
    するパターン縫いミシン。
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