JP2671470B2 - 被覆用組成物 - Google Patents

被覆用組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規にして有用なる被覆用組成物に関する。
さらに詳細には、本発明は必須の成分として、一分子
中に1個以上の重合性不飽和結合とシロキシ基とを併せ
有するビニルモノマーまたは、これと共重合可能な他の
ビニルモノマーとの混合物を共重合させて得られる特定
のビニル共重合体と、硬化剤と、解離促進触媒と、一分
子中に2個以上のシロキシ基を有し、かつ、特定の分子
量を持った化合物たる特殊な多官能型水結合剤とを含ん
で成る被覆用組成物に関する。
〔従来の技術〕
近年、自動車産業において、外板・部品などのプラス
チック化が急速に進展しつつある。素材が鋼板の場合に
は、そこに使用される塗料樹脂系として、アミノプラス
ト系の硬化剤による高温焼付一液型塗料て通常採用され
ている。しかしながら、素材そのものがプラスチック化
された場合には、素材の耐熱温度が低いものもある処か
ら、プラスチック用としては高温焼付型塗料の適用は不
可である。そこで、低温焼付塗料としては、ポリオール
型樹脂とイソシアネートプレポリマーの組合せや硬化触
媒を用いるアミノプラスト系や3級アミノ基を官能基と
して有するアクリル系樹脂と多官能エポキシ樹脂の組合
せなどが検討され、そしてその一部が採用に移されてい
る。しかし、ポリオール型樹脂−イソシアネートプレポ
リマー系や3級アミノ基−エポキシ樹脂硬化系は共に二
液型であり、一液型と比較してポットライフなどのよう
な作業性の面で大きな欠点がある。また、低温硬化触媒
を用いるアミノプラスト系は一液型ではあるが、反応す
る官能基がブロックされておらず、活性に富み、貯蔵安
定性が悪いという欠点もある。また別途、イソシアネー
トプレポリマーを適当なブロック剤でブロックしたイソ
シアネートプレポリマーを用いれば、一液型のポリオー
ル型樹脂−イソシアネートプレポリマー硬化系になる
が、現状では、ブロック剤の解離温度が高く、低温硬化
型樹脂系とは言い難い。以上のように、産業界では、塗
装作業性、各種物性ならびに耐候性の観点から、加え
て、素材の変換や省エネルギーの観点から、一液型で貯
蔵安定性に優れる硬化型アクリル樹脂塗料の早急なる開
発が要望されているのが実状であり、上述した如き諸々
の要求に添ったアクリル系塗料として、一分子中に1個
以上の重合性不飽和結合とシロキシ基とを併有するビニ
ルモノマーを用いて得られるビニル共重合体と架橋剤と
解離触媒とから成る組成物が、こうした要求性能を向上
させうることを見い出した。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、多量の水分を含んでいる顔料系などに
あっての、上述した組成物の安定性は決して充分ではな
く、そのためにも、水結合剤の使用は不可欠であると言
えよう。
かかる水結合剤としては、これまでにも、オルトぎ酸
トリアルキルエステル類、オルト酢酸トリアルキルエス
テル類、オルトほう酸トリアルキルエステル類またはイ
ソシアネート類などが用いられていて、事実、安定性の
向上こそ認められるものの、硬化性や塗膜外観などの面
では、これらの性能の低下が認められるという欠点のあ
ることも見い出されている。
したがって、本発明の目的とする処は、かかる硬化性
や塗膜外観などの性能をも含めた、前述の諸要求に添っ
たアクリル系塗料を得るという点にある。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、本発明者らはこうした諸要求に添った、つま
り諸々の要求性能が向上化された形のアクリル系塗料を
得るべく鋭意検討を重ねた結果、ここに水結合剤とし
て、一分子中に少なくとも2個のシロキシ基を有し、か
つ、分子量が100〜1,000なる化合物という、いわゆる多
官能型水結合剤を含んだ形の新たな組成物が、要求性能
の悉くを充分に向上せしめ得るものであることを見い出
して、本発明を完成させるに到った。
すなわち、本発明は必須の成分として、それぞれ、一
分子中に少なくとも1個の重合性不飽和結合とシロキシ
基とを併有するビニルモノマー(a−1)の1〜100重
量%と、該ビニルモノマー(a−1)以外の共重合可能
なビニルモノマー(a−2)の99〜0重量%とからなる
ビニルモノマー混合物をラジカル発生剤の存在下に共重
合させて得られるビニル共重合体(A)と、該ビニル共
重合体(A)より生成される水酸基と反応性を有する硬
化剤(B)と、上記シロキシ基の解離促進触媒(C)
と、上記ビニル共重合体(A)の100重量部当たり0.1〜
100重量部の、一分子中に少なくとも2個のシロキシ基
を有し、かつ、分子量が100〜1,000なる化合物(D)と
を含んで成る被覆用組成物を提供しようとするものであ
る。
つまり、本発明は前記必須成分の一つであるビニル共
重合体(A)を構成しているビニルモノマー(a−1)
中のシロキシ基が空気中の水分(湿気)と反応して該ビ
ニル共重合体(A)中に水酸基を生成させると同時に、
この水酸基と、該水酸基と反応性を有する硬化剤(B)
成分とを反応させることによって堅牢にして強固な塗膜
を形成せしめるという形の、貯蔵安定性にすぐれ、しか
も一液型塗料にもなりうる被覆用組成物を提供しようと
するものである。
ここにおいて、上記したビニルモノマー(a−1)と
は、一分子中に1個以上の、それぞれ、重合性不飽和結
合と、次式で示されるような、炭素原子と結合している
シロキシ基とを併せ有するものを指称する。
当該ビニルモノマー(a−1)は、たとえば、トリエ
チルアミンやピリジンの如き塩酸捕捉剤(塩化水素捕捉
剤)の存在下で、トリアルキルクロルシラン、トリフェ
ニルクロルシラン、ジアルキルクロルシラン、ジアルキ
ルジクロルシランまたはジアルキルヒドロシランなど
を、後掲する如き水酸基含有ビニルモノマーと反応させ
て得られるものが該当し、それらのうちでも特に代表的
なもののみを挙げるに止めれば、トリメチルシロキシエ
チル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシブチル
(メタ)アクリレート、トリエチルシロキシエチル(メ
タ)アクリレート、トリブチルシロキシプロピル(メ
タ)アクリレートまたはトリフェニルシロキシアルキル
(メタ)アクリレートなどであるが、これらは単独使用
でも、2種以上の併用でもよい。
また、上記した水酸基含有ビニルモノマーとして特に
代表的なもののみを挙げるに止めれば、β−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレートもしくはβ−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレートの如きヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレート類またはN−メチロール化(メタ)ア
クリルアミド;β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ートにε−カプロラタトンを付加させたもの(たとえば
「プラクセルFM,FA」シリーズ〔ダイセル化学工業
(株)製品〕や「TONETMM−100」(ユニオンカーバイド
社製品)など);一般名がポリプロピレングリコールモ
ノメタクリレートと称される「ブレンマーPP−1000」や
一般名がポリエチレングリコールモノメタクリレートと
称される「ブレンマーPE」シリーズ〔両者共、日本油脂
(株)製品〕;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマ
ル酸もしくはイタコン酸の如き不飽和カルボン酸類と、
「カージュラE」(シェル化学(株)製、分枝状脂肪酸
のグリシジルエステル)、オクチル酸グリシジルエステ
ルもしくはヤシ油脂肪酸グリシジルエステルの如き一価
カルボン酸のモノグリシジルエステル類またはブチルグ
リシジルエーテルの如きモノグリシジルエーテル類など
で代表されるモノエポキシ化合物との付加物などであ
り、これらは単独使用でも、2種以上の併用でもよい。
そして、当該ビニルモノマー(a−1)の使用量とし
ては、全ビニルモノマー中、1〜100重量%なる範囲内
が適当であり、好ましくは5〜90重量%なる範囲内が適
切である。1重量%未満である場合には、どうしても、
当該モノマーの効果は期し得なくなるので好ましくな
い。
他方、前記したビニルモノマー(a−2)としては、
前掲された如き各種のビニルモノマー(a−1)と共重
合性を有するものであれば、いずれも使用できるが、そ
のうちでも特に代表的なもののみを例示するに止めれ
ば、アルキル基の炭素数が1〜22なるアルキル(メタ)
アクリレート類をはじめ、スチレン、α−メチルスチレ
ン、p−tert−ブチルスチレンもしくはビニルトルエン
の如き芳香族ビニルモノマー類;グリシジル(メタ)ア
クリレートの如きエポキシ基含有ビニルモノマー類;
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸もしくはイ
タコン酸の如き不飽和カルボン酸類(カルボキシル基含
有ビニルモノマー類);マレイン酸、フマル酸もしくは
イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類と1価アルコー
ル類とのジエステル類;(メタ)アクリルアミドもしく
はN−アルコキシメチル化(メタ)アクリルアミドの如
き(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリ
ルの如きシアノ基含有ビニルモノマー類;テトラフルオ
ロエチレンもしくは、ヘキサフルオロプロピレンの如き
含ふっ素ビニルモノマー類;または燐酸基含有ビニルモ
ノマー類;さらには、2−エトキシエチル(メタ)アク
リレートやシクロヘキシル(メタ)アクリレートの如
き、上掲のアルキル(メタ)アクリレート類以外の各種
(メタ)アクリレート類とか、N,N−ジアルキルアミノ
アルキル(メタ)アクリレート類とか、酢酸ビニルの如
きビニルエステル類などである。
そして、当該ビニルモノマー(a−2)は、所望の塗
膜性能に応じて、単独使用でも2種以上の併用でもよ
い。
当該モノマー(a−2)成分として、前掲された如き
各種の水酸基含有ビニルモノマーを用いることもできる
のは、勿論である。
しかしながら、得られる前記ビニル共重合体(A)そ
れ自体の有する官能基が何らブロックされていないよう
なものにあって、前記硬化剤(B)として、イソシアネ
ートプレポリマーを用いる場合には、この水酸基含有ビ
ニルモノマーの使用は、断じて避けるべきである。
他方、前記硬化剤(B)としてアミノプラストを用い
る場合には、この水酸基含有ビニルモノマーの使用こそ
可能ではあるけれども、そうした場合には、必要に応じ
て、低温硬化性を付与する目的で用いられる硬化触媒
(硬化促進剤)の添加をも考慮に入れて、この水酸基含
有ビニルモノマーの使用量としては、一液型塗料の貯蔵
安定性に悪影響を及ぼさないような範囲内、つまり、全
ビニルモノマー中、5重量%未満に止めるべきである。
本発明組成物の一必須構成成分である前記ビニル共重
合体(A)を調製するには、以上に掲げられたような各
種のモノマー類を用いて、公知費用の方法、たとえば、
ラジカル発生剤を用いての溶液重合方法(溶液ラジカル
重合法)によって行なうことができる。
かかるラジカル発生剤としては、通常、ビニルモノマ
ーの重合に用いられているようなものであれば、いずれ
も使用しうるが、そのうちでも特に代表的なもののみを
挙げるに止めれば、アゾビスイソブチロニトリルもしく
はアゾビスカプロニトリルまたはtert−ブチルパーオキ
シベンゾエート、ジ−tert−ブチルパーオキシドもしく
は、ベンゾイルパーオキシドなどであり、また溶剤とし
ては、トルエンもしくはキシレンの如き芳香族炭化水素
系;酢酸エチル、酢酸ブチルもしくはセロソルブアセテ
ートの如きエステル系;メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトンもしくはシクロヘキシサノンの如きケト
ン系;n−ブタノールもしくはイソブタノールの如きアル
コール系;またはメチルセロソルブもしくはエチルセロ
ソルブの如きセロソルブ系などが代表的なものである
が、前記硬化剤(B)成分として、たとえば、遊離のイ
ソシアネート基を有するポリイソシアネート類を用いる
さいには、上掲された各溶剤中、アルコール系の溶剤だ
けは、該イソシアネート基と反応性を有するものである
処から、使用を避けるべきであることは、言うまでもな
い。
また、必要により、メルカプタン類、α−メチルスチ
レンダイマーまたは「ジペンテン T」〔日本テルペ
ン化学(株)製品〕などの、常用されている各種の連鎖
移動剤をも使用することができる。
かくして得られるビニル共重合体(A)の数平均分子
量(n)としては、500〜50,000なる範囲内が好まし
い。
当該共重合体(A)のnが500未満である場合に
は、塗膜物性を十分とはなり得なく、しかもこの塗膜物
性を出そうとして、該共重合体(A)のトリアルキルシ
ロキシ基等が遊離した後の、生成される水酸基価(以
下、これを「OH価」と記す。)を高くすれば、塗膜が脆
くなるので好ましくなく、一方、50,000を超えるときは
塗膜の外観、光沢、肉持感あるいは塗装作業性などに欠
陥が現われ易くなるので好ましくない。
次に、本発明組成物を構成する他の成分である前記硬
化剤(B)としては、前記したビニルモノマー(a−
1)より生成される水酸基のみを官能基とする場合は、
当該硬化剤(B)としてはポリイソシアネート類やアミ
ノプラスト類が使用される。
ポリイソシアネート類として代表的なものには、トリ
レンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネ
ートもしくはキシリレンジイソシアネートの如き芳香族
ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネートもしくはトリメチルヘ
キサンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネー
ト;イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサ
ン−2,4−ないしは2,6−ジイソシアネート、4,4′−メ
チレンビス(シクロヘキシルイソシアネートもしくは1,
3−ジ(イソシアネートメチル)−シクロヘキサンの如
き脂環族ジイソシアネート、そしてこれらの各ジイソシ
アネートと、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ネオペンチルグリコールもしくはトリメチロールプ
ロパンの如き多価アルコール類;イソシアネート基と反
応する官能基を有する極く分子量の低いポリエステル樹
脂(油変性タイプをも含む。);または水などとの付加
物であり、ビュレット体であり、あるいは上記ジイソシ
アネート同士の重合体(オリゴマーをも含む。)であ
る。そして、これらのポリイソシアネート類と前記ビニ
ル共重合体(A)との配合比としては、生成されるOH/N
CO=1/0.2〜1/3(当量比)なる範囲内が塗膜性能の点か
ら好ましい。この場合には、あらかじめ、ポリイソシア
ネート類を配合しておく一液型、ないしは塗装直前に配
合する二液型いずれの方法でも使用できる。
他方、ビニル共重合体(A)に、水酸基含有ビニルモ
ノマーを用いる場合、当該硬化剤(B)としては、貯蔵
安定性を考慮した場合、アミノプラストの方が好まし
い。
但し、塗装直前にポリイソシアネート類を配合して使
用することも可能である。アミノプラストの代表的なも
のとしては、1価アルコールでエーテル化されたものが
挙げられ、かかる形のものが常用されている。しかし、
本発明塗料組成物中にアルコールが存在すると、シロキ
シ基との反応が起こり、長期の安定性に欠点が生じる可
能性がある。そこで、アミノプラストとしては、樹脂溶
剤にアルコールを使用しないヘキサメトキシメチロール
メラミンが好ましい。
また、アミノプラストの使用量としては、ビニル共重
合体(A)の10〜40重量%なる割合で用いられるのが好
ましい。また、架橋性を増すために、アミノプラスト用
の硬化促進剤、たとえば、パラトルエンスルホン酸など
の酸触媒を添加してもよい。硬化促進剤の使用量として
は、樹脂固形分に対して0.1〜10重量%なる範囲内が好
ましい。長期の貯蔵安定性を必要としない場合は、樹脂
溶剤にアルコールを使用しての、1価アルコールでエー
テル化せしめたアミノプラストを使用してもさしつかえ
ない。
本発明の組成物は、大気中にばく露されると空気中の
水分との反応により加水分解され、硬化剤と反応しうる
水酸基を生成する。この加水分解を促進させるために、
触媒を用いる必要がある。かかる触媒としては燐酸、燐
酸エステル、亜燐酸エステル、p−トルエンスルホン酸
およびそのアミン塩、安息香酸、トリクロル酢酸、トリ
フルオロ酢酸、ナフタリンジスルホン酸およびそのアミ
ン塩などの酸性触媒;エチレンジアミン、N−β−アミ
ノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ブ
チルアミン、ジブチルアミン、t−ブチルアミン、ヘキ
シルアミン、トリエチルアミンなどのアミン類;水酸化
カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのア
ルカリ触媒、アルキルチタン酸塩、オクチル酸塩、ジブ
チル錫ジラウレートおよびオクチル酸鉛などのカルボン
酸の金属塩類;モノブチル錫サルファイド、ジオクチル
錫メルカプタイトなどのスルフィド型、メルカプチド型
有機錫化合物、テトラエチルアンモニウムフルオライ
ト、ふっ化セシウムなどのふっ素イオンを生じる化合物
が有効である。これら硬化触媒の添加量としては、ビニ
ル共重合体(A)に対して0.001〜10重量%、好ましく
は0.005〜8重量%なる範囲内が適当である。
また、本発明の組成物は大気中にばく露されない限
り、硬化剤と反応しうる水酸基を生成しないので、本発
明の組成物は一液型で、安定性のよいものとして得られ
る。しかし、長期の保存安定性を確保するためには、何
らかの理由により侵入する微量の水分を捕捉してやれば
よい。すなわち、水分と反応性を有する水結合剤を添加
することにより、長期の安定性が確保される。
かかる水結合剤として、本発明においては、とくに、
一分子中に少なくとも2個のシロキシ基を有し、かつ、
分子量が100〜1,000なる化合物(D)が用いられるが、
そのうちでも特に代表的なものとしては、一般式 で示される化合物、または一般式 で示される化合物などが挙げられる。
ここにおいて、上掲の両式中のRまたはR′はそれぞ
れ、ジオール化合物またはトリオール化合物の残基であ
るが、そのうちでも代表的なもののみを例示するに止め
れば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジプロ
ピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブ
チレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチ
ル−1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノ
ール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、ポリヘキサメチレングリコール、ビスフェノール
Aもしくは水添ビスフェノールA、またはグリセリン、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンもしく
は、ペンタエリスリトールなどの残基を意味するもので
ある。
また、当該化合物(D)とともに、後掲される如き他
の水結合剤を併用することを何ら妨げるものではない。
さらに、これらの種々の水結合剤を前記ビニル共重合
体(A)に調製するさいに、あらかじめ、その初期に混
入して使用しても差し支えない。
その他の水結合剤のうちでも特に代表的なもののみを
挙げるに止めれば、オルトぎ酸トリメチル、オルトぎ酸
トリエチル、オルトぎ酸トリブチルの如きオルトぎ酸ト
リアルキル類;オルト酢酸トリエチル、オルト酢酸トリ
ブチルの如きオルト酢酸トリアルキル類;オルトほう酸
トリエチル、オルトほう酸トリブチルの如きオルトほう
酸トリアルキル類;テトラメチルシリケート、テトラエ
チルシリケート、テトラブチルシリケート、テトラ(2
−メトキシエチル)シリケートもしくはテトラ(2−ク
ロロエチル)シリケートの如きテトラ(置換)アルキル
シリケート類単体;テトラフェニルシリケート、テトラ
ベンジルシリケートの如き上記テトラ(置換)アルキル
シリケート類単体の同効物質(以下、同効単体と略記す
る。);またはテトラエチルシリケートのダイマー、ト
リマー、テトラマー、ヘキサマーもしくは「エチルシリ
ケート 40」〔コルコート(株)製の、テトラエチルシ
リケートのテトラマー、ペンタマーおよび、ヘキサマー
の混合物〕などの、上掲の各種テトラ(置換)アルキル
シリケート類単体や、該シリケート類の同効単体の縮合
物などの加水分解性エステル化合物類、フェニルイソシ
アネート、p−クロロフェニルイソシアネート、ベンゼ
ンスルホニルイソシアネート、p−トリエンスルホニル
イソシアネート、イソシアネートエチルメタクリレート
などのイソシアネート基を有する化合物類などがある。
そして、当該化合物(D)の使用量としては、前記ビ
ニル共重合体(A)の100重量部当たり0.1〜100重量
部、0.5〜50重量部となる範囲内が適切である。
かくして得られた本発明の組成物は、そのままクリア
ー塗料として使用することもできるし、さらに顔料を混
合せしめることにより、エナメル塗料として使用するこ
ともできる。また、本発明組成物に対しては、必須に応
じてレベリング剤、紫外線吸収剤、顔料分散剤などの各
種の慣用の添加剤を混合させることができる。
また、公知慣用のセルロース系化合物、可塑剤または
ポリエステル樹脂などを使用することもできる。
さらに、塗装方法としては刷毛塗り、スプレー塗装ま
たはロール塗装などの如き常用の方法が採用できるし、
硬化方法としても、常温乾燥から加熱乾燥までの幅広い
範囲で本発明組成物を構成する共重合体成分と硬化剤成
分との組み合わせに応じた最適の硬化条件が設計でき
る。
かくして得られた本発明の組成物は溶液の形で、ある
いは粉体の形で自動車、家電製品あるいは建築外装をは
じめとして、金属のプレコート用として多岐に亘って利
用することができるが、就中、一液型で貯蔵安定性の要
求される分野においてその効果が顕著である。
〔実施例〕
次に、本発明を参考例、実施例および比較例により具
体的に説明するが、以下において部および%は特に断り
のない限り、すべて重量基準であるものとする。
参考例1〔化合物(D)の調製例〕 エチレングリコールの310部、トリエチルアミンの1,0
10部およびメチレンクロライドの2,000部を、撹拌装
置、温度計、冷却器および不活性ガス導入口を備えた四
ツ口フラスコに仕込み、次いで、トリメチルクロロシラ
ンの1,085部を、発熱しないように徐々に滴下した。
滴下終了後は、40℃まで昇温して同温度に5時間保持
して反応を続行させてから、析出したアミンの塩酸塩を
過したのち、蒸留により精製を行なって目的化合物を
得た。
参考例2(同上) 使用試薬を、1,3−ブチレングリコールの450部、トリ
エチルアミンの1,010部、メチレンクロライドの2,000部
およびトリメチルクロロシランの1,085部とした以外
は、参考例1と同様にして目的化合物を得た。
参考例3(同上) 使用試薬を、グリセリンの460部、トリエチルアミン
の1,010部、メチレンクロライドの2,000部およびトリメ
チルクロロシランの1,085部とした以外は、参考例1と
同様にして目的化合物を得た。
参考例4(同上) 「ポリエチレングリコール 2000」〔三洋化成工業
(株)製品〕の1,000部とトルエンの2,000部とを、参考
例1と同様の反応装置に仕込み、次いで、ヘキサメチル
ジシラザンの807部を、発熱しないように徐々に滴下し
た。
滴下終了後は、100℃まで昇温して同温度に5時間保
持して反応を続行させてから、減圧により、トルエンお
よび析出アミンを除去して目的化合物を得た。
参考例5(同上) 使用試薬を、「ポリヘキサメチレングリコール650」
(同上社製品)の1,950部、トルエンの2,000部およびN,
N−ジメチルアミノ−トリメチルシランの704部とした以
外は、参考例4と同様にして目的化合物を得た。
参考例6〔ビニル共重合体(A)の調製例〕 トリメチルシロキシエチルメタクリレートの300部、
スチレンの200部、n−ブチルメタクリレートの400部お
よび「SLメタクリレート」〔三菱レーヨン(株)製のC
12〜C13なるアルキル基を有するメタクリレート〕の100
部からなるモノマー混合物のうちの200部と、トルエン
の500部、酢酸イソブチルの200部、アゾビスイソブチロ
ニトリル(AIBN)の5部およびtert−ブチルパーオキシ
ベンゾエート(t−BPB)の10部とを、参考例1と同様
の反応容器に仕込んで90℃に1時間保持し、次いで、30
分間を要して115℃に昇温し、同温で残りのモノマー混
合物800部と、酢酸イソブルの300部、t−BPBの10部お
よびAIBNの5部とからなる混合物を3時間かけて滴下
し、さらに同温度に10時間保持して反応を続行せしめ、
不揮発分が49.8%で、粘度(25℃におけるガードナー粘
度;以下同様)がY−Zで、nが13.000で、かつ、官
能基量のOH価換算値が42なる目的共重合体(A)の溶液
を得た。
参考例7(同上) 使用ビニルモノマーの組成を、トリメチルシロキシエ
チルアクリレートの135部、メチルメタクリレートの510
部、n−ブチルメタクリレートの350部およびメタクリ
ル酸の5部とした以外は、参考例6と同様にして、不揮
発分が50.8%で、粘度がZで、nが15,000で、かつ、
官能基量のOH価換算値が19なる目的共重合体(A)の溶
液を得た。
参考例8(同上) トルエンの500部および酢酸イソブチルの50部を、参
考例1と同様の反応容器に仕込んで110℃に保持し、次
いでトリメチルシロキシエチルメタクリレートの260
部、n−ブチルメタクリレートの390部、「SLメタクリ
レート」の150部およびスチレンの200部よりなるモノマ
ー混合物と、AIBNの50部および酢酸イソブチルの450部
とからなる混合物を5時間かけて滴下し、さらに同温度
に10時間保持して反応を続行せしめ、不揮発分が50.9%
で、粘度がDで、nが15,000で、かつ、官能基量のOH
価換算値が36なる目的共重合体(A)の溶液を得た。
参考例9(対照用ビニル共重合体の調製例) β−ヒドロキシエチルメタクリレートの300部、スチ
レンの200部、n−ブチルメタクリレートの400部および
「SLメタクリレート」の100部を用いるように変更した
以外は、参考例6と同様にして対照用共重合体(A′)
の溶液を得た。このものは、不揮発分が50.1%で、粘度
がV−Wで、nが13,000で、かつ、OH価が45なるビニ
ル共重合体の溶液であった。
参考例10(同上) 参考例1と同様の反応容器に、トルエンの500部およ
び酢酸イソブチルの50部を仕込んで110℃に保持し、次
いでトリメチルシロキシエチルメタクリレートの135
部、メチルメタクリレートの510部、n−ブチルメタク
リレートの350部およびメタクリル酸の5部よりなる混
合物と、AIBNの10部、2−メルカプトエタノールの10部
および酢酸イソブチルの450部とからなる混合物を5時
間かけて滴下し、さらに同温度に10時間保持して反応を
続行せしめ、不揮発分が49.0%で、粘度がAで、nが
400で、かつOH価が24なる対照用共重合体(A″)の溶
液を得た。
実施例1〜7および比較例1〜3 参考例6〜10で得られたそれぞれのビニル共重合体溶
液と、参考例1〜5で得られた各種の多官能型水結合剤
と、硬化剤成分および解離促進触媒とを、第1表に示さ
れる通りの処方で、慣用の塗料化法に従って、各別に塗
料(被覆用組成物)を得、次いで、それぞれの塗料につ
いての塗膜性能の比較検討を行なった。
それらの結果は、まとめて同表に示す。
なお、塗膜の硬化条件はすべて、80℃で20分間の強制
乾燥による焼付けとした。
また、硬化塗膜についての物性試験は、かかる焼付け
ののち、室温に3日間放置せしめてから行なった。
〔発明の効果〕 本発明の被覆用組成物は、一液型でも二液型でも用い
られるし、とりわけ、一液型塗料とした場合にあっても
貯蔵安定性が良好であり、しかも、塗装作業性、各種の
塗膜物性、そして硬化性、塗膜外観および耐候性などに
すぐれるものである。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一分子中に少なくとも1個の重合性不飽和
    結合とシロキシ基とを併せ有するビニルモノマー(a−
    1)の1〜100重量%と、上記ビニルモノマー(a−
    1)以外の共重合可能なビニルモノマー(a−2)の99
    〜0重量%とからなるビニルモノマー混合物をラジカル
    発生剤の存在下で共重合させて得られるビニル共重合体
    (A)と、該共重合体(A)より生成される水酸基と反
    応性を有する硬化剤(B)と、上記シロキシ基の解離促
    進触媒(C)と、上記共重合体(A)の100重量部当た
    り0.1〜100重量部の、一分子中に少なくとも2個のシロ
    キシ基を有し、かつ、分子量が100〜1,000なる化合物
    (D)とを含んで成る、被覆用組成物。
  2. 【請求項2】前記した一分子中に少なくとも2個のシロ
    キシ基を有し、かつ、分子量が100〜1,000なる化合物
    (D)が、一般式 で示されるものである、請求項1に記載の被覆用組成
    物。
  3. 【請求項3】前記した一分子中に少なくとも2個のシロ
    キシ基を有し、かつ、分子量が100〜1,000なる化合物
    (D)が、一般式 で示されるものである、請求項1に記載の被覆用組成
    物。
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