JP2850416B2 - 新規な硬化系およびそのための樹脂組成物 - Google Patents

新規な硬化系およびそのための樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規にして有用なる硬化系ならびにそれ用の
樹脂組成物に関する。さらに詳細には、本発明はシロキ
シ基、酸無水基、エポキシ基およびアルコキシシリル基
という四つの反応性極性基(以下、官能基ともいう。)
が関与する硬化反応を通して硬化皮膜を形成しうるよう
な、斬新な形の硬化系ならびにそのための樹脂組成物に
関する。
とりわけ、本発明はそれぞれ、シロキシ基および酸無
水基を併有するビニル共重合体と、エポキシ基およびア
ルコキシシリル基を併有する化合物とを必須の成分と
し、上記した四つの官能基の間での硬化反応を通して硬
化皮膜を形成しうる、全く斬新な硬化系ならびに樹脂組
成物に関する。
〔従来の技術〕
近年、自動車産業において、アクリル樹脂とメラミン
樹脂との組み合わせは、ライン塗装における塗料の安定
性や塗膜性能の面から、主に用いられている。
また、オフライン塗装においては、アクリル樹脂とポ
リイソシアナート樹脂が塗膜外観や低温硬化性の面より
用いられる。しかし、今日なお主流であるメラミン硬化
系においては、塗膜外観は必ずしも優れているとはいえ
ず、しかも、メラミン樹脂に起因する耐酸性の弱さから
暴露時の酸性雨による塗膜の劣化が見られる。さらに、
ポリイソシアネート硬化においては、毒性の問題があ
る。しかもポットライフが短く、連続的に大量に用いる
ライン塗装には用いることができないという問題もあ
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
それぞれの問題点の解決のために、数多くの提案も為
されてはいるけれども、非イソシアネート系で、かつ、
非メラミン系であって、塗膜外観にすぐれ、一液型とし
て使用でき、しかも、自動車外板用として用いることが
できる程度の耐酸性をも有した硬化系は、目下の処、実
用化されていない、というのが実状である。
しかるに、本発明者らは上述した如き従来技術におけ
る種々の欠点の存在に鑑み、とりわけ、耐酸性が良好
で、一液型で、したがって、塗料の安定性にすぐれ、ひ
いては、ライン塗装にも適した、しかも、毒性の問題か
らも全く開放された、画期的にして極めて有用なる樹脂
組成物を求めて、鋭意、研究に着手した。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、一に
かかって、毒性の無い、保存安定性にすぐれた、しか
も、就中、低温硬化性や耐酸性などにもすぐれた塗膜を
与えることのできる斬新な形の硬化系、そして、斬新な
形の樹脂組成物を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
そのために、本発明者らは上述した如き発明が解決し
ようとする課題に照準を合わせて、つまり、現状の確認
と、従来技術における種々の未解決課題の抜本的な解決
と、当業界における切なる要望との上に立って、鋭気、
検討を重ねた結果、それぞれ、シロキシ基および酸無水
基を有するビニル共重合体と、エポキシ基およびアルコ
キシシリル基を有する化合物とを組み合わせた形の樹脂
組成物が、さらには、こうした特定の官能基を有するビ
ニル共重合体および化合物に、シロキシ基解離触媒、エ
ポキシ基開環触媒および/またはアルコキシシル基用硬
化触媒をも組み合わせた形の樹脂組成物が、前述した如
き諸々の課題性能を、驚異的に、向上せしめうることを
見い出すに及んで、本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明はシロキシ基、酸無水基、エポキシ
基およびアルコキシシリル基が関与する複合硬化反応を
通して硬化皮膜を形成する新規な硬化系を提供しようと
するものであり、そして、一分子中に1個以上のシロキ
シ基および酸無水基を併せ有するビニル共重合体(A)
と、一分子中に1個以上のエポキシ基およびアルコキシ
ル基を併せ有する化合物(B)とを必須の成分として含
有することから成る、あるいは、上記ビニル共重合体
(A)と上記化合物(B)と、さらに、シロキシ基解離
用触媒、エポキシ基開環触媒(以下、エポキシ開環触媒
ともいう。)および/またはアルコキシシリル基用硬化
触媒をも含有することから成る樹脂組成物を提供しよう
とするものである。
ここにおいて、前記した一分子中に少なくとも1個の
シロキシ基および酸無水基を併せ有するビニル共重合体
(A)とは、側鎖にそれぞれ、一般式 で示されるシロキシ基と、式 で示される酸無水基とを有するものを指称する。
当該ビニル共重合体(A)は、たとえば、かかるシロ
キシ基を有するモノマーと、かかる酸無水基を有するモ
ノマーとを、常法により、共重合させることによって得
られる。
そのうち、ます、シロキシ基含有モノマーとしては、
たとえば、トリエチルアミンやピリジンなどの、いわゆ
る塩酸補捉剤の存在下で、トリアルキルクロルシラン、
トリフェニルクロルシラン、ジアルキルクロルシラン、
ジアリルジクロルシランまたはジアルキルヒドロシラン
などで代表される有機シラン化合物を、水酸基含有ビニ
ルモノマーと反応させて得られるものが特に代表的なも
のであり、そのらのうちでも特に代表的なものとして
は、トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、
トリメチルシロキシプロピル(メタ)アクリレート、ト
リメチルシロキシブチル(メタ)アクリレート、トリエ
チルシロキシエチル(メタ)アクリレート、トリブチル
シロキシプロピル(メタ)アクリレートまたはトリフェ
ニルシロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げ
られる。
次に、酸基含有モノマーとしては、一分子中にエチレ
ン性不飽和二重結合(以下、不飽和基ともいう。)と酸
無水基とを併せ有する化合物を指称するものであり、特
に代表的なもののみを例示するに留めれば、無水(メ
タ)アクリル酸、無水マレイン酸または無水イタコン酸
などであるが、就中、無水マレイン酸の使用が望まし
い。
また、シロキシ基含有モノマーおよび酸無水基含有モ
ノマーと共重合性を有するモノマーとしては、勿論、共
重合可能なものであれば、いずれも使用することができ
るが、特に代表的なもののみを例示するに留めれば、C1
〜C22なるアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリ
レート、スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチ
ルスチレン、ビニルトルエン、2−エトキシエチル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレ
ート類、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル
アミド、マレイン酸もしくはフマル酸とC1〜C18なる1
価アルコールとのジエステル類、燐酸基含有(メタ)ア
クリレート類、ヘキサフルオロプロピレンもしくはテト
ラフルオロエチレンの如き含ふっ素モノマー類、または
ビニルエステル類などである。
以上に掲げられた如き各種のモノマー類を用いて当該
ビニル共重合体(A)を調製するには、公知慣用の重合
方法に従って行なうことができるが、好ましくは、溶液
ラジカル重合方法によるのが、最も簡便である。
そのさいに用いられる溶剤類としては、酸無水基と容
易に反応しうるアルコール系のものの使用だけは、避け
るべきである。
その余は、特に限定されるものではない。
次いで、前記した一分子中に少なくとも1個のエポキ
シ基とアルコキシシリル基とを併せ有する化合物(B)
としては、一分子中に不飽和基とエポキシ基とを併せ有
するモノマーと、一分子中に不飽和基とアルコキシシリ
ル基とを併せ有するモノマーとを必須として用い、さら
には、シロキシ基含有モノマーおよび酸無水基含有モノ
マーと共重合性を有するモノマーとして前掲されている
如き、各種の共重合可能なモノマー類をも用いて、常法
により、就中、溶液ラジカル重合法によって得られるも
のが、特に代表的なものである。
ここにおいて、まず、不飽和基とエポキシ基とを併せ
有するモノマーとして特に代表的なもののみを例示する
に留めれば、グリシジル(メタ)アクリレートまたはア
リルグリシジルエーテルなどであるし、また、不飽和基
とアルコキシシリル基とを併せ有するモノマーとして特
に代表的なもののみを例示するに留めれば、γ−メタク
リロイルオキシプロピルトリメトキシシランまたはビニ
ルトリメトキシシランなどであるし、さらに、一分子中
にエポキシ基およびアルコキシシリル基を併せ有するモ
ノマーとして特に代表的なもののみを例示するに留めれ
ば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランまた
はγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランな
どであるが、かかるエポキシおよびアルコキシシリル基
を分子中に併有する化合物を、そのまま、用いることに
より、わざわざ、不飽和基およびエポキシ基を分子中に
併有するモノマーと、不飽和基およびアルコキシシル基
を分子中に併有するモノマーとを軸とした共重合反応を
経由する必要も無くなる。
そして、上掲された如き、それぞれ、ビニル共重合体
(A)と化合物(B)とに含有されている、シロキシ
基、酸無水基、エポキシ基およびアルコキシシリル基な
る四つの官能基の、本発明組成物中における存在比率と
しては、シロキシ基:酸無水基:エポキシ基:アルコキ
シシリル基の当量比で等当量となるのが望ましいけれど
も、勿論、本発明はこれのみに限定されるものでは決し
てなく、本発明の目的を逸脱し、本発明の硬化を損じな
い限りにおいて、かかる存在比率ないしは使用比率は、
適宜、選択することができる。
ただし、特に注意を喚起すべきは、かかるシロキシ基
または酸無水基のみが大過剰となるように用いられる場
合には、塗膜中に残存する水酸基またはカルボキシル基
の影響によって、耐水性ならびに耐薬品性などが著しく
低下することになるということである。
このように、本発明は(A)および(B)なる各成分
に、いかなる樹脂あるいは化合物を配しようと、こうし
たシロキシ基、酸無水基、エポキシ基およびアルコキシ
シリル基なる四つの官能基(反応性極性基)による複合
硬化、とりわけ、空気中などにおける僅かな水分の存在
によって、まず、シロキシ基から水酸基が生起し、次い
で、この水酸基と酸無水基とが反応することによって、
分子間で架橋すると共に、これらの水酸基と酸無水基と
の反応によって生起するカルボキシル基とエポキシ基と
が反応することによって、分子間で架橋が行なわれると
同時に、アルコキシシリル基同志の、いわゆる自己縮合
もまた、行なわれるという、いわゆる複合硬化を取り扱
っている点に、基本的な特徴を有するものである。
かくして得られる本発明の基本的な形の被覆材は、ま
ず、大気中に暴露されることにより、空気中の水分との
反応を通して、シロキシ基が加水分解されて、酸無水基
と反応しうる水酸基を生成する。そこで、かかる加水分
解を促進せしめるための触媒が必要となる。
そうした触媒として特に代表的なもののみを例示する
に留めれば、燐酸エステル類、亜鉛酸エステル類または
p−トルエンスルホン酸もしくはその塩類の如き各種の
酸性触媒;水酸化リチウムまたは水酸化カリウムの如き
各種のアルカリ性触媒;アルキルチタン酸塩、オクチル
酸塩、ジブチル錫ジラウレートまたはオクチル酸鉛の如
き各種のカルボン酸の金属鉛類;モノブチル錫サルファ
イドまたはジオクチル錫メルカプタイドの如き各種のス
ルフィド型ないしはメルカプチド型有機化合物類;ある
いはテトラエチルアンモニウムフルオライドの如き各種
の、ふっ素イオン発生性化合物などである。
そして、かかるシロキシ基解離触媒の使用量として
は、前記ビニル共重合体(A)に対して0.001〜10重量
%、好ましくは、0.005から8重量%なる範囲内が適切
である。
なお、当該シロキシ基解離触媒として上掲された如き
各種の化合物は、エポキシ基開環触媒としても、あるい
はアルコキシシリル基の自己縮合用触媒としても用いら
れるものである。
また、前記したエポキシ開環触媒として特に代表的な
もののみを例示するに留めれば、アセチルアセトネート
・クロム、1−モルホリノ−1−シクロヘキセンの如き
エナミン類、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、トリエタノールアミンボレート、第四級ホスホニウ
ム塩、オクチル酸錫、第四級アルソニウム塩、三ふっ化
ほう素、アミン・コンプレックス(錯体)、または各種
アミン化合物などである。
そして、かかるエポキシ開環触媒の使用量としては、
前記化合物(B)に対して0.01〜5重量%、好ましく
は、0.05〜2重量%なる範囲内が適切である。
さらに、前記したアルコキシシリル基硬化用触媒の使
用量としては、0.05〜3重量%、好ましくは、0.1〜2
重量%なる範囲内が適切である。
ところで、本発明の樹脂組成物は、大気中に暴露され
ない限り、分子内あるいは分子間の酸無水基と反応しう
る水酸基を生成しない処から、本発明組成物はそれ自
体、基本的には、一液型で、極めて安定性の良好なもの
である。
しかし、長期の保存安定性を確保するためには、何ら
かの理由により侵入する微量の水分を、常に、捕捉して
やればよい。
すなわち、水分と反応性を有する水結合剤を添加する
ことによって、長期の安定性が確保される処となる。
また、かかる水結合剤を、予め、前記したビニル共重
合体(A)などを調製するさい、その初期に、混合して
使用しても差し支えはない。
かかる水結合剤として特に代表的なもののみを例示す
るに留めれば、オルトぎ酸トリメチル、オルトぎ酸トリ
エチルもしくはオルトぎ酸トリブチルの如きオルトぎ酸
トリアルキル類;オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸ト
リエチルもしくはオルト酢酸トリブチルの如きオルト酢
酸トリアルキル類;オルトほう酸トリエチルもしくはオ
ルトほう酸トリブチルの如きオルトほう酸オリアルキル
類;テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケー
ト、テトラブチルシリケート、テトラ(2−メトキシエ
チル)シリケートもしくはテトラ(2−クロロエチル)
シリケートの如きテトラ(置換)アルキルシリケート類
単体;テトラフェニルシリケートもしくはテトラベンジ
ルシリケートの如き、上記テトラ(置換)アルキルシリ
ケート類の同効物質(以下、同効単体と略称する。);
またはテトラエチルシリケートのダイマー、トリマー、
テトラマー、ヘキサマー、「エチルシリケート40」〔コ
ルコート(株)製品、テトラエチルシリケートのテトラ
マー、ペンタマー、ヘキサマーの混合物〕の如き、上掲
の各テトラ(置換)アルキルシリケート類単体や、該シ
リケート類の同効単体の縮合物などの加水分解性エステ
ル化合物類;あるいは、フェニルイソシアネート、p−
クロロフェニルイソシアネート、ベンゼンスルホニルイ
ソシアネート、p−トルエンスルホニルイソシアネート
またはイソシアネートエチルメタクリレート(アメリカ
国ダウ・ケミカル社製のNCO基含有モノマー)などのイ
ソシアネート基含有化合物類などである。
そして、当該水結合剤の使用量としては、前記ビニル
共重合体(A)などに対して0.1〜30重量%、好ましく
は、0.5〜20重量%なる範囲内が適切である。
かくして得られる本発明の樹脂組成物は、そのまま、
クリヤー塗料として使用することもできるし、さらに、
顔料を混合せしめることによりエナメル塗料として用す
ることもできる。
また、本発明組成物に対しては、必要に応じて、レベ
リング剤、紫外線吸収剤または顔料分散剤などの各種の
公知慣用の添加剤類の混合せしめることもできる。
さらには、公知慣用のセルロース系化合物、可塑剤ま
たはポリエステル樹脂などを混合せしめることもでき
る。
そして、本発明の樹脂組成物の塗装方法としては、刷
毛塗り、スプレー塗装またはロール塗装などの常用の方
法が採用できるし、さらに、本発明被覆材の硬化方法と
しては、常温乾燥から加熱硬化までの幅広い範囲で、本
発明組成物を構成する各成分樹脂または化合物の組み合
わせに応じた最適の硬化条件が設計ないしは設定でき
る。
かくして得られた本発明の樹脂組成物は、溶液の形
で、あるいは粉体の形で、自動車、家電製品、あるいは
建築外装をはじめとして、金属のプレコート用として、
多岐に亘って、利用することができるが、就中、一液型
で貯蔵安定性の要求される分野において、その効果が顕
著なものである。
〔作用〕
本発明の硬化系、そして、本発明の樹脂組成物は、空
気中などの僅かな水分(湿気)の存在によって、シロキ
シ基から水酸基が生起し、この水酸基が酸無水基と反応
することによって、分子内で架橋化が果たされると共
に、そのさいに生成するカルボキシル基がエポキシ基に
作用し、これらの両官能基(反応性極性基)の反応によ
って別の形式の分子内架橋化が果たされるし、更なる別
形式の架橋化として、残るアルコキシシリル基同志の自
己縮合が、空気中などの水分(湿気)によって果たされ
るという、いわゆる複合硬化反応を営むものである。
〔発明の効果〕
以上のように得られる本発明の樹脂組成物は、それ自
体が、加水分解性のシロキシ基が引き金となって、シロ
キシ基が水酸基を生起し、その水酸基が酸無水基と反応
してカルボキシル基を生起し、そのカルボキシル基がエ
ポキシ基と反応するという一連の過程の中で、一つに
は、水酸基と酸無水基との反応による分子間架橋が、二
つには、カルボキシル基とエポキシ基との反応による分
子間架橋が、三つには、アルコキシシリル基同志の自己
縮合による分子内架橋が、それぞれ、複合化された形で
起こるという、いわゆる複合硬化を通して硬化塗膜を形
成する、斬新なものである。
そのために、本発明の樹脂組成物は、単一的硬化によ
る硬化塗膜では得られないような、多元的で多面的な効
果を発現するものであり、とりわけ、本発明組成物は、
一液型で保存安定性にすぐれ、しかも、耐酸性ならびに
低温硬化性などの諸性能の上で優れ、かつ、諸性能のバ
ランス化が絶妙なる、極めて有用な塗膜を与えるもので
ある。
このように、本発明は基本的に、シロキシ基、酸無水
基、エポキシ基およびアルコキシシリル基を必須とする
硬化系を提供しようとするものであり、具体的には、そ
れぞれ、一分子中に少なくとも1個のシロキシ基および
酸無水基を併有する特定のビニル共重合体と、一分子中
に少なくとも1個のエポキシ基およびアルコキシシリル
基を併有する化合物とを必須の成分とする樹脂組成物を
提供しようとするものである。
〔実施例〕
次に、本発明を参考例、実施例および比較例により、
一層、具体的に説明する。
以下において、部および%は特に断りのない限り、す
べて重量基準であるものとする。
参考例1〔シロキシ基および酸無水基を併せ有するビニ
ル共重合体(A)の調製例〕 トリメチルシロキシエチルメタクリレートの138部、
スチレンの200部、n−ブチルアクリレートの356部、メ
チルメタクリレートの183部、n−ブチルメタクリレー
トの57部および無水マレイン酸の66部からなるモノマー
混合物のうちの200部と、トルエンの700部、アゾビスイ
ソブチロニトリル(AIBN)の5部およびt−ブチルパ−
オキシベンゾエート(TBPB)の12部とを、撹拌機、温度
計、冷却器および窒素ガス導入管を備えた四ッ口フラス
コに仕込んで、90℃に1時間のあいだ保持してから、30
分を要して110℃まで昇温したのち、残りのモノマー800
部とAIBNの25部およびトルエンの300部とを4時間に亘
って滴下し、さらに同温度に5時間のあいだ反応を行な
って、25℃におけるガードナー粘度(以下同様)がL−
Mで、かつ、不揮発が50.8%なる目的共和体(A)の溶
液を得た。以下、これを樹脂(A−1)と略記するが、
この樹脂の数平均分子量は10,000であった。
参考例2(同上) トリメチルシロキシエチルメタクリレートの360部、
スチレンの220部、無水イタコン酸の198部およびラウリ
ルメタクリレートの222部よりなるモノマー混合物を、
参考例1と同様の反応容器に予めキシレンの700部を仕
込んで、120℃に昇温させた処へ、キシレンの300部およ
びt−ブチルパーオキシオクトエート(TBPO)の30部と
共に、6時間かけて滴下し、滴下終了後も、同温度に6
時間のあいだ保持して反応を続行させ、粘度がQ−R
で、かつ、不揮発分が50.6%なる目的共重合体(A)の
溶液を得た。以下、これを樹脂(A−2)と略記する
が、この樹脂の数平均分子量は14,000であった。
参考例3(シロキシ基含有の対照用ビニル共重合体の調
製例) トリメチルシロキシエチルメタクリレートの138部、
スチレンの200部、n−ブチルアクリレートの356部、メ
チルメタクリレートの249部およびn−ブチルメタクリ
レートの57部からなるモノマー混合物を用いるように変
更した以外は、参考例1と同様にして、粘度がS−T
で、かつ、不揮発分が50.7%なる、対照用ビニル共重合
体の溶液を得た。以下、これを樹脂(A′−1)と略記
するが、この樹脂の数平均分子量は11,000であった。
参考例4(酸無水基含有の対照用ビニル共重合体の調製
例) 参考例1と同様の反応容器に、キシレンの700部を仕
込んで120℃まで昇温し、ここへ、スチレンの300部、無
水イタコン酸の220部、n−ブチルメタクリレートの280
部およびメチルメタクリレートの200部よりなる混合物
と、キシレンの300部、TBPOの100部およびAIBNの10と
を、5時間かけて滴下した。
以後は、参考例1と同様にして、不揮発分が50.3%
で、粘度がA2で、かつ、数平均分子量が4,800なる、対
照用ビニル共重合体の溶液を得た。以下、これを樹脂
(A″−1)と略記する。
参考例5〔エポキシ基およびアルコキシシリル基含有化
合物(B)の調製例〕 モノマー混合物として、スチレンの200部、グリシジ
ルメタクリレートの280部、n−ブチルメタクリレート
の380部、「A−174」〔日本ユニカー(株)製のシラン
カップリンク剤〕の292部からなる混合物を用いるよう
に変更した以外は、参考例1と同様にして、粘度がC
で、不揮発分が50.4%で、かつ数平均分子量が4,500な
る、目的化合物(B)の溶液を得た。以下、これを樹脂
(B−1)と略記する。
参考例6(同上) モノマー混合物として、グリシジルメタクリレートの
400部、「A−174」の416部およびラウリルメタクリレ
ートの184部よりなる混合物を用いるように変更した以
外は、参考例1と同様にして、粘度がA−Bで、不揮発
分が50.3%で、かつ、数平均分子量が4,200なる、目的
化合物(B)の溶液を得た。以下、これを樹脂(B−
2)と略記する。
実施例1 参考例1で得られた樹脂(A−1)の100部と、参考
例5で得られた樹脂(B−1)の34.7部と、テトラブチ
ルアンモニウムブロマイドの0.5部と、オルソぎ酸メチ
ルの1.0部との配合物を均一に混合せしめて、目的とす
る樹脂組成物を得た。
実施例2〜7 第1表に示されるような配合割合に従う以外は、実施
例1と同様にして、目的とする樹脂組成物を得た。
比較例1 参考例3で得られた対照用の樹脂(A′−1)の100
部と、参考例4で得られた対照用の樹脂(A″−1)の
34.7部と、「ベッカミンP−198」の0.5部と、オルソぎ
酸メチルの1.0部との配合物を均一に混合せしめて、対
照用の樹脂組成物を得た。
比較例2 参考例1で得られた樹脂(A−1)の100部と、オル
ソぎ酸メチルの0.5部との配合物を均一に混合せしめ
て、対照用の樹脂組成物を得た。
比較例3 「アクリディックA−800」〔大日本インキ化学工業
(株)製のアクリルポリオール〕と、「バーノックDN−
950」(同上社製のポリイソシアネート化合物〕とを、
ポリオール/ポリイソシアネート=100/30(固形分重量
比)となるように均一に混合せしめて、対照用の樹脂組
成物を得た。
比較例4 「アクリディックA−800」と、「スーパーベッカミ
ンL−117−60」〔大日本インキ化学工業(株)製のブ
チルエーテル化メラミン樹脂〕とをポリオール/メラミ
ン樹脂=100/20(固形分重量比)となるように均一に混
合せしめて、対照用の樹脂組成物を得た。
以上の各実施例および比較例で得られた、それぞれの
樹脂組成物についての塗膜性能の比較検討を行なうべ
く、次に示されるような方法によって試験板を作製し、
性能の評価を行なった。これらの結果を第1表に、まと
めて示した。
素材;ボンデライト#144処理軟鋼板 塗装方法;6milアプリケーター 焼き付け方法;60℃/30分間と、80℃/30分間との比較的
に温和な条件下で。
但し、メラミン硬化の場合だけは、止むを得ず、140
℃/30分間という厳格な条件下で行なった。
(試験方法および判定方法) 光沢;村上式光沢計(60゜) 硬度;鉛筆硬度 エリクセン;エリクセンテスターを用いて“mm"で表
示。
密着性;ゴバン目(10×10)状にカットを入れたのちセ
ロファンテープ剥離を行ない、残ったエリアの数(残存
ゴバン目数)を表示。
耐水性;40℃の温水に10日間浸漬したのちの塗膜の状態
を目視判定。
耐酸性;5%硫酸水溶液を塗膜上に落とし、70℃で1時間
乾燥したのち水で洗ってから塗膜の状態を目視により判
定。
耐アルカリ性;5%NaOH水溶液に24時間浸漬したのちの塗
膜の変化を目視判定。
耐候性;QUV試験機で2,000時間照射後の光沢保持率
(%)を以て表示。
耐溶剤性;キシレンを浸したガーゼを用いて荷重1.5Kg
で10回ラビングしたのちの塗膜の状態を目視判定。
保存安定性;クリヤー塗料を、キシレン/酢酸ブチル=
1/1(重量比)なる混合溶剤により、岩田カップで12秒
となるように希釈してから50℃に7日間保存したのちの
粘度を測定。
シロキシ機、酸無水基、エポキシ基およびアルコキシ
シリル基を必須の官能基(反応性極性基)を主体とする
複合硬化系は、換言すれば、かかるシロキシ基および酸
無水基を併有するビニル共重合体と、かかるエポキシ基
およびアルコキシシリル基を併有する化合物とから成る
樹脂組成物は、各種触媒や水結合剤などの使用によっ
て、保存安定性にもすぐれ、耐酸性ならびに低温硬化性
などにもすぐれる塗膜を与えうるものであることが、第
1表からも、明らかになろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 59/40 - 59/42 C09D 163/00 - 163/10 C09D 133/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シロキシ基と酸無水基とエポキシ基とアル
    コキシシリル基との複合硬化を通して硬化皮膜を形成す
    ることを特徴とする、硬化系。
  2. 【請求項2】一分子中に少なくとも1個のシロキシ基お
    よび酸無水基を併せ有するビニル共重合体(A)と、一
    分子中に少なくとも1個のエポキシ基およびアルコキシ
    シリル基を併せ有する化合物(B)とを含有することを
    特徴とする、樹脂組成物。
  3. 【請求項3】一分子中に少なくとも1個のシロキシ基お
    よび酸無水基を併せ有するビニル共重合体(A)と、一
    分子中に少なくとも1個のエポキシ基およびアルコキシ
    シリル基を併せ有する化合物(B)と、シロキシ基解離
    触媒、エポキシ開環触媒およびアルコキシシリル基用硬
    化触媒とを含有することを特徴とする、樹脂組成物。
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