JP2858401B2 - 電子制御エンジンマウント - Google Patents

電子制御エンジンマウント

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JP2858401B2
JP2858401B2 JP2744297A JP2744297A JP2858401B2 JP 2858401 B2 JP2858401 B2 JP 2858401B2 JP 2744297 A JP2744297 A JP 2744297A JP 2744297 A JP2744297 A JP 2744297A JP 2858401 B2 JP2858401 B2 JP 2858401B2
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久光 山添
晃 柴田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車体とエンジンと
の間に配設され、エンジンからの振動状態に応じて振動
伝達特性を任意に変更可能な電子制御エンジンマウント
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンマウントにおける振動伝
達特性(動ばね定数及び減衰係数)を電子制御して、車
両の振動特性を向上させることが行われるようになって
きた。このような、電子制御エンジンマウントに関連す
る先行技術文献としては、特開平4−185932号公
報、実公平4−39481号公報、特開平5−3067
28号公報、特開平6−330980号公報、実開平7
−20439号公報にて開示されたものが知られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述の特開
平4−185932号公報ではPZT(ピエゾ抵抗素
子)、実公平4−39481号公報では希土類磁石を用
いたボイスコイルをそれぞれ使用して電子制御エンジン
マウントのアクチュエータを構成しているが、これら構
成要素は高価で実用化が困難であった。また、特開平6
−330980号公報では安価なフェライト磁石を用い
たボイスコイルからなるアクチュエータを使用して電子
制御エンジンマウントのアクチュエータを構成している
が、未だ構造が複雑で高価であり実用化には適していな
かった。
【0004】また、特開平5−306728号公報、実
開平7−20439号公報では負圧アクチュエータを用
いエンジンの運転条件に応じてエンジンシェイクとアイ
ドル振動の低減を図る比較的簡単な構造で安価な電子制
御エンジンマウントが開示されている。しかしながら、
このエンジンマウントは、アイドル運転時とそれ以外の
運転状態で振動伝達特性を単に切替えるだけの所謂セミ
アクティブ式であるため期待するほどのアイドル振動低
減効果が得られないという不具合があった。
【0005】そこで、この発明はかかる不具合を解決す
るためになされたもので、安価なアクチュエータを用い
簡単な構成でエンジンマウントの振動伝達特性を変更自
在であって耐久性も向上できる電子制御エンジンマウン
トの提供を課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の電子制御エン
ジンマウントによれば、エンジンが所定の運転状態にあ
るときには制御手段にて圧力切替手段がエンジンの爆発
振動に応じて駆動されエンジンマウントの気体室内の圧
力が所定の負圧または大気圧に切替えられる。ここで、
エンジンの所定の運転状態というのは、エンジンの回転
速度が所定回転速度以下、また、車速が所定車速以下で
あるアイドル運転時とそれ以外の非アイドル運転時とを
含んでいる。これにより、エンジンマウントの振動伝達
特性(動ばね定数及び減衰係数)が所定の運転状態に対
して最適化されエンジンからの振動が低減されるという
効果が得られる。
【0007】請求項2の電子制御エンジンマウントで
は、弾性膜部材を介して気体室に隣接して設けられ非圧
縮性流体が封入された主液室と仕切部材を介して気体室
に隣接して設けられた副液室とが連通孔を介して連通さ
れており、車体及びエンジンからの入力振動により容積
変化される。このため、エンジンマウントは振動伝達特
性が最適化、つまり、液封マウントの封入液の効果によ
りエンジンからの爆発振動に起因する高周波数帯域のエ
ンジンノイズが低減され、主液室と副液室とを連通する
連通孔により低周波数帯域のエンジンシェイクが低減さ
れるという効果が得られる。
【0008】請求項3の電子制御エンジンマウントで
は、弾性膜部材を介して気体室に隣接して設けられ非圧
縮性流体が封入された主液室と副液室とが連通孔を介
し、断続手段によって連通状態または非連通状態とされ
る。このため、エンジンマウントは振動伝達特性が最適
化、つまり、気体室内の圧力切替えによりエンジンから
の爆発振動に起因する高周波数帯域のエンジンノイズが
低減され、更に、主液室と副液室とを連通する連通孔に
より低周波数帯域のエンジンシェイクが低減されるとい
う効果が得られる。
【0009】請求項4の電子制御エンジンマウントで
は、信号形成手段でエンジンの爆発1次振動に対して同
一周期でエンジンの回転速度に応じて変化する所定の位
相差を有する信号が形成され、この信号により制御手段
で圧力切替手段が制御される。このため、エンジンマウ
ントの振動伝達特性が最適化されるという効果が得られ
る。
【0010】請求項5の電子制御エンジンマウントで
は、回転角信号及び基準位置信号によって信号形成手段
でエンジンの爆発1次振動に対して同一周期でエンジン
の回転速度に応じて変化する所定の位相差を有する信号
が形成される。このため、新たなセンサ等を追加するこ
となくエンジンマウントの振動伝達特性が最適化される
という効果が得られる。
【0011】請求項6の電子制御エンジンマウントで
は、エンジンの爆発1次振動を検出しフィードバック制
御信号を得るための加速度センサが車体、エンジン、エ
ンジンマウントに適宜取付けられる。これにより、圧力
切替手段への信号波形をエンジンからの振動に適合でき
るという効果が得られる。
【0012】請求項7の電子制御エンジンマウントで
は、エンジンの爆発振動に関連するパラメータに基づい
て圧力切替手段がデューティ比駆動制御されるため、エ
ンジンマウントの振動伝達特性をより最適に制御できる
という効果が得られる。
【0013】請求項8の電子制御エンジンマウントで
は、気体室を構成する弾性膜部材またはこれに対向する
部材の1つ以上に少なくとも1種類以上の多数の突起を
有しているため、弾性膜部材が気体室側に変位したとき
にも、これらの突起により気体室の最小容積が確保さ
れ、また、これらの突起により弾性膜部材が気体室内の
対向する壁面に密着し固着することを防止できるという
効果が得られる。
【0014】請求項9の電子制御エンジンマウントで
は、エンジン負荷に基づいて圧力切替手段に対する制御
量が補正されるため、エンジン負荷が変化してもエンジ
ンマウントの振動伝達特性を最適に制御できるという効
果が得られる。
【0015】請求項10の電子制御エンジンマウントで
は、エンジンの運転状態に基づいた吸気管負圧の変化が
あってもその吸気管負圧が考慮され気体室内の圧力が補
正されることで、エンジンマウントでは所望の振動伝達
特性が得られるという効果がある。
【0016】請求項11の電子制御エンジンマウントで
は、エンジンの運転状態に基づいた入力振動の変化があ
ってもその入力振動が考慮され気体室内の圧力が補正さ
れることで、エンジンマウントでは所望の振動伝達特性
が得られるという効果がある。
【0017】請求項12の電子制御エンジンマウントに
おける補正手段では、エアフローメータからの吸入吸気
量に関する値を用いて気体室内の圧力が適切に補正され
ることで、エンジンマウントでは所望の振動伝達特性が
得られるという効果がある。
【0018】請求項13の電子制御エンジンマウントに
おける補正手段では、吸気圧センサからの吸気圧に関す
る値を用いて気体室内の圧力が適切に補正されること
で、エンジンマウントでは所望の振動伝達特性が得られ
るという効果がある。
【0019】請求項14の電子制御エンジンマウントで
は、エアコンの入/切に応じて圧力切替手段に対する制
御マップが切替えられるため、エンジン負荷となるエア
コンが入/切されてもエンジンマウントの振動伝達特性
を最適に制御できるという効果が得られる。
【0020】請求項15の電子制御エンジンマウントで
は、エンジンマウントの気体室に導入される大気圧とし
ての空気が吸気管に配設されたエアフローメータとスロ
ットルバルブとの間から取出されるため、エンジンの空
燃比(A/F)に影響を与えないという効果が得られ
る。
【0021】請求項16の電子制御エンジンマウントで
は、エンジンがアイドル運転時のみ、即ち、主なる振動
がエンジンからだけのときには、圧力切替手段がエンジ
ンの爆発振動に応じて駆動され気体室内の圧力が制御さ
れ、エンジンマウントの振動伝達特性が最適に制御され
ると共に、非アイドル運転時におけるエンジンの負荷を
抑えることができるという効果が得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づいて説明する。
【0023】〈実施例1〉図1は本発明の実施の形態の
第1実施例にかかる電子制御エンジンマウントが適用さ
れたエンジン周辺の構成を示す概略図である。
【0024】図1において、電子制御エンジンマウント
は、車体1のステー1aとエンジン(内燃機関)10の
ステー10aとの間に配設されたエンジンマウント4、
そのエンジンマウント4を制御するECU(Electronic
Control Unit:電子制御ユニット)30、エンジンマウ
ント4の近傍で車体1のステー1a側に装着されて、車
体1に生じる振動に応じた加速度信号Gを出力する加速
度センサ5、エンジン10のディストリビュータ6内に
配設されその回転速度に関連した回転角信号Ne を出力
する回転角センサ7及びクランク角度の基準位置に関連
した基準位置信号G2 を出力する基準位置センサ8から
構成されている。なお、回転角センサ7と基準位置セン
サ8とはマグネットピックアップの一種である。そし
て、加速度センサ5からの加速度信号G、回転角センサ
7からの回転角信号Ne 、基準位置センサ8からの基準
位置信号G2 はそれぞれECU30に入力されている。
また、ECU30からの駆動電圧Vout はエンジンマウ
ント4に接続された安価な負圧アクチュエータである3
ポート2位置切替弁としてのバキュームスイッチングバ
ルブ(Vacuum Switching Valve:以下、単に『VSV』
と記す)2に入力されている。
【0025】次に、上記エンジンマウント4及びその周
辺機器を示す図2の断面図を参照し、その詳細な構成に
ついて説明する。
【0026】図2において、エンジンマウント4の下方
へ開放するドーム状をなした厚肉の弾性体からなるマウ
ントゴム(防振ゴム)11の上端には円板12が接合さ
れている。この円板12にはその中心にエンジン10を
載置固定するため上方へ突出されたボルト13、また、
ボルト13の周囲にはエンジン10との廻止ピン14が
それぞれ圧入されている。マウントゴム11の下方の周
囲には略円筒状の側部材15が接合され、側部材15の
下方には上に凸の容器状の仕切部材16が挿入されマウ
ントゴム11との空間を閉塞し空気室Aが形成されてい
る。
【0027】そして、底部材17によって側部材15及
びマウントゴム11の下端、仕切部材16の円周縁が同
時カシメされ固定されている。更に、底部材17にはそ
の中心に車体1と連結固定するため下方へ突出されたボ
ルト18、また、ボルト18の周囲には車体1との廻止
ピン19がそれぞれ圧入されている。
【0028】側部材15にはマウントゴム11及び側部
材15を貫通してマウントゴム11と仕切部材16とで
閉塞された空気室Aと外部とを連通する空気通路パイプ
20が連結されている。この空気通路パイプ20には連
結パイプ21の一端が接続され、連結パイプ21の他端
はVSV2の3ポートのうちのコモンポートに接続され
ている。
【0029】VSV2の他の2つのポートには、エンジ
ン10のインテークマニホルド3aからの負圧を逆止弁
(図示略)にて蓄圧する負圧タンク3bと連結する負圧
導入パイプ22、エアフィルタ(図示略)を介して大気
圧を導入する大気導入パイプ23がそれぞれ接続されて
いる。このVSV2はECU30からの駆動電圧Vout
に基づき後述するようにON/OFF制御され、空気室
Aの空気室圧Pが所定の負圧または大気圧に切替えられ
る。
【0030】図3は本発明の実施の形態の第1実施例に
かかる電子制御エンジンマウントにおける電気的構成を
示すブロック図であり、本実施例の電子制御エンジンマ
ウントが適用された4サイクル直列4気筒エンジンにお
ける各信号波形を示す図4のタイムチャートを参照して
説明する。
【0031】図3において、ECU30は、周知の中央
処理装置としてのCPU31、データバス32、タイマ
33、波形整形IC34、カウンタ35、I/Oポート
36、バンドパスフィルタ(BPF)37、アナログ入
力ポート38、A/D変換回路39、CPU31の処理
データを一時的に記憶するRAM40、CPU31の制
御プログラムを記憶するROM41、I/Oポート4
2、アクチュエータ駆動回路43及び電源回路44から
構成されており、キースイッチ45が投入されるとバッ
テリ46からの電力が電源回路44に供給されECU3
0が起動する。
【0032】そして、回転角センサ7からの回転角信号
Ne 及び基準位置センサ8からの基準位置信号G2 は、
図4(a)に示す波形として波形整形IC34に入力さ
れ、波形整形IC34はそれら回転角信号Ne 及び基準
位置信号G2 を図4(b)に示す矩形波に波形整形した
後、I/Oポート36を介してデータバス32に出力す
る。また、波形整形後の回転角信号Ne はカウンタ35
によりカウントされ、そのカウント値がデータバス32
に出力される。一方、加速度センサ5からの加速度信号
Gはバンドパスフィルタ37を経て図4(c)に示す振
動加速度gとしてアナログ入力ポート38からA/D変
換回路39に入力され、A/D変換後にデータバス32
に出力される。
【0033】CPU31は入力された振動加速度gに基
づき演算し、I/Oポート42を介してアクチュエータ
駆動回路43に制御信号Sout を出力する。アクチュエ
ータ駆動回路43はバッテリ46から電力を供給され
て、制御信号Sout に基づく駆動電圧Vout をVSV2
のコイル2aに出力し、VSV2がON/OFF制御さ
れる。このVSV2がONのときには負圧タンク3bか
らの負圧、また、OFFのときには大気圧がエンジンマ
ウント4の空気室Aに導入される。
【0034】次に、4サイクル直列4気筒エンジンを例
として、エンジン10から振動が入力されてエンジンマ
ウント4で減衰されるまでの過程を図4のタイムチャー
トを参照して説明する。
【0035】4サイクル直列4気筒では、クランクシャ
フト2回転(720°CA)で4回、即ち、180°C
A毎に1回の爆発行程が実行されるため、エンジン10
の爆発に起因する振動(エンジン爆発1次振動)は18
0°CAを1周期とする略正弦波と近似できる。この振
動はエンジンマウント4を介して車体1側に伝達され、
他の車両の走行等に起因する振動と共に加速度センサ5
により検出される。バンドパスフィルタ37は加速度セ
ンサ5の加速度信号G中からエンジン10の爆発に起因
する10〜200Hzの周波数帯域のみを通過させ、こ
れにより得られた図4(c)に示す振動加速度gがCP
U31に入力される。なお、図4(c)において、振動
加速度gの最大値MAXではエンジン10からエンジン
マウント4に圧縮方向の振動が入力されてマウントゴム
11が下方に撓んでおり、振動加速度gの最小値MIN
ではエンジンマウント4に伸長方向の振動が入力されて
マウントゴム11が上方に撓んでいるものとする。
【0036】この振動加速度gに基づきECU30は、
アイドル運転時には、エンジン10からの振動をエンジ
ンマウント4で低減すべく、逆相制御(振動低減制御)
を実行してエンジンマウント4の振動伝達特性(動ばね
定数及び減衰係数)を改善する。即ち、図4(d)に示
すように、振動加速度gが中立点0より大きいときに
は、VSV2をONさせる駆動電圧Vout を出し、振動
加速度gが中立点0より小さいときには、VSV2をO
FFさせるような駆動電圧Vout を出す。このように制
御すると振動加速度gが大きいときには、VSV2はO
Nしているので空気室Aは負圧タンク3bと連通状態と
なり、空気室圧Pは負圧タンク3b内の所定の負圧とな
る。また、振動加速度gが小さいときには、VSV2は
OFFしているので空気室Aは大気開放状態となり、そ
の圧力Pは略大気圧となる。
【0037】ところで、エンジン10からの入力振動に
より、エンジンマウント4はマウントゴム11が下方に
撓んだときには下方への力を受け、マウントゴム11が
上方に撓んだときには、上向への力を受ける。一方、エ
ンジンマウント4は空気室Aに負圧が導入されていると
きに下向の力を発生し、大気圧が導入されているときに
上向の力を発生する。つまり、マウントゴム11には、
エンシン振動力と空気室Aの空気圧の合力がかかる。こ
こで、VSV2がエンジン振動に連動して最適のタイミ
ングと時間幅で切替えられるので、空気室Aの圧力が最
適に制御され、エンジン振動と空気圧の合力は最適とな
り、エンジンマウント4の車体側の底部材17に伝達さ
れる。この結果、エンジン10からの振動がエンジンマ
ウント4にて大幅に低減される。
【0038】なお、図4(d)に示す駆動電圧Vout は
ON/OFFの矩形波であるが、図4(e)に示す空気
室圧Pは内部空気圧の立上がり・立下がり応答性等の要
因により略台形波形状となる。また、エンジン回転速度
が上昇すると、この圧力波形は略三角形状となる。理想
的には、空気室圧Pの圧力波形が略正弦波となることが
好ましいが、発明者らの実験結果によると、略台形波形
状や略三角波形状でも十分にエンジン10からの振動の
低減効果を得ることができた。
【0039】ここで、エンジン回転速度の上昇に伴っ
て、エンジンの振動振幅が小さくなるので、エンジンマ
ウント4の空気室Aの最大負圧Pmax は絶対値を小さく
することが望ましい。もっとも、負圧タンク3bの負圧
が一定であってもエンジン回転速度が上昇すると、空気
圧の応答遅れのため空気室圧Pの最大負圧Pmax の絶対
値も小さくなるが、更に、エンジン回転速度に応じて常
に最適負圧にする方法として、エンジン回転速度に応じ
てVSV2のON時間を変化させる方法があり、以下、
この方法を用いた場合について説明する。
【0040】図5は本発明の実施の形態の第1実施例に
かかる電子制御エンジンマウントで使用されているEC
U30内のCPU31の逆相制御(振動低減制御)実行
の処理手順を示すフローチャートである。なお、このル
ーチンは所定時間毎に実行される。
【0041】まず、ステップS101で、回転角センサ
7の回転角信号Ne 及び基準位置センサ8の基準位置信
号G2 が波形整形IC34を経て入力されると共に、加
速度センサ5の加速度信号Gがバンドパスフィルタ37
を経て振動加速度gとして入力される。次にステップS
102に移行して、基準位置信号G2 が入力された直後
であるかが判定される。ステップS102の判定条件が
成立し基準位置信号G2 が入力された直後であるときに
はステップS103に移行し、回転角信号Neより現在
のエンジン回転速度Nが算出される。次にステップS1
04に移行して、ROM41に格納された図示しないマ
ップに従ってエンジン回転速度Nよりディレイ時間Δθ
及びVSV2のON時間Tが算出される。なお、このマ
ップは予め実車実験等にてエンジン回転速度N毎に測定
点の振動が最小となるように作成されている。次のステ
ップS105では、既にRAM40に格納されているこ
れらの値Δθ,Duty が新たな算出値に更新される。そ
して、ステップS106に移行し、これらのディレイ時
間Δθ及びVSV2のON時間Tを加味した上で、この
時点での制御信号Sout の値が算出され、アクチュエー
タ駆動回路43に出力され、本ルーチンを終了する。
【0042】一方、ステップS102の判定条件が成立
せず、基準位置信号G2 の入力直後でないときには、ス
テップS103〜ステップS105がスキップされ、ス
テップS106に移行し、RAM40のディレイ時間Δ
θ及びVSV2のON時間Tを加味して制御信号Sout
の算出・出力処理が実行され、本ルーチンを終了する。
つまり、ディレイ時間Δθ及びVSV2のON時間Tは
基準位置信号G2 の入力毎に最適値に更新されるのであ
る。
【0043】そして、このようにして作成された制御信
号Sout に基づき、アクチュエータ駆動回路43からV
SV2のコイル2aに図4(d)に示す矩形波の駆動電
圧Vout が出力され、VSV2がエンジン振動に連動し
てON/OFFされ、空気室Aの空気室圧Pが所望のよ
うに変化される。
【0044】このように、本実施例の電子制御エンジン
マウントは、エンジン10からの振動が入力される空気
室Aの空気室圧Pが振動に連動して適切に制御されるの
で、エンジンマウント4の振動伝達特性(動ばね定数及
び減衰係数)は最適となり、エンジン振動の伝達を確実
に低減することができる。
【0045】図6は本実施例の電子制御エンジンマウン
トが適用された直列4気筒のエンジンを搭載した車両の
ステアリングホイールの上下振動における制御ありの場
合を制御なしの場合と比較してエンジン回転速度N〔r
pm〕に対する振動レベル〔dB〕を示す特性図であ
る。なお、運転条件としてはA/T(自動変速機)のN
(ニュートラル)レンジ及び無負荷状態でアイドル時の
エンジン回転速度をスイープさせ振動レベルを計測した
ものである。この特性図からも明らかなように、振動レ
ベルのオーバオール値で示すと、制御ありの場合には制
御なしに比べて振動レベルが4〜10dB低減している
ことが分かる。
【0046】上述したように、本実施例の電子制御エン
ジンマウントによれば、VSV2を用い、エンジン10
が既に備えているインテークマニホルド3aからの負圧
を作動源として利用するため、安価で性能の良いアクテ
ィブ制御エンジンマウントが提供できる。
【0047】このように、本実施例の電子制御エンジン
マウントは、車体1とエンジン10との間に配設され、
空気が封入され車体1及びエンジン10からの入力振動
により容積変化される空気室Aを有するエンジンマウン
ト4と、空気室A内の圧力をエンジン10のインテーク
マニホルド3aからの負圧を蓄圧した負圧タンク3bか
ら供給される所定の負圧または大気圧に切替自在なVS
V2からなる圧力切替手段と、エンジン10が所定の運
転状態にあるときには前記圧力切替手段をエンジン10
の爆発振動に応じて駆動し空気室A内の圧力を制御する
ことによりエンジンマウント4の振動伝達特性を変更自
在なECU30にて達成される制御手段とを具備するも
のである。
【0048】したがって、制御手段としてのECU30
にて圧力切替手段としてのVSV2が、エンジン10が
所定の運転状態にあるときにはエンジン10の爆発振動
に応じて駆動されエンジンマウント4の空気室A内の圧
力がエンジン10のインテークマニホルド3aからの負
圧を蓄圧した負圧タンク3bから供給される所定の負圧
または大気圧に切替えられる。故に、エンジンマウント
4の振動伝達特性が最適化されてエンジン10からの振
動が低減される。
【0049】また、本実施例の電子制御エンジンマウン
トは、エンジン10の爆発1次振動に対して同一周期で
エンジン10の回転速度Nに応じて変化する所定の位相
差としてのディレイ時間Δθを有する信号である駆動電
圧Vout を形成するECU30にて達成される信号形成
手段を具備し、ECU30にて達成される制御手段は、
前記信号形成手段にて形成された信号によりVSV2か
らなる圧力切替手段を制御するものである。
【0050】したがって、ECU30でエンジン10の
爆発1次振動に対して同一周期でエンジン10の回転速
度Nに応じて変化するディレイ時間Δθを有する駆動電
圧Vout が形成され、この駆動電圧Vout によりVSV
2が制御される。このため、エンジンマウント4の振動
伝達特性が最適化される。
【0051】そして、本実施例の電子制御エンジンマウ
ントは、更に、エンジン10の回転角を示す回転角信号
Ne を検出する回転角センサ7からなる回転角信号検出
手段と、エンジン10のクランク角度基準位置を示す基
準位置信号G2 を検出する基準位置センサ8からなる基
準位置信号検出手段とを具備し、ECU30にて達成さ
れる信号形成手段は、回転角信号Ne 及び基準位置信号
G2 に基づきエンジン10の爆発1次振動に対して同一
周期でエンジン10の回転速度Nに応じて変化する所定
の位相差としてのディレイ時間Δθを有する信号である
駆動電圧Voutを形成するものである。
【0052】したがって、回転角センサ7からの回転角
信号Ne 及び基準位置センサ8からの基準位置信号G2
によってECU30でエンジン10の爆発1次振動に対
して同一周期でエンジン10の回転速度Nに応じて変化
するディレイ時間Δθを有する駆動電圧Vout が形成さ
れ、この駆動電圧Vout によりVSV2が制御される。
このため、加速度センサ5のような新たなセンサ等を追
加することなくエンジンマウント4の振動伝達特性が最
適化される。
【0053】更に、本実施例の電子制御エンジンマウン
トのエンジンの爆発1次振動は、車体1、エンジン1
0、エンジンマウント4のうちの少なくとも1箇所に取
付けられた加速度センサ5を用いて検出した加速度信号
Gでフィードバック制御するものであってもよい。
【0054】即ち、エンジンの爆発1次振動が加速度セ
ンサ5を車体1、エンジン10、エンジンマウント4に
適宜取付けられることで適切に検出される。このため、
駆動電圧Vout 波形をエンジン10の振動と適合するこ
とができる。
【0055】更にまた、本実施例の電子制御エンジンマ
ウントは、ECU30にて達成される制御手段が圧力切
替手段としてのVSV2をエンジン10の爆発振動に関
連するパラメータに基づいてデューティ比駆動制御する
ものである。このように、エンジン10の振動に関連す
るパラメータに基づいてVSV2がデューティ比駆動制
御されるため、エンジンマウント4の振動伝達特性がよ
り最適に制御される。
【0056】〈実施例2〉図7は本発明の実施の形態の
第2実施例にかかる電子制御エンジンマウントにおける
エンジンマウント及びその周辺機器の詳細な構成を示す
断面図である。なお、本実施例の電子制御エンジンマウ
ントが適用されたエンジンとその周辺機器については、
上述の第1実施例の概略構成図を示す図1と同様であ
り、更に、上述の第1実施例の電気的構成を示す図3の
ブロック図、各信号波形を示す図4のタイムチャート、
図5のフローチャートも同様であり、その詳細な説明を
省略する。
【0057】本実施例のエンジンマウント4′は周知の
オリフィス付液封方式を採用したものであり、その他の
構成は上述の第1実施例の図2のエンジンマウント4と
同一である。したがって、図2のエンジンマウント4と
の相違点について重点的に説明する。
【0058】図7において、エンジンマウント4′の下
方へ開放するドーム状をなした厚肉の弾性体からなるマ
ウントゴム11の下方の周囲に接合された略円筒状の側
部材15の下方には中央が薄肉状の仕切部材24が挿入
されている。この仕切部材24の上方には薄肉のゴム膜
部材25が周縁部をリング状板26にて押さえられ複数
のボルト27で固定されている。
【0059】更に、仕切部材24の下方には中央が薄肉
で上に凸のゴム膜部材28が挿入され、底部材29によ
って側部材15及びマウントゴム11の下端、仕切部材
24及びゴム膜部材28の円周縁が同時カシメされ固定
されている。このような構成により、マウントゴム11
とゴム膜部材25とで閉塞された空間には非圧縮性流体
が封入され主液室X、ゴム膜部材25と仕切部材24と
で閉塞された空間には空気室Bが形成されている。ま
た、仕切部材24とゴム膜部材28とで閉塞された空間
には非圧縮性流体が封入され副液室Yが形成されてい
る。そして、主液室Xと副液室Yとが仕切部材24の外
周縁に形成された絞り流路Zにより連通され、振動入力
に応じて変形する主液室Xより絞り流路Zを経て副液室
Yへ非圧縮性流体を流通せしめることにより、防振効果
を得ている。
【0060】本実施例の薄肉のゴム膜部材25と仕切部
材24とで閉塞された空気室Bには外部と連通する空気
通路パイプ20が連結されており、この空気通路パイプ
20に接続された連結パイプ21の他端側は第1実施例
と同様にVSV2に連結されている。
【0061】本実施例では、第1実施例と同様、エンジ
ン振動に連動して最適なディレイ時間Δθ及び最適なO
N時間TでVSV2をON/OFFして負圧と大気圧と
を切替えるので、空気室Bの圧力が最適に制御される。
そして、空気室Bの圧力変化に応じ主液室Xの液圧が制
御自在であり、エンジンマウント4′の振動伝達特性
(動ばね定数及び減衰係数)を最適化して、エンジン振
動を大幅に遮断できる。また、本実施例はオリフィス付
液封方式を適用したものであるから、オリフィス効果に
より低周波数帯域でのエンジンシェイクの低減及び高周
波数帯域での動ばね定数低下によるエンジンノイズの低
減を達成することができる。
【0062】このように、本実施例の電子制御エンジン
マウントは、エンジンマウント4′が弾性膜部材として
のゴム膜部材25を介して空気室Bに隣接して設けられ
ており、非圧縮性流体が封入され車体1及びエンジン1
0からの入力振動により容積変化される主液室Xと、仕
切部材24を介して空気室Bに隣接して設けられてお
り、前記非圧縮性流体が封入されると共に仕切部材24
の一部に形成された連通孔としての絞り流路Zを介して
主液室Xと連通され容積変化が許容される副液室Yとを
有するものである。
【0063】したがって、空気室Bに隣接して設けられ
非圧縮性流体が封入された主液室Xと副液室Yとが絞り
通路Zを介して連通されており、車体1及びエンジン1
0からの入力振動により容積変化される。このため、エ
ンジンマウント4′は振動伝達特性が最適化、つまり、
液封マウントの封入液の効果によりエンジン10からの
振動に起因する高周波数帯域のエンジンノイズが低減さ
れ、更に、主液室Xと副液室Yとを連通する絞り通路Z
の液柱共振効果により低周波数帯域のエンジンシェイク
が低減される。
【0064】また、本実施例の電子制御エンジンマウン
トは、エンジン10の爆発1次振動に対して同一周期で
エンジン10の回転速度Nに応じて変化する所定の位相
差としてのディレイ時間Δθを有する信号である駆動電
圧Vout を形成するECU30にて達成される信号形成
手段を具備し、ECU30にて達成される制御手段は、
前記信号形成手段にて形成された信号によりVSV2か
らなる圧力切替手段を制御するものである。
【0065】したがって、ECU30でエンジン10の
爆発1次振動に対して同一周期でエンジン10の回転速
度Nに応じて変化するディレイ時間Δθを有する駆動電
圧Vout が形成され、この駆動電圧Vout によりVSV
2が制御される。このため、エンジンマウント4′の振
動伝達特性が最適化される。
【0066】そして、本実施例の電子制御エンジンマウ
ントは、更に、エンジン10の回転角を示す回転角信号
Ne を検出する回転角センサ7からなる回転角信号検出
手段と、エンジン10のクランク角度基準位置を示す基
準位置信号G2 を検出する基準位置センサ8からなる基
準位置信号検出手段とを具備し、ECU30にて達成さ
れる信号形成手段は、回転角信号Ne 及び基準位置信号
G2 に基づきエンジン10の爆発1次振動に対して同一
周期でエンジン10の回転速度Nに応じて変化する所定
の位相差としてのディレイ時間Δθを有する信号である
駆動電圧Voutを形成するものである。
【0067】したがって、回転角センサ7からの回転角
信号Ne 及び基準位置センサ8からの基準位置信号G2
によってECU30でエンジン10の爆発1次振動に対
して同一周期でエンジン10の回転速度Nに応じて変化
するディレイ時間Δθを有する駆動電圧Vout が形成さ
れ、この駆動電圧Vout によりVSV2が制御される。
このため、新たなセンサ等を追加することなくエンジン
マウント4′の振動伝達特性が最適化される。
【0068】更に、本実施例の電子制御エンジンマウン
トのエンジンの爆発1次振動は、車体1、エンジン1
0、エンジンマウント4′のうちの少なくとも1箇所に
取付けた加速度センサ5を用いて検出した加速度信号G
でフィードバック制御するものであってもよい。
【0069】即ち、エンジンの爆発1次振動が加速度セ
ンサ5を車体1、エンジン10、エンジンマウント4′
に適宜取付けることで適切に検出される。このため、駆
動電圧Vout 波形をエンジン10の振動と適合すること
ができる。
【0070】更にまた、本実施例の電子制御エンジンマ
ウントは、ECU30にて達成される制御手段が圧力切
替手段としてのVSV2をエンジン10の爆発振動に関
連するパラメータに基づいてデューティ比駆動制御する
ものである。このように、エンジン10の振動に関連す
るパラメータに基づいてVSV2がデューティ比駆動制
御されるため、エンジンマウント4′の振動伝達特性が
より最適に制御される。
【0071】〈実施例3〉図8は本発明の実施の形態の
第3実施例にかかる電子制御エンジンマウントにおける
エンジンマウント及びその周辺機器の詳細な構成を示す
断面図である。なお、本実施例の電子制御エンジンマウ
ントが適用されたエンジンとその周辺機器については、
上述の第1実施例の概略構成図を示す図1と同様であ
り、更に、上述の第1実施例の電気的構成を示す図3の
ブロック図、各信号波形を示す図4のタイムチャート、
図5のフローチャートも同様であり、その詳細な説明を
省略する。
【0072】図8において、エンジンマウント50の厚
肉の弾性体からなるマウントゴム(防振ゴム)51の中
心にはエンジン10を載置固定するため上方へ突出され
取付穴52aを有する固定部材52が埋込まれ、周囲に
は円筒形状の側部材53が溶着されそれぞれ一体的に固
定されている。このマウントゴム51の下方には円板状
のゴム膜部材55がリング状板材で補強された周縁部を
下方の仕切部材56に固定され配設されている。このゴ
ム膜部材55のマウントゴム51側の表面には所定の配
列からなる略半球形状の大きな突起55aと小さな突起
55bとが形成されている。また、仕切部材56の下方
にはお碗形状のゴム膜部材59がリング状板材で補強さ
れた周縁部を固定され配設されている。
【0073】そして、段付有底円筒形状の外側部材70
に、ゴム膜部材55及びゴム膜部材59が固定された仕
切部材56と固定部材52及びマウントゴム51が固定
された側部材53とが挿入されカシメられ一体化されて
いる。このような構成により、マウントゴム51とゴム
膜部材55とで閉塞された空間には空気室C、ゴム膜部
材55と仕切部材56とで閉塞された空間には非圧縮性
流体が封入され主液室M、仕切部材56とゴム膜部材5
9とで閉塞された空間には非圧縮性流体が封入され副液
室Nがそれぞれ形成されている。また、外側部材70の
底部にはその中心には車体1と連結固定するため下方へ
突出されたボルト73が圧入され、その周囲には車体1
との廻止突起71、ゴム膜部材59と外側部材70とで
囲まれた空間を大気開放とする穴72が穿設されてい
る。
【0074】更に、空気室Cは側部材53の外周面の一
部を切欠いた通路53a及び外側部材70の内周面の一
部を切欠いた通路70aから仕切部材56の通路56
a、その仕切部材56中央の通路56b、56cを通っ
て仕切部材56内に形成された空気室Dと接続されてい
る。なお、通路56bの一方の終端にはボール66、通
路56cの一方の終端にはボール67が打込まれてそれ
ぞれ閉塞されている。
【0075】仕切部材56の空気室Dの上方には弁体6
0が上下に摺動自在に配設され、その弁体60の下端に
はゴム膜部材61が座金63を介して取付けられ、座金
63と一体的な弁体60は空気室Dが大気圧であるとき
にはスプリング62の付勢力によって上方に移動され
る。なお、空気室Dは、ゴム膜部材61とOリング58
を用い圧入し仕切部材56に底部材57がカシメられる
ことで気密性が保持されている。この状態では、主液室
M内の非圧縮性流体が仕切部材56の通路56d、弁体
60内の通路60a,60b、通路56e、56fを通
って副液室N内に流れることができず、また、逆方向に
流れることもできない。なお、ゴム膜部材61の上面は
副液室N内の非圧縮性流体と仕切部材56に穿設された
通路56gを介して接している。
【0076】外側部材70には側部材53を貫通しマウ
ントゴム51の一部を通過してマウントゴム51とゴム
膜部材55とで閉塞された空気室C及び仕切部材56内
の空気室Dを外部と連通する空気通路パイプ74が連結
されており、この空気通路パイプ74に接続された連結
パイプ75の他端側は第1実施例と同様にVSV2に連
結されている。
【0077】本実施例では、アイドル運転時、第1実施
例と同様、エンジン振動に連動して最適なディレイ時間
Δθ及び最適なON時間TでVSV2をON/OFFし
て負圧と大気圧とが切替えられる。このとき、弁体60
は空気室Dの負圧が十分大きくならないためスプリング
62の付勢力によって仕切部材56の通路56dと弁体
60の通路60aとは非連通状態のままで主液室Mと副
液室Nとの間を非圧縮性流体は行き来できないため、空
気室Cの圧力がエンジン爆発振動に連動して適切に制御
されることでエンジンマウント50のアイドル運転時の
振動伝達特性(動ばね定数及び減衰係数)が最適化さ
れ、エンジン振動が十分に低減される。
【0078】また、アイドル運転時以外では、VSV2
が負圧側に接続されたままとなり空気室Dの負圧が十分
大きくなるため、弁体60がスプリング62の付勢力に
抗して下方に移動され仕切部材56の通路56dと弁体
60の通路60aとが連通状態とされる。したがって、
主液室Mと副液室Nとの間を非圧縮性流体が移動自在と
なり、オリフィスによる液柱共振効果により低周波数帯
域でのエンジンシェイクが押さえられる。
【0079】このように、本実施例の電子制御エンジン
マウントは、エンジンマウント50が弾性膜部材として
のゴム膜部材55を介して空気室Cに隣接して設けられ
ており、非圧縮性流体が封入され車体1及びエンジン1
0からの入力振動により容積変化される主液室Mと、前
記非圧縮性流体が封入されると共に仕切部材56の一部
に形成された連通孔としての通路56d,56e,56
fを介して主液室Mと連通され容積変化が許容される副
液室Nと、通路56d,56e,56fの流路途中に設
けられており、通路56d,56e,56fの流路を連
通状態または非連通状態とする弁体60、その通路60
a,60b及びゴム膜部材61、スプリング62、座金
63、通路53a,70a,56a,56b,56c,
56g、空気室Dとからなる断続手段を有し、ECU3
0にて達成される制御手段はVSV2からなる圧力切替
手段の駆動に応じて前記断続手段を制御するものであ
る。
【0080】したがって、空気室Cに隣接して設けられ
非圧縮性流体が封入された主液室Mとその下方の仕切部
材56に隣接して設けられた副液室Nとが通路56d,
56e,56fを介して断続手段としての弁体60、そ
の通路60a,60b及びゴム膜部材61、スプリング
62、座金63、通路53a,70a,56a,56
b,56c,56g、空気室Dによって連通状態または
非連通状態とされる。このため、エンジンマウント50
は車体1及びエンジン10からの入力振動により容積変
化されることで振動伝達特性が最適化、つまり、空気室
C内の圧力切替えによりエンジン10からの振動に起因
する高周波数帯域のエンジンノイズが低減され、更に、
主液室Mと副液室Nとを連通する通路56d,56e,
56f及び弁体60の通路60a,60bにより低周波
数帯域のエンジンシェイクが低減される。
【0081】また、本実施例の電子制御エンジンマウン
トは、エンジン10の爆発1次振動に対して同一周期で
エンジン10の回転速度Nに応じて変化する所定の位相
差としてのディレイ時間Δθを有する信号である駆動電
圧Vout を形成するECU30にて達成される信号形成
手段を具備し、ECU30にて達成される制御手段は、
前記信号形成手段にて形成された信号によりVSV2か
らなる圧力切替手段を制御するものである。
【0082】したがって、ECU30でエンジン10の
爆発1次振動に対して同一周期でエンジン10の回転速
度Nに応じて変化するディレイ時間Δθを有する駆動電
圧Vout が形成され、この駆動電圧Vout によりVSV
2が制御される。このため、エンジンマウント50の振
動伝達特性が最適化される。
【0083】そして、本実施例の電子制御エンジンマウ
ントは、更に、エンジン10の回転角を示す回転角信号
Ne を検出する回転角センサ7からなる回転角信号検出
手段と、エンジン10のクランク角度基準位置を示す基
準位置信号G2 を検出する基準位置センサ8からなる基
準位置信号検出手段とを具備し、ECU30にて達成さ
れる信号形成手段は、回転角信号Ne 及び基準位置信号
G2 に基づきエンジン10の爆発1次振動に対して同一
周期でエンジン10の回転速度Nに応じて変化する所定
の位相差としてのディレイ時間Δθを有する信号である
駆動電圧Voutを形成するものである。
【0084】したがって、回転角センサ7からの回転角
信号Ne 及び基準位置センサ8からの基準位置信号G2
によってECU30でエンジン10の爆発1次振動に対
して同一周期でエンジン10の回転速度Nに応じて変化
するディレイ時間Δθを有する駆動電圧Vout が形成さ
れ、この駆動電圧Vout によりVSV2が制御される。
このため、新たなセンサ等を追加することなくエンジン
マウント50の振動伝達特性が最適化される。
【0085】更に、本実施例の電子制御エンジンマウン
トのエンジンの爆発1次振動は、車体1、エンジン1
0、エンジンマウント50のうちの少なくとも1箇所に
取付けた加速度センサ5を用いて検出した加速度信号G
でフィードバック制御するものであってもよい。
【0086】即ち、エンジンの爆発1次振動が加速度セ
ンサ5を車体1、エンジン10、エンジンマウント50
に適宜取付けることで適切に検出される。このため、駆
動電圧Vout 波形をエンジン10の振動と適合すること
ができ、この信号でフィードバック制御してもよい。
【0087】更にまた、本実施例の電子制御エンジンマ
ウントは、ECU30にて達成される制御手段が圧力切
替手段としてのVSV2をエンジン10の爆発振動に関
連するパラメータに基づいてデューティ比駆動制御する
ものである。このように、エンジン10の振動に関連す
るパラメータに基づいてVSV2がデューティ比駆動制
御されるため、エンジンマウント50の振動伝達特性が
より最適に制御される。
【0088】加えて、本実施例の電子制御エンジンマウ
ントは、エンジンマウント50が、空気室Cを構成する
弾性膜部材としてのゴム膜部材55またはそのゴム膜部
材55に対向する部材としてのマウントゴム51のどち
らかまたは両方に少なくとも1種類以上の多数の突起5
5a,55bを有するものである。
【0089】したがって、ゴム膜部材55に形成された
略半球形状で高さが大きな突起55aによって空気室C
内が所定の負圧となったときの最小容積が確保されると
共に、略半球形状で高さが小さな突起55bによってゴ
ム膜部材55の空気室C側の内面がマウントゴム51に
密着し離れなくなるような不都合が回避される。
【0090】ところで、上記実施例では、エンジン10
の振動に連動して最適な駆動電圧Vout を形成するた
め、加速度センサ5からの加速度信号Gを用いている
が、本発明を実施する場合には、これに限定されるもの
ではなく、回転角センサ7からの回転角信号Ne と基準
位置センサ8からの基準位置信号G2 とを用いて、疑似
的にエンジン10の爆発に伴なうエンジン振動を演算推
定し制御してもよい。
【0091】また、上記実施例では、空気室A、空気室
B、空気室C(空気室D)の最大負圧をエンジンの回転
速度Nに対応してVSV2のON時間T(負圧側に接続
されている時間のデューティ比)を調整しているが、負
圧・大気圧の切替時間のデューティ比を一定にしたまま
で、負圧タンク3bの負圧をエンジン回転速度Nに応じ
て調整してもよい。
【0092】そして、上記実施例では、負圧タンク3b
の負圧源としてガソリンエンジンのインテークマニホル
ド3aからの負圧を用いたが、この代りにディーゼルエ
ンジンで用いられているバキュームポンプの負圧を用い
てもよい。
【0093】更に、上記実施例では、アクチュエータ駆
動回路43へ出力する制御信号Sout を算出するため
に、マップを用いてエンジン回転速度Nよりディレイ時
間Δθ及びVSV2のON時間Tが算出されているが、
マップの代りに加速度センサ5からの加速度信号Gに基
づく振動加速度gを用いて振動低減のためのフィードバ
ック制御をしてもよい。
【0094】なお、上記実施例では、図5のステップS
104にてエンジン回転速度Nに応じた振動が最小とな
るVSV2のON時間Tを求めているが、VSV2の駆
動方法はこれに限らず、例えば、VSV2をデューティ
比駆動制御し、その駆動デューティ比を予め最適化した
マップから求めるようにしてもよい。
【0095】なお、上記実施例では、略半球形状の高さ
と大きさの異なる突起をゴム膜部材55に設けたが、そ
の代わりにリング状の突起を設けてもよい。また、この
突起をマウントゴム51側または第2実施例の仕切部材
24側に設けてもよい。
【0096】〈実施例4〉図9は本発明の実施の形態の
第4実施例にかかる電子制御エンジンマウントが適用さ
れたエンジン周辺の構成を示す概略図である。なお、図
中、上述の第1実施例の図1と同様の構成または相当部
分からなるものについては同一符号及び同一記号を付し
てその詳細な説明を省略する。また、本実施例の電子制
御エンジンマウントは、上述の第2実施例の図7と同様
なエンジンマウント4′及びその周辺機器にて構成され
ており、その詳細な説明を省略する。本実施例のエンジ
ンマウント4′は、負圧式アクティブコントロールエン
ジンマウント(Vacuum Active Control Engine Mount:
以下、『V−ACM』と記す。)とも称する。
【0097】図9ではV型6気筒ガソリンエンジン形式
のエンジン10′のフロントマウントに適用された電子
制御エンジンマウントが示されている。なお、エンジン
10′と車体1との間にはフロントマウントの他、リヤ
等の3箇所にアクティブ制御されない防振ゴムマウント
または周知のオリフィス付液封マウントが配設されてい
る。
【0098】図9において、吸気管3の最上流側にはエ
アクリーナ81、その下流側には吸入された空気量に関
連する空気量信号QAを出力する熱線式のエアフローメ
ータ82、スロットルバルブ83をバイパスして空気量
を制御しアイドル回転速度を所定回転速度に保持するI
SC(Idle Speed Control:アイドル回転速度制御)の
ためのISCバルブ84が配設されている。そして、吸
気管3内のスロットルバルブ83またはISCバルブ8
4を通過した吸入空気は、サージタンク85、インテー
クマニホルド3aを通ってエンジン10′の各気筒に導
入されている。
【0099】図7に示すように、エンジンマウント4′
の空気室Bには外部と連通する空気通路パイプ20が連
結されており、この空気通路パイプ20に接続された連
結パイプ21の他端側はVSV2の3ポートのうちのコ
モンポートに接続されている。また、図9に示すよう
に、VSV2の他の2つのポートには、エンジン10′
のインテークマニホルド3aの上流側のサージタンク8
5からの負圧を逆止弁(図示略)にて蓄圧する負圧タン
ク3bと連結する負圧導入パイプ22、エアクリーナ8
1を通りスロットルバルブ83の上流側の吸気管3内の
空気(大気圧)を導入する大気導入パイプ23がそれぞ
れ接続されている。
【0100】このように、ガソリンエンジンにV−AC
Mを用いる場合には、負圧源として吸気管負圧が利用さ
れ、V−ACMと接続されるVSV2においては、大気
圧と負圧とが交互に切替えられるため吸気管3内に外気
が流れ込むこととなる。したがって、エンジンのA/F
(空燃比)に影響を与えないようにするため、吸気管3
内の空気(大気圧)をエアフローメータ82とスロット
ルバルブ83との間から取る必要がある。なお、本実施
例においては、図7に示すエンジンマウント4′の空気
室Bと接続されるVSV2がECU30からの駆動電圧
Vout に基づきON/OFF制御され、ONであるとき
大気圧、OFFであるとき負圧が導入され、即ち、消費
電力を少なくするため上述の第1実施例における図4
(d)に示す駆動電圧Vout と逆のタイミングにて空気
室Bの空気室圧が所定の負圧または大気圧に切替えられ
る。
【0101】また、エンジン10′のクランクシャフト
(図示略)に連結されその回転速度に関連した回転角信
号Ne を出力する回転角センサ7、クランク角度の基準
位置に関連した基準位置信号G2 を出力する基準位置セ
ンサ8、エンジン10′のシリンダハウジング内の冷却
水温に関連した冷却水温信号THWを出力する水温セン
サ86がそれぞれ設けられている。
【0102】このため、本実施例の電子制御エンジンマ
ウントにおける電気的構成としては、上述の第1実施例
の図3のブロック図と同様で、図9に示すように、EC
U30に対する入力信号として、加速度センサ5からの
加速度信号G、回転角センサ7からの回転角信号Ne 、
基準位置センサ8からの基準位置信号G2 に加えて、エ
アフローメータ82からの吸気量信号QA、水温センサ
86からの冷却水温信号THW、A/T(自動変速機)
からのシフト信号N(ニュートラルレンジ),D(ドラ
イブレンジ)が追加されている。
【0103】一般に、防振ゴムのような粘性抵抗の大き
な材料に動的荷重を加えた場合、その振動モデルは図1
0(a)、また、動的荷重Fは図10(b)に示すよう
なベクトルとなり、次式(1)に示すように、変位xと
その速度(dx/dt)との和にて表される。なお、δ
は動的荷重Fに対して変位xの時間的な遅れである損失
角である。
【0104】
【数1】 F=Kd *x+C*(dx/dt) =Kd *x+(Ki /ω)*(dx/dt) ・・・(1) ここで、Kd :貯蔵ばね定数、Ki :損失ばね定数、
C:減衰係数である。
【0105】また、エンジンマウント特性を表すのに横
軸を貯蔵ばね定数Kd 〔N/mm〕、縦軸を損失ばね定
数Ki 〔N/mm〕とする(Kd −Ki )平面を用いる
ことも一般的に行われる。本実施例で用いられているエ
ンジンマウント4′としてのV−ACMでは、所定の周
波数(例えば、20Hz)、所定の吸気管負圧(例え
ば、デューティ比50%〜20%)に対してVSV2へ
の入力矩形波としての駆動電圧Vout におけるディレイ
時間Δθ(位相角)を20°毎に一周期(360°)変
化させると、図11に示すV−ACM制御特性図を得る
ことができる。この特性図内に表される円を、以下の説
明では“制御円”と記す。つまり、この“制御円”の中
にあれば制御可能であることを示している。
【0106】図11においては、VSV2に印加する駆
動電圧Vout のデューティ比を変化させ“制御円”の直
径を変化させている。このように、デューティ比を変化
させることにより、図7に示すエンジンマウント4′の
空気室Bの圧力変化幅を変えることができる。図11で
は、デューティ比を50%から20%まで変化させてお
り、デューティ比50%のときの“制御円”の直径が最
大となっている。これに対して、50%より大きいデュ
ーティ比を与えて“制御円”の直径を変化させることも
できるが、デューティ比50%のとき空気室Bの圧力変
化幅が一番大きくなり“制御円”の直径は最大となる。
【0107】図11で明らかなように、V−ACM制御
特性を所定の周波数に対して制御するには、VSV2に
印加する駆動電圧Vout のディレイ時間Δθ(位相角)
とデューティ比Duty とを変えればよいことが分かる。
【0108】一般に、V−ACMの負圧室(図7に示す
エンジンマウント4′の空気室B)の有効な圧力変化幅
が得られる周波数限界は50Hz程度までで、アイドル
振動低減に有効である。したがって、次のようにV−A
CMを駆動制御する。
【0109】アイドル時・・・エンジンの爆発振動に連
動させてVSV2をON/OFF駆動し、大気圧と負圧
とを切替え、エンジンマウント4′の空気室Bの圧力が
制御されV−ACM制御特性が変更される。
【0110】非アイドル時・・・VSV2をOFFと
し、エンジンマウント4′の空気室Bに常時、負圧をか
けることでゴム膜部材25を仕切部材24に密着状態さ
せ、主液室Xと副液室Yとを連通する絞り流路Zの液柱
共振効果により低周波数帯域でのエンジンシェイクが低
減される。
【0111】次に、VSV2の駆動制御方式について説
明する。
【0112】図12はアイドル回転域において、エンジ
ンの運転状態により吸気管負圧PMが大きく変化するこ
とを示す特性図である。図12では、横軸をエンジン回
転速度N〔rpm〕、縦軸を吸気管負圧PM〔mmH
g〕の絶対値としたときの関係をNレンジ(負荷な
し)、Dレンジ(負荷なし)、Dレンジ(負荷有り;ヘ
ッドランプON及びリアデフォッガON及びエアコンO
N)をパラメータとして示している。
【0113】図13はエンジン振動(振動レベル、振動
振幅)がエンジンの運転状態により大きく変化すること
を示す特性図である。図12と同様に、横軸にエンジン
回転速度N〔rpm〕、左縦軸に振動レベル(振動加速
度)dB、右縦軸に振動振幅〔mm〕を取り、リアマウ
ント部位における上下方向のエンジンの爆発1次振動を
示している。一般に、エンジン負荷の大きい程、振動レ
ベル及び振動振幅は大きくなる。
【0114】図14はエンジンマウント4′の空気室B
の負圧変化幅を500mmHgから100mmHg刻み
で100mmHgまで変化させると、“制御円”の直径
が比例関係で小さくなることを示している。
【0115】図15はエンジンマウント4′に入力する
振動振幅(エンジン振動振幅に相当)を±0.1mmか
ら±0.2mm,±0.3mmと変化させると、“制御
円”の直径がそれぞれ1,1/2,1/3と小さくなる
ことを示している。
【0116】ここで、吸気管負圧PMまたはエンジン振
動振幅のエンジン負荷(エンジンの運転状態)による変
動は、上述のV−ACM制御特性に対しては予期せぬ外
乱となり得る。即ち、図14に示すように、エンジンマ
ウント4′の空気室Bの負圧変化幅と“制御円”の直径
とは比例関係にあり、図15に示すように、エンジン振
動振幅と“制御円”の直径とは逆比例関係にある。この
ため、エンジンの運転状態におけるエンジン負荷を知る
かその代用値を知ることができれば、上述のマップ値に
補正をかけることによって所望のV−ACM制御特性を
実現することができる。
【0117】図16は本発明の実施の形態の第4実施例
にかかる電子制御エンジンマウントで使用されているE
CU30内のCPU31の逆相制御(振動低減制御)実
行の処理手順を示すフローチャートである。なお、この
ルーチンは所定時間毎に実行される。
【0118】まず、ステップS201で、回転角センサ
7からの回転角信号Ne 、基準位置センサ8からの基準
位置信号G2 、水温センサ86からの冷却水温信号TH
W、A/Tレンジ信号N,Dが入力される。次にステッ
プS202に移行して、回転角信号Ne より現在のエン
ジン回転速度Nが算出される。次にステップS203に
移行して、エンジン回転速度Nが予め設定されたエンジ
ン回転速度Nth未満であるかが判定される。ステップS
203の判定条件が成立するときには、ステップS20
4に移行し、基準位置信号G2 が入力された直後である
かが判定される。ステップS204の判定条件が成立し
基準位置信号G2 が入力された直後であるときにはステ
ップS205に移行し、冷却水温THWが予め設定され
た冷却水温THWth以下であるかが判定される。
【0119】ステップS205の判定条件が成立し、冷
間時であるとステップS206に移行し、A/Tレンジ
信号がNレンジであるかが判定される。ステップS20
6の判定条件が成立するときには、ステップS207で
CN(Cool-Neutral)モード、一方、ステップS206
の判定条件が成立せずA/Tレンジ信号がDレンジであ
るときには、ステップS208でCD(Cool-Drive)モ
ードにそれぞれ設定される。ここで、ステップS205
の判定条件が成立せず、暖機時であるとステップS20
9に移行し、A/Tレンジ信号がNレンジであるかが判
定される。ステップS209の判定条件が成立するとき
には、ステップS210でHN(Hot-Neutral)モード、
一方、ステップS209の判定条件が成立せずA/Tレ
ンジ信号がDレンジであるときには、ステップS211
でHD(Hot-Drive)モードにそれぞれ設定される。
【0120】そして、ステップS212に移行し、RO
M41に格納された図示しないマップに従ってエンジン
回転速度Nよりディレイ時間Δθ及びステップS20
8、ステップS207、ステップS210、ステップS
211にて設定された各モードにおける基本的なVSV
2のデューティ比Duty が算出される。なお、このマッ
プは予め実車実験等にてエンジン回転速度N毎に測定点
(例えば、車両のステアリングホイール位置)の振動が
最小となるように作成されている。次にステップS21
3に移行して、エンジン20回転当たりの空気量Gr
〔g/20rev〕、比例定数αi 、定数βi が入力さ
れる。次にステップS214に移行して、デューティ比
Duty に対する負荷補正が実行される。
【0121】ここで、エアフローメータ82からの出力
値に基づく一補正例について述べる。マップから読取っ
た上述の基本的なVSV2のデューティ比Duty をDi
、補正後のデューティ比をDDi 、負荷補正係数をC
fi とすると次式(2)に示すように補正される。
【0122】
【数2】 DDi =Cfi *Di ・・・(2) 但し、Cfi =Gr *ai +bi Gr =G/(N/60)*20=1200*G/N Gr :エンジン20回転当たりの空気量〔g/20re
v〕、ai :比例定数、bi :定数、G:瞬時空気流量
〔g/sec〕、N:エンジン回転速度〔rpm〕であ
る。
【0123】なお、比例定数ai 及び定数bi は、図1
7(a)に示すように、エンジン回転速度N〔rpm〕
に対して50rpm毎にマップ化され、瞬時空気流量G
は、図17(b)に示すように、エアフローメータ82
の出力値QA〔V〕に対してそれぞれマップ化されてお
り、その間の値は直線補間演算にて求められる。
【0124】次のステップS215では、既にRAM4
0に格納されているΔθ、デューティ比Duty が新たな
算出値(補正後のデューティ比DDi )に更新される。
そして、ステップS216に移行し、これらのディレイ
時間Δθ及びVSV2のデューティ比Duty を加味した
上で、この時点での制御信号Sout の値が算出され、ア
クチュエータ駆動回路43に出力され、本ルーチンを終
了する。
【0125】一方、ステップS204の判定条件が成立
せず、基準位置信号G2 の入力直後でないときには、ス
テップS205〜ステップS215がスキップされ、ス
テップS216に移行し、RAM40のディレイ時間Δ
θ及びVSV2のデューティ比Duty を加味して制御信
号Sout の算出・出力処理が実行され、本ルーチンを終
了する。つまり、ディレイ時間Δθ及びVSV2のデュ
ーティ比Duty は基準位置信号G2 の入力毎に最適値に
更新されるのである。
【0126】また、ステップS203の判定条件が成立
しないときには、ステップS217に移行し、VSV2
のデューティ比Duty が0%(OFF)とされ、吸気管
負圧のみがエンジンマウント4′の空気室Bに導入さ
れ、本ルーチンを終了する。
【0127】このようにして作成された制御信号Sout
に基づき、アクチュエータ駆動回路43からVSV2の
コイル2aに矩形波の駆動電圧Vout が出力され、VS
V2がエンジン振動に連動してON/OFFされ、空気
室Bの空気室圧が所望のように変化される。
【0128】本実施例の電子制御エンジンマウントは、
エンジン10′からの振動が入力されるエンジンマウン
ト4′の空気室Bの空気室圧が振動に連動して適切に制
御されるので、エンジンマウント4′の振動伝達特性
(動ばね定数及び減衰係数)は最適となり、エンジン振
動の伝達を確実に低減することができる。
【0129】このように、本実施例の電子制御エンジン
マウントにおけるECU30にて達成される制御手段
は、エンジン負荷に基づき圧力切替手段としてのVSV
2に対する制御量を補正するものである。
【0130】したがって、エンジン10′に対して電気
負荷等のエンジン負荷にて設定される運転状態に基づき
VSV2に対する制御量としての駆動電圧Vout が補正
される。このように、エンジン10′を支えるエンジン
マウント4′の空気室Bがエンジン負荷に連動して適切
に制御されるため、エンジンマウント4′の振動伝達特
性は最適となり、エンジン振動の伝達を確実に低減する
ことができる。
【0131】また、本実施例の電子制御エンジンマウン
トは、エンジン10′の運転状態に基づく吸気管負圧P
Mの変化に対応してエンジンマウント4′が所望の振動
伝達特性となるよう空気室B内の圧力を補正するECU
30にて達成される補正手段を具備するものである。
【0132】つまり、図14の(Kd −Ki )平面に示
すように、吸気管負圧PMの大きさと“制御円”の直径
の大きさとを比例関係で変化させることができる。この
ため、エンジンマウント4′の空気室B内の圧力が適切
に補正されることでエンジンマウント4′は所望の振動
伝達特性を得ることができる。
【0133】そして、本実施例の電子制御エンジンマウ
ントは、エンジン10′の運転状態に基づく入力振動の
変化に対応してエンジンマウント4′が所望の振動伝達
特性となるよう空気室B内の圧力を補正するECU30
にて達成される補正手段を具備するものである。
【0134】つまり、図15の(Kd −Ki )平面に示
すように、エンジン10′からの入力振動に相当する振
動振幅の大きさと“制御円”の直径の大きさとを逆比例
関係で変化させることができる。このため、エンジンマ
ウント4′の空気室B内の圧力が適切に補正されること
でエンジンマウント4′は所望の振動伝達特性を得るこ
とができる。
【0135】更に、本実施例の電子制御エンジンマウン
トのECU30にて達成される補正手段は、エアフロー
メータ82から出力値またはその出力値に基づき算出さ
れた値を用いて補正するものであり、本実施例のよう
に、予めエアフローメータ82を備えていれば、その出
力値をECU30内に取込むことで容易に補正量が算出
でき、エンジンマウント4′の空気室B内の圧力が最適
化されることでエンジンマウント4′は所望の振動伝達
特性を得ることができる。
【0136】更にまた、本実施例の電子制御エンジンマ
ウントのエンジンマウント4′は、空気室B内に導入す
る大気圧を吸気管3に配設されたエアフローメータ82
とスロットルバルブ83との間から取出すものであり、
大気圧として外気を取入れることがないためA/F(空
燃比)の乱れをなくすことができると共に、VSV2か
らの吸気音を低減することができる。
【0137】ところで、上記実施例では、エアフローメ
ータ82からの吸気量信号QAを用いてVSV2に対す
る駆動電圧Vout のデューティ比を補正するとしたが、
本発明を実施する場合には、これに限定されるものでは
なく、エンジンへの燃料供給がサージタンク85(吸気
管3)部分に配設された吸気圧センサによる吸気圧とそ
のときのエンジン回転速度に基づいて燃料噴射制御され
るスピードデンシティ方式であれば、その吸気圧信号P
Mを用いてVSV2に対する駆動電圧Vout のデューテ
ィ比を補正してもよい。
【0138】このような電子制御エンジンマウントにお
いては、ECU30にて達成される補正手段が、吸気圧
センサからの出力値またはその出力値に基づき算出され
た値を用いて補正するものであり、予め吸気圧センサを
備えていれば、その出力値をECU30内に取込むこと
で容易に補正量が算出でき、エンジンマウント4′の空
気室B内の圧力が適切に補正されることでエンジンマウ
ント4′は所望の振動伝達特性を得ることができる。
【0139】〈実施例5〉図18は本発明の実施の形態
の第5実施例にかかる電子制御エンジンマウントが適用
されたエンジン周辺の構成を示す概略図である。なお、
図中、上述の第1実施例の図1及び第4実施例の図9と
同様の構成または相当部分からなるものについては同一
符号及び同一記号を付してその詳細な説明を省略する。
また、本実施例の電子制御エンジンマウントは、上述の
第2実施例の図7と同様なエンジンマウント4′及びそ
の周辺機器にて構成されており、その詳細な説明を省略
する。なお、本実施例においても、図7に示すエンジン
マウント4′の空気室Bと接続されるVSV2がECU
30からの駆動電圧Vout に基づきON/OFF制御さ
れ、ONであるとき大気圧、OFFであるとき負圧が導
入され、即ち、消費電力を少なくするため上述の第1実
施例における図4(d)に示す駆動電圧Voutと逆のタ
イミングにて空気室Bの空気室圧が所定の負圧または大
気圧に切替えられる。
【0140】図18において、上述の第1実施例の図1
との相違点は、上述の第4実施例の図9と同様、エンジ
ン10のシリンダハウジングには水温センサ86が設け
られ、その水温センサ86からの冷却水温に関連した冷
却水温信号THW、更に、A/T(自動変速機)のシフ
ト位置がN(ニュートラルレンジ)またはD(ドライブ
レンジ)にあることを表すA/TレンジSW(スイッ
チ)87からのニュートラルセーフティスイッチ信号N
SW、エアコンSW(スイッチ)88からのエアコン信
号A/CがそれぞれECU30に入力されていることで
ある。
【0141】このため、本実施例の電子制御エンジンマ
ウントにおける電気的構成としては、上述の第1実施例
の図3のブロック図とほぼ同様で、図19に示すよう
に、ECU30に対する入力信号のみが相違している。
即ち、図19に示すように、ECU30に対する入力信
号として、回転角センサ7からの回転角信号Ne 、基準
位置センサ8からの基準位置信号G2 に加えて、水温セ
ンサ86からの冷却水温信号THW、A/T(自動変速
機)のA/TレンジSW87からのニュートラルセーフ
ティスイッチ信号NSW、エアコンSW88からのエア
コン信号A/Cが追加されている。なお、本実施例では
加速度センサは用いられていない。
【0142】図20は本発明の実施の形態の第5実施例
にかかる電子制御エンジンマウントで使用されているE
CU30内のCPU31の逆相制御(振動低減制御)実
行の処理手順を示すフローチャートであり、図21のマ
ップを参照して説明する。このルーチンは所定時間毎に
実行される。また、図21(a)は冷却水温信号THW
とエアコン信号A/Cとにより選定されるマップであ
り、図21(b)はエンジン回転速度Nからディレイ時
間Δθ及びデューティ比Duty を算出するマップ内容を
示す。なお、図21(b)ではエンジン回転速度Nが5
0rpm毎に示されており、その中間のディレイ時間Δ
θ及びデューティ比Duty は直線補間され算出される。
【0143】図20において、まず、ステップS301
で、回転角センサ7からの回転角信号Ne 、基準位置セ
ンサ8からの基準位置信号G2 、水温センサ86からの
冷却水温信号THW、A/TレンジSW87からのニュ
ートラルセーフティスイッチ信号NSW、更にエアコン
SW88からのエアコン信号A/Cが入力される。次に
ステップS302に移行して、回転角信号Ne より現在
のエンジン回転速度Nが算出される。次にステップS3
03に移行して、ニュートラルセーフティスイッチ信号
NSWがOFF状態でありDレンジ(L,2nd,Rレン
ジを含む)を表しているかが判定される。ステップS3
03の判定条件が成立するときには、ステップS304
に移行し、エンジン回転速度Nが例えば、500rpm
とする第1の所定回転速度N1 以上であり、例えば、1
000rpmとする第2の所定回転速度N2 以下である
かが判定される。ステップS304の判定条件が成立す
るときには、アイドル運転時であるとしてアイドル振動
低減処理がステップS305以降で実行される。
【0144】ステップS305では、基準位置信号G2
が入力された直後であるかが判定される。ステップS3
05の判定条件が成立し、基準位置信号G2 が入力され
た直後であるときにはステップS306に移行し、水温
センサ86からの冷却水温信号THW、エアコンSW8
8からのエアコン信号A/Cが入力される。次にステッ
プS307に移行して、冷却水温信号THWが予め設定
された冷却水温THWth以下であるかが判定される。ス
テップS307の判定条件が成立し、冷間時であるとき
にはステップS308に移行し、エアコン信号A/Cが
ON状態であるかが判定される。ステップS308の判
定条件が成立し、エアコンがON状態であるときにはス
テップS309に移行し、ROM41内に格納された図
示しない冷間時エアコンONのときのCNマップが選定
される(図21(a)参照)。一方、ステップS308
の判定条件が成立せず、エアコンがOFF状態であると
きにはステップS310に移行し、ROM41内に格納
された図示しない冷間時エアコンOFFのときのCFマ
ップが選定される(図21(a)参照)。
【0145】一方、ステップS307の判定条件が成立
せず、暖機時であるときにはステップS311に移行
し、エアコン信号A/CがON状態であるかが判定され
る。ステップS311の判定条件が成立し、エアコンが
ON状態であるときにはステップS312に移行し、R
OM41内に格納された図示しない暖機時エアコンON
のときのHNマップが選定される(図21(a)参
照)。一方、ステップS311の判定条件が成立せず、
エアコンがOFF状態であるときにはステップS313
に移行し、ROM41内に格納された図示しない暖機時
エアコンOFFのときのHFマップが選定される(図2
1(a)参照)。なお、これらのマップは予め実車実験
等にてエンジン回転速度毎に測定点(例えば、車両のス
テアリングホイール位置)の振動が最小となるように作
成されている。
【0146】ステップS309、ステップS310、ス
テップS312またはステップS313で冷却水温信号
THW及びエアコン信号A/Cに対応した各マップが選
定されたのち、ステップS314に移行し、その選定さ
れた図21(b)に示すマップに従って、エンジン回転
速度Nに基づき制御位相としてのディレイ時間Δθ及び
デューティ比Duty が算出される。次にステップS31
5に移行して、既にRAM40内に格納されているディ
レイ時間Δθ及びデューティ比Duty がステップS31
4で算出された新たな算出値に更新される。ここで、ス
テップS305の判定条件が成立せず、基準位置信号G
2 の入力直後でないときには、ステップS306〜ステ
ップS315がスキップされ、ディレイ時間Δθ及びデ
ューティ比Duty の更新は行われない。
【0147】一方、ステップS303の判定条件が成立
せず、ニュートラルセーフティスイッチ信号NSWがO
N状態でありNレンジ(Pレンジを含む)を表している
とき、またはステップS304の判定条件が成立せず、
エンジン回転速度Nが例えば、500rpm未満の始動
途中や1000rpmを越える非アイドル運転時である
ときには、ステップS316に移行する。ステップS3
16では、エンジンマウント4′の空気室B内の空気室
圧Pを負圧とするためVSV2に対するVSV出力が0
〔デューティ比Duty が0%(OFF)〕とされる。
【0148】ステップS315、またはステップS31
6の処理ののち、ステップS317に移行し、RAM4
0内のディレイ時間Δθ及びデューティ比Duty を加味
してVSV2に対する制御信号Sout の算出・出力処理
が実行され、本ルーチンを終了する。つまり、ディレイ
時間Δθ及びデューティ比Duty は基準位置信号G2の
入力毎に最適値に更新されるのである。
【0149】このようにして作成された制御信号Sout
に基づき、アクチュエータ駆動回路43からVSV2の
コイル2aに矩形波の駆動電圧Vout が出力され、VS
V2がエンジン振動に連動してON/OFFされ、エン
ジンマウント4′の空気室B内の空気室圧Pが所望のよ
うに変化される。
【0150】ここで、図22は本実施例装置でエンジン
負荷としてエアコンのON/OFFを考慮する根拠とな
るエンジン回転速度に対する吸入負圧の変化を示す特性
図である。
【0151】図22の特性図からも明らかなように、エ
ンジン回転速度Nに対するエンジン負荷としての吸入負
圧の変化が、NレンジとDレンジとの間の変化よりもエ
アコンを作動させたときに特に大きいことが分かる。こ
のため、上述の制御により、エンジンの運転状態によっ
て異なるエンジン負荷としてのエアコンのON/OFF
の影響が考慮された最適な制御が実行されることとな
る。
【0152】このように、本実施例の電子制御エンジン
マウントのECU30にて達成される制御手段は、エア
コンのON/OFFに応じてVSV2に対する制御マッ
プを切替えるものである。このため、エンジンの運転状
態によって異なるエンジン負荷としてのエアコンのON
/OFFの影響が考慮された最適な制御が実行され、エ
ンジンの運転状態の如何にかかわらずアイドル振動低減
することができる。
【0153】また、振動レベルが良好なA/Tの変速域
がNレンジ(Pレンジを含む)ではアイドル振動低減制
御を実行せず、振動レベルが悪く使用頻度の高いDレン
ジ(L,2nd,Rレンジを含む)のみにおいてアイドル
振動低減制御が実行される。このため、運転者が最も気
になる運転状態におけるアイドル振動が改善されると共
に、VSV50やゴム膜部材25の作動回数が減って耐
久信頼性が向上される。
【0154】ところで、上述の第5実施例の図18及び
図19のアイドル振動低減制御において、車速センサを
追加し、その車速センサからの車速信号をECU30に
入力し、その車速信号の大きさを考慮してアイドル運転
時を更に特定してもよい。即ち、このときには、上述の
図20のステップS301で車速センサからの車速信号
も入力され、ステップS303の判定以前において、そ
の車速信号から求められた車速が予め設定されたアイド
ル運転時を判定するための車速として、例えば、5km
/hと比較され、車速が5km/h未満であればアイド
ル運転時であるとして、図20のステップS303に移
行され、以下、同様の処理が実行される。
【0155】このようにして、アイドル運転時(車速が
5km/h未満、エンジン回転速度500rpm〜10
00rpmのとき)のみ、エンジン10の振動に連動し
たアクティブな振動低減制御が実行される。即ち、エン
ジン10の爆発1次振動に対して同一周期でエンジン回
転速度Nに応じて変化する所定の位相差としての最適な
ディレイ時間Δθ及び最適なデューティ比Duty でVS
V50をON/OFF制御して負圧と大気圧とを切替
え、エンジンマウント4′の空気室B内の空気室圧Pが
最適に制御されアイドル振動が低減される。
【0156】このように、本実施例の電子制御エンジン
マウントのECU30にて達成される制御手段は、エン
ジン10がアイドル運転時のみVSV2をエンジン10
の爆発振動に応じて駆動しエンジンマウント4′の空気
室B内の空気室圧Pを制御するものである。即ち、VS
V2やエンジンマウント4′の空気室Bを形成するゴム
膜部材25の作動がアイドル運転時のみとなるため作動
回数が減って結果的に耐久信頼性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施の形態の第1実施例乃至
第3実施例にかかる電子制御エンジンマウントが適用さ
れたエンジン周辺の構成を示す概略図である。
【図2】 図2は本発明の実施の形態の第1実施例にか
かる電子制御エンジンマウントにおけるエンジンマウン
ト及びその周辺機器の詳細な構成を示す断面図である。
【図3】 図3は本発明の実施の形態の第1実施例乃至
第3実施例にかかる電子制御エンジンマウントにおける
電気的構成を示すブロック図である。
【図4】 図4は本発明の実施の形態の第1実施例乃至
第3実施例にかかる電子制御エンジンマウントが適用さ
れた4サイクル直列4気筒エンジンにおける各信号波形
を示すタイムチャートである。
【図5】 図5は本発明の実施の形態の第1実施例乃至
第3実施例にかかる電子制御エンジンマウントで使用さ
れているECU内のCPUの処理手順を示すフローチャ
ートである。
【図6】 図6は本発明の実施の形態の第1実施例にか
かる電子制御エンジンマウントで制御されたときのエン
ジン回転速度に対する振動レベルを制御なしのときと比
較して示す特性図である。
【図7】 図7は本発明の実施の形態の第2実施例にか
かる電子制御エンジンマウントにおけるエンジンマウン
ト及びその周辺機器の詳細な構成を示す断面図である。
【図8】 図8は本発明の実施の形態の第3実施例にか
かる電子制御エンジンマウントにおけるエンジンマウン
ト及びその周辺機器の詳細な構成を示す断面図である。
【図9】 図9は本発明の実施の形態の第4実施例にか
かる電子制御エンジンマウントが適用されたエンジン周
辺の構成を示す概略図である。
【図10】 図10は本発明の実施の形態の第4実施例
にかかる電子制御エンジンマウントにおける振動モデル
と動的荷重のベクトルを示す説明図である。
【図11】 図11は本発明の実施の形態の第4実施例
にかかる電子制御エンジンマウントにおけるエンジンマ
ウントに対する所定の試験条件下(制御デューティ比を
変えたとき)の“制御円”を示す特性図である。
【図12】 図12は本発明の実施の形態の第4実施例
にかかる電子制御エンジンマウントにおけるエンジンマ
ウントに対するエンジン負荷と吸気管負圧との関係を示
す特性図である。
【図13】 図13は本発明の実施の形態の第4実施例
にかかる電子制御エンジンマウントにおけるエンジンマ
ウントに対するエンジン負荷と振動レベル及び振動振幅
との関係を示す特性図である。
【図14】 図14は本発明の実施の形態の第4実施例
にかかる電子制御エンジンマウントにおけるエンジンマ
ウントに対する所定の試験条件下(吸気管負圧を変えた
とき)の“制御円”を示す特性図である。
【図15】 図15は本発明の実施の形態の第4実施例
にかかる電子制御エンジンマウントにおけるエンジンマ
ウントに対する所定の試験条件下(振動振幅を変えたと
き)の“制御円”を示す特性図である。
【図16】 図16は本発明の実施の形態の第4実施例
にかかる電子制御エンジンマウントで使用されているE
CU内のCPUの処理手順を示すフローチャートであ
る。
【図17】 図17は図16で用いられるマップであ
る。
【図18】 図18は本発明の実施の形態の第5実施例
にかかる電子制御エンジンマウントが適用されたエンジ
ン周辺の構成を示す概略図である。
【図19】 図19は本発明の実施の形態の第5実施例
にかかる電子制御エンジンマウントにおける電気的構成
を示すブロック図である。
【図20】 図20は本発明の実施の形態の第5実施例
にかかる電子制御エンジンマウントで使用されているE
CU内のCPUの処理手順を示すフローチャートであ
る。
【図21】 図21は図20で用いられるマップであ
る。
【図22】 図22は本発明の実施の形態の第5実施例
にかかる電子制御エンジンマウントにおけるエンジン負
荷が変化したときのエンジン回転速度に対する吸入負圧
の変化を示す特性図である。
【符号の説明】
1 車体 2 VSV(バキュームスイッチングバルブ)(圧力切
替手段) 4,4′,50 エンジンマウント 5 加速度センサ 7 回転角センサ(回転角信号検出手段) 8 基準位置センサ(基準位置信号検出手段) 10,10′ エンジン(内燃機関) 30 ECU(電子制御装置)(制御手段) 82 エアフローメータ 86 水温センサ 87 A/TレンジSW 88 エアコンSW
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−12172(JP,A) 特開 昭61−233237(JP,A) 特開 昭60−30838(JP,A) 特開 平6−33986(JP,A) 特開 平6−33977(JP,A) 実開 昭59−18016(JP,U) 実開 昭60−143946(JP,U) 実開 昭63−44822(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16F 13/00

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体とエンジンとの間に配設され、気体
    が封入され前記車体及び前記エンジンからの入力振動に
    より容積変化される気体室を有するエンジンマウント
    と、 前記気体室内の圧力を前記エンジンから供給される所定
    の負圧または大気圧に切替自在な圧力切替手段と、 前記エンジンが所定の運転状態にあるときには前記圧力
    切替手段を前記エンジンの爆発振動に応じて駆動し前記
    気体室内の圧力を制御することにより前記エンジンマウ
    ントの振動伝達特性を変更自在な制御手段とを具備する
    ことを特徴とする電子制御エンジンマウント。
  2. 【請求項2】 前記エンジンマウントは、弾性膜部材を
    介して前記気体室に隣接して設けられており、非圧縮性
    流体が封入され前記車体及び前記エンジンからの入力振
    動により容積変化される主液室と、仕切部材を介して前
    記気体室に隣接して設けられており、前記非圧縮性流体
    が封入されると共に前記仕切部材の一部に形成された連
    通孔を介して前記主液室と連通され容積変化が許容され
    る副液室とを有することを特徴とする請求項1に記載の
    電子制御エンジンマウント。
  3. 【請求項3】 前記エンジンマウントは、弾性膜部材を
    介して前記気体室に隣接して設けられており、非圧縮性
    流体が封入され前記車体及び前記エンジンからの入力振
    動により容積変化される主液室と、前記非圧縮性流体が
    封入されると共に仕切部材の一部に形成された連通孔を
    介して前記主液室と連通され容積変化が許容される副液
    室と、前記連通孔の流路途中に設けられており、前記連
    通孔の流路を連通状態または非連通状態とする断続手段
    とを有し、 前記制御手段は前記圧力切替手段の駆動に応じて前記断
    続手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の電
    子制御エンジンマウント。
  4. 【請求項4】 前記エンジンの爆発1次振動に対して同
    一周期で前記エンジンの回転速度に応じて変化する所定
    の位相差を有する信号を形成する信号形成手段を具備
    し、 前記制御手段は、前記信号形成手段にて形成された信号
    により前記圧力切替手段を制御することを特徴とする請
    求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の電子制御エン
    ジンマウント。
  5. 【請求項5】 更に、前記エンジンの回転角を示す回転
    角信号を検出する回転角信号検出手段と、 前記エンジンのクランク角度基準位置を示す基準位置信
    号を検出する基準位置信号検出手段とを具備し、 前記信号形成手段は、前記回転角信号及び前記基準位置
    信号に基づき前記エンジンの爆発1次振動に対して同一
    周期で前記エンジンの回転速度に応じて変化する所定の
    位相差を有する信号を形成する手段であることを特徴と
    する請求項4に記載の電子制御エンジンマウント。
  6. 【請求項6】 前記エンジンの爆発1次振動は、前記車
    体、前記エンジン、前記エンジンマウントのうちの少な
    くとも1箇所に取付けられた加速度センサを用いて検出
    した信号でフィードバック制御することを特徴とする請
    求項4または請求項5に記載の電子制御エンジンマウン
    ト。
  7. 【請求項7】 前記制御手段は、前記圧力切替手段を前
    記エンジンの爆発振動に関連するパラメータに基づいて
    デューティ比駆動制御することを特徴とする請求項1乃
    至請求項6の何れか1つに記載の電子制御エンジンマウ
    ント。
  8. 【請求項8】 前記エンジンマウントは、前記気体室を
    構成する前記弾性膜部材または前記弾性膜部材に対向す
    る部材のどちらかまたは両方に少なくとも1種類以上の
    多数の突起を有することを特徴とする請求項2乃至請求
    項7の何れか1つに記載の電子制御エンジンマウント。
  9. 【請求項9】 前記制御手段は、前記エンジンの負荷に
    基づき前記圧力切替手段に対する制御量を補正すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載
    の電子制御エンジンマウント。
  10. 【請求項10】 前記エンジンの運転状態に基づく吸気
    管負圧の変化に対応して前記エンジンマウントが所望の
    振動伝達特性となるよう前記気体室内の圧力を補正する
    補正手段を具備することを特徴とする請求項1乃至請求
    項9の何れか1つに記載の電子制御エンジンマウント。
  11. 【請求項11】 前記エンジンの運転状態に基づく入力
    振動の変化に対応して前記エンジンマウントが所望の振
    動伝達特性となるよう前記気体室内の圧力を補正する補
    正手段を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項
    9の何れか1つに記載の電子制御エンジンマウント。
  12. 【請求項12】 前記補正手段は、エアフローメータか
    らの出力値またはその出力値に基づき算出された値を用
    いて補正することを特徴とする請求項10または請求項
    11に記載の電子制御エンジンマウント。
  13. 【請求項13】 前記補正手段は、吸気圧センサからの
    出力値またはその出力値に基づき算出された値を用いて
    補正することを特徴とする請求項10または請求項11
    に記載の電子制御エンジンマウント。
  14. 【請求項14】 前記制御手段は、エアコンの入/切に
    応じて前記圧力切替手段に対する制御マップを切替える
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項13の何れか1つ
    に記載の電子制御エンジンマウント。
  15. 【請求項15】 前記エンジンマウントは、前記気体室
    内に導入する大気圧を吸気管に配設されたエアフローメ
    ータとスロットルバルブとの間から取出すことを特徴と
    する請求項1乃至請求項14の何れか1つに記載の電子
    制御エンジンマウント。
  16. 【請求項16】 前記制御手段は、前記エンジンがアイ
    ドル運転時のみ前記圧力切替手段を前記エンジンの爆発
    振動に応じて駆動し前記気体室内の圧力を制御すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項15の何れか1つに記
    載の電子制御エンジンマウント。
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KR100946858B1 (ko) * 2007-10-25 2010-03-09 현대자동차주식회사 엔진 마운트 제어방법
KR101451128B1 (ko) * 2009-11-16 2014-10-15 현대자동차주식회사 에어홀 개폐유닛을 구비하는 에어 댐핑 마운트
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