JP2854678B2 - 青色発光蛍光体およびこれを用いた陰極線管 - Google Patents

青色発光蛍光体およびこれを用いた陰極線管

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、青色発光蛍光体と、この青色発光蛍光体を
陰極線管の蛍光面として用いた陰極線管に関する。
(従来の技術) 陰極線管の一種であるカラーブラウン管では画面のコ
ントラストを向上させるために、蛍光体表面に顔料を被
覆させたいわゆる顔料被覆蛍光体が使用されている。
このうち、青色発光蛍光体としては、銀・塩素付活硫
化亜鉛蛍光体(ZnS:Ag,Cl)または、銀・アルミニウム
付活硫化亜鉛蛍光体(ZnS:Ag,Al)などが多用されてい
る。
(発明が解決しようとする課題) ところで、最近の陰極線管は、明るさ向上のため印加
電圧の高電圧化及び電子銃等の改良により高電流化傾向
にあり、蛍光面に対する刺激電流密度が著しく高くなっ
てきている。
したがって、蛍光体には、発光輝度が高いことおよび
発光輝度の刺激電流密度特性が良好であること等の特性
が要求されている。
このような状況下において、従来使用されていた銀・
塩素付活硫化亜鉛蛍光体(ZnS:Ag,Cl蛍光体)は、発光
輝度は良好であるが、発光輝度の刺激電流密度特性は低
い。すなわち、刺激電流密度が高くなると発光輝度が飽
和状態となり、低電流密度域における発光効率に比べて
発光効率が低下する現象を招くのである。
また、銀・アルミニウム付活硫化亜鉛蛍光体(ZnS:A
g,Al蛍光体)は、発光輝度の刺激電流密度特性は良好で
あるが、発光輝度が低いという欠点を有している。
本発明は、このような従来の事情に対処してなされた
もので、高い発光輝度を維持しつつ刺激電流密度が高く
なっても発光輝度が飽和しない青色発光蛍光体と、この
ような青色発光蛍光体を用いて品質向上を図った陰極線
管を提供することを目的とする。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明の青色発光蛍光体は、硫化亜鉛を母体とし、
銀、金、およびアルミニウムを付活剤として含有する青
色発光蛍光体であり、前記銀の付活量は前記硫化亜鉛に
対して、5×10-3重量%〜2×10-1重量%であり、前記
金の付活量は前記硫化亜鉛に対して、5×10-5重量%〜
2×10-3重量%であり、さらに付活剤である前記銀およ
び金に対する共付活剤として用いる前記アルミニウムの
付活量は前記銀および金の付活量の0.25倍以上であるこ
とを特徴としている。
また、本発明の陰極線管は、上記青色発光蛍光体によ
り形成された蛍光膜を、パネル内面に備えたことを特徴
としている。
本発明において、青色発光蛍光体は、母体の硫化亜鉛
に対して銀、金およびアルミニウムが付活されたもの
で、銀の付活量(銀付活剤の濃度)は母体の硫化亜鉛に
対して、5×10-3重量%〜2×10-1重量%である。
銀の付活量が5×10-3重量%より少ない場合、発光輝
度が低く充分な刺激電流密度が得られない。また、2×
10-1重量%を超えると発光輝度が著しく低下することか
ら好ましくない。より好ましい範囲は1×10-2〜1×10
-1重量%である。
また、金の付活量(金付活剤の濃度)は、母体の硫化
亜鉛に対して5×10-5重量%〜2×10-3重量%である。
金の付活量が5×10-5重量%より少ない場合、発光輝
度の向上効果が得られず、2×10-3重量%を超えると発
光輝度が低下し、色調が長波長側に移動し過ぎるため好
ましくない。より好ましい範囲は2×10-4〜1×10-3
量%である。
アルミニウム共付活剤の濃度は、上述した銀および金
付活剤濃度の0.25倍以上が好ましい。
このような付活剤の付活によって青色発光蛍光体の発
光輝度ならびに刺激電流密度特性を向上させることがで
き、この蛍光体を例えばカラー受像管のパネル面に形成
される蛍光膜として用いると、青色発光輝度と白色輝
度、および青色発光輝度の刺激電流密度特性の優れた蛍
光膜を有する陰極線管を得ることができる。
(作 用) 本発明では、銀・アルミニウム付活硫化亜鉛蛍光体
(ZnS:Ag,Al蛍光体)に、微量の金を共付活させること
により、青色発光蛍光体の発光輝度を高い状態で維持
し、かつ刺激電流密度が高い場合でも発光輝度が飽和し
ないという刺激電流密度特性を向上させることができ
る。
(実施例) 次に、本発明の実施例について説明する。
実施例1〜9 まず、本発明の青色発光蛍光体の一実施例であるZnS:
Ag,Au,Al蛍光体を次のようにして得た。
硫化亜鉛100gに対し、銀として0.005g〜0.2g含まれる
ように銀化合物たとえば硝酸銀と、硫化亜鉛100gに対
し、金として0.00005g〜0.002g含まれるように金化合物
たとえば塩化金酸と、さらに硫化亜鉛100gに対し、アル
ミニウムとして0.00126g以上含まれるようにアルミニウ
ム化合物たとえば硝酸アルミニウムとを加えスラリー状
に混合する。
銀および金の付活量は第1表に示す割合に変化させ、
それぞれの青色発光蛍光体を作製した。
この混合物を乾燥したのち、これに融剤としてアルカ
リ金属、アルカリ土類金属およびアンモニウムのハロゲ
ン化合物のうち少なくとも1種類以上を混合する。
次にこの混合物を石英チューブ等の焼成容器に充填
し、還元雰囲気中にて900〜1020℃の温度に保って30分
〜数時間焼成する。
焼成後得られた焼成物を水洗、乾燥、篩で篩別するこ
とによって、銀、金、およびアルミニウムの付活された
青色発光蛍光体を得ることができる。
続いて、この青色発光蛍光体を用いて陰極線管のパネ
ル面に蛍光膜を形成した。
第1図は陰極線管の一種であるカラー受像管の構成を
示す図である。
同図において、カラー受像管はパネル1およびパネル
1に一体に接合されたファンネル2からなる外囲器を有
し、このパネル1内面には青、緑、赤に発光する3色蛍
光体層とこの3色蛍光体層の間隙部を埋める黒色の光吸
収層とからなる蛍光面3が形成されている。
この3色蛍光体層の形状は、ストライプ状、ドット状
のいずれでもよい。
この蛍光面3に対向してその内側に多数の電子ビーム
通過孔の形成されたシャドウマスク4が装着されてい
る。
また、ファンネル2のネック5内部には、3つの電子
ビーム6B、6G、6Rを放出する電子銃7が配設されてい
る。なお8はシャドウマスク4を支持する支持手段、9
はファンネル2の側壁に設けられた陽極端子、10はファ
ンネル2の内面に形成された内部薄電膜からなり、電子
銃7によって放出された電子ビーム6B、6G、6Rが蛍光面
3に衝突し励起して発光するものである。
このようなカラー受像管の蛍光面3に、蛍光膜が形成
される。
すなわち、上述した銀、金、およびアルミニウムの付
活された青色発光蛍光体にクロム酸化合物とポリビニル
アルコールを加えて感光性スラリーを作製し、通常の回
転塗布方法で陰極線管用パネル上に塗布することによ
り、蛍光膜を形成した。
次いで、このカラー受像管(21インチ)に形成した蛍
光膜の発光特性を測定した。
その結果をまとめて第1表に示す。なお、比較例とし
て金を付活させない従来の青色発光蛍光体についても実
施例と同一条件で発光特性を測定し、その結果を第1表
に併せて示した。
第1表中において、青蛍光体色度は、CIE表色系色度
座標のxおよびyの値で示したものである。
また、γ特性は発光輝度の刺激電流密度特性を意味
し、次のような計算式によって求められる。
白色輝度は、青色、緑色、赤色の各蛍光体を発光させ
て、画面の発光色を標準白色点(たとえば9300K+27MPC
D)に調整し、そのときの明るさを相対輝度として求め
た。
第1表から明らかなように、各実施例の青色発光蛍光
体は、金を付活していない青色発光蛍光体と比べて、色
度y値は金付活量をa(単位はppm)としたとき、約+2
a/10000の増加の関係式となり、色調が長波長側にシフ
トすることを示している。
γ特性および白色輝度は比較例の結果をそれぞれ1.00
および100.0とすると、これを上回るものであった。
次に、金付活剤の濃度と発光輝度、色度の関係につい
て第2図に示す。
第2図は、従来のZnS:Ag,Al蛍光体と金付活剤濃度を
変化させた本発明によるZnS:Ag,Au,Al蛍光体との輝度、
色度の相対比較値を示したもので、X軸は金の付活剤の
濃度(単位ppm)を表し、Y軸は輝度および色度の相対
比較値を表している。
直線20は比較の基準となる従来のZnS:Ag,Al蛍光体の
輝度および色度を示し、刺激電流密度特性を0としてい
る。
曲線21は金付活剤濃度と従来ZnS:Ag,Al蛍光体との輝
度の相対比較値を示し、金付活量が5×10-5重量%〜2
×10-3重量%の濃度の範囲で輝度が向上している。
直線22は金付活剤濃度と従来ZnS:Ag,Al蛍光体の色度
との相対比較値を示し、金付活量が増加するにつれて直
線的に相対色度が増加している。
このように、金を付活することによって高い発光輝度
を維持しつつ刺激電流密度が高くなっても発光輝度が飽
和しない青色発光蛍光体を得ることができた。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明の青色発光蛍光体は、硫
化亜鉛母体に対して銀、金およびアルミニウムを定めら
れた濃度で付活させることにより、高い発光輝度を維持
しつつ刺激電流密度特性を向上させることができる。
そして、本発明の青色発光蛍光体を蛍光膜として形成
した陰極線管は、発光輝度の刺激電流密度特性、青色発
光輝度ならびに白色発光輝度それぞれを良好に維持する
ことができ、品質向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の一実施例であるカラー受像管の構成を
示す図、第2図は従来の青色発光蛍光体と本発明による
青色発光蛍光体の特性を比較して示す図である。 1……パネル、2……ファンネル、3……蛍光面、 4……シャドウマスク、5……ネック、 6B、6G、6R……電子ビーム、7……電子銃、 8……支持手段、9……陽極端子、 10……内部薄電膜。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 11/56

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硫化亜鉛を母体とし、銀、金、およびアル
    ミニウムを付活剤として含有する青色発光蛍光体であ
    り、 前記銀の付活量は前記硫化亜鉛に対して、5×10-3重量
    %〜2×10-1重量%であり、 前記金の付活量は前記硫化亜鉛に対して、5×10-5重量
    %〜2×10-3重量%であり、 さらに付活剤である前記銀および金に対する共付活剤と
    して用いる前記アルミニウムの付活量は前記銀および金
    の付活量の0.25倍以上 であることを特徴とする青色発光蛍光体。
  2. 【請求項2】請求項1記載の青色発光蛍光体により形成
    された蛍光膜を、パネル内面に備えたことを特徴とする
    陰極線管。
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