JP3382731B2 - 耐海水腐食性に優れる鋼材 - Google Patents

耐海水腐食性に優れる鋼材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、海水に曝される環境で
使用される溶接構造物に用いられる鋼材、すなわち、海
洋構造物や船舶の腐食に関するメインテナンス・フリー
化、安全性などを図る鋼材に関する。
【0002】
【従来の技術】海水中で鋼材を使用する場合、塗装、あ
るいは電気防食するのが一般的である。しかし、飛沫帯
においては電気防食が使えないこと、また、塗装も剥離
の問題などもあり、必ずしも完全なものではない。ま
た、鋼構造物の構造によっては塗装作業、あるいはその
補修が容易ではないため耐海水腐食性に優れる鋼材が要
求されている。
【0003】それらの要求に対して耐海水腐食性に優れ
る鋼材として耐海水鋼が製品化されている。しかし溶接
構造物として考えた場合、鋼材の溶接性とともに、溶接
部における局部腐食の問題がある。溶接部における局部
腐食は応力集中を引き起こし、破壊にいたる原因となる
ため大きな問題となる。海水環境中における鋼材の溶接
部の局部腐食は、鋼母材、溶接熱影響部、溶接金属とい
う異なった組成、組織をもつ部分が電気化学的に作用し
て起こる(ガルバニック腐食)。したがってこの腐食を
防止するには、耐食性に優れた鋼材を使用するととも
に、それに適合した溶接金属による溶接が考慮されなけ
ればならない。このような技術として、所定の鋼材を3
〜6重量%のNiを含有した溶接材料で溶接するというよ
うに、溶接金属の成分中のNiを母材より高くするとよい
ことが、例えば特開平1−142024号公報に示されてい
る。
【0004】しかし、このためにかえってまわりの溶接
熱影響部が腐食されることがよくある。溶接熱影響部は
母材や溶接金属に比べて面積が小さいため、この部分に
腐食が集中すると短期間で板厚貫通にまでつながるため
大きな問題となる。そのため、溶接熱影響部の耐食性を
上げることが大きな課題である。母材および溶接金属と
溶接熱影響部との間で起こるHAZ コロージョンと呼ばれ
る局部腐食は、母材との熱履歴の差によって生じた組織
の違いに起因するため、溶接熱影響部の組織を母材の組
織と同一にすることで防止することができると考えられ
る。しかし、組織を同一にすることは、通常では困難で
ある。
【0005】またナイフ・エッジ・コロージョン(knif
e edge corrosion)と呼ばれる腐食は溶接時の熱サイク
ルにより、溶接熱影響部に存在する硫化物が粒界に被膜
を形成し、選択的に腐食される現象である。これまで、
海水環境中で使用される溶接構造物用鋼の溶接熱影響部
の局部腐食が防止できるように鋼材の成分、製造方法、
溶接方法などが改良されてきたが、決定的な解決手段は
未だ確立されておらず、この目的を達成することが望ま
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような事情に鑑み、溶接構造物として海水環境中で使
用される鋼材の溶接熱影響部が優れた耐食性を示すよう
な鋼材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような現状をふま
え、本発明者らは多くの実験、検討の結果、溶接熱影響
部の組織の差に基づくHAZ コロージョンに対してはWと
Niの添加が有効であり、Moもある程度効果があること、
また粒界の硫化物の被膜によるナイフ・エッジ・コロー
ジョン(knife edge corrosion)に対してはその原因と
なるSの含有量をできるだけ少なくするとともに、Caの
添加による硫化物形態制御を行うことが有効であり、さ
らに、これらの効果は母材の海水腐食を大幅に低減し、
かつ全面を均一な腐食速度とするための適量のCrを含む
鋼に適用することによって十分発揮されることを知見し
た。
【0008】この結果、以下の成分の鋼を用いることに
より、溶接熱影響部の海水による局部腐食を防止でき
る。すなわち本発明は、C:0.1 %以下、Si:0.10〜0.
50%、Mn:1.50%以下、S:0.003 %以下、Al:0.01〜
0.04%、Cr:0.52%以上3.50%以下、Ni:1.0 〜2.5 %
、W:0.079 %以上0.20%以下、Ca:0.0005〜0.006
%で残部がFeと不可避的不純物であることを特徴とする
耐海水腐食性に優れる鋼材であり、また本発明は、C:
0.1 %以下、Si:0.10〜0.50%、Mn:1.50%以下、S:
0.003 %以下、Al:0.01〜0.04%、Cr:0.52%以上3.50
%以下、Ni:1.0 〜2.5 %、W:0.079 %以上0.20%以
下、Ca:0.0005〜0.006 %で、さらにMo:1.0 %以下、
Nb:0.01〜0.08%、Cu:1.0 %以下、Ti:0.003 〜0.04
%、B:0.003 %のうちの1種以上を含有し、残部がFe
と不可避的不純物であることを特徴とする耐海水腐食性
に優れる鋼材である。
【0009】以下、本発明について詳細に説明する。
【0010】
【作用】本発明において、鋼材に添加する化学成分の限
定理由を次に説明する。 C:0.1 %以下 Cは、強度を確保するために必要な元素であるが、添加
量が少ない程、耐食性に有利であるため、上限を0.10%
とした。 Si:0.10〜0.50% 少量のSiの添加は耐食性の向上に有効であり、また鋼の
脱酸過程で0.05%程度は必要であることから、下限を0.
10%とし、靱性に悪影響をおよぼさない範囲で上限を0.
50%とした。 Mn:1.50%以下 Mnは、強度、靱性および溶接性に重要な役割をはたす元
素であり、1.50%を超えると、靱性、溶接性および耐食
性に悪影響を及ぼすので、上限を1.50%とした。 Al:0.01〜0.04% Alは、鋼の脱酸に不可欠であり、また鋼材の靱性を確保
するためにも最低0.01%は必要であるが、0.04%を超え
るとその酸化物を原因とする溶接割れの問題を生じるた
め、範囲を0.01〜0.04%とした。 S:0.003 %以下 Sは、鋼中で硫化物を作るが、上述のように溶接により
溶接熱影響部の粒界に薄い被膜を形成し、耐海水腐食性
に悪影響を及ぼすため、できるだけ低減することが必要
であり、0.003 %以下とした。 Cr:3.50%以下 Crは、耐海水腐食性に効果があり、Cr添加量を徐々に増
加すると、腐食量の低減には明確な効果が現れる。しか
し、3.5 %を超えると急激に表面状況が孔食状となる。
腐食量の低減と滑らかな腐食面を呈する領域はCrが3.4
%までであることから、Cr添加の上限を3.5 %とした。
Cr添加量が3.5 %を超えると、Cr鋼特有の不働態皮膜形
成能力が徐々に強くなってくるため、全面の均一な腐食
から局部的な孔食腐食に移行するので、3.50%以下の範
囲が有効である。 Ni:1.0 〜2.5 % Niは耐食性と強度、靱性を向上させる元素であり、特に
1%以上の添加は溶接熱影響部の自然電位を上げて組織
の差に起因する耐海水腐食性を改善する効果がある。た
だし、2.5 %を超えて添加してもそれ以上の改善は見ら
れず、高価な元素であるので単に製造コストを上昇させ
るだけになるため、上限を2.5 %とした。 Ca:0.0005〜0.006 % CaはSを固定し、球状化させる効果があり、0.0005%以
上の添加で硫化物被膜に起因する溶接熱影響部の耐海水
腐食性の劣化を改善する効果がある。ただし、0.006 %
超えの添加は巨大な介在物を形成して靱性を劣化させる
という悪影響があるため、Caの添加量を0.0005%以上、
0.006 %以下とした。 W:0.20%以下 Wは溶接熱影響部の組織の差に起因する海水腐食を防止
するのに効果のある元素であるが、添加量が0.20%を超
えると靱性を低下させる悪影響があるため、0.20%以下
とした。
【0011】これらの元素の他に、さらにMo、Nb、Cu、
Ti、Bを鋼材の強度、靱性確保のために必要に応じて以
下に述べる範囲で添加することが望ましい。 Mo:1.0 %以下 Moは焼入れ性を向上させ、強度、靱性の向上に有用であ
り、しかも耐HAZ コロージョンに対してもある程度有効
であるが、1.0 %を超えると溶接性や靱性が劣化し、ま
た高価な元素であるため経済的にも不利となるので、添
加量の上限を1.0 %とした。 Nb:0.01〜0.08% Nbは結晶粒を微細化し、靱性を向上させる効果がある
が、0.01%未満ではその効果はなく、また0.08%を超え
ると溶接熱影響部の靱性を劣化させるので、添加量の範
囲を0.01〜0.08%とした。 Cu:1.0 %以下 Cuは強度、靱性を向上させ、また耐全面腐食性と耐局部
腐食性の双方を向上させる効果もあるが、その量が多い
と熱間加工性、溶接性が悪化するため、添加量を1.0 %
以下とする。 Ti:0.003 〜0.04% Tiは溶鋼の脱酸および鋼材の強度の確保のために有用な
元素であるが、そのためには0.003 %以上必要であり、
一方0.04%を超えると母材ならびに溶接部の靱性が劣化
するので、添加量の範囲を0.003 〜0.04%とした。 B:0.003 %以下 Bは微量の添加で焼入れ性を向上させ強度、靱性の確保
に有効であるが、0.003 %を超えると母材ならびに溶接
部の靱性を損なうため、上限を0.003 %とした。
【0012】
【実施例】表1に示す各組成の100kg 鋼塊を溶製し、板
厚15mmの鋼板を製造した。これらの鋼板から試験片を採
取し、図1に示すようにグリーブル試験機を利用して中
央部に溶接再現熱サイクルを付与した。6.4 mmφ、全長
120mm の試験片の中央部の最高加熱温度は1350℃で、冷
却速度は800 〜500 ℃の間を30sec とした。この試験片
を、図2に示す腐食試験に供した。図2に示すようにガ
ルバノスタッド1に結合した試験片2を陽極とし、白金
帯3を陰極として25℃に保った保温器5中の人工海水4
に浸漬して2週間の間 0.8mA/cm2の電流を通電した後、
溶接熱影響部相当位置と母材相当位置での腐食深さを測
定した。両者の深さの差を表2に示す。本発明の成分範
囲内の鋼は溶接熱影響部の局部腐食が抑制されているこ
とが分かる。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】一方、比較例12と13のようにそれぞれ母材
部のNiまたはCrが不足している場合、比較例14のように
C量が高い場合、比較例15と16のようにそれぞれCaまた
はWが含まれない場合、比較例17のようにS量が高い場
合は溶接熱影響部に局部腐食が発生する。
【0016】
【発明の効果】以上に示したように、本発明により、海
水環境中での溶接熱影響部の局部腐食が防止できる。と
くに塗装では十分な防食手段とならないような環境中で
使用される構造物において有用であり、産業上の意義は
大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】グリーブル試験機を用いた溶接熱サイクル付加
方法を示す説明図。
【図2】局部腐食試験装置の概要を示す説明図。
【符号の説明】
1 ガルバノスタット 2 試験片 (アノード) 3 白金帯 (カソード) 4 人工海水 5 保温器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比でC:0.1 %以下、Si:0.10〜0.
    50%、Mn:1.50%以下、S:0.003 %以下、Al:0.01〜
    0.04%、Cr:0.52%以上3.50%以下、Ni:1.0 〜2.5
    %、W:0.079 %以上0.20%以下、Ca:0.0005〜0.006
    %を含み、残部がFeと不可避的不純物であることを特徴
    とする耐海水腐食性に優れる鋼材。
  2. 【請求項2】 重量比でC:0.1 %以下、Si:0.10〜0.
    50%、Mn:1.50%以下、S:0.003 %以下、Al:0.01〜
    0.04%、Cr:0.52%以上3.50%以下、Ni:1.0 〜2.5
    %、W:0.079 %以上0.20%以下、Ca:0.0005〜0.006
    %を含み、さらにMo:1.0 %以下、Nb:0.01〜0.08%、
    Cu:1.0 %以下、Ti:0.003 〜0.04%、B:0.003 %以
    下のうちの1種以上を含有し、残部がFeと不可避的不純
    物であることを特徴とする耐海水腐食性に優れる鋼材。
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