JPH1057094A - ケテンアセタール型アシル化剤を用いるアルコール類の酵素的光学分割法 - Google Patents
ケテンアセタール型アシル化剤を用いるアルコール類の酵素的光学分割法Info
- Publication number
- JPH1057094A JPH1057094A JP15735497A JP15735497A JPH1057094A JP H1057094 A JPH1057094 A JP H1057094A JP 15735497 A JP15735497 A JP 15735497A JP 15735497 A JP15735497 A JP 15735497A JP H1057094 A JPH1057094 A JP H1057094A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- alcohol
- lipase
- ketene acetal
- substituent
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 ラセミ体またはメソ体のアルコール類を、リ
パーゼを触媒として特異的ケテンアセタール型アシル化
剤を使用し、アシル化することによる光学分割法の提
供。 【解決手段】 ラセミ体のアルコール類に、リパーゼを
触媒にして下記一般式(I)で示されるケテンアセター
ル化合物を反応させることを特徴とする、アルコール類
の光学分割法。 【化1】 (ただし式中、R1 は、置換基を有していてもよいアル
キル基、置換基を有していてもよいアリール基またはア
ラルキル基を表し;R2 は、水素原子、置換基を有して
いてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリ
ール基、アラルキル基または置換シリル基を表し;R3
は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有
していてもよいアリール基またはアラルキル基を表
す。)
パーゼを触媒として特異的ケテンアセタール型アシル化
剤を使用し、アシル化することによる光学分割法の提
供。 【解決手段】 ラセミ体のアルコール類に、リパーゼを
触媒にして下記一般式(I)で示されるケテンアセター
ル化合物を反応させることを特徴とする、アルコール類
の光学分割法。 【化1】 (ただし式中、R1 は、置換基を有していてもよいアル
キル基、置換基を有していてもよいアリール基またはア
ラルキル基を表し;R2 は、水素原子、置換基を有して
いてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリ
ール基、アラルキル基または置換シリル基を表し;R3
は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有
していてもよいアリール基またはアラルキル基を表
す。)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特異的ケテンアセ
タール化合物を用いて、ラセミ体またはメソ体のアルコ
ール類から、工業的生産に適応し得る簡便な操作で、高
収率にかつ高光学純度で生成物が得られる光学分割法に
関する。
タール化合物を用いて、ラセミ体またはメソ体のアルコ
ール類から、工業的生産に適応し得る簡便な操作で、高
収率にかつ高光学純度で生成物が得られる光学分割法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、酵素を用いてアルコールや酸を光
学分割する方法が盛んに検討されてきている。そのひと
つとして、例えばリパーゼを触媒とする、アルコール類
の位置選択的あるいは立体選択的なアシル化反応が、ラ
セミ体の光学分割や、メソ化合物から光学活性化合物へ
の変換反応など、アルコール類の光学分割に利用されて
きている。これらの反応は、酵素を触媒とする、アシル
化剤から基質アルコールへのアシル基転移反応である
が、一般的に酵素反応は可逆的であるため反応が遅く、
また、目的とする光学収率が低いのが通常であった。そ
こで、化学的および光学的に収率よく目的の反応を達成
するために、種々のアシル化剤が開発されてきており、
例えば、トリフルオロエチルエステル、クロロエチルエ
ステル、シアノメチルエステル、オキシムエステル、酸
無水物などの活性エステルをアシル化剤として利用する
方法、あるいはビニルエステル、イソプロペニルエステ
ルなどのエノールエステルをアシル化剤として利用する
方法などが提案されている。
学分割する方法が盛んに検討されてきている。そのひと
つとして、例えばリパーゼを触媒とする、アルコール類
の位置選択的あるいは立体選択的なアシル化反応が、ラ
セミ体の光学分割や、メソ化合物から光学活性化合物へ
の変換反応など、アルコール類の光学分割に利用されて
きている。これらの反応は、酵素を触媒とする、アシル
化剤から基質アルコールへのアシル基転移反応である
が、一般的に酵素反応は可逆的であるため反応が遅く、
また、目的とする光学収率が低いのが通常であった。そ
こで、化学的および光学的に収率よく目的の反応を達成
するために、種々のアシル化剤が開発されてきており、
例えば、トリフルオロエチルエステル、クロロエチルエ
ステル、シアノメチルエステル、オキシムエステル、酸
無水物などの活性エステルをアシル化剤として利用する
方法、あるいはビニルエステル、イソプロペニルエステ
ルなどのエノールエステルをアシル化剤として利用する
方法などが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のアシル化剤を利用してアルコール類の光学分割を行う
場合には、反応活性、大量合成への応用、副生成物の分
離、人体への毒性、触媒毒などの点で種々の問題があっ
た。例えば上記のアシル化剤の中でも、ビニルエステル
やイソプロペニルエステルなどのエノールエステルは、
反応活性が改良されたものとして広く利用されてはいる
ものの、ビニルエステルの場合には、副生成物がアルデ
ヒドであるため、これが触媒として使用しているリパー
ゼを失活させ、結果的にリパーゼの使用量を増加させな
ければならなかったり、リパーゼを回収して再利用する
ことができないといった問題点がある。またイソプロペ
ニルエステルにあっては、リパーゼとの相性が悪いた
め、反応に時間がかかるという問題点もある。したがっ
て、酵素を用いた光学分割の反応の有用性に鑑みた場合
には、これまでに提案されているアシル化剤より更に優
れたアシル化剤を用いた、光学分割法の開発が強く要望
されているのが現状である。
のアシル化剤を利用してアルコール類の光学分割を行う
場合には、反応活性、大量合成への応用、副生成物の分
離、人体への毒性、触媒毒などの点で種々の問題があっ
た。例えば上記のアシル化剤の中でも、ビニルエステル
やイソプロペニルエステルなどのエノールエステルは、
反応活性が改良されたものとして広く利用されてはいる
ものの、ビニルエステルの場合には、副生成物がアルデ
ヒドであるため、これが触媒として使用しているリパー
ゼを失活させ、結果的にリパーゼの使用量を増加させな
ければならなかったり、リパーゼを回収して再利用する
ことができないといった問題点がある。またイソプロペ
ニルエステルにあっては、リパーゼとの相性が悪いた
め、反応に時間がかかるという問題点もある。したがっ
て、酵素を用いた光学分割の反応の有用性に鑑みた場合
には、これまでに提案されているアシル化剤より更に優
れたアシル化剤を用いた、光学分割法の開発が強く要望
されているのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この問題
を解決するべく鋭意検討を加えた結果、今回提供する特
定のケテンアセタール化合物が、優れたアシル化剤とな
り、リパーゼを触媒とするアルコール類の光学分割に極
めて有効なものであり、汎用性が高い酵素的光学分割法
となり得ることを新規に見出したのである。
を解決するべく鋭意検討を加えた結果、今回提供する特
定のケテンアセタール化合物が、優れたアシル化剤とな
り、リパーゼを触媒とするアルコール類の光学分割に極
めて有効なものであり、汎用性が高い酵素的光学分割法
となり得ることを新規に見出したのである。
【0005】すなわち本発明は、その一態様として、下
記一般式(I)で示されるケテンアセタール化合物を用
い、リパーゼを触媒とする、ラセミ体のアルコール類の
光学分割法を提供する。
記一般式(I)で示されるケテンアセタール化合物を用
い、リパーゼを触媒とする、ラセミ体のアルコール類の
光学分割法を提供する。
【0006】
【化3】
【0007】(ただし式中、R1 は、置換基を有してい
てもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリー
ル基またはアラルキル基を表し;R2 は、水素原子、置
換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有してい
てもよいアリール基、アラルキル基または置換シリル基
を表し;R3 は、置換基を有していてもよいアルキル
基、置換基を有していてもよいアリール基またはアラル
キル基を表す。)
てもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリー
ル基またはアラルキル基を表し;R2 は、水素原子、置
換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有してい
てもよいアリール基、アラルキル基または置換シリル基
を表し;R3 は、置換基を有していてもよいアルキル
基、置換基を有していてもよいアリール基またはアラル
キル基を表す。)
【0008】更に本発明は、別の態様として、プロキラ
ルジオール類やメソ体のアルコール類、すなわち対称型
ジオール化合物に、リパーゼを触媒にして上記一般式
(I)で示されるケテンアセタール化合物を反応させる
ことを特徴とする、高純度光学活性モノアルコールの製
造法をも提供する。
ルジオール類やメソ体のアルコール類、すなわち対称型
ジオール化合物に、リパーゼを触媒にして上記一般式
(I)で示されるケテンアセタール化合物を反応させる
ことを特徴とする、高純度光学活性モノアルコールの製
造法をも提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明においてアルコール類の光
学分割のために使用する、アシル化剤である上記一般式
(I)で表されるケテンアセタール化合物のいくつかは
公知のものであり、本発明者らによってその改良合成法
が新規に見出されており、その点に関してはすでに特許
出願を完了している(特開平6−135891)。今回
これら化合物を含め、上記一般式(I)で示される特異
的ケテンアセタール化合物が、良好なアシル化剤として
ラセミ体のアルコール類の光学分割に応用できること、
あるいは対称型ジオール化合物から光学活性化合物への
変換反応が良好になし得ること、かつその場合の反応選
択性が極めて良好である点を新規に見出したのである。
特に、本発明においてアシル化剤として使用する式
(I)のケテンアセタール化合物は、従来のアシル化剤
として使用されているビニルエステル型化合物のカルボ
ニルオキシ基が結合したビニル炭素原子に、新規にR1
O−基として後記する各種アルコキシ基、アリールオキ
シ基、アラルキルオキシ基等の置換基を導入し点に特徴
があり、これらの置換基の付与によって、アシル化の反
応系に酵素毒となる副生成物の出現を皆無にし、極めて
高収率および高光学純度で目的物を得ることができると
共に、工業的生産を容易にし、かつ効果的にスケールア
ップできる方法が提供されるのである。すなわち、本発
明の式(I)のアシル化剤とアルコール類とのアシル化
反応の結果生成する副生成物は、低沸点のエステル類で
あるため、触媒として用いるリパーゼを不活性化するよ
うな障害はなく、粗製酵素を用いることも可能であり、
また反応系から副生成物を除去することも容易なもので
ある。したがって、本発明方法は、反応操作が簡単であ
り、かつ反応速度も速く、そのうえ光学収率が優れる等
の利点を有し、特にアシル化反応の結果生成する副生成
物が酵素活性を損ねることなく、さらに反応後の処理が
容易である点は、従来の光学分割法を飛躍的に進歩させ
た点で極めて特異的なものであるといえる。
学分割のために使用する、アシル化剤である上記一般式
(I)で表されるケテンアセタール化合物のいくつかは
公知のものであり、本発明者らによってその改良合成法
が新規に見出されており、その点に関してはすでに特許
出願を完了している(特開平6−135891)。今回
これら化合物を含め、上記一般式(I)で示される特異
的ケテンアセタール化合物が、良好なアシル化剤として
ラセミ体のアルコール類の光学分割に応用できること、
あるいは対称型ジオール化合物から光学活性化合物への
変換反応が良好になし得ること、かつその場合の反応選
択性が極めて良好である点を新規に見出したのである。
特に、本発明においてアシル化剤として使用する式
(I)のケテンアセタール化合物は、従来のアシル化剤
として使用されているビニルエステル型化合物のカルボ
ニルオキシ基が結合したビニル炭素原子に、新規にR1
O−基として後記する各種アルコキシ基、アリールオキ
シ基、アラルキルオキシ基等の置換基を導入し点に特徴
があり、これらの置換基の付与によって、アシル化の反
応系に酵素毒となる副生成物の出現を皆無にし、極めて
高収率および高光学純度で目的物を得ることができると
共に、工業的生産を容易にし、かつ効果的にスケールア
ップできる方法が提供されるのである。すなわち、本発
明の式(I)のアシル化剤とアルコール類とのアシル化
反応の結果生成する副生成物は、低沸点のエステル類で
あるため、触媒として用いるリパーゼを不活性化するよ
うな障害はなく、粗製酵素を用いることも可能であり、
また反応系から副生成物を除去することも容易なもので
ある。したがって、本発明方法は、反応操作が簡単であ
り、かつ反応速度も速く、そのうえ光学収率が優れる等
の利点を有し、特にアシル化反応の結果生成する副生成
物が酵素活性を損ねることなく、さらに反応後の処理が
容易である点は、従来の光学分割法を飛躍的に進歩させ
た点で極めて特異的なものであるといえる。
【0010】しかして、本発明でアシル化剤として使用
する上記式(I)で示されるケテンアセタール化合物の
各置換基に関しては、以下のとおりである。すなわち、
R1 の定義としての置換基のうち、「置換基を有してい
てもよいアルキル基」とは、例えば、ハロゲン原子、ア
ルコキシ基等の置換基を有していてもよい、炭素数1〜
6程度の直鎖状、分枝状または環状のアルキル基をい
い、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ
プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、
tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−
ヘキシル、イソヘキシル等の未置換のアルキル基;シク
ロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状
アルキル基等、ならびにこれらのアルキル基にハロゲン
原子、アルコキシ基等が置換されているアルキル基が挙
げられる。ここで「アルコキシ基」とは、上記の未置換
アルキル置換オキシ基をいい、例えば、メトキシ、エト
キシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキ
シ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブト
キシ等のアルコキシ基である。また、「ハロゲン原子」
とは、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等のハロゲン原子を
いう。
する上記式(I)で示されるケテンアセタール化合物の
各置換基に関しては、以下のとおりである。すなわち、
R1 の定義としての置換基のうち、「置換基を有してい
てもよいアルキル基」とは、例えば、ハロゲン原子、ア
ルコキシ基等の置換基を有していてもよい、炭素数1〜
6程度の直鎖状、分枝状または環状のアルキル基をい
い、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ
プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、
tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−
ヘキシル、イソヘキシル等の未置換のアルキル基;シク
ロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状
アルキル基等、ならびにこれらのアルキル基にハロゲン
原子、アルコキシ基等が置換されているアルキル基が挙
げられる。ここで「アルコキシ基」とは、上記の未置換
アルキル置換オキシ基をいい、例えば、メトキシ、エト
キシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキ
シ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブト
キシ等のアルコキシ基である。また、「ハロゲン原子」
とは、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等のハロゲン原子を
いう。
【0011】また、「置換基を有していてもよいアリー
ル基」とは、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置
換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、ニトロ
基、ジアルキルアミノ基等の置換基で置換されていても
よいアリール基をいい、具体的にはフェニル、ナフチル
等の未置換アリール基;o−メトキシフェニル、m−メ
トキシフェニル、p−メトキシフェニル、o−クロロフ
ェニル、m−クロロフェニル、p−クロロフェニル、o
−メチルフェニル、m−メチルフェニル、p−メチルフ
ェニル、o−ニトロフェニル、m−ニトロフェニル、p
−ニトロフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,4
−ジメトキシフェニル、o−ジメチルアミノフェニル、
m−ジメチルアミノフェニル、p−ジメチルアミノフェ
ニル等の置換アリール基等が挙げられる。
ル基」とは、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置
換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、ニトロ
基、ジアルキルアミノ基等の置換基で置換されていても
よいアリール基をいい、具体的にはフェニル、ナフチル
等の未置換アリール基;o−メトキシフェニル、m−メ
トキシフェニル、p−メトキシフェニル、o−クロロフ
ェニル、m−クロロフェニル、p−クロロフェニル、o
−メチルフェニル、m−メチルフェニル、p−メチルフ
ェニル、o−ニトロフェニル、m−ニトロフェニル、p
−ニトロフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,4
−ジメトキシフェニル、o−ジメチルアミノフェニル、
m−ジメチルアミノフェニル、p−ジメチルアミノフェ
ニル等の置換アリール基等が挙げられる。
【0012】さらに、「アラルキル基」とは、アルキル
基およびアリール基がそれぞれ上記の意味を有するアリ
ール基置換アルキル基を意味し、例えば、ベンジル、ジ
フェニルメチル、トリチル、フェネチル、α−メチルベ
ンジル、フェニルプロピル、1−ナフチルメチル、2−
ナフチルメチル等の未置換アラルキル基;p−メトキシ
ベンジル、o−ニロトベンジル、p−トリルメチル、o
−トリルメチル、o−メトキシベンジル等の置換アラル
キル基が挙げられる。
基およびアリール基がそれぞれ上記の意味を有するアリ
ール基置換アルキル基を意味し、例えば、ベンジル、ジ
フェニルメチル、トリチル、フェネチル、α−メチルベ
ンジル、フェニルプロピル、1−ナフチルメチル、2−
ナフチルメチル等の未置換アラルキル基;p−メトキシ
ベンジル、o−ニロトベンジル、p−トリルメチル、o
−トリルメチル、o−メトキシベンジル等の置換アラル
キル基が挙げられる。
【0013】またR2 の定義としての置換基のうち、
「置換基を有していてもよいアルキル基」、「置換基を
有していてもよいアリール基」および「アラルキル基」
は、上記R1 の置換基の定義と同一であり、「置換シリ
ル基」とは、アルキル基、アリール基またはアルコキシ
基によって置換されたシリル基を意味し、例えば、トリ
メチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリ
フェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリエチル
シリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル基等
が挙げられる。
「置換基を有していてもよいアルキル基」、「置換基を
有していてもよいアリール基」および「アラルキル基」
は、上記R1 の置換基の定義と同一であり、「置換シリ
ル基」とは、アルキル基、アリール基またはアルコキシ
基によって置換されたシリル基を意味し、例えば、トリ
メチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリ
フェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリエチル
シリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル基等
が挙げられる。
【0014】R3 の定義としての置換基のうち、「置換
基を有していてもよいアルキル基」とは、例えば、ハロ
ゲン原子、アルコキシ基等の置換基を有していてもよ
い、炭素数1〜20程度の直鎖状、分枝状または環状の
アルキル基をいい、当該アルキル基には、不飽和結合を
有するもの、例えばアルケニル基やアルキニル基等を含
む。具体的には、上記R1 のアルキル基の例示に加え、
n−ヘプチル、イソヘプチル、オクチル、n−オクチ
ル、イソオクチル、ノニル、ドデシル、ペンタデシル、
イコシル等のアルキル基、ビニル、アリル、イソプロペ
ニル、オレオイル等のアルケニル基、エチニル、2−プ
ロピニル、5−ヘキシニル等のアルキニル基を包含し、
ならびにこれらの置換基にハロゲン原子、アルコキシ基
等が置換されているアルキル基が挙げられる。更に、R
3 の定義としての「置換基を有していてもよいアリール
基」ならびに「アラルキル基」とは、上記した置換基の
定義と同一の意味を有する。
基を有していてもよいアルキル基」とは、例えば、ハロ
ゲン原子、アルコキシ基等の置換基を有していてもよ
い、炭素数1〜20程度の直鎖状、分枝状または環状の
アルキル基をいい、当該アルキル基には、不飽和結合を
有するもの、例えばアルケニル基やアルキニル基等を含
む。具体的には、上記R1 のアルキル基の例示に加え、
n−ヘプチル、イソヘプチル、オクチル、n−オクチ
ル、イソオクチル、ノニル、ドデシル、ペンタデシル、
イコシル等のアルキル基、ビニル、アリル、イソプロペ
ニル、オレオイル等のアルケニル基、エチニル、2−プ
ロピニル、5−ヘキシニル等のアルキニル基を包含し、
ならびにこれらの置換基にハロゲン原子、アルコキシ基
等が置換されているアルキル基が挙げられる。更に、R
3 の定義としての「置換基を有していてもよいアリール
基」ならびに「アラルキル基」とは、上記した置換基の
定義と同一の意味を有する。
【0015】しかして、本発明でアルコール類の光学分
割に使用する、アシル化剤としての上記式(I)で示さ
れるケテンアセタール化合物について、上記の各定義に
基づく具体的化合物としては、例えば以下の化合物を挙
げることができる。酢酸1−エトキシビニル;安息香酸
1−エトキシビニル;ピバリン酸1−エトキシビニル;
コハク酸ベンジル・1−エトキシビニル;コハク酸2−
トリメチルシリルエチル・1−エトキシビニル;コハク
酸メチル・1−エトキシビニル;ピメリン酸ベンジル・
1−エトキシビニル;ピメリン酸2−トリメチルシリル
エチル・1−エトキシビニル;ピメリン酸メチル・1−
エトキシビニル;酢酸1−メトキシビニル;安息香酸1
−メトキシビニル;ピバリン酸1−メトキシビニル;コ
ハク酸ベンジル・1−メトキシビニル;コハク酸2−ト
リメチルシリルエチル・1−メトキシビニル;コハク酸
メチル・1−メトキシビニル;ピメリン酸ベンジル・1
−メトキシビニル;ピメリン酸2−トリメチルシリルエ
チル・1−メトキシビニル;ピメリン酸メチル・1−メ
トキシビニル;酢酸1−フェノキシビニル;安息香酸1
−フェノキシビニル;ピバリン酸1−フェノキシビニ
ル;コハク酸ベンジル・1−フェノキシビニル;コハク
酸2−トリメチルシリルエチル・1−フェノキシビニ
ル;コハク酸メチル・1−フェノキシビニル;ピメリン
酸ベンジル・1−フェノキシビニル;ピメリン酸2−ト
リメチルシリルエチル・1−フェノキシビニル;ピメリ
ン酸メチル・1−フェノキシビニル等々である。
割に使用する、アシル化剤としての上記式(I)で示さ
れるケテンアセタール化合物について、上記の各定義に
基づく具体的化合物としては、例えば以下の化合物を挙
げることができる。酢酸1−エトキシビニル;安息香酸
1−エトキシビニル;ピバリン酸1−エトキシビニル;
コハク酸ベンジル・1−エトキシビニル;コハク酸2−
トリメチルシリルエチル・1−エトキシビニル;コハク
酸メチル・1−エトキシビニル;ピメリン酸ベンジル・
1−エトキシビニル;ピメリン酸2−トリメチルシリル
エチル・1−エトキシビニル;ピメリン酸メチル・1−
エトキシビニル;酢酸1−メトキシビニル;安息香酸1
−メトキシビニル;ピバリン酸1−メトキシビニル;コ
ハク酸ベンジル・1−メトキシビニル;コハク酸2−ト
リメチルシリルエチル・1−メトキシビニル;コハク酸
メチル・1−メトキシビニル;ピメリン酸ベンジル・1
−メトキシビニル;ピメリン酸2−トリメチルシリルエ
チル・1−メトキシビニル;ピメリン酸メチル・1−メ
トキシビニル;酢酸1−フェノキシビニル;安息香酸1
−フェノキシビニル;ピバリン酸1−フェノキシビニ
ル;コハク酸ベンジル・1−フェノキシビニル;コハク
酸2−トリメチルシリルエチル・1−フェノキシビニ
ル;コハク酸メチル・1−フェノキシビニル;ピメリン
酸ベンジル・1−フェノキシビニル;ピメリン酸2−ト
リメチルシリルエチル・1−フェノキシビニル;ピメリ
ン酸メチル・1−フェノキシビニル等々である。
【0016】なお、上に列記した式(I)で示されるケ
テンアセタール化合物のうち、そのいくつかについては
すでに公知のものである。これら公知の化合物を含め、
本発明で使用する他のケテンアセタール化合物は、例え
ば従来の水銀触媒を用いて合成する方法(J.Am.C
hem.Soc.,第82巻、661頁[1960
年])に準じて合成されるほか、本発明者らが提案して
いる改良方法[特開平6−135891]により、例え
ばトルエン、テトラヒドロフラン等の不活性溶媒中、ル
テニウム触媒の存在下にアルコキシアセチレン化合物に
カルボン酸を付加させる方法を適宜応用することによ
り、容易にかつ高収率で目的とするケテンアセタール化
合物を得ることができる。なお、得られた式(I)の化
合物は、室温もしくは冷蔵庫内で長期保存が可能な安定
な化合物であった。
テンアセタール化合物のうち、そのいくつかについては
すでに公知のものである。これら公知の化合物を含め、
本発明で使用する他のケテンアセタール化合物は、例え
ば従来の水銀触媒を用いて合成する方法(J.Am.C
hem.Soc.,第82巻、661頁[1960
年])に準じて合成されるほか、本発明者らが提案して
いる改良方法[特開平6−135891]により、例え
ばトルエン、テトラヒドロフラン等の不活性溶媒中、ル
テニウム触媒の存在下にアルコキシアセチレン化合物に
カルボン酸を付加させる方法を適宜応用することによ
り、容易にかつ高収率で目的とするケテンアセタール化
合物を得ることができる。なお、得られた式(I)の化
合物は、室温もしくは冷蔵庫内で長期保存が可能な安定
な化合物であった。
【0017】本発明が提供する式(I)のケテンアセタ
ール化合物をアシル化剤として使用するラセミ体のアル
コール類の光学分割法は、具体的には以下のようにして
行われる。すなわち、光学分割をすべきラセミ体のアル
コール類と、式(I)で示されるケテンアセタール化合
物とを、触媒としてリパーゼを存在させ、適当な溶媒中
で反応させることにより、アルコール類の一方の光学活
性体のみがアシル化されると共に、他方の光学活性体の
アルコールは、アシル化されることなく未反応物として
反応系に残り、両者は容易に分離され得る。したがっ
て、アシル化された一方の光学活性アルコールは、その
アシル基を例えば塩基による加水分解等で除去すること
により、光学活性のアルコールとして単離され、目的と
する光学分割が完了するのである。この場合、反応に使
用する溶媒としては、反応に不活性な溶媒、例えばアル
コール系溶媒以外の溶媒であればどのようなものでもよ
い。そのような溶媒としては、具体的にはジエチルエー
テル、ジイソプロピルエーテル、n−ブチルメチルエー
テル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘプタン、ヘ
キサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素
系溶媒;クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、
ジクロロエタン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化
水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、
シメン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼン等の芳香
族炭化水素系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチ
ルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の溶媒が挙げ
られる。
ール化合物をアシル化剤として使用するラセミ体のアル
コール類の光学分割法は、具体的には以下のようにして
行われる。すなわち、光学分割をすべきラセミ体のアル
コール類と、式(I)で示されるケテンアセタール化合
物とを、触媒としてリパーゼを存在させ、適当な溶媒中
で反応させることにより、アルコール類の一方の光学活
性体のみがアシル化されると共に、他方の光学活性体の
アルコールは、アシル化されることなく未反応物として
反応系に残り、両者は容易に分離され得る。したがっ
て、アシル化された一方の光学活性アルコールは、その
アシル基を例えば塩基による加水分解等で除去すること
により、光学活性のアルコールとして単離され、目的と
する光学分割が完了するのである。この場合、反応に使
用する溶媒としては、反応に不活性な溶媒、例えばアル
コール系溶媒以外の溶媒であればどのようなものでもよ
い。そのような溶媒としては、具体的にはジエチルエー
テル、ジイソプロピルエーテル、n−ブチルメチルエー
テル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘプタン、ヘ
キサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素
系溶媒;クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、
ジクロロエタン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化
水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、
シメン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼン等の芳香
族炭化水素系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;ア
セトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチ
ルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の溶媒が挙げ
られる。
【0018】本発明の光学分割において、反応系内に触
媒として存在させるリパーゼとしては、入手可能な市販
のリパーゼの全てが使用可能であり、そのようなリパー
ゼとしては、例えば、Pseudomonas cepacia 由来のリパ
ーゼ(PCL)、Pseudomonas fluorescence由来のリパ
ーゼ(AK)、Pseudomonas aeruginosa由来のリパーゼ
(LPL−A)、Candida antarctia 由来のリパーゼ
(CAL)、Rizomucormiehei由来のリパーゼ(RM
L)、Candida rugosa由来のリパーゼ(CRL)、豚膵
臓(Porcine pancreas)由来のリパーゼ(PPL)、豚
膵臓由来のエステラーゼ(PLE)等が挙げられる。な
おこれらのリパーゼは、必ずしも精製品としてのリパー
ゼである必要はなく、粗製品であっても本発明方法に使
用し得ることはいうまでもない。これらのリパーゼの触
媒としての使用量は、使用するリパーゼの種類、反応さ
せるアルコール類や、ケテンアセタール化合物(I)の
種類等により変動するため特に限定されないが、目的の
反応を終了させるのに必要な量を適宜選択すればよい。
媒として存在させるリパーゼとしては、入手可能な市販
のリパーゼの全てが使用可能であり、そのようなリパー
ゼとしては、例えば、Pseudomonas cepacia 由来のリパ
ーゼ(PCL)、Pseudomonas fluorescence由来のリパ
ーゼ(AK)、Pseudomonas aeruginosa由来のリパーゼ
(LPL−A)、Candida antarctia 由来のリパーゼ
(CAL)、Rizomucormiehei由来のリパーゼ(RM
L)、Candida rugosa由来のリパーゼ(CRL)、豚膵
臓(Porcine pancreas)由来のリパーゼ(PPL)、豚
膵臓由来のエステラーゼ(PLE)等が挙げられる。な
おこれらのリパーゼは、必ずしも精製品としてのリパー
ゼである必要はなく、粗製品であっても本発明方法に使
用し得ることはいうまでもない。これらのリパーゼの触
媒としての使用量は、使用するリパーゼの種類、反応さ
せるアルコール類や、ケテンアセタール化合物(I)の
種類等により変動するため特に限定されないが、目的の
反応を終了させるのに必要な量を適宜選択すればよい。
【0019】本発明において、光学分割をすべきアルコ
ール類と、アシル化剤としてのケテンアセタール化合物
(I)の反応比率は、通常ラセミ体のアルコール類1当
量に対してアシル化剤を0.5当量以上用いるのがよい
が、アシル化剤をあまり多く使用しても反応に関与する
ものではなく無駄となる。したがって、好ましくは通常
0.5〜3当量まで、より好ましくは0.5〜0.7当
量程度である。また、プロキラルなジオール類やメソ体
のジオール類に対しては、上記記載の使用量の各2倍量
である。反応温度は特に限定されるものではなく、触媒
としてのリパーゼが失活しない温度であればよく、好ま
しくは0℃〜60℃程度、より好ましくは20〜30℃
程度である。また、反応時間も一概に限定されず、使用
するアシル化剤としてのケテンアセタール化合物ならび
にアルコール類によって異なるが、通常は、数時間から
数日間の反応で十分である。かくして、アシル化反応が
終了した後の処理としては、自体公知の方法が適用さ
れ、例えば反応液を濾過して酵素を除去した後、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー等の分離手段によって、
アシル化された成績体と未反応のアルコールとを分離す
る。分離された化合物のうち、上記した如くアシル化さ
れた成績体は、アルコール類の一方の光学活性体であ
り、未反応物のアルコール類は他方の光学活性体である
ことより、アシル化された成績体は、例えば炭酸カリウ
ム、炭酸ナトリウム等の塩基による加水分解等によりア
シル基を除去することにより、光学活性のアルコールと
して単離され、高収率かつ高純度で光学分割が完了す
る。
ール類と、アシル化剤としてのケテンアセタール化合物
(I)の反応比率は、通常ラセミ体のアルコール類1当
量に対してアシル化剤を0.5当量以上用いるのがよい
が、アシル化剤をあまり多く使用しても反応に関与する
ものではなく無駄となる。したがって、好ましくは通常
0.5〜3当量まで、より好ましくは0.5〜0.7当
量程度である。また、プロキラルなジオール類やメソ体
のジオール類に対しては、上記記載の使用量の各2倍量
である。反応温度は特に限定されるものではなく、触媒
としてのリパーゼが失活しない温度であればよく、好ま
しくは0℃〜60℃程度、より好ましくは20〜30℃
程度である。また、反応時間も一概に限定されず、使用
するアシル化剤としてのケテンアセタール化合物ならび
にアルコール類によって異なるが、通常は、数時間から
数日間の反応で十分である。かくして、アシル化反応が
終了した後の処理としては、自体公知の方法が適用さ
れ、例えば反応液を濾過して酵素を除去した後、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー等の分離手段によって、
アシル化された成績体と未反応のアルコールとを分離す
る。分離された化合物のうち、上記した如くアシル化さ
れた成績体は、アルコール類の一方の光学活性体であ
り、未反応物のアルコール類は他方の光学活性体である
ことより、アシル化された成績体は、例えば炭酸カリウ
ム、炭酸ナトリウム等の塩基による加水分解等によりア
シル基を除去することにより、光学活性のアルコールと
して単離され、高収率かつ高純度で光学分割が完了す
る。
【0020】本発明において光学分割されるアルコール
類は、酵素としてのリパーゼの基質となり得るものであ
って、分子内に不斉炭素を有するアルコール類であれば
特に限定されず、本発明の光学分割法によって光学分割
される。そのようなアルコール類としては、各種第1級
アルコール、第2級アルコールならびに第3級アルコー
ルが挙げられるが、なかでも第1級アルコールおよび第
2級アルコールが好ましい。なかでもより具体的なアル
コール類としては、例えば以下の化合物等を例示するこ
とができる。
類は、酵素としてのリパーゼの基質となり得るものであ
って、分子内に不斉炭素を有するアルコール類であれば
特に限定されず、本発明の光学分割法によって光学分割
される。そのようなアルコール類としては、各種第1級
アルコール、第2級アルコールならびに第3級アルコー
ルが挙げられるが、なかでも第1級アルコールおよび第
2級アルコールが好ましい。なかでもより具体的なアル
コール類としては、例えば以下の化合物等を例示するこ
とができる。
【0021】(R,S)−1−(置換または未置換フェ
ニル)エタノール、(R,S)−1−(置換または未置
換フェニル)プロパノール、(R,S)−1−(置換ま
たは未置換フェニル)−2−クロロエタノール、(R,
S)−1−(置換または未置換ベンジル)エタノール、
(R,S)−3−クロロ−1−p−トルエンスルホニル
オキシ−2−プロパノール、(R,S)−マンデロニト
リル等の芳香族を含んだアルコール;2−ヘプタノー
ル、2−オクタノール、2−ノナノール、2−デカノー
ル、スルカトール等の脂肪族アルコール;2−アルキル
置換シクロヘキサノール、2−(置換または未置換フェ
ニル)シクロヘキサノール、2−アルキル置換シクロペ
ンタノール、2−(置換または未置換フェニル)シクロ
ペンタノール、シクロブタノール、1−インダノール等
の環状アルコールなどの分子内の不斉炭素を有するアル
コール類を挙げることができる。なお、本発明はこれら
例示した化合物の光学分割に限定されないことはいうま
でもない。
ニル)エタノール、(R,S)−1−(置換または未置
換フェニル)プロパノール、(R,S)−1−(置換ま
たは未置換フェニル)−2−クロロエタノール、(R,
S)−1−(置換または未置換ベンジル)エタノール、
(R,S)−3−クロロ−1−p−トルエンスルホニル
オキシ−2−プロパノール、(R,S)−マンデロニト
リル等の芳香族を含んだアルコール;2−ヘプタノー
ル、2−オクタノール、2−ノナノール、2−デカノー
ル、スルカトール等の脂肪族アルコール;2−アルキル
置換シクロヘキサノール、2−(置換または未置換フェ
ニル)シクロヘキサノール、2−アルキル置換シクロペ
ンタノール、2−(置換または未置換フェニル)シクロ
ペンタノール、シクロブタノール、1−インダノール等
の環状アルコールなどの分子内の不斉炭素を有するアル
コール類を挙げることができる。なお、本発明はこれら
例示した化合物の光学分割に限定されないことはいうま
でもない。
【0022】更に本発明においては、ラセミ体のアルコ
ール類のみならず、プロキラルなジオール類やメソ体の
ジオール類などの対称性のジオール化合物についても、
前記した同様の反応条件下において、本発明の式(I)
で示されるケテンアセタール化合物を使用し、リパーゼ
を触媒として、アシル基が導入された光学活性のモノア
ルコールを得ることができる。例えば、次式:
ール類のみならず、プロキラルなジオール類やメソ体の
ジオール類などの対称性のジオール化合物についても、
前記した同様の反応条件下において、本発明の式(I)
で示されるケテンアセタール化合物を使用し、リパーゼ
を触媒として、アシル基が導入された光学活性のモノア
ルコールを得ることができる。例えば、次式:
【0023】
【化4】
【0024】(ただし式中、R4 およびR5 はお互いに
異なって、置換基を有していてもよいアルキル基、置換
基を有していてもよいアリール基またはアラルキル基、
置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を
有していてもよいアリールオキシ基またはアラルキルオ
キシ基、置換または非置換アミノ基を表す。)に示され
るようなプロキラルなジオール類についても、リパーゼ
を触媒として、本発明の式(I)のケテンアセタール化
合物を反応させると、アシル基が導入された高光学純度
のモノアルコールが製造され、光学活性のジオール等価
体として利用できる。したがって、本発明はかかる観点
から見れば、リパーゼを触媒として、式(I)で示され
るケテンアセタール化合物を反応させる、プロキラルジ
オール類やメソ体のジオール類などの対称性ジオール類
の非対称化法でもある。
異なって、置換基を有していてもよいアルキル基、置換
基を有していてもよいアリール基またはアラルキル基、
置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を
有していてもよいアリールオキシ基またはアラルキルオ
キシ基、置換または非置換アミノ基を表す。)に示され
るようなプロキラルなジオール類についても、リパーゼ
を触媒として、本発明の式(I)のケテンアセタール化
合物を反応させると、アシル基が導入された高光学純度
のモノアルコールが製造され、光学活性のジオール等価
体として利用できる。したがって、本発明はかかる観点
から見れば、リパーゼを触媒として、式(I)で示され
るケテンアセタール化合物を反応させる、プロキラルジ
オール類やメソ体のジオール類などの対称性ジオール類
の非対称化法でもある。
【0025】なおここで、上記式中のR4 およびR5 の
置換基としての「置換基を有していてもよいアルキル
基」、「置換基を有していてもよいアリール基」および
「アラルキル基」とは、すでに前述したR1 、R2 およ
びR3 において定義した各種の置換基を意味し、かつ例
示した置換基をあげることができる。したがって、「置
換基を有していてもよいアルキルオキシ基」、「置換基
を有していてもよいアリールオキシ基」ならびに「アラ
ルキルオキシ基」とは、そのような置換基で置換された
オキシ基を意味する。更に「置換または非置換アミノ
基」とは、水素原子または上記で意味する各種の「置換
基を有していてもよいアルキル基」、「置換基を有して
いてもよいアリール基」ならびに「アラルキル基」、さ
らにはアシル基、アルコキシカルボニル基等が一個また
は二個置換されたアミノ基を意味する。
置換基としての「置換基を有していてもよいアルキル
基」、「置換基を有していてもよいアリール基」および
「アラルキル基」とは、すでに前述したR1 、R2 およ
びR3 において定義した各種の置換基を意味し、かつ例
示した置換基をあげることができる。したがって、「置
換基を有していてもよいアルキルオキシ基」、「置換基
を有していてもよいアリールオキシ基」ならびに「アラ
ルキルオキシ基」とは、そのような置換基で置換された
オキシ基を意味する。更に「置換または非置換アミノ
基」とは、水素原子または上記で意味する各種の「置換
基を有していてもよいアルキル基」、「置換基を有して
いてもよいアリール基」ならびに「アラルキル基」、さ
らにはアシル基、アルコキシカルボニル基等が一個また
は二個置換されたアミノ基を意味する。
【0026】また、メソジオール類としては、例えば次
のようなものを例示することができる。1,2−シクロ
ペンタンジオール、2−シクロペンテン−1,4−ジオ
ール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−シク
ロヘプタンジオール、2−ベンジル−1,3−プロパン
ジオール、2−エチル−2−フェニル−1,3−プロパ
ンジオール、2−メチル−2−フェニル−1,3−プロ
パンジオール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラ
ン−4,5−ジメタノール、ピナンジオール等のジオー
ル化合物。
のようなものを例示することができる。1,2−シクロ
ペンタンジオール、2−シクロペンテン−1,4−ジオ
ール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−シク
ロヘプタンジオール、2−ベンジル−1,3−プロパン
ジオール、2−エチル−2−フェニル−1,3−プロパ
ンジオール、2−メチル−2−フェニル−1,3−プロ
パンジオール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラ
ン−4,5−ジメタノール、ピナンジオール等のジオー
ル化合物。
【0027】
【実施例】以下に実施例によって本発明を説明するが、
本発明はこれによって限定されるものではない。 参考例1: 酢酸1−エトキシビニル[式(I):R1 =Et;R2
=H;R3 =Me]の合成:エトキシアセチレン15.
1ml(0.155mol)の無水テトラヒドロフラン
60ml溶液に、氷冷下[RuCl2 (p−cymen
e)]2 180mg(0.31mmol)の無水テトラ
ヒドロフラン30ml溶液を加え、10分間攪拌した。
氷冷下、酢酸5.9ml(0.103mol)の無水テ
トラヒドロフラン溶液10mlを30分間かけて加え、
同温度にて2.5時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、
残留物を減圧蒸留して、酢酸1−エトキシビニルを1
0.0g(75%)得た。 無色透明の液体、沸点:65−68℃(29mmHg)
本発明はこれによって限定されるものではない。 参考例1: 酢酸1−エトキシビニル[式(I):R1 =Et;R2
=H;R3 =Me]の合成:エトキシアセチレン15.
1ml(0.155mol)の無水テトラヒドロフラン
60ml溶液に、氷冷下[RuCl2 (p−cymen
e)]2 180mg(0.31mmol)の無水テトラ
ヒドロフラン30ml溶液を加え、10分間攪拌した。
氷冷下、酢酸5.9ml(0.103mol)の無水テ
トラヒドロフラン溶液10mlを30分間かけて加え、
同温度にて2.5時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、
残留物を減圧蒸留して、酢酸1−エトキシビニルを1
0.0g(75%)得た。 無色透明の液体、沸点:65−68℃(29mmHg)
【0028】参考例2: 安息香酸1−エトキシビニル[式(I):R1 =Et;
R2 =H;R3 =Ph]の合成:安息香酸122mg
(1.0mmol)と[RuCl2 (p−cymen
e)]2 3.1mg(0.005mmol)の無水トル
エン1.5ml溶液に、氷冷下でエトキシアセチレン8
8mg(1.25mmol)の無水トルエン1.5ml
溶液を加え、40℃で15分間攪拌した。反応液を減圧
濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(展開溶媒、ヘキサン:酢酸エチル=95:5)で精製
し、安息香酸1−エトキシビニルを154mg(80
%)得た。 無色透明の液体、沸点:95−105℃(0.50mm
Hg)(浴温)
R2 =H;R3 =Ph]の合成:安息香酸122mg
(1.0mmol)と[RuCl2 (p−cymen
e)]2 3.1mg(0.005mmol)の無水トル
エン1.5ml溶液に、氷冷下でエトキシアセチレン8
8mg(1.25mmol)の無水トルエン1.5ml
溶液を加え、40℃で15分間攪拌した。反応液を減圧
濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(展開溶媒、ヘキサン:酢酸エチル=95:5)で精製
し、安息香酸1−エトキシビニルを154mg(80
%)得た。 無色透明の液体、沸点:95−105℃(0.50mm
Hg)(浴温)
【0029】実施例1: 1−エトキシビニルアセタートによる(±)−1−フェ
ネチルアルコールの光学分割:(±)−1−フェネチル
アルコール244mg(2.0mmol)と参考例1で
得た酢酸1−エトキシビニル182mg(1.4mmo
l)をジイソプロピルエーテル6mlに溶かし、リパー
ゼとしてPCL(リパーゼアマノPS;3万ユニット/
g:天野製薬(株)製)80mgを加えた。反応液を3
0℃で11時間攪拌し、セライトを通して濾過した。濾
液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(展開溶媒、ヘキサン:エチルエーテル=1
0:1→1:1)で精製し、(R)−1−酢酸フェネチ
ル155mg(47%)と(S)−1−フェネチルアル
コール117mg(48%)を得た。
ネチルアルコールの光学分割:(±)−1−フェネチル
アルコール244mg(2.0mmol)と参考例1で
得た酢酸1−エトキシビニル182mg(1.4mmo
l)をジイソプロピルエーテル6mlに溶かし、リパー
ゼとしてPCL(リパーゼアマノPS;3万ユニット/
g:天野製薬(株)製)80mgを加えた。反応液を3
0℃で11時間攪拌し、セライトを通して濾過した。濾
液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(展開溶媒、ヘキサン:エチルエーテル=1
0:1→1:1)で精製し、(R)−1−酢酸フェネチ
ル155mg(47%)と(S)−1−フェネチルアル
コール117mg(48%)を得た。
【0030】得られた(R)−1−酢酸フェネチル30
mg(0.18mmol)をメタノール1.6mlに溶
かし、炭酸カリウム50mg(0.37mmol)と水
0.5mlを加え、室温で1.5時間攪拌することで、
定量的に(R)−1−フェネチルアルコールへと変換し
た。これら2種の光学活性アルコールを光学活性カラム
(Daicel CHIRALCEL OD)を用いるHPLC(移動相、ヘ
キサン:イソプロパノール=95:5)で光学純度を決
定したところ、(R)−体は96.2%、(S)−体は
99%以上であった。また、これらの絶対配置は、
(S)−体の比旋光度[α]D −48.8(c2.2,
c−C5 H10)を文献値{[α]D −37.2(c2.
6,c−C5 H10)光学純度70%の値}と比較するこ
とで決定した。 文献:M. M. Midland & A. Kazubski, J. Org. Chem.,
47, 2496 (1982)
mg(0.18mmol)をメタノール1.6mlに溶
かし、炭酸カリウム50mg(0.37mmol)と水
0.5mlを加え、室温で1.5時間攪拌することで、
定量的に(R)−1−フェネチルアルコールへと変換し
た。これら2種の光学活性アルコールを光学活性カラム
(Daicel CHIRALCEL OD)を用いるHPLC(移動相、ヘ
キサン:イソプロパノール=95:5)で光学純度を決
定したところ、(R)−体は96.2%、(S)−体は
99%以上であった。また、これらの絶対配置は、
(S)−体の比旋光度[α]D −48.8(c2.2,
c−C5 H10)を文献値{[α]D −37.2(c2.
6,c−C5 H10)光学純度70%の値}と比較するこ
とで決定した。 文献:M. M. Midland & A. Kazubski, J. Org. Chem.,
47, 2496 (1982)
【0031】実施例2〜9:実施例1と同様の方法によ
り、参考例1で得た酢酸1−エトキシビニルを用いて、
表1に示すリパーゼの存在下、表中のラセミ体のアルコ
ールを光学分割した。それらの結果をまとめて表中に実
施例1〜9として示した。
り、参考例1で得た酢酸1−エトキシビニルを用いて、
表1に示すリパーゼの存在下、表中のラセミ体のアルコ
ールを光学分割した。それらの結果をまとめて表中に実
施例1〜9として示した。
【0032】
【表1】
【0033】表中の実施例で使用したリパーゼは、PC
LはリパーゼアマノPS(3万ユニット/g:天野製薬
(株)製)を、AKはリパーゼアマノAK(4万ユニッ
ト/g:天野製薬(株)製)である。また表中の肩付注
a)〜m)は、以下のとおりである。 a):光学活性カラム(Daicel CHIRALCEL OD) を用いる
HPLC(移動相、ヘキサン:イソプロパノール)で決
定した。 b):加水分解により対応するアルコールへ誘導し、決
定した。 c):[α]D −58.8(c1.1,c−C5
H10); d):[α]D −52.5(c0.7,CHCl3 ); e):[α]D +49.6(c1.8,Et2 O); f):[α]D −43.9(c1.6,CHCl3 ); g):[α]D −58.9(c1.3,c−C6
H12); h):[α]D +34.3(c0.45,C6 H6 ); i):[α]D +30.8(c0.82,CHCl
3 ); j):溶媒としてn−ブチルメチルエーテル6mlを用
いた。 k):加水分解により対応するアルコールを得、次に
2,4−ジニトロベンゾアートへ誘導し、決定した。 l):[α]D +14.0(0.7,EtOH); m):対応する2,4−ジニトロベンゾアートへ誘導
し、決定した。
LはリパーゼアマノPS(3万ユニット/g:天野製薬
(株)製)を、AKはリパーゼアマノAK(4万ユニッ
ト/g:天野製薬(株)製)である。また表中の肩付注
a)〜m)は、以下のとおりである。 a):光学活性カラム(Daicel CHIRALCEL OD) を用いる
HPLC(移動相、ヘキサン:イソプロパノール)で決
定した。 b):加水分解により対応するアルコールへ誘導し、決
定した。 c):[α]D −58.8(c1.1,c−C5
H10); d):[α]D −52.5(c0.7,CHCl3 ); e):[α]D +49.6(c1.8,Et2 O); f):[α]D −43.9(c1.6,CHCl3 ); g):[α]D −58.9(c1.3,c−C6
H12); h):[α]D +34.3(c0.45,C6 H6 ); i):[α]D +30.8(c0.82,CHCl
3 ); j):溶媒としてn−ブチルメチルエーテル6mlを用
いた。 k):加水分解により対応するアルコールを得、次に
2,4−ジニトロベンゾアートへ誘導し、決定した。 l):[α]D +14.0(0.7,EtOH); m):対応する2,4−ジニトロベンゾアートへ誘導
し、決定した。
【0034】実施例10: 酢酸1−エトキシビニルによる2−ベンジル−1,3−
プロパンジオールの不斉モノアセチル化:
プロパンジオールの不斉モノアセチル化:
【0035】
【化5】
【0036】2−ベンジル−1,3−プロパンジオール
168mg(1.0mmol)と参考例1で得た酢酸1
−エトキシビニル195mg(1.5mmol)をジイ
ソプロピルエーテル5mlと水0.005mlの混合液
に溶かし、リパーゼとしてPCL(リパーゼアマノP
S:天野製薬(株)製)100mgを加えた。反応液を
25℃で2.5時間攪拌し、セライトを通して濾過し
た。濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(展開溶媒、ヘキサン:酢酸エチル=
3:1)で精製し、(R)−2−ベンジル−3−ヒドロ
キシプロピルアセタート174mg(84%)を得た。
この化合物を光学活性カラム (Daicel CHIRALCEL OD)を
用いるHPLC(移動相、ヘキサン:イソプロパノール
=95:5)で光学純度を決定したところ、81.9%
であった。また、絶対配置は、比旋光度[α]D +2
4.0(c1.12,CHCl3 )を(R)−体の文献
値{[α]D +24.2( c1.03,CHCl3 )光
学純度86.3%の値}と比較することで決定した。 文献:K. Mori & N. Chiba, Liebigs Ann. Chem., 198
9, 957
168mg(1.0mmol)と参考例1で得た酢酸1
−エトキシビニル195mg(1.5mmol)をジイ
ソプロピルエーテル5mlと水0.005mlの混合液
に溶かし、リパーゼとしてPCL(リパーゼアマノP
S:天野製薬(株)製)100mgを加えた。反応液を
25℃で2.5時間攪拌し、セライトを通して濾過し
た。濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(展開溶媒、ヘキサン:酢酸エチル=
3:1)で精製し、(R)−2−ベンジル−3−ヒドロ
キシプロピルアセタート174mg(84%)を得た。
この化合物を光学活性カラム (Daicel CHIRALCEL OD)を
用いるHPLC(移動相、ヘキサン:イソプロパノール
=95:5)で光学純度を決定したところ、81.9%
であった。また、絶対配置は、比旋光度[α]D +2
4.0(c1.12,CHCl3 )を(R)−体の文献
値{[α]D +24.2( c1.03,CHCl3 )光
学純度86.3%の値}と比較することで決定した。 文献:K. Mori & N. Chiba, Liebigs Ann. Chem., 198
9, 957
【0037】実施例11: 安息香酸1−エトキシビニルによる2−エチル−2−フ
ェニル−1,3−プロパンジオールの不斉モノベンゾイ
ル化:
ェニル−1,3−プロパンジオールの不斉モノベンゾイ
ル化:
【0038】
【化6】
【0039】2−エチル−2−フェニル−1,3−プロ
パンジオール80mg(0.44mmol)と参考例2
で得た安息香酸1−エトキシビニル258mg(1.3
4mmol)をジイソプロピルエーテル4mlと水0.
004mlの混合液に溶かし、リパーゼL3(ベーリン
ガー・マンハイム(株)製)240mgを加えた。反応
液を30℃で45時間攪拌し、セライトを通して濾過し
た。濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(展開溶媒、ヘキサン:酢酸エチル=
2:1)で精製し、(S)−2−エチル−2−フェニル
−3−ヒドロキシプロピルベンゾアート118mg(9
0%)を得た。比旋光度[α]D −12.0(c1.
5,CHCl3 )。この化合物を光学活性カラム (Daic
el CHIRALCEL OD)を用いるHPLC(移動相、ヘキサ
ン:イソプロパノール=90:10)で光学純度を決定
したところ、81%であった。また、絶対配置は、本品
をピリジニウムジクロロクロマートで一級水酸基を酸化
してアルデヒドにし、さらに亜塩素酸ソーダでカルボキ
シル基に酸化した後、安息香酸エステル部を水酸化カリ
ウム/メタノール混液にて加水分解して得た(R)−2
−エチル−2−フェニル−3−ヒドロキシ酪酸の比旋光
度[α]D +12.1(c1.1,CHCl3 )を
(S)−体の文献値{[α]D −16.5( c1.0,
CHCl3 )光学純度97%の値}と比較することで決
定した。 文献:A. Fadel et al., Tetrahedron: Asym., 7, 1159
(1996)
パンジオール80mg(0.44mmol)と参考例2
で得た安息香酸1−エトキシビニル258mg(1.3
4mmol)をジイソプロピルエーテル4mlと水0.
004mlの混合液に溶かし、リパーゼL3(ベーリン
ガー・マンハイム(株)製)240mgを加えた。反応
液を30℃で45時間攪拌し、セライトを通して濾過し
た。濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(展開溶媒、ヘキサン:酢酸エチル=
2:1)で精製し、(S)−2−エチル−2−フェニル
−3−ヒドロキシプロピルベンゾアート118mg(9
0%)を得た。比旋光度[α]D −12.0(c1.
5,CHCl3 )。この化合物を光学活性カラム (Daic
el CHIRALCEL OD)を用いるHPLC(移動相、ヘキサ
ン:イソプロパノール=90:10)で光学純度を決定
したところ、81%であった。また、絶対配置は、本品
をピリジニウムジクロロクロマートで一級水酸基を酸化
してアルデヒドにし、さらに亜塩素酸ソーダでカルボキ
シル基に酸化した後、安息香酸エステル部を水酸化カリ
ウム/メタノール混液にて加水分解して得た(R)−2
−エチル−2−フェニル−3−ヒドロキシ酪酸の比旋光
度[α]D +12.1(c1.1,CHCl3 )を
(S)−体の文献値{[α]D −16.5( c1.0,
CHCl3 )光学純度97%の値}と比較することで決
定した。 文献:A. Fadel et al., Tetrahedron: Asym., 7, 1159
(1996)
【0040】実施例12: 安息香酸1−エトキシビニルによる2−メチル−2−フ
ェニル−1,3−プロパンジオールの不斉モノベンゾイ
ル化:
ェニル−1,3−プロパンジオールの不斉モノベンゾイ
ル化:
【0041】
【化7】
【0042】実施例11と同様の方法により、2−メチ
ル−2−フェニル−1,3−プロパンジオール18.6
mg(0.11mmol)と参考例2で得た安息香酸1
−エトキシビニル64mg(0.33mmol)をジイ
ソプロピルエーテル1mlと水0.001mlの混合液
に溶かし、リパーゼAY(天野製薬(株)製)61mg
を加えた。反応液を30℃で3日間攪拌し、セライトを
通して濾過した。濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、ヘキサン:酢
酸エチル=5:1)で精製し、(S)−2−メチル−2
−フェニル−3−ヒドロキシプロピルベンゾアート21
mg(71%)を得た。比旋光度[α]D −0.62
(c0.75,CHCl3 )。この化合物を光学活性カ
ラム (Daicel CHIRALCEL OD)を用いるHPLC(移動
相、ヘキサン:イソプロパノール=95:5)で光学純
度を決定したところ、84%であった。また、絶対配置
は、本品の比旋光度と実施例11の生成物の比旋光度と
の比較からSであると推定している。
ル−2−フェニル−1,3−プロパンジオール18.6
mg(0.11mmol)と参考例2で得た安息香酸1
−エトキシビニル64mg(0.33mmol)をジイ
ソプロピルエーテル1mlと水0.001mlの混合液
に溶かし、リパーゼAY(天野製薬(株)製)61mg
を加えた。反応液を30℃で3日間攪拌し、セライトを
通して濾過した。濾液を減圧濃縮し、残留物をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、ヘキサン:酢
酸エチル=5:1)で精製し、(S)−2−メチル−2
−フェニル−3−ヒドロキシプロピルベンゾアート21
mg(71%)を得た。比旋光度[α]D −0.62
(c0.75,CHCl3 )。この化合物を光学活性カ
ラム (Daicel CHIRALCEL OD)を用いるHPLC(移動
相、ヘキサン:イソプロパノール=95:5)で光学純
度を決定したところ、84%であった。また、絶対配置
は、本品の比旋光度と実施例11の生成物の比旋光度と
の比較からSであると推定している。
【0043】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の酵素的光学
分割法は、ラセミ体またはメソ体のアルコール類を、リ
パーゼを触媒として、本発明の特定のケテンアセタール
型アシル化剤を使用してアシル化することにより、簡便
に、副生成物の影響なく、高収率、高光学純度に達成さ
れる方法であり、容易にスケールアップできる工業的光
学分割の方法として極めて有用である。
分割法は、ラセミ体またはメソ体のアルコール類を、リ
パーゼを触媒として、本発明の特定のケテンアセタール
型アシル化剤を使用してアシル化することにより、簡便
に、副生成物の影響なく、高収率、高光学純度に達成さ
れる方法であり、容易にスケールアップできる工業的光
学分割の方法として極めて有用である。
Claims (2)
- 【請求項1】 ラセミ体のアルコール類に、リパーゼを
触媒にして下記一般式(I)で示されるケテンアセター
ル化合物を反応させることを特徴とする、アルコール類
の光学分割法。 【化1】 (ただし式中、 R1 は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基
を有していてもよいアリール基またはアラルキル基を表
し;R2 は、水素原子、置換基を有していてもよいアル
キル基、置換基を有していてもよいアリール基、アラル
キル基または置換シリル基を表し;R3 は、置換基を有
していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい
アリール基またはアラルキル基を表す。) - 【請求項2】 対称型ジオール化合物に、リパーゼを触
媒にして下記一般式(I)で示されるケテンアセタール
化合物を反応させることを特徴とする、高純度光学活性
モノアルコールの製造法。 【化2】 (ただし式中、R1 、R2 およびR3 は請求項1記載の
定義と同一である。)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15735497A JPH1057094A (ja) | 1996-06-14 | 1997-06-02 | ケテンアセタール型アシル化剤を用いるアルコール類の酵素的光学分割法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8-175971 | 1996-06-14 | ||
JP17597196 | 1996-06-14 | ||
JP15735497A JPH1057094A (ja) | 1996-06-14 | 1997-06-02 | ケテンアセタール型アシル化剤を用いるアルコール類の酵素的光学分割法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1057094A true JPH1057094A (ja) | 1998-03-03 |
Family
ID=26484837
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15735497A Pending JPH1057094A (ja) | 1996-06-14 | 1997-06-02 | ケテンアセタール型アシル化剤を用いるアルコール類の酵素的光学分割法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1057094A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ES2159231A1 (es) * | 1999-04-09 | 2001-09-16 | Smithkline Beecham Sa | Procedimiento de resolucion de mezclas enantiomericas de alcoholes catalizada por lipasas. |
KR100359028B1 (ko) * | 1999-12-02 | 2002-10-30 | 학교법인 포항공과대학교 | 키랄 알릴 에스테르의 제조방법 |
WO2003076384A1 (en) * | 2002-03-14 | 2003-09-18 | Postech Foundation | Resolution of chiral compounds using aminocyclopentadienyl ruthenium catalysts |
KR20030089159A (ko) * | 2002-05-16 | 2003-11-21 | 엔자이텍 주식회사 | 효소적 방법에 의한 광학활성 1-페닐-1-프로파놀 및 이의에스테르 제조방법 |
KR20030091196A (ko) * | 2002-05-24 | 2003-12-03 | 엔자이텍 주식회사 | 효소적 방법에 의한 광학활성 1-페닐 에타놀 및 이의에스테르 제조방법 |
KR20030093609A (ko) * | 2002-06-03 | 2003-12-11 | 엔자이텍 주식회사 | 비용매 상 광학활성 1-페닐 에타놀 및 이의 에스테르 제조방법 |
KR100462473B1 (ko) * | 2002-10-31 | 2004-12-17 | 학교법인 포항공과대학교 | 효소-금속 다촉매 작용에 의한 키랄 히드록시 에스테르의제조방법 |
WO2005009935A1 (en) * | 2003-07-25 | 2005-02-03 | Postech Foundation | Method of preparation of optically active alcohols |
-
1997
- 1997-06-02 JP JP15735497A patent/JPH1057094A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ES2159231A1 (es) * | 1999-04-09 | 2001-09-16 | Smithkline Beecham Sa | Procedimiento de resolucion de mezclas enantiomericas de alcoholes catalizada por lipasas. |
KR100359028B1 (ko) * | 1999-12-02 | 2002-10-30 | 학교법인 포항공과대학교 | 키랄 알릴 에스테르의 제조방법 |
WO2003076384A1 (en) * | 2002-03-14 | 2003-09-18 | Postech Foundation | Resolution of chiral compounds using aminocyclopentadienyl ruthenium catalysts |
KR20030089159A (ko) * | 2002-05-16 | 2003-11-21 | 엔자이텍 주식회사 | 효소적 방법에 의한 광학활성 1-페닐-1-프로파놀 및 이의에스테르 제조방법 |
KR20030091196A (ko) * | 2002-05-24 | 2003-12-03 | 엔자이텍 주식회사 | 효소적 방법에 의한 광학활성 1-페닐 에타놀 및 이의에스테르 제조방법 |
KR20030093609A (ko) * | 2002-06-03 | 2003-12-11 | 엔자이텍 주식회사 | 비용매 상 광학활성 1-페닐 에타놀 및 이의 에스테르 제조방법 |
KR100462473B1 (ko) * | 2002-10-31 | 2004-12-17 | 학교법인 포항공과대학교 | 효소-금속 다촉매 작용에 의한 키랄 히드록시 에스테르의제조방법 |
WO2005009935A1 (en) * | 2003-07-25 | 2005-02-03 | Postech Foundation | Method of preparation of optically active alcohols |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH05331128A (ja) | (R)−(−)−4−シアノ−3−ヒドロキシ酪酸t−ブチルエステル及びその製造方法 | |
JPH0436195A (ja) | 光学活性α―ヒドロキシエステル類の製造方法 | |
JPH1057094A (ja) | ケテンアセタール型アシル化剤を用いるアルコール類の酵素的光学分割法 | |
JP2852545B2 (ja) | 複数の不斉点を持つ光学活性化合物および製造法 | |
US20080249310A1 (en) | Process For the Preparation of (2R,3R)-2-Hydroxy-3-Amino-3-Aryl-Propionamide and (2R,3R)-2-Hydroxy-3-Amino-3-Aryl-Propionic Acid Alkyl Ester | |
JPH09501834A (ja) | ジケテンを用いてのアルコールのリパーゼ触媒作用下でのアシル化 | |
JP3129775B2 (ja) | 光学活性な2級アルコール化合物の製造方法 | |
JP3049403B2 (ja) | 光学活性トランス−2−アリール−1−シクロヘキサノール誘導体およびその製造法 | |
JPH06256278A (ja) | 光学活性α−カルバモイルアルカン酸誘導体およびその製法 | |
US6437142B1 (en) | Process for preparing retiferol derivatives | |
JP3024299B2 (ja) | 光学活性なシクロペンテンアルコール類、その製造法及びその利用 | |
JP3129776B2 (ja) | 光学活性なα−ヒドロキシアルケン誘導体の製造方法 | |
JP2709807B2 (ja) | 3−クロロ−4−シリルオキシ−2−シクロペンテン−1−オン類の製造法 | |
JP2808544B2 (ja) | 光学活性化合物およびその製法 | |
JP4834208B2 (ja) | (2s,3r)−2,3−エポキシ酪酸エステルの製造法 | |
JP3072150B2 (ja) | 光学活性[3](1,1’)フェロセノファン類の製造方法 | |
JP2974181B2 (ja) | シクロブタノールの新規な製造法 | |
JP2645341B2 (ja) | 光学活性な置換−4−ヒドロキシ−2−シクロペンテノンの製造法 | |
JP3939833B2 (ja) | (r)−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸エステルの製法 | |
JP3010382B2 (ja) | (r)−2−プロポキシベンゼン誘導体の製造法 | |
JPH08119958A (ja) | 光学活性クロマン化合物の製造方法 | |
JPH06125789A (ja) | 加水分解による光学活性1−アリール−1,3−プロパンジオールの製造方法 | |
JPH0615487B2 (ja) | 光学活性4―ヒドロキシシクロペンテノン類の製造法 | |
JPH05317090A (ja) | 光学活性化合物の製造方法 | |
JPH0615486B2 (ja) | 光学活性な4―ヒドロキシ―2―シクロペンテノン類の製造方法 |