JP2875847B2 - イソシアナトスチレンの製造方法 - Google Patents

イソシアナトスチレンの製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はイソシアナトスチレンの新規な製造方法に関
する。詳しくはα−(アミノフェニル)エタノールを不
活性溶媒中でホスゲンと反応させ、α−(クロロカルバ
モイルフェニル)エチルクロホーメートを経由して(推
定)イソシアナトスチレンを製造する方法に関する。
〔従来の技術および解決しようとする課題〕
従来、イソシアナトスチレンの製法としては、アミノ
フェニルエチルアルコールの脱水反応で得られるアミノ
スチレンを原料として、不活性溶媒中、ホスゲンと反応
させる事により得られる事が報告されている(ジルナー
ル オーガニチェスキー ヒィミ,5 (11)1996(ソ
連),1969(Zh.Org.Khim.,5(11),1996(Russ)196
9))。又、最近ではアミノスチレンをトリクロロメチ
ルクロロホーメートと反応させる事によりイソシアナト
スチレンを得ている(ジャーナル ポリマー サイエン
ス パートA:ポリマー ケミストリィ 27(2) 487 1
989(J.Polymer,Sci.,Part A:Polym.Chem,27(2),48
7,1989))。
すなわち上述の方法は、アミノフェニルエチルアルコ
ールの脱水反応によるアミノスチレンの合成反応とアミ
ノスチレンのホスゲン化によるイソシアナトスチレンの
合成反応の2つの反応工程よりなっており、そのため操
作が複雑である。
又、アミノフェニルエチルアルコールの脱水反応は水
酸化カリウムを用いて行う事が記載されているが収率が
悪く水酸化カリウムを大量に用いる事が経済上不利であ
る。
アミノスチレンのホスゲン化反応は、二重結合への塩
化水素の付加により収率が低い事が欠点として掲げられ
る。
また、アメリカ特許3636182(USP3636182)ダウ ケ
ミカル社(Dow Chemical Co.)の方法は、気相反応で
あり、次のようである。
ここで、YはBr,CL,CN,NCOなどを表す。非常に高温の
反応であり、工業生産性に多くの課題を含んでいる。
〔問題を解決する為の手段〕
本発明者等は、前記の問題点を解決する為、鋭意検討
を重ねた結果、α−(アミノフェニル)エタノールを不
活性溶媒中でホスゲンと反応させる事により、前記問題
点の解決が可能である事を見い出し本発明を完成するに
至った。
即ち、本発明のイソシアナトスチレンの製造方法は、
α−(アミノフェニル)エタノールをホスゲンと反応さ
せることを特徴とするものである。さらに詳しく言え
ば、0〜5℃に冷却した不活性溶剤に、所定量のホスゲ
ンガスを溶解させ、導入しながら、α−(アミノフェニ
ル)エタノールを加えてホスゲンと反応させて、α−
(クロロカルバモイル)エチルクロロホーメートを中間
体として生成させ(推定)、これを熱分解温度70〜150
℃で熱分解させることによりイソシアナトスチレンを製
造する方法である。
まず、出発原料であるα−(アミノフェニル)エタノ
ール合成反応の説明をする。
アセトフェノンを硝酸/硫酸(HNO3/H2SO4)の混合物
を用いてニトロ化する。得られたニトロアセトフェノン
をアルコール中でニッケル触媒を用いて水添反応を行う
事によりα−(アミノフェニル)エタノールを製造する
ことが出来る。
イソシアナトスチレンを製造するにあたって用いられ
る不活性溶剤としては、芳香族炭化水素又は芳香族ハロ
ゲン化炭化水素であり、好ましくはトルエン、キシレ
ン、モノクロルベンゼン、オルトジクロルベンゼン又は
酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル等の比較的高沸点の酢
酸エステル系溶剤である。
本発明のイソシアナトスチレンの製造方法について説
明する。
撹拌機、温度計、ホスゲンガス導入管、滴下ロート、
冷却管を装備した反応フラスコを準備し、その中に0〜
5℃に冷却した不活性溶剤を入れ、まず所定量のホスゲ
ンガスを溶解させる。その後、不活性溶媒を−5〜30
℃、好ましくは5〜15℃に保ちながら、所定量の流量の
ホスゲンガスを導入する。同時に、不活性溶剤に溶解さ
せたα−(アミノフェニル)エタノールを滴下しながら
加えてホスゲンと反応させる。この冷ホスゲン化反応は
速やかに進行する。反応液は白色ゲル状スラリーを呈
し、反応生成物は恐らく不安定なα−(クロロカルバモ
イルフェニル)エチルクロロホーメートのような中間体
が生成していると推定される。
例えば、冷ホスゲン化反応として次式に示すような反
応が起こっていると推定している。
α−(アミノフェニル)エタノールを滴下終了後、直
ちに、昇温する。反応促進および熱分解させるためであ
る。
この時、脱塩化水素剤を添加してもよい。
熱分解温度は70〜150℃、好ましくは80〜110℃であ
る。
反応液は70℃付近から白色ゲル状スラリーが、塩化水
素ガスを発生しながら不活性溶剤に溶解し始める。80〜
90℃で0.5〜2時間熱ホスゲン化を行う。反応液は緑色
透明になる。
その後100℃でN2ガスを導入しながら、溶存ホスゲン
を脱ガスする。
引き続き0.5〜8mmHg減圧条件下で不活性溶剤を留去す
ると緑色粘稠物が得られる。
この物質のガスクロマトグラフ分析を行うと、2つの
成分(以下A成分、B成分と称する)に分離された。
熱分解させる事により次式で示されるような反応が起
こっているものと推定する。
<熱分解反応> (副反応) 次に、この緑色粘稠物をステンレス製充填物を詰めた
蒸留塔で0.5〜3mmHgの減圧下で精留を行い、A成分とB
成分に分離する。A成分は蒸留フラスコの油浴温120〜1
30℃としたとき、留出温度78〜80℃で留出した。B成分
は油浴温120〜150℃としたとき、留出温度85〜88℃で留
出した。
A成分、B成分のそれぞれを分析したところ、次のよ
うな結果が得られた。
A成分 GC−MS分析:M+=145(C9H7NO=145.16) 元素分析: C H N 計算値 74.49 4.86 9.64 実測値 74.40 4.75 9.50 δppm 5.25 doublet HB, 1H 5.75 〃 HA, 1H 6.65 quartet Hy, 1H 6.9〜7.3 multiplet Ring proton,4H NCO%:NCO%=28.8% (m−イソシアナトスチレンのNCO%=28.9%) B成分 GC−MS分析:M+=181(C9H8NOCl=181.62) 元素分析: C H N Cl 計算値 59.52 4.43 7.71 19.52 実測値 59.75 4.33 7.60 19.40 IR 2230〜2240cm-1(NCO基) ′H−NMR(100MHz CDCl3中) δppm 7.2〜7.4 multiplet Ring Proton 4H 上記の分析結果よりA成分はm−イソシアナトスチレ
ン、B成分はα−(3−イソシアナトフェニル)クロル
エタンと同定した。
このように冷ホスゲン化反応後に熱分解温度70〜150
℃で熱分解させる事によりイソシアナトスチレンを製造
することができる。
〔実施例〕
以下、実施例について記述するが、本発明はこれに限
定されるものではない。
実施例1 撹拌機、温度計、ホスゲンガス導入管、滴下ロート、
冷却管を装備した500ml反応フラスコに、オルトジクロ
ルベンゼン300gを装入した。氷水でフラスコ内液を5℃
に冷却してホスゲンガスを75g/hの割合で30分導入し
た。
その後オルトジクロルベンゼン100gに、α−(3−ア
ミノフェニル)エタノール13.7g(0.1モル)を溶解した
液を15分間で滴下した。滴下中もホスゲンガスを上述の
割合で導入した。
反応液は白色ゲル状スラリーを呈した。反応温度は15
℃まで上昇した。更に15分間ホスゲンガスを上記の割合
で導入して冷ホスゲン化を行った。その後、ホスゲンガ
スを50g/hの割合で導入しながらフラスコをマントルヒ
ーターで15゜から90℃に昇温した。昇温に30分を要し
た。反応液は70℃付近から白色ゲル状スラリーがHClガ
スを発生しながらオルトジクロルベンゼンに溶解し始め
た。90℃で1時間熱ホスゲン化を行った。反応液は緑色
透明であった。その後100℃でN2gasを導入しながら溶存
ホスゲンを脱ガスした。引き続き1〜2mmHg減圧条件下
でオルトジクロルベンゼンを留去とすると緑色粘稠物が
得られる。
この物質のガスクロマトグラフ分析を行うと、2つの
成分(以下A成分、B成分と称する)に分離された。
次に、この緑色粘稠物をステンレス製充填物を詰めた
蒸留塔で1.5mmHgの減圧下で精留を行い、A成分とB成
分に分離した。A成分は蒸留フラスコの油浴温120〜130
℃としたとき、留出温度78〜80℃で留出した。ガスクロ
マトグラフによる純度は99.5%であり収量は6.6gであっ
た。B成分は油浴温120〜150℃としたとき、留出温度85
〜88℃で留出した。この成分のガスクロマトグラフによ
る純度は99.7%であり、収量は3.5gであった。
これらを前述のように分析した結果、A成分はm−イ
ソシアナトスチレン、B成分はα−(3−イソシアナト
フェニル)クロルエタンであった。
〔発明の効果〕
(1) 従来のアミノフェニルエチルアルコールを脱水
して得られるアミノスチレンをホスゲン化する方法に比
較し、本発明はα−(アミノフェニル)エタノールを直
接ホスゲン化してイソシアナトスチレンを合成するの
で、工程が少なく極めて秀れた新しい製造法である。
(2) 本発明の方法は、高温の気相反応と異なり、低
温の溶液反応であり、取扱が容易であるだけでなく、収
率もよい製造法である。
(3) 本発明のイソシアナトスチレンはビニル基とイ
ソシアナート基を有する化合物であり各種ポリウレタン
樹脂、各種ビニル重合体の原料として特徴のある用途に
用いられる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 265/12,263/10 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】α−(アミノフェニル)エタノールをホス
    ゲンと反応させることを特徴とするイソシアナトスチレ
    ンの製造方法。
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