JP2861267B2 - 生理活性物質be―18257類 - Google Patents

生理活性物質be―18257類

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JP2861267B2
JP2861267B2 JP2140455A JP14045590A JP2861267B2 JP 2861267 B2 JP2861267 B2 JP 2861267B2 JP 2140455 A JP2140455 A JP 2140455A JP 14045590 A JP14045590 A JP 14045590A JP 2861267 B2 JP2861267 B2 JP 2861267B2
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は医薬の分野で有用な化合物に関するものであ
る。さらに詳しくは、本発明は内在性の強力な血管収縮
物質エンドセリンへの拮抗作用を有する新規な物質BE−
18257類、それらの製造法並びにそれらの血管拡張剤並
びに抗高血圧剤、抗急性腎不全剤、抗心筋梗塞剤、狭心
症及び抗脳血管レン縮剤としての用途に関するものであ
る。さらに本発明はエンドセリン拮抗作用を有する新規
な物質BE−18257類を産生するストレプトミセス属に属
する微生物又はその変異株に関するものである。
従来の技術 エンドセリンは21個のアミノ酸から成るポリペプチド
であり、ヒト、ブタの内皮細胞より生産され、強力な血
管収縮作用及び持続的で強い昇圧作用を有することが知
られ、この血管収縮作用は血管平滑筋上の受容体との結
合により生じることが知られている。[ネイチャー(Na
ture),第332巻,第411頁−第415頁(1988年),フェ
ブス・レターズ(FEBS Letters),第231巻,第440頁−
第444頁(1988)及びバイオキミカ・バイオフィジカ・
リサーチ・コミュニケーション(Biochem.Biophys.Res.
Commun.),第154巻,第868頁−第875頁(1988年)参
照]。エンドセリンは報告によれば高血圧症、急性腎不
全、心筋梗塞及び脳血管レン縮の原因物質の一つと考え
られている[ザ・ランセット(The Lancet),第1179頁
−第1182頁(1988年),ヨーロピアン・ジャーナル・オ
ブ・ファーマコロジー(Eur.J.Pharmacol.),第162
巻,第353頁−第358頁(1989年)及び第14回日本脳卒中
学会総会抄録,第187頁(1989年)参照]。さらにエン
ドセリンは、小腸、気管支及び子宮平滑筋をも収縮する
作用を有する[フェブス・レターズ(FEBS Letters),
第247巻,第337頁−第340頁(1989年),ヨーロピアン
・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(Eur.J.Pharma
col.),第154巻,第227頁−第228頁(1988年)及びバ
イオキミカ・バイオフィジカ・リサーチ・コミュニケー
ション(Biochem.Biophys.Res.Commun.),第159巻,第
317頁−第323頁(1989年)参照]。また、エンドセリン
の受容体は末梢組織ばかりではなく中枢組織にも高濃度
に存在することが知られており、脳内に投与したエンド
セリンが動物行動の変化をもたらすことから、エンドセ
リンは神経機能の調節にとっても重要な役割を持ってい
ると考えられている[ニューロサイエンス・レターズ
(Neuroscience Letters),第97巻,第276頁−第279頁
(1989年)参照]。
したがって、エンドセリン受容体へのエンドセリンの
結合を阻害する物質は、以上のようなエンドセリンの生
理作用に拮抗し医薬品として有用であると考えられる
が、このようなエンドセリン拮抗物質は未だ見出されて
いない。
発明が解決しようとする課題 強力な平滑筋収縮作用を有する内在性の物質であるエ
ンドセリンは高血圧症、急性腎不全、心筋梗塞、狭心症
及び脳血管レン縮の病因であると考えられている。した
がって、エンドセリンの作用に拮抗する物質はこれらの
病態の治療において非常に有効な手段となるので、エン
ドセリン拮抗物質が切望されている。
課題を解決するための手段 本発明者らはエンドセリンの作用に拮抗する物質につ
いて種々検索した結果、愛知県額田町内の山林の土壌よ
り分離採取されたストレプトミセス属に属する放線菌
が、当該活性を有する物質を産生することを発見した。
該物質を精製・単離して、その理化学的性状を検討した
結果、新規な化合物であることを見出して、本発明を完
成させた。
即ち、本発明は下記の理化学的性状を有する生理活性
物質BE−18257A、BE−18257B、それらの塩、それらの製
造法、それらの血管拡張剤並びに高血圧症、急性腎不
全、心筋梗塞、狭心症及び脳血管レン縮等の疾患の治療
剤としての用途に関するものである。さらに本発明は上
記の作用を有する生理活性物質BE−18257A又はBE−1825
7Bの産生能を有するストレプトミセス属に属する微生物
又はその変異株に関するものである。
BE−18257Aの理化学的性状 a)元素分析 炭素 水素 窒素 (実測値) 60.32% 7.03% 14.23% (理論値) 60.18% 7.07% 14.04% b)分子式 C30H42N6O7 d)融点 295℃まで明瞭な分解点(融点)を示さな
い。
e)分子量 598 f)マススペクトル FABマススペクトルを第1図に示す。
[(M+H)+:599.3249] g)アミノ酸組成 グルタミン酸,アラニン,バリン,ロイシン,トリプ
トファン h)紫外線吸収スペクトル メタノール中30μg/mlの濃度で測定した紫外線吸収ス
ペクトルを第2図に示す。
i)赤外線吸収スペクトル KBr錠剤法による赤外線吸収スペクトルを第3図に示
す。
j)1H−NMRスペクトル d6−ジメチルスルホキシド中で測定した1H−NMRスペ
クトル(300MHz)を第4図に示す。
k)13C−NMRスペクトル d6−ジメチルスルホキシド中で測定した13C−NMRスペ
クトル(75MHz)を第5図に示す。
l)溶解性 水に溶けにくく、アルカリ性の水にやや溶け、ジメチ
ルスルホキシド等の有機溶媒に可溶。
m)酸性、中性、塩基性の区別 酸性物質 n)Rf値 0.5 [メルク社製、キーゼルゲル60F254使用、展開溶媒:
クロロホルム/メタノール/酢酸(25:5:0.2)] o)呈色反応 エールリッヒ反応及びライドンスミス反応において、
陽性である。
ニンヒドリン反応において、陰性である。
p)物質の色 白色粉末 BE−18257Bの理化学的性状 a)元素分析 炭素 水素 窒素 (実測値) 60.80% 7.21% 13.80% (理論値) 60.77% 7.24% 13.71% b)分子式 C31H44N6O7 d)融点 295℃まで明瞭な分解点(融点)を示さな
い。
e)分子量 612 f)マススペクトル FABマススペクトルを第6図に示す。
[(M+H)+:613.3377] g)アミノ酸組成 グルタミン酸,アラニン,イソロイシン,ロイシン,
トリプトファン h)紫外線吸収スペクトル メタノール中30μg/mlの濃度で測定した紫外線吸収ス
ペクトルを第7図に示す。
i)赤外線吸収スペクトル KBr錠剤法による赤外線吸収スペクトルを第8図に示
す。
j)1H−NMRスペクトル d6−ジメチルスルホキシド中で測定した1H−NMRスペ
クトル(300MHz)を第9図に示す。
k)13C−NMRスペクトル d6−ジメチルスルホキシド中で測定した13C−NMRスペ
クトル(75MHz)を第10図に示す。
l)溶解性 水に溶けにくく、アルカリ性の水にやや溶け、ジメチ
ルスルホキシド等の有機溶媒に可溶。
m)酸性、中性、塩基性の区別 酸性物質 n)Rf値 0.5 [メルク社製、キーゼルゲル60F254使用、展開溶媒:
クロロホルム/メタノール/酢酸(25:5:0.2)] o)呈色反応 エールリッヒ反応及びライドンスミス反応において、
陽性である。
ニンヒドリン反応において、陰性である。
p)物質の色 白色粉末 BE−18257A及びBE−18257Bは上述の性状から公知物質
とは明らかに区別され、新規化合物であることが確認さ
れた。
またエンドセリン拮抗物質BE−18257類は塩の形に変
換することができる。その塩は医薬上許容し得る塩なら
ばいずれでもよいが、代表的な塩としては、例えばナト
リウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩
又はマグネシウム塩等の無機塩等を挙げることができ
る。
以下、本発明のエンドセリン拮抗物質BE−18257類の
エンドセリン拮抗作用について述べる。
エンドセリン受容体へのエンドセリン結合阻害試験 豚大動脈平滑筋組織を4℃にて10mM MOPS pH7.4緩衝
液中でポリトロンによりホモジェナイズする。ホモジネ
ートにショ糖を20%になるように加え、1000×gにて15
分間遠心した上澄を10000×gにて15分間遠心した。得
られた上澄をさらに、90000×gにて40分間遠心し、得
られた沈殿を5mM HEPES/Tris pH7.4緩衝液中に懸濁させ
25mg/mlになるように膜分画を調製した。
得られた膜分画16μlを50mM Tris/HCl pH7.4緩衝液
(以下の化合物を含む:10μM CaCl2,10μM MgCl2,0.1mM
PMSF,1μM Pepstatin A,2μM Leupeptin,1mM 1,10−Ph
enanthroline,0.1% BSA)340μl中に懸濁させた。最
終濃度が0.2μMとなるように非標識エンドセリン−1
(非特異的結合用)、又は緩衝液(全結合用)、あるい
はBE−18257類(125I−エンドセリン−1結合の阻害を
決定するため)4μl及び125I−エンドセリン−1(12
000−18000cpm)40μlを加えた。これらの混合物を25
℃にて4時間インキュベートし、グラスフィルターCF/C
にて濾過を行い、5mM HEPES/Tris pH7.4緩衝液(0.3%B
SAを含む)にて洗浄後グラスフィルター上の放射能量の
測定よりエンドセリン結合阻害活性を求めた。これらの
検定はすべて3重に行った。
その結果、エンドセリン−1結合を50%阻害する濃度
(IC50)はBE−18257A及びBE−18257Bに関して各々2.3
μM及び1.4μMであった。
エンドセリンによる血管収縮への拮抗試験 ウサギから摘出した腸骨動脈のラセン状標本を20mlマ
グヌス管内に懸垂し、その等尺性張力を測定する方法を
用い、エンドセリン−1を累積的にマグヌス管内に投与
することにより得られる収縮(エンドセリン−1濃度−
収縮曲線)に対するBE−18257混合物(A:B=1:2)(1,3
あるいは10μg/ml)の拮抗作用を検討した。
第11図に示すように、BE−18257混合物は、エンドセ
リン−1濃度−収縮曲線を用量に依存して右に移動し
た。また、BE−18257混合物(A:B=1:2)(1,3あるいは
10μg/ml)単独では、上記の血管標本に対して、収縮効
果も弛緩効果も見られないので、BE−18257混合物はエ
ンドセリン収縮に対する拮抗物質であることがわかっ
た。
このようにBE−18257A及びBE−18257Bは優れたエンド
セリン拮抗作用を有し、医薬の分野で血管拡張剤として
有用であり、高血圧症、急性腎不全、心筋梗塞、狭心症
及び脳血管レン縮の治療薬となる。このような疾患の治
療剤として使用する場合、BE−18257A及びBE−18257Bを
各々単独で、又は組合せて使用することができる。
本発明の化合物は、当分野で公知の固体又は液体の賦
形剤の担体と混合し、非経口投与、経口投与又は外部投
与に適した医薬製剤の形で使用することができる。医薬
製剤としては、例えば注射剤、シロップ剤若しくは乳剤
等の液剤、例えば錠剤、カプセル剤若しくは粒剤等の固
形剤及び例えば軟膏、坐剤等の外用剤等が挙げられる。
又、これらの製剤には必要に応じて助剤、安定剤、湿潤
剤、乳化剤、吸収促進剤又は界面活性剤等の通常使用さ
れる添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては注射
用蒸留水、リンゲル液、グルコース、ショ糖シロップ、
ゼラチン、食用油、カカオ脂、エチレングリコール、シ
ョ糖、とうもろこし澱粉、ステアリン酸マグネシウム又
はタルク糖が挙げられる。
エンドセリン拮抗物質BE−18257類の投与量は、投与
方法、患者の年齢、体重、容態及び治療する患者の血圧
の程度に応じて異なるが、成人に対する代表的な投与方
法は経口投与又は非経口投与、好ましくは静脈内注射で
ある。成人の場合、経口投与の場合1日あたり10ないし
500mg/kg体重、非経口投与の場合1日あたり1ないし10
0mg/kg体重を1回ないし数回に分けて投与するのが好ま
しい。
本発明のBE−18257A及びBE−18257Bの製造法について
説明する。
本発明のエンドセリン拮抗物質BE−18257類の製造に
使用する微生物はエンドセリン拮抗物質BE−18257類を
産生するものならばいずれでもよいが、例えば以下の菌
学的性状を有する微生物を挙げることができる。
1.形態 BA18257株は顕微鏡下でよく発達した気菌糸の先端よ
り50箇以上の胞子の連鎖を着生し、ほぼ直ぐに伸びてい
る。輪生枝状のもの及び菌糸の分断は認められない。胞
子の大きさは0.5×0.8〜1.0μm位の円筒状で、菌核及
び胞子のう等の特殊な器官は観察されない。胞子の平面
は平滑である。
3.生育温度(イースト・麦芽寒天培地、14日間培養) 12℃:生育及び気菌糸形成は良好 20℃:生育及び気菌糸形成は良好 28℃:生育及び気菌糸形成は良好 37℃:生育せず 45℃:生育せず 4.生理学的諸性質 (1)ゼラチンの液化 陰性 (グルコース・ペプトン・ゼラチン培地) (2)スターチの加水分解 陽性 (スターチ・無機塩寒天培地) (3)脱脂粉乳の凝固 陰性 (スキムミルク培地) (4)脱脂粉乳のペプトン化 陽性 (スキムミルク培地) (5)メラニン様色素の生成 陰性 (6)食塩耐性 食塩含有量4%以下で生育 (イースト・麦芽寒天培地) 5.炭素源の利用能 プリドハム・ゴドリーブ寒天を基礎培地とし、下記各
種糖を添加して、28℃、14日間培養した。
6.細胞壁組成 LL−ジアミノピメリン酸及びグリシンが検出された。
以上の菌学的性状により、BA18257株はストレプトミ
セス属に属する放線菌であることが判明した。
従って、本発明者らは、BA18257株をストレプトミセ
ス・エスピー・BA18257(Streptomyces sp.BA18257)と
称することにした。
なお、本菌株は通商産業省工業技術院微生物工業技術
研究所に寄託されており、その微工研受託番号は微工研
菌寄第10751号(FERM P−10751)である。
本発明で使用するエンドセリン拮抗物質BE−18257類
を産生する微生物の変異株は、例えばX線若しくは紫外
線等の照射処理、例えばナイトロジェン・マスタード、
アザセリン、亜硝酸、2−アミノプリン若しくはN−メ
チル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)
等の変異誘起剤による処理、ファージ接触、形質転換、
形質導入又は接合等の通常用いられる菌種変換処理方法
によりBE−18257類産生菌を変異させた微生物である。
本発明のBE−18257類を製造するにあたり、BE−18257
類の生産菌株BA18257株を栄養源含有培地に接種して好
気的に発育させることにより、BE18257A及びBE−18257B
を含む培養物が得られる。栄養源としては、放線菌の栄
養源として公知のものが使用できる。例えば、炭素源と
しては、市販されているブドウ糖、グリセリン、麦芽
糖、デンプン、庶糖、糖蜜又はデキストリン等が単独又
は混合物として用いられる。窒素源としては、市販され
ている、大豆粉、コーンスティープリカー、肉エキス、
酵母エキス、綿実粉、ペプトン、小麦胚芽、魚粉、無機
アンモニウム塩又は硝酸ナトリウム等が単独又は混合物
として用いられる。無機塩としては、市販されている、
炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸
マグネシウム又は各種リン酸塩等を使用することができ
る。その他必要に応じて、鉄、マンガン又は亜鉛等の重
金属塩を微量添加することもできる。また、発泡の著し
い時には、消泡剤として、例えば大豆油又は亜麻仁油等
の植物油、オクタデカノール等の高級アルコール類、各
種シリコン化合物等を適宜添加しても良い。これらのも
の以外でも、該生産菌が利用し、BE−18257A及びBE−18
257Bの生産に役立つものであれば、いずれも使用するこ
とができる。
培養方法としては、一般の微生物代謝産物の生産方法
と同様に行えばよく、固体培養でも液体培養でもよい。
液体培養の場合は、静置培養、撹拌培養、振盪培養又は
通気培養等のいずれを実施してもよいが、特に振盪培養
又は深部通気撹拌培養が好ましい。培養温度は20℃〜37
℃が適当であるが、25℃〜30℃が好ましい。好ましい培
地のpHは4〜8の範囲で、培養時間は24時間〜192時
間、好ましくは48時間〜120時間である。
培養物から目的とするBE−18257A及びBE−18257Bを採
取するには、微生物の生産する代謝物の培養物から採取
するのに通常使用される分離手段が適宜利用される。BE
−18257A及びBE−18257Bは培養濾液中及び菌体中に存在
するので、培養濾液又は菌体より通常の分離手段、例え
ば溶媒抽出法、イオン交換樹脂法又は吸着若しくは分配
クロマトグラフィー法及びゲル濾過法等を単独又は組合
せて行うことにより精製できる。また高速液体クロマト
グラフィーや薄層クロマトグラフィーなども抽出精製に
利用可能である。
好ましい分離−精製の例としては次の方法が挙げられ
る。まず培養液を遠心分離し、菌体を得る。得られた菌
体をメタノール又はアセトン等の有機溶媒を用いて抽出
する。抽出物を濃縮した後、さらに酸性下で酢酸エチル
等の有機溶媒で抽出する。この有機溶媒の抽出液を濃縮
乾固した後、メタノールで洗うことによりBE−18257Aと
BE−18257Bを含む粗物質が得られる。BE−18257AとBE−
18257Bの分離はトリフルオロ酢酸を含む含水アセトニト
リルを移動相とした逆相系高速液体クロマトグラフィー
を用いることによって、BE−18257AとBE−18257Bを分離
することができる。得られたBE−18257AとBE−18257B分
画は、濃縮後、それぞれ酢酸エチルで抽出してから酢酸
エチル抽出液を濃縮乾固するとBE−18257A及びBE−1825
7Bの白色粉末が得られる。
次に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明する。しか
しながら、本発明は実施例に限定されるものではなく、
実施例の修飾手段はもちろん、本発明によって明らかに
されたBE−18257A及びBE−18257Bの性状に基づいて、公
知の手段を用いてBE−18257A及びBE−18257Bを生産、濃
縮、抽出、精製する方法すべてを包括する。
実施例 寒天斜面培地に培養した放線菌BA18257株をグリセリ
ン2%、麦芽糖蜜1%、肉エキス0.2%、綿実粉0.5%、
酵母エキス0.1%、小麦胚芽0.5%、硫酸マグネシウム0.
2%、塩化ナトリウム0.2%、炭酸カルシウム0.2%、リ
ン酸一カリウム0.1%、硫酸アンモニウム0.1%、硫酸第
一鉄0.001%及び硫酸亜鉛0.001%からなる培地(pH6.
7)100mlを含む500ml容の三角フラスコ2本に接種し、2
8℃で72時間、回転振盪機(毎分180回転)上で培養し
た。この培養液を20mlずつ、上記の培地を1を含む5l
容の三角フラスコ5本に接種し、28℃で96時間、回転振
盪機(毎分180回転)上で培養した。培養液(5l)を濾
過法によって濾過し、得られた菌体を500mlの脱イオン
水で洗浄した後、菌体にメタノール2.5lを加え室温で1
時間攪拌した。濾過法によってメタノール抽出液2.4lを
得た。メタノール抽出液を約300mlにまで濃縮し、水300
mlを加えた。さらに1N苛性ソーダを加えてpHを8.5に調
整した後、酢酸エチル600mlを用いて抽出した。酢酸エ
チルで抽出した水層を1N塩酸を加えてpH3に調整した
後、酢酸エチル700mlを用いて抽出し、酢酸エチル抽出
液を濃縮乾固して粗物質730mgを得た。この粗物質60mg
をジメチルホルムアミド2mlに溶解し、ODSカラム(ガス
クロ工業社製、Inertsil ODS、16.7×300mm)にかけ、
0.2%のトリフルオロ酢酸をふくむ42%アセトニトリル
を移動相とする分取高速液体クロマトグラフィーを行
い、BE−18257Aを含む分画及びBE−18257Bを含む分画を
得た。BE−18257Aを含む分画を80mlにまで濃縮し、得ら
れた濃縮液を酢酸エチル200mlを用いて抽出し、酢酸エ
チル抽出液を濃縮乾固してBE−18257Aの白色粉末15mgを
得た。同様にして、BE−18257Bを含む分画を100mlにま
で濃縮した後、酢酸エチル300mlを用いて抽出し、酢酸
エチル抽出液を濃縮乾固してBE−18257Bの白色粉末34mg
を得た。
発明の効果 本発明に記載するBE−18257A及びBE−18257Bは、最近
新しく発見された内在性の血管収縮物質エンドセリンに
対して強い拮抗作用を有することから、エンドセリンが
関与する血管収縮作用に拮抗する薬剤として、ひいては
ヒトの血管拡張剤並びに高血圧症、急性腎不全、心筋梗
塞、狭心症及び脳血管レン縮の治療薬として有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第6図は各々BE−18257A及びBE−18257BのFA
Bマススペクトルの図である。第2図及び第7図は、各
々メタノール中で測定したBE−18257A及びBE−18257Bの
紫外線吸収スペクトルである。第3図及び第8図は各々
KBr錠剤法によるBE−18257A及びBE−18257Bの赤外吸収
スペクトルの図である。第4図及び第9図は各々d6−ジ
メチルスルホキシド中で測定したBE−18257A及びBE−18
257Bの1H−NMR(300MHz)スペクトルの図である。第5
図及び第10図は各々d6−ジメチルスルホキシド中で測定
したBE−18257A及びBE−18257BのC13C−NMR(75MHz)ス
ペクトルの図である。第11図は、摘出ウサギ腸骨動脈標
本におけるエンドセリン−1による動脈血管の収縮作用
に対する各種濃度におけるBE−18257類の抑制作用を示
す図であり、該図中、●−●はBE−18257混合物の非存
在下時すなわち対照の場合を、○−○はBE−18257混合
物の濃度が1μg/mlである場合を、□−□はBE−18257
混合物の濃度が3μg/mlである場合を、△−△はBE−18
257混合物の濃度が10μg/mlである場合の線図をそれぞ
れ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07K 2/00 A61K 37/02 ACV C12N 1/20 ABS //(C12P 1/06 C12R 1:465) (C12N 1/20 C12R 1:465) (72)発明者 須田 寛之 東京都目黒区下目黒2丁目9番3号 萬 有製薬株式会社探索研究所内 審査官 新見 浩一 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 1/00 C07K 2/00 C12N 1/20 A61K 37/02 BIOSIS(DIALOG)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の理化学的性状を有する生理活性物質
    BE−18257A又はその塩。 a)元素分析 炭素 水素 窒素 (実測値) 60.32% 7.03% 14.23% (理論値) 60.18% 7.07% 14.04% b)分子式 C30H42N6O7 d)融点 295℃まで明瞭な分解点(融点)を示さな
    い。 e)分子量 598 f)マススペクトル FABマススペクトルを第1図に示す。 [(M+H)+:599.3249] g)アミノ酸組成 グルタミン酸,アラニン,バリン,ロイシン,トリプト
    ファン h)紫外線吸収スペクトル メタノール中30μg/mlの濃度で測定した紫外線吸収スペ
    クトルを第2図に示す。 i)赤外線吸収スペクトル KBr錠剤法による赤外線吸収スペクトルを第3図に示
    す。 j)1H−NMRスペクトル d6−ジメチルスルホキシド中で測定した1H−NMRスペク
    トル(300MHz)を第4図に示す。 k)13C−NMRスペクトル d6−ジメチルスルホキシド中で測定した13C−NMRスペク
    トル(75MHz)を第5図に示す。 l)溶解性 水に溶けにくく、アルカリ性の水にやや溶け、ジメチル
    スルホキシド等の有機溶媒に可溶。 m)酸性、中性、塩基性の区別 酸性物質 n)Rf値 0.5 [メルク社製、キーゼルゲル60F254使用、展開溶媒:ク
    ロロホルム/メタノール/酢酸(25:5:0.2)] o)呈色反応 エールリッヒ反応及びライドンスミス反応において、陽
    性である。 ニンヒドリン反応において、陰性である。 p)物質の色 白色粉末
  2. 【請求項2】下記の理化学的性状を有する生理活性物質
    BE−18257B又はその塩。 a)元素分析 炭素 水素 窒素 (実測値) 60.80% 7.21% 13.80% (理論値) 60.77% 7.24% 13.71% b)分子式 C31H44N6O7 d)融点 295℃まで明瞭な分解点(融点)を示さな
    い。 e)分子量 612 f)マススペクトル FABマススペクトルを第6図に示す。 [(M+H)+:613.3377] g)アミノ酸組成 グルタミン酸,アラニン,イソロイシン,ロイシン,ト
    リプトファン h)紫外線吸収スペクトル メタノール中30μg/mlの濃度で測定した紫外線吸収スペ
    クトルを第7図に示す。 i)赤外線吸収スペクトル KBr錠剤法による赤外線吸収スペクトルを第8図に示
    す。 j)1H−NMRスペクトル d6−ジメチルスルホキシド中で測定した1H−NMRスペク
    トル(300MHz)を第9図に示す。 k)13C−NMRスペクトル d6−ジメチルスルホキシド中で測定した13C−NMRスペク
    トル(75MHz)を第10図に示す。 l)溶解性 水に溶けにくく、アルカリ性の水にやや溶け、ジメチル
    スルホキシド等の有機溶媒に可溶。 m)酸性、中性、塩基性の区別 酸性物質 n)Rf値 0.5 [メルク社製、キーゼルゲル60F254使用、展開溶媒:ク
    ロロホルム/メタノール/酢酸(25:5:0.2)] o)呈色反応 エールリッヒ反応及びライドンスミス反応において、陽
    性である。 ニンヒドリン反応において、陰性である。 p)物質の色 白色粉末
  3. 【請求項3】生理活性物質BE−18257A、BE−18257B又は
    それらの塩の製造法において、ストレプトミセス属に属
    し、かつ生理活性物質BE−18257A又はBE−18257Bの産生
    能を有する微生物を培地に培養し、培養中に該BE−1825
    7A及びBE−18257Bを蓄積せしめ、これを分離採取するこ
    とを特徴とする生理活性物質BE−18257A、BE−18257B又
    はそれらの塩の製造法。
  4. 【請求項4】生理活性物質BE−18257A、BE−18257B、そ
    れらの塩又はそれらの混合物を有効成分とする血管拡張
    剤。
  5. 【請求項5】生理活性物質BE−18257A、BE−18257B、そ
    れらの塩又はそれらの混合物を有効成分とする、ヒトの
    高血圧症、急性腎不全、心筋梗塞、狭心症及び脳血管レ
    ン縮の治療剤。
  6. 【請求項6】生理活性物質BE−18257A又はBE−18257Bの
    産生能を有するストレプトミセス属に属する微生物又は
    その変異株。
  7. 【請求項7】生理活性物質BE−18257A又はBE−18257Bの
    産生能を有するストレプトミセス属に属する微生物がス
    トレプトミセス・エスピー(Streptomyces sp.)BA1825
    7株又はその変異株であることを特徴とする第6請求項
    記載の微生物。
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