JPH1025331A - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物

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JPH1025331A
JPH1025331A JP8183257A JP18325796A JPH1025331A JP H1025331 A JPH1025331 A JP H1025331A JP 8183257 A JP8183257 A JP 8183257A JP 18325796 A JP18325796 A JP 18325796A JP H1025331 A JPH1025331 A JP H1025331A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、焼き付け塗装時の加熱温度が低
く、かつ解離したブロック剤を大気中に放出しにくい、
新規なブロックポリイソシアネートを含んでなる塗料、
接着剤、繊維加工剤として有用な熱硬化性樹脂組成物を
提供することにある。 【解決手段】 本発明は、ポリイソシアネート(a)
を、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート等のブ
ロック剤(b)でブロックすることによって得られるブ
ロックポリイソシアネートと多価水酸基化合物とを含ん
でなる熱硬化性樹脂組成物に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塗料、繊維、接着剤
などの工業分野に於いて有用なる熱硬化性樹脂組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリウレタン樹脂は非常に優れた
耐摩耗性、耐薬品性、耐汚染性を有しており、特に脂肪
族および/または脂環族ジイソシアネート化合物を構成
成分とする無黄変ポリイソシアネートは優れた耐候性を
有するため、その需要は増加する傾向にある。
【0003】一般にポリウレタン樹脂塗料は2液型であ
るため、その使用は極めて不便であった。この二液型ウ
レタン塗料の欠点を改善するために、活性なイソシアネ
ート基をブロック剤でブロックしたブロックポリイソシ
アネートを硬化剤として用いる一液型ウレタン塗料が提
案されている。このブロックポリイソシアネートは常温
では反応しないが、加熱することによりブロック剤が解
離し、活性なイソシアネート基が再生されて主剤中の活
性水素基と架橋反応を起こすので、一応前記の欠点を改
善することが出来る。
【0004】しかしながら、上記の架橋反応は、例えば
150〜200℃の高い焼き付け温度が必要である。高
い焼き付け温度はエネルギーコストの増加のみならず、
それに付随する大気汚染の増加、さらにプラスチック類
等の熱に弱い被塗物への塗装には、致命的な欠陥とな
る。従って、それら問題を解決するブロックポリイソシ
アネートの開発が切望されていた。
【0005】低温で解離するブロック剤の例としては、
アセト酢酸エチルやマロン酸ジエチルに代表される活性
メチレン化合物が広く知られている。また、たとえば、
特公平3ー9948号公報に開示されているような立体
障害のある第二アミンをブロック剤として用いる方法
や、さらに、特開平3ー17116号公報に開示されて
いるような、芳香族性かつ含窒素の六員環または縮合六
員環化合物をブロック剤として用いる方法が知られてい
る。
【0006】しかしながら、上記のブロック剤はブロッ
ク剤が比較的低温で解離するものの解離した後は大気中
に放出されてしまうため、大気汚染やブロック剤が乾燥
ラインに付着するなどの問題は解決しない。
【0007】加熱によって解離したブロック剤の大気中
への放出を少なくするか策としては、たとえば特公昭5
1ー29737号公報に開示されているように、沸点が
焼き付け温度以上の170〜300℃である化合物をブ
ロック剤として用いることにより、ブロック剤の揮発を
少なくすることが知られている。しかしながらこの場
合、解離したブロック剤がそのままの形で塗膜中に残存
するため、塗膜性能の低下を引き起こす。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、焼き付け塗装時の加熱温度が低く、かつ解
離したブロック剤を大気中に放出しにくく、かつブロッ
ク剤が塗膜中に残存しても塗膜性能に何等悪影響を与え
ない、新規なブロックポリイソシアネートを含んでなる
塗料、繊維、接着剤などの工業分野に於いて有用な熱硬
化性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは上
述した課題に照準を合わせて検討した結果、ポリイソシ
アネートを特定のブロック剤でブロックする事によって
得られるブロックポリイソシアネート組成物が、これら
課題を解決すること見いだし、本発明を完成するに到っ
た。
【0010】即ち、本発明は、ポリイソシアネート
(a)を1分子中に不飽和二重結合と活性メチレン基を
有する化合物からなるブロック剤(b)でブロックして
なるブロックポリイソシアネート(A)と多価水酸基化
合物(B)とを含んでなる熱硬化性樹脂組成物に関し、
特に1分子中に不飽和二重結合と活性メチレン基を有す
る化合物が、下記の一般式で表される化合物であること
を特徴とする熱硬化性樹脂組成物に関する。
【0011】
【化2】
【0012】(式中、R1は水素原子または炭素数1〜
2のアルキル基を表し、R2、R3は互いに同じでも異な
っていても良い、炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0013】更に、本発明は、ブロック剤(b)が、2
−アセトアセトキシエチルメタクリレートであることを
特徴とする熱硬化性樹脂組成物に関する。また、ポリイ
ソシアネート(a)が、炭素数2〜15のアルキレンジ
イソシアネート、炭素数6〜15のシクロアルキレンジ
イソシアネートおよび炭素数8〜15のアラルキレンジ
イソシアネートから選ばれるジイソシアネート化合物の
1種以上を構成成分として含んでなる、イソシアネート
平均官能基数が2〜8であるイソシアヌレート型イソシ
アネートであることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物に
関する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をより詳細に説明
する。まず本発明における、ポリイソシアネート(a)
としては、既存のいずれのポリイソシアネート化合物も
使用することが可能である。既存のポリイソシアネート
化合物の例としては、例えばアロマティックジイソシア
ネート、アルキレンジイソシアネート、シクロアルキレ
ンジイソシアネート、アラルキレンジイソシアネート、
およびこれらのジイソシアネート化合物を構成要素とし
てなるイソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレ
ット型ポリイソシアネート、ウレットジオン型ポリイソ
シアネート、アロハネート型ポリイソシアネート、カル
ボジイミド変性ポリイソシアネート、さらには、ジイソ
シアネート化合物と2官能以上のポリオールとの反応に
よって得られるアダクト型ポリイソシアネート等が含ま
れ、それら2種類以上の混合物を含め、いずれも本発明
に使用できる。
【0015】上記のポリイソシアネート(a)を得るに
当たって、ジイソシアネート化合物をポリマー化させる
際に炭素数1〜40のモノアルコールおよび/またはジ
オールを同時に反応せしめても良い。
【0016】さらに、一分子あたりのイソシアネート基
数を高める目的で、イソシアヌレート型ポリイソシアネ
ート、ビュレット型ポリイソシアネート、ウレットジオ
ン型ポリイソシアネート、アロハネート型ポリイソシア
ネート、カルボジイミド変性ポリイソシアネート、アダ
クト型ポリイソシアネート等を炭素数2〜10の低分子
量ポリヒドロキシ化合物で変性した多官能型ポリイソシ
アネートも本発明に使用できる。低分子量ポリヒドロキ
シ化合物として代表的な物には、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、1,4−ブタンジオール、メチルペ
ンタンジオール、ヘキサメチレングリコール、オクタン
ジオール、ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、
グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスト
ールなどが挙げられる。
【0017】上記のポリイソシアネート化合物の中で
も、特に、炭素数2〜15のアルキレンジイソシアネー
ト、炭素数6〜15のシクロアルキレンジイソシアネー
トおよび炭素数8〜15のアラルキレンジイソシアネー
トの1種または2種以上から選ばれるジイソシアネート
化合物から構成される、イソシアネート官能基数が2〜
8のイソシアヌレート型ポリイソシアネートは耐候性、
耐熱性に優れ、得られるウレタン樹脂塗膜の性能を良好
にするため好ましい。
【0018】炭素数2〜15のアルキレンジイソシアネ
ートの例として、1,4−テトラメチレンジイソシネー
ト、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,
2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレン
ジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシ
アネート、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0019】また、炭素数6〜15のシクロアルキレン
ジイソシアネートの例としては、1,3−または1,4
−ビス(イソシアネートメチルシクロヘキサン)、1,
3−または1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、
3,5,5,−トリメチル(3−イソシアネートメチ
ル)シクロヘキシルイソシアネート(別名イソホロンジ
イソシアネート)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’
−ジイソシアネート、2,5−または2,6−ビスイソ
シアネートメチルノルボルナン等およびそれらの混合物
が挙げられる。
【0020】また、炭素数8〜15のアラルキレンジイ
ソシアネートの例としては、1,3−または1,4−キ
シリレンジイソシアネート、m−もしくはp−テトラメ
チルキシレンジイソシアネート等およびそれらの混合物
が挙げられる。
【0021】本発明のブロックポリイソシアネートを得
るために用いられるブロック剤としては、下記の一般式
で表される1分子中に不飽和二重結合と活性メチレン基
を有する化合物が用いられる。
【0022】
【化3】
【0023】(式中、R1は水素原子または炭素数1〜
2のアルキル基を表し、R2、R3は互いに同じでも異な
っていても良い、炭素数1〜4のアルキル基を表す。) 1分子中に不飽和二重結合と活性メチレン基を有する化
合物の具体的化合物としては、例えば2ーアセトアセト
キシエチルアクリレート、2ーアセトアセトキシエチル
メタクリレート等が挙げられる。これらのうち、毒性お
よび不飽和二重結合の熱重合時の反応性の点から2ーア
セトアセトキシエチルメタクリレートが好ましい。
【0024】当該ブロック剤は、解離性に優れる活性メ
チレン基を有するため、100〜120℃の比較的低い
焼き付け温度により解離して、活性なイソシアネート基
を再生する。次いで解離したブロック剤は分子中に存在
する不飽和二重結合の熱重合により、高分子量に成長す
るため沸点が上昇し、系外に揮発する成分が非常に少な
いという特徴を有する。また、高分子量に成長したブロ
ック剤は、塗膜中に残存し、溶出等による塗膜性能の低
下を引き起こさない。
【0025】更に、本発明のブロック剤が有する活性メ
チレン基はエノール化現象を引き起こすため、金属とキ
レート化反応を形成する。従って、本発明のブロックイ
ソシアネートを金属面上に塗布した場合、得られる塗膜
は金属基盤との密着性が優れるという特徴も有する。
【0026】本発明のポリイソシアネート(a)をブロ
ック剤でブロック化する際の反応温度は20〜150℃
の通常のブロック化反応の温度で、好ましくは40℃以
上の温度で反応を行うことができる。ブロック化反応は
無溶剤下で行うことも可能であるが、溶剤を用いて反応
を行う場合は、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリ
コールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリ
コールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、
トルエン、キシレンなどの芳香族類、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が好ましく用
いられる。
【0027】また、必要に応じて適当な触媒、例えばナ
トリウムメチラート、ナトリウムフェノラート等の触媒
を添加して反応を行っても良い。触媒添加量は固形分に
対して重量分率で0.001〜1.0%の範囲とするこ
とが好ましい。触媒の添加は適当な溶剤に希釈した形で
行っても良い。
【0028】本発明の多価水酸基化合物としては、既存
のポリオール化合物はいづれも使用可能である。使用可
能なポリオール化合物としては、脂肪族炭化水素ポリオ
ール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリ
オール類、ポリカーボネートポリオール類、エポキシ樹
脂類およびアクリルポリオール類等が挙げられる。
【0029】脂肪族炭化水素ポリオール類の具体例とし
ては、例えば末端水酸基化ポリブタジエンやその水素添
加物が挙げられ、ポリエーテルポリオール類としては、
例えば、グリセリンやプロピレングリコールなどの多価
アルコールの単独または混合物に、エチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの
単独または混合物を付加して得られるポリエーテルポリ
オール類、ポリテチラメチレングリコール類、さらにア
ルキレンオキサイドにエチレンジアミン、エタノールア
ミン類等の多官能化合物を反応させたポリエーテルポリ
オール類、およびこれらポリエーテル類を媒体としてア
クリルアミド等を重合して得られる、ポリマーポリオー
ル類等が含まれる。
【0030】ポリエステルポリオール類としては、例え
ばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン
酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの
カルボン酸の群から選ばれた二塩基酸の単独または混合
物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
エチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンな
どの群から選ばれた多価アルコールの単独または混合物
との縮合反応によって得られるポリエステルポリオール
樹脂類、および例えばε−カプロラクタムを多価アルコ
ールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラ
クトン類、さらには、ヒマシ油に代表される、水酸基を
有する脂肪酸と多価アルコールとのエステル類等が挙げ
られる。
【0031】また、ポリカーボネートポリオール類とし
ては、ビスフェノールA等の芳香族多価アルコールや
1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族、脂環族多価アル
コール類を原料として常法により得られるものが挙げら
れる。
【0032】また、エポキシ樹脂類としては、例えば、
ノボラック型、β−メチルエピクロルヒドリン型、環状
オキシラン型、グリシジルエーテル型、グリシジルエス
テル型、グリコールエーテル型、脂肪族不飽和化合物の
エポキシ化型、エポキシ化脂肪族エステル型、多価カル
ボン酸エステル型、アミノグリシジル型、レゾルシン型
などのエポキシ樹脂類が挙げられる。
【0033】また、アクリルポリオール類は、1分子中
に1個以上の活性水素をもつ重合性モノマーと、これに
共重合可能な他のモノマーを共重合させることによって
得られる。このようなものとしては、例えば、アクリル
酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキ
シプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチルなどの
活性水素をもつアクリル酸エステル類、メタクリル酸−
2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシ
プロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチルなどの
活性水素をもつメタクリル酸エステル類、またはグリセ
リンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モ
ノエステル、トリメチロールプロパンのアクリル酸モノ
エステルあるいはメタクリル酸モノエステル等の多価活
性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類等の群か
ら選ばれた単独叉は混合物と、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−
n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルなどのア
クリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−
n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−
n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グ
リシジルなどのメタクリル酸エステル類の群から選ばれ
た単独または混合物とを、アクリル酸、メタクリル酸、
マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、アクリ
ルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトン
アクリルアミドなどの不飽和アミド、およびスチレン、
ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリルなどの
他の重合性モノマーの群から選ばれた単独または混合物
の存在下、あるいは非存在下において重合させて得られ
るアクリルポリオール樹脂類が挙げられる。
【0034】これらの脂肪族炭化水素ポリオール類、ポ
リエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、
ポリカーボネートポリオール類、エポキシ樹脂類および
アクリルポリオール類は混合して用いても良い。
【0035】本発明の多価水酸基化合物としては、数平
均分子量300〜60000、酸価0〜200mgKO
H/g、水酸基価10〜300mgKOH/gの多価水
酸基化合物が好ましい。数平均分子量が300未満の場
合は、硬度と弾性のバランスの良いポリウレタン樹脂が
得られなくなり、反対に数平均分子量が60000を越
えると、粘度または軟化温度が著しく上昇し、均質なポ
リウレタン樹脂が得られないばかりか、作業性の低下を
招くため好ましくない。また、水酸基価が10未満の場
合には、ポリイソシアネート成分との反応による架橋密
度が減少して、ポリウレタン樹脂の諸性能、特に耐溶剤
性等が極めて不良となり、水酸基価が300を越える
と、逆に架橋密度が増大し、ポリウレタン樹脂の機械的
性質、特に耐衝撃性、伸び等が著しく低下し好ましくな
い。
【0036】本発明のブロックポリイソシアネート
(A)と多価水酸基化合物(B)との配合比率は、ブロ
ックポリイソシアネートを加熱した際にブロック剤の解
離により再生されるイソシアネート基のブロックポリイ
ソシアネート中における重量分率、すなわち理論イソシ
アネート含有率と多価水酸基化合物の水酸基価によって
決定される。
【0037】配合比率は、理論イソシアネート含有率か
ら得られるイソシアネート基と多価水酸基化合物の水酸
基価から得られる水酸基の当量比が1:5から2:1、
好ましくは1:2から3:2の範囲内になることが好ま
しい。1:5を越えて水酸基が過剰の場合は、架橋が十
分に起こらないため好ましくなく、また、2:1を越え
て再生されるイソシアネート基が過剰になると、再生さ
れたイソシアネート基が未反応のまま残存してしまい、
意図しない副反応を引き起こしてしまうため好ましくな
い。
【0038】本発明のブロックイソシアネートを硬化さ
せる際に用いられる硬化触媒としては既存のジブチルチ
ンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチ
ルチンジアセテート等の有機錫化合物や亜鉛オクトエー
ト、亜鉛ナフテート等の有機亜鉛化合物等の遷移金属化
合物を単独または併用して使用することができる。また
さらに3級アミン化合物および4級アンモニウム塩化合
物をこれらと併用しても良い。
【0039】硬化触媒の含有量は、ブロックイソシアネ
ートの固形分に対して、重量分率で0.1〜10.0%
の範囲とすることが望ましく、0.5〜7.0%とする
ことがさらに好ましい。触媒量が少ない場合、硬化触媒
としての性能が十分発揮されず、また過度に多くした場
合は、ブロックイソシアネートの貯蔵安定性を悪化させ
るため好ましくない。
【0040】解離したブロック剤の熱重合を効率的に行
うために、必要に応じて適当なラジカル開始剤、例えば
有機過酸化物、アゾ化合物等を樹脂組成物中に添加して
も良い。添加量は、ブロックイソシアネート固形分に対
して、重量分率で0.5〜15.0%、さらに好ましく
は1.0〜10.0%の範囲である。ラジカル開始剤の
量が少ない場合、解離したブロック剤の熱重合が十分に
起こらず、ブロック剤が系外に揮発してしまうため好ま
しくない。また過度に多い場合には、塗膜中に残存する
ラジカル開始剤が塗膜性能に悪影響を及ぼすため好まし
くない。
【0041】ブロックポリイソシアネートを焼き付けた
場合の最大の欠点は、焼き付けによる塗膜の黄変であ
る。この黄変が激しい場合、被塗物の外観を損ねてしま
う。この焼き付け時の熱による黄変を低減するために、
添加剤を樹脂固形分に対して重量分率で0.01〜1
0.0%の範囲で添加しても良い。添加剤としては、官
能基としてエポキシ基を有するリモネンジオキシド、リ
モネンモノオキシド等の添加剤が好ましい。
【0042】本発明の樹脂組成物は塗料(自動車用、家
電用、木工用、製缶用、プレコートメタルおよび建築外
装用など)、接着剤(ラミネート型接着剤、天然または
合成ゴムをベースにした接着剤の添加剤、木材用や構造
用など)、繊維加工剤等として有用である。
【0043】
【実施例】次に、本発明を合成例、実施例および比較例
により、一層、具体的に説明する。以下において、部お
よび%は特に断りのない限りすべて重量基準であるもの
とする。また、得られたブロックポリイソシアネートの
赤外吸収スペクトルは日本分光(株)社製フーリエ変換
赤外分光光度計FT/IR−300型を使用して測定し
た。
【0044】(合成例1) [ブロックポリイソシアネート(A−1)の合成]攪拌
器、窒素ガス導入管、空冷管及び温度計を備えた容量5
lのガラス製四ツ口フラスコに、窒素ガス雰囲気下に、
バーノックDN−901S(大日本インキ化学工業
(株)製、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシア
ヌレート型ポリイソシアネート、イソシアネート含有率
=23.0%、粘度(ガードナー、25℃)=W)を3
36g、酢酸ブチルを250g、ナトリウムメチラート
のメタノール28%溶液[和光純薬(株)製]を1g仕
込んだ。
【0045】次に、フラスコを油浴に付し、攪拌しなが
ら80℃に昇温し、フラスコ内容物が均一液である事を
確認した後、2ーアセトアセトキシメタクリレート[イ
ーストマンケミカル(株)製]414gを発熱に注意し
ながら分割仕込みし、さらに6時間保持しブロック化反
応を完結し、ブロックポリイソシアネート(A−1)1
000gを得た。(理論有効イソシアネート含有率=
7.7%、粘度(ガードナー、25℃)=G、樹脂固形
分=75.1%)得られたブロックポリイソシアネート
のIR測定より、2250cm-1にはイソシアネート基に
起因するシャープな吸収ピークは観察されなかった。
【0046】(合成例2) [ブロックポリイソシアネート(A−2)の合成]合成例
1と同じ反応装置を用い、フラスコにVESTANAT
−T1890[ダイセル・ヒュルス(株)製、IPDI
のイソシアヌレート型ポリイソシアネート、イソシアネ
ート含有率=17.0%]を402g、酢酸ブチルを2
50g、ナトリウムメチラートのメタノール28%溶液
を1g仕込んだ後、フラスコを油浴に付し、攪拌しなが
ら80℃に昇温し、2ーアセトアセトキシメタクリレー
ト366gを分割仕込みしてブロックポリイソシアネー
ト(A−2)1000gを得た。[理論有効イソシアネ
ート含有率=6.8%、粘度(ガードナー、25℃)=
Z、樹脂固形分=74.5%] 得られたブロックポリ
イソシアネートのIR測定より、2250cm-1にはイソ
シアネート基に起因するシャープな吸収ピークは観察さ
れなかった。
【0047】(合成例3) [ブロックポリイソシアネート(A−3)の合成]合成例
1と同じ反応装置を用い、イソホロンジイソシアネート
(ダイセル・ヒュルス株式会社社製)を452g、ナト
リウムメチラートのメタノール28%溶液を1g仕込ん
だ後、フラスコを油浴に付し、攪拌しながら80℃に昇
温し、2ーアセトアセトキシメタクリレート457gを
分割仕込みしした。残存するイソシアネート基含有率を
測定し、イソシアネートの理論当量で2分の1をブロッ
クした事を確認した後、トリメチロールプロパン91g
を仕込んで残存するイソシアネート基をウレタン化し、
目的のブロックイソシアネート(A−3)1000gを
得た。(理論有効イソシアネート含有率=8.5%、樹
脂固形分=100%)得られたブロックポリイソシアネ
ートのIR測定より、2250cm-1にはイソシアネート
基に起因するシャープな吸収ピークは観察されなかっ
た。
【0048】(比較合成例1) [ブロックポリイソシアネート(B−1)の合成]合成例
1と同じ反応装置を用い、フラスコにバーノックDN−
901Sを494g、酢酸ブチルを259gを仕込んだ
後、フラスコを油浴に付し、攪拌しながら80℃に昇温
し、メチルエチルケトオキシム247gを分割仕込みし
てブロックポリイソシアネート(B−1)1000gを
得た。[理論有効イソシアネート含有率=11.4%、
粘度(ガードナー、25℃)=U−V、樹脂固形分=7
5.5%] 得られたブロックポリイソシアネートのI
R測定より、2250cm-1にはイソシアネート基に起因
するシャープな吸収ピークは観察されなかった。
【0049】(比較合成例2) [ブロックポリイソシアネート(B−2)の合成]合成
例1と同じ反応装置を用い、フラスコにイソホロンジイ
ソシアネートを545g仕込んだ後、フラスコを油浴に
付し、攪拌しながら40℃に昇温し、安定したところで
トリメチロールプロパンを69g、εーカプロラクタム
を386g仕込むと急激な発熱が始まる。150℃で2
時間保持した後、室温まで冷却し、固形のブロックポリ
イソシアネート(B−2)1000gを得た。[理論有
効イソシアネート含有率=14.1%、、樹脂固形分=
100%] 得られたブロックポリイソシアネートのI
R測定より、2250cm-1にはイソシアネート基に起因
するシャープな吸収ピークは観察されなかった。
【0050】<ブロックイソシアネートのブロック剤の
揮発性試験>合成例1〜3および比較合成例1で得られ
たブロックポリイソシアネートに、t−ブチルパーオキ
シー2ーエチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエイトをそれぞれブロックポリイソシアネート固
形分に対して2%添加した。特に、溶剤が含まれるA−
1,2,B−1については、真空下にて脱溶剤を行っ
た。調製したサンプルを熱天秤を用いて20℃から20
0℃まで昇温速度10℃/分で加熱し、100℃での重
量に対する200℃における重量減少率からブロック剤
の揮発率を式1に基づいて算出した結果を表1に示す。
【0051】<式1> ブロック剤の揮発率(%)=(重量減少率)÷(ブロッ
クイソシアネート中のブロック剤の含有率)×100
【0052】
【表1】
【0053】(実施例1、2及び比較例1)(溶剤系) 合成例1、2および比較合成例1で得られたブロックポ
リイソシアネート(それぞれA−1、A−2、B−1)
に対して、アクリディックA−801[大日本インキ化
学工業(株)製、不揮発分=50.0%、粘度(ガード
ナー、25℃)=R、酸価=1、水酸基価=50.0]
をイソシアネート基と水酸基のモル濃度が等当量になる
ように配合し、酢酸ブチルにて不揮発分が50%になる
ように調製した。さらに、硬化触媒としてジブチル錫ジ
アセテート、重合触媒としてt−ブチルパーオキシー2
ーエチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシベンゾ
エイトをそれぞれブロックポリイソシアネート固形分に
対して2%添加した。
【0054】(実施例3及び比較例2)(粉体系) 合成例3および比較合成例2で得られたブロックポリイ
ソシアネート(A−3、B−2)に対して、ファインデ
ィックM−8020[大日本インキ化学工業(株)製、
不揮発分=100%、軟化点(環球法)=110℃、水
酸基価=32.0]をイソシアネート基と水酸基のモル
濃度が等当量になるように配合し、硬化触媒としてジブ
チル錫ジアセテート、重合触媒としてt−ブチルパーオ
キシー2ーエチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキ
シベンゾエイトをそれぞれブロックポリイソシアネート
固形分に対して2%添加した。さらに押出機中で80℃
〜100℃のもとで均一化する。冷却後に押出物を砕
き、さらに粉砕機で100μm以下の粒度まで粉砕し
た。
【0055】応用例 <焼き付け硬化試験>実施例1、2及び比較例1で得ら
れた配合液中に金網を浸せきして乾燥させた後、100
℃、110℃、120℃で30分間焼き付け硬化させ、
焼き付けた後の未硬化樹脂を24時間アセトン中に浸せ
きする事抽出して測定したゲル分率を表2に示す。
【0056】実施例3及び比較例2で得られた粉末を静
電粉末塗装用装置を用いて金網に塗布し120℃、14
0℃、160℃で30分間焼き付け硬化させ、焼き付け
た後の未硬化樹脂を24時間アセトン中に浸せきする事
抽出して測定したゲル分率を併せて表2に示す。
【0057】
【表2】 表中の数値はゲル分率(%)を表す。
【0058】<塗膜性能試験>実施例1、2及び比較例
1で得られた配合液をアプリケータを用いて、ボンデ#
144板上に塗膜の膜厚が20〜30μmとなるように
塗布した後、焼き付け硬化実験の結果より完全硬化を起
こす温度、すなわち120℃で30分間焼き付け硬化さ
せ、硬化塗膜の塗膜性能試験を行った結果を焼き付け温
度と併せて表3に示す。
【0059】実施例3及び比較例2で得られた粉末を静
電粉末塗装用装置を用いて、ボンデ#144板上に塗膜
の膜厚が60〜80μmとなるように塗布した後、16
0℃で30分間焼き付け硬化させ、硬化塗膜の塗膜性能
試験を行った結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
【発明の効果】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、焼き付
け塗装時の加熱温度が低く、かつ解離したブロック剤を
大気中に放出しにくく、かつブロック剤が塗膜中に残存
しても塗膜性能に何等悪影響を与えない、新規なブロッ
クポリイソシアネートと多価水酸基化合物とを含んでな
り、塗料(自動車用、家電用、木工用、製缶用、プレコ
ートメタルおよび建築外装用など)、接着剤(ラミネー
ト型接着剤、天然または合成ゴムをベースにした接着剤
の添加剤、木材用や構造用など)、繊維加工剤として有
用である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリイソシアネート(a)を1分子中に
    不飽和二重結合と活性メチレン基を有する化合物からな
    るブロック剤(b)でブロックしてなるブロックポリイ
    ソシアネート(A)と多価水酸基化合物(B)とを含ん
    でなる熱硬化性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 1分子中に不飽和二重結合と活性メチレ
    ン基を有する化合物が、下記の一般式で表される化合物
    であることを特徴とする請求項1記載の熱硬化性樹脂組
    成物。 【化1】 (式中、R1は水素原子または炭素数1〜2のアルキル
    基を表し、R2、R3は互いに同一であっても異なってい
    ても良い、主鎖の炭素数が1〜6のアルキル基を表
    す。)
  3. 【請求項3】 1分子中に不飽和二重結合と活性メチレ
    ン基を有する化合物が、2ーアセトアセトキシエチルメ
    タクリレートであることを特徴とする請求項1又は2記
    載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ポリイソシアネート(a)が、炭素数2
    〜15のアルキレンジイソシアネート、炭素数6〜15
    のシクロアルキレンジイソシアネートおよび炭素数8〜
    15のアラルキレンジイソシアネートから選ばれる1種
    以上のジイソシアネート化合物を構成成分として含んで
    なる、イソシアネート平均官能基数が2〜8であるイソ
    シアヌレート型ポリイソシアネートであることを特徴と
    する請求項1から3のいずれか1項記載の熱硬化性樹脂
    組成物。
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JP2002069418A (ja) * 2000-09-01 2002-03-08 Itc:Kk 耐水性接着剤
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