JP2853578B2 - レーダ装置 - Google Patents

レーダ装置

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JP2853578B2
JP2853578B2 JP6146752A JP14675294A JP2853578B2 JP 2853578 B2 JP2853578 B2 JP 2853578B2 JP 6146752 A JP6146752 A JP 6146752A JP 14675294 A JP14675294 A JP 14675294A JP 2853578 B2 JP2853578 B2 JP 2853578B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、受信波の2値化と加算
統計処理又は積分統計処理で高感度化を図ることによ
り、極めて安価、かつ簡易な構成で物標の有無判定、並
びに所望の測距性能が得られるレーダ装置に関し、さら
に詳しくは、第1に微弱な反射信号の検出を可能にする
レーダ装置に関し、第2に対向車に搭載された同様なレ
ーダ装置からの出力信号との干渉波を検出して除去する
レーダ装置に関し、また、第3にサンプリング間隔に相
当する距離から物標までの距離を求めることでパルス送
出タイミング周期が広くても精度の良い物標判定並びに
測距が可能なレーダ装置に関し、さらに、第4に高速
化、耐久性及び信頼性向上が可能な車両用レーダ装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来の車両用レーダ装置としては、図8
9に示す装置が知られている。この装置は、自車両の前
方に例えば電波やレーザ光等のパルス信号を送出した時
から、先行車から反射されるパルス信号を受信するまで
の時間の計測結果に基づいて車間距離を演算するもので
ある。
【0003】パルス信号送出手段1は、前方の車両へ向
けて電波やレーザ光等のパルス信号を送出し、反射パル
ス信号受信手段2は、前方の車両から反射して来るパル
ス信号を受信して電気信号に変換する。また、制御手段
3は、パルス信号の送出タイミングを制御し、時間計測
手段4は、制御手段3の指令に基づいてパルス送出タイ
ミングから反射パルスを受信するまでの時間をカウント
して測定する。
【0004】図90は各種信号のタイミングチャートで
あり、トリガ信号(1)は、所定間隔Tr毎の一定周期
で繰り返し出力される信号である。送出パルス信号
(2)は、制御手段3で制御されるパルス信号送出手段
1から出力される信号であり、トリガ信号(1)に同期
して出力される。受信パルス信号(3)は、反射パルス
信号受信手段2において外部の物標から反射して受信さ
れる信号であり、受信パルス信号(3)の振幅が所定の
閾値Vthを超えた時、反射パルス信号受信手段2により
検出信号が出力される。一方、クロックパルス(4)
は、時間計測手段4により、パルス信号(2)が送出さ
れてから検出信号が出力されるまでの時間をカウントす
るための信号であり、一定期間の間、間隔△t毎に出力
される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のレーダ装置では以下のような問題がある。す
なわち、反射パルスの受信信号には通常、内部雑音や外
来雑音が含まれており、反射パルス検出のための閾値は
このような雑音の影響で誤検出することのないよう比較
的高い値に設定する必要がある。一般に雑音はガウス分
布に従うランダム雑音と見なしてよく、雑音の瞬時振幅
をnとすると、その確率分布P(n)は図91に示すよ
うに平均値がゼロで、分散がσ2 のガウス分布を呈する
確率密度定数となる。ここでσは標準偏差である。この
時の確率密度関数P(n)は数式(1)で表される。
【0006】
【数1】 上記(1)式においてσ2 は雑音電力に相当し、σはそ
の実効値に相当する。振幅sの信号に上記のような雑音
が加わった時の確率密度関数P(n−s)は数式(2)
で表される。
【0007】
【数2】 したがっていま、所望の距離からの反射パルスを99、
85%の確率で正しく検出するためには、図91に示す
ように閾値を3σにとり、信号の振幅が閾値よりもさら
に3σ高い、すなわち雑音の実効値σよりも6倍(SN
比にして15、6dB)高いピーク信号が得られるよう
送出するパルス信号出力を設定すれば良い。しかし、レ
ーダの場合、受信信号のレベルはいわゆるレーダ方程式
より距離の4乗に比例して減衰することが知られてお
り、測距(検知)距離を長くとるためには大出力で極め
てコストが高い特殊な発振デバイスあるいは発光デバイ
スが必要となる。また、高出力化にかえて受信強度を上
げようとするとアンテナの開口面積あるいは受光面積を
大きくする必要があるため、レーダヘッドの形状と重量
が共に大きくなり、特に自動車の車間距離検知レーダへ
適用しようとすると車両搭載性が極めて悪いという問題
がある。さらに人体へ照射された時の安全性の確保の観
点から出力は安全基準以下に制限されるため、所望の検
知能力を得ることは難しい。
【0008】一方、微弱な信号を検出するため、受信感
度を大幅に改善する手段として特公平1−46034、
特公平2−2106に示すような方法が提案されてい
る。これはロランC信号のような一定の繰り返し周期を
もつ受信信号に対し、信号が正か負かを表す2値化信号
に変換してサンプリングし、マイクロコンピュータによ
って一定時間の間RAMメモリに反復して加算記憶した
後、メモリ内容から信号の有無とSN比及びその時間位
置を検出するようにしたもので、検出できるSN比を加
算により大幅に改善することができ、微弱な受信信号の
検出が可能になる。
【0009】しかし、この従来例の構成は、ロランC信
号のような比較的繰り返し周期が長く、信号の検出に要
する時間も比較的長くても良い場合には適しているが、
レーダ信号受信に適用しようとすると、以下のような問
題がある。
【0010】すなわち、レーダ信号の受信強度は上述の
ように距離の4乗に比例して減衰するため、検知距離を
2倍にするためには16倍の感度向上が必要になる。と
ころが計算による感度改善量は加算数の1/2乗に比例
するため、16倍の感度向上を図るためには加算回数を
162 =256倍に増やす必要がある。送出パルス送出
繰り返し周期は極力短くしなければならないが、従来の
方法では加算と記憶にマイクロコンピュータでRAMメ
モリを制御していたため、マイクロコンピュータのクロ
ックタイムと命令サイクルでサンプリングと加算に要す
る時間が決まってしまい、これにより送出パルスの送出
繰り返し周期が制限され、加算数を大幅に増やすことに
よる高感度向上には限界がある。
【0011】また、上述したレーダ装置を自動車の追突
警報装置に適用する場合、以下のような問題が生じる。
すなわち同様のレーダ装置を搭載した対向車がこちらに
対向して送出する場合、自車両から送出するパルス信号
と対向車から送出されるパルス信号とが互いに干渉しあ
い、正常な測距を行うことができなくなる恐れがある。
【0012】なお、正常な測距を害するのは、対向車の
パルス信号ばかりではなく、自車両のエンジンのスパー
ク雑音や、ヘッドライト、エアコン、ワイパ等の電装品
の電源のON・OFFによる雑音、あるいは電源電圧の
変動、さらには日照の変化、トンネルへの進入等の環境
変化による雑音が原因になることもある。すなわち、こ
れら自車両の雑音が外部からの雑音と例えば共鳴して検
出レベルを大きくし、あらかじめ設定された閾値を超え
てしまい、実際には存在しない物標の反射パルスと誤る
ことがある。
【0013】また一方、本願出願人が特願平3−171
380に示すように、前方車両への近接状況に応じて警
報報知する場合、車間距離だけでなく相対速度が必要に
なるが、従来のレーダ装置で相対速度を求めようとする
と、以下のような問題がある。すなわち、一般にパルス
レーダでは物標との距離しか測定できないため、相対速
度を精度良く求めるためには測距精度を高くして、時間
変化率を測定する必要があるが、従来例で測距精度を上
げようとすると、送出パルス幅を短くすると共にサンプ
リング点を増やす必要がある。ところが、例えば測距範
囲130mの区間で1mの測距精度を得るためにはサン
プリング点が1m毎に130個必要になり、加算処理に
極めて長い時間がかかる。また、送出パルス幅も数ns
程度にする必要があるため、送出部が複雑、かつ高価に
なり、従来例の特徴が損なわれる問題がる。
【0014】また一方、パルス信号送出手段1が駆動す
る際には、発光素子の耐久性及び信頼性確保のためにパ
ルスのデューティ比が低くなるため、送出パルスの繰り
返し時間が制限されてしまう。当然、送出パルスの繰り
返し時間を短くして測距の高速化を図ると、発光素子の
耐久性・信頼性が低下し、逆に送出パルスの繰り返し時
間を長くすると、測距の高速化が害される。
【0015】本発明は、このような課題に鑑みてなされ
たものであり、第1の目的は、低コスト、小型、簡易な
構成で受信信号のサンプリング、加算又は積分、記憶の
一連の処理を高速化し、微弱な反射パルスであっても物
標の有無、さらにはその物標までの距離の検出を高速で
行うことである。
【0016】第2の目的は、低コスト、小型、簡易な構
成で受信信号のサンプリング、加算又は積分、記憶の一
連の処理を高速化し、もって加算回数又は積分回数を増
し、物標の有無及びその物標までの距離の検出の高感
度、高精度化を図ることである。
【0017】第3の目的は、低コスト、小型、簡易な構
成、かつ低レベル信号で、人体への安全性を確保しつつ
物標の検知距離(測距距離)を大きくすることである。
【0018】第4の目的は、低コスト、小型、簡易な構
成で対向車の送出パルスとの干渉を除去(低減)し、物
標の検知(測距)に対する安全性及び信頼性を向上させ
ることである。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明のレーダ
装置は、送出手段によってパルス状の信号を周期的に外
部へ出力する。この送出信号が物標に反射して来る方向
からの信号を受信手段によって連続的に受信し、この受
信手段が受信する信号の瞬時値を2値化手段によって、
受信したのが雑音である場合に0と1との出現確率が同
じになる値を単一の閾値として用い、この閾値を超える
か超えないかによって2値化する。そしてサンプリング
手段が、送出手段の送出タイミング後の一定の1又は複
数の時間を異ならせたサンプリング点毎に2値化信号を
サンプリングして0又は1のサンプリング値を得て、こ
れをサンプリング点各々に対応する加算手段に与える。
そこで、加算手段が送出手段による信号の所定の送出回
数分ずつこの0又は1のサンプリング値を加算する。
【0020】所定回数分の加算処理が終了すると、ピー
ク検出手段がサンプリング点毎の加算値に基づいて受信
信号のピーク位置を検出し、さらに、距離算定手段が送
出手段の送出タイミングから受信信号のピーク位置まで
の時間遅れに基づいて外部の物標までの距離を算定す
る。
【0021】ここで、受信したのが雑音である場合に0
と1との出現確率が同じになる値を単一の閾値として用
い、この閾値を超えるか超えないかによって2値化する
2値化手段を用いることにより、物標が存在せず、受信
手段が雑音のみを受信する場合、あるサンプリング点で
雑音のみを所定回数分加算した値はほぼ一定値になる。
【0022】一方、パルス状の送出信号が外部の物標に
反射してくる反射信号は正負いずれかの方向に偏るとい
う特異性を持っているので、その反射信号を受信して2
値化した結果が0となる確率も、また1となる確率も受
信信号の波形によって一定ではない。したがって、ある
サンプリング点の2値化信号に物標に反射してくる信号
が存在していれば、そのサンプリング点の加算値は上記
のバックグランド雑音に対するものと異なった値を示す
ことになる。
【0023】そこで、ピーク検出手段によって加算手段
によるサンプリング点毎の加算値に基づき、受信信号の
ピーク位置を検出してこれを物標からの反射信号の存在
する位置としみなし、距離算定手段により送出手段の送
出タイミングからこの受信信号のピーク位置に対応する
サンプリング点のサンプリングタイミングまでの時間遅
れに基づいて外部の物標までの距離を算定する。
【0024】これによって、反射信号の強度が雑音に埋
もれてしまうような弱い信号であっても、その信号の特
異性によってランダムな雑音信号と区別して識別し、物
標までの距離測定を行うことができる。
【0025】請求項2の発明のレーダ装置は、請求項1
に記載のレーダ装置と異なり、加算手段、サンプリング
手段は1つずつとするが、サンプリング点を切り替える
ためにサンプリングタイミング切替手段を新たに備えた
ことを特徴とする。
【0026】すなわち、送出手段によってパルス状の信
号を周期的に外部へ出力する。この送出信号が物標に反
射して来る方向からの信号を受信手段によって連続的に
受信し、2値化手段によって、受信したのが雑音である
場合に0と1との出現確率が同じになる値を単一の閾値
として用い、この閾値を超えるか超えないかによって2
値化する。そしてサンプリング手段が、送出手段の送出
タイミング後のサンプリングタイミング切替手段が設定
した所定のサンプリング点毎に2値化信号をサンプリン
グして0又は1のサンプリング値を得て、これを加算手
段に与える。そこで、加算手段が送出手段による信号の
所定の送出回数分この0又は1のサンプリング値を加算
し、この加算値をサンプリング点情報と共に記憶する。
【0027】サンプリングタイミング切替手段は、ある
1つのサンプリング点で所定回数分の加算処理が終了す
ると、別のサンプリング点に切り替え、この切り替えた
別のサンプリング点においても同じように、サンプリン
グ手段が2値化信号をサンプリングして0又は1のサン
プリング値を得て加算手段に与え、加算手段が送出手段
による信号の所定の送出回数分この0又は1のサンプリ
ング値を加算し、この加算値をサンプリング点情報と共
に記憶する。
【0028】こうして、サンプリングタイミング切替手
段があらかじめ設定されている時間を異ならせた複数種
のサンプリング点すべてについて2値化信号のサンプリ
ング、加算処理を終了すれば、ピーク検出手段によって
加算手段によるサンプリング点毎の加算値に基づき、受
信信号のピーク位置を検出してこれを物標からの反射信
号の存在する位置としみなし、距離算定手段により送出
手段の送出タイミングからこの受信信号のピーク位置に
対応するサンプリング点のサンプリングタイミングまで
の時間遅れに基づいて外部の物標までの距離を算定す
る。
【0029】これによって、請求項1の発明の場合と同
様に、反射信号の強度が雑音に埋もれてしまうような弱
い信号であっても、その信号の特異性によってランダム
な雑音信号と区別して識別し、物標までの距離測定を行
うことができる。
【0030】請求項3の発明は、請求項1又は2に記載
のレーダ装置において、ピーク検出手段が複数のサンプ
リング点のうち、極大の加算値を示すサンプリング点と
その近傍のサンプリング点間を結ぶ近似曲線を求め、当
該近似曲線における極大点をピーク位置として検出する
ものであり、これによって、サンプリング点間の間隔が
距離に換算して、例えば10m刻みのように粗いもので
あっても、近似曲線の極大点の位置の検出から隣り合う
サンプリング点の中間位置に物標が存在する場合でも、
その極大点の位置に対応する物標までの距離を算定する
ことにより、物標までの距離を精度良く割り出すことが
できる。
【0031】請求項4の発明は、請求項1〜3に記載の
レーダ装置において、ピーク検出手段がサンプリング点
毎の加算値を正規化した正規化加算値を用いてピーク位
置を検出するものであり、分散の小さいデータを用いて
ピーク位置の検出とそれに基づく物標までの距離の算定
ができ、演算処理の負荷を小さくして、処理の高速化が
図れる。
【0032】請求項5の発明は、請求項4の記載のレー
ダ装置において、さらに、サンプリング点毎の正規化加
算値のいずれかが所定の上限値を超えていないか否かを
判別する上限判別手段と、加算手段のいずれのサンプリ
ング点の正規化加算値も所定の下限値を超えていないか
否かを判別する下限判別手段と、上限判別手段がいずれ
かのサンプリング点の正規化加算値が上限値を超えてい
ることを判別した時に当該装置の感度を下げ、下限判別
手段がいずれのサンプリング点の正規化加算値も下限値
を超えていないことを判別した時に当該装置の感度を上
げる感度調整を行う感度調整手段とを備えたものであ
り、上限判別手段がいずれかのサンプリング点の正規化
加算値が上限値を超えていることを判別した時には感度
調整手段が当該装置の感度を下げる調整を行い、逆に下
限判別手段がいずれのサンプリング点の正規化加算値も
下限値を超えていないことを判別した時には感度調整手
段が当該装置の感度を上げる調整を行う。
【0033】こうして、常に正規化加算値のレベルを適
当な大きさに維持することにより、正確な物標の有無の
判定、また物標までの距離の算定を安定して行えるよう
にする。
【0034】請求項6の発明は、請求項5に記載のレー
ダ装置において、感度調整手段として、加算手段の加算
回数を増減調整する加算回数調整手段を用いたものであ
り、これによって、常に必要最小限度の少ない加算回数
で十分なSN比で反射信号の検出ができるように自動的
に設定し、物標の有無の判定、あるいは測距動作を短時
間で行えるようにする。
【0035】請求項7の発明は、請求項1〜6に記載の
レーダ装置において、サンプリング点毎の加算値のオフ
セットを検出することによって受信手段の受信した受信
信号に含まれている干渉波を検出する干渉波検出手段
と、干渉波検出手段が検出する干渉波を除去する干渉波
除去手段とを備えたものであり、これによって、サンプ
リング点毎の加算値のオフセットを検出することによっ
て受信信号に含まれる干渉波を捕らえて除去することが
でき、測距データの安全性と信頼性が向上する。
【0036】請求項8の発明は、請求項1〜6に記載の
レーダ装置において、距離算定手段の算出する物標まで
の距離に時間変化に基づいて当該物標との相対速度を求
め、当該相対速度の異常を検出することによって受信手
段の受信した受信信号に含まれている干渉波を検出する
干渉波検出手段と、干渉波検出手段が検出する干渉波を
除去する干渉波除去手段とを備えたものであり、これに
よって、相対速度の異常により受信信号に干渉波が含ま
れていることを判定し、これを除去することにより、測
距データの安全性と信頼性が向上する。
【0037】請求項9の発明は、請求項7又は8に記載
のレーダ装置において、送出手段、受信手段、サンプリ
ング手段、加算手段、距離算定手段、干渉波検出手段及
び干渉波除去手段を含む各手段の動作タイミングを定め
る基準クロック信号の周波数誤差が、少なくとも2×1
-7以上であるようにしたものであり、周波数誤差を大
きくすることにより、物標との相対速度が実速度を大幅
に超えた実際にはあり得ない高速度で測定するようにし
て、そのような測定をした時には物標の存在を無視する
ことによって干渉波による誤検出を防止し、測距データ
の安全性と信頼性が向上する。
【0038】請求項10の発明は、請求項7又は8に記
載のレーダ装置において、送出手段、受信手段、サンプ
リング手段、加算手段、距離算定手段、干渉波検出手段
及び干渉波除去手段を含む各手段の動作タイミングを定
める基準クロック信号の周波数誤差の周波数比が、少な
くとも2×10-7以上異なるようにしたものであり、こ
れによって加算値の内容から一様の周波数オフセットを
検出することができ、物標の反射信号の加算値がオフセ
ット以上であれば、必ず反射信号の加算値を検出するこ
とができ、この結果、干渉波が発生した状態でも正しい
測距を行うことができる。
【0039】請求項11の発明のレーダ装置は、送出手
段によってパルス状の信号を周期的に外部へ出力する。
この送出信号が物標に反射して来る方向からの信号を受
信手段によって連続的に受信し、この受信手段が受信す
る信号の瞬時値を2値化手段によって、受信したのが雑
音である場合に0と1との出現確率が同じになる値を単
一の閾値として用い、この閾値を超えるか超えないかに
よって2値化する。そしてサンプリング手段が、送出手
段の送出タイミング後の一定の1又は複数の時間帯を異
ならせたサンプリング期間毎に2値化信号をサンプリン
グして0又は1のサンプリング値を得て、これをサンプ
リング期間各々に対応する積分手段に与える。そこで、
積分手段が送出手段による信号の所定の送出回数分ずつ
この0又は1のサンプリング値をサンプリング期間毎に
積分する。
【0040】所定回数分の積分処理が終了すると、ピー
ク検出手段がサンプリング期間毎の積分値に基づいて受
信信号のピーク位置を検出し、さらに、距離算定手段が
送出手段の送出タイミングから受信信号のピーク位置ま
での時間遅れに基づいて外部の物標までの距離を算定す
る。
【0041】ここで、受信したのが雑音である場合に0
と1との出現確率が同じになる値を単一の閾値として用
い、この閾値を超えるか超えないかによって2値化する
2値化手段を用いることにより、物標が存在せず、受信
手段が雑音のみを受信する場合、あるサンプリング期間
で雑音のみを所定回数分積分した値はほぼ一定値にな
る。
【0042】一方、パルス状の送出信号が外部の物標に
反射してくる反射信号は正負いずれかの方向に偏るとい
う特異性を持っているので、その反射信号を受信して2
値化した結果が0となる確率も、また1となる確率も受
信信号の波形によって一定ではない。したがって、ある
サンプリング期間の2値化信号に物標に反射してくる信
号が存在していれば、そのサンプリング期間の積分値は
上記のバックグランド雑音に対するものと異なった値を
示すことになる。
【0043】そこで、ピーク検出手段によって積分手段
によるサンプリング期間毎の積分値に基づき、受信信号
のピーク位置を検出してこれを物標からの反射信号の存
在する位置としみなし、距離算定手段により送出手段の
送出タイミングからこの受信信号のピーク位置に対応す
るサンプリング期間のサンプリングタイミングまでの時
間遅れに基づいて外部の物標までの距離を算定する。
【0044】これによって、反射信号の強度が雑音に埋
もれてしまうような弱い信号であっても、その信号の特
異性によってランダムな雑音信号と区別して識別し、物
標までの距離測定を行うことができる。
【0045】請求項12の発明のレーダ装置は、請求項
11に記載のレーダ装置と異なり、積分手段、サンプリ
ング手段は1つずつとするが、サンプリング期間を切り
替えるためにサンプリングタイミング切替手段を新たに
備えたことを特徴とする。
【0046】すなわち、送出手段によってパルス状の信
号を周期的に外部へ出力する。この送出信号が物標に反
射して来る方向からの信号を受信手段によって連続的に
受信し、2値化手段によって、受信したのが雑音である
場合に0と1との出現確率が同じになる値を単一の閾値
として用い、この閾値を超えるか超えないかによって2
値化する。そしてサンプリング手段が、送出手段の送出
タイミング後のサンプリングタイミング切替手段が設定
した所定のサンプリング期間毎に2値化信号をサンプリ
ングして0又は1のサンプリング値を得て、これを積分
手段に与える。そこで、積分手段が送出手段による信号
の所定の送出回数分この0又は1のサンプリング値を積
分し、この積分値をサンプリング期間情報と共に記憶す
る。
【0047】サンプリングタイミング切替手段は、ある
1つのサンプリング期間で所定回数分の積分処理が終了
すると、別のサンプリング期間に切り替え、この切り替
えた別のサンプリング期間においても同じように、サン
プリング手段が2値化信号をサンプリングして0又は1
のサンプリング値を得て積分手段に与え、積分手段が送
出手段による信号の所定の送出回数分この0又は1のサ
ンプリング値を積分し、この積分値をサンプリング期間
情報と共に記憶する。
【0048】こうして、サンプリングタイミング切替手
段があらかじめ設定されている時間帯を異ならせた複数
種のサンプリング期間すべてについて2値化信号のサン
プリング、積分処理を終了すれば、ピーク検出手段によ
って積分手段によるサンプリング期間毎の積分値に基づ
き、受信信号のピーク位置を検出してこれを物標からの
反射信号の存在する位置としみなし、距離算定手段によ
り送出手段の送出タイミングからこの受信信号のピーク
位置に対応するサンプリング期間のサンプリングタイミ
ングまでの時間遅れに基づいて外部の物標までの距離を
算定する。
【0049】これによって、請求項11の発明の場合と
同様に、反射信号の強度が雑音に埋もれてしまうような
弱い信号であっても、その信号の特異性によってランダ
ムな雑音信号と区別して識別し、物標までの距離測定を
行うことができる。
【0050】請求項13の発明は、請求項11又は12
に記載のレーダ装置において、ピーク検出手段が複数の
サンプリング期間のうち、極大の積分値を示すサンプリ
ング期間とその近傍のサンプリング期間とのそれぞれの
積分値の間を結ぶ近似曲線を求め、当該近似曲線におけ
る極大点をピーク位置として検出するものであり、これ
によって、サンプリング期間間の間隔が距離に換算し
て、例えば10m刻みのように粗いものであっても、近
似曲線の極大点の位置の検出からあるサンプリング期間
内の中心から偏位した位置に物標が存在する場合でも、
その極大点の位置に対応する物標までの距離を算定する
ことにより、物標までの距離を精度良く割り出すことが
できる。
【0051】請求項14の発明は、請求項11〜13に
記載のレーダ装置において、ピーク検出手段がサンプリ
ング期間毎の積分値を正規化した正規化積分値を用いて
ピーク位置を検出するものであり、分散の小さいデータ
を用いてピーク位置の検出とそれに基づく物標までの距
離の算定ができ、演算処理の負荷を小さくして、処理の
高速化が図れる。
【0052】請求項15の発明は、請求項14の記載の
レーダ装置において、さらに、サンプリング期間毎の正
規化積分値のいずれかが所定の上限値を超えていないか
否かを判別する上限判別手段と、積分手段のいずれのサ
ンプリング期間の正規化積分値も所定の下限値を超えて
いないか否かを判別する下限判別手段と、上限判別手段
がいずれかのサンプリング期間の正規化積分値が上限値
を超えていることを判別した時に当該装置の感度を下
げ、下限判別手段がいずれのサンプリング期間の正規化
積分値も下限値を超えていないことを判別した時に当該
装置の感度を上げる感度調整を行う感度調整手段とを備
えたものであり、上限判別手段がいずれかのサンプリン
グ期間の正規化積分値が上限値を超えていることを判別
した時には感度調整手段が当該装置の感度を下げる調整
を行い、逆に下限判別手段がいずれのサンプリング期間
の正規化積分値も下限値を超えていないことを判別した
時には感度調整手段が当該装置の感度を上げる調整を行
う。
【0053】こうして、常に正規化積分値のレベルを適
当な大きさに維持することにより、正確な物標の有無の
判定、また物標までの距離の算定を安定して行えるよう
にする。
【0054】請求項16の発明は、請求項15に記載の
レーダ装置において、感度調整手段として、積分手段の
積分回数を増減調整する積分回数調整手段を用いたもの
であり、これによって、常に必要最小限度の少ない積分
回数で十分なSN比で反射信号の検出ができるように自
動的に設定し、物標の有無の判定、あるいは測距動作を
短時間で行えるようにする。
【0055】請求項17の発明は、請求項11〜16に
記載のレーダ装置において、サンプリング期間毎の積分
値のオフセットを検出することによって受信手段の受信
した受信信号に含まれている干渉波を検出する干渉波検
出手段と、干渉波検出手段が検出する干渉波を除去する
干渉波除去手段とを備えたものであり、これによって、
サンプリング期間毎の積分値のオフセットを検出するこ
とによって受信信号に含まれる干渉波を捕らえて除去す
ることができ、測距データの安全性と信頼性が向上す
る。
【0056】請求項18の発明は、請求項11〜16に
記載のレーダ装置において、距離算定手段の算出する物
標までの距離に時間変化に基づいて当該物標との相対速
度を求め、当該相対速度の異常を検出することによって
受信手段の受信した受信信号に含まれている干渉波を検
出する干渉波検出手段と、干渉波検出手段が検出する干
渉波を除去する干渉波除去手段とを備えたものであり、
これによって、相対速度の異常により受信信号に干渉波
が含まれていることを判定し、これを除去することによ
り、測距データの安全性と信頼性が向上する。
【0057】請求項19の発明は、請求項17又は18
に記載のレーダ装置において、送出手段、受信手段、サ
ンプリング手段、積分手段、距離算定手段、干渉波検出
手段及び干渉波除去手段を含む各手段の動作タイミング
を定める基準クロック信号の周波数誤差が、少なくとも
2×10-7以上であるようにしたものであり、周波数誤
差を大きくすることにより、物標との相対速度が実速度
を大幅に超えた実際にはあり得ない高速度で測定するよ
うにして、そのような測定をした時には物標の存在を無
視することによって干渉波による誤検出を防止し、測距
データの安全性と信頼性が向上する。
【0058】請求項20の発明は、請求項17又は18
に記載のレーダ装置において、送出手段、受信手段、サ
ンプリング手段、積分手段、距離算定手段、干渉波検出
手段及び干渉波除去手段を含む各手段の動作タイミング
を定める基準クロック信号の周波数誤差の周波数比が、
少なくとも2×10-7以上異なるようにしたものであ
り、これによって積分値の内容から一様の周波数オフセ
ットを検出することができ、物標の反射信号の積分値が
オフセット以上であれば、必ず反射信号の積分値を検出
することができ、この結果、干渉波が発生した状態でも
正しい測距を行うことができる。
【0059】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳説
する。図1は本発明の第1の実施例の構成を示す全体構
成図である。レーダヘッド5は、パルス信号を送出する
パルス信号送出手段5a及び反射パルスを受信する反射
パルス信号受信手段5bを備えて構成されている。演算
記憶手段6は、大別して反射パルス信号受信手段5bの
受信する信号をサンプリングするサンプリング手段6A
及びサンプリング結果を各サンプリング点毎に順次加算
して記憶する記憶手段6Bを備えて構成されている。判
定手段7は、主に記憶手段6Bの記憶するデータの内容
から反射パルスの有無を判定する機能を備えて構成され
ている。制御手段8は、レーダ装置全般、すなわちパル
ス信号送出手段5aの駆動を制御する機能、演算記憶手
段6のサンプリング手段6A及び記憶手段6Bの起動を
制御する機能、さらに判定手段7の起動を制御する機能
を備えて構成されている。
【0060】図2は第1の実施例の具体的な構成を示す
ブロック図である。まず、パルス信号送出手段5aは、
詳しくは後述するトリガ発生回路8cから出力されるト
リガ信号に応じて駆動する駆動回路5a−1、駆動回路
5a−1の駆動に応じて発光するLED若しくはレーザ
ダイオード等の発光素子5a−2及び発光素子5a−2
の発光を物標に向けて集光するレンズ5a−3から構成
されている。また、反射パルス信号受信手段5bは、外
部からの入射光、すなわち物標から反射する反射光を内
部(すなわちフォトダイオード等の受光面)へ向けて焦
点を結びつつ集光するレンズ5b−1、レンズ5b−1
を透過して集光される光を電気信号に変換するフォトダ
イオード等の受光素子5b−2、受光素子5b−2が出
力する電気信号を適宜増幅する一方、その増幅した電気
信号を正負に対応した2値化信号(位相信号、あるいは
符号信号)(“1”,“0”)に変換するリミッタアン
プ5b−3及びリミッタアンプ5b−3が増幅した電気
信号をロジックレベル(例えば5Vと0V)に変換する
ゼロクロスコンパレータ5b−4から構成されている。
【0061】演算記憶手段6は、具体的にはクロック発
信機8aから出力されるクロック信号を取り込んで反射
パルスのサンプリング開始のタイミングを計るタイミン
グ回路6a及びサンプリングパルス発生回路8dから出
力されるサンプリングパルスに応じてゼロクロスコンパ
レータ5b−4から出力されるゼロクロス信号をサンプ
リングして加算し、記憶するサンプリング加算回路6b
から構成されている。
【0062】判定回路7は、発光素子5a−2を駆動し
て発光させる信号(スタートパルス)を所定回数出力す
る駆動機能及び加算記憶回路6bに記憶されている加算
データを取り込み、この加算データに物標からの反射パ
ルスが含まれるか否かを判定する判定機能を備えて構成
されている。詳しくは後述する。
【0063】一方、制御手段8は、クロック発信機8a
から出力されるクロック信号を取り込んでスタートパル
スを出力し、1度の測距動作で繰り返す加算回数を設定
するスタートパルス発生回路(加算数設定回路)8b、
クロック信号を取り込み、かつスタートパルス発生回路
8bからスタートパルスを受けてトリガ発生時期を認識
し、トリガ信号を駆動回路5a−1へ一定周期毎に出力
するトリガ発生回路8c及びクロック信号を取り込んで
起動時期を認識する一方、スタートパルス発生回路(加
算数設定回路)8bの指令に応じてサンプリングの開始
時期及び終了時期を認識し、演算記憶手段6のサンプリ
ング動作を制御するサンプリングパルス発生回路8dを
備えて構成されている。
【0064】図3は各種信号のタイミングチャートであ
り、トリガ信号(1)はトリガ発生回路8cから所定間
隔毎、例えば4μs毎に繰り返し出力されるパルス信号
である。送出パルス信号(2)は、トリガ発生回路8c
及び駆動回路5a−1で制御される発光素子5a−2か
ら外部の物標へ向けて出力されるパルス信号であり、ト
リガ信号(1)に同期して出力される。受信信号(3)
は、レンズ5b−1及び受光素子5b−2を経てリミッ
タアンプ5b−3に受信される瞬時信号であり、その振
幅が所定の閾値Vth(例えば0V)を超えたか超えない
かをゼロクロスコンパレータ5b−4で検出し、信号の
瞬時値が2値化信号として出力される。この受信信号
(3)には雑音信号と共に、送出パルス信号(2)の送
出タイミング毎に、その送出タイミングから物標までの
距離に比例した遅延時間Td分だけ遅れた位置に反射パ
ルスが現れる。
【0065】サンプリングパルス(4)は、トリガ信号
(1)の出力毎にサンプリングパルス発生回路8cから
出力されるサンプリングパルスであり、その周期は△
t、数はn個(例えば14,128個等)である。そし
てこの各サンプリングパルスのタイミング毎に受信信号
(3)の2値化瞬時値がサンプリング加算回路6bでサ
ンプリングされて各サンプリング点毎に加算され、サン
プリングパルス発生回路8cからエンドパルスを受け取
るまで送出パルスの送出設定回数Naだけサンプリン
グ、加算を繰り返す。
【0066】前述のサンプリング加算回路6bは、サン
プリングパルス1〜n(例えば、n=14)の各々に対
応するn個のメモリM1 〜Mn を備えており、メモリM
1 は第1のサンプリング点においてサンプリングした値
が“1”であればそれをそれまでの記憶値に加算し、メ
モリM2 は第2のサンプリング点においてサンプリング
した値が“1”であればそれまでの記憶値に1を加算
し、この処理が第nのサンプリングパルスに対応するメ
モリMn まで続けて行われ、以上の加算、記憶処理が加
算数設定回路8bの指令に応じて所定回数Naだけ行わ
れる。
【0067】判定手段7は、所定回数の加算、記憶処理
が終了すると、各メモリの加算値を読取り、受信信号
(3)の中に送出パルス(2)に対する反射パルスが含
まれていないかどうかを判定すると共に、反射パルスが
検出されたサンプリング点までの送出パルス送出タイミ
ングからの時間遅れをサンプリングパルス周期△tをも
とにして計測する。すなわち、反射パルスが検出される
までの時間Td=m・△t(m番目のサンプリング点に
反射パルスが検出された場合)を算出する。
【0068】この方式による物標の判定、またその物標
までの距離の算定の原理は次による。受信手段5bが受
信する信号にはランダム雑音が含まれるが、反射パルス
が含まれず、バックグラウンドとなるランダム雑音だけ
の場合には、その受信信号を図2の高利得のリミッタア
ンプ5b−3により方形波に変換し、さらにゼロクロス
コンパレータ5b−4により入力が正の場合“1”を出
力し、負の場合“0”を出力するように設定すると、
“1”が出現する確率と“0”が出現する確率とが等し
い。そこで、このような2値化雑音を繰り返しサンプリ
ングし、その2値データ(“1”あるいは“0”)を加
算した時の加算値の確率分布は二項分布を示すことが知
られている。すなわち、同じ条件のもとで繰り返しNa
回行われる独立試行(Na回のサンプリングに相当)に
おいて、ある事象(サンプリング値が“1”となる事
象)が出現される回数をk(加算値がkになることに相
当する)とすると、kの確率分布は次の(3)、(4)
式で表せる。
【0069】
【数3】
【数4】 ここにpは1回のサンプリングで“1”が出現する確
率、qは同じく“0”が出現する確率で、雑音だけの場
合ではp=q=0.5である。
【0070】図4は(3)式で表される加算値kの確率
分布をp=q=0.5、Na=26、32、64、12
8の各々について計算した結果を示す。横軸はNaで正
規化した加算値k/Naを用いている。正規化加算値k
の分布範囲は、1/2を中心にして加算回数が大きくな
るほど狭まっている。信号に以上のような確率分布を有
する雑音が加わった時の加算値の期待値k´とその分散
Vは次の(5)、(6)式で表される。
【0071】
【数5】
【数6】 p、qは(2)式を用いてそれぞれ(7)、(8)式で
求められる。
【0072】
【数7】
【数8】 ここにσ2 は雑音電力を表すので、s/σはS/Nに等
しい。したがって、SN比によってp、q、k´、Vは
一義的に決まる。また、k´をNaで正規化すると、
(5)式よりk´/Na=p=0.5となり、Naに無
関係に一定になる。また、標準偏差V1/2 は(6)式よ
り(Na・p・q)1/2 で与えられるので、これをNaで
正規化すると、(Na・p・q)1/2 /Na=(p・q/
Na)1/2で、標準偏差はNa=1の場合に比べ1/N
1/2 となる。このことは、加算数が大きくなるほど雑
音による標準偏差が小さくなり、雑音だけの場合と雑音
の重畳した信号との分離が容易になることを意味する。
【0073】次に加算処理の詳細について具体的に説明
する。なお、説明の都合上、制御手段8を構成する各種
回路の具体的な構成から説明することにする。
【0074】図5はスタートパルス発生回路(加算数設
定回路)8bの構成を示すブロック図である。このスタ
ートパルス発生回路(加算数設定回路)8bは、RSフ
リップフロップ8b−3、デバイダ8b−4及びカウン
タ8b−6から構成されている。まず、RSフリップフ
ロップ8b−3は、一方で判定手段7の外部スタート信
号を受け、他方でANDゲート8b−2を介して外部の
クリア信号及びカウンタ8b−6のカウント終了信号の
AND入力を受け、両者の関係で出力Q1bの状態を切
り換える。デバイダ8b−4は、クロック発信機8aの
出力、外部クリア信号をインバータ8b−1で反転した
制御信号j及びRSフリップフロップ8b−3の出力Q
1bの入力を受け、これら信号の関係に応じて出力Q2a
を出力する。また出力Q2aはインバータ8b−5で反
転されてスタートパルスとなる。カウンタ8b−6は、
デバイダ8b−4の出力Q2aの入力を受け、加算カウ
ントを実行し、カウントの継続信号をインバータ8b−
7で反転してANDゲート8b−2へ転送すると共に、
カウント状況に応じた加算状態信号を出力する。
【0075】すなわち、加算数設定回路8bは、外部ス
タート信号によりRSフリップフロップ8b−3の出力
Q1bを“L”にしてデバイダ8b−4のクロック入力
のインヒビットを解除し、15MHzクロック信号を3
2分周して4μs周期のスタートパルスを出力する。ス
タートパルスの個数は例えば8192個である。819
2個目のスタートパルスが入力されたカウンタ8b−6
は、14ビット目の出力が“H”になりRSフリップフ
ロップ8b−3をリセットし、デバイダ8b−4の動作
を停止させる。カウンタ8b−6の出力はスタートパル
スが出力中の場合は“L”、8192個出力した後は
“H”になり、判定手段7に伝達される。
【0076】図6はトリガ発生回路8cの構成を示すブ
ロック図である。トリガ発生回路8cは、複数のJKフ
リップフロップ8c−3,8c−5から構成されてい
る。JKフリップフロップ8c−3は、一方でANDゲ
ート8c−1を介してスタートパルス及びJKフリップ
フロップ8c−5の出力Q2bのアンド入力を受け、他
方でANDゲート8c−2を介してJKフリップフロッ
プ8c−3の出力Q1a及びJKフリップフロップ8c
−5の出力Q2aのアンド入力を受け、両者の関係に応
じて出力Q1a、Q1bの状態を切換える。そして、出
力Q1aは駆動パルスとなり、出力Q1bはトリガパル
スとして取出される。JKフリップフロップ8cー5
は、ゲート8cー4を介してJKフリップフロップ8c
−3の出力Q1a及びスタートパルスのNOR入力を受
け、両者の関係に応じて出力Q2a、Q2bの状態を適
宜切換える。
【0077】図7はサンプリングパルス発生回路8dの
構成を示すブロック図である。サンプリングパルス発生
回路8dは、RSフリップフロップ8d−2、4ビット
カウンタ8d−4から構成されている。RSフリップフ
ロップ8d−2は、一方でトリガパルスの入力を受け、
他方でANDゲート8d−1を介して外部クリア及びエ
ンドパルスのAND入力を受け、両者の関係に応じて出
力Q1a、Q1bの状態を切換える。そして、出力Q1
aは、NANDゲート8d−3を介してクロック信号と
のNANDをとられてサンプリングパルスに変換され
る。また一方、当該NAND出力は4ビットカウンタ8
d−4にも出力される。4ビットカウンタ8d−4は、
サンプリングパルスをカウントし、14個目でビット2
〜4の出力QB,QC,Qdが同時に“H”になると3入
力NANDゲート8d−5が“L”になり、RSフリッ
プフロップ8d−2をリセットし、NANDゲート8d
−3の出力を停止する。また3入力NANDゲート8d
−5の出力はサンプリングパルスの終了を示すエンドパ
ルスとして出力される。
【0078】図8はタイミング回路6aの構成要素であ
る加算クロック発生回路6a−aの構成を示すブロック
図である。加算クロック発生回路6a−aの構成はサン
プリングパルス発生回路8cの構成と概ね等しいが、サ
ンプリングパルス発生回路8cがトリガパルスの入力に
応じてサンプリングパルスを出力するのに対して、加算
クロック発生回路6a−aはエンドパルスの入力に応じ
て加算クロックを出力する点が相違する。
【0079】図9はタイミング回路6aの他の構成要素
である制御パルス発生回路6a−bの構成を示すブロッ
ク図である。制御パルス発生回路6a−bは、2つのJ
Kフリップフロップ6a−11,6a−14及び複数の
NANDゲート6a−15,6a−16,…及び排他的
論理和ゲート6a−21から構成されている。JKフリ
ップフロップ6a−11は、一方でJKフリップフロッ
プ6a−14の出力Q2bの入力を受け、他方で加算ク
ロックの入力を受け、両者の関係に応じて出力Q1a、
Q1bの状態を切換える。JKフリップフロップ6a−
14は、NANDゲート6a−13で得られる入力、す
なわちNANDゲート6a−12で得られた加算クロッ
クとJKフリップフロップ6a−14の出力Q2aとの
NAND出力及びJKフリップフロップ6a−11の出
力Q1bのNAND入力により、出力Q2a、Q2bの
状態を切換える。
【0080】NANDゲート6a−15は、JKフリッ
プフロップ6a−11の出力Q1b、加算クロック、J
Kフリップフロップ6a−14の出力Q2bに応じて制
御信号e(アドレスカウンタ)を制御する。NANDゲ
ート6a−16は、JKフリップフロップ6a−11の
出力Q1b、加算クロック、JKフリップフロップ6a
−14の出力Q2bに応じて制御信号f(加算カウン
タ)を制御する。NANDゲート6c−17は、JKフ
リップフロップ6a−11の出力Q1a、JKフリップ
フロップ6a−14の出力Q2a、インバータ6a−1
8を介する加算クロックの反転信号に応じて制御信号g
(カウントup)を制御する。
【0081】排他的論理和ゲート6a−21は、NAN
Dゲート6a−19を介する加算クロック、JKフリッ
プフロップ6c−11の出力Q1a、JKフリップフロ
ップ6a−14の出力Q2aのアンドノット入力、並び
に、NANDゲート6a−20を介する加算クロックの
反転信号、JKフリップフロップ6a−11の出力Q1
a、JKフリップフロップ6a−14の出力Q2bのア
ンドノット入力に応じて制御信号h(メモリ入出力切換
え)を制御する。NANDゲート6a−22は、JKフ
リップフロップ6a−11の出力Q1a、加算クロッ
ク、JKフリップフロップ6a−14の出力Q2aに応
じて制御信号i(メモリ書き込みパルス)を制御する。
【0082】図10は制御パルス発生回路6a−bの各
種信号のタイミングチャートであり、JKフリップフロ
ップ6a−11の出力Q1aを出力信号QAとし、JK
フリップフロップ6a−14の出力Q2aを出力信号Q
Bとして説明する。制御信号eは、加算クロックが
“H”、出力信号QAが“L”、出力信号QBが“L”で
ある時“L”となる。制御信号fは、加算クロックが
“H”、出力信号QAが“H”、出力信号QBが“L”で
ある時“L”となる。制御信号gは、加算クロックが
“L”、出力信号QAが“L”、出力信号QBが“H”で
ある時“L”となる。制御信号hは、出力信号QAが
“L”、出力信号QBが“H”である時、“L”とな
る。制御信号iは、加算クロックが“H”、出力信号Q
Aが“L”、出力信号QBが“H”である時“L”とな
る。
【0083】図11はサンプリング・加算回路6bの構
成を示すブロック図である。サンプリング・加算回路6
bは、8ビットシフトレジスタ6b−2,6b−3、ア
ドレス設定用プリセットカウンタ6b−6、メモリ6b
−8,6b−9、複数の双方向バッファ6b−11〜6
b−14及び複数の加算用プリセットカウンタ6b−1
7〜6b−20から構成されている。8ビットシフトレ
ジスタ6b−2,6b−3は縦続接続されており、サン
プリングパルスc、制御信号e´のORゲート6b−1
への入力に応じてリミッタアンプ5b−3の出力をサン
プリングパルスcに同期してサンプリングし、サンプリ
ングしたデータをシフトしながら記憶する。
【0084】アドレス設定用プリセットカウンタ6b−
6は、制御信号d及び判定手段7の制御信号8のORゲ
ート6b−4への入力、また制御信号e及び判定手段7
の制御信号9のORゲート6b−5への入力に応じてメ
モリ6b−8,6b−9のアドレスを設定する。メモリ
6b−8,6b−9は、制御信号i及び判定手段7の制
御信号11のORゲート6b−7への入力に応じてリー
ドモード、ライトモードを切換える。双方向バッファ6
b−11〜6b−14は、初期状態はリードモード(す
なわちメモリ6b−8,6b−9のデータを出力)であ
り、制御信号h及び判定手段7の制御信号10に応じて
データのロード方向を切換える。すなわちリードモード
ではメモリ6b−8,6b−9の記憶内容を加算用プリ
セットカウンタ6b−17〜6b−20へロードし、ラ
イトモードでは加算用プリセットカウンタ6b−17〜
6b−20の記憶内容をメモリ6b−8,6b−9へロ
ードする。加算用プリセットカウンタ6b−17〜6b
−20は、8ビットシフトレジスタ6b−3の出力及び
インバータ6b−15を介して反転出力される制御信号
gのANDゲート6b−16への入力、さらに制御信号
f及び制御信号d´に応じてロードされた内容をインク
リメントする。
【0085】図12は加算処理動作を示すタイミングチ
ャートである。サンプリングパルス発生回路8dからサ
ンプリングパルスcの出力終了を示すエンドパルスdが
出力されると、アドレス設定用プリセットカウンタ6b
−6の各ビットを“H”にプリセットすると共に、加算
用プリセットカウンタ6b−17〜6b−20がクリア
され、さらにエンドパルスdに同期して加算クロック発
生回路6c−aより、例えば42個の加算クロックが出
力される。
【0086】制御パルス発生回路6c−bの制御信号e
によりアドレス設定用プリセットカウンタ6b−6がイ
ンクリメントされてアドレスバス6b−66にあらかじ
めリードモードになっているメモリ6b−8,6b−9
のゼロ番地を選択する$00が出力され、メモリ出力D
0〜D7から0番地のメモリ内容が出力される。また同
時に、制御信号eは8ビットシフトレジスタ6b−2,
加算用プリセットカウンタ6b−17のクロック端子に
も入力されるので、その8ビットシフトレジスタ6b−
2の記憶内容が1ビットシフトされてANDゲート6b
−16に出力される。
【0087】次に制御信号fの出力によりメモリ6b−
8,6b−9の内容が加算用プリセットカウンタ6b−
17〜6b−20にロードされる。制御信号jが“H”
ならば制御信号gが加算用プリセットカウンタ6b−1
7〜6b−20をインクリメントし、制御信号jが
“L”ならば加算用プリセットカウンタ6b−17の入
力を図るANDゲート6b−16の他方の入力に制御信
号gは出力されないので加算は実行されない。
【0088】制御信号hは、双方向バッファ6b−11
〜6b−14の入出力方向を切換え、加算用プリセット
カウンタ6b−17〜6b−20の内容をメモリ6b−
8,6b−9に転送する。制御信号iがORゲート6b
−7に入力されると、メモリ6b−8,6b−9を書き
込みモードにして0番地の内容を加算用プリセットカウ
ンタ6b−17〜6b−20の内容に書換える。
【0089】以上述べたように加算クロックの3サイク
ルで8ビットシフトレジスタ6b−2,6b−3の1つ
のビットに対応するメモリ番地の内容読み込みと加算及
び書き込みを終了するので、42サイクルで14ビット
分について一回分の加算処理が終了し、このような処理
を8192回行って加算値を得る。
【0090】一方、判定手段7は、スタートパルス発生
回路(加算数設定回路)8bの出力(13)により81
92回の加算の終了を検出し、サンプリング・加算回路
6bのメモリ6b−8,6b−9及び双方向バッファ6
b−11〜6b−14を制御してメモリ6b−8,6b
−9に記憶されている加算値を読み出し、反射パルスの
有無を検出して距離を求める。
【0091】図13は判定手段7の動作を示すフローチ
ャートである。まず、ステップ131において、判定手
段7の出力をイニシャライズし、もって演算記憶手段6
が読み込む入力をイニシャライズすると共に、図11の
ORゲート6b−4,6b−5,6b−7,6b−10
に入力すべき各制御信号8,9,10,11をイニシャ
ライズする。続いて、ステップ132において、判定手
段7によりスタートパルス発生回路(加算数設定回路)
8bのデバイダ8b−4、サンプリング・加算回路6b
のアドレス設定用プリセットカウンタ6b−6及び加算
用プリセットカウンタ6b−17〜6b−20をクリア
する。さらに、ステップ133において、制御手段7の
内部カウンタをクリアする。
【0092】この後、加算メモリクリアルーチンに入
り、ステップ134において、制御信号9,10,11
を各々出力して、ORゲート6b−5,6b−7,6b
−10から出力信号を出力させる。続いて、ステップ1
35において、アドレスカウンタをインクリメントし、
ステップ136において、インクリメントの値が$10
に達したか否かを判断する。これにより8ビットプリセ
ットカウンタ6b−2,6b−3のインクリメント、双
方向バッファ6b−11〜6b−14の入出力の方向が
メモリ6b−8,6b−9側へ換わり、メモリ6b−
8,6b−9に、加算用プリセットカウンタ6b−17
〜6b−20のクリアされた出力(例えば$00)を書
き込む。この操作を8ビットシフトレジスタ6b−2,
6b−3をインクリメントしながら同様に行い、メモリ
の$00番地から$10番地までの内容をクリアする。
【0093】かくして、ステップ136において、イン
クリメントの値が$10に達してないと判断された場合
には、ステップ134へ戻るが、インクリメントの値が
$10に達したと判断された場合には、ステップ137
へ進み、外部スタートパルスをスタートパルス発生回路
8bへ転送し、前述の一連の加算処理を行わせる。
【0094】この後、ステップ138において、スター
トパルス発生回路(加算数設定回路)8bの加算状態信
号が“H”であるか否かを判断する。加算状態信号が
“H”でなければ再びステップ138の処理を繰り返す
が、加算状態信号が“H”であれば加算処理終了とみな
し、ステップ139へ進み、アドレス設定用プリセット
カウンタ6b−6をクリアする。そして、ステップ14
0において、判定手段7の内部カウンタをクリアする。
【0095】この後、加算メモリの加算データのうち、
上位8ビットを読み込む、いわゆる加算メモリのリード
モードになり、ステップ141において、ORゲート6
b−5に制御信号9を出力して、アドレス設定用プリセ
ットカウンタ6b−6をインクリメントする。続いて、
ステップ142において、アドレスカウンタをインクリ
メントし、ステップ143において、メモリ6b−8,
6b−9に読み込んだ内容が$10になったか否かを判
断する。ステップ143において、インクリメントの値
が$10に達してないと判断された場合には、ステップ
141へ戻るが、インクリメントの値が$10に達した
と判断された場合には、ステップ144へ進み、加算値
の内容から物標までの距離を演算し、演算距離をCRT
等に表示(警報を含む)する。
【0096】図14はNa=128とした場合の加算値
kの確率分布をS/N=+3,−6,−15,−∞(−
∞は雑音のみの場合)の条件で各SN比毎の実施により
Na=128回のデータ加算を2000回繰り返し、加
算値の頻度分布(確率分布)を求めてプロットしたもの
である。なお、図の右半分(k/Naが0.5〜1.
0)は信号の位相が正の場合の実施値についてプロット
したものであり、図の左半分(k/Naが0.0〜0.
5)は信号の位相が負の場合の実施値についてプロット
したものである。
【0097】図示の通り、図14のS/N=−∞dBの
測定結果と図4の計算結果(Na=128)とは良く一
致している。従来のレーダ装置では信号と雑音を99.
85%の正確さで識別するのに15.6dBのSN比を
必要としていたのに対して、本実施例では位相サンプリ
ング結果を128回加算することにより大幅なSN比の
改善効果が得られ、−6dB程度の信号でも識別可能な
ことが判る。識別に必要な時間は、図6よりパルス繰り
返し周期が4μsであるから、所要加算時間として4μ
s×128=512μsですみ、極めて短時間で良い。
【0098】図15はNa=8192の場合の加算値k
´の正規化された期待値k´/Naと3σの範囲の計算
結果を示したものである。この場合、Naをさらに増や
すと(Na)1/2 に比例して確率分布の幅が狭まるが、
必要な加算時間は4μs×8192=32msであり、
自動車用レーダの車間距離計測時間として十分短い時間
である。図15の場合、−20dB以下の信号でも雑音
だけの場合と識別可能であることが図14と同様な実験
で確認されており、本実施例のような受信信号の位相の
サンプリングと単純加算を行うだけという、簡単な操作
と演算処理で極めて大きなSN比の改善効果が得られ
る。なお、加算処理に用いる回路は全て一般的な論理回
路を用いることができ、ゲートアレイ等によって1つの
ICチップで構成することができる。
【0099】本実施例では、レーダの反射パルスの正負
の位相のみに着目し、位相検出のための受信信号の2値
化と位相サンプリングと記憶を高速で行って、その分多
くの加算処理を行うことにより、小出力の送出信号によ
る微弱な反射パルスの検出が高速で可能となり、しかも
反射パルス検出の高感度化を得ることができる。一方、
上述した如く極めて簡易な構成により所望検知(測距)
距離の確保と小型軽量化及び安全性を両立させることが
できる。
【0100】なお、本実施例では、加算処理にメモリを
用いているが、サンプリングを行うシフトレジスタの各
ビットに加算数をカウントするカウンタを設け、一回の
サンプリングが終了する毎に各ビットの“H”“L”に
応じてカウンタをインクリメントするようにしても同様
の効果が得られる。
【0101】さらに本実施例では、サンプリングの結果
が“H”なら1を加算し、“L”なら加算をしないよう
にしているが、これを“H”なら1を加算、“L”なら
1を減算しても良い。この場合の加減算結果は、雑音だ
けだと“H”“L”の出現確率は各々0.5であるの
で、その平均値はゼロとなり、SN比が十分高い場合に
は平均値は1となる。
【0102】次に、本発明の第2の実施例を図面に基づ
いて説明する。図16は本発明の第2の実施例の構成を
示すブロック図である。図中、図1及び図2に示した第
1の実施例に示す部分と同一部分には同一符号を付して
その説明を省略する。本実施例のレーダヘッド5は、全
く同じ構成の2つのパルス信号送出手段5a,5a´を
備えて構成されている。すなわち、第1の駆動回路5a
−1、発光素子5a−2及びレンズ5a−3のパルス送
出系と全く同様の構成である第2の駆動回路5a´−
1、発光素子5a´−2及びレンズ5a´−3のパルス
送出系を備えて構成されている。
【0103】切換回路51は、トリガ発生回路8cが出
力するトリガ信号の入力を受けて外部へパルス信号を出
力するタイミングを認識し、トリガ信号の転送先を第1
の駆動回路5a−1と第2の駆動回路5a´−1とに交
互に切換える。
【0104】図17は本実施例のタイミングチャートで
ある。制御手段8を経てスタートパルス信号が出力され
ると、定周期毎にトリガ信号(1)が出力される。送出
パルス(2)は最初のトリガ信号(1)を含み、奇数回
目のトリガ信号の出力毎に出力され、送出パルス(2
´)は第2回目のトリガ信号(1)を含み、偶数回目の
トリガ信号(1)の出力毎に出力される。サンプリング
パルス(4)はトリガ周期の間に、例えば14個出力さ
れるもので、サンプリングパルス間の時間間隔Δtは距
離に換算して10mに相当するものとする。そしてこの
各サンプリングパルス毎に該当するサンプリング点にサ
ンプリング値“0”または“1”が読み込まれ、加算記
憶信号(5)がオンしている間に各メモリに加算記憶さ
れていく。
【0105】本実施例の場合、切換回路51がトリガ信
号の転送先を第1の駆動回路5a−1と第2の駆動回路
5a´−1とに交互に切換えるため、発光素子5a−2
の駆動回数を発光素子5a´−2の駆動により半減させ
ることができ、したがって簡易な構成で発光素子5a−
2、発光素子5a´−2の寿命を倍増させることが可能
である。このため、発光素子5a−2、発光素子5a´
−2の耐久性が向上し、使用に際する信頼性が向上す
る。
【0106】次に、本発明の第3の実施例を図面に基づ
いて説明する。図18は本発明の第3の実施例の全体構
成を示すブロック図である。図中、第1の実施例と同一
部分、すなわちレーダヘッド5、演算記憶手段6、判定
手段7、制御手段8には第1の実施例と同一符号を付し
て説明を省略する。干渉検出手段9は、反射パルスの有
無を検出する時間経過から物標との相対速度を演算する
相対速度演算手段9a及び相対速度演算手段9aの演算
結果の異常値を検出する相対速度異常値検出手段9bか
ら成る第1の干渉波検出手段9A、さらに、演算記憶手
段6の加算値のオフセットを検出して干渉波の有無を判
定するオフセット検出手段9cから成る第2の干渉波検
出手段9Bを備えて構成されている。
【0107】図19は相対速度演算手段9aの反射パル
スの検出及び相対速度の演算の具体例を説明する説明図
である。送出パルス(2)を外部へ照射すると、受信手
段5bが連続的に受信する受信信号(3)の中に送出パ
ルス(2)の送出タイミングから所定時間(送出パルス
(2)が外部の物標に当たって反射し、受信手段5bに
到達するまでの時間)が経過した後、雑音を伴う反射パ
ルスRfが検出される。この送出パルス(2)の送出及
び受信信号(3)の検出は、サンプリングに同期して実
施される。
【0108】隣り合うサンプリングパルス(4)間の時
間間隔Δtは、ここでも例えば距離10mに相当する6
6.7nsとし、14個のサンプリング点で0〜130
mまでを10m刻みで測距するものとする。各サンプリ
ング点に対応する加算値(5)は、メモリM1 〜M14に
記憶されている。この加算値(5)は加算回数に応じた
幅ΔMの分布を有している。そこで、各メモリに記憶さ
れている加算値(5)が閾値THを超えると反射パルス
を検出しているとし、閾値TH以下であると雑音のみで
あると判断する。そこで、図19に示すように、例えば
メモリM1 〜M14の全加算値からメモリM8 ,M9 の加
算値が共に閾値THを超えていて反射パルスRfが検出
されたとする場合、距離の近いメモリM8 側のサンプリ
ング点に対応する距離から物標までの距離の演算(この
場合、70mである)が実行される。
【0109】次に相対速度の算出方法について説明す
る。受信信号(3)に対してメモリM8 とM9 において
反射パルスRfが検出されており、距離の近いM8 で検
出された時刻をt1とする。
【0110】前方の車両のような物標が本レーダ装置に
対して接近してくる(距離が狭まる)場合、反射パルス
Rfが矢印aの方向へ移動することになり、最初の測距
時点t1にはメモリM8 ,M9 において反射パルスRf
が検出されたのが、1回あるいは何回か後の測距時刻t
2にはメモリM7 ,M8 で検出されたとすると、これら
のt1,t2間の時間差は、反射パルスRfが1つのサ
ンプリングパルス間隔Δt(ここでは距離に換算して1
0mに相当する)をシフトするのに要する時間であるか
ら、接近速度10/(t2−t1)(m/s)として相
対速度が求められる。
【0111】一方、反射物標がレーダ装置に対して離れ
ていく場合、反射パルスRfが矢印bの方向へ移動する
ことになり、ある測距時刻t3においてメモリM8 の加
算値が閾値TH以下となり、反射パルスRfが消失され
た後、時刻t4においてメモリM9 の加算値も閾値TH
以下となり、反射パルスRfの消失が観測されたとする
と、このt4とt3との時間差は同様に反射パルスRf
が1つのサンプリングパルス間隔、ここでは10mをシ
フトするのに要した時間であるから、離脱速度が10/
(t4−t3)(m/s)として相対速度が求められ
る。
【0112】例えば、時速100(km/h)で停止物標
に対して接近若しくは離脱していく場合、相対速度は約
28(m/s)となり、10mの移動時間は10/28
=0.36s(=360ms)であるが、反射パルスR
fの検出に要する時間は前述のように8192回加算の
場合で32msであり、移動時間の1/10以下である
から検出時間により生じる相対速度の誤差は±1(m/
s)程度である。相対速度が28(m/s)よりも小さ
ければ10mの移動時間は0.36sより大となり誤差
はさらに小さくなる。
【0113】図20は相対速度演算の具体例を示すフロ
ーチャートである。すなわち、まず最も距離の近い順に
各メモリの加算値を調べ、反射パルスが検出されたかど
うか調べる(ステップ171)。反射パルスが検出され
ていれば、検出点をMnとし、その検出時刻t1を記憶
する(ステップ172)。
【0114】次に、次の検出時刻にメモリMnより1つ
の前のメモリMn-1に反射パルスが検出されたかどうか
調べ(ステップ173)、検出されていればその時の検
出時刻t2を割り出し、接近速度Vr1を10/(t2−
t1)によって求め(ステップ174)、出力する(ス
テップ175)。
【0115】ステップ173でメモリMn-1に反射パル
スが検出されていなければ、メモリMnの反射パルスが
消失したかどうか調べ、消失していなければステップ1
73に戻り、次々回の検出時刻において同じ操作を繰り
返す(ステップ176)。
【0116】このステップ176において、メモリMn
の反射パルスが消失していれば、その時の検出時刻t3
を記憶する(ステップ177)。
【0117】続いて、メモリMn+1で反射パルスが消失
したかどうかを調べ、消失していなければ、ステップ1
73に戻って、次々回の検出時刻において同じ操作を繰
り返す(ステップ173〜178)。
【0118】ある検出時刻ではメモリMn+1でも反射パ
ルスが消失していれば、その時の時刻t4を割り出し、
離脱相対速度Vr2を10/(t4−t3)によって求
め、出力する(ステップ178〜180)。
【0119】この相対速度検出処理では、最も距離の近
いサンプリング点(メモリ点)での反射パルスの検出と
消失のみを観測するため、送出パルス(外部へ照射され
るパルス信号)に求められる要件として立上がりを鋭く
する必要があるが、パルス幅を短くする必要はなく、む
しろサンプリングパルスの幅よりも長くすることが望ま
しい。
【0120】すなわち雑音だけの場合でも反射パルス検
出の閾値THを超える確率はゼロではなく、ある値で誤
検出する可能性があるため、同時に2つ以上(連続した
場合を含む)のサンプリング点で検出されていることを
常に確認することにより、雑音による誤検出の確率を下
げることができる。
【0121】これは加算値をさらに加算することと等価
であり、2つの加算値を用いる場合、閾値が同じなら3
dBのマージンを得ることに等しい。また、1つのサン
プリング点だけで反射パルスを検出するのと同じ誤検出
確率を考えるなら、検出の閾値を下げることが可能であ
り、3dBの検出感度向上が図れる。
【0122】次に、相対速度異常値検出手段9bと加算
結果のオフセットを検出して干渉波の有無を判定するオ
フセット検出手段9cの動作について説明する。まず、
対向車から送出される同じ送出パルスを受信したときの
干渉の様子について説明する。レーダ装置を搭載した自
車両が停止している時に、同様なレーダ装置を搭載して
停止している対向車からパルス信号を受けて停止物標で
あることを検出する条件を考えると、それは各々のレー
ダ装置に使われている基準クロック信号の周波数が全く
同一、かつ自車両のレーダ装置がパルス信号を送出して
測距を行う距離に相当する時間内に対向車からのパルス
信号が混入した場合である。
【0123】しかしながら、基準クロック信号には通常
周波数誤差を有する水晶発振器等が用いられるため、自
車両のパルス信号に対し周波数誤差に応じた同期ずれを
伴う送出パルスとして観測される。この結果、レーダ装
置の測定結果及び加算値の内容は周波数誤差の大きさに
よって次の影響を受ける。
【0124】すなわち、周波数誤差が2×10-7以下の
場合(図21参照)、相対速度が2×10-7×3×10
8 (ここに3×108 は光速度)の関係から60(m/
s)(216km/h)以下の移動物標として観測される
が、この場合は、干渉による誤検出なのか、それとも観
測された相対速度で実際に物標が移動しているのかを判
別するのは不可能であり、このレーダ装置を自動車の追
突警報装置に適用した時には誤警報を発生する恐れがあ
る。
【0125】しかし、周波数誤差が2×10-7以上、
4.16×10-6以下の場合には、相対速度が60(m
/s)(216km/h)以上の移動物標として観測さ
れ、実際の車両速度として考えられない速度になるた
め、相対速度が異常な値として区別することが可能とな
る。したがって、相対速度を監視することにより、干渉
波による誤検出を防止することができ、相対速度演算手
段9aが算出する相対速度が60(m/s)以上の場
合、相対速度異常値検出手段9bは異常値を示す出力を
出す。
【0126】周波数誤差が4.16×10-6以上、サン
プリング処理周期/加算時間以下(前述の例では4μs
/32ms=1.25×10-4以下)の場合(図22参
照)、周波数誤差が4.16×10-6以上になると1回
の測距処理に必要な時間32msの間に干渉波は4.1
6×10-6×0.032=133ns以上移動するた
め、物標からの反射パルスを検出している最も距離が近
いサンプリング点での反射パルスの検出と消失のみを観
測して相対速度演算を行う前述の方法を用いると、相対
速度の算出ができなくなり、距離と相対速度の2つのパ
ラメータを有する警報ロジックを用いる限り誤警報を出
すことはない。
【0127】また、66.7nsのサンプリングパルス
周期のサンプリングパルス3つ以上にわたって観測され
るようになるため、干渉波の影響は周波数誤差が大きく
なるにつれて次第にサンプリングパルス全体に現れるよ
うになり、サンプリング処理周期/加算時間、すなわち
1.25×10-4では加算開始時点で干渉波が同期して
いたとすると、8192回の加算の終了する32ms後
には1.25×10-4×0.032=4μsと加算の繰
り返し周期と等しい時間だけ移動するため、パルス幅1
33nsに対し133ns/4μs=3.33%の時間
率で全てのサンプリング点で必ず観測される。これは干
渉波のSN比が十分高いとすると8192回加算では8
192×0.0333=273の加算値のオフセットを
生じさせる。8192回加算の時の信号検出の閾値は正
規化加算値で雑音の平均値0.5に約0.02を加えた
程度であるから、このオフセットは閾値分、すなわち8
192×0.02=163よりも大きな値である。
【0128】全サンプリング点で一様なオフセットが発
生する場合は、加算値を監視して一様なオフセットが生
じているかどうかを調べることによって干渉波であるこ
とを識別することができるが、上記のように周波数誤差
が1.25×10-4以下の場合には一部分がオフセット
する等必ずしも一様になるとは言えず、また物標が複数
存在する場合には3つ以上のサンプリング点で観測され
ることがあり得るため、加算値のオフセットから干渉波
を正確に検出することはできない。
【0129】周波数誤差がサンプリング処理周期/加算
時間(=1.25×10-4)以上の場合(図23参
照)、加算値の一様なオフセットが必ず観測されるの
で、オフセット検出手段9cの出力により干渉波のある
ことを識別すると共に、本来検出すべき物標からの反射
パルスによる加算値がオフセット以上の場合にはこれを
検出することができ、干渉を受けた場合でも測距が可能
である。
【0130】以上述べたように、干渉波の影響を検出し
てこれを除去するためには、相対速度を監視すること及
び加算値にオフセットが生じていないことを監視するこ
とが有効であるが、前者の場合は、基準クロックの周波
数誤差が少なくとも2×10-7以上あれば相対速度の大
きさにより干渉波の存在を検出でき、誤警報を防止する
ことができる。
【0131】後者の場合は、オフセットの検出が基準ク
ロック信号の周波数誤差に依存するので、干渉波を確実
に検出するためには、あらかじめ周波数誤差を必ず検出
できる大きさ、すなわち周波数誤差がサンプリング処理
周期/加算時間(=1.25×10-4)以上となるよう
に定めると、干渉波の影響をサンプリング点全体に分散
させながらその識別ができると同時に物標の検出も可能
になる。すなわち、この場合、オフセットより大きな信
号を検出することになるが、オフセットの大きさを0.
0333とすると、閾値は、雑音の平均値と閾値0.5
2との合計が加えられて0.5533となり、−17d
Bまでの信号が検出可能である。これは、干渉波がない
時の信号検出レベルを例えば−20dBとすると3dB
の感度低下になるが、検知距離に換算すると干渉波がな
い場合に比べて0.91倍、あるいは6dBの感度低下
としても0.84倍であり、干渉波の影響を極めて小さ
くすることができる。
【0132】このように干渉波の影響をサンプリング点
全体に分散させるよう基準クロック信号の周波数誤差を
設定することにより極めて大きな干渉波の検出・除去が
得られる。
【0133】本実施例では、相対速度の演算結果及び加
算値が記憶されるメモリの内容から干渉波の有無を検出
することによって干渉波の悪影響を除去することが可能
になると同時に、クロック信号の周波数及びその誤差を
適切に選択することにより干渉波の悪影響を最小にする
よう制御することが可能になり、干渉波に起因する誤検
出を最小に低減することができる。したがって、これを
用いれば極めて信頼性の高い自動車用の車間距離警報装
置等の応用システムを実現することができる。
【0134】なお、従来例のように基準クロック信号1
5MHzとすると、その周期66.7nsはレーダでは
10mの距離に相当するが、測距誤差1%(100mで
1mの誤差)を許容するならば周波数誤差は10-2
下、すなわち周波数の範囲は14.85MHzから1
5.15MHzが許容される。周波数誤差が1.25×
10-4以上とするには14.85MHzから15.15
MHzの300KHzの間を15×106 ×1.25×
10-4=1875Hz毎160個に並ぶように周波数を
配分すれば良い。
【0135】また、基準クロック信号は必ずしも15M
Hzである必要はなく、さらに多くの周波数配分が可能
である。
【0136】次に、本発明の第3の実施例の変形例につ
いて、図24に基づいて説明する。図中、第1の実施例
と同一部分、すなわちレーダヘッド5、演算記憶手段6
には第1の実施例と同一符号を付してその説明を省略す
る。判定手段7´は、基本的には第1の実施例の判定手
段7と同じ構成であるが、物標からの反射パルスがサン
プリングされる際、反射パルスの検出点が移動したか否
か、すなわち相対速度が変動したか否かを判定する相対
速度変動の判定機能及び相対速度変動の判定機能に基づ
いて詳しくは後述する相対速度検出用カウンタ12、誤
検出防止手段13及び相対速度演算手段14の動作を制
御する制御機能を備えて構成されている。制御手段8´
は、基本的には第1の実施例の制御手段8と同じく図2
に示す構成であるが、例えばパルス信号送出手段5aに
対して少なくとも連続する2つのサンプリング点以上の
幅を持つ送出パルス信号を出力させる機能を備えて構成
されている。
【0137】相対速度検出用カウンタ12は、トリガパ
ルス発生回路8cから出力されるトリガ信号の出力回数
をカウントして判定手段7´若しくは相対速度演算手段
14に通知し、相対速度演算手段14が物標との相対速
度の演算を実施した時点でカウント値をクリアされる。
誤検出防止手段13は、一度の測距処理期間内において
反射パルスが制御手段8´の設定に応じて少なくとも連
続する2つのサンプリング点で検出されることを確認す
る機能を備えて構成されており、連続検出が確認がされ
ない時には全て雑音検出であるものとみなす。相対速度
演算手段14は、トリガ信号の出力間隔の時間、すなわ
ち4μsと、トリガ信号の出力回数のカウント値との乗
算を演算し、この乗算値を1つのサンプリングパルス間
隔の測距上の距離(本実施例では第1の実施例と同様に
10m)から除算して物標との相対速度、すなわち近接
速度、あるいは離脱速度を演算する。
【0138】本変形例の場合も、送出パルスを外部へ照
射すると、所定時間が経過(送出パルスが外部の物標か
ら反射して帰還するまでの時間)した後、雑音を伴う反
射パルスが検出されるが、この送出パルスの送出及び受
信信号中の反射パルスの検出はサンプリングパルスに同
期して実施される。すなわちサンプリングパルスの間隔
は、ここでも例えば距離10mに相当する66.7ns
とし、14個のパルスで130mまで測距するものとす
る。そしてサンプリングデータの加算値は、各サンプリ
ング点に対応するメモリM1 〜M14に記憶される。そし
て加算値が任意の2つのサンプリング点で連続して閾値
THを超えると反射パルスを検出し、閾値TH以下であ
ると雑音のみと判断する。
【0139】本変形例の相対速度の演算方法において
は、新規に反射パルスをサンプリングした時点を基準に
してサンプリング点が1つ前方(第1の実施例では矢印
aの方向(図19参照))へ移動するまでの期間(時
間)をカウントする、あるいは1つ後方(第1の実施例
では矢印bの方向(図19参照))へ移動するまでの期
間(時間)をカウントして物標との相対速度を演算す
る。
【0140】すなわち、反射物標が本レーダ装置に対し
て接近してくる場合、反射パルスの検出時間が短くなる
ため、反射パルスの検出点は基準点から1つ前方へ移動
する。この間にトリガ信号の出力回数をカウントし、こ
のカウント値kとトリガ信号の繰り返し周期T(=4μ
s)との乗算を実施する。この乗算値は、反射パルスが
1つのサンプリング間隔(ここでも10m)を移動する
のに要する時間であるから近接速度10/(k×T)と
して相対速度が求められる。
【0141】一方、反射物標がレーダ装置に対し離脱し
ていく場合、反射パルスの検出時間が長くなるため、反
射パルスの検出点は基準点から1つ後方へ移動する。こ
の間にトリガ信号の出力回数をカウントし、このカウン
ト値kとトリガ信号の繰り返し周期T(=4μs)との
乗算を実施する。この乗算値は、受信信号が1つのサン
プリング間隔(ここでも10m)を移動するのに要する
時間であるから離脱速度10/(k×T)として相対速
度が求められる。
【0142】図25及び図26は本変形例の動作を示す
フローチャートである。まず、ステップ231におい
て、トリガ信号が出力されたか否かを判定する。ステッ
プ231において、トリガ信号が出力されたと判定され
た場合、ステップ232へ進み、相対速度検出用カウン
タ12をインクリメントした後、さらにステップ233
へ進み、反射パルスの前部の部分を検出したか否かを判
定する。すなわち本変形例では、パルス信号送出手段5
aが出力する送出パルスの幅を2サンプリング点分の幅
となるように設定している関係から、反射パルスを検出
する際には、まずサンプリングパルスに同期して反射パ
ルスの前部の部分を検出する。
【0143】ステップ233において、反射パルスの前
部の部分を検出したと判定した場合、ステップ234へ
進み、反射パルスの後部の部分を検出したか否かを判定
する。ここで反射パルスの後部の部分を検出する理由は
前述した通り正規の反射パルスは2サンプリングパルス
分以上の幅を有するからであり、これにより誤検出を防
止することができるからである。
【0144】ステップ234において、反射パルスの後
部の部分を検出しないと判定された場合には、ステップ
213へリターンするが、反射パルスの後部の部分を検
出したと判定した場合には、正規の反射パルスの検出で
あるとみなし、ステップ235へ進み、前回の反射パル
スの前部の部分を検出した時のサンプリング点Mn をM
m に変換した後、さらにステップ236へ進み、今回の
反射パルスの前部の部分を検出した時のサンプリング点
MをMn に変換する。
【0145】この後、ステップ237において、今回の
反射パルスの前部の部分を検出した時のサンプリング点
Mn が、前回の反射パルスの前部の部分を検出した時の
サンプリング点Mm と相違するか否かを判定する。ここ
で相違しないと判定された場合には、物標との相対速度
が実質的にゼロであると判定し、ステップ231へリタ
ーンするが、相違すると判定された場合には、物標との
相対速度が変動して物標に対して近接速度、あるいは離
脱速度が生じたとみなし、次のステップ238へ進む。
【0146】ステップ238において、今回の反射パル
スの前部の部分をサンプリング点Mm-1 で検出したか否
かを判定する。ここで今回の反射パルスの前部の部分が
サンプリング点Mm-1 で検出されてないと判定した場
合、ステップ242へ進むが、今回の反射パルスの前部
の部分をサンプリング点Mm-1 で検出したと判定した場
合には、近接速度が生じたと判定して、ステップ239
へ進み、近接速度Vr1を以下の数式(11)に沿って演
算する。
【0147】 Vr1=10/(k×T) (1
1) ここに、kは相対速度検出用カウンタ12のカウント
値、Tはトリガ信号の繰り返し周期4μsである。
【0148】続いて、ステップ240において、近接速
度Vr1を出力すると、ステップ241へ進み、相対速度
検出用カウンタ12のカウント値をクリアした後、ステ
ップ231へリターンする。
【0149】一方、ステップ238において、今回の反
射パルスの前部の部分がサンプリング点Mm-1 で検出さ
れないと判断した場合、ステップ242へ進み、今回の
反射パルスの前部の部分がサンプリング点Mm で消失し
たか否かを判定する。ステップ238において、今回の
反射パルスの前部の部分がサンプリング点Mm で消失し
ないと判定した場合には、ステップ231へリターンす
るが、今回の反射パルスの前部の部分がサンプリング点
Mm で消失したと判定した場合には、ステップ243へ
進み、今回の反射パルスの前部の部分がサンプリング点
Mm+1 で検出されたか否かを判定する。
【0150】ステップ243において、今回の反射パル
スの前部の部分がサンプリング点Mm+1 で検出されない
と判定した場合には、ステップ231へリターンする
が、今回の反射パルスの前部の部分がサンプリング点M
m+1 で検出したと判定した場合には、離脱速度が生じた
と判定して、ステップ244へ進み、離脱速度Vr2を以
下の数式(12)に沿って演算する。
【0151】 Vr2=10/(k×T) (12) ここに、kは相対速度検出用カウンタ12のカウント
値、Tはトリガ信号の繰り返し周期4μsである。
【0152】続いて、ステップ245において、離脱速
度Vr2を出力すると、ステップ246へ進み、相対速度
検出用カウンタ12のカウント値をクリアした後、ステ
ップ231へリターンする。
【0153】以上のように、一旦相対速度を演算した
後、新規に反射パルスを検出する時、この時の反射パル
スのサンプリング点を基準にして、反射パルスのサンプ
リング点上の移動時間をカウントし相対速度を演算する
ため、送出パルスに求められる要件として立上がりを鋭
くする必要があるが、パルス幅を短くする必要はなく、
むしろサンプリングパルスの幅よりも長くすることが望
ましい。
【0154】この場合も、雑音だけの場合でも反射パル
ス検出のTHを超える確率はゼロではなく、ある値で誤
検出する可能性があるが、同時に連続する2つ以上のサ
ンプリング点で検出されていることを常に確認すること
により、雑音による誤検出の確率を下げることができ
る。
【0155】これも加算値をさらに加算することと等価
であり、2つの加算値を用いる場合、THが同じなら3
dBのマージンを得ることに等しい。また、1つサンプ
リング点だけで反射パルスを検出するのと同じ誤検出確
率を考えるなら、検出のTHを下げることが可能であ
り、3dBの検出感度向上が図れる。
【0156】本変形例では、サンプリングが一種の距離
ゲートを構成していることに着目し、各サンプリング点
における反射パルスの検出時間間隔若しくは消失時間間
隔をトリガ信号に基づいてカウントした結果と、サンプ
リング間隔に相当する距離から相対速度を求めることに
より、パルス幅が広く、サンプリング間隔が粗くても精
度の良い相対速度を得ることができる。また、パルス幅
をサンプリング間隔より広くして同時に2つ以上サンプ
リング点で検出されていることを常に確認することによ
り、誤検出確率の低減及び反射パルスの検出感度向上を
図ることができる。
【0157】なお、反射パルスの検出の際に、2サンプ
リング点分続く反射パルスの例えば直前等においてTH
を超える雑音が検出される場合もあり得る。この場合、
ステップ233で1サンプリングパルス分前の位置で雑
音を検出した後,ステップ234で正規の反射パルスの
前部が続いて検出されるため、後に続いて反射パルスの
後部の検出がなされる関係から、実際には相対速度がゼ
ロであるにもかかわらず、フローチャートの構成に則っ
て近接距離の演算が実行されてしまう。しかし、この場
合、反射パルスの検出が例えば3回以上続いた場合には
相対速度の演算を例えば先送りする等の判定ステップを
設ければ、トリガ信号1回分の時間遅れを生じるだけで
誤検出を回避することが可能である。また、この場合も
雑音が2回以上続いて検出された場合にはサンプリング
上の基準点との距離、すなわち実測上あり得ない距離を
考慮すれば、誤検出を回避することが可能である。
【0158】次に、本発明の第4の実施例について図面
に基づいて説明する。図27は本発明の第4の実施例の
構成を示すブロック図である。図中、第1の実施例と同
一部分、すなわちレーダヘッド、サンプリング手段等に
ついては図1に示した第1の実施例と同一符号を付して
その説明を省略する。第1の加算記憶手段6Bは、パル
ス信号送出手段5aが駆動した後にサンプリング手段6
Aがサンプリングしたサンプリング結果を各サンプリン
グ点毎に順次反復加算して記憶するものであり、第1の
実施例の加算記憶手段6Bの構成と全く同様であるが、
第2の加算記憶手段6Cは、パルス信号送出手段5aが
駆動しない時にサンプリング手段6Aがサンプリングし
たサンプリング結果を各サンプリング点毎に順次反復加
算して記憶するものであり、雑音のみを反復加算して記
憶するものである。
【0159】判定手段7″は、制御手段8″の指令に応
じて第1の加算記憶手段6Bが記憶するサンプリングデ
ータを取込み、第1の加算記憶手段6Bが記憶するサン
プリングデータに物標の反射パルスが含まれるか否かを
判定する機能(第1の実施例と同様である)、さらに物
標の相対速度を演算する機能(第2の実施例と同様であ
る)及び制御手段8″の指令に応じて第2の加算記憶手
段6Cが記憶する雑音のサンプリングデータを取込み、
1回の測距期間内の各サンプリング点毎の雑音レベルを
検出し、この雑音レベルを物標の反射パルスを判定する
際の閾値THとする処理を行う機能を備えて構成されて
いる。
【0160】制御手段8″は、物標の反射パルスが含ま
れるか否かの判定、さらに物標の相対速度の演算を実施
すべく、レーダヘッド5、サンプリング手段6A、第1
の加算記憶手段6B及び判定手段7″の動作を制御する
機能(第1の実施例と同様である)及び送出手段5aが
信号を送出しない停止期間に各サンプリング点毎の雑音
レベルの検出を実施すべく、レーダヘッド5、サンプリ
ング手段6A、第2の加算記憶手段6C、判定手段7″
及び駆動制御手段20の動作を制御する機能を備えて構
成されている。
【0161】駆動制御手段20は、サンプリング手段6
A及び第2の加算記憶手段6Cに対して雑音のサンプリ
ングを行うよう指示し、またそれを終了する機能を備え
ている。
【0162】図28及び図29は第4の実施例の動作を
示すフローチャートである。まず、ステップ281にお
いて、カウンタをN=0にリセットする。ステップ28
2,283において、パルス信号送出手段5aに対して
パルス信号送出の指示を与えて送出パルス(2)を送出
させ、同時にパルス信号受信手段5bが受信する信号に
対してサンプリング手段6Aでサンプリングを行う。ス
テップ284,285においてサンプリング結果を第1
の加算記憶手段6Bへ転送して加算記憶を実行し、各回
の加算記憶が完了すると判定手段7″に対して完了を通
知する。
【0163】この後、ステップ286において制御手段
8″が送出手段5aの動作を停止させ、同時に駆動制御
手段20に対して雑音のサンプリングの指示を出力する
と、ステップ287,288においてサンプリング手段
6Aと第2の加算記憶手段6Cによって受信手段5bが
受信する雑音をサンプリングし、サンプリング結果を加
算記憶し、記憶が完了すれば、ステップ289において
判定手段7″に対して記憶完了を通知する。
【0164】この後、ステップ290において、カウン
タをN=N+1にインクリメントし、ステップ291に
おいて、反射パルスのサンプリング回数及び雑音のサン
プリング回数が所定の8192回に到達したかどうかを
判定する。
【0165】このステップ291において、N<819
2であると判定された場合、ステップ282へリターン
して上述の処理を繰り返すが、所定回数である8192
回に到達していればステップ292へ進み、反射パルス
のサンプリング結果及び雑音のサンプリング結果を判定
手段7″へ転送する。
【0166】ここで、ステップ293において、雑音の
サンプリング結果から各サンプリング点における雑音の
レベルを認識して反射パルスの検出の閾値THを設定す
る。すなわち各雑音のレベルがそのまま閾値THとな
る。
【0167】次のステップ294,295において雑音
のサンプリング結果、すなわち雑音レベルと反射パルス
のサンプリング結果とを比較し、閾値THよりも大きい
反射パルスが存在するか否かを判定する。
【0168】このステップ295において、閾値THよ
りも大きい反射パルスが存在しないと判定された場合、
ステップ296へ進んで物標の反射パルスは無しである
と判定してステップ281へリターンし、上述の処理を
繰り返すが、閾値THよりも大きい反射パルスが存在す
ると判定された場合には、ステップ297へ進んで物標
の反射パルスがあると判定してステップ281へリター
ンする。
【0169】なお、物標の反射パルスがあると判定され
た場合には、反射パルスのサンプリング結果の内容から
物標までの距離及び物標との相対速度を前述の第1の実
施例、第2の実施例と同じ手順によって演算し、演算結
果をCRT等に表示(警報を含む)することになる。
【0170】本実施例においては、物標の反射パルスを
サンプリングする場合、図30に示すように、例えば第
1,第2の実施例では一律の閾値THを超える受信レベ
ルがサンプリング点M6 において検出され、それゆえに
このサンプリング点に物標がありと判定されていたもの
が、この実施例では、各サンプリング毎に曲線CTHで示
すように個別の雑音レベルを測定して設定していて、サ
ンプリング点M6 の雑音レベルN6 が高い傾向を示して
いるので、受信信号レベルM6を反射パルスと判定する
ことがなく、雑音による誤検出を有効に回避することが
できる。
【0171】なお、ここで検出する雑音は環境特有の雑
音であり、例えば日照、気温、湿度等の天候、車両に設
置した場合のエンジン、オルタネータ等の機構部品に起
因する雑音や、電源電圧変動による雑音等である。
【0172】また、この第4の実施例においては、物標
の各測距処理の直後に雑音レベルの測定を行うようにし
たが、この発明の要旨はこれに限定されるものではな
く、ステップ291のN≧8192の代わりに、819
2の整数倍を設定する構成であっても良い。
【0173】またさらに、この場合、第2の加算記憶手
段6Cを設けず、第1の加算記憶手段6Bを反射パルス
の検出及び雑音の検出に交互に使用する構成であっても
良い。加えて、雑音のサンプリング時期については、制
御手段8″あるいは駆動制御手段20を外部の信号で制
御して任意に設定する構成を採用することも可能であ
る。
【0174】次に、本発明の第5の実施例を図面に基づ
いて説明する。図31は本発明の第5の実施例の構成を
示すブロック図である。図中、図27に示した第4の実
施例と同一部分、すなわちレーダヘッド5、演算記憶手
段6、判定手段7″、制御手段8″については第3の実
施例と同一符号を付してその説明を省略する。駆動制御
手段20´は、サンプリング手段6Aに対して雑音のサ
ンプリングを行うよう指示する機能、反射パルスのサン
プリング後に行う雑音レベルの検出回数をカウント(例
えば8192回をカウント)する機能、雑音レベルの検
出回数のカウント結果から雑音レベルの検出を終了する
機能及び例えば図2に示したトリガ発生回路8cから出
力されるトリガ信号の出力回数をカウントし、所定の出
力回数毎にパルス信号送出手段5aの駆動を休止させる
機能を備えており、第3の実施例の構成と同様である
が、後述する外部制御回路31の指令に応じて雑音レベ
ルの検出開始、又は検出終了を指示する機能をも備えて
いる点が相違する。
【0175】外部制御回路31は、駆動制御手段20´
に対して雑音サンプリングの開始時期を通知(雑音サン
プリングの開始信号を出力)する通知回路31−1、周
囲の照度を測定する照度センサ31−2、周囲の温度及
びレーダ本体の温度を測定する温度センサ31−3、ワ
イパの動作をモニタするワイパスイッチ31−4、雨滴
の有無乃至量を測定する雨滴センサ31−5、時間を計
測するタイマ31−6、自車両の種々の動作を起動する
イグニッションスイッチ31−7及び手動式スイッチ3
1−8を備えて構成されている。
【0176】この構成の外部制御回路31では、各種セ
ンサ31−2,31−3,31−5からの測定値変化信
号、タイマ31−6のタイムアップ信号、あるいは各種
スイッチ31−4,31−7,31−8のON切替信号
が通知回路31−1に出力され、通知回路31−1はそ
れらのいずれかの信号を受けて、駆動制御手段20´に
雑音サンプリングの開始時期を通知(雑音サンプリング
の開始信号を出力)する通知信号を出力し、駆動制御手
段20´がこの通知信号を受けて第3の実施例と同じよ
うにサンプリング手段6A及び第2の加算記憶手段6C
に対して雑音のサンプリングを行うよう指示する。ここ
で、通知回路31−1に対して各種センサ31−2,3
1−3,31−5、タイマ31−6の出力の有無を決定
する閾値を設定し、かつ、各種スイッチ31−4,31
−7,31−8のON−OFFを認識する機能を設定し
ても良いが、これは各種センサ31−2,31−3,3
1−5、タイマ31−6及び各種スイッチ31−4,3
1−7,31−8側に設定しても良い。
【0177】図32及び図33は第5の実施例の外部制
御回路31の動作を示すフローチャートである。まず、
ステップ321において、照度センサ31−1の信号か
ら照度が変化したか否かを判定する。ステップ321に
おいて、照度が変化したと判定された場合、ステップ3
29へ進み、通知回路31−1が雑音サンプリングの開
始信号を駆動制御手段20´に出力して雑音のサンプリ
ングを実行させた後、ステップ321へリターンする
が、照度が変化しないと判定された場合には、ステップ
322へ進み、温度が変化したか否かを判定する。ステ
ップ322において、温度センサ31−3の信号から温
度が変化したと判定された場合、ステップ329へ進
み、雑音サンプリングの開始信号を出力して雑音のサン
プリングを実行させた後、ステップ321へリターンす
るが、温度が変化しないと判定された場合には、ステッ
プ323へ進み、ワイパスイッチ31−4がオンされた
か否かを判定する。
【0178】ステップ323において、ワイパスイッチ
31−4がオンされたと判定された場合、ステップ32
9へ進み、雑音サンプリングの開始信号を出力して雑音
のサンプリングを実行させた後、ステップ321へリタ
ーンするが、ワイパスイッチ31−4がオンされないと
判定された場合には、ステップ324へ進み、雨滴を検
知したか否かを判定する。
【0179】ステップ324において、雨滴センサ31
−5からの信号によって雨滴を検知したと判定された場
合、ステップ325へ進み、ワイパスイッチ31−4が
オフされたか否かを判定するが、雨滴を検知しないと判
定された場合には、ステップ326へ進む。ステップ3
25において、ワイパスイッチ31ー4がオフされたと
判定された場合、ステップ329へ進み、雑音サンプリ
ングの開始信号を出力して雑音のサンプリングを実行さ
せた後、ステップ321へリターンするが、ワイパスイ
ッチ31−4がオフされないと判定された場合には、ス
テップ326へ進む。
【0180】かくて、ステップ326において、タイマ
31−6の信号によって一定時間が経過したか否かを判
定する。ステップ326において、一定時間が経過した
と判定された場合、ステップ329へ進み、雑音サンプ
リングの開始信号を出力して雑音のサンプリングを実行
させた後、ステップ321へリターンするが、一定時間
が経過しないと判定された場合には、ステップ327へ
進み、イグニッションスイッチ31−7がオンされたか
否かを判定する。
【0181】ステップ327において、イグニッション
スイッチ31−7がオンされたと判定された場合、ステ
ップ329へ進み、雑音サンプリングの開始信号を出力
して雑音のサンプリングを実行させた後、ステップ32
1へリターンするが、イグニッションスイッチがオンさ
れないと判定された場合には、ステップ328へ進み、
手動式スイッチ31−8がオンされたか否かを判定す
る。ステップ328において、手動式スイッチ31−8
がオンされたと判定された場合、ステップ329へ進
み、雑音サンプリングの開始信号を出力して雑音のサン
プリングを実行させた後、ステップ321へリターンす
るが、手動式スイッチ31−8がオンされないと判定さ
れた場合には、ステップ321へそのままリターンす
る。
【0182】こうして、本実施例においては、雑音のサ
ンプリングの実行の有無を制御する駆動制御手段20´
を制御する外部制御回路31として、照度センサ31−
2、温度センサ31−3、ワイパスイッチ31−4、雨
滴センサ31−5、タイマ31−6、イグニッションス
イッチ31−7及び手動式スイッチ31−8を備えたた
め、日照、気温、雨等の天候の変化、車両のエンジン、
オルタネータ等の機構部品の動作状態の変化や電源電圧
変動が生じることによってそれらに起因する雑音の状態
に変化が生じる可能性があるので、これらの変化のいず
れかが生じた場合にその都度、物標の反射パルスをサン
プリングする時の雑音レベルを測定し、閾値THを変更
することができる。したがって常に正常な物標の反射パ
ルスを捕らえることができ、誤りのない測距及び物標の
相対速度を演算することができる。
【0183】次に、本発明の第6の実施例を図面に基づ
いて説明する。図34は本発明の第6の実施例の構成を
示すブロック図である。図中、第4の実施例と同一部
分、すなわちレーダヘッド5、演算記憶手段6、判定手
段7″、制御手段8″については図27に示した第3の
実施例と同一符号を付してその説明を省略する。駆動制
御手段20″は、制御手段8″の内部指令であっても良
いが、前述の第4実施例に示した外部制御回路31から
の信号のような外部信号の指令により雑音のサンプリン
グ時期を認識し、後述するシャッタ41の動作(開閉)
を制御する。
【0184】シャッタ41は、例えば液晶シャッタ、機
械式シャッタから構成されており、駆動制御手段20″
の指令で開閉してパルス信号送出手段5aからのパルス
信号の外部への照射を制御する。
【0185】図35乃至図37は第6の実施例の動作を
示すフローチャートである。まず、ステップ351にお
いて、雑音サンプリングの開始信号が出力されたか否か
を判定する。ステップ351において、雑音サンプリン
グの開始信号が出力されたと判定された場合、ステップ
352へ進み、カウンタの値をゼロにリセットした後、
ステップ353へ進み、シャッタ41を駆動(ON)し
て閉じさせる。
【0186】続いて、ステップ354において、パルス
信号送出手段5aからパルス信号を送出させるが、シャ
ッタ41が閉じているため、外部への送出は遮断され
る。ステップ355において、反射パルス信号受信手段
5bを駆動して雑音を取込み、雑音のサンプリングを行
う。ステップ356において、雑音のサンプリング結果
を第2の加算記憶手段6Cの記憶値に加算して記憶す
る。ステップ357において、カウンタの値をN+1に
インクリメントする。ステップ358において、カウン
タの値が、この場合、1回の雑音測定処理に必要なサン
プリング回数として設定された8192回以上であるか
否かを判定する。
【0187】ステップ358において、カウンタの値が
8192未満である場合、ステップ354へリターンし
て上述の雑音レベルのサンプリングを繰り返すが、カウ
ンタの値が8192以上であると判定された場合には、
ステップ359へ進み、シャッタ41を駆動(OFF)
して開かせる。
【0188】ステップ360において、カウンタの値を
ゼロにリセットした後、ステップ361へ進み、パルス
信号送出手段5aからパルス信号を送出させる。このパ
ルス信号はシャッタ41が開いているため、外部へ送出
される。
【0189】ステップ362において、反射パルス信号
受信手段5bを駆動して物標の反射パルスを含む受信信
号を取込み、そのサンプリングを行う。ステップ363
において、受信信号のサンプリング結果を第1の加算記
憶手段6Bの記憶値に加算して記憶する。ステップ36
4において、カウンタの値をN+1にインクリメントし
た後、ステップ365へ進み、カウンタの値が1回の測
距処理に必要とするサンプリング回数として設定された
8192回以上であるか否かを判定する。
【0190】ステップ365において、カウンタの値が
8192未満であると判定された場合、ステップ361
へリターンして上述の処理を繰り返すが、カウンタの値
が8192以上であると判定された場合には、一連の雑
音レベルの測定と物標に対する測距動作が完了したこと
になるので、ステップ366へ進み、雑音のサンプリン
グデータ及び物標の反射パルスのサンプリングデータを
判定手段7″へ転送する。
【0191】この後、ステップ367において、雑音の
サンプリングデータから雑音レベルを検出し、受信信号
の検出の閾値THをサンプリング点毎に設定する。ステ
ップ368において、今回設定した各サンプリング点毎
の閾値THと受信信号のサンプリングデータとを比較す
る。ステップ369において、受信信号の各サンプリン
グ点毎のデータのうち、雑音レベルを示す閾値THを超
える値が存在するサンプリング点があるか否かを判定す
る。ステップ369において、受信信号のサンプリング
データのうち、閾値THを超える値を示すサンプリング
点が存在しないと判定された場合、ステップ370へ進
み、反射パルスなしと判定してステップ351へリター
ンするが、受信信号のサンプリングデータのうち、閾値
THを超える値を示すサンプリング点が存在すると判定
された場合、ステップ371へ進み、反射パルスありを
判定してステップ351へリターンする。
【0192】本実施例においては、パルス信号送出手段
5aの前方に例えば外部信号の入力で開閉するシャッタ
41を設け、閉じる時に雑音の検出を行うよう構成した
ため、日照、気温、雨等の天候の変化、車両に設置した
場合のエンジン、オルタネータ等の機構部品の動作変化
や、さらには電源電圧変動を検出し、これらのいずれか
の変化が生じた時に雑音レベルを再測定し、適宜物標の
反射パルスをサンプリングする時の各サンプリング点の
閾値THを変更することができる。したがって常に正常
な物標の反射パルスを捕らえることができ、誤りのない
測距及び物標の相対速度を演算することができる。
【0193】なお、例えばステップ358、ステップ3
65それぞれの処理をN≧8192の判定に限らず、こ
れらに適当な整数s,k倍を選定すれば雑音レベルをs
回測定した後、測距処理をk回実行する構成とすること
が可能であり、任意の精度を実現することができ、また
これらのs,kの値を大きくとることによって測距の高
精度化を図ることもできる。
【0194】次に、本発明の第7の実施例について図面
に基づいて説明する。図38は本発明の第7の実施例を
示している。この第7の実施例において特徴となる部分
は、演算記憶手段6´の構成にあり、第1〜第6の各実
施例において演算記憶手段6の部分を図38の演算記憶
手段6´で置き換えることにより、この実施例のレーダ
装置が構成されることになる。
【0195】演算記憶手段6´は、サンプリングパルス
発生回路8dからのサンプリングパルス信号を受けて所
定のサンプリング点のみにゲート指令を出力するゲート
タイミング切替回路6´−1と、トリガ発生回路8cか
らのトリガ信号をカウントして所定個数のトリガ信号を
カウントした時にサンプリングタイミング切替信号を出
力するカウンタ6´−2と、ゲートタイミング切替回路
6´−1から入力されるゲートタイミング毎に2値化信
号を入力する入力ゲート回路6´−3と、この入力ゲー
ト回路6´−3が入力する所定のサンプリング点の2値
化信号を順次加算して記憶する加算記憶回路6´−4を
備えている。またカウンタ6´−2の信号を受けて加算
記憶回路6´−4の記憶加算値を出力する出力ゲート回
路6´−5と、時間を異ならせた14個のサンプリング
点毎の加算値の記憶を行うメモリ6´−6と、出力ゲー
ト回路6´−5の出力する加算値をメモリ6´−6の指
定されたサンプリング点に対応するメモリ番地に切り替
えて記憶させるメモリ切替回路6´−7を備えている。
【0196】次に、この演算加算手段6´の動作につい
て、図39及び図40のタイミングチャートに基づいて
説明する。まず動作原理について説明すると、カウンタ
6´−2はトリガ信号を所定個数mだけカウントする度
にゲートタイミング切替回路6´−1にゲートタイミン
グ切替信号を与え、加算記憶回路6´−4に対して記憶
クリア信号を与え、出力ゲート回路6´−5に対して出
力信号を与え、メモリ切替回路6´−7にメモリ番地切
替信号を与える。
【0197】ゲートタイミング切替回路6´−1はカウ
ンタ6´−2からの信号を受けて各回のサンプリングに
おいて何番目のサンプリングパルスの入力ゲート信号を
入力ゲート回路6´−3に与えるかを切り替える。そし
て入力ゲート回路6´−3はゲートタイミング切替回路
6´−1からの入力ゲート信号を受ける度にゲートを開
いて2値化信号を入力して加算記憶回路6´−4に与
え、加算記憶回路6´−4は入力ゲート回路6´−3か
ら入力される2値化信号を加算記憶する。
【0198】出力ゲート回路6´−5はカウンタ6´−
2から出力信号を受けて加算記憶回路6´−4の記憶加
算値を出力し、メモリ切替回路6´−7が指定するメモ
リ6´−6上のM1〜Mnのいずれかの番地に転送し、加
算記憶回路6´−4をクリアする。
【0199】そこで、図39及び図40のタイミングチ
ャートに示すように、第1回目のm回(前述の各実施例
の場合には1回の検出処理でm=8192回とした)の
サンプリングでは第1番目のサンプリングパルスのタイ
ミングに入力される2値化信号のみをm回加算記憶し、
カウンタ6´−2がm個のトリガ信号をカウントして出
力指令を出力ゲート回路6´−5に与えると、加算記憶
回路6´−4の記憶加算値を出力してメモリ6´−6の
M1番地に転送する。
【0200】次に、ゲートタイミング切替回路6´−1
は各回のサンプリングの第2番目のサンプリングパルス
に同期して入力ゲート信号を出力するようにゲートタイ
ミングを切り替え、入力ゲート回路6´−3は各回のサ
ンプリングにおける第2番目のサンプリングパルスの入
力タイミングの度にゲートを開いて2値化信号を加算記
憶回路6´−4に入力し、やはりm回の加算記憶を繰り
返し、m回の加算記憶の後、その記憶加算値をメモリ6
´−6のM2番地に転送する。
【0201】以後、同じようにしてトリガ信号をm個カ
ウントする度に入力ゲートを開くタイミングを1サンプ
リングパルス周期Δtずつずらし、m回のサンプリング
により得られる記憶加算値を順次、メモリ6´−6のM
3,M4,…番地に転送していく。そして、最終的には各
回のサンプリングにおけるn番目のサンプリング点に入
力される2値化信号のみをm回加算記憶し、これをMn
番地に転送して一連のn個のサンプリング点それぞれに
おける受信信号のサンプリングを完了することになる。
【0202】こうしてサンプリングが完了すれば、メモ
リ6´−6の記憶内容が判定手段7,7´あるいは7″
に出力され、前述した各実施例と同じように反射パルス
Rfの検出とそれが検出されるサンプリング点から物標
までの距離の算定が実行されることになる。
【0203】なお、この実施例の変形例として、メモリ
6´−6と共にもう1つの同じメモリを用意し、上記の
一連の操作をパルス送出手段の停止期間において実行し
てそのもう1つのメモリの各番地に記憶させるようにす
れば、図27〜図37に示した第4〜第6の各実施例と
同じく、雑音レベルを各サンプリング点毎に検出して反
射パルスRfの判定の閾値として利用してより正確な物
標の測距が可能となる。
【0204】また、これらの第1〜第7の各実施例にお
いて、送出パルスの送出タイミングから時間的に異なる
複数のサンプリング点毎にサンプリングし、サンプリン
グ値を加算し、その加算値を加算回数で除算した正規化
加算値が所定の閾値THを超えるサンプリング点があれ
ばその点に対応する距離を算定し、物標までの距離とす
る方式について説明したが、自車両の前方、あるいは側
方、後方等に何らかの障害物が存在していないかどうか
を単に判定するだけであれば、例えば自車両から1m離
れた位置の障害物の有無を判定するように、それに相当
するサンプリング点で2値化信号を所定回数加算してそ
の正規化加算値を所定の閾値THあるいは別に測定した
雑音レベルと比較し、受信信号レベルが高ければ障害物
有りと判定し、警報を発したり、表示したりする出力処
理を行う構成とすることができる。
【0205】さらにまた、上記の第7の実施例の変形例
として、サンプリング点毎に加算回数を異なったものに
設定することができる。すなわち、遠距離の物標による
受信信号はSN比が低く、多くの加算回数を必要とする
が、近距離の物標による受信信号のSN比は高く、少な
い加算回数で済むので、近距離に対応するサンプリング
点の加算回数を少なく設定し、遠距離に対応するサンプ
リング点の加算回数を多く設定するのである。そしてこ
れは、スタートパルス発生回路24bからサンプリング
パルス発生回路24dを経て出力されるエンドパルスの
出力タイミングを操作することによって実現することが
できる。
【0206】次に、本発明の第8の実施例について図面
に基づいて説明する。図41は、本発明の第8の実施例
を示しており、この実施例において図1及び図2に示し
た第1の実施例の回路構成と同じ部分については同一の
符号を付して示してある。すなわち、レーダヘッド5、
このレーダヘッド5からの2値化信号をサンプリングし
て各サンプリング点毎に加算記憶する演算記憶手段6、
閾値THを超える記憶加算値を示すサンプリング点を特
定して、対応する物標までの距離を算定する判定手段
7、各部分の動作制御を行う制御手段8の構成は共通で
ある。またレーダヘッド、演算記憶手段、判定手段及び
制御手段は図18、図24、図27、図31、図34等
の構成のものを援用することもできる。そしてこの第8
の実施例の特徴とするところは、演算記憶手段6と判定
手段7との間にピーク検出手段15を設けたことにあ
る。
【0207】この特徴部分をなすピーク検出手段15は
判定手段7を構成するコンピュータのソフトウェアプロ
グラムとして追加して組み込まれる処理機能であり、演
算記憶手段6がサンプリングを繰り返して得た各サンプ
リング点の記憶加算値を閾値THと比較して閾値THを
超えるサンプリング点を特定し、そのサンプリング点が
複数個見いだされ時に、各サンプリング点間の記憶加算
値の大小関係から後述する近似処理によってピーク点を
推定し、判定手段7にその情報を渡す処理を行う。
【0208】図42のタイミングチャート、図43のフ
ローチャート及び図44のグラフに基づいて、このピー
ク検出手段15の動作を説明する。パルス信号送出手段
5aからは少なくともサンプリングパルス周期Δt(例
えば、上記の各実施例では66.7nsが用いられてい
る)以上の幅をもった送出パルス(2)をサンプリング
周期(上記各実施例では、4μsとされている)毎に送
出し、反射パルス信号受信手段5bは外部からの信号
(3)を連続的に受信し、2値化信号に変換して演算記
憶手段6に出力する。
【0209】そこで、送出手段5aから出力された送出
パルス(2)が反射物標に反射した後、距離に応じた時
間遅れTdをもって受信手段5bに反射パルスRfとし
て入ってくるが、演算記憶手段6はトリガ周期毎に所定
個数、例えば14個のサンプリングパルス(4)を出力
し、各サンプリング点毎に2値化信号をサンプリングと
して加算し、記憶していく。1度の測距動作のためのサ
ンプリング回数(トリガ信号(図3参照)の出力回数=
送出パルスの送出回数)は、例えば上記各実施例では8
192回とされ、所定の回数分の加算記憶処理が終了す
ると、各サンプリング点に対応するメモリ毎にサンプリ
ング加算出力(8)を得る。
【0210】そして、このサンプリング加算出力(8)
には、送出パルス(2)のパルス幅がサンプリングパル
ス周期Δt以上に広いものとしているので、複数のサン
プリング点で反射パルスが検出されることになる。
【0211】そこで、ピーク検出手段15は演算記憶手
段6からサンプリング加算出力(8)を受けて、(9)
に示すようなピーク検出処理を実行し、そのピーク点に
対応する送出パルス送出タイミングからの時間遅れTを
判定手段7に渡す。
【0212】このピーク検出処理手順が図43のフロー
チャート及び図44のグラフに示されているが、次の通
りである。まず、全サンプリング点Xiの加算データS
iを順次読み込み、閾値THを超えるデータについて最
も大きい加算値を第1のピーク値a1とし、次に大きい
加算値を第2のピーク値a2としてそれらのサンプリン
グ点p1,p2を特定する(ステップ401〜40
4)。ここでは、図44に示すように第1ピーク点p1
(サンプリング点としてXnの位置)が第2ピーク点p
2(サンプリング点としてXn-1の位置)よりも遠い位
置にあったとし、それらの加算値Sn,Sn-1をピーク
値であることを示すためにa1,a2として示してい
る。
【0213】次に、第1ピークのサンプリング点p1と
第2ピークのサンプリング点p2それぞれに対応する距
離の遠近を判断し(ステップ405)、第1ピーク点p
1が第2ピーク点p2よりも対応する距離において遠い
場合には第1ピーク点p1(=Xn)の加算値a1(=
Sn)とそれよりも対応する距離が1刻み分遠いサンプ
リング点Xn+1の加算値Sn+1とを直線A1で結び(ステ
ップ406a)、同じように、第2ピーク点p2(=X
n-1)の加算値a2(=Sn-1)とそれよりも対応する距
離が1刻み分近いサンプリング点Xn-2の加算値Sn-2と
を直線A2で結ぶ(ステップ407a)。
【0214】上記のステップ405の判断で第1ピーク
のサンプリング点p1が第2ピークのサンプリング点p
2よりも対応する距離において近い場合には、逆に、第
1ピーク点p1の加算値a1とそれよりも対応する距離
が1刻み分近いサンプリング点の加算値とを直線で結び
(ステップ406b)、同じように、第2ピーク点p2
の加算値a2とそれよりも対応する距離が1刻み分遠い
サンプリング点の加算値とを直線で結ぶ(ステップ40
7b)。
【0215】次に、これらの処理によって得た2本の直
線A1,A2の交点aを加算値データのピーク位置とし
て求め、この交点aに対応する時間pを送出パルスの送
出タイミングから反射パルスを受信するまでにかかった
時間Tとして求める(ステップ408)。
【0216】こうして、ピーク検出手段15は反射パル
スRfの受信波形をそのピーク点近くの両側の接線によ
って近似し、それらの接線の交点によってピーク点を推
定する近似方式によってピーク点の時間Tを求め、これ
を判定手段7に出力する。これによって判定手段7は時
間Tに対応する距離を算定し、必要に応じて出力し、警
報を発したりすることになる。ここで、例えば、サンプ
リング点間の時間間隔Δtに対応する距離が10mであ
れば、距離L=10・T/Δt(m)として距離を算定
するのである(ステップ409)。
【0217】なお、この判定手段7の動作については、
上記の各実施例のいずれであっても良い。また、相対速
度の検出に利用することも可能である。また、この第8
の実施例で、ピーク検出手段の近似方法は上記の例に限
定されず、時間をX軸、加算データをy軸とする二次曲
線近似やその他の近似方法として利用されている各種の
ものが広く利用できる。
【0218】このようにしてピーク検出手段によってサ
ンプリング点の中間に受信信号形の実際のピーク位置が
あってもそれを求めることができ、サンプリング点を細
かくしなくても測距精度の向上が図れる。例えば、図4
5は10m刻みのサンプリング点を設定したレーダ装置
によって、30〜40mの10mの範囲内に2m刻みで
物標をおいて測距を行った場合の測距結果を示している
が、ほぼ正確に測距することができるようになり、サン
プリングパルス周期を小さくしなくても測定精度が向上
していることが分かる。
【0219】次に、本発明の第9の実施例を図面に基づ
いて説明する。図46は本発明の第9の実施例を示して
いる。この実施例の特徴とするところは演算記憶手段6
のいずれかのサンプリング点の正規化加算値が上限値を
超えていることを判別した時には当該装置の感度を下げ
る調整を行い、逆にいずれのサンプリング点の正規化加
算値も下限値を超えていないことを判別した時には当該
装置の感度を上げる感度調整手段16を備えたところに
あり、その他の部分については図1のレーダ装置と同一
の部分については同一の符号を付して示してある。
【0220】図47は第9の実施例のさらに具体的に回
路構成を示しているが、図2や図16に示したレーダ装
置において、レーダヘッド5のパルス信号送出手段5a
を構成している駆動回路5a−1に対して送出信号出力
の可変制御機能を果たす出力制御回路5a−4を付加
し、また反射パルス信号受信手段5bを構成しているリ
ミッタアンプ5b−3に対して可変利得制御機能(いわ
ゆるAGC機能)を果たす利得制御回路5b−5を付加
し、さらにこれらのレーダ装置に対してマイクロコンピ
ュータで構成される出力利得調整回路17を感度調整手
段16としてを追加的に備えて構成されている。なお、
この出力利得調整回路17は独立の回路とすることがで
きるが、また判定回路7を構成するコンピュータにソフ
トウェアプログラムとして組み込む構成とすることもで
きる。
【0221】自動的に送出パルスの出力を制御する出力
制御回路5a−4としてはレーザダイオードのような発
光素子5a−2に流す電流あるいは印加する電圧を調整
すべく、駆動回路5a−1の出力段の抵抗器の抵抗値を
外部からの信号に応じて自動的に増減調整する、例えば
ポテンショメータのような回路が用いられる。また自動
的にリミッタアンプ5b−3の利得を調整する利得制御
回路5b−5には例えば、広く利用されているAGC回
路を用いることができる。
【0222】次に、この第9の実施例の動作について説
明する。出力利得調整回路17は演算記憶手段6のサン
プリング加算回路6bが記憶する各サンプリング点毎の
加算値を加算回数で除算して得られる正規化加算値を1
回の測距動作完了毎にチェックし、いずれかのサンプリ
ング点の正規化加算値があらかじめ設定した上限値Aを
超えている場合に送出信号出力を低くする指令、又は/
及び受信信号の利得を抑える指令を出力し、逆に各サン
プリング点毎の正規化加算値をチェックし、いずれの正
規化加算値も下限値B(通常、この下限値としては閾値
THを用いることができる)を下回っている場合に送出
信号出力を高くする指令、又は/及び受信信号の利得を
上げる指令を出力する。
【0223】これに対して、出力制御回路5a−4は出
力上昇又は出力低下の指令を受けると出力可変制御機能
を働かせて駆動回路5a−1の出力をあらかじめ設定さ
れている刻みで1段階ずつ出力を上げあるいは下げさ
せ、送出パルスの強度を1段階ずつ強めあるいは弱めて
出力させる。
【0224】また利得制御回路5b−5は利得増又は利
得減の指令を受けると利得可変制御機能を働かせてリミ
ッタアンプ5b−3の利得をあらかじめ設定されている
刻みで1段階ずつ増加させあるいは減少させ、受信信号
の強度を1段階ずつ強めあるいは弱めて出力させる。
【0225】そしてこの1回の出力調整又は/及び利得
調整の後に実行された測距動作が完了した時にも、同じ
ようにして正規化加算値がなおも上限値Aを超えていれ
ばさらに出力を下げる調整又は/及び利得を下げる調整
を繰り返し、逆に正規化加算値がなおも下限値Bを下回
っていればさらに出力を上げる調整又は/及び利得を上
げる調整を繰り返し、反射パルスを検出しているサンプ
リング点の正規化加算値が上下限値A,Bの間に収まる
ようにする。
【0226】以上の一連の出力利得調整による自動感度
調整処理手順を図48のフローチャートに基づいて説明
する。最初に、最大利得、最大出力を設定しておき、過
度の利得上昇あるいは出力上昇がないようにする(ステ
ップ420)。この後、通常の測距動作毎にステップ4
21以下の処理が繰り返されることになる。
【0227】1度の測距動作が完了すると(ステップ4
21,422)、出力利得調整回路17はサンプリング
加算回路6bの各サンプリング点の加算値を走査し、そ
れらの加算値から求められる正規化加算値に上限値Aを
超えるものがないかどうか判断する(ステップ42
3)。ここで、図49に示すように上限値Aを超える正
規化加算値を示すサンプリング点(例えば、サンプリン
グ点Xi+1,Xi+2)があれば、測距感度が高すぎるの
で、上述の出力低下又は/及び利得減少指令を出力して
送出パルスの出力を1段階絞り、又は/及び受信信号の
利得を1段階減少させ、次回の測距動作を行う(ステッ
プ424)。
【0228】ステップ423の判定で上限値Aを超える
正規化加算値が見い出されない場合、次に下限値Bより
も大きい正規化加算値を示すサンプリング点があるかど
うか判断する(ステップ425)。ここで、図50に示
すように下限値B(ここでは閾値THに設定してある)
を超える正規化加算値がなければ、感度が低すぎるの
で、上述の出力上昇又は/及び利得増加指令を出力して
送出パルスの出力を1段階上げ、又は/及び受信信号の
利得を1段階増加させ、次回の測距動作を行う(ステッ
プ426)。
【0229】以上のステップ421〜426はいずれの
サンプリング点の正規化加算値も上限値Aを超えず、ま
たいずれかのサンプリング点の正規化加算値が下限値B
以上となるまで繰り返され、これによって測距感度が最
適になるように自動調整される。
【0230】以上の手順で感度の自動調整が完了する
と、以後、判定回路7によって本来の距離算定処理が実
行されることになる(ステップ427)。
【0231】こうして自動感度調整を行うことによっ
て、遠距離の反射物標の測距と近距離の反射物標の測距
とを両立させることができるようになる。例えば、遠距
離の反射物標の測距に対応した大きな送出信号出力と大
きな利得に固定しておいて、近距離の反射物標を測距し
ようとすると図49のサンプリング点Xi+1,Xi+2の正
規化加算値が上限値を超えて飽和値Sにまで到達してし
まい、物標の存在位置の測距が正確にできなくなる。ま
た逆に、近距離の反射物標の測距に対応した小さな送出
信号出力と小さな利得に固定しておいて、遠距離の反射
物標を測距しようとすると図50のサンプリング点Xj+
1,Xj+2の正規化加算値のように、実際には物標を検出
していながら閾値THを超えられず、検出ができなくな
ってしまう。そこで、上述の手順で感度調整機能を働か
せるならば、物標が遠近いずれの位置に存在していても
常に最適な受信強度で反射パルスを受信して測距するこ
とができ、測距動作の信頼性を向上させることができる
ことになる。
【0232】なお、この自動感度調整機能は上記の実施
例に限定されることはなく、感度調整の最初の何段階か
は利得制御によって行い、それでも不十分な場合には出
力制御によって行う手順とし、あるいはその逆の手順と
することもできる。さらに回路構成を簡単にするために
利得制御機能のみ、あるいは出力制御機能のみで感度調
整を行う構成とすることもできる。
【0233】また、上記第9の実施例の変形例として、
図51に示す構成とすることもできる。すなわち、図4
1に示した第8の実施例のピーク検出手段15を備えた
レーダ装置において、さらに上述の感度調整手段16を
設けた構成とするのである。
【0234】このようにすれば、図52(a)に示すよ
うに、感度調整手段16がない場合にはいずれかのサン
プリング点Xiの正規化加算値が飽和値Sにまで達して
いると、ピーク検出手段15においてピーク位置pの検
出を行うと実際の受信信号のピーク位置rとの間にずれ
が生じてしまうのが、この変形例によれば、図52
(b)に示すように感度自動調整によっていずれのサン
プリング点の正規化加算値も上限値A以下にすることが
でき、ピーク位置pの検出が正確に行えることになり、
測距精度をさらに向上させることができることになる。
【0235】次に、本発明の第10の実施例を図面に基
づいて説明する。図53は本発明の第10の実施例を示
している。この実施例の特徴とするところは、演算記憶
手段6のいずれかのサンプリング点の正規化加算値が加
算回数調整用にあらかじめ設定された上限値を超えてい
ることを判別した時には演算記憶手段6の加算回数を減
少させる調整を行い、逆にいずれのサンプリング点の正
規化加算値も加算回数調整用にあらかじめ設定された下
限値を超えていないことを判別した時には演算記憶手段
6の加算回数を増加させる調整を行うことによって加算
回数を必要最小限度のものに自動的に設定し、1度の測
距にかかる時間を少なくして十分なSN比で測距ができ
るように調整する感度調整手段18を備えたところにあ
り、その他の部分については図1のレーダ装置と同一の
部分については同一の符号を付して示してある。
【0236】図54は第10の実施例のさらに具体的に
回路構成を示しているが、図2や図16に示したレーダ
装置に対して、マイクロコンピュータで構成される加算
回数調整回路19を感度調整手段18として追加的に備
えて構成されている。なお、この加算回数調整回路19
は判定回路7を構成するコンピュータにソフトウェアプ
ログラムとして組み込む構成とすることもできる。
【0237】この加算回数調整回路19の働きについて
説明すると、演算記憶手段6のサンプリング加算回路6
bが記憶する各サンプリング点毎の加算値を加算回数で
除算して得られる正規化加算値を1回の測距動作完了毎
にチェックし、いずれかのサンプリング点の正規化加算
値があらかじめ設定した上限値A´を超えている場合に
1回の測距動作で繰り返す加算回数Na(上記各実施例
では、この加算回数を8192回として説明している)
を減少させる指令を出力し、逆に各サンプリング点毎の
正規化加算値をチェックし、いずれの正規化加算値も下
限値B´を下回っている場合に1回の測距動作で繰り返
す加算回数を増加させる指令を制御手段のサンプリング
パルス発生回路8dに対して出力する。
【0238】これに対して、サンプリングパルス発生回
路8dはトリガ発生回路8cから受け取るトリガ信号の
個数をカウントしてあらかじめ設定されているカウント
数(これは可変設定される加算回数と同じである)に達
すると出力するエンドパルスの出力タイミングを1段階
ずつ減少させあるいは増加させる調整を行う。この結
果、サンプリング加算回路6bの加算回数が増減調整さ
れ、その加算回数に見合って反射パルスを検出している
サンプリング点の記憶加算値が増減調整されることにな
る。
【0239】そしてこの加算回数調整の後に実行された
測距動作が完了した時にも、同じようにして正規化加算
値がなおも上限値A´を超えていればさらに加算回数を
減少させる調整を繰り返し、逆に正規化加算値がなおも
下限値B´を下回っていればさらに加算回数を増加させ
る調整を繰り返し、必要最小限度の加算回数で十分なS
N比を持って物標の有無の判定、また測距動作ができる
ようにし、特にSN比が元々大きい近距離の測距(近距
離では、測距にかかる時間も可能な限り短縮して迅速な
応答ができるようにする必要が大きい)において、少な
い加算回数で測距ができるようになって処理速度を高速
化することができるようになる。
【0240】以上の一連の加算回数調整による自動感度
調整処理手順を図55のフローチャートに基づいて説明
する。最初に、加算回数Naを標準的な回数、例えば、
上記の各実施例において例示したように、0〜130m
の間を10m刻みにサンプリングするべくサンプリング
点を14点にして、送出パルスの送出周期を4μs、サ
ンプリングパルス周期Δtを66.7nsとした場合に
8192回の加算回数に設定する(ステップ430)。
【0241】そしてある1度の測距動作が完了すると
(ステップ431,432)、加算回数調整回路19は
サンプリング加算回路6bの各サンプリング点の加算値
を走査し、それらの加算値から求められる正規化加算値
が上限値A´を超えるサンプリング点がないかどうか判
断する(ステップ433)。ここで、図56に示すよう
に上限値A´を超える正規化加算値を示すサンプリング
点(例えば、サンプリング点Xi+1,Xi+2)があれば、
上述のサンプリングパルス発生回路8dにエンドパルス
の出力タイミングを1段階早める指令を出力してサンプ
リング加算回路6bの加算回数を1段階減少させ、次回
の測距動作を行う(ステップ434)。
【0242】ステップ433の判定で上限値A´を超え
る正規化加算値が見い出されない場合、次に下限値B´
よりも大きい正規化加算値を示すサンプリング点がある
かどうか判断する(ステップ435)。ここで、図57
に示すように下限値B´を超える正規化加算値がなけれ
ば、上述のサンプリングパルス発生回路8dにエンドパ
ルスの出力タイミングを1段階遅くする指令を出力して
サンプリング加算回路6bの加算回数を1段階増加さ
せ、次回の測距動作を行う(ステップ436)。
【0243】以上のステップ431〜436はいずれの
サンプリング点の正規化加算値も上限値A´を超えず、
またいずれかのサンプリング点の正規化加算値が下限値
B´以上となるまで繰り返され、これによって必要最小
限度の加算回数で十分なSN比を持って物標の判別、ま
た測距動作ができるように自動調整される。
【0244】以上の手順で感度の自動調整が完了する
と、以後、判定回路7によって本来の距離算定処理が実
行されることになる(ステップ437)。
【0245】こうして自動加算回数調整を行うことによ
って、必要最小限度の加算回数で十分なSN比を持って
物標の有無の判定、また測距動作ができるようにし、特
にSN比が元々大きい近距離の測距(近距離では、測距
にかかる時間も可能な限り短縮して迅速な応答ができる
ようにする必要が大きい)において、少ない加算回数で
測距ができるようになって処理速度を高速化することが
できるようになる。
【0246】なお、上記第10の実施例の変形例とし
て、図58に示す構成とすることもできる。すなわち、
図41に示した第8の実施例のピーク検出手段15を備
えたレーダ装置において、さらに上述の感度調整手段1
8を設けた構成とするのである。
【0247】このようにすれば、図59に示すように、
まず最適な加算回数の自動調整の後に測距を実行し、ピ
ーク検出手段15によってピーク検出を行うようにする
ことにより、ピーク位置pの検出が正確に行えると共に
高速化することができる。
【0248】なお、第9の実施例と第10の実施例とを
組み合わせた実施例として、自動感度調整機能として、
送出信号出力の自動調整、受信信号の増幅利得の自動調
整と共に、加算回数の自動調整をすべて備えた構成とす
ることも可能である。
【0249】この場合の処理手順について、次に説明す
る。まず、1024回のサンプリング加算処理を行い、
その時点で上限値Aを超えているサンプリング点があれ
ば、受信手段の利得を下げるか、又は/及び送信手段の
送信出力を下げる。また1024回のサンプリング加算
を行った時点で、いずれのサンプリング点の加算値も下
限値を超えない場合には、受信手段の利得を上げるか、
又は/及び送信手段の送信出力を上げる。これにより、
最適なSN比を得ることができる。
【0250】そして、サンプリング加算値が上限値と下
限値との範囲内に収まった場合、8192回に加算回数
を設定することによってばらつきの少ない加算値を常に
得られるようにし、以後、反射信号を有無を判定する通
常の動作に移行する。なお、この加算回数の設定は、7
168回(=8192−1024)であってもよい。
【0251】このようにして、まず最初に所定の加算回
数(8192回)に対してその数分の1の少ない加算回
数で利得調整制御、出力調整制御を行うことにより、短
時間のうちに利得や出力の最適化を行うことができるよ
うになり、全体として反射信号の有無の判別や測距動作
を短時間で精度良く行えるようになる。
【0252】また、上記において、1024回のサンプ
リング加算を行い、その時点でいずれかのサンプリング
点の加算値が上限値を超えている場合には受信機の利得
を下げるか、又は/及び送信機の出力を下げるか調整す
るが、いずれのサンプリング点の加算値も上限値を超え
ない場合には、直接、加算回数を8192回に設定する
ことによってばらつきの少ない加算値を常に得られるよ
うにし、以後、反射信号を有無を判定する通常の動作に
移行する。なお、この加算回数の設定は、7168回
(=8192−1024)であってもよい。
【0253】この場合にも、まず最初に所定の加算回数
(8192回)に対してその数分の1の少ない加算回数
で利得調整制御、出力調整制御を行うことにより、短時
間のうちに利得や出力の最適化を行うことができるよう
になり、全体として反射信号の有無の判別や測距動作を
短時間で精度良く行えるようになる。
【0254】次に、本発明の第11の実施例を図面に基
づいて説明する。図60は本発明の第11の実施例を示
している。この実施例のレーダ装置は、第1〜第10の
各実施例に対して、演算記憶手段6の部分の機能が異な
った構成である。すなわち、第10までの実施例では、
図1、図18等に示した演算記憶手段6において、レー
ダヘッド5からの2値化信号を、例えば14個というサ
ンプリング点それぞれでサンプリングしてそれらのサン
プリング値各々を一定回数だけ繰り返して加算し、その
正規化加算値各々を閾値と比較して閾値を超えるサンプ
リング点があればそのサンプリング点に対応する時間遅
れTdから物標までの距離を算定する方式であったが、
この第11の実施例のレーダ装置は、レーダヘッド21
からの2値化信号213を積分回路22において複数n
のレンジブロック(これは、上記第1〜10の各実施例
におけるサンプリング点に対応するものであるが、特に
以下の実施例では、サンプリングパルス周期Δtの期
間、つまりサンプリング期間に対応する)毎に積分する
処理を一定回数mだけ繰り返し、演算回路23において
その正規化積分値各々を閾値と比較して閾値を超えるレ
ンジブロック(サンプリング期間)があればそのレンジ
ブロックに対応する時間遅れから物標までの距離を算定
することを特徴とする。
【0255】この第11の実施例の構成について説明す
る。図60に示すようにレーダ装置は大きく分けて、外
部の物標に向けて送出パルス信号210を所定周期で複
数回繰り返し送出し、物標に反射して帰ってくる反射パ
ルスを含む外部からの信号212を受信し、増幅後に2
値化して2値化受信信号213として出力するレーダヘ
ッド21と、この2値化受信信号213を複数のレンジ
ブロック毎に積分し、その積分を所定のm回繰り返す積
分回路22と、この積分回路22のレンジブロック毎の
積分値214を閾値と比較して閾値を超えるレンジブロ
ックがあれば、そのレンジブロックに対応する距離を算
定し、物標の有無及びその物標までの距離を測距データ
215として出力する演算回路23と、これらの各回路
21〜23の動作制御を行い、トリガ信号216、入力
タイミング信号217、出力タイミング信号218等の
制御信号を出力する制御回路24とから構成されてい
る。
【0256】そしてレーダヘッド21は、図2に示した
実施例とほぼ同じ構成であり、制御回路24から一定周
期で所定回数分トリガ信号216を受けて、各トリガ信
号に同期してパルス状の光、超音波、あるいは電磁波等
の送出パルス信号211を出力する送信機21a、この
送出パルス信号211と同種の外部からの信号212に
感応して受信する受信機21b、雑音に埋もれた微弱な
反射パルスを検出するためにこの受信機21bの受信信
号219を雑音も含めてリミッティングする高利得のリ
ミッティングアンプ(AMP)21c、このアンプ21
cによって増幅された受信信号の瞬時値が所定の基準
値、例えば0Vより大きいか小さいかを判別して2値化
する2値化回路としてのゼロクロスコンパレータ(CM
P)21dから構成されていて、このコンパレータ21
dから積分回路22に2値化受信信号213が出力され
る。
【0257】積分回路22は図61に示す構成であり、
複数nのレンジブロック(サンプリング期間)毎にm回
繰り返して2値化受信信号213をレンジブロックΔt
の時間幅ずつ積分するために、n個の入力アナログスイ
ッチ22a−1〜22a−nと、これらの入力アナログ
スイッチ22a−1〜22a−n各々からそれらのオン
タイムに入力される2値化受信信号213を積分するn
個のRC積分器22b−1〜22b−nと、これらの積
分器22b−1〜22b−n各々の積分値を出力するn
個の出力アナログスイッチ22c−1〜22c−nから
構成されている。入力アナログスイッチ22a−1〜2
2a−n各々は制御回路24からの入力タイミング信号
217によってオン/オフが切替えられ、また出力アナ
ログスイッチ22c−1〜22c−nは制御回路24か
らの出力タイミング信号218によってオン/オフが切
替えられるようになっている。
【0258】制御回路24は図62に示すようにクロッ
ク発信機24a、スタートパルス発生回路24b、トリ
ガ発生回路24c及びサンプリングパルス発生回路24
dを備えている。これらの各回路は図2に示した制御回
路8と共通の構成である。ただし、制御回路24は、サ
ンプリングパルス発生回路24dからのサンプリングパ
ルス信号、トリガ発生回路24cからのトリガ信号を入
力して入力タイミング信号217を出力するnビットの
シフトレジスタ24eと、サンプリングパルス発生回路
24dからのエンドパルス信号220とサンプリングパ
ルス信号を受けて出力タイミング信号218を出力する
nビットのシフトレジスタ24fを備えている。
【0259】次に、上記の第11の実施例のレーダ装置
の動作について説明する。演算回路23からスタート指
令を受けて制御回路24はスタートパルス発生回路24
bがトリガ発生回路24cのスタートパルスを与え、ト
リガ発生回路24cは、例えば4μsといった一定周期
でm回(例えば、8192回)繰り返しトリガ信号21
6をレーダヘッド21の送信機21aに出力し、送信機
21aはトリガ信号216の入力の度に図64に示すよ
うなパルス状の送出信号211を出力する。
【0260】これと同時に受信機21bは送出信号21
1と同種の外部からの信号212に感応して連続的に受
信し、その受信信号219をリミッタアンプ21cに与
えて雑音を含めた微弱な信号を増幅し、さらにゼロクロ
スコンパレータ21dによって2値化受信信号213に
変換して出力する。すなわち、このゼロクロスコンパレ
ータ21dでは、受信信号219の瞬時値が所定の基準
値、例えば0Vより大か小かを判別して、基準値より小
であれば0V(=“0”)、大であれば5V(=
“1”)の2値化信号213に変換して出力するのであ
る。この際、受信信号212が雑音ばかりであれば2値
“0”,“1”それぞれの出現確率は0.5ずつであ
り、SN比に応じて上記の基準値より大である確率が
0.5から1の間に分布する。そしてSN比と上記基準
値より大である確率は1対1で対応する。
【0261】また制御回路24のサンプリングパルス発
生回路24dは、入力タイミング信号217を送出する
ためのnビットシフトレジスタ24eに対して、トリガ
発生回路24cからの各トリガ信号の入力に同期してΔ
t(例えば、66.7ns)周期のn個(例えば、14
個)のサンプリングパルスを出力し、各サンプリングパ
ルスの入力毎にQ1〜Qnの出力端子の“H”状態を順
繰りにシフトさせ、これを入力タイミング信号217と
して積分回路22に与える。
【0262】そこで図63に示すように、積分回路22
の入力アナログスイッチ22a−1〜22a−n各々
は、入力タイミング信号217によって自スイッチに対
応する信号が“H”信号の時にオン動作し、“L”に切
り替わるとオフ動作して、オン状態の間、2値化受信信
号213を積分器22b−1〜22b−nのうちの対応
するレンジブロックの積分器に出力し、キャパシタによ
って充電することによって2値化受信信号213をサン
プリング期間Δtずつ積分する。
【0263】そしてn個の入力アナログスイッチ22a
−1〜22a−nについて1度ずつオン/オフ動作を行
い、1回の積分動作が完了すると、次のトリガ信号と同
期して次回の積分動作を繰り返し、以上の積分動作をト
リガ信号が繰り返し入力される所定m回の間、繰り返
す。
【0264】サンプリングパルス発生回路24dはトリ
ガ信号の個数をカウントしていて、所定のm回の積分動
作が完了するとエンドパルス220を出力タイミング制
御用のnビットのシフトレジスタ24fに出力すると、
このシフトレジスタ24fはサンプリングパルス発生回
路24dからの同じΔtの周期のサンプリングパルスを
入力して出力端子Q1〜Qn各々の“H”状態を順繰り
にシフトさせ、これを出力タイミング信号218として
積分回路22に与える。
【0265】積分回路22の出力アナログスイッチ22
c−1〜22−n各々は、出力タイミング信号218の
うち自スイッチに対応する信号が“H”になった時にオ
ン動作し、“L”に切り替わるとオフ動作して、オン状
態の間に自スイッチに接続されている積分器の積分値2
14を演算回路23に順繰りに出力していく。
【0266】そして演算回路23では、n個のすべての
積分器22c−1〜22c−nの積分値を受け取ると、
これを積分器の飽和電圧値、例えば5Vを1として正規
化した後、雑音レベルを識別する所定の閾値THを超え
るレンジブロックがないかどうか走査する。
【0267】ここで正規化することによって、雑音のみ
の場合は0.5となり、物標による反射パルスが含まれ
ていればそのSN比に応じて0.5〜1の間に分布する
ことになる。そこで、図64に示すように、閾値を超え
る正規化積分値を示すレンジブロック(例えば#iのレ
ンジブロックとする。なお、図64において正規化積分
値を各レンジブロックの中央位置に対応させてプロット
しているが、これは各レンジブロックとの対応で積分値
を図示するために便宜的に中央位置にプロットして示し
ているのであって、実際に各レンジブロック毎の中間位
置の積分値を示しているものではない。つまり、#1レ
ンジブロックは0m、#2レンジブロックは10m、#
3レンジブロックは20m、…、#iレンジブロックは
(i−1)m、…のそれぞれの位置に対応するサンプリ
ング期間を示しているのである。以下、各タイミングチ
ャートにおいて同様。)が検出されれば、送信タイミン
グからそのレンジブロックで反射パルスを検出するまで
の時間遅れτをτ=Δt×iによって求め、また1レン
ジブロック当たりに対応する距離、例えば10m刻みで
あれば10mをiにかけることによって物標までの距離
を算定し、その距離データ215を出力する。
【0268】こうして、この第11の実施例では、送信
機21aによって繰り返し送出される送出信号211に
対して受信機21bが物標に反射されて帰ってくる反射
パルスを含む外部からの信号212を連続的に受信し、
これを一定周期のサンプリング期間毎に積分回路22に
よって繰り返し積分し、演算回路23において各サンプ
リング期間に対応するレンジブロック毎の積分値を正規
化した後、雑音レベルと識別するための閾値THと比較
し、雑音レベルを超える積分値を示すレンジブロックが
見いだされる時にそのレンジブロックに対応する距離を
物標までの距離として算定し、出力するのである。した
がって、受信信号に雑音が高いレベルブロックで混入し
ている場合でも、積分を繰り返すことによって反射パル
スを含むレンジの受信信号に対してSN比の改善を行う
ことができ、反射物標の有無の判定、またそれまでの距
離の算定を正確に行うことができるのである。
【0269】次に、本発明の第12の実施例を図面に基
づいて説明する。図65は本発明の第12の実施例の全
体構成を示すブロック図である。図中、第11の実施例
と同一部分、すなわちレーダヘッド21、積分回路2
2、演算回路23、制御回路24には第11の実施例と
同一符号を付して説明を省略する。干渉検出回路25
は、反射パルスの有無を検出する時間経過から物標との
相対速度を演算する相対速度演算回路25a及び相対速
度演算回路25aの演算結果の異常値を検出する相対速
度異常値検出回路25bから成る第1の干渉波検出回路
25A、さらに、積分回路22の積分値のオフセットを
検出して干渉波の有無を判定するオフセット検出回路2
5cから成る第2の干渉波検出回路25Bを備えて構成
されている。
【0270】この第12の実施例の動作について、図1
9〜図23を援用して説明する。ただし、これらの図に
おいて、ここではメモリM1〜M14(=Mn)に第3の
実施例の加算値に代えて、積分回路22によって得ら
れ、演算回路23において正規化された各レンジブロッ
ク毎の正規化積分値が記憶されているものとする。
【0271】送出パルス(2)を外部へ照射すると、受
信機21bが連続的に受信する受信信号(3)の中に送
出パルス(2)の送出タイミングから所定時間(送出パ
ルス(2)が外部の物標に当たって反射し、受信機21
bに到達するまでの時間)が経過した後、雑音を伴う反
射パルスRfが検出される。この送出パルス(2)の送
出及び受信信号(3)の検出は、サンプリングに同期し
て実施される。
【0272】隣り合うサンプリングパルス(4)間の時
間間隔Δtは、ここでも例えば距離10mに相当する6
6.7nsとし、14個のサンプリング期間で0〜13
0mまでを10m刻みで測距するものとする。各サンプ
リング期間に対応するレンジブロック毎の積分値(図1
9〜図23では加算値となっている)(5)は、メモリ
M1 〜M14に記憶される。そして各メモリに記憶されて
いる積分値(5)が閾値THを超えると反射パルスを検
出しているとし、閾値TH以下であると雑音のみである
と判断する。
【0273】そこで、図19に示すように、例えばメモ
リM1 〜M14の全積分値からメモリM8 ,M9 の積分値
が共に閾値THを超えていて反射パルスRfが検出され
たとする場合、距離の近いメモリM8 側のレンジブロッ
ク#8に対応する距離から物標までの距離の演算(この
場合、70mである)が実行される。
【0274】次に相対速度の算出方法について説明す
る。受信信号(3)に対してメモリM8 とM9 において
反射パルスRfが検出されており、距離の近いM8 で検
出された時刻をt1とする。
【0275】前方の車両のような物標が本レーダ装置に
対して接近してくる(距離が狭まる)場合、反射パルス
Rfが矢印aの方向へ移動することになり、最初の測距
時点t1にはメモリM8 ,M9 において反射パルスRf
が検出されたのが、1回あるいは何回か後の測距時刻t
2にはメモリM7 ,M8 で検出されたとすると、これら
のt1,t2間の時間差は、反射パルスRfが1つのレ
ンジブロックの時間間隔Δt(ここでは距離に換算して
10mに相当する)をシフトするのに要する時間である
から、接近速度10/(t2−t1)(m/s)として
相対速度が求められる。
【0276】一方、反射物標がレーダ装置に対して離れ
ていく場合、反射パルスRfが矢印bの方向へ移動する
ことになり、ある測距時刻t3においてメモリM8 の積
分値が閾値TH以下となり、反射パルスRfが消失され
た後、時刻t4においてメモリM9 の積分値も閾値TH
以下となり、反射パルスRfの消失が観測されたとする
と、このt4とt3との時間差は同様に反射パルスRf
が1つのレンジブロックの時間間隔、ここでは10mを
シフトするのに要した時間であるから、離脱速度が10
/(t4−t3)(m/s)として相対速度が求められ
る。
【0277】例えば、時速100(km/h)で停止物標
に対して接近若しくは離脱していく場合、相対速度は約
28(m/s)となり、10mの移動時間は10/28
=0.36s(=360ms)であるが、反射パルスR
fの検出に要する時間は前述のように8192回の積分
の場合で32msであり、移動時間の1/10以下であ
るから検出時間により生じる相対速度の誤差は±1(m
/s)程度である。相対速度が28(m/s)よりも小
さければ10mの移動時間は0.36sより大となり誤
差はさらに小さくなる。
【0278】さらに相対速度演算の具体例を図20のフ
ローチャートを援用して説明すると、まず最も距離の近
い順に各メモリの積分値を調べ、反射パルスRfが検出
されたかどうか調べる(ステップ171)。反射パルス
が検出されていれば、検出点をMnとし、その検出時刻
t1を記憶する(ステップ172)。
【0279】次に、次回の検出時刻にメモリMnより1
つの前のメモリMn-1に反射パルスが検出されたかどう
か調べ(ステップ173)、検出されていればその時の
検出時刻t2を割り出し、接近速度Vr1を10/(t2
−t1)によって求め(ステップ174)、出力する
(ステップ175)。
【0280】ステップ173でメモリMn-1に反射パル
スが検出されていなければ、メモリMnの反射パルスが
消失したかどうか調べ、消失していなければステップ1
73に戻り、次々回の検出時刻において同じ操作を繰り
返す(ステップ176)。
【0281】このステップ176において、メモリMn
の反射パルスが消失していれば、その時の検出時刻t3
を記憶する(ステップ177)。
【0282】続いて、メモリMn+1で反射パルスが消失
したかどうかを調べ、消失していなければ、ステップ1
73に戻って、次々回の検出時刻において同じ操作を繰
り返す(ステップ173〜178)。
【0283】ある検出時刻ではメモリMn+1でも反射パ
ルスが消失していれば、その時の時刻t4を割り出し、
離脱相対速度Vr2を10/(t4−t3)によって求
め、出力する(ステップ178〜180)。
【0284】この相対速度検出処理では、最も距離の近
いレンジブロックでの反射パルスの検出と消失のみを観
測するため、送出パルス(外部へ照射されるパルス信
号)に求められる要件として立上がりを鋭くする必要が
あるが、パルス幅を短くする必要はなく、むしろレンジ
ブロックの時間間隔(サンプリング期間)Δtよりも長
くすることが望ましい。
【0285】すなわち雑音だけの場合でも反射パルス検
出の閾値THを超える確率はゼロではなく、ある値で誤
検出する可能性があるため、同時に2つ以上(連続した
場合を含む)のレンジブロックで検出されていることを
常に確認することにより、雑音による誤検出の確率を下
げることができる。
【0286】これは積分値をさらに積分することと等価
であり、2つの積分値を用いる場合、閾値が同じなら3
dBのマージンを得ることに等しい。また、1つのレン
ジブロックだけで反射パルスを検出するのと同じ誤検出
確率を考えるなら、検出の閾値を下げることが可能であ
り、3dBの検出感度向上が図れる。
【0287】次に、相対速度異常値検出回路25bと積
分結果のオフセットを検出して干渉波の有無を判定する
オフセット検出回路25cの動作について説明する。
【0288】まず、対向車から送出される同じ送出パル
スを受信したときの干渉の様子について説明する。レー
ダ装置を搭載した自車両が停止している時に、同様なレ
ーダ装置を搭載して停止している対向車からパルス信号
を受けて停止物標であることを検出する条件を考える
と、それは各々のレーダ装置に使われている基準クロッ
ク信号の周波数が全く同一、かつ自車両のレーダ装置が
パルス信号を送出して測距を行う距離に相当する時間内
に対向車からのパルス信号が混入した場合である。
【0289】しかしながら、基準クロック信号には通常
周波数誤差を有する水晶発振器等が用いられるため、自
車両のパルス信号に対し周波数誤差に応じた同期ずれを
伴う送出パルスとして観測される。この結果、レーダ装
置の測定結果及び積分値の内容は周波数誤差の大きさに
よって次の影響を受ける。
【0290】すなわち、周波数誤差が2×10-7以下の
場合(図21参照)、相対速度が2×10-7×3×10
8 (ここに3×108 は光速度)の関係から60(m/
s)(216km/h)以下の移動物標として観測される
が、この場合は、干渉による誤検出なのか、それとも観
測された相対速度で実際に物標が移動しているのかを判
別するのは不可能であり、このレーダ装置を自動車の追
突警報装置に適用した時には誤警報を発生する恐れがあ
る。
【0291】しかし、周波数誤差が2×10-7以上、
4.16×10-6以下の場合には、相対速度が60(m
/s)(216km/h)以上の移動物標として観測さ
れ、実際の車両速度として考えられない速度になるた
め、相対速度が異常な値として区別することが可能とな
る。したがって、相対速度を監視することにより、干渉
波による誤検出を防止することができ、相対速度演算手
段9aが算出する相対速度が60(m/s)以上の場
合、相対速度異常値検出手段9bは異常値を示す出力を
出す。
【0292】周波数誤差が4.16×10-6以上、サン
プリング処理周期/測距時間以下(前述の例では4μs
/32ms=1.25×10-4以下)の場合(図22参
照)、周波数誤差が4.16×10-6以上になると1回
の測距処理に必要な時間32msの間に干渉波は4.1
6×10-6×0.032=133ns以上移動するた
め、物標からの反射パルスを検出している最も距離が近
いレンジブロックでの反射パルスの検出と消失のみを観
測して相対速度演算を行う前述の方法を用いると、相対
速度の算出ができなくなり、距離と相対速度の2つのパ
ラメータを有する警報ロジックを用いる限り誤警報を出
すことはない。
【0293】また、66.7ns幅のレンジブロックの
3つ以上に渡って観測されるようになるため、干渉波の
影響は周波数誤差が大きくなるにつれて次第にレンジブ
ロック全体に現れるようになり、サンプリング処理周期
/測距時間、すなわち1.25×10-4では積分開始時
点で干渉波が同期していたとすると、8192回の積分
の終了する32ms後には1.25×10-4×0.03
2=4μsと積分の繰り返し周期(すなわち、サンプリ
ング周期)と等しい時間だけ移動するため、パルス幅1
33nsに対し133ns/4μs=3.33%の時間
率で全てのレンジブロックで必ず観測される。これは干
渉波のSN比が十分高いとすると8192回加算では8
192×0.0333=273の加算値のオフセットを
生じさせる。8192回積分の時の信号検出の閾値は正
規化積分値で雑音の平均値0.5に約0.02を加えた
程度であるから、このオフセットは閾値分、すなわち8
192×0.02=163よりも大きな値である。
【0294】全レンジブロックで一様なオフセットが発
生する場合は、積分値を監視して一様なオフセットが生
じているかどうかを調べることによって干渉波であるこ
とを識別することができるが、上記のように周波数誤差
が1.25×10-4以下の場合には一部分がオフセット
する等必ずしも一様になるとは言えず、また物標が複数
存在する場合には3つ以上のサンプリング期間で観測さ
れることがあり得るため、積分値のオフセットから干渉
波を正確に検出することはできない。
【0295】周波数誤差がサンプリング処理周期/測距
時間(=1.25×10-4)以上の場合(図23参
照)、積分値の一様なオフセットが必ず観測されるの
で、オフセット検出手段9cの出力により干渉波のある
ことを識別すると共に、本来検出すべき物標からの反射
パルスによる積分値がオフセット以上の場合にはこれを
検出することができ、干渉を受けた場合でも測距が可能
である。
【0296】以上述べたように、干渉波の影響を検出し
てこれを除去するためには、相対速度を監視すること及
び積分値にオフセットが生じていないことを監視するこ
とが有効であるが、前者の場合は、基準クロックの周波
数誤差が少なくとも2×10-7以上あれば相対速度の大
きさにより干渉波の存在を検出でき、誤警報を防止する
ことができる。
【0297】後者の場合は、オフセットの検出が基準ク
ロック信号の周波数誤差に依存するので、干渉波を確実
に検出するためには、あらかじめ周波数誤差を必ず検出
できる大きさ、すなわち周波数誤差がサンプリング処理
周期/測距時間(=1.25×10-4)以上となるよう
に定めると、干渉波の影響をレンジブロック全体に分散
させながらその識別ができると同時に物標の検出も可能
になる。すなわち、この場合、オフセットより大きな信
号を検出することになるが、オフセットの大きさを0.
0333とすると、閾値は、雑音の平均値と閾値0.5
2との合計が加えられて0.5533となり、−17d
Bまでの信号が検出可能である。これは、干渉波がない
時の信号検出レベルを例えば−20dBとすると3dB
の感度低下になるが、検知距離に換算すると干渉波がな
い場合に比べて0.91倍、あるいは6dBの感度低下
としても0.84倍であり、干渉波の影響を極めて小さ
くすることができる。
【0298】このように干渉波の影響をレンジブロック
全体に分散させるよう基準クロック信号の周波数誤差を
設定することにより極めて大きな干渉波の検出・除去が
得られる。
【0299】本実施例では、相対速度の演算結果及び積
分値が記憶されるメモリの内容から干渉波の有無を検出
することによって干渉波の悪影響を除去することが可能
になると同時に、クロック信号の周波数及びその誤差を
適切に選択することにより干渉波の悪影響を最小にする
よう制御することが可能になり、干渉波に起因する誤検
出を最小に低減することができる。したがって、これを
用いれば極めて信頼性の高い自動車用の車間距離警報装
置等の応用システムを実現することができる。
【0300】なお、従来例のように基準クロック信号1
5MHzとすると、その周期66.7nsはレーダ装置
では10mの距離に相当するが、測距誤差1%(100
mで1mの誤差)を許容するならば周波数誤差は10-2
以下、すなわち周波数の範囲は14.85MHzから1
5.15MHzが許容される。周波数誤差が1.25×
10-4以上とするには14.85MHzから15.15
MHzの300KHzの間を15×106 ×1.25×
10-4=1875Hz毎160個に並ぶように周波数を
配分すれば良い。また、基準クロック信号は必ずしも1
5MHzである必要はなく、さらに多くの周波数配分が
可能である。
【0301】次に、本発明の第13の実施例について図
面に基づいて説明する。図66は本発明の第13の実施
例の構成を示すブロック図である。図中、第11の実施
例と同一部分には同一の符号を付して示してある。
【0302】この実施例の特徴は、積分回路の構成にあ
り、第1の積分回路22Aと第2の積分回路22Bとを
並設したところにある。第1の積分回路22Aは2値化
受信信号213を制御回路24´からの入力タイミング
信号217´に応じて複数の積分器で順次積分するもの
であり、図62に示された第11の実施例の積分回路2
2の構成と全く同様である。そして第2の積分回路22
Bは、送信機21aが駆動されない時に2値化受信信号
213を制御回路24´からの入力タイミング信号21
7´に応じて複数の積分器で順次積分するものであり、
雑音のみを反復積分するが、その内部構成は第1の積分
回路22Aと全く同様であり、異なるのは制御回路24
´から入力される入力タイミング信号217´のみであ
る。
【0303】演算回路23´は、制御回路24´の指令
に応じて第1の積分回路22Aの各積分器の積分値21
4Aを取込んで正規化して記憶する機能、制御回路24
´の指令に応じて第2の積分回路22Bの積分値214
Bを取込んで各レンジブロック毎の雑音レベルデータと
して正規化して記憶する機能、そして第1の積分回路2
2Aからの積分値214Aの正規化データを雑音レベル
データと各レンジブロック毎に比較し、雑音レベルを超
える積分データがあるときにそのレンジブロックに反射
パルスが存在すると判定し、物標までの距離を算定する
機能を備えて構成されている。
【0304】制御回路24´は、送信機21aに送出パ
ルスを一定期間、所定個数のトリガ信号を送出し、また
その送信機21aの動作を一定期間停止させる(この期
間はトリガ信号を停止する期間)機能、この送信機21
aの駆動期間にはトリガ信号に同期して入力タイミング
信号217´と出力タイミング信号218´を第1の積
分回路22Aに出力し、送信機21aの停止期間には入
力タイミング信号217´と出力タイミング信号218
´を第2の積分回路22Bに出力する機能、そして演算
回路23´に雑音レベルの演算と反射パルスの検出を行
わせる機能を備えて構成されている。そしてこの機能を
実現するために、図62に示したシフトレジスタ24
e,24fについて、nビットを2nビットにし、Q1
〜Qnは第1の積分回路22Aに接続し、Qn+1〜Q2n
は第2の積分回路22Bに接続する構成とする。
【0305】次に、この第13の実施例のレーダ装置の
動作について、図67〜図69に基づいて説明する。ま
ず、ステップ502において、カウンタをN=0にリセ
ットする。ステップ502,503において、送信機2
1aに対してパルス信号送出の指示を与えて送出パルス
(2)を送出させ、同時に受信機21bが受信し2値化
した2値化受信信号219を第1の積分回路22Aで積
分する。この際、制御回路24´の入力用のシフトレジ
スタ24eのQ1〜Qnの出力を第1の積分回路22A
の入力タイミング信号217´とし、これによって各積
分器22b−1〜22b−nが順繰りに1度の積分を実
行する。
【0306】そして入力用のシフトレジスタ24eのQ
n+1〜Q2nが順次出力するようになると、第2の積分回
路22Bに入力タイミング信号217´が入力されるよ
うになり、第2の積分回路22Bの各積分器が順繰りに
雑音レベルの2値化信号を積分する(ステップ50
4)。
【0307】こうして1度の積分が完了すると、カウン
タNを1だけインクリメントし、所定の繰り返し回数m
として設定された8192回だけに積分回数が繰り返さ
れたかどうか判別し(ステップ505,506)、81
92回の繰り返しがなされていなければ8192回に達
するまで以上の積分動作が繰り返される。
【0308】ステップ506の判断で、積分が8192
回繰り返されていれば、制御回路24´から出力用のシ
フトレジスタ24fのQ1〜Qnの出力タイミング信号
218´が第1の積分回路22Aに与えられて各積分器
22b−1〜22b−nの積分値が順次演算回路23´
に転送されて各レンジブロック毎のメモリM1〜Mnに記
憶される(ステップ507)。
【0309】続いて、出力用のシフトレジスタ24fの
Qn+1〜Q2nの出力タイミング信号218´が第2の積
分回路22Bに与えられてその積分器から雑音レベルの
積分値が順次演算回路23´の転送されて各レンジブロ
ック毎の雑音レベルがメモリM1〜Mnにそれらの閾値T
Hとして記憶される(ステップ508,509)。
【0310】この後、メモリM1〜Mn各々に記憶された
受信データと雑音レベル(TH)との比較がなされ、受
信データが雑音レベルを超えるレンジブロックがあれば
反射パルス有りと判定して、そのレンジブロックに対応
する距離を物標までの距離と算定し、その測距結果を出
力する(ステップ510〜513)。
【0311】ステップ510の判定において、いずれの
レンジブロックの受信データも雑音レベルを超えること
がなければ物標なしと判定する(ステップ514)。
【0312】以上の測距動作を行う場合、図30を用い
て第4の実施例において説明したのと同じように、あら
かじめ一律に設定される閾値THを超える受信レベルが
レンジブロックM6 において検出され、それゆえにこの
レンジブロックに物標がありと判定されていたものが、
この実施例では、各レンジブロック毎に曲線CTHで示す
ように個別の雑音レベルを測定して設定していて、レン
ジブロックM6 の雑音レベルN6 が高い傾向を示してい
るので、受信信号レベルM6を反射パルスと判定するこ
とがなく、雑音による誤検出を有効に回避することがで
きるようになる。
【0313】また、この第13の実施例においては、物
標の各測距処理の直後に雑音レベルの測定を行うように
したが、まず送出パルス信号をm回送出して第1の積分
回路22Aで物標の測距処理を行い、その後、送出パル
ス信号の送出を停止してm回の積分動作を第2の積分回
路22Bに行わせ、これらの処理の後に演算回路23´
に各々の積分結果を転送し、図30に示したような比較
処理を行う構成とすることもできる。そしてこの場合に
は、第13の実施例のように第2の積分回路22Bを設
けず、制御回路24´によって送信機21aの動作を停
止させながら入力タイミング信号217、出力タイミン
グ信号218を第1の積分回路22Aを反射パルスの検
出及び雑音の検出に交互に使用する構成とすることもで
きる。
【0314】次に、本発明の第14の実施例を図面に基
づいて説明する。図69は本発明の第14の実施例の構
成を示すブロック図である。図中、図66に示した第1
3の実施例と同一部分については同一符号を付して示し
てある。制御回路24″における駆動制御回路30は第
2の積分回路22Bに対して雑音レベルの検出回数をカ
ウント(例えば8192回をカウント)する機能、雑音
レベルの検出回数のカウント結果から雑音レベルの検出
を終了する機能及び外部制御回路31の指令に応じて雑
音レベルの検出開始を第2の積分回路22Bに指示する
機能を備えている。
【0315】外部制御回路31は、駆動制御回路30に
対して雑音サンプリングの開始信号を出力する役目を持
つもので、図31に示した外部制御回路31と同一のも
のである。
【0316】この構成の外部制御回路31では、各種セ
ンサ31−2,31−3,31−5からの測定値変化信
号、タイマ31−6のタイムアップ信号、あるいは各種
スイッチ31−4,31−7,31−8のON切替信号
が通知回路回路31−1に出力され、通知回路31−1
はそれらのいずれかの信号を受けて、駆動制御回路30
に雑音サンプリングの開始タイミングを通知(雑音サン
プリングの開始信号を出力)する通知信号を出力し、駆
動制御回路30がこの通知信号を受けて第13の実施例
と同じように第2の積分回路22Bに入力タイミング信
号217´を出力して雑音レベルの積分を行わせる。
【0317】ここで、通知回路31−1に対して各種セ
ンサ31−2,31−3,31−5、タイマ31−6の
出力の有無を決定する閾値を設定し、かつ、各種スイッ
チ31−4,31−7,31−8のON−OFFを認識
する機能を設定しても良いが、これは各種センサ31−
2,31−3,31−5、タイマ31−6及び各種スイ
ッチ31−4,31−7,31−8側に設定しても良
い。
【0318】上記の構成の第14の実施例の動作は、第
5の実施例で説明した図32及び図33のフローチャー
トに従って実行される。
【0319】こうして、この第14の実施例において
は、雑音のサンプリングの実行の有無を制御する駆動制
御回路30を制御する外部制御回路31として、照度セ
ンサ31−2、温度センサ31−3、ワイパスイッチ3
1−4、雨滴センサ31−5、タイマ31−6、イグニ
ッションスイッチ31−7及び手動式スイッチ31−8
を備えたため、日照、気温、雨等の天候の変化、車両の
エンジン、オルタネータ等の機構部品の動作状態の変化
や電源電圧変動が生じることによってそれらに起因する
雑音の状態に変化が生じる可能性があるので、これらの
変化のいずれかが生じた場合にその都度、物標の反射パ
ルスをサンプリングする時の雑音レベルを測定し、閾値
THを変更することができる。したがって常に正常な物
標の反射パルスを捕らえることができ、誤りのない測距
及び物標の相対速度を演算することができる。
【0320】次に、本発明の第15の実施例について図
面に基づいて説明する。図70は本発明の第15の実施
例を示している。この第15の実施例において特徴とな
る部分は、積分回路22´と制御回路240の構成にあ
り、その他の回路について図60に示した第11の実施
例と同一であり、同一の符号を付して示してある。
【0321】図71に示すように、積分回路22´は1
つの入力アナログスイッチ22a´と、1つのRC積分
器22b´と、1つの出力アナログスイッチ22c´を
備えている。
【0322】また図72に示すように、制御回路240
は図60のレーダ装置と共通のクロック発信機24a、
スタートパルス発生回路24b、トリガ発生回路24
c、サンプリングパルス発生回路24d及び入力用シフ
トレジスタ24eを備えている。そしてこの実施例の制
御回路240の特徴として、入力用シフトレジスタ24
eの入力タイミング信号217を受けて、所定のm回ず
つのサンプリングの間、同じサンプリング期間の信号の
みを入力スイッチング信号27として出力する入力タイ
ミング切替回路24gと、所定のm回の積分が終了して
エンドパルス220をサンプリング発生回路24dから
受けた時に、出力スイッチング信号28を出力する出力
タイミング回路24hを備えている。そして、この入力
スイッチング信号27が積分回路22´の入力アナログ
スイッチ22a´に与えられ、出力スイッチング信号2
8が積分回路22´の出力アナログスイッチ22c´に
与えられるようにしてある。
【0323】次に、この第15の実施例のレーダ装置の
動作について、図73及び図74のタイミングチャート
に基づいて説明する。まず動作原理について説明する
と、制御回路240の入力タイミング切替回路24g
は、トリガ信号を所定個数mだけカウントする度に入力
用シフトレジスタ24eからの入力タイミング信号21
7を最初はQ1からQ2に、次にQ3へと順次切り替え
てそのタイミングの信号のみを入力スイッチング信号2
7として積分回路22´の入力アナログスイッチ22a
´に与える。
【0324】積分回路22´では、この入力スイッチン
グ信号27によって、各回のサンプリングにおいて1つ
の選択されたサンプリング期間、例えばi番目のタイミ
ングにおいてのみ入力アナログスイッチ22a´がサン
プリングパルス周期(つまり、サンプリング期間)Δt
の間オンして、レーダヘッド21からの2値化受信信号
を積分器22b´に与え、この動作をm回(上記の各実
施例では8192回)のサンプリング毎に繰り返す。
【0325】所定のm回のサンプリングが終了してエン
ドパルス220が出力タイミング回路24hに与えられ
ると、出力タイミング回路24hは出力スイッチング信
号28を出力する。これを受けて、積分回路22´の出
力アナログスイッチ22c´はオンして、それまでに積
分器22b´で得られている積分値を演算回路23に出
力し、演算回路23では制御回路240が指定するMi
のメモリに記憶する。
【0326】このi番目のサンプリング期間に対する2
値化受信信号のm回の積分と記憶処理が終了すると、次
のi+1番目のサンプリング期間に対して同じようにm回
の積分を行い、その結果を記憶処理し、以下、同じ動作
を順次繰り返すのである。
【0327】そこで、図73及び図74のタイミングチ
ャートに示すように、第1回目のm回(前述の各実施例
の場合には1回の検出処理でm=8192回とした)の
サンプリングでは、制御回路240の入力タイミング切
替回路24gからの入力スイッチング信号27より、積
分回路22´の入力アナログスイッチ22a´が第1番
目のサンプリング点と同期した入力スイッチング信号2
7によってサンプリングパルス周期Δtの間だけオン
し、各サンプリング毎に2値化受信信号をm回積分し、
その後、出力タイミング回路24hがエンドパルス22
0を受けて出力タイミング信号28を出力アナログスイ
ッチ22c´に与えることにより、それまで積分器22
b´で得られている積分値を演算回路23に出力し、そ
の第1番目のレンジブロックの積分値としてメモリM1
に記憶する。
【0328】次に、入力タイミング切替回路24gは各
回のサンプリングの第2番目のサンプリングパルスに同
期する入力スイッチング信号27を出力するようにスイ
ッチング信号の出力タイミングを切り替える。したがっ
て、入力アナログスイッチ22a´は各回のサンプリン
グにおいて第2番目のサンプリングパルスに同期した入
力スイッチング信号によってサンプリング期間Δtの間
オンして2値化受信信号213を積分器22b´によっ
て積分させ、これを同じくm回繰り返し、その後、出力
タイミング回路24hから出力アナログスイッチ22d
´に出力タイミング信号28が入力されれば、それまで
に積分器22b´で得られている積分値を演算回路23
に出力し、第2番目のレンジブロックの積分値としてメ
モリM2に記憶する。
【0329】以後、同じようにしてトリガ信号をm個カ
ウントする度に入力アナログスイッチ22a´を開くタ
イミングを1サンプリングパルス周期(=サンプリング
期間)Δtずつずらし、m回のサンプリングにより得ら
れる積分値を順次、演算回路23のメモリM3,M4,…
に記憶していく。
【0330】そして、最終的には各回のサンプリングに
おけるn番目のサンプリング期間に入力される2値化受
信信号のみをm回積分し、これをメモリMnに記憶して
一連のn個のレンジブロックそれぞれにおける受信信号
のサンプリングを完了することになる。
【0331】こうしてサンプリングが完了すれば、演算
回路23では前述した各実施例と同じように反射パルス
Rfの検出とそれが検出されるレンジブロックから物標
までの距離の算定が実行されることになる。
【0332】この実施例の回路構成にすれば、積分回路
22´の構成を簡単にすることができ、コスト的なメリ
ットが実現できる。
【0333】この第15の実施例の変形例として、演算
回路23にメモリM1〜Mn各々と対応するメモリエリア
を用意し、送信機21aによるパルス送出の停止期間に
上記の一連の操作を実行して各メモリに積分値各々を記
憶させるようにすれば、図66〜図69に示した第13
及び第14の実施例それぞれと同じく、雑音レベルを各
レンジブロック毎に検出して反射パルスRfの判定の閾
値として利用して、より正確な物標の測距が可能とな
る。
【0334】なお、上記の第11〜第15の各実施例に
おいて、送出パルスの送出タイミングから時間帯の異な
る複数のサンプリング期間毎にサンプリングし、2値化
信号を積分し、その積分器の飽和電圧値で除算した正規
化積分値が所定の閾値THを超えるレンジブロックがあ
ればその点に対応する距離を算定し、物標までの距離と
する方式について説明したが、自車両の前方、あるいは
側方、後方等に何らかの障害物が存在していないかどう
かを単に判定するだけであれば、例えば自車両から1m
離れた位置の障害物の有無を判定するように、それに相
当するレンジブロックで2値化受信信号を所定回数積分
してその正規化積分値を所定の閾値THあるいは別に測
定した雑音レベルと比較し、受信信号レベルが高ければ
障害物有りと判定し、警報を発したり、表示したりする
出力処理を行う構成とすることができる。
【0335】また、上記の第15の実施例の変形例とし
て、レンジブロック毎に積分回数を異なったものに設定
することができる。すなわち、遠距離の物標による受信
信号はSN比が低く、多くの積分回数を必要とするが、
近距離の物標による受信信号のSN比は高く、少ない積
分回数で済むので、近距離に対応するレンジブロックの
積分回数を少なく設定し、遠距離に対応するレンジブロ
ックの積分回数を多く設定するのである。そしてこれ
は、スタートパルス発生回路24bからサンプリングパ
ルス発生回路24dを経て出力されるエンドパルスの出
力タイミングを操作することによって実現することがで
きる。
【0336】次に、本発明の第16の実施例について図
面に基づいて説明する。図75は本発明の第16の実施
例を示しており、この実施例において図60〜図62に
示した第1の実施例の回路構成と同じ部分については同
一の符号を付して示してある。すなわち、レーダヘッド
21、このレーダヘッド21からの2値化受信信号をサ
ンプリングして各レンジブロック毎に積分する積分回路
23、物標のまでの距離算定を行う演算回路23及び各
回路の動作制御を行う制御回路24の構成は共通であ
る。またレーダヘッド、積分回路、演算回路、制御回路
は図65、図66、図69、図70に示される構成のも
のを採用することもできる。そしてこの第16の実施例
の特徴とするところは、ピーク検出回路29を設けたこ
とにある。この特徴部分をなすピーク検出回路29は演
算回路23を構成するコンピュータのソフトウェアプロ
グラムとして追加して組み込まれる処理機能である。
【0337】積分回路22がサンプリングを繰り返して
得た各レンジブロックの積分値を閾値THと比較して閾
値THを超えるレンジブロックを特定し、そのレンジブ
ロックが複数個見いだされ時に、各レンジブロック間の
積分値の大小関係から後述する近似処理によってピーク
点を推定し、演算回路23にその情報を渡す処理を行
う。
【0338】このピーク検出回路29のピーク検出処理
は、第8の実施例に示したピーク検出手段15とほぼ同
様であり、図76に示すタイミングチャート、図43の
フローチャートに従ってピーク点の推定を実行する。す
なわち、送信機21aからは少なくともサンプリングパ
ルス周期Δt(例えば、上記の各実施例では66.7n
sが用いられている)以上の幅をもった送出パルス信号
を1回のサンプリング処理周期(上記各実施例では、4
μsとされている)毎に送出し、受信機21bは外部か
らの信号を連続的に受信し、リミッタアンプ21c、ゼ
ロクロスコンパレータ21dで増幅し2値化して積分回
路22に出力する。
【0339】そこで、送信機21aから出力された送出
パルス信号が反射物標に反射した後、距離に応じた時間
遅れTdをもって受信機21bに反射パルスRfとして
入ってくるが、積分回路22はトリガ周期毎に所定個
数、例えば14個のレンジブロック毎に2値化受信信号
をサンプリングとして積分していく。1度の測距動作の
ためのサンプリング回数(=トリガ信号(図3参照)の
出力回数=送出パルスの送出回数)は、例えば上記各実
施例では8192回とされ、所定の回数分の積分処理が
終了すると、各レンジブロックに対応する積分値毎にピ
ーク検出回路29に出力される。この積分値出力から
は、送出パルスのパルス幅がサンプリングパルス周期
(サンプリング期間)Δt以上に広いものとしているの
で、複数のレンジブロックで反射パルスが検出されるこ
とになる。
【0340】そこで、ピーク検出回路29は積分回路2
2からレンジブロック毎の積分値214を受けて、図7
6に示すようなピーク検出処理を実行し、そのピーク点
に対応する送出パルス送出タイミングからの時間遅れτ
をピークデータ222として演算回路23に渡す。
【0341】このピーク検出処理手順を図76のタイミ
ングチャートに基づいて説明する。なお、演算処理手順
は図43に示した第8の実施例のフローチャートと同じ
であるので、図43を参照する。
【0342】まず、全レンジブロック(レンジブロッ
ク)#1〜#nの積分値を順次読み込み、閾値THを超
えるデータについて最も大きい積分値を第1のピーク値
a1とし、次に大きい積分値を第2のピーク値a2とし
てそれらのレンジブロックp1,p2を特定する(ステ
ップ401〜404)。ここでは、図76に示すように
第1ピーク点p1(レンジブロックとして#i+2の位
置)が第2ピーク点p2(レンジブロックとして#i+1
の位置)よりも遠い位置にあったとし、それらの積分値
Si+2,Si+1をピーク値であることを示すためにa1,
a2として示している。
【0343】次に、第1ピーク点p1と第2ピーク点p
2それぞれに対応する距離の遠近を判断し(ステップ4
05)、第1ピーク点p1が第2ピーク点p2よりも対
応する距離において遠い場合には第1ピーク点p1(=
#i+2)の積分値a1(=Si+2)とそれよりも対応する
距離が1刻み分遠いレンジブロック#i+3の積分値Si+3
とを直線A1で結び(ステップ406a)、同じよう
に、第2ピーク点p2(=#i+1)の積分値a2(=Si
+1)とそれよりも対応する距離が1刻み分近いレンジブ
ロック#iの積分値Siとを直線A2で結び(ステップ4
07a)。
【0344】上記のステップ405の判断で、逆に第1
ピーク点p1が第2ピーク点p2よりも対応する距離に
おいて近い場合には、第1ピーク点p1の積分値a1と
それよりも対応する距離が1刻み分近いレンジブロック
の積分値とを直線で結び(ステップ406b)、同じよ
うに、第2ピーク点p2の積分値a2とそれよりも対応
する距離が1刻み分遠いレンジブロックの積分値とを直
線で結び(ステップ407b)。
【0345】次に、これらの処理によって得た2本の直
線A1,A2の交点aを積分値のピーク位置として求
め、送出パルスの出力タイミングからこの交点aに対応
するタイミングまでの時間τを送出パルスの送出タイミ
ングから反射パルスを受信するまでにかかった時間とし
て求めて演算回路23に出力する(ステップ408)。
演算回路23はこのピーク点までの時間τに対応する距
離データ215を算定して出力する。
【0346】こうして、ピーク検出回路29は反射パル
スRfの受信波形をそのピーク点近くの両側の接線によ
って近似し、それらの接線の交点によってピーク点を推
定する近似方式によってピーク点の時間τを求め、これ
を演算回路23にピークデータ222として出力する。
これによって演算回路23は時間τに対応する距離デー
タ215を算定し、必要に応じて出力し、警報を発した
りすることになるが、その演算回路23の動作について
は、上記の各実施例のいずれであっても良い。また、相
対速度の検出に利用することも可能である。
【0347】なお、この第16の実施例でも、ピーク検
出回路の近似方法は上記の例に限定されず、時間をX
軸、積分値をy軸とする二次曲線近似やその他の近似方
法として利用されている各種のものが広く利用できる。
【0348】このようにしてピーク検出回路によってレ
ンジブロックの時間間隔Δtよりも高精度の測距がで
き、サンプリングパルス周期(これはレンジブロックの
時間間隔に対応する)を細かくしなくても測距精度の向
上が図れる。例えば、図75の実施例では10m刻みの
レンジブロックを設定したレーダ装置によって、ほぼ2
m以内の精度で測距することができるようになり、測定
精度が向上する。
【0349】次に、本発明の第17の実施例を図面に基
づいて説明する。図77は本発明の第17の実施例を示
している。この実施例の特徴とするところは積分回路2
3のいずれかのレンジブロックの積分器の積分値があら
かじめ設定されている飽和値に近いを超えていることを
判別した時には当該装置の感度を下げる調整を行い、逆
にいずれのレンジブロックの積分器の積分値も下限値を
超えていないことを判別した時には当該装置の感度を上
げる感度調整手段として出力利得調整回路33を演算回
路23に追加的に備えたところにあり、図60〜図62
のレーダ装置と同一の部分については同一の符号を付し
て示してある。
【0350】レーダヘッド21の送信機21a´は送出
信号出力の可変制御機能を有し、また受信機21bが受
信した受信信号219に対するリミッタアンプ21c´
は可変利得制御機能(いわゆるAGC機能)を有してお
り、これらの可変出力制御機能、可変利得制御機能は出
力利得調整回路33から制御回路24を介して指示され
る出力制御信号223、利得制御信号224によって制
御される。この出力利得調整回路33は独立の回路とす
ることができるが、また演算回路23を構成するコンピ
ュータにソフトウェアプログラムとして組み込む構成と
することもできる。
【0351】送信機21a´を図2に示したような駆動
回路5a−1、レーザダイオードのような発光素子5a
−2と発光を物標に向けて集光するレンズ5a−3から
構成し、その送出パルスの出力を自動的に制御する出力
制御回路にはレーザダイオードのような発光素子5a−
2に流す電流あるいは印加する電圧を調整すべく、駆動
回路5a−1の出力段の抵抗器の抵抗値を外部からの信
号に応じて自動的に増減調整する、例えばポテンショメ
ータのような回路が用いられる。また自動的に利得を調
整するために、リミッタアンプ21c´にはAGC回路
付きのものが用いられる。
【0352】次に、この第17の実施例の動作について
説明する。出力利得調整回路33は演算回路23が取り
込んだ各レンジブロック毎の積分値を積分器の飽和電圧
値で除算して得られる正規化積分値を1回の測距動作完
了毎にチェックし、いずれかのレンジブロックの正規化
積分値があらかじめ設定した上限値Aを超えている場合
に送出信号出力を低くする指令223、又は/及び受信
信号の利得を抑える指令224を出力し、逆に各レンジ
ブロック毎の正規化積分値をチェックし、いずれの正規
化積分値も下限値B(通常、この下限値としては雑音レ
ベルを識別するための閾値THを用いることができる)
を下回っている場合に送出信号出力を高くする指令22
3、又は/及び受信信号の利得を上げる指令224を出
力する。
【0353】これに対して、送信機21a´は出力上昇
又は出力低下の指令223を受けると出力可変制御機能
を働かせてあらかじめ設定されている刻みで1段階ずつ
出力を上げあるいは下げさせ、送出パルスの強度を1段
階ずつ強めあるいは弱めて出力させる。
【0354】またリミッタアンプ21c´は利得増又は
利得減の指令224を受けると利得可変制御機能を働か
せてその利得をあらかじめ設定されている刻みで1段階
ずつ増加させあるいは減少させ、受信信号の強度を1段
階ずつ強めあるいは弱めて出力させる。
【0355】そしてこの1回の出力調整又は/及び利得
調整の後に実行された測距動作が完了した時にも、同じ
ようにして正規化積分値がなおも上限値Aを超えていれ
ばさらに出力を下げる調整又は/及び利得を下げる調整
を繰り返し、逆に正規化積分値がなおも下限値Bを下回
っていればさらに出力を上げる調整又は/及び利得を上
げる調整を繰り返し、反射パルス受信タイミングに対応
するレンジブロックの正規化積分値が上下限値A,Bの
間に収まるようにする。
【0356】この第17の実施例の出力利得調整回路3
3によって実行される上記の一連の出力利得調整による
自動感度調整処理手順は、図48のフローチャートに示
した第9の実施例とほぼ同様である。ただし、図48の
フローチャートにおいて加算値とあるのは、積分値と読
み替える。
【0357】すなわち、最初に最大利得、最大出力を設
定しておき、過度の利得上昇あるいは出力上昇がないよ
うにする(ステップ420)。この後、通常の測距動作
毎にステップ421以下の処理が繰り返されることにな
る。
【0358】1度の測距動作が完了すると(ステップ4
21,422)、出力利得調整回路33は演算回路23
に転送された各レンジブロックの積分値を走査し、それ
らの積分値から求められる正規化積分値に上限値Aを超
えるものがないかどうか判断する(ステップ423)。
ここで、図78に示すように上限値Aを超える正規化積
分値を示すレンジブロック(例えば、レンジブロック#
i+1,#i+2)があれば、測距感度が高すぎるので、上述
の出力低下又は/及び利得減少指令223,224を出
力して送出パルスの出力を1段階絞り、又は/及び受信
信号の利得を1段階減少させ、次回の測距動作を行う
(ステップ424)。
【0359】ステップ423の判定で上限値Aを超える
正規化積分値が見い出されない場合、次に下限値Bより
も大きい正規化積分値を示すレンジブロックがあるかど
うか判断する(ステップ425)。ここで、図79に示
すように下限値B(ここでは閾値THに設定してある)
を超える正規化積分値がなければ、感度が低すぎるの
で、上述の出力上昇又は/及び利得増加指令を出力して
送出パルスの出力を1段階上げ、又は/及び受信信号の
利得を1段階増加させ、次回の測距動作を行う(ステッ
プ426)。
【0360】以上のステップ421〜426はいずれの
レンジブロックの正規化積分値も上限値Aを超えず、ま
たいずれかのレンジブロックの正規化積分値が下限値B
以上となるまで繰り返され、これによって測距感度が最
適になるように自動調整される。
【0361】以上の手順で感度の自動調整が完了する
と、以後、演算回路23によって本来の距離算定処理が
実行されることになる(ステップ427)。
【0362】こうして自動感度調整を行うことによっ
て、遠距離の反射物標の測距と近距離の反射物標の測距
とを両立させることができるようになる。例えば、遠距
離の反射物標の測距に対応した大きな送出信号出力と大
きな利得に固定しておいて、近距離の反射物標を測距し
ようとすると図78のレンジブロック#i+1,#i+2の正
規化積分値が上限値を超えて飽和電圧値Sにまで到達し
てしまい、物標の存在位置の測距ができなくなる。また
逆に、近距離の反射物標の測距に対応した小さな送出信
号出力と小さな利得に固定しておいて、遠距離の反射物
標を測距しようとすると図79のレンジブロック#i+
1,#i+2の正規化積分値のように、実際には物標を検出
していながら閾値THを超えられず、検出ができなくな
ってしまう。そこで、上述の手順で感度調整機能を働か
せるならば、物標が遠近いずれの位置に存在していても
常に最適な受信強度で反射パルスを受信して測距するこ
とができ、測距動作の信頼性を向上させることができる
ことになる。
【0363】なお、この自動感度調整機能は上記の実施
例に限定されることはなく、感度調整の最初の何段階か
は利得制御によって行い、それでも不十分な場合には出
力制御によって行う手順とし、あるいはその逆の手順と
することもできる。さらに回路構成を簡単にするために
利得制御機能のみ、あるいは出力制御機能のみで感度調
整を行う構成とすることもできる。
【0364】また、上記第17の実施例の変形例とし
て、図80に示す構成とすることもできる。すなわち、
図75に示した第16の実施例のピーク検出回路29を
備えたレーダ装置において、さらに上述の出力利得調整
回路33を設けた構成とするのである。
【0365】このようにすれば、図81(a)に示すよ
うに出力利得調整回路33がない場合にはいずれかのレ
ンジブロック#i,#i+1の正規化積分値が飽和値Sに
まで達していると、ピーク検出回路29においてピーク
位置pの検出を行っても実際の受信信号のピーク位置r
との間にずれが生じてしまうのが、この変形例によれ
ば、図81(b)に示すように感度自動調整によってい
ずれのレンジブロックの正規化積分値も上限値A以下に
することができ、ピーク位置pの検出が正確に行えるこ
とになり、測距精度をさらに向上させることができるこ
とになる。
【0366】次に、本発明の第18の実施例を図面に基
づいて説明する。図82は本発明の第18の実施例を示
している。この実施例の特徴とするところは、積分回路
22のいずれかのレンジブロックの積分器の正規化積分
値が積分回数調整用にあらかじめ設定した上限値を超え
ていることを判別した時には積分回数を減少させる調整
を行い、逆にいずれのレンジブロックの積分器の正規化
積分値も積分回数調整用にあらかじめ設定した下限値を
超えていないことを判別した時には積分回数を増加させ
る積分回数調整回路34を感度調整手段として備えたと
ころにあり、その他の部分については図60〜図62の
レーダ装置と同一の部分については同一の符号を付して
示してある。なお、この実施例にあっても、積分回数調
整回路34は演算回路23を構成するコンピュータにソ
フトウェアプログラムとして組み込む構成とすることも
できる。
【0367】この積分回数調整回路34の働きについて
説明すると、積分回路22の各レンジブロック毎の積分
値を積分飽和電圧値で除算して得られる正規化積分値を
1回の測距動作完了毎にチェックし、いずれかのレンジ
ブロックの正規化積分値があらかじめ設定した上限値A
´を超えている場合に1回の測距動作で繰り返す積分回
数m(上記各実施例では、この積分回数を8192回と
して説明している)を減少させる指令を出力し、逆に各
レンジブロック毎の正規化積分値をチェックし、いずれ
の正規化積分値も下限値B´を下回っている場合に1回
の測距動作で繰り返す積分回数を増加させる指令を制御
回路24のサンプリングパルス発生回路24dに対して
出力する。
【0368】これに対して、サンプリングパルス発生回
路24dはトリガ発生回路24cから受け取るトリガ信
号の個数をカウントしてあらかじめ設定されているカウ
ント数(これは可変設定される加算回数と同じである)
に達すると出力するエンドパルスの出力タイミングを1
段階ずつ減少させあるいは増加させる調整を行う。この
結果、積分回路22の積分回数が増減調整されることに
なる。
【0369】そしてこの積分回数の調整の後に実行され
た測距動作が完了した時にも、同じようにして正規化積
分値がなおも上限値A´を超えていればさらに積分回数
を減少させる調整を繰り返し、逆に正規化積分値がなお
も下限値B´を下回っていればさらに積分回数を増加さ
せる調整を繰り返す。
【0370】以上の一連の積分回数調整による自動感度
調整処理手順を第10の実施例の動作を示す図55のフ
ローチャートを援用して説明する。なお、図55のフロ
ーチャートにおいて加算値とあるのは、積分値と読み替
えるものとする。
【0371】最初に、積分回数mを標準的な回数、例え
ば、上記の各実施例において例示したように、0〜13
0mの間を10m刻みにサンプリングするべくレンジブ
ロックを14個にして、1回のサンプリング処理周期で
もある送出パルスの送出周期を4μs、サンプリングパ
ルス周期Δt(これは、各レンジブロックのサンプリン
グ期間でもある)を66.7nsとした場合に8192
回の積分回数に設定する(ステップ430)。
【0372】そしてある1度の測距動作が完了すると
(ステップ431,432)、積分回数調整回路34は
積分回路22の各レンジブロックの積分値を走査し、そ
れらの積分値から求められる正規化積分値が上限値A´
を超えるレンジブロックがないかどうか判断する(ステ
ップ433)。ここで、上限値A´を超える正規化積分
値を示すレンジブロック(例えば、レンジブロック#i+
1,#i+2)があれば、上述のサンプリングパルス発生回
路24dにエンドパルスの出力タイミングを1段階早め
る指令を出力して積分回路22の積分回数を1段階減少
させ、次回の測距動作を行う(ステップ434)。
【0373】ステップ433の判定で上限値A´を超え
る正規化積分値が見い出されない場合、次に下限値B´
よりも大きい正規化積分値を示すレンジブロックがある
かどうか判断する(ステップ435)。ここで、下限値
B´を超える正規化積分値がなければ、上述のサンプリ
ングパルス発生回路24dにエンドパルスの出力タイミ
ングを1段階遅くする指令を出力して積分回路22の積
分回数を1段階増加させ、次回の測距動作を行う(ステ
ップ436)。
【0374】以上のステップ431〜436はいずれの
レンジブロックの正規化積分値も上限値A´を超えず、
またいずれかのレンジブロックの正規化積分値が下限値
B´以上となるまで繰り返され、これによって積分回数
が必要最小限度で十分なSN比を持って物標の判別、ま
た測距動作ができるように自動調整される。
【0375】以上の手順で積分回数の自動調整が完了す
ると、以後、演算回路23によって本来の距離算定処理
が実行されることになる(ステップ437)。
【0376】こうして自動積分回数調整を行うことによ
って、必要最小限度の積分回数で十分なSN比を持って
物標の有無の判定、また測距動作ができるようにし、特
にSN比が元々大きい近距離の測距(近距離では、測距
にかかる時間も可能な限り短縮して迅速な応答ができる
ようにする必要が大きい)において、少ない積分回数で
測距ができるようになって処理速度を高速化することが
できるようになる。
【0377】なお、上記第18の実施例の変形例とし
て、図83に示す構成とすることもできる。すなわち、
図75に示した第16の実施例のピーク検出回路29を
備えたレーダ装置において、さらに上述の積分回数調整
回路34を設けた構成とするのである。
【0378】このようにすれば、まず最適な積分回数の
自動調整の後に測距を実行し、ピーク検出回路29によ
ってピーク検出を行うようにすることにより、ピーク位
置pの検出が正確に行えると共に測距動作を高速化する
ことができるようになる。
【0379】なお、第17の実施例と第18の実施例と
を組み合わせた実施例として、自動感度調整機能とし
て、送出信号出力の自動調整、受信信号の増幅利得の自
動調整と共に、積分回数の自動調整をすべて備えた構成
とすることも可能である。
【0380】この場合の処理手順について、次に説明す
る。まず、1024回のサンプリング積分処理を行い、
その時点で上限値Aを超えているサンプリング点があれ
ば、受信手段の利得を下げるか、又は/及び送信手段の
送信出力を下げる。また1024回のサンプリング積分
を行った時点で、いずれのサンプリング期間の積分値も
下限値を超えない場合には、受信手段の利得を上げる
か、又は/及び送信手段の送信出力を上げる。これによ
り、最適なSN比を得ることができる。
【0381】そして、サンプリング積分値が上限値と下
限値との範囲内に収まった場合、8192回に積分回数
を設定することによってばらつきの少ない積分値を常に
得られるようにし、以後、反射信号を有無を判定する通
常の動作に移行する。なお、この積分回数の設定は、7
168回(=8192−1024)であってもよい。
【0382】このようにして、まず最初に所定の積分回
数(8192回)に対してその数分の1の少ない積分回
数で利得調整制御、出力調整制御を行うことにより、短
時間のうちに利得や出力の最適化を行うことができるよ
うになり、全体として反射信号の有無の判別や測距動作
を短時間で精度良く行えるようになる。
【0383】また、上記において、1024回のサンプ
リング積分を行い、その時点でいずれかのサンプリング
期間の積分値が上限値を超えている場合には受信機の利
得を下げるか、又は/及び送信機の出力を下げるか調整
するが、いずれのサンプリング期間の積分値も上限値を
超えない場合には、直接、積分回数を8192回に設定
することによってばらつきの少ない積分値を常に得られ
るようにし、以後、反射信号を有無を判定する通常の動
作に移行する。なお、この積分回数の設定は、7168
回(=8192−1024)であってもよい。
【0384】この場合にも、まず最初に所定の積分回数
(8192回)に対してその数分の1の少ない積分回数
で利得調整制御、出力調整制御を行うことにより、短時
間のうちに利得や出力の最適化を行うことができるよう
になり、全体として反射信号の有無の判別や測距動作を
短時間で精度良く行えるようになる。
【0385】次に、上述の各実施例のレーダ装置の利用
例について説明する。図84はレーダ装置を用いた自動
車の衝突警報装置を示しており、レーダ装置100、車
速センサ110a、操舵角センサ110b等の各種セン
サ110、相対速度演算回路120、演算制御回路13
0及び出力装置140から構成されている。
【0386】この衝突警報装置では、レーダ装置100
が繰り返し実行する測距動作から得られる距離出力を相
対速度演算回路120において時間微分することによっ
て先行車両までの相対速度を求め、演算制御回路130
に距離データ(車間距離となる)と相対速度データを出
力する。
【0387】演算制御回路130では、これらのデータ
と共に各種センサ110からの自車速度、操舵角等の信
号とを受け取り、自車両が先行車両に衝突する可能性を
演算し、車間距離が短くて相対速度が所定値以上に大き
くなれば衝突の危険性があると判断してディスプレイ1
40aやスピーカ140b等の出力装置140によって
運転者に警報を発し、衝突防止を図る。
【0388】また衝突警報装置の場合、先行車のまで距
離が安全車間距離になればそれを知らせる表示、スピー
カ出力、さらにはランプ表示を出力装置140で行うよ
うにすることもできる。
【0389】次に、上記の各実施例のレーダ装置を利用
した定速走行装置のオン/オフ制御装置を図85に基づ
いて説明する。この装置は、図84の装置に対してさら
に、演算制御回路130が定速走行装置150に接続さ
れ、この定速走行装置150によってスロットルアクチ
ュエータ151が制御される構成となっている。この定
速走行装置150は、運転者が希望車速を入力してスイ
ッチをオンすれば、スロットルアクチュエータ151の
開閉度を調整して希望車速で定速走行する制御を行うも
のである。
【0390】したがって、定速走行装置150によって
定速自動走行を行おうとする場合、演算制御回路130
では相対速度演算回路120からの距離データと先行車
との相対速度データ、各種センサ110からの信号を受
けて自車両の先行車に対する接近度を演算し、接近し過
ぎであると判断した場合には出力装置140に出力して
運転者に報知すると共に、定速走行装置150にオフ信
号を出力して自動定速走行を停止させ、スロットルアク
チュエータ151によってスロットルバルブを閉じて減
速を行わせ、安全車間距離を確保するようにする。また
相対速度がマイナス側に大きく、車間距離も大きい場
合、定速走行装置150にオン信号を出力して自動定速
走行を動作させる。これによって、定速走行装置による
定速走行制御を行っていても車間距離が詰まれば直ちに
報知できる。
【0391】次に、図86に示す衝突防止装置について
説明する。この衝突防止装置は、特に演算制御回路13
0が車間距離と相対速度との関係から衝突の危険性を判
断した場合に、各種アクチュエータ155を差動させて
衝突を自動的に防止することを特徴とする。すなわち、
ブレーキアクチュエータ、スロットルアクチュエータ、
変速アクチュエータ等の各種アクチュエータ155に演
算制御回路130がアクセスすることができ、例えば、
相対速度が大きく、車間距離が縮まる傾向にあれば各種
アクチュエータ155のうちの減速アクチュエータを差
動させてエンジンブレーキをかける動作を行い、またブ
レーキアクチュエータにアクセスしてブレーキをかけさ
せる動作を自動的に行う。
【0392】次に、プリクラッシュエアバックシステム
について、図87に基づいて説明する。このプリクラッ
シュエアバックシステムは、レーダ装置100、相対速
度演算回路120、演算制御回路130を備え、この演
算制御回路130がエアバック装置160にアクセスし
てエアバックを可能な限り早いタイミングでエアバック
を膨張させることを可能にするものである。
【0393】すなわち、通常のエアバック装置では、図
88のタイミングt0に示す衝突の衝撃で初めてエアバ
ックを膨張させる動作を開始するので、衝突の衝撃で運
転者が前のめりになり始めてから運転者の顔面部に接触
するようになる恐れがある(曲線a参照)。
【0394】しかしながら、このプリクラッシュエアバ
ックシステムでは、レーダ装置100が常時測距動作を
繰り返していて、その都度相対速度演算回路120が先
行車との相対速度、車間距離を演算して演算制御回路1
30に入力している。
【0395】演算制御回路130はこの相対速度、車間
距離データを常時監視していて、特に自車速度と相対速
度が共に大きく、しかも車間距離が衝突直前になるまで
短くなったことを判断すれば、そのタイミングt−にお
いてエアバック装置160に対して作動指令を出力す
る。これによって、図88に示すように、実際に衝突が
発生した時点t0ではエアバックが十分に膨らんだ状態
になり、装置の迅速な起動を確保することができるよう
になる。
【0396】
【発明の効果】以上のように請求項1及び請求項2の発
明によれば、反射信号の強度が雑音に埋もれてしまうよ
うな弱い信号であっても、その信号の特異性によってラ
ンダムな雑音信号と区別して識別し、物標までの距離測
定を行うことができる。
【0397】請求項3の発明によれば、サンプリング点
間の間隔が距離に換算して、例えば10m刻みのように
粗いものであっても、近似曲線の極大点の位置の検出か
ら隣り合うサンプリング点の中間位置に物標が存在する
場合でも、その極大点の位置に対応する物標までの距離
を算定することにより、物標までの距離を精度良く割り
出すことができる。
【0398】請求項4の発明によれば、分散の小さいデ
ータを用いてピーク位置の検出とそれに基づく物標まで
の距離の算定ができ、演算処理の負荷を小さくして、処
理の高速化が図れる。
【0399】請求項5の発明によれば、上限判別手段が
いずれかのサンプリング点の正規化加算値が上限値を超
えていることを判別した時には感度調整手段が当該装置
の感度を下げる調整を行い、逆に下限判別手段がいずれ
のサンプリング点の正規化加算値も下限値を超えていな
いことを判別した時には感度調整手段が当該装置の感度
を上げる調整を行うことにより、常に正規化加算値のレ
ベルを適当な大きさに維持し、正確な物標の有無の判
定、また物標までの距離の算定を安定して行える。
【0400】請求項6の発明によれば、常に必要最小限
度の少ない加算回数で十分なSN比で反射信号の検出が
できるように自動的に設定し、物標の有無の判定、ある
いは測距動作を短時間で行える。
【0401】請求項7の発明によれば、サンプリング点
毎の加算値のオフセットを検出することによって受信信
号に含まれる干渉波を捕らえて除去することができ、測
距データの安全性と信頼性が向上する。
【0402】請求項8の発明によれば、相対速度の異常
により受信信号に干渉波が含まれていることを判定し、
これを除去することにより、測距データの安全性と信頼
性が向上する。
【0403】請求項9及び10の発明によれば、加算結
果の内容から一様の周波数オフセットを検出することが
でき、物標の反射信号の加算値がオフセット以上であれ
ば、必ず反射信号の加算値を検出することができ、この
結果、干渉波が発生した状態でも正しい測距を行うこと
ができる。
【0404】請求項11及び請求項12の発明によれ
ば、反射信号の強度が雑音に埋もれてしまうような弱い
信号であっても、その信号の特異性によってランダムな
雑音信号と区別して識別し、物標までの距離測定を行う
ことができる。
【0405】請求項13の発明によれば、サンプリング
期間の間隔が距離に換算して、例えば10m刻みのよう
に粗いものであっても、近似曲線の極大点の位置の検出
からあるサンプリング期間内の中心から偏位した位置に
物標が存在する場合でも、その極大点の位置に対応する
物標までの距離を算定することにより、物標までの距離
を精度良く割り出すことができる。
【0406】請求項14の発明によれば、分散の小さい
データを用いてピーク位置の検出とそれに基づく物標ま
での距離の算定ができ、演算処理の負荷を小さくして、
処理の高速化が図れる。
【0407】請求項15の発明によれば、上限判別手段
がいずれかのサンプリング期間の正規化積分値が上限値
を超えていることを判別した時には感度調整手段が当該
装置の感度を下げる調整を行い、逆に下限判別手段がい
ずれのサンプリング期間の正規化積分値も下限値を超え
ていないことを判別した時には感度調整手段が当該装置
の感度を上げる調整を行うことにより、常に正規化積分
値のレベルを適当な大きさに維持し、正確な物標の有無
の判定、また物標までの距離の算定を安定して行える。
【0408】請求項16の発明によれば、常に必要最小
限度の少ない積分回数で十分なSN比で反射信号の検出
ができるように自動的に設定し、物標の有無の判定、あ
るいは測距動作を短時間で行える。
【0409】請求項17の発明によれば、サンプリング
期間毎の積分値のオフセットを検出することによって受
信信号に含まれる干渉波を捕らえて除去することがで
き、測距データの安全性と信頼性が向上する。
【0410】請求項18の発明によれば、相対速度の異
常により受信信号に干渉波が含まれていることを判定
し、これを除去することにより、測距データの安全性と
信頼性が向上する。
【0411】請求項19及び20の発明によれば、積分
結果の内容から一様の周波数オフセットを検出すること
ができ、物標の反射信号の積分値がオフセット以上であ
れば、必ず反射信号の積分値を検出することができ、こ
の結果、干渉波が発生した状態でも正しい測距を行うこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の構成を示すブロック図
である。
【図2】第1の実施例の具体的な構成を示すブロック図
である。
【図3】第1の実施例で用いられる各種信号のタイミン
グチャートである。
【図4】(3)式で表される積分値kの確率分布を計算
した結果を示すグラフである。
【図5】スタートパルス発生回路(加算数設定回路)の
構成を示すブロック図である。
【図6】トリガ発生回路の構成を示すブロック図であ
る。
【図7】サンプリングパルス発生回路の構成を示すブロ
ック図である。
【図8】タイミング回路の構成要素である加算クロック
発生回路の構成を示すブロック図である。
【図9】タイミング回路の他の構成要素である制御パル
ス発生回路の構成を示すブロック図である。
【図10】制御パルス発生回路の各種信号のタイミング
チャートである。
【図11】サンプリング・加算回路の構成を示すブロッ
ク図である。
【図12】加算処理動作を示すタイミングチャートであ
る。
【図13】判定手段の動作を示すフローチャートであ
る。
【図14】Na=128回のデータ加算を2000回繰
り返し、積分値の頻度分布(確率分布)を求めた時の分
布図である。
【図15】Na=8192の場合の正規化されたkの期
待値k´/Naと3σの範囲の計算結果を示す分布図で
ある。
【図16】本発明の第2の実施例の構成を示すブロック
図である。
【図17】第2の実施例のタイミングチャートである。
【図18】本発明の第3の実施例の構成を示すブロック
図である。
【図19】反射パルスの検出及び相対速度の演算の具体
例を説明する説明図である。
【図20】相対速度演算の具体例を示すフローチャート
である。
【図21】干渉波の処理の具体例を説明する説明図であ
る。
【図22】干渉波の処理の具体例を説明する説明図であ
る。
【図23】干渉波の処理の具体例を説明する説明図であ
る。
【図24】第3の実施例の変形例の構成を示すブロック
図である。
【図25】第3の実施例の変形例の前段の動作を示すフ
ローチャートである。
【図26】第3の実施例の変形例の後段の動作を示すフ
ローチャートである。
【図27】本発明の第4の実施例の構成を示すブロック
図である。
【図28】第4の実施例の前段の動作を示すフローチャ
ートである。
【図29】第4の実施例の後段の動作を示すフローチャ
ートである。
【図30】雑音レベルによる閾値設定の具体例を示す説
明図である。
【図31】本発明の第5の実施例の構成を示すブロック
図である。
【図32】第5の実施例の前段の動作を示すフローチャ
ートである。
【図33】第5の実施例の後段の動作を示すフローチャ
ートである。
【図34】本発明の第6の実施例の構成を示すブロック
図である。
【図35】第6の実施例の前段の動作を示すフローチャ
ートである。
【図36】第6の実施例の中段の動作を示すフローチャ
ートである。
【図37】第6の実施例の後段の動作を示すフローチャ
ートである。
【図38】本発明の第7の実施例の構成を示すブロック
図である。
【図39】第7の実施例のサンプリング動作を示すタイ
ミングチャートである。
【図40】第7の実施例のサンプリング動作を示すタイ
ミングチャートである。
【図41】本発明の第8の実施例の構成を示すブロック
図である。
【図42】第8の実施例のタイミングチャートである。
【図43】第8の実施例の動作を示すフローチャートで
ある。
【図44】第8の実施例の近似方法の説明図である。
【図45】第8の実施例の測距精度を示すグラフであ
る。
【図46】本発明の第9の実施例の構成を示すブロック
図である。
【図47】第9の実施例の具体的に回路構成を示すブロ
ック図である。
【図48】第9の実施例の動作を示すフローチャートで
ある。
【図49】第9の実施例の出力利得低減動作を示す説明
図である。
【図50】第9の実施例の出力利得増加動作を示す説明
図である。
【図51】第9の実施例の変形例の構成を示すブロック
図である。
【図52】第9の実施例の変形例の出力利得調整とピー
ク検出動作を示す説明図である。
【図53】本発明の第10の実施例の構成を示すブロッ
ク図である。
【図54】第10の実施例の具体的な回路構成を示すブ
ロック図である。
【図55】第10の実施例の動作を示すフローチャート
である。
【図56】第10の実施例の加算回数の減少調整を示す
説明図である。
【図57】第10の実施例の加算回数の増加調整を示す
説明図である。
【図58】本発明の第10の実施例の変形例の構成を示
すブロック図である。
【図59】第10の実施例の変形例の加算回数調整動作
を示す説明図である。
【図60】本発明の第11の実施例の構成を示すブロッ
ク図である。
【図61】第11の実施例の積分回路の構成を示すブロ
ック図である。
【図62】第11の実施例の制御回路の構成を示すブロ
ック図である。
【図63】第11の実施例の積分回路の動作を示すタイ
ミングチャートである。
【図64】第11の実施例の測距動作を示すタイミング
チャートである。
【図65】本発明の第12の実施例の構成を示すブロッ
ク図である。
【図66】本発明の第13の実施例の構成を示すブロッ
ク図である。
【図67】第13の実施例の動作の前段を示すフローチ
ャートである。
【図68】第13の実施例の動作の後段を示すフローチ
ャートである。
【図69】本発明の第14の実施例の構成を示すブロッ
ク図である。
【図70】本発明の第15の実施例の構成を示すブロッ
ク図である。
【図71】第15の実施例の積分回路の構成を示すブロ
ック図である。
【図72】第15の実施例の制御回路の構成を示すブロ
ック図である。
【図73】第15の実施例のサンプリング動作を示すタ
イミングチャートである。
【図74】第15の実施例のサンプリング動作を示すタ
イミングチャートである。
【図75】本発明の第16の実施例の構成を示すブロッ
ク図である。
【図76】第16の実施例のピーク点の近似方法を示す
説明図である。
【図77】本発明の第17の実施例の構成を示すブロッ
クである。
【図78】第17の実施例の出力利得低減動作を示す説
明図である。
【図79】第17の実施例の出力利得増加動作を示す説
明図である。
【図80】本発明の第17の実施例の変形例の構成を示
すブロック図である。
【図81】第17の実施例の変形例の感度調整とピーク
点検出動作を示す説明図である。
【図82】本発明の第18の実施例の構成を示すブロッ
ク図である。
【図83】本発明の第18の実施例の変形例の構成を示
すブロック図である。
【図84】本発明のレーダ装置を応用した衝突防止装置
の構成を示すブロック図である。
【図85】本発明のレーダ装置を応用した衝突防止装置
の他の例の構成を示すブロック図である。
【図86】本発明のレーダ装置を応用した衝突防止装置
のさらに他の例の構成を示すブロック図である。
【図87】本発明のレーダ装置を応用したプリクラッシ
ュエアバックシステムの構成を示すブロック図である。
【図88】上記のプリクラッシュエアバックシステムの
動作を示す説明図である。
【図89】従来のレーダ装置の構成を示すブロック図で
ある。
【図90】従来の各種信号のタイミングチャートであ
る。
【図91】従来の雑音の確率分布を示すグラフである。
【符号の説明】 5 レーダヘッド 5a パルス信号送出手段 5b 反射パルス信号受信手段 5a−1 第1の駆動回路 5a−2 発光素子 5a−3 レンズ 5a−4 出力制御回路 5a´−1 第2の駆動回路 5a´−2 発光素子 5a´−3 レンズ 5b−1 レンズ 5b−2 受光素子 5b−3 リミッタアンプ 5b−4 ゼロクロスコンパレータ 5b−5 利得制御回路 6,6´ 加算記憶手段 6a サンプリング手段 6b 第1の加算記憶手段 6c 第2の加算記憶手段 6a タイミング回路 6b サンプリング・加算回路 6b−2〜6b−3 8ビットシフトレジスタ 6b−8〜6b−9 メモリ 6b−11〜6b−14 双方向バッファ 6b−17〜6b−20 加算用プリセットカウンタ 6´−1 ゲートタイミング切替回路 6´−2 カウンタ 6´−3 入力ゲート回路 6´−4 加算記憶回路 6´−5 出力ゲート回路 6´−6 メモリ 6´−7 メモリ切替回路 7,7´,7″ 判定手段 8,8´,8″ 制御手段 8a クロック発信機 8b スタートパルス発生回路(加算数設定回路) 8c トリガ発生回路 8d サンプリングパルス発生回路 9 干渉検出手段 9a 相対速度演算手段 9b 相対速度異常値検出手段 9c オフセット検出手段 12 相対速度検出用カウンタ 13 誤検出防止手段 14 相対速度演算手段 15 ピーク検出手段 16 感度調整手段 17 出力利得調整回路 18 加算回数調整手段 19 加算回数調整回路 20,20´,20″ 駆動制御手段 21,210 レーダヘッド 21a,21a´ 送信機 21b 受信機 21c,21c´ リミッタアンプ 21d ゼロクロスコンパレータ 22 積分回路 22a−1〜22a−n 入力アナログスイッチ 22b−1〜22b−n 積分器 22c−1〜22c−n 出力アナログスイッチ 22a´ 入力アナログスイッチ 22b´ 積分器 22A 第1の積分回路 22B 第2の積分回路 22c´ 出力アナログスイッチ 23,23´,23″ 演算回路 24,24´,240 制御回路 24a クロック発信機 24b スタートパルス発生回路 24c トリガ発生回路 24d サンプリングパルス発生回路 24e シフトレジスタ 24f シフトレジスタ 24g 入力タイミング切替回路 24h 出力タイミング回路 29 ピーク検出回路 31 外部制御回路 31−1 通知回路 31−2 照度センサ 31−3 温度センサ 31−4 ワイパスイッチ 31−5 雨滴センサ 31−6 タイマ 31−7 イグニッションスイッチ 31−8 手動式スイッチ 33 出力利得調整回路 34 積分回数調整回路 41 シャッタ 51 切換回路
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−271478(JP,A) 特開 昭57−48675(JP,A) 特開 平3−165284(JP,A) 特開 平3−295484(JP,A) 特開 平4−324389(JP,A) 特開 平6−174826(JP,A) 特開 平6−281723(JP,A) 実開 平4−88870(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01S 7/00 - 7/64 G01S 13/00 - 17/88

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルス状の信号を周期的に外部へ出力す
    る送出手段と、 前記送出手段が出力する信号が物標に反射して来る方向
    からの信号を連続的に受信する受信手段と、 前記受信手段が受信した信号に対して、それが雑音であ
    る場合に0と1との出現確率が同じになる値を単一の閾
    値として用いて2値化する2値化手段と、 前記送出手段の送出タイミング後の一定の1又は複数の
    時間を異ならせたサンプリング点毎に、前記2値化手段
    が出力する2値化信号をサンプリングするサンプリング
    手段と、 前記サンプリング手段によるサンプリング点毎のサンプ
    リング値を、前記送出手段による信号の所定の送出回数
    分ずつ加算する1又は複数の加算手段と、前記加算手段の前記サンプリング点毎の加算値に基づ
    き、前記受信信号のピーク位置を検出するピーク検出手
    段と、 前記送出手段の送出タイミングから前記ピーク検出手段
    の検出した前記受信信号のピーク位置までの時間遅れに
    基づいて外部の物標までの距離を算出する距離算定手段
    とを備えて成るレーダ装置。
  2. 【請求項2】 パルス状の信号を周期的に外部へ出力す
    る送出手段と、 前記送出手段が出力する信号が物標に反射して来る方向
    からの信号を連続的に受信する受信手段と、 前記受信手段が受信した信号に対して、それが雑音であ
    る場合に0と1との出現確率が同じになる値を単一の閾
    値として用いて2値化する2値化手段と、 前記送出手段の送出タイミング後の所定のサンプリング
    点において、前記2値化手段が出力する2値化信号をサ
    ンプリングするサンプリング手段と、 前記サンプリング手段による所定のサンプリング点のサ
    ンプリング値を、前記送出手段による信号の所定の送出
    回数分ずつ加算する加算手段と、 前記サンプリング手段のサンプリング点として時間を異
    ならせた複数種設定し、前記加算手段が1つのサンプリ
    ング点で所定の送出回数分の加算動作を終了し た時に、
    順次他のサンプリング点に切り替えて前記加算手段に加
    算動作を行わせるサンプリングタイミング切替手段と、 前記加算手段の加算値を複数種のサンプリング点各々と
    対応させて記憶する記憶手段と、 前記記憶手段に記憶されている前記サンプリング点毎の
    加算値に基づき、前記受信信号のピーク位置を検出する
    ピーク検出手段と、 前記送出手段の送出タイミングから前記ピーク検出手段
    の検出した前記受信信号のピーク位置までの時間遅れに
    基づいて外部の物標までの距離を算出する距離算定手段
    とを備えて成るレーダ装置。
  3. 【請求項3】 前記ピーク検出手段は、前記複数のサン
    プリング点のうち、極大の加算値を示すサンプリング点
    とその近傍のサンプリング点間を結ぶ近似曲線を求め、
    当該近似曲線における極大点を前記ピーク位置として検
    出することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ
    装置。
  4. 【請求項4】 前記ピーク検出手段は、前記サンプリン
    グ点毎の加算値を正規化した正規化加算値を用いて前記
    ピーク位置を検出することを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載のレーダ装置。
  5. 【請求項5】 前記サンプリング点毎の正規化加算値の
    いずれかが所定の上限値を超えていないか否かを判別す
    る上限判別手段と、前記加算手段のいずれのサンプリン
    グ点の正規化加算値も所定の下限値を超えていないか否
    かを判別する下限判別手段と、前記上限判別手段がいず
    れかのサンプリング点の正規化加算値が前記上限値を超
    えていることを判別した時に当該装置の感度を下げ、前
    記下限判別手段がいずれのサンプリング点の正規化加算
    値も前記下限値を超えていないことを判別した時に当該
    装置の感度を上げる感度調整を行う感度調整手段とを備
    えて成る請求項4に記載のレーダ装置。
  6. 【請求項6】 前記感度調整手段として、前記加算手段
    の加算回数を増減調整する加算回数調整手段を用いて成
    る請求項5に記載のレーダ装置。
  7. 【請求項7】 前記サンプリング点毎の加算値のオフセ
    ットを検出することによって前記受信手段の受信した受
    信信号に含まれている干渉波を検出する干渉波検出手段
    と、前記干渉波検出手段が検出する干渉波を除去する干
    渉波除去手段 とを備えて成る請求項1〜6いずれかに記
    載のレーダ装置。
  8. 【請求項8】 前記距離算定手段の算出する前記物標ま
    での距離に時間変化に基づいて当該物標との相対速度を
    求め、当該相対速度の異常を検出することによって前記
    受信手段の受信した受信信号に含まれている干渉波を検
    出する干渉波検出手段と、前記干渉波検出手段が検出す
    る干渉波を除去する干渉波除去手段とを備えて成る請求
    項1〜6いずれかに記載のレーダ装置。
  9. 【請求項9】 前記送出手段、前記受信手段、前記サン
    プリング手段、前記加算手段、前記距離算定手段、前記
    干渉波検出手段及び前記干渉波除去手段を含む各手段の
    動作タイミングを定める基準クロック信号の周波数誤差
    が、少なくとも2×10 -7 以上であることを特徴とする
    請求項7又は8に記載のレーダ装置。
  10. 【請求項10】 前記送出手段、前記受信手段、前記サ
    ンプリング手段、前記加算手段、前記距離算定手段、前
    記干渉波検出手段及び前記干渉波除去手段を含む各手段
    の動作タイミングを定める基準クロック信号の周波数誤
    差の周波数比が、少なくとも2×10 -7 以上異なること
    を特徴とする請求項7又は8に記載のレーダ装置。
  11. 【請求項11】 パルス状の信号を周期的に外部へ出力
    する送出手段と、 前記送出手段が出力する信号が物標に反射して来る方向
    からの信号を連続的に受信する受信手段と、 前記受信手段が受信した信号に対して、それが雑音であ
    る場合に0と1との出現確率が同じになる値を単一の閾
    値として用いて2値化する2値化手段と、 前記送出手段の送出タイミング後の一定の1又は複数の
    時間帯を異ならせたサンプリング期間毎に、前記2値化
    手段が出力する2値化信号をサンプリングするサンプリ
    ング手段と、 前記サンプリング手段によるサンプリング期間毎の2値
    化信号を、前記送出手段による信号の所定の送出回数分
    ずつ積分する1又は複数の積分手段と、前記積分手段の前記サンプリング点毎の積分値に基づ
    き、前記受信信号のピーク位置を検出するピーク検出手
    段と、 前記送出手段の送出タイミングから前記ピーク検出手段
    の検出した前記受信信号のピーク位置までの時間遅れに
    基づいて外部の物標までの距離を算出する距離 算定手段
    とを備えて成るレーダ装置。
  12. 【請求項12】 パルス状の信号を周期的に外部へ出力
    する送出手段と、 前記送出手段が出力する信号が物標に反射して来る方向
    からの信号を連続的に受信する受信手段と、 前記受信手段が受信した信号に対して、それが雑音であ
    る場合に0と1との出現確率が同じになる値を単一の閾
    値として用いて2値化する2値化手段と、 前記送出手段の送出タイミング後の所定のサンプリング
    期間において、前記2値化手段が出力する2値化信号を
    サンプリングするサンプリング手段と、 前記サンプリング手段による所定のサンプリング期間の
    2値化信号を前記送出手段による信号の所定の送出回数
    分ずつ積分する積分手段と、 前記サンプリング手段のサンプリング期間として時間帯
    を異ならせた複数種設定し、前記積分手段が1つのサン
    プリング期間で所定の送出回数分の積分動作を終了した
    時に、順次他のサンプリング期間に切り替えて前記積分
    手段に積分動作を行わせるサンプリングタイミング切替
    手段と、 前記積分手段の積分値を複数のサンプリング期間各々と
    対応させて記憶する記憶手段と、 前記記憶手段に記憶されている前記サンプリング期間毎
    の積分値に基づき、前記受信信号のピーク位置を検出す
    るピーク検出手段と、 前記送出手段の送出タイミングから前記ピーク検出手段
    の検出した前記受信信号のピーク位置までの時間遅れに
    基づいて外部の物標までの距離を算出する距離算定手段
    とを備えて成るレーダ装置。
  13. 【請求項13】 前記ピーク検出手段は、前記複数のサ
    ンプリング期間のうち、極大の積分値を示すサンプリン
    グ期間とその近傍のサンプリング期間とのそれぞれの積
    分値の間を結ぶ近似曲線を求め、当該近似曲線における
    極大点を前記ピーク位置として検出することを特徴とす
    る請求項11又は12に記載のレーダ装置。
  14. 【請求項14】 前記ピーク検出手段は、前記サンプリ
    ング期間毎の積分値を正規化した正規化積分値を用いて
    前記ピーク位置を検出することを特徴とする請求項11
    〜13のいずれかに記載のレーダ装置。
  15. 【請求項15】 前記サンプリング期間毎の正規化積分
    値のいずれかが所定の上限値を超えていないか否かを判
    別する上限判別手段と、前記積分手段のいずれのサンプ
    リング期間の正規化積分値も所定の下限値を超えていな
    いか否かを判別する下限判別手段と、前記上限判別手段
    がいずれかのサンプリング期間の正規化積分値が前記上
    限値を超えていることを判別した時に当該装置の感度を
    下げ、前記下限判別手段がいずれのサンプリング期間の
    正規化積分値も前記下限値を超えていないことを判別し
    た時に当該装置の感度を上げる感度調整を行う感度調整
    手段とを備えて成る請求項14に記載のレーダ装置。
  16. 【請求項16】 前記感度調整手段として、前記積分手
    段の積分回数を増減調整する積分回数調整手段を用いて
    成る請求項15に記載のレーダ装置。
  17. 【請求項17】 前記サンプリング期間毎の積分値のオ
    フセットを検出することによって前記受信手段の受信し
    た受信信号に含まれている干渉波を検出する干渉波検出
    手段と、前記干渉波検出手段が検出する干渉波を除去す
    る干渉波除去手段とを備えて成る請求項11〜16いず
    れかに記載のレーダ装置。
  18. 【請求項18】 前記距離算定手段の算出する前記物標
    までの距離に時間変化に基づいて当該物標との相対速度
    を求め、当該相対速度の異常を検出することによって前
    記受信手段の受信した受信信号に含まれている干渉波を
    検出する干渉波検出手段と、前記干渉波検出手段が検出
    する干渉波を除去する干渉波除去手段とを備えて成る請
    求項11〜16いずれかに記載のレーダ装置。
  19. 【請求項19】 前記送出手段、前記受信手段、前記サ
    ンプリング手段、前記積分手段、前記距離算定手段、前
    記干渉波検出手段及び前記干渉波除去手段を含む各手段
    の動作タイミングを定める基準クロック信号の周波数誤
    差が、少なくとも2×10 -7 以上であることを特徴とす
    る請求項17又は18に記載のレーダ装置。
  20. 【請求項20】 前記送出手段、前記受信手段、前記サ
    ンプリング手段、前記積分手段、前記距離算定手段、前
    記干渉波検出手段及び前記干渉波除去手段を含む各手段
    の動作タイミングを定める基準クロック信号の周波数誤
    差の周波数比が、少なくとも2×10 -7 以上異なること
    を特徴とする請求項17又は18に記載のレーダ装置。
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