JPH09501834A - ジケテンを用いてのアルコールのリパーゼ触媒作用下でのアシル化 - Google Patents

ジケテンを用いてのアルコールのリパーゼ触媒作用下でのアシル化

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JPH09501834A JP7507214A JP50721495A JPH09501834A JP H09501834 A JPH09501834 A JP H09501834A JP 7507214 A JP7507214 A JP 7507214A JP 50721495 A JP50721495 A JP 50721495A JP H09501834 A JPH09501834 A JP H09501834A
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Abstract

(57)【要約】 アルコールとジケテンとをリパーゼの存在下に反応させるアルコールからのアシル化アルコールの製法。この方法は、ラセミ性アルコールのエナンチオ選択的アセトアセチル化のために特に好適である。

Description

【発明の詳細な説明】 ジケテンを用いてのアルコールのリパーゼ触媒作用下でのアシル化 本発明は、アルコールからのアシル化アルコールの製法、殊に、ラセミ性アル コールからのエナンチオ選択的にアシル化されたアルコールの製法に関する。 アルコールとジケテンとの反応によるアセトアセチル化アルコールの製造は公 知である。この反応は、一般に、酸−又は塩基触媒作用下に、高められた温度下 で実施される。反応しやすい、容易に転位するアルコールには、アセトアセチル 化のこの条件は合わない。 触媒としてのリパーゼの存在下でのラセミ性アルコールのビニルエステルを用 いてのラセミ分割法は、公知である(ヨーロッパ特許(EP)321918号明 細書)。ここでは、好適なアシル化剤として、一般式I: [式中、R1は、水素、アルキル、フェニル又はアルコキシアルキルを表し、か つ R2は、水素又はメチルを表す] のビニルエステルが記載されている。 このエステル交換の際に、ビニルエステルIから、 酵素を不活性化するので分離除去すべき副産物のアセトアルデヒドもしくはアセ トンが生じる。更に、アシル化剤として酢酸ビニルを使用する場合には、アルコ ールとエステルは、非常に接近した沸点を有し、この結果、これらはかなりの費 用を用いてのみ、蒸留的に分離することができる。 酵素触媒作用下でのアシル−移動のための概要記事(Faber and Riva,Synthes is 895〜910,1992)中に、非常に僅かなエナンチオマー過剰率しかもたらさない ので、アシル化剤ジケテンは、酵素エナンチオ選択的アセトアセチル化のために は適さないと記載されている。 ラセミ性アルコールII及びIIIの両方とジケテンとを、トルエン中、室温 で、カンデイダ シリンドラセア(Candida cylindracea)リパーゼの存在下に反 応させ、相応するアセトアセチル化化合物IIaもしくはIIIaにしている。 しかし、10%を下回るエナンチオマー過剰率から判断できるように、この反応 はエナンチオ選択性を有さなかった(前記文献900頁)。 更に、ここでは、特異的リパーゼー触媒作用は、ジケテンを用いては生じない が、エステラーゼ活性を有さないウシ血清アルブミンを用いても可能である、タ ンパク質を介する非特異的塩基触媒作用は生じることが確認されていた。 本発明の課題は、アルコールのエステル化を、可能な限り穏やかな条件下で可 能にするアルコールからのアシル化アルコールの製法を提供することであった。 もう1つの課題は、前記の欠点を生じずに、選択的に光学活性アルコールを、 ラセミ性アルコールから製造することを可能にする方法を提供することであった 。 相応して、反応を、特異的リパーゼ−触媒作用下で実施する場合に、アルコー ルとジケテンとを特に穏やかな条件下で反応させてアシル化アルコールにするこ とができることを発見した。 更に、ラセミ性アルコールとジケテンとを、リパーゼの存在下に、即ち反応を 特異的リパーゼ−触媒作用下で実施する場合に、エナンチオ選択的にアシル化ア ルコールをラセミ性アルコールから製造することができることを発見した。 更に、ラセミ性アルコールからの光学活性アルコールの製法を発見し、これは 、 a)ラセミ性アルコールをジケテンを用いてリパーゼの存在下にエナンチオ選 択的にアシル化し、 b)光学活性アルコールと光学活性アシル化アルコールとからなる混合物を分 離し、アルコールの一方のエナンチオマーを得、 c)所望の場合には、アシル化アルコールから、アルコールの他方のエナンチ オマーを、エステル分離により取得する ことを特徴とする。 この本発明の方法は、特に光学活性化合物の製造のために好適である。 このアルコールのアシル化は、次の反応式に従い起こる: 出発物質として使用されるアルコールR1OHは、1級、2級又は3級アルコ ールであってよい。アルキル−及びアリールアルキルアルコールも、この方法の ために好適である。 ジケテンとしては、ケテンCH2=C=0の二量化生成物も、置換されたケテ ンR2HC=C=Oの二量化生成物も使用することができる。基R2は、アルキ ル−又はアリール基を表していてよい。 ジケテンとしては、置換されていないケテン(R2=水素)のダイマーを使用 するのが有利である。この場合には、アシル化は、アセトアセチル化アルコール をもたらす。 ラセミ性アルコールを使用する場合には、記載の条件下で、エナンチオ選択的 アシル化が起こる。アルコールの一方のエナンチオマーがアシル化され、アルコ ールの他方のエナンチオマーは、変化しないままである。この選択的反応は、ラ セミ性アルコールをそれぞれのエナンチオマーに分離することを可能にする。 ジケテンは、一般に、反応させるべきアルコールに対して僅かなモル過剰で使 用する。アルコール1モル当たり、1.1モルのジケテンを使用するのが有利で ある。ジケテンとラセミ性アルコールとの反応では、一方のエナンチオマーのみ がジケテンと記載の条件下で反応するので、ラセミ体1モル当たり、0.5〜0 .55モルのジケテンを使用することとなる。 溶剤としては、一般に、有機溶剤が好適である。反応は、エーテル、例えばM TBE又はTHF中、又は炭化水素、例えばヘキサン、シクロヘキサン、トルエ ン又はハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン中で実施するのが特に良好であ る。 方法のために良好に好適な触媒は、細菌リパーゼである。シュードモナス(Pse udomonas)からのリパーゼ、例えばリパーゼAmano P(登録商標)又はシュードモナ スspec. DSM 8246からのリパーゼが特に好適である。 これらのリパーゼは、特に活性、選択的かつ不活性化に関して耐性であること が証明されている。 しかし、一連の他のリパーゼ、例えばカンディダシリンドラセア リパーゼ( CCL)も本発明の方法に好適である。 このリパーゼは、不溶性担体に吸着又は共有結合させて使用することもできる 。 アルコールとジケテンとの反応を、一般に室温で行う。 反応の終了の後に、一般にリパーゼを濾別し、溶剤及び過剰のジケテンを濾液 から除去し、かつアシル化されたエナンチオマー及び未反応のエナンチオマーか らなる混合物を、常法で分離する。所望のエナンチオマーが、未反応のアルコー ルである場合には、既にそれは純粋な形で存在する;アシル化されたエナンチオ マーが所望のエナンチオマーである場合には、なお、 通常のエステル分離によりアセト酢酸エステルから遊離する必要がある。 本発明の方法は、一般に、出発化合物のアルコール及びジケテンを、溶剤中に 予め装入し、かつ反応をリパーゼにより開始して実施する。 リパーゼは、所望の場合には、反応の終了後に回収し、かつ新たな反応のため に再び使用することができる。 本発明の方法は、簡単かつ非常に穏やかな条件下で進行するという利点を有す る。従って、不安定で、又SN1−活性のアルコール(例えば、1−フェニル− エタノール)にも良好に好適である。その際、リパーゼを抑制しうる副生成物は 生じない。更に、生じた生成物は、その異なる沸点に基づき良好に蒸留により分 離することができる。 次の例で、本発明を詳述する。 例1 アセト酢酸エステルの製造のための一般的な処方 ジケテン55ミリモル及びアルコール50ミリモルを、THF30ml中に溶 かした。リパーゼ(シュードモナスspec.、658U/mg)50mgの添加の 後に、室温で撹拌した。反応の終了の後(4h)に、溶液を濾過し、かつ真空中 で濃縮させた(50℃、30ミリバール)。NMR−純粋なアセト酢酸エステル が、90%を上回る収率で得られた。 この処方に従い、エタノール、イソプロピルアルコール及びベンジルアルコー ルを反応させた。 例2 1−フェニルエタノールの動力学的(kinetische)ラセミ分割 ジケテン55ミリモル及びフェニルエタノール(rac.)50ミリモルを、THF 30ml中に溶かした。反応を、シュードモナス spec. DSM 8246(例1参照)1 00mgの添加により開始した。GCにより、反応の変換率を観察した。同時に 、濾過された反応溶液の旋光度を追跡した。約50%の変換率(最大旋光度、約 5h)で、反応を、リパーゼの濾別により中断させた。生成物混合物を濃縮させ 、かつシリカゲルでのクロマトグラフィー(シクロヘキサン:酢酸エステル=5 :1)により、分離した。 次のものが得られた: R−(+)−1−フェニルエタノールーアセトアセテート(収率52%) ee=75%(87.5:12.5) [α]D 20=+84.5°(c=1.078;トルエン中) 5.3g S−(−)−1−フェニルエタノール(収率34%) ee=97%(98.5:1.5) [α]D 20=−43.8°(c=0.984;トルエン中) 2.1g エナンチオマー過剰率をMosher−エステルの500MHz 1H−NMRで測 定した(JACS95(1973)512):
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ラートナー,ヴォルフガング ドイツ連邦共和国 D―67136 フスゲン ハイム イン デン ベレン 5 (72)発明者 シュネル,ウルズラ ドイツ連邦共和国 D―67136 フスゲン ハイム メロヴィンガーシュトラーセ 8 (72)発明者 プレスラー,ウーヴェ ドイツ連邦共和国 D―67122 アルトリ プ グローセ ホルストシュトラーセ 15 (72)発明者 シュタウデンマイアー,ホルスト ラルフ ドイツ連邦共和国 D―67134 ビルケン ハイデ ヘルマン―レンス―シュトラーセ 13デー

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.アルコールからのアシル化アルコールの製法において、アルコールとジケ テンとを特異的リパーゼ−触媒作用下で反応させることを特徴とする、アルコー ルからのアシル化アルコールの製法。 2.ラセミ性アルコールとジケテンとを特異的リパーゼ−触媒作用下で反応さ せる、ラセミ性アルコールからのエナンチオ選択的アシル化アルコールの製法。 3.a) ラセミ性アルコールとジケテンとを特異的リパーゼ−触媒作用下で エナンチオ選択的にアシル化し、 b) 光学活性アルコールと光学活性アシル化アルコールからなる混合物を分 離して、アルコールの一方のエナンチオマーを得、 c) 所望の場合には、アシル化アルコールから、アルコールの他方のエナン チオマーをエステル分離により取得する、 ラセミ性アルコールからの光学活性アルコールの製法。 4.請求項2又は3に記載の方法の光学活性化合物の製造の際の使用。 5.少なくとも1つの工程が、請求項2又は3に記載の方法を含む、光学活性 化合物の製法。
JP7507214A 1993-08-31 1994-08-19 ジケテンを用いてのアルコールのリパーゼ触媒作用下でのアシル化 Pending JPH09501834A (ja)

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