JP2853873B2 - 捲縮糸 - Google Patents

捲縮糸

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JP2853873B2
JP2853873B2 JP1317323A JP31732389A JP2853873B2 JP 2853873 B2 JP2853873 B2 JP 2853873B2 JP 1317323 A JP1317323 A JP 1317323A JP 31732389 A JP31732389 A JP 31732389A JP 2853873 B2 JP2853873 B2 JP 2853873B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、合成繊維からなる異繊度混繊フィラメント
糸が捲縮加工されてなる捲縮糸に関するものであり、詳
しくは物理特性および断面形状の異なる2種の捲縮マル
チフィラメントの各単糸が、ランダムに交絡して1本の
捲縮糸を形成し、特にカーペット用として好ましく用い
られる捲縮糸に関するものである。
[従来の技術] 複数本の異なる染色性を有する捲縮糸を流体ノズルを
用いて合糸し、1本の捲縮糸の中に濃染色単糸と淡染色
単糸が共存する捲縮糸としては、例えば、特開昭55−84
429号公報によって知られている。
また、2本の異なる単糸デニールおよび熱水収縮率を
有するフィラメントを、インターレースあるいは引揃え
て合糸し、得られた合糸フィラメントと該合糸フィラメ
ントを形成する2種類の単糸デニールよりも、太い単糸
デニールおよび高い熱水収縮率を有するフィラメントと
を、仮燃合糸してえられた特殊風合いのフィラメント
が、例えば、特公昭63−44850号公報によって知られて
いる。
[発明が解決しようとする課題] 前記の特開昭55−84429号公報に記載された捲縮糸の
場合、差別的に染色可能な複数本の捲縮糸を流体処理装
置を用いて合糸し、1本の捲縮糸となしたものである。
差別的染色性としては、例えば濃色酸性染色性、淡色酸
性染色性およびカチオン染色性である。
しかしながら、前記の特開昭55−84429号公報に記載
された捲縮糸は、あらかじめ捲縮が付与されたマルチフ
ィラメントの複数本を各々供給速度を変えて供絡し、流
体処理装置を用いて合糸するものである。そして、合糸
して得られた捲縮糸は、供給速度の差異によって生じる
長いループを形成した捲縮糸と短いループを形成した捲
縮糸とが存在するものの、あらかじめ合糸前に捲縮が施
された捲縮糸は各単糸がすでに絡み合っているために、
流体処理装置内でほとんど開繊される極く数本の単糸が
合糸される他の捲縮糸の数本の単糸と絡むのみであり、
それらの単糸の大部分は各々の捲縮糸の単糸が集合した
状態で偏って存在する。したがって、合糸されて多色染
色を施された場合に、色の異なる捲縮糸が単に合糸され
た状態に近く実質的に各単糸のランダムな混合がなされ
ず、断面における染色性の異なる捲縮糸の各単糸の交絡
状態には、その長さ方向において、ほとんど変化がみら
れない。
したがって、得られた捲縮糸を染色したのちカーペッ
トとなした場合、捲縮糸自体を詳細に観察すると多色染
色されているものの、カーペット全体で見ると長いルー
プの色が大勢を占めており、結局ソフトタッチの深みの
ある色とはならないという課題を有していた。
一方、特公昭63−44850号公報に記載された繊維の場
合、繊度と熱収縮率の異なるフィラメントを流体処理装
置を用い、仮燃加工して混繊糸となしたものである。
得られた混繊糸は、糸長差による嵩高性を有するもの
の表面の柔らかい布類を糸するものであって、捲縮伸長
特性を有さない。従って、カーペット用糸に要求される
特性を満足し得ないものである。そして、前記の各単糸
はすべて円形断面であり、捲縮糸となした場合、バルキ
ー性が悪く、この点においてもカーペット用としては適
さないのみでなく、バルギー性が悪いことによって、深
みのある色とはならないという課題を有していた。
本発明の目的は、前記の従来技術の課題を解消した捲
縮糸を提供することにある。
[課題を解決するための手段および作用] 本発明に係る捲縮糸は、合成繊維からなる異繊度混繊
フィラメント糸が捲縮加工されてなる捲縮糸であって、
該捲縮糸は、2種の捲縮マルチフィラメントA及びBか
ら構成され、捲縮マルチフィラメントAをなす各単糸a
と捲縮マルチフィラメントBをなす各単糸bとは不規則
に交絡混繊しており、捲縮マルチフィラメントA及びB
をなす単糸の数、繊度、断面形状、変形度及び捲縮数
が、 単糸の数(本)…A<B 単糸の繊度(デニール)…1.2b≦a≦3.0b 7≦a≦60 3≦b≦25 単糸の断面形状…a、bともにY型断面 単糸の変形度…0.2b≦a≦0.7b 1.2≦a≦5.0 2.0≦b≦7.0 単糸の捲縮数…a<b を同時に満足し、かつ、捲縮伸長率が7.0〜40.0%であ
ることを特徴とする。
請求項2の本発明は、捲縮マルチフィラメントA及び
Bからなる捲縮糸の総繊度が600〜20,000デニールであ
り、かつ、沸騰水収縮率が6.0%以下であることを特徴
とする請求項1記載の捲縮糸からなる。
また、請求項3の本発明は、捲縮マルチフィラメント
A及びBがともにポリアミド繊維であるカーペット用糸
であることを特徴とする請求項1又は2記載の捲縮糸か
らなる。
第1図は、本発明に係る捲縮糸の一例を示す部分横断
面図であり、前記捲縮糸の横断面を約260倍に拡大した
ものに相当する。
本発明に係る捲縮糸は、単糸繊度の異なる2種の合成
繊維マルチフィラメントを合糸して捲縮加工してなるも
のであり、タフテッドカーペットに好ましく用いられる
捲縮糸、特にカットパイルカーペットに好ましく用いら
れる捲縮糸であり、該捲縮糸を形成する捲縮マルチフィ
ラメント(以下、合成繊維マルチフィラメントという)
AとBとは、それぞれ次の関係を有する。
単糸の数(本)は、合成繊維マルチフィラメントAの
単糸数が、合成繊維マルチフィラメントBの単糸数より
も少なく、A<B(2式)である。
単糸aの繊度(デニール)および単糸bの繊度(デニ
ール)は、1.2b≦a≦3.0b(3式)、7≦a≦60(4
式)、3≦b≦25(5式)の範囲内であり、単糸bに比
して単糸aが極めて太い。
前記2〜5式を満足しない場合には、カーペットの表
面は、合成繊維マルチフィラメントAによって覆われる
ものの、内部との色相差が少なくなるとともに、合成繊
維マルチフィラメントBによって支えることが困難とな
り“へたり”が生じ易くなる。さらに、カーペット全体
が硬くなって、ソフトな感触が失われる。すなわち、色
相に深みがあり、感触がソフトであるにもかかわらず、
パイルの“へたり”が少なく、耐久性に優れたカーペッ
トとはなり難い。
単糸の断面形状は、合成繊維マルチフィラメントAの
単糸aおよび合成繊維マルチフィラメントBの単糸bと
もにY型断面形状であり、単糸aおよび単糸bの単糸変
形度(%)は、0.2b≦a≦0.7b(6式)、1.2≦a≦5.0
(7式)、2.0≦b≦7.0(8式)であり、単糸bが単糸
aに比して極めて高い単糸変形度を有する。
捲縮糸(山/インチ)は、単位長さ当たり、a<b
(9式)であり、単糸aに対して単糸bが多い。
単糸aおよび単糸bの断面形状はY型断面形状とし、
単糸aの単糸変形度が、1.2≦a≦5.0、単糸bの単糸変
形度が、2.0≦b≦7.0の範囲内で、かつ、これらの単糸
aおよび単糸bの単糸変形度が、0.2b≦a≦0.7bの範囲
内とすることによって、カーペット用捲縮糸として嵩高
性に優れ、カーペットとなした時の風合いに優れるとと
もに耐摩耗性に優れたカーペットを得ることができる。
前記の合成繊維マルチフィラメントAの単糸aの変形
度が、1.2よりも小さい時は、嵩高性が悪くカーペット
となした時、フィラメントが硬く風合いが悪い。また、
前記単糸aの変形度が、5.0を越えた場合、風合いが悪
く、耐摩耗性が劣る。
一方、合成繊維マルチフィラメントBの単糸bの変形
度が、2.0よりも小さい時は、該単糸bの捲縮性が悪
く、前記単糸aよりも突出してしまうという現象を生じ
ることがある。また、前記単糸bの変形度が、7.0を越
えると硬くなり、前記単糸aの屈曲を生じさせなくな
り、カーペットの弾性が劣り風合いの悪いカーペットと
なるなどの現象が生じる。
前記の単糸aおよび単糸bの変形度は、0.2b≦a≦0.
7bの関係を満足することによって、捲縮糸の単糸aと単
糸bとが混在する捲縮糸は、異相のずれを生じ、捲縮糸
の膨らみを増大し、カーペットとなした際、バネ定数の
小さい合成繊維マルチフィラメントBの各単糸bが、バ
ネ定数の大きい合成繊維マルチフィラメントAの各単糸
aを支え、特殊風合を呈するとともに、表面が前記単糸
aで覆われており、濃色に見え、発色性がよく、内部の
単糸bが淡色に見える。
すなわち、本発明に係る捲縮糸は、前記の風合いとカ
ーペットの表面と内部との色相差とによって、色に深み
が生じることから、極めて高級感を有するカーペットと
なすことができるものである。
本発明に係る捲縮糸をカーペット、特にカットパイル
カーペットにした場合、合成繊維マルチフィラメントB
の捲縮糸は、縮みが大きく、カーペットの内部を主とし
て構成し、合成繊維マルチフィラメントAの捲縮糸を支
える。
一方、合成繊維マルチフィラメントAの捲縮糸は、捲
縮数が小さいため、カーペットの表面を主として構成す
ることになる。
したがって、カーペットの表面は、比較的直立した変
形度の低い太単糸が間隔をおいて構成されるため、カー
ペットに触れた時、太単糸であるにもかかわらず、ソフ
トでしかも反発性に優れる。さらに、カーペットの内部
は高変形度で、かつ、高捲縮の細単糸で構成されるた
め、カーペットを押込んだ時は、高密度で嵩高性に富ん
でいる。
このためカーペット全体として、ソフトタッチで、か
つ、嵩高性のある、しかも圧縮性、反発性の優れたカー
ペットが得られる。しかも表面が変形度の低い太単糸で
覆われるため摩耗性に対しても良く、“へたり”の少な
いカーペットが得られる。
本発明に係る捲縮糸において、該捲縮糸をカットパイ
ルカーペットに用いる場合、特に好ましくは、合成繊維
マルチフィラメントAの単糸aの繊度が、9〜40デニー
ル、合成繊維マルチフィラメントBの単糸bの繊度が、
4〜20デニールで、該単糸bは単糸aよりも少なくとも
2デニール細い繊度、単糸aの変形度は、1.4〜4.0、単
糸bの変形度は、2.5〜6.0で、該単糸bは単糸aよりも
少なくとも0.8大きい。
変形度については、特にカーペットの風合、嵩高性へ
の影響が大きく、目標とするカーペットによって決めら
れるものであるが、変形度が低すぎると嵩高性が劣り、
高すぎると風合が硬く、摩耗性が悪くなる。また、捲縮
数についてもカーペットの風合、嵩高性への影響が大き
く、目標とするカーペットによって決められるものであ
るが、捲縮数が低すぎるとカーペットの風合が柔らかす
ぎて“へたり”易く、逆に捲縮数が高すぎるカーペット
の風合が硬すぎてフェルト状になる。
合成繊維マルチフィラメントAの捲縮数は、5〜15山
/インチが良く、特に7〜12山/インチが良い。
一方、合成繊維マルチフィラメントBの捲縮数は、7
〜18山/インチが良く、特に9〜15山/インチが良い。
合成繊維マルチフィラメントAと合成繊維マルチフィ
ラメントBの捲縮数の差は、0.5山/インチ以上であっ
た方が好ましい。
合成繊維マルチフィラメントAと合成繊維マルチフィ
ラメントBの各単糸は、断面方向にお互いランダムに混
じりあっていることが必要で、混じりあっているほど良
い。混じりあっていないと単糸同士の捲縮の位相がずれ
ないので、目的を達し得ない。
合成繊維マルチフィラメントAと合成繊維マルチフィ
ラメントBの混繊糸の総繊度は、カーペットの規格(パ
イル長、ステッチ、目付)により決定されるもので、好
ましくは600乃至20,000デニールの範囲内が好ましい。
捲縮伸長率は、カーペットの風合を左右する特性であ
り、7.0〜40.0%が必要であり、特に8.0乃至35.0%が好
ましい。捲縮伸長率が小さ過ぎるとカーペットのバルキ
ー性が劣り、得られるカーペットには、へたりが多くな
る。逆に大き過ぎるとカーペットの風合が硬くなり過ぎ
るので、特にカットパイルカーペットには不適当であ
る。
沸騰水収縮率は、6.0%以下が好ましく、6.0%を越え
るとカーペットの風合が硬くなり、特にカットパイルカ
ーペットでは満足したものを得られないことがある。
本発明に係る捲縮糸を形成する合成繊維マルチフィラ
メントAと合成繊維マルチフィラメントBとは、ナイロ
ン6、ナイロン66、ナイロン6 10などのポリアミドお
よびその共重合体からなるポリアミド繊維、ポリエステ
ル繊維、ポリアクリルニトリル系重合体などからなる繊
維で、前記2種の合成繊維マルチフィラメントAと合成
繊維マルチフィラメントBとは、構成する重合体が同一
であっても、異なっていても良い。
本発明に係る合成繊維の変形度は、Y型断面の内接円
の直径(r)と外接円の直径(R)を求めて、その比で
表わしたものである。
また、捲縮数は糸を20分間沸騰水処理して後12hr以上
風乾し、ある長さ(L0)における捲縮山数を読取り
(N)、その後L0に1mg/dの荷重をかけ、長さ(L1)を
測長して求めたものである。
また、捲縮伸長率は糸を20分間沸騰水処理して後12hr
以上風乾し、初荷重(2mg/d)をかけ、長さ(L1)を測
長し、次いで定荷重(100mg/d)をかけて、長さ(L2)
を測長して求めたものである。
前記の本発明に係る捲縮糸は、以下に記す方法によっ
て製造される。この製造方法について第2図乃至第4図
を用いて詳記する。第2図は、本発明に係る捲縮糸の製
造装置の概略正面図であり、第3図は、合成繊維マルチ
フィラメントBの単糸bを紡出する口金孔の平面図、第
4図は、合成繊維マルチフィラメントAの単糸aを紡出
する口金孔の平面図である。
合成繊維マルチフィラメントAは、紡糸機11から押出
されスピンブロック12の中にあるメタリングポンプ13で
計量された後、口金14を通り冷却装置15で冷却され、オ
イリングローラ16,17で紡糸油剤を付与され、次いで引
取ローラ18で引取られる。
一方、合成繊維マルチフィラメントBは、紡糸機21か
ら押出されスピンブロック22の中にあるメタリングポン
プ23で計量された後、口金24を通り冷却装置25で冷却さ
れ、オイリングローラ26,27で紡糸油剤を付与され、次
いで引取ローラ28で引取られる。
前記の引取ローラ18で引取られた合成繊維マルチフィ
ラメントAは、引取ローラ28に導かれ、該引取ローラ28
で前記合成繊維マルチフィラメントBと合糸される。
合糸された合成繊維マルチフィラメントAとBは、前
記引取ローラ28と第1の延伸ローラ30との間で予備延伸
されるとともに、引取ローラ28と第1の延伸ローラ30と
の間に設けられた流体処理装置29を通し、該流体処理装
置29で圧縮された空気の乱流域でランダムに混繊され
る。
混繊された合成繊維マルチフィラメントAおよびB
は、前記第1の延伸ローラ30と加熱された第2の延伸ロ
ーラ31との間で延伸されると同時に、延伸熱固定および
予備加熱され、次いで、捲縮付与ノズル32に至り、該捲
縮付与ノズル32で加熱圧縮流体によって捲縮が付与され
捲縮糸となる。
前記の捲縮糸は、回転する冷却ドラム33で冷却され引
取ピン34を経て引取ローラ35で引取られ巻取機36で巻き
取られる。
前記の合成繊維マルチフィラメントBは、第3図に示
した形状の口金孔20から紡出され、合成繊維マルチフィ
ラメントAは第4図に示した形状の口金孔10から紡出さ
れる。第3図におけるL1は、スリット長さ(mm)、H1は
スリット幅(mm)を示す。第4図におけるL2は、スリッ
ト長さ(mm)、H2はスリット幅(mm)を示す。
前記の本発明に係る捲縮糸を製造する方法において、
特に合成繊維マルチフィラメントAと合成繊維マルチフ
ィラメントBとの双方を延伸が施される前、すなわち予
備延伸の段階あるいは、未延伸糸の段階で流体処理装置
を用いて、各単糸をランダムに混繊することに加えて、
延伸および捲縮付与を前記のように各単糸がランダムに
混繊された状態で行うことであり、前記捲縮糸を形成す
る合成繊維マルチフィラメントAおよび合成繊維マルチ
フィラメントBならびにこれらの各単糸の形状、混繊比
などの特性を満足する条件を採用することである。
合成繊維マルチフィラメントAと合成繊維マルチフィ
ラメントBとは、同一の紡糸機を用い、2種類の形状の
口金孔を有する紡糸口金を用いて紡出し、紡出段階から
合糸状態としてもよい。しかし、この場合、太さおよび
断面形状が異なる単糸を同時に冷却することになり、冷
却条件及び口金配孔の選択に十分配慮する必要がある。
[実施例] 実施例1 第2図に示した装置を用い、一方の紡糸機でナイロン
6ポリマーを第4図に示した形状の口金孔を68個設けた
口金から毎分148g溶融紡糸し、ナイロン6マルチフィラ
メントAをえた。前記口金孔は、スリット長さL2が0.9m
m、スリット幅H2が0.15のものを用いた。前記ナイロン
6マルチフィラメントAは、冷却したのち、紡糸油剤を
付与し引取ローラで引取った。
また、他方の紡糸機でナイロン6ポリマーを第3図に
示した形状の口金孔を96個設けた口金から毎分148g溶融
紡糸し、ナイロン6マルチフィラメントBをえた。前記
口金孔は、スリット長さL1が1.8mm、スリット幅H1が0.1
2mmのものを用いた。前記ナイロン6マルチフィラメン
トBは、冷却したのち、紡糸油剤を付与し引取ローラで
引取り、前記ナイロン6マルチフィラメントAと合糸し
た。
合糸されたナイロン6マルチフィラメントAおよびナ
イロン6マルチフィラメントBは、引取ローラと第1の
延伸ローラとの間に設けられた流体処理装置で圧縮され
た空気の乱流域を通し、ランダム混繊した。
2種の合成繊維マルチフィラメントAおよび合成繊維
マルチフィラメントBの、各単糸aおよび各単糸bが、
ランダム混繊されたナイロン6マルチフィラメントAお
よびナイロンマルチフィラメントBは、第1の延伸ロー
ラと163℃に加熱された第2の延伸ローラとの間で、総
合延伸倍率が3.50倍に延伸するとともに延伸熱固定およ
び予備加熱した。
延伸および予備加熱を施したナイロン6マルチフィラ
メントAおよびナイロンマルチフィラメントBを次いで
捲縮付与ノズルに導入し、該捲縮付与ノズルで加熱蒸気
圧力9.0kg/cm2、加熱蒸気温度230℃、オーバーフィード
率21%の条件で捲縮加工を施し、捲縮糸を得た。該捲縮
糸は次いで冷却ドラムで冷却し、引取ピン、引取ローラ
を経て巻取機で巻き取った。
得られた捲縮糸の特性は、表1に示すとおりであり、
該捲縮糸をパラフィンで包埋したのち、横方向に切断
し、顕微鏡で260倍に拡大し写真撮影した。該写真をも
とに模写し第1図に示した。
第1図に示すように捲縮糸を形成するナイロン6マル
チフィラメントAとナイロン6マルチフィラメントBと
の各単糸は、ランダムに混繊されていた。この混繊の状
態は、捲縮糸の長さ方向で一定でなく種々変化してい
た。
実施例2 実施例1でえた捲縮糸を1/8G、ステッチ9、パイル高
さ5.5mm、目付750g/m2でタフティングし、カヤノールネ
イビーブルーR(日本化薬社:0.30%OWF)の染料を用
い、キュースターの連続染色機で染色した。得られたカ
ーペットは表面のタッチが柔らかく、しかも押込むと圧
縮性および反発性の優れた、かつ色に深みのある高級感
のあるカーペットが得られた。
実施例3〜7、比較例1〜5 実施例1の各条件のうち、ナイロン6マルチフィラメ
ントAおよびナイロン6マルチフィラメントBの製糸条
件を変更して捲縮糸を得た。これらの製糸条件を表2に
示した。また得られた捲縮糸の特性は、表3に示した通
りであった。また表3に示した捲縮糸を用いて、実施例
2と同じ条件でカットパイルカーペットを得た。該カッ
トパイルカーペットの特性を、表4に示した。表4にお
ける各記号、○は良好であり、従来最も良好と評価され
ていた程度のもので、△は従来一般的なカットパイルカ
ーペットと同等なものであり、◎は極めて良好で前記○
よりも優れているもの、×は前記△よりも劣るものであ
る。○〜◎は、○と◎とのほぼ中間、×〜△は、×と△
のほぼ中間を示す。
表3および表4からも明らかなように本発明に係る捲
縮糸で得られたカットパイルカーペットは、単糸が太い
繊度のナイロン6マルチフィラメントが表面に露出し、
該単糸が太い繊度のナイロン6マルチフィラメントを単
糸の細い繊度で高バルキー性のナイロン6マルチフィラ
メントで支える形態となっており、表面に接した時の感
触が柔らかいにもかかわらず圧縮性および反発性に富
み、加えてバルキー性に優れるので、“へたり”が生じ
にくいという効果を有し、また表面に露出した単糸が太
い繊度のナイロン6マルチフィラメントは、密度が小さ
く、色相が淡く、該単糸が太い繊度のナイロン6マルチ
フィラメントと単糸の細い繊度で高バルキー性のナイロ
ン6マルチフィラメントが共存する内部は、密度が大き
く、色相は濃く感じられ、これらの表面と内部との色相
によって色調に深みが生じ、極めて高級な色調を有する
カーペットであった。
実施例8 実施例1の各条件のうち、ナイロン6マルチフィラメ
ントBに代えて、ポリエチレンテレフタレートポリマー
からなるポリエステルマルチフィラメントを得、該ポリ
エステルマルチフィラメントとナイロン6マルチフィラ
メントAとからなる捲縮糸を得た。次いで該捲縮糸を用
いて実施例2と同じ条件でカットパイルカーペットを得
たのち、該カーペットを実施例2の染料に代えて、酸性
染料(カヤノールネイビーブルーR(日本化薬社):0.3
0%OWF)、塩基性染料(アメゼンカロチンイエローGPLH
(保土谷化学工業社):0.24%OWF)および染色助剤(リ
ン酸一ナトリウム3.5%OWF・リン酸二ナトリウム2.5%O
WF)の水溶液(浴比1:100)を用い1浴多色染めを行っ
た。
着色カーペットは、表面が青色と内部が青色と黄色と
が混在して緑色を呈し、表面の青色と内部の緑色とが相
伴なって深みのある色相を有するカーペットを得た。
[発明の効果] 本発明に係る捲縮糸はタフテットカーペット、特にカ
ットパイルカーペット用の捲縮糸として優れるもので、
該捲縮糸を用いて得られたカーペットは、単糸が太い繊
度の合成繊維マルチフィラメントが表面に露出し、該単
糸が太い繊度の合成繊維マルチフィラメントを単糸の細
い繊度で高バルキー性の合成繊維マルチフィラメントで
支える形態となっており、表面に接した時の感触が柔ら
かいにもかかわらず圧縮性および反発性に富み、加えて
バルキー性に優れており、“へたり”が生じ難しく、耐
久性に優れ、表面に露出した単糸が太い繊度の合成繊維
マルチフィラメントは、密度が小さく、色相が淡く、該
単糸が太い繊度の合成繊維マルチフィラメントと単糸の
細い繊度で高バルキー性の合成繊維マルチフィラメント
が共存する内部は、密度が大きく、色相は濃く感じられ
るか、あるいは異なる他の色相となり、これらの表面と
内部との色相によって色調に深みが生じ、極めて高級な
色調を有するカーペットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る捲縮糸の一例を示す部分横断面
図であり、前記捲縮糸の横断面を約260倍に拡大したも
のに相当する。 第2図は、本発明に係る捲縮糸の製造装置の一例を示す
概略正面図であり、第3図および第4図は、第2図の捲
縮糸の製造装置に取付けられる合成繊維マルチフィラメ
ントを紡出する口金における口金孔の平面図である。 10,20……口金孔、11,21……紡糸機、 13,23……メタリングポンプ、 14,24……口金、15,25……冷却装置、 16,17,26,27……オイリングローラ、 18,28……引取ローラ、 29……流体処理装置、 30,31……延伸ローラ、 32……捲縮付与ノズル、33……冷却ドラム、 34……引取ピン、35……引取ローラ、 36……巻取機。 A,B……合成繊維マルチフィラメント a,b……単糸。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D02J 1/22 D02J 1/22 R Q D05C 17/02 D05C 17/02 (56)参考文献 特開 昭64−20320(JP,A) 特開 昭63−303137(JP,A) 特開 昭63−219669(JP,A) 特開 昭59−47446(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成繊維からなる異繊度混繊フィラメント
    糸が捲縮加工されてなる捲縮糸であって、該捲縮糸は、
    2種の捲縮マルチフィラメントA及びBから構成され、
    捲縮マルチフィラメントAをなす各単糸aと捲縮マルチ
    フィラメントBをなす各単糸bとは不規則に交絡混繊し
    ており、捲縮マルチフィラメントA及びBをなす単糸の
    数、繊度、断面形状、変形度及び捲縮数が、 単糸の数(本)…A<B 単糸の繊度(デニール)…1.2b≦a≦3.0b 7≦a≦60 3≦b≦25 単糸の断面形状…a、bともにY型断面 単糸の変形度…0.2b≦a≦0.7b 1.2≦a≦5.0 2.0≦b≦7.0 単糸の捲縮数…a<b を同時に満足し、かつ、捲縮伸長率が7.0〜40.0%であ
    ることを特徴とする捲縮糸。
  2. 【請求項2】捲縮マルチフィラメントA及びBからなる
    捲縮糸の総繊度が600〜20,000デニールであり、かつ、
    沸騰水収縮率が6.0%以下であることを特徴とする請求
    項1記載の捲縮糸。
  3. 【請求項3】捲縮マルチフィラメントA及びBがともに
    ポリアミド繊維であるカーペット用糸であることを特徴
    とする請求項1又は2記載の捲縮糸。
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