JP3270541B2 - 溶接部における局部腐食の防止方法 - Google Patents
溶接部における局部腐食の防止方法Info
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Description
材部の腐食および溶接部における局部腐食の低減方法に
関するものである。
るいは電気防食にて防食するのが一般的である。しか
し、飛沫帯においては電気防食が使えないこと、また、
塗装も剥離の問題などもあり、必ずしも完全なものでは
ない。また、構造物の構造によっては塗装作業、あるい
はその補修が容易ではないために耐海水腐食性に優れる
鋼材が要求されている。それらの要求に対して耐海水腐
食性に優れる鋼材として耐海水鋼が製品化されている。
しかし溶接構造物として考えた場合、鋼材の溶接性と共
に、溶接部における局部腐食の問題がある。溶接部にお
ける局部腐食は応力集中につながり、破壊にいたる原因
ともなるため大きな問題となる。
食は、鋼母材、溶接熱影響部、溶接金属という異なった
組成、組織をもつ部分が電気化学的に使用して起こる所
謂ガルバニック腐食である。したがってこの腐食を防止
するには、耐食性に優れた鋼材を使用するとともに、そ
れにあった溶接材料による溶接を考慮しなければならな
い。
食は母材との熱履歴の差によって生じた異なった組織に
起因するため、溶接熱影響部の組織を母材の組織と同一
にすることで防止することができる。これに対しては、
溶接部を後熱処理する方法が考えられるが、大型構造物
ではそれは困難である。溶接金属部の局部腐食は溶接金
属の成分を母材よりも電気化学的に貴にすることで防止
できるが、貴にしすぎるとまわりの溶接熱影響部が腐食
されることとなる。したがって、鋼材と見合った溶接金
属の成分が要求されることになる。このような技術とし
て、所定の鋼材を3〜6重量%のNiを含有した溶接材料
で溶接するというように溶接金属の成分中のNiを母材よ
り高くするとよいことが、例えば特開平1−142024号公
報に示されている。また、母材と溶接金属とのCu、Niな
どの成分の関係を指定することで局部腐食が防止できる
ことが、例えば CORROSION89 PAPER NUMBER 304 に示さ
れている。しかし、これに規定されていない他の成分の
影響も大きいため、局部腐食を充分に防止するには至っ
ていない。
わったり、溶接方法の違いなどにより変わってくる。こ
れらのように、海水環境中で使用される溶接構造物用鋼
の溶接部の局部腐食が防止できるような鋼材の成分、製
造方法、溶接方法が改良されてきたが、決定的な解決手
段は未だ確立しておらず、この目的を達成することが望
まれている。
構造物として海水環境中で使用される鋼材自身の耐食性
を向上させ、かつ溶接部が優れた耐局部腐食性を示す溶
接方法を提供することである。
え、本発明者らは多くの実験、検討の結果、Cu、Cr、N
i、Moを所定の範囲含有させた鋼母材に、溶接入熱に応
じて母材と溶接金属のCu、Cr、Ni、Moの成分差で表され
るパラメータで限定される溶接材料で溶接することによ
り、溶接構造物用鋼の溶接部の局部腐食を防止できるこ
とを見出した。
〜0.15%、Si: 0.1〜0.5 %、Mn:0.7〜1.8 %、S:
0.005 %以下、P:0.01%以下及びAl:0.01〜0.04%を
基本成分として含有し、さらにCu:2.0 %以下、Ni:2.
0 %以下、Cr:3.0 %以下及びMo:1.0 %以下の何れか
1種以上を下記式(1)を満足する範囲で含有し、さら
に必要に応じてNb:0.01〜0.08%、V:0.01〜0.08%、
Ti:0.003 〜0.04%、B:0.003 %以下及びCa:0.0005
〜0.01%の何れか1種以上を含有し、残部Fe及び不可避
的不純物よりなる鋼材を、下記式(2)で定義されるガ
ルバニック腐食パラメータPgc が重量%で入熱3kJ/mm
未満のときは-4.5〜-1.0、入熱3kJ/mm以上、7kJ/mm
未満のときは-4.0〜-0.5、入熱7kJ/mm以上のときは-
3.5〜0となる溶接材料で溶接することを特徴とする溶
接部における局部腐食の防止方法である。
+4(Mobp-Mowm)…(2) ここで、例えば、Cubp、Cuwmは、それぞれ、母材、溶接
金属のCu量(重量%)であり、他も同様である。
る。Cは強度確保のため、また溶接熱影響部の軟化を避
けるために下限を0.03%(重量%以下同じ)とし、一方
Cが0.15%を越えると母材および溶接部の靱性が劣化
し、また溶接性が損なわれるので上限を0.15%とした。
0.1%以上必要であるが、多すぎるとその固溶硬化によ
って靱性が低下するので添加量範囲を 0.1〜0.5 %とし
た。Mnは焼入性を向上させ強度を確保するのに 0.7%以
上必要となるが、 1.8%を越えると溶接性ならびに耐局
部腐食性が劣化するので添加量範囲を 0.7〜1.8 %とし
た。
が、溶接金属と溶接熱影響部との境界のボンド部での局
部腐食の原因となるため、上限を 0.005%とした。Pは
鋼中不純物として不可避な元素であるが、多量となると
溶接性う損なう恐れがあるため上限を0.01%とした。Al
は鋼の脱酸に不可欠であり最低0.01%は必要であるが0.
04%を越えるとその酸化物を原因とする溶接割れの問題
を生じるため、その範囲を0.01〜0.04%とした。
下、Cr: 3.0%以下、Mo: 1.0%以下の範囲で、1種以
上を下記式(1)を満足する範囲で含有する。 Cu+Ni+Cr+2Mo≧0.75(%) … (1) Cuは耐海水腐食性を向上させ、また強度、靱性も向上さ
せるが、その量が多いと熱間加工性、溶接性が悪化する
ため、添加量を 2.0%以下とする。
向上させる元素であるが、 2.0%を越えて添加すると製
造コストを上昇させることになるため上限を 2.0%とし
た。Crは耐海水腐食性を向上させると同時に、焼入性を
向上させ強度上昇に効果があるが、 3.0%を越えて含有
すると溶接部の靱性を害するので、この値を上限とし
た。
焼入性を向上させ強度、靱性の向上に有用であるが、
1.0%を越えると溶接性や靱性が劣化し、また経済的に
も不利となるため、上限を 1.0%とした。また、これら
の元素何れか1種以上式(1)に示す範囲添加すること
により、母材部の耐海水腐食性を確保できる。
あるが本発明の母材は、耐食性、強度、靱性を向上させ
るために、さらに必要に応じてNb、V、Ti、B、Caの何
れか1種以上を含有させることができる。Nbは結晶粒を
微細化し靱性を向上させる効果があるが、0.01%未満で
はその効果はなく、また0.08%を越えると溶接熱影響部
の靱性を劣化させるので、添加量範囲を0.01〜0.08%と
した。
%未満ではその効果はなく、0.08%をこえると溶接熱影
響部の靱性を劣化させるので添加量を0.01〜0.08%とし
た。Tiは溶鋼の脱酸、鋼材の強度の確保のために有用な
元素であるが、そのためには 0.003%必要であり、一方
0.04%を越えると母材ならびに溶接部の靱性が劣化する
ので、添加量範囲を 0.003〜0.04%とした。
靱性の確保に有効であるが、 0.003%を越えると母材な
らびに溶接部の靱性を損なうため、上限を 0.003%とし
た。Caは鋼中に不純物として存在するSを固定し、溶接
金属と溶接熱影響部との境界のボンド部での局部腐食を
防止するのに効果がある。そのためには0.0005%以上必
要であり、一方0.01%を越えると清浄度の悪化を原因と
する靱性の劣化をきたすため、添加量範囲を0.0005〜0.
01%とした。
延、焼戻しにより、ベイナイト中心の組織にすることが
望ましい。その理由は、充分な強度、靱性を得るため
と、溶接による熱サイクルと同じ効果をあらかじめ与え
ておくためである。溶接金属部の局部腐食を防ぐため
に、溶接金属部は鋼母材部より電気化学的に貴になるよ
う選択されなければならない。電位を貴にする合金成分
としてCu、Cr、Niが効果的である。しかし、合金元素量
を多くして電位を貴にし過ぎると、溶接金属部のまわり
の電位が卑の部分で局部腐食を起こす可能性があるほ
か、溶接割れの問題が生じる。したがって溶接材料の成
分範囲は限定されるが、溶接金属と母材のCu、Cr、Ni、
Moの成分を下記のガルバニック腐食パラメータPgc で表
して、重量%で入熱3kJ/mm未満のときは-4.5〜-1.0、
入熱3kJ/mm以上、7kJ/mm未満のときは-4.0〜-0.5、
入熱7kJ/mm以上の時は-3.5〜0となる溶接材料で溶接
することにより、溶接部における局部腐食を防止でき
る。ただし、 Pgc =(Cubp-Cuwm) +3(Crbp-Crwm) +2(Nibp-Niwm)
+4(Mobp-Mowm)…(2) ここで、例えば、Cubp、Cuwmは、それぞれ、母材、溶接
金属のCu量(重量%)であり、他も同様である。
なるのは以下の理由からである。入熱量が低下すると溶
接部に低温変態生成物が析出し、自然電位が低下するた
め耐食性を劣化させ、Pgc の制限範囲を低下させる。そ
のため入熱3kJ/mm未満では Pgcが-4.5未満ではHAZ
部に-1.0をこえると溶接金属に局部腐食が発生する。入
熱3kJ/mm以上、7kJ/mm未満では Pgcが-4.0未満でH
AZ部に、-0.5をこえると溶接金属に局部腐食が発生す
る。入熱7kJ/mm以上では Pgcが-3.5未満でHAZ部
に、0をこえると溶接金属に局部腐食が発生する。
焼き入れ焼戻し処理を行い15mm厚鋼板を製造した。これ
らの鋼板をV開先に加工し、種々の溶接材料を使い入熱
を変えた潜弧溶接(SAW)により溶接した。本発明法
の試験片母材と溶接金属の成分をそれぞれ表1及び表2
に示す。また比較法の試験母材と溶接金属の成分をそれ
ぞれ表3及び表4に示す。母材および表面の溶接部を含
む部分から腐食試験片をとり、人工海水中で6か月間の
回転浸漬試験を行った。試験結果をガルバニック腐食パ
ラメータPgc とともに、表2及び表4に併せて示してい
る。腐食度は母材部の全面腐食速度および溶接部の局部
腐食の最大深さで表し、最大深さの正の値は溶接熱影響
部の、負の値は溶接金属部の腐食を示している。母材部
にCu、Ni、Cr、Moを本発明の範囲内で添加し、さらにPg
c を適切な範囲にすることにより全面腐食速度が低く、
さらに溶接部の局部腐食が抑制されていることがわか
る。
i、Cr、Moが不足している場合は全面腐食速度が大き
く、かつ局部腐食も発生する。さらに、18、19、20のよ
うに Pgcが大きすぎる場合は溶接金属部に、 Pgcが小さ
すぎる場合溶接熱影響部に局部腐食が発生する。
水環境中での溶接部の全面腐食速度が低下し、さらに局
部腐食が防止できる。特に塗装が十分な防食手段となら
ないような環境中で使用される構造物において有用であ
り、産業上の意義は大きい。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.03〜0.15%、Si: 0.1
〜0.5 %、Mn: 0.7〜1.8 %、S:0.005 %以下、P:
0.01%以下及びAl:0.01〜0.04%を基本成分として含有
し、さらにCu:2.0 %以下、Ni:2.0 %以下、Cr:3.0
%以下及びMo:1.0 %以下の何れか1種以上を下記式
(1)を満足する範囲で含有し、さらに必要に応じてN
b:0.01〜0.08%、V:0.01〜0.08%、Ti:0.003 〜0.0
4%、B:0.003 %以下及びCa:0.0005〜0.01%の何れ
か1種以上を含有し、残部Fe及び不可避的不純物よりな
る鋼材を、下記式(2)で定義されるガルバニック腐食
パラメータPgc が重量%で入熱3kJ/mm未満のときは-
4.5〜-1.0、入熱3kJ/mm以上、7kJ/mm未満のときは-
4.0〜-0.5、入熱7kJ/mm以上のときは-3.5〜0となる
溶接材料で溶接することを特徴とする溶接部における局
部腐食の防止方法。 Cu+Ni+Cr+2Mo≧0.75(%) …(1) Pgc =(Cubp-Cuwm) +3(Crbp-Crwm) +2(Nibp-Niwm)
+4(Mobp-Mowm)…(2) ここで、例えば、Cubp、Cuwmは、それぞれ、母材、溶接
金属のCu量(重量%)であり、他も同様である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28753292A JP3270541B2 (ja) | 1992-10-26 | 1992-10-26 | 溶接部における局部腐食の防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH06134572A JPH06134572A (ja) | 1994-05-17 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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---|---|---|---|---|
FR2844281B1 (fr) * | 2002-09-06 | 2005-04-29 | Usinor | Acier a tres haute resistance mecanique et procede de fabrication d'une feuille de cet acier revetue de zinc ou d'alliage de zinc |
JP2022065836A (ja) * | 2020-10-16 | 2022-04-28 | Jfeスチール株式会社 | 塗装耐久性に優れた溶接継手および構造物 |
-
1992
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