JP2852796B2 - 光学活性1,2―ジフェニルシクロヘキサン―1,2―ジオール及びその製法 - Google Patents

光学活性1,2―ジフェニルシクロヘキサン―1,2―ジオール及びその製法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、各種有機合成中間体として有用で、特に不
斉識別能に優れた光学活性のホスト化合物、例えばクラ
ウンエーテル化合物の合成に有用である1,2−ジフェニ
ルシクロヘキサン−1,2−ジオール及びその製法に関す
るものである。
(従来の技術) 1,2−ジフェニルシクロヘキサン−1,2−ジオールには
トランス体とシス体とが存在する。さらに詳しくは1,2
−ジフェニルシクロヘキサン−1,2−ジオールには同一
分子内に2つの不斉炭素が存在し、すなわち、シス体は
Cs対称を有するアキラルなメソ体であり、トランス体は
C2対称を有するキラルなラセミ体である。このメソ体と
ラセミ体の作り分けは有機合成化学的に重要課題であ
り、通常は合成化学的手法による作り分けを行ってい
る。すなわち、示性式は同じであっても目的とする化合
物の立体構造により異なった合成ルートをとる事がしば
しばある。また、ラセミ体の一方の鏡像体のみを選択的
に合成するのは、さらに困難なテーマであり、有機合成
化学的にも極めて重要な課題である。
この1,2−ジフェニルシクロヘキサン−1,2−ジオール
の合成例は皆無ではないが、余り多くは知らていない。
シス体の単離はテトラヘドロン誌(Tetrahedron、1959,
,293)に、また、シス体とトランス体の作り分けはジ
ャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー誌(J.Or
g.Chem.,1961,26,2652−2656)に報告されている。
簡便な合成方法としては、例えば、ジャーナル・オブ
・ザ・ケミカル・ソサエティー・パーキン・トランス.I
誌(J.Chem.Soc.,Perkin Trans.I.1988,(7),1729−
34)やジャーナル・オブ・オーガノメタリック・ケミス
トリー誌(J.Organomet,Chem.,1983,250,227−236)
に、ヨウ化サマリウムを還元剤とする1,6−ジフェニル
−n−ヘキサン−1,6−ジオンのピナコール化反応によ
る合成例が報告されている。しかし、生成物はシス、ト
ランスの混合物となっており、その混合比の決定はなさ
れていない。また、ラセミ/メソ比を制御した合成の試
みとして、キラルな四級アンモニウム塩の存在下、電気
化学的な還元反応によりピナコール化する方法がジャー
ナル・オブ・ザ・ロイヤル・ネーデルランズ・ケミカル
・ソサエティー誌(Recueil,J.of the Royal Netherlan
ds Chem.Society,1979,98,532−6)に報告されている
が、詳細なラセミ/メソ比の決定は行われていない。
以上、従来の技術では1,2−ジフェニルシクロヘキサ
ン−1,2−ジオールの光学活性体の合成例は今日まで全
く報告されていない。
光学活性1,2−ジフェニルシクロヘキサン−1,2−ジオ
ールを得るのに、(±)−trans−1,2−ジフェニルシク
ロヘキサン−1,2−ジオールを例えば、入手が容易な1,6
−ジフェニルヘキサン−1,6−ジオンの還元的分子縮合
反応により合成し、これを適当な手段により光学分割す
る方法が考えられる。しかし、この分子内縮合反応のシ
ス、トランス立体選択性の制御が容易でない上に、また
更に光学分割しなければならないため、純粋な光学活性
体を得ることに成功しなかった。
そこで、光学活性2−ヒドロキシ−2−フェニルシク
ロヘキサノンを立体選択的にフェニル化する方法が考え
られ、そのために例えば、既知の有機合成法にて得られ
る(±)−2−ヒドロキシ−2−フェニルシクロヘキサ
ノンを、光学分割する方法が考えられる。しかし、分離
が容易になる様な最適なジアステレオマーに変換して分
割するのは必ずしも容易ではなく、適切な光学分割法を
見い出すことそのものが非常に困難な課題である。
(発明が解決しようとする課題) したがって本発明の目的は、各種有機合成中間体とし
て有用であり、特に不斉識別能に優れた光学活性なホス
ト化合物の合成に有用である新規な光学活性1,2−ジフ
ェニルシクロヘキサン−1,2−ジオールを提供すること
にある。さらに本発明目的はこのような光学活性1,2−
ジフェニルシクロヘキサン−1,2−ジオールを光学的に
純粋に製造する方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、光学活性1,2−ジフェニルシクロヘキ
サン−1,2−ジオールを光学的に純粋に合成する方法に
ついて鋭意検討を行ってきた結果、2−ヒドロキシ−2
−フェニルシクロヘキサノンをフェニル化するに当た
り、2−アシロキシ−1−フェニルシクロヘキサノール
の鏡像体区別加水分解反応により一旦光学活性な1−フ
ェニルシクロヘキサン−1,2−ジオールを得、これを酸
化して光学活性2−ヒドロキシ−2−フェニルシクロヘ
キサノンとすることにより1,2−ジフェニルシクロヘキ
サン−1,2−ジオールの光学活性体を製造できることを
見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、新規な光学活性1,2−ジフェニル
シクロヘキサン−1,2−ジオールおよび光学活性2−ヒ
ドロキシ−2−フェニルシクロヘキサノンをフェニル化
することを特徴とする光学活性1,2−ジフェニルシクロ
ヘキサン−1,2−ジオールの製法を提供するものであ
る。
以下に、本発明に於ける光学活性1,2−ジフェニルシ
クロヘキサン−1,2−ジオールの製造方法について詳し
く述べる。
本発明は、光学活性2−ヒドロキシ−2−フェニルシ
クロヘキサノンを立体選択的にフェニル化することによ
り実施される。有機合成化学的に既知の方法にて得られ
るシス又はトランス−1−フェニルシクロヘキサン−1,
2−ジオールをアシル化し、2−アシロキシ−1−フェ
ニルシクロヘキサノールとし、これを鏡像体区別加水分
解反応により光学活性1−フェニルシクロヘキサン−1,
2−ジオールに変換し、これを更に酸化して光学活性2
−ヒドロキシ−2−フェニルシクロヘキサノンとする。
まず、1,2−フェニルシクロヘキサン−1,2−ジオール
のアシル化反応は、例えば、ピリジン等の塩基性溶媒中
で塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化ベンゾイル又
は無水酢酸、無水プロピオン酸等をアシル化剤とする常
法にてアシル化反応することが出来る。本反応では、非
常に驚くべきことに2−位の水酸基のみが選択的にアシ
ル化され、すなわち、1−位の水酸基のみがアシル化さ
れた化合物、及び1−位及び2−位の両方の水酸基がア
シル化された様な生成物は全く副生せず、常法を逸脱し
た例えば50℃を越える様な高温にしない限りはほぼ100
%の選択率で2−アシロキシ−1−フェニルシクロヘキ
サノールを得ることが出来る。ジオールに対するアシル
化剤のモル比は、原料のジオールを残さないために等量
以上であることが望ましいが、本反応は極めて選択的に
起こるため、反応速度を上げる為に2倍以上の過剰のア
シル化剤を用いることも可能である。こうすることによ
り、2−位の水酸基のみをほぼ100%の選択率でアシロ
キシ基に変換し、しかも極めて高い化学収率で2−アシ
ロキシ−1−フェニルシクロヘキサノールを製造するこ
とが出来る。
次に、2−アシロキシ−1−フェニルシクロヘキサノ
ールを加水分解するために当り、鏡像体区別加水分解反
応させることにより、光学活性な1−フェニルシクロヘ
キサン−1,2−ジオールへと誘導する。この鏡像体区別
加水分解反応は、ラセミ体原料から鏡像体の一方のみを
選択的に加水分解反応させることにより、光学活性な未
反応の原料と、光学活性な加水分解生成物とに変換し、
各々を分離するものである。この反応は酵素を用いて行
うのが最も便利である。すなわち、酵素による加水分解
反応では本質的に、基質と酵素だけで補酵素を用いるこ
となく簡単に反応させることが出来、しかも、酵素が持
つ高い基質特異性を利用することができる。用い得る酵
素としては例えば、ブタ肝臓エステラーゼ(以後PLEと
記す)やブタ膵臓リパーゼ(PPL)、カンジダ シリン
ダラシア リパーゼ(CCL)等、一般に市販されている
酵素が例記される。この加水分解反応は、酵素反応に適
したpHを維持するため、緩衡溶液を加えた溶媒に基質と
酵素とを加え、最も好ましくは25℃〜35℃にて実施され
る。反応時間は、基質濃度や反応温度により異なるが、
一般には基質の約半分が反応消費された所で停止処理を
すると、高い光学収率でしかも最も高い化学収率で目的
物が得られる。
そして、この光学活性なジオールを酸化することによ
り、光学活性なケトンとする。酸化方法としては、温和
な条件下にて実施できる方法であれば特に限定されない
が、隣接するジオールの酸化反応であるため、少なくと
も加熱を要する酸化反応は好ましくない。
以上の他、光学活性2−ヒドロキシ−2−フェニルシ
クロヘキサノンの製造方法として、2−ヒドロキシ−2
−フェニルシクロヘキサノンのラセミ体をウマ肝臓アル
コール脱水素酵素(以後HLADHと記す)等の酵素によ
り、特定の立体配置を有するケトオールのみを選択適に
ジオールに還元し、未反応残部として光学活性な2−ヒ
ドロキシ−2−フェニルシクロヘキサノンを得ることが
できる。
本発明の特徴の1つは、2−ヒドロキシ−2−フェニ
ルシクロヘキサノンのフェニル化反応により光学活性な
1,2−ジフェニルシクロヘキサン−1,2−ジオールとする
際に、光学活性2−ヒドロキシ−2−フェニルシクロヘ
キサノンを巧妙に製造して原料に持ち込んできたことに
ある。本フェニル化反応は、フェニルリチウム等の試剤
を用いて実施することが出来、無水エーテル中でフェニ
ルリチウムを調製した後、光学活性2−ヒドロキシ−2
−フェニルシクロヘキサノンを添加し反応を行わせるこ
とにより実施出来る。この反応では、極めて好都合にも
シクロヘキサン環に付いたフェニル基の立体効果によ
り、トランス選択的にフェニル化が起きる。すなわち、
フェニル化反応の立体選択性が一つに規制されているた
め、光学活性な2−ヒドロキシ−2−フェニルシクロヘ
キサノンを原料とすることにより、極めて容易に光学活
性1,2−ジフェニルシクロヘキサン−1,2−ジオールを製
造することが出来る。反応方法の詳細は、実施例に更に
詳しく示す。
(発明の効果) 以上、本発明によれば、光学活性1,2−ジフェニルシ
クロヘキサン−1,2−ジオールが極めて容易に得られ
る。また、本化合物は光学活性体としてはそれ自身新規
化合物であり、これをキラル単位として有する光学活性
クラウンエーテルに誘導した新たな機能を有する鏡像体
区別液膜輸送への応用や、更にこれをキラル源とする各
種光学活性な化学品へと誘導することが出来る。
(実施例) 次に本発明を実施例6に基づきさらに詳細に説明す
る。
実施例((±)−(1R、2S)−2−アセトキシ−1
−フェニルシクロヘキサノール) 300ml容のナス型フラスコにトランス−1−フェニル
シクロヘキサン−1,2−ジオール6.56gと無水ピリジン40
mlを入れ撹拌溶解した。氷冷下撹拌しながら、無水酢酸
17.4gを滴下した後、室温で終夜撹拌を続けた。その
後、反応液を氷水に注ぎ入れ、氷冷下濃塩酸にて酸性に
した後、エーテルで抽出し、水、飽和重曹水、及び飽和
食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。こ
れを濃縮した後、残渣をシリカゲルのカラムクロマトグ
ラフィー(n−ヘキサン;エーテル=85:15〜8:2)にて
精製し、7.97g(定量的)の白色結晶として(±)−(1
R、2S)−2−アセトキシ−1−フェニルシクロヘ
キサノールを得た。
m.p.119〜120℃ IR(KBr、cm-1)3400、2950、2930、2860、1715、126
0、760、7001 HNMR(100MHz)δ1.40−1.90(m、6H、−CH2−)、1.
78(s、3H、Me)、1.86(s、1H、−OH)、1.90−2.60
(m、2H、−CH2−)、4.95(broad、1H)、7.15−7.55
(m、5H、−Ph) 元素分析(C14H18O3)計算値:C71 77 H7.74 実測値:C71.95 H7.70 実施例2((±)−(1R、2S)−2−アセトキシ−
1−フェニルシクロヘキサノール) トランス−1−フェニルシクロヘキサン−1,2−ジオ
ールに代えて、シス−フェニルシクロヘキサン−1,2−
ジオールを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行
い、(±)−(1R、2S)−2−アセトキシ−1−フ
ェニルシクロヘキサノールを85%の収率で得た。
実施例3(PLEによる(±)−(1R、2S)−2−ア
セトキシ−1−フェニルシクロヘキサノールの鏡像体区
別加水分解反応) 3のナス型フラスコにシス−1−フェニルシクロヘ
キサン−1,2−ジオールから得た(±)−(1R、2
S)−2−アセトキシ−1−フェニルシクロヘキサノ
ール3.4gと、95%エタノール210mlを入れ、溶解した
後、1/10MSφ rensenリン酸緩衝液(pH8.0)2.1を加
えた。1050μのPLEを加え30℃で撹拌した。ガスクロ
マトグラフィーで反応を追跡し、原料のモノアセテート
と還元生成物のジオールとの比がほぼ1:1となった酵素
投入後112時間のところで、ジクロロメタン400mlと食塩
を飽和量まで投入し、よく振り混ぜて反応を停止した。
有機層を分離後、水層からジクロロメタンで抽出し、有
機層を合わせて飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、濃縮した。モノアセテート及びジオールは
シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサ:
エーテル=85:15〜2:1)で分離精製し、(−)−(1S、
2S)−2−アセトキシ−1−フェニルシクロヘキサノー
ル1.67g(収率49%)及び(+)−(1R、2S)−1
−フェニルシクロヘキサン−1,2−ジオール1.37g(収率
49%)をそろぞれ白色結晶として得た。
上記方法にて得たジオールの▲[α]24 D▼は−17.3
(c0.330、ベンゼン)で89%eeであった。更に、n−ヘ
キサンから再結晶することにより、>98%eeの白色針状
結晶を得た。なお、光学純度ウォーターズ社製Opti−Pa
x XC(商品名、セルロース トリス(3,5−ジメチルフ
ェニルカーバメート)/シリカゲル)を装着した高速液
体クロマトグラフィー(n−ヘキサン−イソプロピルア
ルコール=97:3)により決定した。
(+)−(1R、2R)−1−フェニルシクロヘキサン−
1,2−ジオールの絶対配置は、ビー・マッチャら、J.Che
m.Soc,(C)、1971、3371に記載されているデータより
決定した。
▲[α]23 D▼(C.0.328、C6H6) m.p.121〜121.5℃ IR(KBr,cm-1)3575,3520,3380,2930,2880,2860,760,70
01 HNMR(100MHz)δ1.32(d,J=2Hz,1H2級−OH)、1.40
−2.00(m,7H,−CH2−),1.73(s,1H,3級,OH),2.38
(m,1H),3.72(broad,1H),7.15−7.60(m,5H,−Ph) 元素分析(C12H16O2)計算値:C74.97 H8.39 実測値:C74.88 H8.35 実施例4−((−)−(R)−2−ヒドロキシ−2−フ
ェニルシクロヘキサノンの製造) 300ml容の三ツ口フラスコに、窒素気流下N−クロロ
スクシンイミド2.69gと無水トルエン65mlを入れ撹拌し
た。0℃に冷却し、ジメチルスルフィド1.67gを加え、
ドライアイス−四塩化炭素で−25℃に冷却後、(+)−
(1R、2R)−1−フェニルシクロヘキサン−1,2−ジオ
ールの無水トルエン溶液(2.55g/170ml)を1時間で滴
下した。−25℃で3時間撹拌後、無水トリエチルアミン
の無水トルエン溶液(2.04g/4ml)を滴下した。冷浴を
はずし室温で1時間15分撹拌した。この溶液を1%塩酸
溶液(45ml)、飽和重曹水(35ml)飽和食塩水(30ml)
で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。残
渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(n−
ヘキサン:エーテル=92:8〜9:1)で精製し、717mg(収
率28%)の標記化合物の白色結晶を得た。
▲[α]25 D▼−185.9゜(C.1.812,CHCl3) IR(KBr,cm-1)3450,2940,2870,1710,760,700,1 HNMR(100MHz)δ1.60−2.15(m,5H)2.46(m,2H)2.9
7(m,1H)、3.40(broad,1H,−OH),7.30(m,5H,−Ph) 元素分析(C12H14O2)計算値:C75.76 H7.42 実測値:C75.55 H7.46 実施例5(HLADHによる、(±)−2−ヒドロキシ−2
−フェニルシクロヘキサノンの還元、(+)−(S)−
2−ヒドロキシ−2−フェニルシクロヘキサノンの製
造) 100ml容のナス型フラスコに(±)−2−ヒドロキシ
−2−フェニルシクロヘキサノン50mg、1/15MSφrensen
リン酸緩衡液(pH7)50ml、95%エタノール0.45mlを加
えてよく撹拌した後、HLAD200μ、β−NAD+100mgを加
えて、30℃で1週間反応させた。クロロホルム25ml及び
食塩1.1gを投入し、よく振り混ぜて反応を停止し有機層
を分離後、水層からクロロホルムで抽出後、有機層を合
わせて、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾
燥、その後、濃縮した。
薄層クロマトグラフィー(ベンゼン:エーテル=1:
2)により、トランス及びシスの1−フェニルシクロヘ
キサン−1,2−ジオールと2−ヒドロキシ−2−フェニ
ルシクロヘキサノンを各々分離回収した。
この段階での各回収物の比旋光度は以下の通りであ
る。
2−ヒドロキシ−2−フェニルシクロヘキサノン ▲[α]25 D▼+77.9゜(C、0.104、CHCl3)27%ee、
(S)トランス−1−フェニルシクロヘキサン−1,2−
ジオール ▲[α]24 D▼+45.8゜(C、0.522、C6H6)85%ee,1
R、2S)シス−1−フェニルシクロヘキサン−1,2−ジオ
ール ▲[α]23 D▼−15.9゜(C、0.328、C6H6)82%ee,(1
S、2S) 実施例6((−)−(1R、2R)−1,2−ジフェニルシク
ロヘキサン−1,2−ジオールの製造) 100ml容の三ツ口フラスコに、窒素気流下無水エーテ
ル10mlを入れ、撹拌しながら細かくきざんだリチウム46
0mgを加えた。さらに撹拌しながらブロモベンゼン5.1g
を約1時間で滴下した。40℃で1時間還流した後、室温
まで空冷し(−)−(R)−2−ヒドロキシ−2−フェ
ニルシクロヘキサノンの無水ベンゼン溶液(788mg/15m
l)を約1時間15分で滴下し、滴下終了後23時間撹拌還
流を行った。この後、反応混合物を氷浴で冷却し、冷や
した10%塩酸を15ml加えた後、冷浴をはずし室温で更に
20分間撹拌した。ベンゼン28ml、10%塩酸10mlを加え、
有機層を分離した後、水層からベンゼン抽出(40ml×2
回)した。有機層を合わせて、飽和重曹水(40ml)、飽
和食塩水(30ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾
燥した後、濃縮した。油状の褐色残渣をシリカゲルのカ
ラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:エーテル=9
5:5〜92:8)で精製し、更にn−ヘキサン−ベンゼン
(9:1)で再結晶し、標記化合物の白色薄片状結晶619mg
(収率56%)を得た。
((−)−(1R、2R)−1,2−ジフェニルシクロヘキサ
ン−1,2−ジオール)▲[α]24 D▼−83.2゜(C,0.394,
C6H6)m.p.133.0〜134.5℃ IR(KBr,cm-1)3560,3420,2960,2930,2890,750,7001 HNMR(100MHz)δ1.62−2.98(m、10H,−CH2−,OH),
6.90−7.23(m,10H,−Ph) 元素分析(C18H20O2)計算値:C80.56 H7.51 実測値:C80.63 H7.58 応用例((−)−(1R、2R)−1,2−ジフェニルシクロ
ヘキサン−1,2−ジオールをキラル単位として有する光
学活性クラウンエーテルへの応用) 無水テトラヒドロフラン中で、ペンタエチレングリコ
ールジトシラート(−)−(1R、2R)−1,2−ジフェニ
ルシクロヘキサン−1,2−ジオールより(−)−(1R、1
8R)−1,18−ジフェニル−2,5,8,11,14,17−ヘキサオキ
サビシクロ〔16.4.0〕ドコサンを常法により合成した。
ここでシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(n
−ヘキサン:エーテル=3:7)及び、薄層クロマトグラ
フィーにより精製し、融点95℃の光学活性な上記クラウ
ンエーテル化合物の白色結晶を得た。
▲[α]24 D▼−37.2゜(C,0.673,CHCl3) IR(KBr、cm-1)2950、2900、2860、1130、1100、760、
7001 HNMR(100MHz)δ1.35−2.48(m、8H、−CH2−)、3.
20−3.92(m、20H、−OCH2CH2O−)、7.10−8.05
(m、10H、−Ph) HRMS,m/z計算値(C28H38O6として) (M+)470,2688 実測値470,2668 この光学活性クラウンエーテルをホスト分子となる鏡
像体区別液膜輸送を実施した。クラムらが用いている二
重円筒式の実験装置を用いて、円筒管の外側の水槽に
は、0.2MのLiPF6−0.08N塩酸及びゲスト化合物として0.
04Mの(±)−1,2−ジフェニルエチルアミン塩酸塩を入
れ、0.05Mのホストを含むクロロホルム有機層を媒介し
て、01N塩酸水溶液を入れた円筒管内への鏡像体区別液
膜輸送を実施した。5時間撹拌後の輸送率は9.8%で光
学純度79%のS−体のゲスト化合物が得られた。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光学活性1,2−ジフェニルシクロヘキサン
    −1,2−ジオール。
  2. 【請求項2】光学活性2−ヒドロキシ−2−フェニルシ
    クロヘキサノンをフェニル化することを特徴とする光学
    活性1,2−ジフェニルシクロヘキサン−1,2−ジオールの
    製法。
  3. 【請求項3】光学活性2−ヒドロキシ−2−フェニルシ
    クロヘキサノンとして、シスもしくはトランスの1−フ
    ェニルシクロヘキサン−1,2−ジオールをアシル化して
    2−アシロキシ−1−フェニルシクロヘキサノールと
    し、これを鏡像体区別加水分解反応により光学活性1−
    フェニルシクロヘキサン−1,2−ジオールとし、これを
    更に酸化して得られる光学活性2−ヒドロキシ−2−フ
    ェニルシクロヘキサノンを用いる請求項(2)記載の方
    法。
  4. 【請求項4】請求項(2)の方法により得られた光学活
    性1,2−ジフェニルシクロヘキサン−1,2−ジオール。
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