JP3921147B2 - パワースプリット型無段変速装置 - Google Patents

パワースプリット型無段変速装置 Download PDF

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  • Transmissions By Endless Flexible Members (AREA)
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  • Transmission Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車用の変速機として用いるパワースプリット型無段変速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば自動車用変速機として用いるパワースプリット型無段変速装置は、例えば、特開平11−63147号公報で知られている。このパワースプリット型無段変速装置は、入力軸と、入力ディスクと出力ディスクとの間にパワーローラが傾転自在に配接されたダブルキャビティ式トロイダル型バリエータと、バリエータの出力を2自由度を有する遊星歯車機構にカウンタ軸等を用いて伝達する動力伝達機構と、入力軸よりバイパスして直接2自由度を有する遊星歯車機構に伝達するバイパス軸と、出力軸と、を備えている。
【0003】
すなわち、2自由度を有する遊星歯車機構をインターロックする事により、カウンタ軸が出力軸に直接動力を伝達する第1のモード(前進低速モード)を得ている。
【0004】
また、この第1のモードにおいて、2自由度を有する遊星歯車機構のインターロックを解除することにより、遊星歯車機構からバリエータに動力循環した動力が入力動力と合算されてバイパス軸を経て遊星歯車機構に流入し、出力軸には流入した動力と動力循環した動力の差が出力動力として出力される第2のモード(前進高速モード)を得ている。
【0005】
上記第2のモードにおいては、前記特開平11−63147号公報の図2に示すごとく、高速走行時にバリエータに入力される動力を小さくして、このバリエータの構成部品の耐久性向上が図れると共に、伝達効率の向上が図れる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記例で示したパワースプリット型無段変速装置では、第2のモードにおいてはバリエータを通過する動力は入力動力に比し小さくなるが、第1のモードにおいてはバリエータを通過する動力は入力動力と等しく、その結果、バリエータの小型化や第1のモードにおける伝達効率の向上には貢献しないと言う欠点がある。
【0007】
前記の問題点を解決する手段として、VDI Berichte Nr.1565、2000、P.256のBild20に記載のトロイダル型バリエータを用いたパワースプリット型変速機が提案されている。この提案においては全てのモードにおいて動力分流が行われるため、全てのモードにおいて伝達効率の向上が図れるだけでなく、バリエータの小型化が達成できる。しかしながら、カウンタ軸の本数が多く、装置全体としての設置スペースの増大が避けられないと言う欠点がある。
【0008】
この発明は、前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、装置全体を小型化し、かつ全モードにおいて伝達効率の向上が図れるパワースプリット型無段変速装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、原動機により駆動される入力軸と、この入力軸に基づく動力を出力する出力軸と、第1回転要素、第2回転要素及び第3回転要素とから構成され、前記入力軸に第1回転要素が連結し、動力を前記第2回転要素及び前記第3回転要素へ分流する差動歯車機構と、該差動歯車機構の第2回転要素に連結し、無段変速機構を有する第1動力伝達装置と、前記差動歯車機構の第3回転要素に連結し、分流された動力を伝達する第2動力伝達装置と、互いに噛合するギヤを有する動力伝達機構を含み、前記第1動力伝達装置の出力と前記第2動力伝達装置の出力を合流させ、前記出力軸に伝達する第3動力伝達装置と、前記第3回転要素へ分流して前記第2動力伝達装置を経由した動力が、前記第2回転要素へ分流して前記第1動力伝達装置を経由した動力と合流し、前記第3動力伝達装置のギヤを経由して前記出力軸に伝達する第1前進走行モードと、前記第3回転要素へ分流して前記第2動力伝達装置を経由しさらに前記第1動力伝達装置を経由した動力が、前記第2回転要素へ分流した動力と合流して、前記第3動力伝達装置のギヤを経由することなく前記出力軸に伝達する第2前進走行モードと、前記第3回転要素へ分流して前記第2動力伝達装置を経由した動力が、前記第2回転要素へ分流して前記第1動力伝達装置を経由した動力と合流して、前記第3動力伝達装置内に設けられた遊星歯車機構と、クラッチと、ブレーキとから成る逆転機構で逆転して、前記出力軸に伝達する後進モードと、を有する変速制御装置と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の各実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1はパワースプリット型無段変速装置の系統図を示す。
【0011】
エンジンE(原動機)に連結された動力伝達軸1はトルクコンバータ等の発進装置2を経てタービン軸3(入力軸)、第1遊星歯車機構17(差動歯車機構)のキャリア17c(第1回転要素)に連結されている。このキャリア17cに伝達された動力は第1遊星歯車機構17のサンギヤ17a(第2回転要素)に一部が伝達され、残りの動力がリングギヤ17d(第3回転要素)に伝達される。すなわち、第1遊星歯車機構17は動力分流機構として作用する。
【0012】
サンギヤ17aに伝達された動力は、タービン軸3に対して同軸上に配置したバリエータ入力軸4を経て機械式ローディング機構12に伝達される。この機械式ローディング機構12を介してダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22に動力が伝達されるようになっている。
【0013】
ダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22には、バリエータ入力軸4と連動して回転する入力ディスク連結軸6にて連結し、互いに対向する一対の入力ディスク5が設けられている。この一対の入力ディスク5の間にはバリエータ入力軸4に対し遊嵌状態の一対の出力ディスク7が同軸的に配置され互いに同期して回転するようになっている。
【0014】
入力ディスク5と出力ディスク7との間には傾転自在に転接された複数のパワーローラ8が設けられている。一対の入力ディスク5はバリエータ入力軸4に対し遊嵌する入力ディスク連結軸6を介して連結されている。
【0015】
出力ディスク7は、第1動力伝達機構10の第1ギヤ10aに結合しており、出力ディスク7の動力は、第1ギヤ10a、第2ギヤ10b、第3ギヤ10cからなる第1動力伝達機構10を介して伝達される。
【0016】
一方、第1遊星歯車機構17のリングギヤ17dは、第2動力伝達機構9の第4ギヤ9aに結合しており、リングギヤの動力は、第4ギヤ9a及び第5ギヤ9bで構成される第2動力伝達機構9を介して、タービン軸3に並行に配置された第1カウンタ軸20に伝達される。
【0017】
更に、第1カウンタ軸20は、これと同軸に配置された第2カウンタ軸21に結合しており、この第2カウンタ軸21は、第1動力伝達機構10の第3ギヤ10cにも結合しており、その結果、第1動力伝達装置を経由した動力と第2動力伝達装置を経由した動力とが第2カウンタ軸21にて合流する。そして、この第1カウンタ軸21の端部には第2遊星歯車機構18が配置されている。
【0018】
第2遊星歯車機構18について説明すると、第2遊星歯車機構18はいわゆるダブルピニオン型遊星歯車で、サンギヤ18aと、これに噛合する複数のプラネタリギヤ18bと、各プラネタリギヤを連結するキャリア18cと、プラネタリギヤ18bに噛合するリングギヤ18dとを備えている。キャリア18cは第2カウンタ軸21を経て第1カウンタ軸20に連結しており、サンギヤ18aは、第6ギヤ11bに結合する第3カウンタ軸11aに連結されている。さらに、リングギヤ18dと遊星歯車機構18のハウジングとの間にはリングギヤ18dの回転を許容および拘束する後進ブレーキ16が設けられている。また、第2遊星歯車機構18のインターロックを許容および非許容とする前進低速モードクラッチ14が設けられている。そして、この第2遊星歯車機構18と後進ブレーキ16と前進低速モードクラッチ14とで逆転機構を構成している。
【0019】
一方、第3動力伝達機構11の第6ギヤ11bは、第3動力伝達機構11の出力軸11dを有する第7ギヤ11cに噛み合っており、この第3動力伝達機構の出力軸11dは、パワースプリット型無段変速装置の出力軸19(出力軸)に連結している。
【0020】
さらに、ダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22の入力ディスク連結軸6の端部は、バイパス軸13に連結しており、このバイパス軸13と第3動力伝達機構11との間には、バイパス軸13の動力を第3動力伝達機構11の出力軸11dを介して、パワースプリット型無段変速装置の出力軸19への伝達を許容および非許容とすることが可能な前進高速モードクラッチ15が設けられている。
【0021】
さらに、このパワースプリット型無段変速装置は、例えば、入力トルクやエンジン負荷と、車速と、タービン軸回転数などから、表1の締結表に示すように、前進低速モード(第1前進走行モード)、前進高速モード(第2前進走行モード)及び後進モードを決定して、前進低速モードクラッチ14、前進高速モードクラッチ15、後進ブレーキ16の締結解放を制御するとともに、ダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22の変速比を制御する制御装置40を有する。なお表中の○は締結、×は解放を表している。
【0022】
【表1】
Figure 0003921147
【0023】
そして、例えば、バリエータ変速比(無段変速機構18の変速比)、第1遊星歯車の歯数比(サンギヤ17a/リングギヤ17d)、第2遊星歯車の歯数比(サンギヤ18a/リングギヤ18d)、第1動力伝達機構10の減速比(第1ギヤ10a/第3ギヤ10c)、第2動力伝達機構9の減速比(第4ギヤ9a/第5ギヤ9b)、第3動力伝達機構11の減速比(第6ギヤ11b/第7ギヤ11c)、分流比(バリエータ側への動力/第1カウンタ軸側への動力)を、例えば、表2のように設定することで、変速装置の変速比も3.54〜0.57を得ることができ、自動車用の変速装置として適切な変速比を得ることができる。
【0024】
【表2】
Figure 0003921147
【0025】
なお、バリエータ入力軸4、機械式ローディング機構12及びダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22が無段変速機構30を構成し、この無段変速機構30とバイパス軸13と第1動力伝達機構10とで第1動力伝達装置を構成している。また、第2動力伝達機構9と第1カウンタ軸20とで第2動力伝達装置を構成している。そして、前進低速クラッチ14、前進高速クラッチ15、後進ブレーキ16、第2カウンタ軸21、逆転機構、第3動力伝達機構11とで第3動力伝達装置を構成している。
【0026】
次に、前述した第1の実施形態の動作を説明する。
【0027】
今、バリエータ入力軸3が停止しており、かつダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22が最大減速位置にあると共に、前進高速モードクラッチ15と後進ブレーキ18が解放状態に、前進低速モードクラッチ14が締結状態にある。この状態で、発進装置2が作動しタービン軸3を所定方向に回転開始させると、このタービン軸3の回転に伴って、第1遊星歯車機構17のキャリア17cがタービン軸3と同方向に同一回転速度で回転する。そのとき、キャリア17cの動力は第1遊星歯車機構17のサンギヤ17aおよびリングギヤ17dの各々に分流し伝達される。サンギヤ17aに分流された動力は、ダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22、すなわち、入力ディスク5、パワーローラ8、出力ディスク7を経て、第1動力伝達機構10、第2カウンタ軸21に伝達される。一方、リングギヤ17dに分流された動力は第2動力伝達機構9、第1カウンタ軸20を経て、第2カウンタ軸21に伝達される。第2カウンタ軸21にて合流された動力は第3動力伝達機構11を経て、パワースプリット型変速装置の出力軸19に所定方向の回転でかつ入力軸1よりも低速回転が伝達され、その結果前進低速モードが得られる。
【0028】
そして、前進低速モードを維持しながらダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22を増速側に変速させると、出力軸19の回転速度が増加し、パワースプリット型無段変速装置の速度比が増加する。
【0029】
次に、前進高速クラッチ15を締結して前進低速クラッチ14と後進ブレーキ15を解放すると、ダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22を通過する動力の伝達方向が前進低速モードと逆になる。すなわち、前進低速モードと同じく、キャリア17cの動力は第1遊星歯車機構17のサンギヤ17aおよびリングギヤ17dの各々に分流し伝達されるが、リングギヤ17dに分流された動力は、第2動力伝達機構9、第1カウンタ軸20、第1動力伝達機構10、ダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22、すなわち、出力ディスク7、パワーローラ8、入力ディスク5を経て、入力ディスク連結軸6に伝達される。一方、サンギヤ17aに分流された動力は、バリエータ入力軸4、機械式ローディング機構12を経て入力ディスク連結軸6に伝達される。入力ディスク連結軸6にて合流された動力はバイパス軸13、前進高速クラッチ15を経て出力軸19に伝達される前進高速モードが得られる。
【0030】
なお、前進低速モードから前進高速モードに切り替える時点において、前進低速モードにおける出力軸19の回転数と前進高速モードにおける出力軸19の回転数が同じになるように第3動力伝達機構11の減速比を設定している。
【0031】
そして、前進高速モードを維持しながらダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22を減速側、すなわち、出力ディスク7から入力ディスク5に対しては増速側に変速させると、入力ディスク5に連結された出力軸19の回転速度が増加し、パワースプリット型無段変速装置の速度比が増加する。
【0032】
次に、自動車を後退させる後進モードを達成するには、出力軸19を逆回転させる際には、前進低速クラッチ14と前進高速クラッチ15を解放し、後進ブレーキ16を締結する。その結果、前進低速モードの作動と同じように第1遊星歯車機構17で分流した動力は第2カウンタ軸21で合流し、この第2カウンタ軸21を経て、第2遊星歯車機構18により逆転され、この逆転された動力が第3動力伝達機構11を介して出力軸19に伝達される。
【0033】
前述した第1の実施形態によれば、第1遊星歯車機構17を動力分流機構として作用させ、かつ、クラッチやブレーキの締結要素の作用によりバリエータの動力の方向を切り替えることにより、前進低速モード、前進高速モード及び後進モードの全てのモードでバリエータを通過する動力を低減することができるようになり、バリエータの小型化を達成することができる。また、前進低速モードにおいても、動力の一部を第2動力伝動装置側へ分流させているため、前進低速モードにおける効率の向上を図ることができる。さらに、入力軸に並行配置された第2カウンタ軸21上に、遊星歯車と、クラッチと、ブレーキとからなる逆転機構を配置したことにより、カウンタ軸数の低減できる。とくに、大きな動力が伝達される前進低速モード及び後進モードでの動力伝達経路を第2カウンタ軸21に共通化したから、強度の必要な部材を最小限にすることができる。すなわち、バリエータの小型化と、カウンタ軸数の低減と、カウンタ軸の共通化とによって、コンパクトで低コストなパワースプリット型無段変速装置を提供できる。
【0034】
さらに、第2カウンタ軸21の後端で、かつ前記前進高速クラッチ15の垂直方向下側に前記逆転機構を配設することにより、無段変速装置の水平断面において後端部に沿って巾が狭くなる様なフロントエンジンリヤドライブの車両の搭載に好ましい形状が得られるという効果も達成できる。さらに、前進低速クラッチ14、前進高速クラッチ15及び後進ブレーキ16を後端側にまとめて配置したことで、作動油の油路の取り回しが容易になる。
【0035】
なお、第1実施の形態では、第1カウンタ軸20と第3ギヤ10cとが第2カウンタ軸21に結合する例を説明したが、これに限られるものではなく、第1カウンタ軸20に第3ギヤ10cが結合し、第1カウンタ軸20が第2カウンタ軸21に結合する構造であったり、更には、一体で成形されたカウンタ軸に第3ギヤ10cと第5ギヤ9bとが結合するような構造であってもよいことは言うまでもない。また、動力伝達機構としてギヤを使った例を示したが、動力を伝達できる機構であればよく、ギヤのかわりに、例えば、チェーンやベルトなどを使った機構でもよい。
【0036】
(第2実施形態)
図2は第2の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明する。
【0037】
図2はパワースプリット型無段変速装置の系統図を示す。エンジンE(原動機)に連結された動力伝達軸1は、トルクコンバータ等の発進装置2を経てタービン軸3(入力軸)、第1遊星歯車機構17(差動歯車機構)のキャリア17c(第1回転要素)に連結されている。このキャリア17cに伝達された動力は第1遊星歯車機構17のサンギヤ17a(第2回転要素)に一部が伝達され、残りの動力がリングギヤ17d(第3回転要素)に伝達される。すなわち、第1遊星歯車機構17は動力分流機構として作用する。
【0038】
サンギヤ17aに伝達された動力は、第8ギヤ190aと第9ギヤ190bとから成る第4動力伝達機構190、タービン軸3に対して並行配置したバリエータ入力軸4を経て機械式ローディング機構12に伝達される。この機械式ローディング機構12を介してダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22に動力が伝達されるようになっている。
【0039】
ダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22には、バリエータ入力軸4と連動して回転する入力ディスク連結軸6にて連結し、互いに対向する一対の入力ディスク5が設けられている。この一対の入力ディスク5の間にはバリエータ入力軸4に対し遊嵌状態の一対の出力ディスク7が同軸的に配置され互いに同期して回転するようになっている。
【0040】
入力ディスク5と出力ディスク7との間には傾転自在に転接された複数のパワーローラ8が設けられている。一対の入力ディスク5はバリエータ入力軸4に対し遊嵌する入力ディスク連結軸6を介して連結されている。
【0041】
出力ディスク7は第1動力伝達機構10の第1ギヤ10aに結合しており、出力ディスク7の動力は、第1ギヤ10a、第2ギヤ10b、第3ギヤ10cからなる第1動力伝達機構10を介して伝達される。
【0042】
一方、第1遊星歯車機構17のリングギヤ17dは、タービン軸3に対して同軸上に配置された第1カウンタ軸20に結合しており、リングギヤ17dの動力は、第1カウンタ軸20に伝達される。
【0043】
更に、第1カウンタ軸20は、これと同軸に配置された第2カウンタ軸21に結合しており、この第2カウンタ軸21は、第1動力伝達機構10の第3ギヤ10cにも結合しており、その結果、第1動力伝達装置を経由した動力と第2動力伝達装置を経由した動力とが第2カウンタ軸21にて合流する。そして、この第2カウンタ軸21には第2遊星機構18(遊星歯車機構)が配置されている。
【0044】
第2遊星歯車機構18について説明すると、第2遊星歯車機構18はいわゆるダブルピニオン型遊星歯車で、サンギヤ18aと、これに噛合する複数のプラネタリギヤ18bと、各プラネタリギヤを連結するキャリア18cと、プラネタリギヤ18bに噛合するリングギヤ18dとを備えている。キャリア18cは第2カウンタ軸21を経て第1カウンタ軸20に連結しており、サンギヤ18aは、第3カウンタ軸24を介して出力軸である出力ギヤ19に連結されている。さらに、リングギヤ18dと遊星歯車機構18のハウジングとの間にはリングギヤ18dの回転を許容および拘束する後進ブレーキ16が設けられている。また、第2遊星歯車機構18のインターロックを許容および非許容とする前進低速モードクラッチ14が設けられている。そして、この第2遊星歯車機構18と後進ブレーキ16と前進低速モードクラッチ14とで逆転機構を構成している。
【0045】
一方、出力軸である出力ギヤ19は、デファレンシャルギヤ124と噛み合う第10ギヤ125と噛み合っており、出力ギヤ19の動力は、左右のドライブシャフト123に伝達される。
【0046】
また、ダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22の入力ディスク連結軸6は、端部でバイパス軸13に連結している。さらに、このバイパス軸13の端部には、第11ギヤ111a及び第12ギヤ111bから成る第5動力伝達機構110が設けられており、この第5動力伝達機構110と第3カウンタ軸126との間には、バイパス軸13からパワースプリット型無段変速装置の出力ギヤ19への動力伝達を許容および非許容とする前進高速モードクラッチ15が設けられている。
【0047】
さらに、このパワースプリット型無段変速装置は、例えば、入力トルクやエンジン負荷と、車速と、タービン軸回転数などから、表1に示すように、前進低速モード(第1前進走行モード)、前進高速モード(第2前進走行モード)及び後進モードを決定して、前進低速モードクラッチ14、前進高速モードクラッチ15、後進ブレーキ16の締結解放を制御するとともに、ダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22の変速比を制御する制御装置30を有する。
【0048】
なお、バリエータ入力軸4、機械式ローディング機構12及びダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22が無段変速機構30を構成し、この無段変速機構30、第4動力伝達機構190、第1動力伝達機構10及びバイパス軸13とで第1動力伝達装置を構成する。そして、第1カウンタ軸20が第2動力伝達装置20を構成し、前進低速クラッチ14、前進高速クラッチ15、後進ブレーキ16、第2カウンタ軸21、逆転機構、第3カウンタ軸124及び第5動力伝達機構110とで第3動力伝達装置を構成している。
【0049】
次に、前述した第2の実施形態の動作を説明する。
【0050】
バリエータ入力軸3が停止しており、かつダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22が最大減速位置にあると共に、前進高速モードクラッチ15と後進ブレーキ18が解放状態に、前進低速モードクラッチ14が締結状態にある。この状態で、発進装置2が作動しタービン軸3を所定方向に回転開始させると、このタービン軸3の回転に伴って、第1遊星歯車機構17のキャリア17cがタービン軸3と同方向に同一回転速度で回転する。そのとき、キャリア17cの動力は第1遊星歯車機構17のサンギヤ17aおよびリングギヤ17dの各々に分流し伝達される。サンギヤ17aに分流された動力は、第4の動力伝達機構190およびダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22、すなわち、入力ディスク5、パワーローラ8、出力ディスク7を経て、第1動力伝達機構10、第2カウンタ軸21に伝達される。一方、リングギヤ17dに分流された動力は、第1カウンタ軸20に伝達される。第2カウンタ軸21にて合流された動力は、第2カウンタ軸および前進低速モードクラッチ14、第3カウンタ軸126を経て、出力軸である出力ギヤ19に所定方向の回転でかつ入力軸1よりも低速回転となるように伝達され、その結果、前進低速モードが得られる。
【0051】
そして、前進低速モードを維持しながらダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22を増速側に変速させると、出力軸である出力ギヤ19の回転速度が増加し、パワースプリット型無段変速機の速度比が増加する。
【0052】
次に、前進高速クラッチ15を締結して前進低速クラッチ14と後進ブレーキ15を解放すると、ダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22を通過する動力の伝達方向が前進低速モードと逆になる。すなわち、前進低速モードと同じく、キャリア17cの動力は第1遊星歯車機構17のサンギヤ17aおよびリングギヤ17dの各々に分流し伝達されるが、リングギヤ17dに分流された動力は、第1カウンタ軸20、ダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22、すなわち、出力ディスク7、パワーローラ8、入力ディスク5を経て、入力ディスク連結軸6に伝達される。一方、サンギヤ17aに分流された動力は第2動力伝達機構9、バリエータ入力軸4および機械式ローディング機構12を経て入力ディスク連結軸6に伝達される。入力ディスク連結軸6にて合流された動力は、バイパス軸13、第5動力伝達機構110、前進高速クラッチ15、第3カウンタ軸126を経て出力軸である出力ギヤ19に伝達され、その結果、前進高速モードが得られる。
【0053】
なお、前進低速モードから前進高速モードに切り替える時点において、前進低速モードにおける出力軸19の回転数と前進高速モードにおける出力軸19の回転数が同じになるように第5の動力伝達機構110の減速比を設定している。
【0054】
そして、前進高速モードを維持しながらダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22を減速側、すなわち、出力ディスク7から入力ディスク5に対しては増速側に変速させると、入力ディスク5に連結された出力軸である出力ギヤ19の回転速度が増加し、パワースプリット型無段変速装置の速度比が増加する。
【0055】
次に、自動車を後退させるべく、出力ギヤ19を逆回転させる際には、前進低速クラッチ14と前進高速クラッチ15を解放し、後進ブレーキ16を締結する。その結果、前進低速モードの作動と同じように第1遊星歯車17で分流した動力は第2カウンタ軸21で合流し、第2遊星歯車機構18により逆転される。この逆転された動力が出力ギヤ19に伝達され、その結果、後進モードが得られる。
【0056】
なお、出力軸である出力ギヤ19に伝達された動力は、デファレンシャルギヤ124を経てドライブシャフト123に伝達される。
【0057】
前述した第2の実施形態によれば、第1遊星歯車機構17を動力分流機構として作用させ、かつ、クラッチやブレーキの締結要素の作用によりバリエータの動力の方向を切り替えることにより、前進低速モード、前進高速モード及び後進モードの全てのモードでバリエータを通過する動力を低減することができるようになり、バリエータの小型化を達成することができる。また、前進低速モードにおいても、動力の一部を第2動力伝動装置側へ分流させているため、前進低速モードにおける効率の向上を図ることができる。さらに、入力軸に同軸配置された第2カウンタ軸21に、遊星歯車と、クラッチと、ブレーキとからなる逆転機構を配置したことにより、カウンタ軸数の低減できる。とくに、大きな動力が伝達される前進低速モード及び後進モードでの動力伝達経路を第2カウンタ21に共通化したから、強度の必要な部材を最小限にすることができる。その結果、バリエータの小型化と、カウンタ軸数の低減と、カウンタ軸の共通化とによって、コンパクトで低コストなパワースプリット型無段変速装置を提供できる。また、入力軸1とダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22の軸とを並行配置し、逆転機構及び高速クラッチをダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22に軸方向オーバラップ配置したため、パワースプリット型無段変速装置の全長が短縮でき、いわゆるフロントエンジンフロントドライブの車両への搭載性が優れる。
【0058】
なお、第2の実施の形態では、第1カウンタ軸20と第3ギヤ10cとが第2カウンタ軸21に結合する例を説明したが、これに限られるものではなく、第1カウンタ軸20に第3ギヤ10cが結合し、第1カウンタ軸20が第2カウンタ軸21に結合する構造であったり、更には、一体で成形されたカウンタ軸に第3ギヤ10cと第5ギヤ9bとが結合するような構造であってもよいことは言うまでもない。また、前進高速クラッチ15は、第5動力伝達機構110と第3カウンタ軸126との間に配置されているが、これに限るわけではなく、例えば、バイパス軸13と第5動力伝達機構110との間に配置してもよい。また、動力伝達機構としてギヤを使った例を示したが、動力を伝達できる機構であればよく、ギヤのかわりに、例えば、チェーンやベルトなどを使った機構でもよい。
【0059】
(第3実施形態)
図3は第3の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明する。
【0060】
図3はパワースプリット型無段変速装置の系統図を示す。エンジンE(原動機)に連結された入力軸1はトルクコンバータ等の発進装置2を経てタービン軸3(入力軸)、第1遊星歯車機構17(差動歯車機構)のキャリア17c(第1回転要素)に連結されている。このキャリア17cに伝達された動力は第1遊星歯車機構17のサンギヤ17a(第2回転要素)に一部が伝達され、残りの動力がリングギヤ17d(第3回転要素)に伝達される。すなわち、第1遊星歯車機構17は動力分流機構として作用する。
【0061】
サンギヤ17aに伝達された動力は、バリエータ入力軸4を経てベルト型バリエータ222に動力が伝達されるようになっている。
【0062】
ベルト型バリエータ222には、バリエータ入力軸4と連動して回転する駆動プーリ205が設けられている。更に、この駆動プーリ205に対向して従動プーリ207が並行軸的に配置され互いに同期して回転するようになっている。
【0063】
駆動プーリ205と従動プーリ207との間には、Vベルト208が設けられており、駆動プーリ205のV形状の溝間隔を狭め、従動プーリ207のV形状の溝間隔を広めることにより増速、逆に、駆動プーリ205のV形状の溝間隔を広め、逆に従動プーリ207のV形状の溝間隔を狭めることにより減速が得られる。
【0064】
一方、第1遊星歯車機構17のリングギヤ17dは、第2動力伝達機構9の第4ギヤ9aに結合しており、リングギヤ17dの動力は、第4ギヤ9a、第13ギヤ9c及び第5ギヤ9bで構成される第2動力伝達機構9を介して、タービン軸3に並行配置された第1カウンタ軸20に伝達される。
【0065】
従動プーリ207と第1カウンタ軸20は、第2カウンタ軸21に連結しており、この第2カウンタ軸の端部には、第2遊星機構18が配置されている。
【0066】
第2遊星歯車機構18について説明すると、第2遊星歯車機構18はいわゆるダブルピニオン型遊星歯車で、サンギヤ18aと、これに噛合する複数のプラネタリギヤ18bと、各プラネタリギヤを連結するキャリア18cと、プラネタリギヤ18bに噛合するリングギヤ18dとを備えている。キャリア18cは、第2カウンタ軸21を経て第1カウンタ軸20に連結しており、サンギヤ18aは、出力軸である出力ギヤ19に結合し、第2カウンタ軸21と同軸上に設けられた第3動力伝達機構11の第3カウンタ軸126に連結されている。さらに、リングギヤ18dと遊星歯車機構18のハウジングとの間にはリングギヤ18dの回転を許容および拘束する後進ブレーキ16が設けられている。また、第3カウンタ軸126とリングギヤ18dとの間には、第2遊星歯車機構18のインターロックを許容および非許容とする前進低速モードクラッチ14が設けられている。そして、この第2遊星歯車機構18と後進ブレーキ16と前進低速モードクラッチ14とで逆転機構を構成している。
【0067】
さらに、出力軸である出力ギヤ19は、デファレンシャルギヤ124に噛み合う第10ギヤ125に噛み合っており、出力ギヤ19の動力は、左右のドライブシャフト123に伝達される。
【0068】
また、ベルト型バリエータ222のバリエータ入力軸4は、バイパス軸13にも連結されている。そして、このバイパス軸13の端部には、第11ギヤ111a、第14ギヤ111c及び第12ギヤ111bから成る第5動力伝達機構110が設けられており、この第5動力伝達機構110とバイパス軸124との間には、バイパス軸13からパワースプリット型無段変速装置の出力ギヤ19への動力伝達を許容および非許容とする前進高速モードクラッチ15が設けられている。
【0069】
さらに、このパワースプリット型無段変速装置は、例えば、入力トルクやエンジン負荷と、車速と、タービン軸回転数などから、表1に示すように、前進低速モード(第1前進走行モード)、前進高速モード(第2前進走行モード)及び後進モードを決定して、前進低速モードクラッチ14、前進高速モードクラッチ15、後進ブレーキ16の締結解放を制御するとともに、ベルト型バリエータ222の変速比を制御する制御装置30を有する。
【0070】
なお、バリエータ入力軸4、駆動プーリ205、従動プーリ207及びVベルト208が無段変速機構30し、この無段変速機構222及びバイパス軸13とで第1動力伝達装置10を構成し、第2動力伝達機構9と第1カウンタ軸20とで第2動力伝達装置を構成する。そして、前進低速クラッチ14、前進高速クラッチ15、後進ブレーキ16、第2カウンタ軸21、逆転機構、第3カウンタ軸124及び第5動力伝達機構110とで第3動力伝達装置を構成している。
【0071】
次に、前述した第3の実施形態の動作を説明する。
【0072】
今、バリエータ入力軸3が停止しており、かつベルト型バリエータ222が最大減速位置にあると共に、前進高速モードクラッチ15と後進ブレーキ18が解放状態に、前進低速モードクラッチ14が締結状態にある。この状態で、発進装置2が作動しタービン軸3を所定方向に回転開始させると、このタービン軸3の回転に伴って、第1遊星歯車機構17のキャリア17cがタービン軸3と同方向に同一回転速度で回転する。そのとき、キャリア17cの動力は第1遊星歯車機構17のサンギヤ17aおよびリングギヤ17dの各々に分流し伝達される。サンギヤ17aに分流された動力は、ベルト型バリエータ222、すなわち、駆動プーリ205、Vベルト208、従動プーリ207を経て、第2カウンタ軸21に伝達される。一方、リングギヤ17dに分流された動力は、第2動力伝達機構9を経て、第2カウンタ軸21に伝達される。第2カウンタ軸21にて合流された動力は、インターロックされた第2遊星歯車機構18を経て、出力軸である出力ギヤ19に所定方向の回転でかつ入力軸1よりも低速回転となるように伝達され、その結果、前進低速モードが得られる。
【0073】
そして、前進低速モードを維持しながらベルト型バリエータ222を増速側に変速させると、出力軸19の回転速度が増加し、パワースプリット型無段変速機の速度比が増加する。
【0074】
次に、前進高速クラッチ15を締結して前進低速クラッチ14と後進ブレーキ15を解放すると、ベルト型バリエータ222を通過する動力の伝達方向が前進低速モードと逆になる。すなわち、前進低速モードと同じく、キャリア17cの動力は第1遊星歯車機構17のサンギヤ17aおよびリングギヤ17dの各々に分流し伝達されるが、リングギヤ17dに分流された動力は、第2動力伝達機構9、第1カウンタ軸20、ベルト型バリエータ222、すなわち、従動プーリ207、Vベルト208、駆動プーリ205を経て、バイパス軸13に伝達される。一方、サンギヤ17aに分流された動力はバリエータ入力軸4を経てバイパス軸13に伝達される。バイパス軸13にて合流された動力は前進高速クラッチ15、第5動力伝達機構11を経て出力ギヤ19に伝達され、その結果、前進高速モードが得られる。
【0075】
なお、前進低速モードから前進高速モードに切り替える時点において、前進低速モードにおける出力軸19の回転数と前進高速モードにおける出力軸19の回転数が同じになるように第5の動力伝達機構11の減速比を設定している。
【0076】
そして、前進高速モードを維持しながらベルト型バリエータ222を減速側、すなわち、従動プーリ207から駆動プーリ205に対しては増速側に変速させると、駆動プーリ205に連結された出力ギヤ19の回転速度が増加し、パワースプリット型無段変速機の速度比が増加する。
【0077】
次に、自動車を後退させるべく、出力軸である出力ギヤ19を逆回転させる際には、前進低速クラッチ14と前進高速クラッチ15を解放し、後進ブレーキ16を締結する。その結果、前進低速モードの作動と同じように第1遊星歯車で分流した動力は第2カウンタ軸21で合流し、第2カウンタ軸21を経て、第2遊星歯車機構18により逆転される。この逆転された動力が出力ギヤ19に伝達され、後進モードが得られる。
【0078】
前述した第3の実施形態によれば、第1遊星歯車機構17を動力分流機構として作用させ、かつ、クラッチやブレーキの締結要素の作用によりバリエータの動力の方向を切り替えることにより、前進低速モード、前進高速モード及び後進モードの全てのモードでバリエータを通過する動力を低減することができるようになり、バリエータの小型化を達成することができる。また、前進低速モードにおいても、動力の一部を第2動力伝動装置側へ分流させているため、前進低速モードにおける効率の向上を図ることができる。さらに、入力軸に平行配置された第2カウンタ軸21に、遊星歯車と、クラッチと、ブレーキとからなる逆転機構を配置したことにより、カウンタ軸数の低減できる。とくに、大きな動力が伝達される前進低速モード及び後進モードでの動力伝達経路を第2カウンタ21に共通化したから、強度の必要な部材を最小限にすることができる。その結果、バリエータの小型化と、カウンタ軸数の低減と、カウンタ軸の共通化とによって、コンパクトで低コストなパワースプリット型無段変速装置を提供できる。
【0079】
さらに、本実施形態はバリエータをダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ22からベルト型バリエータ222に変更したもので、さらなる軸方向の寸法の短縮が図れ、いわゆるフロントエンジンフロントドライブの車両への搭載性が優れる。また、動力伝達機構としてギヤを使った例を示したが、動力を伝達できる機構であればよく、ギヤのかわりに、例えば、チェーンやベルトなどを使った機構でもよい。
【0080】
上記第1乃至第3の実施例においては、第2遊星歯車機構18をダブルピニオン型遊星歯車で構成しているがシングルピニオン型遊星歯車にて構成することも可能で、シングルピニオン型遊星歯車にした場合は部品点数の削減によりコストの低減が図れる。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、原動機により駆動される入力軸と、この入力軸に基づく動力を出力する出力軸と、第1回転要素、第2回転要素及び第3回転要素とから構成され、前記入力軸に第1回転要素が連結し、動力を前記第2回転要素及び前記第3回転要素へ分流する差動歯車機構と、該差動歯車機構の第2回転要素に連結し、無段変速機構を有する第1動力伝達装置と、前記差動歯車機構の第3回転要素に連結し、分流された動力を伝達する第2動力伝達装置と、互いに噛合するギヤを有する動力伝達機構を含み、前記第1動力伝達装置の出力と前記第2動力伝達装置の出力を合流させ、前記出力軸に伝達する第3動力伝達装置と、前記第3回転要素へ分流して前記第2動力伝達装置を経由した動力が、前記第2回転要素へ分流して前記第1動力伝達装置を経由した動力と合流し、前記第3動力伝達装置のギヤを経由して前記出力軸に伝達する第1前進走行モードと、前記第3回転要素へ分流して前記第2動力伝達装置を経由しさらに前記第1動力伝達装置を経由した動力が、前記第2回転要素へ分流した動力と合流して、前記第3動力伝達装置のギヤを経由することなく前記出力軸に伝達する第2前進走行モードと、前記第3回転要素へ分流して前記第2動力伝達装置を経由した動力が、前記第2回転要素へ分流して前記第1動力伝達装置を経由した動力と合流して、前記第3動力伝達装置内に設けられた遊星歯車機構と、クラッチと、ブレーキとから成る逆転機構で逆転して、前記出力軸に伝達する後進モードと、を有する変速制御装置と、を備えたことにより、第1前進走行モード、第2前進走行モード及び後進モードの全てのモードでバリエータを通過する動力を低減することができるようになり、バリエータの小型化を達成することができるとともに、第1前進走行モードにおいても、動力の一部を第2動力伝動装置へ分流させているため、第1前進走行モードにおける効率の向上を図ることができるとともに、カウンタ軸数の低減が図れ、コンパクトで低コストなパワースプリット型無段変速装置を提供できるという効果がある。
【0082】
本発明の好ましい形態においては、第1遊星歯車機構とダブルキャビティ式トロイダル型バリエータを同軸に配置し、カウンタ軸を一軸上に配設したため、フロントエンジンリヤドライブの車両の搭載に適しているという効果も達成している。
【0083】
また、本発明の好ましい別の形態においては、第1遊星歯車機構とダブルキャビティ式トロイダル型バリエータを並行に配設したため、フロントエンジンフロントドライブの車両の搭載に適しているという効果も達成している。
【0084】
また、本発明の好ましい別の形態においては、バリエータとしてベルト型バリエータを配設したため、さらなる、全長の短縮が図られ、フロントエンジンフロントドライブの車両の搭載に適しているという効果も達成している。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態におけるパワースプリット型無段変速装置の系統図である。
【図2】この発明の第2の実施形態におけるパワースプリット型無段変速装置の系統図である。
【図3】この発明の第3の実施形態におけるパワースプリット型無段変速装置の系統図である。
【符号の説明】
1 動力伝達軸
2 発進装置
3 タービン軸
4 バリエータ入力軸
5 入力ディスク
6 入力ディスク連結軸
7 出力ディスク
8 パワーローラ
9 第2動力伝達機構
9a 第4ギヤ
9b 第5ギヤ
9c 第13ギヤ
10 第1動力伝達機構
10a 第1ギヤ
10b 第2ギヤ
10c 第3ギヤ
11 第3動力伝達機構
11a 第3動力伝達機構の入力軸
11b 第6ギヤ
11c 第7ギヤ
11d 第3動力伝達機構の出力軸
12 機械式ローディング機構
13 バイパス軸
14 前進低速クラッチ
15 前進高速クラッチ
16 後進ブレーキ
17 第1遊星歯車機構
17a サンギヤ
17b プラネタリギヤ
17c キャリア
17d リングギヤ
18 第2遊星歯車機構
18a サンギヤ
18b プラネタリギヤ
18c キャリア
18d リングギヤ
19 出力軸
20 第1カウンタ軸
21 第2カウンタ軸
22 ダブルキャビティ式トロイダル型バリエータ
40 制御装置
110 第5動力伝達機構
110a 第11ギヤ
110b 第12ギヤ
110c 第14ギヤ
110d 第5動力伝達機構の出力軸
123 ドライブシャフト
124 デファレンシャルギヤ
125 第10ギヤ
126 第3カウンタ軸
190 第4動力伝達機構
190a 第8ギヤ
190b 第9ギヤ
205 駆動プーリ
207 従動プーリ
208 Vベルト
222 ベルト型バリエータ
E エンジン

Claims (6)

  1. 原動機により駆動される入力軸と、
    この入力軸に基づく動力を出力する出力軸と、
    第1回転要素、第2回転要素及び第3回転要素とから構成され、前記入力軸に第1回転要素が連結し、動力を前記第2回転要素及び前記第3回転要素へ分流する差動歯車機構と、
    該差動歯車機構の第2回転要素に連結し、無段変速機構を有する第1動力伝達装置と、
    前記差動歯車機構の第3回転要素に連結し、分流された動力を伝達する第2動力伝達装置と、
    互いに噛合するギヤを有する動力伝達機構を含み、前記第1動力伝達装置の出力と前記第2動力伝達装置の出力を合流させ、前記出力軸に伝達する第3動力伝達装置と、
    前記第3回転要素へ分流して前記第2動力伝達装置を経由した動力が、前記第2回転要素へ分流して前記第1動力伝達装置を経由した動力と合流し、前記第3動力伝達装置のギヤを経由して前記出力軸に伝達する第1前進走行モードと、前記第3回転要素へ分流して前記第2動力伝達装置を経由しさらに前記第1動力伝達装置を経由した動力が、前記第2回転要素へ分流した動力と合流して、前記第3動力伝達装置のギヤを経由することなく前記出力軸に伝達する第2前進走行モードと、前記第3回転要素へ分流して前記第2動力伝達装置を経由した動力が、前記第2回転要素へ分流して前記第1動力伝達装置を経由した動力と合流して、前記第3動力伝達装置内に設けられた遊星歯車機構と、クラッチと、ブレーキとから成る逆転機構で逆転して、前記出力軸に伝達する後進モードと、を有する変速制御装置と、
    を備えたことを特徴とするパワースプリット型無段変速装置。
  2. 前記第1動力伝達装置の前記無段変速機構を前記入力軸と同軸上に配置し、
    前記第3動力伝達機構の前記逆転機構を前記入力軸に対して並行配置されたカウンタ軸上に配置した
    ことを特徴とする請求項1に記載のパワースプリット型無段変速装置。
  3. 前記第1動力伝達装置の前記無段変速機構を前記入力軸に対して並行配置し、
    前記第3動力伝達機構の前記逆転機構を前記入力軸に対して同軸に配置されたカウンタ軸上に配置した
    ことを特徴とする請求項1に記載のパワースプリット型無段変速装置。
  4. 前無段変速機構をトロイダル型バリエータとした
    ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のパワースプリット型無段変速装置。
  5. 前無段変速機構をベルト型バリエータとした
    ことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載のパワースプリット型無段変速装置。
  6. 前記逆転機構をダブルピニオン型遊星歯車機構とした
    ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のパワースプリット型無段変速装置。
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