JP2874019B2 - 固体電解コンデンサ - Google Patents

固体電解コンデンサ

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、固体電解コンデンサに係り、特に、その外
装樹脂に改良を施してなる固体電解コンデンサに関す
る。
[従来の技術] 固体電解コンデンサは、タンタルなどの弁作用金属粉
末を成形焼結してなるコンデンサ素子に陽極線を植設
し、この陽極線に陽極引出端子を接続すると共に、コン
デンサ素子周面に陰極引出端子を接続し、この状態で、
コンデンサ素子の表面全体を覆うように外装樹脂を施し
てなるものである。
このような固体電解コンデンサとして、チップ型のタ
ンタル固体電解コンデンサが一般化されているが、その
外装樹脂としては、黒色のエポキシ樹脂が使用されてい
る。
また、このようなチップ型の固体電解コンデンサは、
その使用に際し、各種回路基板に対して、はんだ浸漬ま
たは赤外線リフローにより、表面実装されている。
[発明が解決しようとする課題] ところで、以上のような従来のチップ型のタンタル固
体電解コンデンサは、各種回路基板に表面実装する際
に、次のような問題点を有していた。
すなわち、コンデンサの外装を構成するエポキシ樹脂
が黒色であることから、熱吸収率が高く、表面実装時、
すなわち、はんだ浸漬または赤外線リフロー時における
熱吸収量が大きいため、内部を構成するコンデンサ素子
に対する熱的ストレスが大きくなり、漏れ電流特性の劣
化などを生じていた。
なお、このような問題点は、タンタル固体電解コンデ
ンサに限らず、外装樹脂として黒色のエポキシ樹脂を使
用している固体電解コンデンサ一般に存在していた。
本発明は、以上のような従来技術の課題を解決するた
めに提案されたものであり、その目的は、外装樹脂の熱
吸収率を低下させ、耐熱性を向上させることにより、特
に、各種回路基板への表面実装に最適であるような、漏
れ電流特性に優れた、信頼性の高い固体電解コンデンサ
を提供することである。
[課題を解決するための手段] 本発明による固体電解コンデンサは、弁作用金属粉末
を成形焼結してなるコンデンサ素子と、コンデンサ素子
に植設された陽極線と、陽極線に接続された陽極引出端
子と、コンデンサ素子周面に接続された陰極引出端子、
及び外装樹脂からなる固体電解コンデンサにおいて、外
装樹脂が、エポキシ樹脂にアゾ化合物系添加剤を添加し
てエポキシ樹脂に着色を施してなるものであることを特
徴としている。
この場合、具体的には、エポキシ樹脂を黄色または緑
色などに着色することが可能である。
[作用] 以上のように構成を有する本発明によれば、エポキシ
樹脂に着色を施すことにより、黒色の場合に比べて熱吸
収率を低下させることができるため、表面実装時などに
おける熱吸収量が低減され、コンデンサ素子に対する熱
的ストレスを緩和できる。
[実施例] 以下に、本発明による固体電解コンデンサの一実施例
について、第1図及び第2図を参照して具体的に説明す
る。
まず、第1図は、固体電解コンデンサ全体を示す正面
断面図である。この第1図に示すように、コンデンサ素
子1は、例えば、タンタル、ニオブ、アルミニウムなど
の弁作用を有する金属粉末を成形焼結し、その周面に誘
電体酸化皮膜及び半導体を介して陰極引出層を順次形成
してなるものである。このコンデンサ素子1の端面に
は、陽極線2が植設されており、この陽極線2に陽極引
出端子3が溶接されている。また、コンデンサ素子1の
周面には、陰極引出端子4が、導電性接着剤5を介して
接着されている。
この状態で、コンデンサ素子1の表面全体を覆うよう
に、本発明によるエポキシ樹脂を使用したモールドがな
され、外装樹脂6が施されている。この場合、外装樹脂
6を施すためのエポキシ樹脂としては、アゾ化合物系添
加剤が添加されて黄色に着色されてなるエポキシ樹脂が
使用されている。
そして、このモールドの後に、第1図に示すように、
陽極引出端子3及び陰極引出端子4の外部引出部が、外
装樹脂6の側面に沿って折曲げられ、さらに、底面に沿
って内側に折曲げられることでコンデンサが完成されて
いる。
以上のような構成を有する本実施例の固体電解コンデ
ンサによれば、外装樹脂6として、黄色に着色してなる
エポキシ樹脂を使用しているため、従来使用していた黒
色のエポキシ樹脂に比べて、格段に熱吸収率を低下させ
ることができる。従って、各種回路基板への表面実装時
において、外装樹脂6の熱吸収量は、従来よりも大幅に
小さくなり、コンデンサ素子1に対する熱的ストレスを
緩和できるため、従来問題となっていた漏れ電流特性の
劣化が解消される。
次に、具体的に定格35wv−1.0μFのチップ型固体電
解コンデンサにおいて、外装樹脂として、前記実施例の
着色エポキシ樹脂、すなわち、アゾ化合物系添加剤の添
加により黄色に着色してなるエポキシ樹脂と、従来技術
の黒色エポキシ樹脂とをそれぞれ使用してなる固体電解
コンデンサを作製し、それぞれ本発明品A、従来品Bと
した。これらの試料A,Bを使用して、下記の表1に示す
ような、一定の処理条件に対するそれぞれの漏れ電流特
性を調べたところ、第2図に示すような結果が得られ
た。
この場合、第2図の横軸に示す処理条件番号は、表1
に処理条件番号に相当する。また、表1中における1回
の熱処理は、全て以下に示すような同一条件の熱処理で
ある。すなわち、遠赤外線リフロー炉にて、まず100±2
0℃の雰囲気中を90±10秒にて通過させ、予備加熱を行
った後、245±20℃の雰囲気中を5±3秒にて通過さ
せ、この一連の処理を1回の熱処理とした。
第2図から明らかなように、従来品Bは、処理条件
6、すなわち5回の熱処理を行った後では、漏れ電流
が、初期値よりも格段に増大し、10-1μAを大幅に越え
ているのに対し、本発明品Aは、同じ処理条件6でも、
漏れ電流が、初期値からさほど増大しておらず、10-1μ
Aをはるかに下回っており、従来品Bよりも格段に低減
されている。この結果は、本発明品Aにおいて、エポキ
シ樹脂にアゾ化合物系添加剤を添加して黄色及び緑色に
着色したことにより、従来品Bに比べて外装樹脂の吸収
率が低減され、耐熱性が改善されたために、漏れ電流値
が低減されたことを示している。
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではな
く、着色としては、緑色などの白を除く色であればよ
く、また、本発明は、他の規格の固体電解コンデンサに
も同様に適用可能である。さらに、外装樹脂以外の構成
は適宜選択可能であり、例えば、コンデンサ素子と陰極
引出端子との接合は、導電性接着剤に限定されない。
[発明の効果] 以上説明した通り、本発明においては、外装樹脂とし
て、アゾ化合物系添加剤を添加して着色してなるエポキ
シ樹脂を使用するという簡単な構成の改良により、従来
技術に比べて外装樹脂の熱吸収率を大幅に低下させ、耐
熱性を格段に向上させることができるため、特に、各種
回路基板への表面実装に最適であるような、漏れ電流特
性に優れた、信頼性の高い固体電解コンデンサを提供で
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による固体電解コンデンサを示す正面断
面図、第2図は本発明品と従来品の漏れ電流特性を比較
的に示すグラフである。 1……コンデンサ素子、2……陽極線、3……陽極引出
端子、4……陰極引出端子、5……導電性接着剤、6…
…外装樹脂。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】弁作用金属粉末を成形焼結してなるコンデ
    ンサ素子と、このコンデンサ素子に植設された陽極線
    と、陽極線に接続された陽極引出端子と、コンデンサ素
    子周面に接続された陰極引出端子、及び外装樹脂からな
    る固体電解コンデンサにおいて、 前記外装樹脂が、エポキシ樹脂にアゾ化合物系添加剤を
    添加してエポキシ樹脂に着色を施してなるものであるこ
    とを特徴とする固体電解コンデンサ。
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