JP2856281B2 - 排水の脱リン方法 - Google Patents

排水の脱リン方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は排水中のリンを除去する方法に関する。
〔従来技術〕
排水中のリンの除去方法として、リン成分を不溶化し
て固液・分離するために、アルミニウム塩、鉄塩、カル
シウム塩などを添加する。生成した不溶化生成物はリン
酸アルミニウム、リン酸鉄、ヒドロキシアパタイト、水
酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化カルシウムなどで
あり、これらはいずれも結晶の圧密性が低く、固液分離
性や脱水性が悪いという問題点があった。
低濃度リン含有排水については、リン鉱石などを種晶
として充填した晶析過式脱リン方法が公知であるが、
この方法は原排水中リン濃度が、数mg−P/の低濃度排
水に有効であり、数十、数百mg−P/濃度になると、カ
ルシウムが存在する系では不溶化が急速に起るため、脱
水性の悪いゲル状析出物となり、かつ析出物量が多いた
めに晶析過では負荷が高く実用化ができないという問
題点があった。
晶析過での負荷を小さくするために晶析過の前処
理(カルシウム塩の添加による不溶化後)として沈殿槽
を設けることは晶析過の差圧を少なくし、過持続時
間を長くすることができるので有効である。沈殿槽で得
られるヒドロキシアパタイトは圧密性の低い分離性の悪
いゲル状沈殿物であり、固液分離をするためには沈降用
凝集剤が必要である。
〔目的〕
本発明は、排水中のリンを分離性のよい結晶とするこ
とにより、高能率で排水の脱リンを行うことを目的とす
るものである。
〔構成〕
本発明は、リン酸イオンとカルシウムイオンとの反応
により生成する沈殿物の性質について検討した結果、pH
6.5〜7.0では圧密性のよい沈殿物(アパタイト)が生成
するが、pHが8.0〜8.5ではリンの除去率は向上するが沈
殿物が圧密性が悪いという現象に着目してなされたもの
である。
すなわち、本発明は、リンを含有する排水にカルシウ
ム化合物を添加し、リンを不溶化した後、固液分離して
排水中のリンを除去する方法において、前記リンの不溶
化のためにpHを6.5〜7.0に調整する第一段調整と、つい
で、固液を分離することなくpHを8.5〜8.5に調整する第
二段調整とからなるpHの二段調整を行うことを特徴とす
るものである。
通常、第一段調整で結晶の全生成量の約90%(対容
量)を生成させ、残りを第二段調整において完全に結晶
化させるものである。このようにすれば、全体として沈
殿物は圧密性がすぐれているのみならず、リンの除去率
も満足すべき結果を与える。第一段調整においてpHを6.
0以下にすると、リンの除去率が70%と低く、結果的に
第二段調整で生成する圧密性の悪い結晶の割合が多くな
り、全体として分離性の悪い結晶になってしまう。
前記カルシウム化合物としては、水酸化カルシウム、
酸化カルシウム、塩化カルシウム等を挙げることができ
る。
又、pH調整に使用するアルカリ化剤としては、水酸化
ナトリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができ
る。pHの調整にさいしては種晶の共存下に行うのが好ま
しい。これにより沈殿の進行を促進することができる。
種晶としては、系内で生成した第二調整槽以降の結晶、
骨炭、リン鉱石等をあげることができる。
固液分離手段としては、凝集沈殿法あるいはフィルタ
ープレスのような通常の固液分離方法でもよいし、UF,M
F,ROなどの膜モジュールを用いた膜過法でもよく、特
に制限はない。
本発明は、リンを含有する排水であればすべて適用で
きる。し尿処理や繊維の染色排水などにも適用できる
が、とくに、リン肥料製造工場排水や高濃度有機性排
水、有機汚泥の処理法である湿式酸化処理法(チンマー
マン法)の処理排水に対して本発明は極めて有効であ
る。
前記チンマーマン法やその改良法(例えば特公昭57−
42391号、特公昭59−49073号等)においては高温高圧下
に排水中に空気(酸素)を吹き込みCOD成分およびNH3
N(アンモニア態窒素)を効率よく酸化分解するが、リ
ンは酸化されてリン酸イオンの形で残留している。した
がってチンマーマン法等の処理排水は、リンを含有する
排水であり、リン除去工程を必要とするものである。
本発明を図面を参照して説明する。
第1図は、本発明の一実施態様を示すものである。1
は必要に応じて設けられる溶解槽であり、ここに原排水
がライン7より供給される。一方、ライン8を通ってリ
ン不溶化物スラリーが供給され、溶解槽1内で原排水と
混合して溶解する。溶解槽では通常原水の酸度でリン不
溶化物スラリーを溶解させるが、酸度の低い排水では、
原水および/またはリン不溶化物スラリーに鉱酸を添加
して溶解させてもよい。溶解槽へのスラリー量は、原水
のpH(酸性度)によって異なるが、し尿の湿式触媒酸化
液の場合は、し尿原液にH2SO40.01mol/m3程度添加され
ることがあり、そのリン溶解力は1000〜2000mgss/程
度あるので2000mg/以上の添加が望ましく、過剰に添
加しても未反応結晶は種晶の作用を促進するので膜透過
性に悪い影響はない。
溶解槽を出るときのリン濃度は好ましくは130mg−P/
以上さらに好ましくは300mg−P/以上である。この
ようにして溶解性リンを高濃度化した排水はスラリー晶
析反応槽2においてライン6より供給されてきた消石灰
水溶液と混合される。溶解槽1をへてCa(OH)のよう
なカルシウム化合物とリン酸イオンとの反応によるヒド
ロキシアパタイトの生成では反応槽2をpH6.5〜7.0に調
整する第一段調整室2Aと、pHを8.0〜8.5に調整する第二
段調整室2Bとより構成する。
循環槽3を出たスラリーはポンプで膜分離装置4に送
られる。膜分離装置は、多数のチューブ状過体中に前
記スラリーを通過させることにより、水は過材よりな
るチューブ壁を通って排水され、スラリーは濃度を高め
て、ライン8より大部分は循環槽3に、そして一部は溶
解槽1に返送される。処理水は排ガス中の炭酸ガスで中
和するためにライン10を経てpH調整塔9に送られる。通
常、し尿の湿式触媒酸化塔から生ずる排ガス中には排水
中の有機物を酸化して生成した炭酸ガスを多く含むので
pH中和剤として使用するのが有利である。
なお、溶解槽1に供給されるリン不溶化物スラリーは
膜分離装置4からの返送でも、循環槽3からの返送でも
よい。
〔実施例〕
(1) し尿の湿式触媒酸化処理液(T−P320mg/、S
S100mg/pH1.5、TOC9mg/、T−N6mg/)に、下記の
Ca(OH)の添加方法〜の条件で100g/濃度のCa
(OH)をT−Pに対して、約1.5倍当量加えて所定のp
Hを保持しつつ撹拌機で100rpm、5分間撹拌した。
ついで、反応液を内径5.5mmの多孔質ポリプロピレン
チューブ(孔径0.2μm)のMFモジュールに平均圧0.8kg
/cm2、膜面流速1.5m/sで通液して透過水量、透過水中の
T−Pを測定した。また、このCa(OH)添加後の液中
の析出物の圧密性を30分静置後のスラッジボリュームを
測定して評価した。
(2) Ca(OH)添加方法 Ca(OH)を1.5倍当量加えてpH6(pH6以上になると
きは、HClで微調整しつつ行った) 対照例 Ca(OH)を1.5倍当量加えてpH7(pH7以上になると
きは、HClで微調整しつつ行った) 対照例 Ca(OH)を1.5倍当量加えてpH8(pH8以上になると
きは、HClで微調整しつつ行った) 対照例 Ca(OH)を1.5倍当量加えてpH9(pH9以上になると
きは、HClで微調整しつつ行った) 対照例 Ca(OH)を加えてpH6.0とし、5分間撹拌後全量で
1.5当量となるようにCa(OH)をpH8を越えないように
HClで微調整しつつ加えたのち5分間撹拌した。
本発明 Ca(OH)を加えてpH7としたのちと同一方法でpH8
まで上げた。
本発明 (3) 結果(対照例4と本発明を比較すれば、本発明
の効果は明白である。) 〔効果〕 本発明は、沈殿物が水との分離性にすぐれているため
発生汚泥量が少く、固液分離方法として膜分離法を使用
するときには、膜での透過水量が多く、かつ透過水量が
安定している。固液分離法としてフィルタープレス法な
どを採用する場合にあってもケーキの脱水性がすぐれて
いる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の1実施態様を示すフローシートであ
る。
フロントページの続き (72)発明者 原田 吉明 大阪府大阪市東区平野町5丁目1番地 大阪瓦斯株式会社内 (56)参考文献 特開 昭52−38467(JP,A) 特開 昭51−142861(JP,A) 特開 昭57−187092(JP,A) 特開 平1−284390(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C02F 1/58

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リンを含有する排水にカルシウム化合物を
    添加し、リンを不溶化した後、固液分離して排水中のリ
    ンを除去する方法において、前記リンの不溶化のために
    pHを6.5〜7.0に調整する第一段調整と、ついで、固液を
    分離することなくpHを8.0〜8.5に調整する第二段調整と
    からなるpHの二段調整を行うことを特徴とする排水中の
    リンを除去する方法。
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