JP2875375B2 - 溶接部における局部腐食の防止方法 - Google Patents

溶接部における局部腐食の防止方法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は、溶接部における局部腐食の防止方法に関
するものである。
<従来の技術> 海水中で鋼材を使用する場合、塗装により防食するの
が一般的である。しかし、砕氷船材料などのように氷海
で使用される鋼材に対しては、氷との接触により塗装は
損傷するため、十分な防食手段とはいえない。そのた
め、このような鋼材には強度、低温靭性、溶接性に加え
て鋼材自体に耐食性が要求される。なかでも、溶接部に
おける局部腐食は応力集中につながり、破壊にいたる原
因ともなるため大きな問題となる。
海水環境中における鋼材の溶接部の局部腐食は、鋼母
材、溶接熱影響部、溶接金属という異なった組成、組織
をもつ部分が電気化学的に作用して起こる(ガルバニッ
ク腐食)。したがってこの腐食を防止するには、耐食性
に優れた鋼材を使用するとともに、それにあった溶接金
属による溶接を考慮しなければならない。
母材と溶接熱影響部との間で起こる局部腐食は母材と
の熱履歴の差によって生じた異なった組織に起因するた
め、溶接熱影響部の組織を母材の組織と同一にすること
で防止することができる。これに対しては、溶接部を後
熱処理する方法が考えられるが、大型構造物ではそれは
困難である。
溶接金属部の局部腐食は溶接金属の成分を母材よりも
電気化学的に貴にすることで防止できるが、貴にしすぎ
るとまわりの溶接熱影響部が腐食されることとなる。し
たがって、鋼材と見合った溶接金属の成分が要求される
ことになる。このような技術として、所定の鋼材を3〜
6重量%のNiを含有した溶接材料で溶接するというよう
に溶接金属の成分中のNiを母材より高くするとよいこと
が、例えば特開平1−142024号公報に示されている。ま
た、母材と溶接金属とのCu、Niなどの成分の関係を指定
することで局部腐食が防止できることが、例えばCORROS
ION 89 PAPER NUMBER 304に示されている。しかし、こ
れに規定されていない他の成分の影響も大きいため、局
部腐食を充分に防止するには至っていない。
これらのように、海水環境中で使用される溶接構造物
用鋼の溶接部の局部腐食が防止できるような鋼材の成
分、製造方法、溶接方法が改良されてきたが、決定的な
解決手段は未だ確立しておらず、この目的を達成するこ
とが望まれている。
<発明が解決しようとする課題> 本発明の目的は、溶接構造物として海水環境中で使用
される鋼材の溶接部が優れた耐局部腐食性を示すような
鋼材ならびにそれに適した溶接材料を用いた溶接部にお
ける局部腐食の防止方法を提案することである。
<課題を解決するための手段> このような現状をふまえ、本発明者らは多くの実験、
検討の結果、ベイナイト主体の組織の鋼母材に、母材と
溶着金属のMn、Cu、Cr、Ni成分差で表されるパラメータ
で限定される溶接材料で溶接することにより、溶接構造
物用鋼の溶接部の局部腐食を防止できることを見出し
た。
すなわち、本発明は、 重量%で、 C:0.03〜0.15%、Si:0.1〜0.5%、 Mn:0.7〜1.8%、S:0.005%以下、 P:0.01%以下、Al:0.01〜0.04%、 Nb:0.01〜0.08% を基本成分とし、さらに、 Cu:2.0%以下、Ni:1.0%以下、 Cr:2.0%以下、Mo:1.0%以下、 Ti:0.003〜0.04%、B:0.003%以下、 Ca:0.0005〜0.01% よりなる群の中から選ばれるいずれか1種又は2種以上
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物よりなる鋼スラブ
を圧延、冷却した後、焼き戻し処理をしてベイナイト中
心の組織となるように調質した鋼材を、下記式で定義さ
れるガルバニック腐食パラメータPgcが重量%で−1.0〜
1.0となる溶接材料で溶接することを特徴とする溶接部
における局部腐食の防止方法である。
Pgc=6(Mnbp−Mnwm)−3(Cubp−Cuwm) −5(Crbp−Crwm)−(Nibp−Niwm) 但し、Mnbp、Mnwmは、それぞれ、母材、溶着金属のMn
量(重量%)であり、他も同様である。
<作 用> 以下に本発明における鋼成分の限定理由を述べる。
Cは強度確保のため、また溶接熱影響部の軟化を避け
るために下限を0.03%とし、一方Cが0.15%を超えると
母材および溶接部の靭性が劣化し、また溶接性が損なわ
れるので上限を0.15%とした。
Siは製鋼時の脱酸元素として必須であるが、多すぎる
とその固溶硬化によって靭性が低下するので添加量範囲
を0.1〜0.5%とした。
Mnは焼入性を向上させ強度を確保するのに0.7%以上
必要であるが、1.8%を超えると溶接性ならびに耐局部
腐食性が劣化するので添加量範囲を0.7〜1.8%とした。
Pは鋼中不純物として不可避な元素であるが、多量と
なると溶接性を損なう恐れがあるため上限を0.01%とし
た。
Sは鋼中不純物として不可避な元素であるが、溶接金
属と溶接熱影響部との境界のボンド部での局部腐食の原
因とされているため、上限を0.005%とした。
Alは鋼の脱酸に不可欠であり最低0.01%は必要である
が0.04%を超えるとその酸化物を原因とする溶接割れの
問題を生じるため、範囲を0.01〜0.04%とした。
Nbは結晶粒を微細化し靭性を向上させる効果がある
が、0.01%未満ではその効果はなく、また0.08%を超え
ると溶接熱影響部の靭性を劣化させるので、添加量範囲
を0.01〜0.08%とした。
以上が本発明の鋼の基本成分であるが本発明において
は、強度、靭性、耐食性を向上させるために、さらに、
Cu、Ni、Cr、Mo、Ti、B、Caの1種または2種以上を含
有する。
Cuは耐全面腐食性、耐局部腐食性を向上させ、また強
度、靭性をも向上させるが、その量が多いと熱間加工
性、溶接性が悪化するため、添加量を2%以下とする。
NiはCuと同様耐食性と強度、靭性を向上させる元素で
あるが、1.0%を超えて添加すると製造コストを上昇さ
せることになるため上限を1.0%とした。
Crは焼入性を向上させ強度上昇に効果があるが、2.0
%を超えて含有すると溶接部の靭性を害するので、この
値を上限とした。
Moは焼入性を向上させ強度、靭性の向上に有用である
が、1.0%を超えると溶接性や靭性が劣化し、また経済
的にも不利となるため、上限を1.0%とした。
Tiは溶鋼の脱酸、鋼材の強度の確保のために有用な元
素であるが、そのためには0.003%必要であり、一方0.0
4%を超えると母材ならびに溶接部の靭性が劣化するの
で、添加量範囲を0.003〜0.04%とした。
Bは微量の添加で焼入性を向上させ強度、靭性の確保
に有効であるが、0.003%を超えると母材ならびに溶接
部の靭性を損なうため、上限を0.003%とした。
Caは鋼中に不純物として存在するSを固定し、溶接金
属と溶接熱影響部との境界のボンド部での局部腐食を防
止するのに効果がある。そのためには0.0005%以上必要
であり、一方0.01%を超えると清浄度の悪化を原因とす
る靭性の劣化をきたすため、添加量範囲を0.0005〜0.01
%とした。
次に、これら成分調整したスラブを圧延、冷却した
後、焼き戻し処理して、鋼母材をベイナイト中心の組織
に調質するのは、充分な強度、靭性を得るためと、溶接
による熱サイクルと同じ効果をあらかじめ与えておくた
めの二つの理由による。
溶接金属部の局部腐食を防ぐために、溶接金属部は鋼
母材部より電気化学的に貴になるよう選択されなければ
ならない。電位を貴にする合金成分としてCu、Cr、Niが
効果的である。しかし、合金元素量を多くして電位を貴
にし過ぎると、溶接金属部のまわりの電位が卑の部分で
局部腐食を起こす可能性があるほか、溶接割れの問題が
生じる。したがって溶接材料の成分範囲は限定される
が、溶着金属と母材のMn、Cu、Cr、Niの成分を下記のガ
ルバニック腐食パラメータPgcで表して、重量%で−1.0
〜1.0にすることにより、溶接金属部と鋼母材部、溶接
熱影響部との電位差による局部腐食を防止することがで
きる。
Pgc=6(Mnbp−Mnwm)−3(Cubp−Cuwm) −5(Crbp−Crwm)−(Nibp−Niwm) 但し、Mnbp、Mnwmは、それぞれ、母材、溶着金属のMn
量(重量%)であり、他も同様である。
<実施例> 各組成の100kg鋼塊を溶製し、制御圧延後、焼き入れ
焼戻し処理を行いベイナイト組織の15mm厚鋼板を製造し
た。これらの鋼板をV開先に加工し、種々の溶接材料を
使い入熱40kJ/cmの潜孤溶接(SAW)により溶接した。試
験片母材の成分を表1に溶着金属の成分を表2に示す。
表面の溶接部を含む部分から腐食試験片をとり、人工海
水中で6ヶ月間の回転浸漬処理を行った。試験結果をガ
ルバニック腐食パラメータPgcとともに、表2に併せて
示している。腐食度は最大深さで表し、正の値は溶接熱
影響部の、負の値は溶着金属部の腐食を示している。結
果をPgcで整理したものが第1図である。Pgcを−1.0〜
1.0にすることにより溶接部の局部腐食が抑制されてい
ることがわかる。
<発明の効果> 以上に示したように、本発明により、海水環境中での
溶接部の局部腐食が防止できる。特に塗装が十分な防食
手段とならないような環境中で使用される構造物におい
て有用であり、産業上の意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は腐食試験後の溶接継手試験片のガルバニック腐
食パラメータPgcと腐食度との関係を表したものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 良行 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 平3−193819(JP,A) 特開 平1−142024(JP,A) 特開 平1−201496(JP,A) 特開 平4−105792(JP,A) 特開 昭60−228618(JP,A) 特開 平2−200729(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 9/23 B23K 35/30 320 B23K 9/18 C21D 8/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、 C:0.03〜0.15%、Si:0.1〜0.5%、 Mn:0.7〜1.8%、S:0.005%以下、 P:0.01%以下、Al:0.01〜0.04%、 Nb:0.01〜0.08% を基本成分とし、さらに、 Cu:2.0%以下、Ni:1.0%以下、 Cr:2.0%以下、Mo:1.0%以下、 Ti:0.003〜0.04%、B:0.003%以下、 Ca:0.0005〜0.01% よりなる群の中から選ばれるいずれか1種又は2種以上
    を含有し、残部Fe及び不可避的不純物よりなる鋼スラブ
    を圧延、冷却した後、焼き戻し処理をしてベイナイト中
    心の組織となるように調質した鋼材を、下記式で定義さ
    れるガルバニック腐食パラメータPgcが重量%で−1.0〜
    1.0となる溶接材料で溶接することを特徴とする溶接部
    における局部腐食の防止方法。 Pgc=6(Mnbp−Mnwm)−3(Cubp−Cuwm) −5(Crbp−Crwm)−(Nibp−Niwm) 但し、Mnbp、Mnwmは、それぞれ、母材、溶着金属のMn量
    (重量%)であり、他も同様である。
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CN104419871B (zh) * 2013-09-05 2017-02-01 鞍钢股份有限公司 耐海洋环境腐蚀性能优良的焊接结构用钢及其制造方法
CN104014948B (zh) * 2013-12-15 2015-12-09 许祖泽 一种耐大气腐蚀铁基合金以及无镀铜焊丝

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