JP2872675B2 - 無段変速装置 - Google Patents

無段変速装置

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JP2872675B2 JP15579488A JP15579488A JP2872675B2 JP 2872675 B2 JP2872675 B2 JP 2872675B2 JP 15579488 A JP15579488 A JP 15579488A JP 15579488 A JP15579488 A JP 15579488A JP 2872675 B2 JP2872675 B2 JP 2872675B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、農業機械等において使用されベルト伝動を
利用した可変プーリ式無段変速装置の改良に関する。
(従来の技術) 従来より、この種可変プーリ式の無段変速装置は、互
いに平行に配置された1対の回転軸の各々に、該各回転
軸に対して回転一体にかつ摺動不能に固定された固定シ
ーブと、回転軸に固定シーブとの間にV字状のベルト溝
を形成するように対向配置されて回転一体にかつ摺動自
在に支持された可動シーブとからなる可変プーリを有す
るとともに、これら両可変プーリのベルト溝間に巻き掛
けられたVベルトを有する可変プーリ機構を備え、各可
変プーリの可動シーブを軸方向に移動させて固定シーブ
に接離させ、両シーブ間のベルト溝に巻き掛けられたベ
ルト部材に対する有効半径を可変とすることにより、両
回転軸間の変速比を変えるようにしたものである。
ところで、従来、特開昭62−118159号公報に開示され
るものでは、上記可変プーリ機構を備えるとともに、そ
の他に変速用の遊星歯車機構を備えることが提案されて
いる。しかし、この遊星歯車機構を備えた変速装置にお
いては、出力側回転軸の回転を零にするニュートラル状
態が一般に取り出し難いという問題がある。このため、
上記提案の変速装置を実際に農業機械等に搭載した場合
には、ニュートラル状態に切り換えているにも拘らず機
械等が動き出す虞れがあり、クラッチやブレーキの設置
が必須で装置構成の複雑化を招くこととなる。
(発明が解決しようとする課題) そこで、上記した両回転軸間の変速比を変える可変プ
ーリの可動シーブの動きに関連付けて出力側回転軸の回
転・停止をコントロールし得る手段を講じ、ニュートラ
ル状態において大きな制動力を発生せしめ、これにより
安定したニュートラル状態を容易に確保し、クラッチや
ブレーキの設置の必要をなくして装置のコンパクト化を
図ることが考えられる。
例えば、第6図に示すように、互いに平行に配置され
た入力軸61、中間軸62及び出力軸63のうち、入力軸61
に、1対の固定シーブ64a,64aと該両固定シーブ64a,64a
間において摺動可能な1つの可動シーブ64bとを有する
2連プーリからなる第1及び第2の駆動プーリ65,66を
設ける。
さらに、上記中間軸62には、固定シーブ67と該固定シ
ーブ67に対して接離可能な可動シーブ68とからなる第1
従動プーリ69を上記第1駆動プーリ65に対応してかつ中
間軸62に対して回転可能に設けるとともに、固定シーブ
70と該固定シーブ70に対して接離可能な可動シーブ71と
からなる第2従動プーリ72を上記第2駆動プーリ66に対
応してかつ中間軸62に対して回転一体に設ける。
そして、上記第1駆動プーリ65と第1従動プーリ69と
のベルト溝間、及び第2駆動プーリ66と第2従動プーリ
72とのベルト溝間にそれぞれVベルトからなる第1及び
第2ベルト73,74を巻き掛ける。
また、上記中間軸62上に差動ギヤ機構としてのベベル
ギヤ機構75を支持する。このベベルギヤ機構75は、中間
軸62に回転一体に固定された第1ベベルギヤ76と、該第
1ベベルギヤ76に対向して中間軸62に回転自在に支持さ
れ、上記第1従動プーリ69により逆転ギヤ機構81を介し
て第1ベベルギヤ76と逆方向に回転駆動される第2ベベ
ルギヤ77と、上記両ベベルギヤ76,77間の中間軸62上に
回転自在に支持され、外周に上記出力軸63に回転一体に
固定したギヤ80に噛合するギヤ部78aを有する出力ギヤ7
8と、該出力ギヤ78に回転自在に支持され、第1及び第
2ベベルギヤ76,77に噛合する複数の第3ベベルギヤ79,
79,…とを備える。
そして、上記ベベルギヤ機構75により、その第1及び
第2ベベルギヤ76,77が同じ回転数で互に逆回転すると
きには、上記第3ベベルギヤ79,79,…のみを回転させて
出力ギヤ78の回転を停止させる一方、第1及び第2ベベ
ルギヤ76,77が異なる回転数で互いに逆回転するときに
は、その相対回転数の差に応じて出力ギヤ78を第3ベベ
ルギヤ79,79,…と共に回転させて出力軸63を回転させる
ように構成する。
ところが、このものは、本発明者が理論解析及び実機
テストにより鋭意検討したところ、入力軸61に入力され
た動力の一部がベベルギヤ機構75を介して再び入力軸61
に戻る動力循環が生じたるとが判明した。そして、この
動力循環により、第1及び第2の2本のベルト73,74の
うち高速側には高負荷が、また低速側には循環負荷がそ
れぞれかかるようになり、高速側ベルトにスリップが発
生する。
そして、一般に、ベルトはプーリ径が小さいときに大
きい負荷トルクを受けると、スリップを発生する。
尚、上記の動力循環について負荷を種々に変更したと
きの各軸の負荷トルク及び回転数の実験値及び理論値を
下記の表に示す。上記実験は第7図に示す試験装置によ
り行った。すなわち、この試験装置は、入力軸として互
いに平行な第1及び第2回転軸61a,61bを配設し、その
両回転軸61a,61bにそれぞれシンクロプーリからなる第
1及び第2駆動プーリ65′,66′を回転一体に取り付
け、この両駆動プーリ65′,66′と中間軸62上のシンク
ロプーリからなる第1及び第2従動プーリ69′,72′と
の間にそれぞれシンクロベルト73′,74′を巻き掛け
る。また、上記両回転軸61a,61bにそれぞれ回転計82,82
及びトルク検出器83,83を取り付けるとともに、その両
回転軸61a,61bをプーリ機構84及びトルク検出器83を介
して駆動用モータ85に駆動連結する。一方、出力軸63上
にも回転計82及びトルク検出器83を取り付け、この出力
軸63をプーリ機構86を介して負荷機87に駆動連結したも
のである。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、その
目的は、上記の如き無段変速装置において、プーリが小
径になっているときに、そのベルトに高トルクがかかる
のを回避するようにし、よってベルトのスリップを防止
しようとすることにある。
(課題を解決するための手段) 上記目的の達成のために、請求項(1)に係る発明の
無段変速装置は、互いに平行に配置された第1〜第3の
3つの回転軸と、上記第1回転軸上に回転自在に支持さ
れ、第1〜第3の3つのギヤ要素のうち第1のギヤ要素
が出力部とされた差動ギヤ機構と、上記第2回転軸と第
3回転軸とをベルトによって変速可能に駆動連結する可
変プーリ機構と、上記第2回転軸と差動ギヤ機構におけ
る第2のギヤ要素とを連結する第1伝動ギヤ機構と、上
記第3回転軸と差動ギヤ機構における第3のギヤ要素と
を連結する第2伝動ギヤ機構と、上記第1回転軸と第2
回転軸との間を連結状態又は連結遮断状態に切り換える
第1軸断続機構と、上記第1回転軸と第3回転軸との間
を連結状態又は連結遮断状態に切り換える第2軸断続機
構とを備えてなり、上記両軸断続機構の切換えにより、
差動ギヤ機構の第1ギヤ要素の回転方向を切り換えると
ともに、第1又は第2軸断続機構のいずれか一方の連結
状態によって第1回転軸に駆動連結される第2又は第3
回転軸の一方に伝動ギヤ機構のみを介して駆動連結され
る差動ギヤ機構のギヤ要素の回転周速度が、同回転軸に
伝動ギヤ機構、他方の回転軸及び可変プーリ機構の双方
を介して駆動連結されるギヤ要素の回転周速度よりも常
に高くて、上記可変プーリ機構に循環動力が伝達される
ように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項(2)に係る発明では、上記第2及び第
3回転軸間の変速比を大きくして、変速装置の大きな変
速幅を得るために、上記可変プーリ機構を以下のように
第1〜第4プーリ並びに第1及び第2ベルトを備えた構
成とする。すなわち、 (1) 第1及び第2プーリは回転自在に設けられてい
る。そして、これら第1及び第2プーリは、互いに対峙
して配置された1対の固定シーブと、該両固定シーブ間
において各固定シーブに対し接離可能にかつ上記両固定
シーブとの間にそれぞれ2つのベルト溝が形成されるよ
うに支持された1つの可動シーブとを備え、可動シーブ
の軸方向の移動により両ベルト溝の半径を互いに相反す
る方向に可変とした2連プーリからなるものとする。
(2) 第3プーリは、上記第2回転軸に上記第1プー
リに対応して回転可能に支持されている。この第3プー
リは、固定シーブと、該固定シーブに対して接離可能に
かつ固定シーブとの間にベルト溝が形成されるように設
けられた可動シーブとを備え、可動シーブの軸方向の移
動によりベルト溝の半径を可変としたものとする。
(3) 第4プーリは、上記第3回転軸に上記第2プー
リに対応して回転可能に支持されている。この第4プー
リは、固定シーブと、該固定シーブに対して接離可能に
かつ固定シーブとの間にベルト溝が形成されるように設
けられた可動シーブとを備え、可動シーブの軸方向の移
動によりベルト溝の半径を可変としたものとする。
(4) 第1及び第2ベルトは、上記第1プーリと第3
プーリとのベルト溝間、及び上記第2プーリと第4プー
リとのベルト溝間にそれぞれ巻き掛けられたVベルトか
らなるものとする。
さらに、請求項(3)に係る発明では、ベルトの伝動
負荷を低減してそのスリップを効果的に抑制するため
に、第2回転軸と可変プーリ機構とは第2回転軸の回転
を所定のギヤ比で増速して可変プーリ機構に伝達する第
1変速ギヤ機構により連結し、第3回転軸と可変プーリ
機構とは第3回転軸の回転を所定のギヤ比で増速して可
変プーリ機構に伝達する第2変速ギヤ機構により連結す
る。
(作用) 上記の構成により、請求項(1)に係る発明では、変
速装置を例えば前進状態にするときには、第1軸断続機
構を連結状態に切り換えて第1及び第2回転軸同士を駆
動連結し、第2軸断続機構は連結遮断状態にして第1及
び第3回転軸間の連結を遮断する。この状態では、第1
回転軸の回転は第1軸断続機構を介して第2回転軸に伝
達され、その後、第1伝達ギヤ機構を介して差動ギヤ機
構における第1〜第3のギヤ要素のうち出力部以外の一
方たる第2のギヤ要素に伝達される。また、上記第1回
転軸の回転は、可変プーリ機構にも伝えられ、該プーリ
機構により変速された後、さらに第3回転軸及び第2伝
動ギヤ機構を介して差動ギヤ機構の第3のギヤ要素に伝
達される。そして、上記可変プーリ機構における回転の
変速に伴い、差動ギヤ機構の第2及び第3のギヤ要素間
で回転差が生じ、この回転差により該差動ギヤ機構の出
力部たる第1のギヤ要素に一方向の回転が生じて、前進
状態になる。また、上記可変プーリ機構の変速比を変え
ることで、差動ギヤ機構の第1ギヤ要素の回転速度を調
整でき、前進速度を増減変化させることができる。
その場合、上記差動ギヤ機構の第1ギヤ要素の回転に
伴い、該差動ギヤ機構から動力が第1回転に戻る動力の
循環が生じる。そして、差動ギヤ機構の第2のギヤ要素
は第1回転軸とは第1伝動ギヤ機構、第2回転軸及び第
1軸断続機構を介して機械的に連結されているのに対
し、第3のギヤ要素は第2伝動ギヤ機構、第3回転軸、
可変プーリ機構、第2回転軸及び第1軸断続機構を介し
て第1回転軸に連結されているので、第3のギヤ要素に
伝達される回転を第2のギヤ要素に対し可変プーリ機構
の変速切換えにより減速することで、第1回転軸に第1
伝動ギヤ機構、第2回転軸及び第1軸断続機構を介して
駆動連結されている第2のギヤ要素の回転の周速度が、
第1回転軸に第2伝動ギヤ機構、第3回転軸、可変プー
リ機構、第2回転軸及び上記第1軸断続機構を介して駆
動連結されている第3のギヤ要素よりも速くなる。この
ため、上記循環動力は、差動ギヤ機構において周速度の
高い第2ギヤ要素に駆動連結されている第1伝動ギヤ機
構側を通らずに、低い周速度側の第3のギヤ要素から第
2伝動ギヤ機構、第3回転軸、可変プーリ機構、第2回
転軸及び第1軸断続機構を介して第1回転軸に伝達され
る。
一方、後進状態では、上記とは逆に、第2軸断続機構
を連結状態に切り換えて第1及び第3回転軸同士を駆動
連結し、第1軸断続機構は連結遮断状態にして第1及び
第2回転軸間の連結を遮断する。この状態では、第1回
転軸の回転は、第2軸断続機構、第3回転軸及び第2伝
動ギヤ機構を介して差動ギヤ機構の第3ギヤ要素に伝達
されるとともに、第3回転軸から可変プーリ機構、第2
回転軸、第1伝動ギヤ機構を介して差動ギヤ機構の第2
ギヤ要素に伝達される。そして、上記可変プーリ機構に
おける回転の変速切換えにより、差動ギヤ機構の第2及
び第3のギヤ要素間で第3のギヤ要素の周速度が第2の
ギヤ要素よりも高くなる回転差が生じ、この回転差によ
り差動ギヤ機構の第1ギヤ要素(出力部)に他方向の回
転が生じて、後進状態になる。
この場合、上記と同様に、差動ギヤ要素の第1ギヤ要
素の回転に伴い動力の循環が生じ、可変プーリ機構の変
速切換えにより、差動ギヤ機構の第2のギヤ要素に伝達
される回転を第3のギヤ要素に対し減速することで、上
記とは逆に第1回転軸に第2伝動ギヤ機構、第3回転軸
及び第2軸断続機構を介して駆動連結されている第3の
ギヤ要素の回転周速度が、第1伝動ギヤ機構、第2回転
軸、可変プーリ機構、第3回転軸及び上記第2軸断続機
構を介して駆動連結されている第2のギヤ要素よりも速
くなり、循環動力は差動ギヤ機構において周速度の高い
第3ギヤ要素に駆動連結されている第2伝動ギヤ機構側
を通らずに、差動ギヤ機構の第2のギヤ要素から第1伝
動ギヤ機構、第2回転軸、可変プーリ機構、第3回転軸
及び第2軸断続機構を介して第1回転軸に伝達される。
すなわち、前進及び後進のいずれであっても、循環動
力は常に可変プーリ機構を伝達されるので、その可変プ
ーリ機構におけるベルトの伝動負荷が小さくて済み、よ
ってベルトのスリップを確実に抑制することができる。
また、請求項(2)に係る発明では、上記可変プーリ
機構を、2連プーリからなる第1及び第2プーリと、第
2回転軸上の第3プーリと、第3回転軸上の第3プーリ
と、第1及び第3プーリ間に巻き掛けられた第1ベルト
と、第2及び第4プーリ間に巻け掛けられた第2ベルト
とで構成しているので、第2及び第3回転軸間の変速比
を大きく設定でき、変速装置の変速幅を拡大することが
できる。
さらに、請求項(3)に係る発明では、第2回転軸と
可変プーリ機構とを第2回転軸の回転を増速して可変プ
ーリ機構に伝達する第1変速ギヤ機構により連結し、第
3回転軸と可変プーリ機構とは第3回転軸の回転を増速
して可変プーリ機構に伝達する第2変速ギヤ機構により
連結する構成であるので、前進時及び後進時に、可変プ
ーリ機構に入力される負荷トルクを低減することがで
き、そのベルトの伝動負荷を低減して、ベルトのスリッ
プをより一層効果的に抑制することが可能となる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図は本発明を農業機械としてのコンバインに適用
した実施例に係る無段変速装置Aの全体構成を示し、1
はそのケースで、このケース1には互いに平行に配置さ
れた第1〜第3の3つの回転軸2〜4が回転自在に支持
されており、そのうち、第1回転軸2は入力軸とされて
いて、その右端には入力プーリ2aが回転一体に取り付け
られ、このプーリ2aは図外のエンジンに駆動連結されて
いる。
上記第1回転軸2の左端(図で左端)には差動ギヤ機
構を構成する遊星歯車機構5が回転自在に支持されてい
る。この遊星歯車機構5は、第1回転軸2に回転自在に
支持されたサンギヤ6と、該サンギヤ6に噛合する複数
のピニオン7,7,…と、第1回転軸2に回転自在に支持さ
れ、かつ上記ピニオン7,7,…を担持するピニオンキャリ
ア8と、最も外周側に配置され、上記ピニオン7,7,…に
内周で噛合するリングギヤ9とを備えてなり、上記ピニ
オンキャリア8には出力ギヤ8aが一体に形成され、リン
グギヤ9の外周にはギヤ部9aが形成されている。そし
て、この実施例では上記ピニオンキャリア8が本発明で
いう第1のギヤ要素に、リングギヤ9が第2のギヤ要素
に、またサンギヤ6が第3のギヤ要素にそれぞれ構成さ
れている。従って、上記ピニオンキャリア8が出力部と
され、このピニオンキャリア8はコンバインの駆動車輪
等(図示せず)に駆動連結されている。
一方、第1回転軸2の右端(図で右端)には2連の可
変プーリからなる第1及び第2プーリ10,11が回転自在
に支持されている。この両プーリ10,11は、第1回転軸
2上に摺動不能にかつ回転自在に支持されかつ互いに左
右に対峙して配置された第1及び第2の1対の固定シー
ブ12,13と、該両固定シーブ12,13間において各固定シー
ブ12,13に対し接離可能に支持された算盤玉状の1つの
可動シーブ14とを備えている。そして、上記両固定シー
ブ12,13と可動シーブ14との間にはそれぞれ断面略V字
形状の第1及び第2の2つのベルト溝15,16が形成され
ており、可動シーブ14の軸方向の移動により両ベルト溝
15,16の半径(プーリ半径)を互いに相反する方向に可
変としている。
また、上記第2回転軸3上には可変プーリからなる第
3プーリ17が上記第1回転軸2上の第1プーリ10に対応
して回転可能に支持されている。この第3プーリ17は、
ボス部18aにて第2回転軸3に回転可能にかつ摺動不能
に支持された固定シーブ18と、軸方向への移動により固
定シーブ18に対して接離可能な可動シーブ19とを備えて
なり、上記両シーブ18,19間には断面略V字状の第3ベ
ルト溝20が形成されており、可動シーブ19の軸方向の移
動により第3ベルト溝20の半径を可変としたものであ
る。
さらに、上記第3回転軸4上には可変プーリからなる
第4プーリ21が第1回転軸2上の第2プーリ11に対応し
て回転可能に支持されている。この第4プーリ21は、ボ
ス部22aにて第3回転軸4に回転可能にかつ摺動不能に
支持された固定シーブ22と、軸方向への移動により固定
シーブ22に対して接離可能な可動シーブ23とを備えてな
り、上記両シーブ22,23間には断面略V字状の第4ベル
ト溝24が形成されており、可動シーブ23の軸方向の移動
により第4ベルト溝24の半径を可変としている。
そして、上記第1プーリ10の第1ベルト溝15と第3プ
ーリ17の第3ベルト溝20との間にはVベルトからなる第
1ベルト25が、また第2プーリ11の第2ベルト溝16と第
4プーリ21の第4ベルト溝24との間には同様の第2ベル
ト26がそれぞれ巻き掛けられている。よって、第1及び
第2プーリ10,11における可動シーブ14を軸方向に移動
させることにより、第2回転軸3上の第3プーリ17と第
3回転軸4上の第4プーリ21との間の変速比を可変調整
し、その可動シーブ14を両固定シーブ12,13間の中央に
位置付けたときには、第1及び第2プーリ10,11の半径
を互いに同じとするとともに、両ベルト25,26の移行に
より第3プーリ17及び第4プーリ21の半径を上記第1及
び第2プーリ10,11と同じとすることにより、第3及び
第4プーリ17,21間の変速比を1(無変速状態)とす
る。また、図示の如く、可動シーブ14を第1固定シーブ
12側に近付けたときには、第1プーリ10の半径を第2プ
ーリ11よりも大きくするとともに、第1ベルト25の第1
回転軸2側への移行により第3プーリ17の半径を第1プ
ーリ10よりも小さくし、かつ第2ベルト26の第3回転軸
4側への移行により第4プーリ21の半径を第2プーリ11
よりも大きくすることにより、第3プーリ17の回転を減
速して第4プーリ21に伝達する。一方、可動シーブ14を
第2固定シーブ13側に近付けたときには、第1プーリ10
の半径を第2プーリ11よりも小さくするとともに、第1
ベルト25の第2回転軸3側への移行により第3プーリ17
の半径を第1プーリ10よりも大きくし、かつ第2ベルト
26の第1回転軸2側への移行により第4プーリ21の半径
を第2プーリ11よりも小さくすることにより、第4プー
リ21の回転を減速して第3プーリ17に伝達するようにし
た可変プーリ機構27が構成されている。
上記第2回転軸3と可変プーリ機構27の第3プーリ17
とは第1変速ギヤ機構28により連結されている。この変
速ギヤ機構28は、第3プーリ17における固定シーブ18の
ボス部18aの端部に形成された第1ギヤ29と、ケース1
に回転自在に支持した支持軸33の一端に取り付けられ、
上記第1ギヤ29に噛合する第2ギヤ30と、上記支持軸33
の他端に取り付けられた第3ギヤ31と、第2回転軸3に
回転一体に取り付けれ、上記第3ギヤ31に噛合する第4
ギヤ32とからなり、これらギヤ29〜32間の歯数の設定に
より、第2回転軸3の回転を2倍のギヤ比で増速して可
変プーリ機構27の第3プーリ17に伝達するようになされ
ている。
また、上記第3回転軸4と可変プーリ機構27の第4プ
ーリ21とは、第3回転軸4の回転を2倍のギヤ比で増速
して第4プーリ21に伝達する第2変速ギヤ機構34により
連結されている。この変速ギヤ機構34は上記第1変速ギ
ヤ機構28と同じ構成であるので、ここでは「′」(ダッ
シュ)をつけた同じ符号を付してその説明は省略する。
さらに、上記第2回転軸3の左端にはギヤ35が回転一
体に固定されている。該ギヤ35は上記遊星歯車機構5の
リングギヤ9(第2ギヤ要素)の外周ギヤ部9aにギヤ比
1でもって常時噛合されており、このギヤ35により、第
2回転軸3と遊星歯車機構5のリングギヤ9とを連結す
る第1伝動ギヤ機構36が構成される。
一方、第3回転軸4の左端にはギヤ37が回転一体に固
定されている。該ギヤ37はケース1に回転自在に支承し
た逆転ギヤ38に噛合され、該逆転ギヤ38は上記遊星歯車
機構5のサンギヤ6(第3ギヤ要素)におけるボス部6a
の端部に回転一体に固定したギヤ6bに所定のギヤ比でも
って常時噛合されており、このギヤ37及び逆転ギヤ38に
より、第3回転軸4と遊星歯車機構5のサンギヤ6とを
連結する第2伝動ギヤ機構39が構成される。
また、上記第1回転軸2の左右中間部にはギヤ40が回
転一体に固定されている。一方、第2回転軸3上には上
記ギヤ40とギヤ比1でもって常時噛合するギヤ41が、ま
た第3回転軸4上には同ギヤ40とギヤ比1でもって常時
噛合するギヤ42がそれぞれ支持されている。そして、上
記第2回転軸3と同回転軸3上のギヤ41との間には第1
クラッチ43が配設されており、この第1クラッチ43のON
/OFF切換えにより第1回転軸2と第2回転軸3との間を
ギヤ40,41を介して連結状態又は連結遮断状態に切り換
えるようにした第1軸断続機構が構成されている。ま
た、上記第3回転軸4と同回転軸4上のギヤ42との間に
は第2クラッチ44が配設されており、第2クラッチ44の
ON/OFF切換えにより第1回転軸2と第3回転軸4との間
をギヤ40,42を介して連結状態又は連結遮断状態に切り
換えるようにした第2軸断続機構が構成されている。
尚、この実施例では、上記両クラッチ43,44が共にON
作動したときに変速装置Aがニュートラル状態となるよ
うになされている。また、このニュートラル状態では、
遊星歯車機構5のピニオンキャリア8の回転数が零とな
るよう、上記第1伝動ギヤ機構36のギヤ35と遊星歯車機
構5のリングギヤ9とのギヤ比、及び第2伝動ギヤ機構
39のギヤ37と遊星歯車機構のサンギヤ6のギヤ部6bのギ
ヤ比が設定されている。
また、図中、45は第3プーリ17における可動シーブ19
を固定シーブ18側に付勢するスプリング、46は第4プー
リ21における可動シーブ23を固定シーブ22側に付勢する
スプリングである。
次に、上記実施例の動作について説明する。
まず、変速装置Aをコンバインが前進も後進もしない
ニュートラル位置にするときには、第1及び第2クラッ
チ43,44を共にON作動させるとともに、第1及び第2プ
ーリ10,11における可動シーブ14を両固定シーブ12,13間
の中央に位置付け、第1及び第2プーリ10,11の半径を
互いに同じとし、かつ第3及び第4プーリ17,21の半径
を上記第1及び第2プーリ10,11と同じとして、第3及
び第4プーリ17,21間の変速比を1とする。上記両クラ
ッチ43,44のON作動により、第1回転軸2の回転は、ギ
ヤ40,41、第1クラッチ43、第2回転軸3及び第1伝動
ギヤ機構36のギヤ35を介して遊星歯車機構5のリングギ
ヤ9(第2のギヤ要素)に伝達されるとともに、ギヤ4
0,42、第2クラッチ44、第3回転軸4及び第2伝動ギヤ
機構39(ギヤ37及び逆転ギヤ38)を介して遊星歯車機構
5のサンギヤ6(第3のギヤ要素)に伝達される。そし
て、このとき、遊星歯車機構5においては、リングギヤ
9及びサンギヤ6は互いに逆向きに同じ周速度で回転す
る。このため、その両ギヤ6,9に噛合されている各ピニ
オン7が回転するのみで、出力部としてのピニオンキャ
リヤ8は回転せず、よってコンバインの駆動軸等に動力
が伝達されず、コンバインは停止状態に保持される。
その際、第1回転軸2が第1及び第2クラッチ43,44
を介して遊星歯車機構5に駆動連結されるので、大きな
制動力が発生して安定したニュートラル状態を容易に確
保することができ、これにより駆動車輪等の停止保持用
のクラッチやブレーキの設置の必要がなくなって装置の
コンパクト化を図ることができる。
また、コンバインを前進させるべく変速装置Aを前進
状態に切り換えるときには、例えば上記第1クラッチ43
をON作動させて、第1及び第2回転軸2,3同士を連結
し、第2クラッチ44はOFF状態にして第1及び第3の回
転軸2,4間の動力伝達を遮断する。この状態では、第1
回転軸2の回転は上記ニュートラル時と同様にギヤ40,4
1、第1クラッチ43、第2回転軸3及び第1伝動ギヤ機
構36のギヤ35を介して遊星歯車機構5のリングギヤ9に
伝達される。また、同時に、第2回転軸3に入力された
回転は第1変速ギヤ機構28、可変プーリ機構27、第2変
速ギヤ機構34、第3回転軸4及び第2伝動ギヤ機構39を
介して遊星歯車機構5のサンギヤ6に伝達され、この遊
星歯車機構5のリングギヤ9及びサンギヤ6は互いに逆
向きに回転する。そして、上記可変プーリ機構27の第1
及び第2プーリ10,11における可動シーブ14が第1固定
シーブ12側(図で左側)に近付けられ、第1プーリ10の
半径が第2プーリ11よりも大きくなるとともに、第1ベ
ルト25の第1回転軸2側への移行により第3プーリ17の
半径が第1プーリ10よりも小さくなり、かつ第2ベルト
26の第3回転軸4側への移行により第4プーリ21の半径
が第2プーリ11よりも大きくなり、第3プーリ17の回転
が減速されて第4プーリ21に伝達される。この回転の減
速により上記遊星歯車機構5のサンギヤ6の回転数が変
化して、サンギヤ6とリングギヤ9との間で上記ニュー
トラル状態から相対的な回転差が生じ、この回転差によ
り各ピニオン7が回転しながらそのキャリア8が第1回
転軸2回りを回転し、このピニオンキャリア8の回転に
より駆動車輪等が前進方向に回転してコンバインが前進
する。そして、上記第3及び第4回転プーリ17,21間の
変速比を可変調整することにより、上記サンギヤ6とリ
ングギヤ9との回転差を増減変化させることができ、こ
のことによってピニオンキャリヤ8の回転数つまりコン
バインの前進速度を増減変更することができる。
その際、上記遊星歯車機構5のビニオンキャリア8
(出力部)の回転に伴い、遊星歯車機構5から動力が第
1回転軸2(入力軸)に戻る動力の循環が生じるが、遊
星歯車機構5のリングギヤ9に伝達される回転に比べサ
ンギヤ6に伝達される回転が可変プーリ機構27によって
減速される。このため、第1回転軸2に第1伝動ギヤ機
構36のみを介して駆動連結されているリングギヤ9の回
転周速度が、第1回転軸2に第2伝動ギヤ機構39及び可
変プーリ機構27の双方を介して駆動連結されているサン
ギヤ6よりも速くなり、上記循環動力は第1伝動ギヤ機
構36側を通らず、遊星歯車機構5のサンギヤ6から第2
伝動ギヤ機構39、第3回転軸4、第2変速ギヤ機構34、
可変プーリ機構27、第1変速ギヤ機構28、第2回転軸3
及び第1クラッチ43を介して第1回転軸2に伝達され
る。
一方、逆に、コンバインを後進させるときには、上記
第1クラッチ43はOFF状態にして、第1及び第2回転軸
2,3同士の連結を切り離し、第2クラッチ44をON作動さ
せて第1及び第3の回転軸2,4間を連結する。この状態
では、第1回転軸2の回転は上記ニュートラル時と同様
にギヤ40,42、第2クラッチ44、第3回転軸4及び第2
伝動ギヤ機構39を入力して遊星歯車機構5のサンギヤ6
に伝達される。また、上記第3回転軸4に入力された回
転は第2変速ギヤ機構34、可変プーリ機構27、第1変速
ギヤ機構28、第2回転軸3及び第1伝動ギヤ機構36を介
して遊星歯車機構5のリングギヤ9に伝達され、この遊
星歯車機構5のリングギヤ9及びサンギヤ6は互いに逆
向きに回転する。さらに、上記可変プーリ機構27の第1
及び第2プーリ10,11における可動シーブ14が第2固定
シーブ13側(図で右側)に近付けられ、第2プーリ11の
半径が第1プーリ10よりも大きくなるとともに、第1ベ
ルト25の第2回転軸3側への移行により第3プーリ17の
半径が第1プーリ10よりも大きくなり、かつ第2ベルト
26の第1回転軸2側への移行により第4プーリ21の半径
が第2プーリ11よりも小さくなり、上記前進時とは反対
に第4プーリ21の回転が減速されて第3プーリ17に伝達
される。この回転の減速により上記遊星歯車機構5のリ
ングギヤ9の回転数が変化して、サンギヤ6とリングギ
ヤ9との間で上記ニュートラル状態から上記前進時とは
逆方向の相対的な回転差が生じ、この回転差により各ピ
ニオン7が回転しながらピニオンキャリア8が第1回転
軸2回りを上記前進時とは逆方向に回転し、このピニオ
ンキャリア8の回転により駆動車輪等が後進方向に回転
してコンバインが後進する。そして、上記第3及び第4
回転プーリ17,21間の変速比を可変調整することによ
り、上記サンギヤ6とリングギヤ9のと回転差を増減変
化させることができ、このことによってコンバインの後
進速度を増減変更することができる。
その際、上記遊星歯車機構5のピニオンキャリア8
(出力部)の回転に伴い、上記前進時と同様に遊星歯車
機構5から動力が第1回転軸2に戻る動力循環が生じ、
遊星歯車機構5のサンギヤ6に伝達される回転に比べリ
ングギヤ9に伝達される回転が可変プーリ機構27によっ
て減速される。このことで、第1回転軸2に第2伝動ギ
ヤ機構39のみを介して駆動連結されているサンギヤ6の
回転周速度が、第1回転軸2に第1伝動ギヤ機構36及び
可変プーリ機構27の双方を介して駆動連結されているリ
ングギヤ9よりも速くなり、遊星歯車機構5から第1回
転軸2(入力軸)に戻る循環動力は、第2伝動ギヤ機構
39側を通らず、遊星歯車機構5のリングギヤ9から第1
伝動ギヤ機構36、第2回転軸3、第1変速ギヤ機構28、
可変プーリ機構27、第2変速ギヤ機構34、第3回転軸4
及び第2クラッチ44を介して第1回転軸2に伝達され
る。
したがって、上記の如く、コンバインの前進及び後進
のいずれの状態であっても、循環動力は常に可変プーリ
機構27を伝達されることとなり、その分、可変プーリ機
構27における両ベルト25,26の伝動負荷が小さくて済
み、よってベルト25,26のスリップを確実に抑制するこ
とができる。
また、可変プーリ機構27が第3及び第4プーリ17,21
間に2連プーリからなる第1及び第2プーリ10,11を介
在させたものであるので、前進時における第3プーリ17
からの第4プーリ21への回転の減速範囲及び後進時にお
ける第4プーリ21からの第3プーリ17への回転の減速範
囲を大きくすることができ、遊星歯車機構5のリングギ
ヤ9とサンギヤ6との回転差の範囲を拡大して、そのピ
ニオンキャリア8の回転数、換言するとコンバインの前
進時又は後進時の最高速度を上昇させることができる。
さらに、上記第2回転軸3と可変プーリ機構27とが、
第2回転軸3の回転を2倍に増速して可変プーリ機構27
に伝達する第1変速ギヤ機構28により連結され、第3回
転軸4と可変プーリ機構27とは第3回転軸4の回転を2
倍に増速して可変プーリ機構27に伝達する第2変速ギヤ
機構34により連結されているので、前進時及び後進時の
いずれの状態でも、可変プーリ機構27に入力される負荷
トルクを低減することができ、そのベルト25,26の伝動
負荷を低減して、ベルト25,26のスリップをより一層効
果的に抑制することができる。
尚、上記実施例では、可変プーリ機構27における第1
及び第2プーリ10,11を第1回転軸2上に回転自在に支
持しているが、第1〜第3回転軸2〜4以外でそれらと
平行な支持軸上に支持してもよい。すなわち、第2図〜
第5図は本発明の他の実施例を示す(尚、第1図と同じ
部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略
する)。この実施例では、第1及び第2プーリ10′,1
1′の可動シーブ14′を駆動して可変プーリ機構27′を
変速操作するための変速操作機構について併せて説明す
る。
第2図において、47は回転自在に支持された回転軸
で、該回転軸47には第1及び第2プーリ10′,11′が回
転一体に取り付けられている。この両プーリ10′,11′
は、キー48,48により回転軸47に回転一体に固定された
第1及び第2の固定シーブ12′,13′と、該両固定シー
ブ12′,13′間の回転軸47に摺動可能にかつ回転一体に
支持された可動シーブ14′とからなり、この可動シーブ
14′のボス部14a′には円周方向に等間隔で配置される
複数のロッド部14b′,14b′,…が一体形成され、この
各ロッド部14b′は第2固定シーブ13′のボス部13a′を
摺動可能に貫通してその背面側に延び、その端部はベア
リング49を介してカム機構50に軸方向に移動一体に連結
されている。このカム機構50は回転軸47と同心状に配置
されかつケース1に移動不能に固定された円筒状のカム
51を有し、このカム51の外周には第3図に示す如くカム
51の円周方向に向かって軸方向に傾斜するカム孔52が貫
通形成され、このカム孔52にはカムフォロワ53が摺動可
能に嵌装され、このカムフォロワ53にはベアリング49を
介して上記可動シーブ14′のロッド部14b′,14b′,…
が移動一体に連結されている。また、上記カムフォロワ
53には回動レバー54が回動一体に接合されており、この
回転レバー54の回動により、カムフォロワ53を回転軸47
回りに回動させながらそのカム51のカム孔52での摺動に
より軸方向に移動させ、このカムフォロワ53の移動によ
り可動シーブ14′を摺動させるようになされている。
尚、第2図の上半部は前進高速状態を、下半部は後進高
速状態をそれぞれ示している。
上記回動レバー54の先端には回動方向に沿う面と直角
に突出する連結ピン55が形成され、第4図に示すよう
に、この連結ピン55にはカム操作リンク56の一端が連結
され、該リンク56の他端は、上端に操作部57aを有しか
つ軸58を支点として回動操作される操作レバー57の下部
回動端にピン結合されており、操作レバー57を回動操作
して回動レバー54を回動させることにより、変速装置A
を前進状態、ニュートラル状態又は後進状態に切り換え
るようになされている。
そして、第5図に拡大詳示するように、カム操作リン
ク56の一端にはその移動方向に長い長孔59が形成され、
その長孔59に回動レバー54先端の連結ピン55が所定距離
だけ摺動可能に嵌合されており、この連結構造により、
操作レバー57に遊び(ガタ)をもたせるようにしてい
る。
したがって、この実施例においては、変速装置Aのニ
ュートラル状態で第1及び第2クラッチ43,44が共にON
作動するとともに、操作レバー57がニュートラル位置に
切り換えられて、可変プーリ機構27′の変速比1にな
る。この場合、仮に、前進状態からニュートラル状態に
切り換えられたとすると、第1及び第2プーリ10′,1
1′の可動シーブ14′は、上記操作レバー57の遊びの分
だけ真のニュートラル位置よりも前進側で停止すること
となる。その状態で、両クラッチ43,44がON作動する
と、第3及び第4プーリ17,21が共に「入力プーリ」と
なり、第1及び第2ベルト25,26が引き合う状態とな
る。すなわち、第1及び第2プーリ10′,11′に与える
推力のバランスが狂い、その推力バランスが平衡する位
置まで可動シーブ14′が軸方向に移動する。例えば、前
進状態からの切換え時には第1プーリ10′の径が第2プ
ーリ11′よりも大きくなるので、入力トルクは同じでも
第1ベルト25のトルクが大きくなり、可動シーブ14′が
第2固定シーブ13′側に移動する。このときの推力バラ
ンスのとれる位置が真のニュートラル位置となり、この
位置まで可動シーブ14′が移動すると、両ベルト25,26
には負荷(動力)がかからなくなって走行するのみとな
る。以上により、変速装置Aのニュートラル状態を迅速
かつ確実に確保でき、しかもニュートラル位置の幅を自
由に設定できる利点がある。また、このため、クラッチ
43,44として機械作動式のものや電気作動式のものを支
障なく採用することが可能となる。
尚、上記実施例では、差動ギヤ機構として遊星歯車機
構5を用いたが、デフケース及び1対のベベルギヤから
なるサイドギヤをそれぞれ3つのギヤ要素とするベベル
ギヤ機構(傘歯車機構)を採用してもよく、上記実施例
と同様の作用効果を奏することができる。
また、上記実施例の如く、2連プーリからなる第1及
び第2プーリ10,11を使用せず、第2及び第3回転軸3,4
上の可変プーリを直接ベルトにより連結するようにして
もよい。また、プーリを全て可変プーリとする必要はな
く、ベルトが掛けられる一方のプーリを固定プーリとす
ることも可能である。
(発明の効果) 以上説明したように、請求項(1)に係る発明によれ
ば、第1〜第3の回転軸と、第1回転軸上に支持され、
第1ギヤ要素が出力部とされた差動ギヤ機構と、第2及
び第3回転軸同士をベルトによって変速可変に駆動連結
する可変プーリ機構と、上記第2回転軸と差動ギヤ機構
における第2のギヤ要素とを連結する第1伝動ギヤ機構
と、上記第3回転軸と差動ギヤ機構における第3のギヤ
要素とを連結する第2伝動ギヤ機構とを設け、前進及び
後進の切換えに応じて上記第1回転軸と第2及び第3回
転軸とを軸断続機構により交互に連結又は連結遮断する
とともに、差動ギヤ機構の可変プーリ機構に駆動連結さ
れるギヤ要素の回転周速度が可変プーリに駆動連結され
ないギヤ要素よりも常に低くなるようにしたことによ
り、第1回転軸から差動ギヤ機構に伝達される大きな駆
動動力は伝動ギヤ機構を経由し、差動ギヤ機構から第1
回転軸に戻る低い循環動力にあっては常に可変プーリ機
構を経由させることができ、よって、差動ギヤ機構の利
用によりニュートラル状態の確保を容易として、無段変
速装置のコンパクト化を図る場合においても、可変プー
リ機構のベルトの伝動負荷を低減させてそのスリップを
抑制することができるものである。
また、請求項(2)に係る発明によると、上記可変プ
ーリ機構を、2連プーリからなる第1及び第2プーリ
と、第2回転軸上の第3プーリと、第3回転軸上の第3
プーリと、第1及び第3プーリ間に巻き掛けられた第1
ベルトと、第2及び第4プーリ間に巻き掛けられた第2
ベルトとで構成すると、第2及び第3回転軸間の変速比
を大きく設定でき、変速装置の変速幅を拡大することが
できる。
さらに、請求項(3)に係る発明によれば、第2回転
軸と可変プーリ機構とを第2回転軸の回転を増速して可
変プーリ機構に伝達する第1変速ギヤ機構により連結
し、第3回転軸と可変プーリ機構とは第3回転軸の回転
を増速して可変プーリ機構に伝達する第2変速ギヤ機構
により連結する構成とすると、前進時及び後進時にいず
れであっても、可変プーリ機構に入力される負荷トルク
を低減することができ、そのベルトの伝動負荷を低減し
てベルトのスリップをより一層効果的に抑制することが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す無段変速装置のスケルト
ン図である。第2図〜第5図は本発明の他の実施例を示
し、第2図は要部拡大断面図、第3図はカムの側面図、
第4図は変速操作機構を模式的に示す正面図、第5図は
カム操作リンクと回動レバーとの連結構造を拡大して示
す正面図である。第6図は本発明に至る途中の提案例を
示すスケルトン図、第7図はその提案例についての試験
装置を概略的に示す正面図である。 A……無段変速装置、2……第1回転軸、3……第2回
転軸、4……第3回転軸、5……遊星歯車機構(差動ギ
ヤ機構)、6……サンギヤ(第3ギヤ要素)、8……ピ
ニオンキャリア(第1ギヤ要素)、9……リングギヤ
(第2ギヤ要素)、10,10′……第1プーリ、11,11′…
…第2プーリ、17……第3プーリ、21……第4プーリ、
12,12′,13,13′,18,22……固定シーブ、14,14′,19,23
……可動シーブ、15,16,20,24……ベルト溝、27,27′…
…可変プーリ機構、28……第1変速ギヤ機構、34……第
2変速ギヤ機構、36……第1伝動ギヤ機構、39……第2
伝動ギヤ機構、40〜42……ギヤ、43……第1クラッチ、
44……第2クラッチ。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−34058(JP,A) 特開 昭59−175666(JP,A) 特開 昭62−292956(JP,A) 特開 昭59−164448(JP,A) 特開 昭62−118159(JP,A) 特開 昭59−110954(JP,A) 実開 昭61−50852(JP,U) 実開 昭62−35143(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H16H 9/16 H16H 37/02 H16H 37/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに平行に配置された第1〜第3の3つ
    の回転軸と、 上記第1回転軸上に回転自在に支持され、第1〜第3の
    3つのギヤ要素のうち第1のギヤ要素が出力部とされた
    差動ギヤ機構と、 上記第2回転軸と第3回転軸とをベルトによって変速可
    能に駆動連結する可変プーリ機構と、 上記第2回転軸と差動ギヤ機構における第2のギヤ要素
    とを連結する第1伝動ギヤ機構と、 上記第3回転軸と差動ギヤ機構における第3のギヤ要素
    とを連結する第2伝動ギヤ機構と、 上記第1回転軸と第2回転軸との間を連結状態又は連結
    遮断状態に切り換える第1軸断続機構と、 上記第1回転軸と第3回転軸との間を連結状態又は連結
    遮断状態に切り換える第2軸断続機構とを備えてなり、 上記両軸断続機構の切換えにより、差動ギヤ機構の第1
    ギヤ要素の回転方向を切り換えるとともに、第1又は第
    2軸断続機構のいずれか一方の連結状態によって第1回
    転軸にギヤ機構を介して駆動連結される第2又は第3回
    転軸の一方に伝動ギヤ機構のみを介して駆動連結される
    差動ギヤ機構のギヤ要素の回転周速度が、同回転軸に伝
    動ギヤ機構、他方の回転軸及び可変プーリ機構の双方を
    介して駆動連結されるギヤ要素の回転周速度よりも常に
    高くて、上記可変プーリ機構に循環動力が伝達されるよ
    うに構成されていることを特徴とする無段変速装置。
  2. 【請求項2】可変プーリ機構は、 回転自在に設けられ、かつ互いに対峙して配置された1
    対の固定シーブと、該両固定シーブ間において各固定シ
    ーブに対し接離可能にかつ上記両固定シーブとの間にそ
    れぞれ2つのベルト溝が形成されるように支持された1
    つの可動シーブとを備え、可動シーブの軸方向の移動に
    より両ベルト溝の半径を互いに相反する方向に可変とし
    た2連プーリからなる第1及び第2プーリと、 上記第2回転軸に上記第1プーリに対応して回転可能に
    支持され、かつ固定シーブと、該固定シーブに対して接
    離可能にかつ固定シーブとの間にベルト溝が形成される
    ように設けられた可動シーブとを備え、可動シーブの軸
    方向の移動によりベルト溝の半径を可変とした第3プー
    リと、 上記第3回転軸に上記第2プーリに対応して回転可能に
    支持され、かつ固定シーブと、該固定シーブに対して接
    離可能にかつ固定シーブとの間にベルト溝が形成される
    ように設けられた可動シーブとを備え、可動シーブの軸
    方向の移動によりベルト溝の半径を可変とした第4プー
    リと、 上記第1プーリと第3プーリとのベルト溝間、及び上記
    第2プーリと第4プーリとのベルト溝間にそれぞれ巻き
    掛けられたVベルトからなる第1及び第2ベルトとを備
    えたものである請求項(1)記載の無段変速装置。
  3. 【請求項3】第2回転軸と可変プーリ機構とは第2回転
    軸の回転を所定のギヤ比で増速して可変プーリ機構に伝
    達する第1変速ギヤ機構により連結され、 第3回転軸と可変プーリ機構とは第3回転軸の回転を所
    定のギヤ比で増速して可変プーリ機構に伝達する第2変
    速ギヤ機構により連結されている請求項(1)又は
    (2)記載の無段変速装置。
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JP3046149B2 (ja) * 1992-07-27 2000-05-29 バンドー化学株式会社 無段変速装置

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JPH01320371A (ja) 1989-12-26

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