JP2850398B2 - 積層セラミックコンデンサ用誘電体磁器組成物 - Google Patents

積層セラミックコンデンサ用誘電体磁器組成物

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JP2850398B2 JP1235044A JP23504489A JP2850398B2 JP 2850398 B2 JP2850398 B2 JP 2850398B2 JP 1235044 A JP1235044 A JP 1235044A JP 23504489 A JP23504489 A JP 23504489A JP 2850398 B2 JP2850398 B2 JP 2850398B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、誘電率、絶縁抵抗、絶縁破壊電圧が高く、
良好度Qに優れ、静電容量温度係数が小さく、チップ立
ちの発生を抑制することのできる積層セラミックコンデ
ンサ用磁器組成物に関するものである。
従来の技術 従来から誘電率,絶縁抵抗が高く、良好度Qにすぐ
れ、静電容量温度係数が小さい誘電体磁器組成物として
下記のような系が知られている。
・BaO−TiO2−Nd2O3系 ・BaO−TiO2−Sm2O3系 発明が解決しようとする課題 しかし、これらの組成は、例えば 0.09BaO−0.55TiO2−0.36NdO3/2の組成比からなる誘電
体材料を使用し、円板形磁器コンデンサを作製すると、
絶縁抵抗の平均値: 8.0×1012Ω、絶縁破壊強度の平均値: 30kV/mmであり、満足のできる値ではない。また、この
誘電体磁器の密度は、5.6g/cm3であるが、一般に長さ
(L)3.2×幅(W)1.6mm以下の積層セラミックコンデ
ンサのリフローはんだ付け、特にベーパーリフローはん
だ付けではチップ立ち(通常、ツームストーン現象、マ
ンハッタン現象と呼ばれている。)が発生しやすく、こ
のチップ立ちを防ぐため、誘電体磁器の密度をより大き
くしなければならないという課題があった。
課題を解決するための手段 そこで本発明の積層セラミックコンデンサ用誘電体磁
器組成物は、一般式xBaO−y{(TiO2(1-m)(SnO2
}−z(Re(1-n)MenO3/2(ただし、x+y+z=1.0
0,0.01≦m≦0.20,0.01≦n≦0.20、Reは、La,Pr,Nd,Sm
から選ばれる一種類以上の希土類元素。MeはLa,Pr,Nd,S
mを除く希土類元素から選ばれる一種類以上の希土類元
素。)と表した時、x,y,zが以下の表に示す各点a,b,c,
d,e,fで囲まれるモル比の範囲からなる主成分100重量部
に対し、副成分としてTa2O5を0.1〜10.0重量部含有した
ものである。
作用 この構成によると、誘電体磁器組成物の4価のTiおよ
びSnの一部を5価のTaで置換することにより生じた陽イ
オン空孔で、焼成時の酸素欠陥によるe-を補償し、TiO2
が還元されるのを抑制できる。従って積層セラミックコ
ンデンサを作製する場合、誘電体層中のTiとPd等の内部
電極を形成する金属との化合物の生成を防止でき、誘電
体層と内部電極の界面の密着性が向上するため、静電容
量とQ値が大きく、そのバラツキが小さい積層セラミッ
クコンデンサを得ることができる。
また従来の誘電体磁器組成物は、焼成時に還元された
TiO2が冷却過程である程度再酸化されるが、誘電体層の
内部、及び各結晶粒子の内側は再酸化されにくく酸素欠
乏状態のまま残る。この酸素欠乏が電気伝導に寄与し、
誘電体磁器組成物の絶縁抵抗、絶縁破壊強度を劣化させ
る。本発明の誘電体磁器組成物は、4価のTi及びSnの一
部を5価のTaで置換することにより生じた陽イオン空孔
で、焼成時の酸素欠陥によるe-を補償する。
従って絶縁抵抗、絶縁破壊強度が従来よりも向上した
積層セラミックコンデンサを得ることができる。
さらにTiの一部をSnで置換することにより、誘電体磁
器組成物の密度が向上するため、積層セラミックコンデ
ンサにした場合、チップ立ちの発生を抑制することがで
きる。
実施例 以下に、本発明を具体的実施例により説明する。
(実施例1) まず、出発原料には化学的に高純度のBaCO3,TiO2,SnO
2,La2O3,Pr6O11,CeO2,Gd2O3,Dy2O3,Nd2O3,Sm2O3およびT
a2O5粉末を下記の第1表に示す組成比になるように秤量
し、めのうボールを備えたゴム内張りのボールミルに純
水とともに入れ、湿式混合後、脱水乾燥した。この乾燥
粉末を高アルミナ質のルツボに入れ、空気中で1100℃に
て2時間仮焼した。この仮焼粉末を、めのうボールを備
えたゴム内張りのボールミルに純水とともに入れ、湿式
粉砕後、脱水乾燥した。この粉砕粉末に、有機バインダ
ーを加え、均質とした後、32メッシュのふるいを通して
整粒し、金型と油圧プレスを用いて成形圧力1ton/cm2
直径15mm、厚み0.4mmに成形した。次いで、この成形円
板をジルコニア粉末を敷いたアルミナ質のサヤに入れ、
空気中にて下記の第1表に示す温度で2時間焼成し、第
1表に示す組成比の誘電体磁器を得た。
このようにして得られた誘電体磁器円板は、厚みと直
径と重量を測定し、重量を厚みと直径より算出した体積
で除算し、誘電体磁器の密度とした。また、誘電率,良
好度Q,静電容量温度係数測定用試料は、誘電体磁器円板
の両面全体に銀電極を焼き付け、絶縁抵抗,絶縁破壊強
度測定用試料は、誘電体磁器円板の外周より内側に1mm
の幅で銀電極のない部分を設け、銀電極を焼き付けた。
そして、誘電率,良好度Q,静電容量温度係数は、YHP社
製デジタルLCRメータのモデル4275Aを使用し、測定温度
20℃,測定電圧1.0Vrms,測定周波数1MHzでの測定より求
めた。なお、静電容量温度係数は、20℃と85℃の静電容
量を測定し、次式により求めた。
TC=(C−Co)/Co×1/65×106 TC:静電容量温度係数(ppm/℃) Co:20℃での静電容量(pF) C :85℃での静電容量(pF) また、誘電率は次式より求めた。
K=143.8×Co×t/D2 K :誘電率 Co:20℃での静電容量(pF) D :誘電体磁器の直径(mm) t :誘電体磁器の厚み(mm) さらに、絶縁抵抗は、YHP社製HRメータのモデル4329A
を使用し、測定電圧50V.D.C.、測定時間1分間による測
定より求めた。
そして、絶縁破壊強度は、菊水電子工業(株)製高電
圧電源PHS35K−3形を使用し、試料をシリコンオイル中
に入れ、昇圧速度50V/secにより求めた絶縁破壊電圧を
誘電体厚みで除算し、1mm当りの絶縁破壊強度とした。
この試験結果を下記の第2表に示す。
第1図は本発明にかかる組成物の主成分の組成範囲を
示す三元図であり、主成分の組成範囲を限定した理由を
第1図を参照しながら説明する。すなわち、A領域では
焼結が著しく困難である。また、B領域では良好度Qが
低下し実用的でなくなる。さらに、C,D領域では静電容
量温度係数がマイナス側に大きくなりすぎて実用的でな
くなる。そして、E領域では静電容量温度係数がプラス
方向に移行するが、誘電率が小さく実用的でなくなる。
また、ReをLa,Pr,Nd,Smから選ぶことにより、La,Pr,Nd,
Smの順で誘電率を大きく下げることなく、静電容量温度
係数をプラス方向に移行することが可能であり、La,Pr,
Nd,Smの一種あるいはその組合せにより静電容量温度係
数の調節が可能である。
さらに、La,Pr,Nd,Smから選ばれる一種類以上の希土
類元素の一部を、La,Pr,Nd,Smを除く希土類元素から選
ばれる一種類以上の希土類元素で置換することにより、
良好度Qを大幅に改善する効果を有しているが、その置
換量が0.01未満では置換効果はなく、一方0.20を越える
と誘電率が低下し実用的でなくなる。
また、TiO2をSnO2で置換することにより、誘電率、良
好度Q、静電容量温度係数、絶縁抵抗、絶縁破壊強度の
値を大きく変えることなく、誘電体磁器の密度を大きく
する効果を有しているが、その置換率mが0.01未満では
置換効果はなく、一方0.20を越えると誘電率、良好度Q
が低下し、静電容量温度係数もマイナス側に大きくなり
すぎ実用的でなくなる。
また、主成分に対し、副成分Ta2O5を含有することに
より、絶縁抵抗、絶縁破壊強度が向上する効果を有して
いるが、Ta2O5の含有量が主成分100重量部に対し、0.1
重量部未満ではそれほど絶縁破壊強度が大きくなく、こ
の発明の範囲から除外した。一方、Ta2O5の含有量が主
成分に対し、100重量部を越えると良好度Q、絶縁抵抗
が低下し、静電容量温度係数がマイナス側に大きくなり
実用的でなくなるため、この発明から除外した。
なお、実施例における誘電体磁器の作製方法では、Ba
CO3,TiO2,SnO2,La2O3,Pr6O11,Nd2O3,Sm2O3,CeO2,Gd2O3,
Dy2O3およびTa2O5を使用したが、この方法に限定される
ものではなく、所望の組成比になるように、BaTiO3など
の化合物、あるいは炭酸塩,水酸化物など空気中での加
熱により、BaO,TiO2,SnO2,La2O3,Pr6O11,Nd2O3,Sm2O3,C
eO2,Gd2O3,Dy2O3およびTa2O5となる化合物を使用しても
実施例と同程度の特性を得ることができる。
また、上述の基本組成のほかに、SiO2,MnO2,Fe2O3,Zn
Oなど、一般にフラックスと考えられている塩類,酸化
物などを、特性を損わない範囲で加えることもできる。
発明の効果 以上本発明によると、誘電体磁器組成物中の4価のTi
およびSnの一部を5価のTaで置換することにより生じた
陽イオン空孔で、焼成時の酸素欠陥によるe-を補償し、
TiO2が還元されるのを抑制できる。従って積層セラミッ
クコンデンサを作製する場合、誘電体層中のTiとPd等の
内部電極を形成する金属との化合物の生成を防止でき、
誘電体層と内部電極の界面の密着性が向上するため、静
電容量とQ値が大きく、そのバラツキが小さい積層セラ
ミックコンデンサを得ることができる。
また従来の誘電体磁器組成物は、焼成時に還元された
TiO2が冷却過程である程度再酸化されるが、誘電体層の
内部、及び各結晶粒子の内側は再酸化されにくく酸素欠
乏状態のまま残る。この酸素欠乏が電気伝導に寄与し、
誘電体磁器組成物の絶縁抵抗、絶縁破壊強度を劣化させ
る。本発明の誘電体磁器組成物は、4価のTi及びSnの一
部を5価のTaで置換することにより生じた陽イオン空孔
で、焼成時の酸素欠陥によるe-を補償する。
従って絶縁抵抗、絶縁破壊強度が従来よりも向上した
積層セラミックコンデンサを得ることができる。
さらにTiの一部をSnで置換することにより、誘電体磁
器組成物の密度が向上するため、積層セラミックコンデ
ンサにした場合、チップ立ちの発生を抑制することがで
き、実装性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる組成物の主成分の組成範囲を説
明する三元図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式xBaO−y{(TiO2(1-m)(SnO2
    }−z(Re(1-n)Men)O3/2と表した時(ただし、x
    +y+z=1.00,0.01≦m≦0.20,0.01≦n≦0.20、Re
    は、La,Pr,Nd,Smから選ばれる一種類以上の希土類元
    素。MeはLa,Pr,Nd,Smを除く希土類元素から選ばれる一
    種類以上の希土類元素。)、x,y,zが以下の表に示す各
    点a,b,c,d,e,fで囲まれるモル比の範囲からなる主成分1
    00重量部に対し、副成分としてTa2O5を0.1〜10.0重量部
    含有したことを特徴とする積層セラミックコンデンサ用
    誘電体磁器組成物。
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